東京都議会予算特別委員会速記録第五号

   午後三時四十四分開議

○和田副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 青木英二理事の発言を許します。

○青木委員 私は、都議会民主党を代表しまして、締めくくりの総括質疑をさせていただきたいと思います。
 私は八年ぶりで都議会に戻ってまいりました。ちょうど平成四年の十年前の三月の本会議で、当時の鈴木知事に質問をさせていただいて以来、十年ぶりに知事に質問をさせていただくというようなことで、浦島太郎みたいなものでございますから、どうぞよろしくお願いいたします。
 ちょうど当時、平成三年、四年ごろは、今考えてみると、都税収が四兆八千億円ぐらいということで、ことしが、十四年度が四兆ちょっとということですから、十年間で八千億円ぐらい都税収が減収をしたということで、改めて、八年ぶりに戻ってきまして、東京都の税収の極めて厳しい現状を肌身で感じております。
 また、逆のいい方をすれば、八年間都政から離れておりましたので、東京の年間一般歳出が約六兆円前後ということですから、これは国でいえば、一つの国の予算に匹敵する大きな規模ということでありますけれども、外にいると、大きな予算だけれども、私どもの本当に身近ないろんな施策を東京都はやっているんだなということも、これまた外にいて肌身で感じております。そんなことを踏まえて締めくくりをさせていただきたいと思います。
 まず最初に、環境負荷の少ない都市づくりについてお話を伺いたいと思います。
 総括質疑で、私どもの和田宗春議員が通告して積み残したヒートアイランド対策についてから伺いたいと思いますが、ヒートアイランド現象によって、百年間で東京都の平均温度が二・九度上がったと。平成十一年の八月下旬の大きな雨の被害でも、私どもの目黒区もいろいろな浸水の被害を受けております。私は、まさにこのヒートアイランド現象というのは、都市が生み出した環境問題であるというふうに思っております。
 そこで、この大きなヒートアイランド問題で、東京都も大きく政策転換をするというときにまさにかかっていると思います。過日の我が党の和田議員の質問に対して知事からも、環境局だけの問題ではなく、各局が力を合わせて対処すべき問題だというご答弁をいただいておりますので、まず最初に、環境局以外の各局、どういった取り組みをされているのか伺いたいと思います。

○赤星環境局長 総論としてお答えさせていただきます。
 ヒートアイランド現象は、人工排熱の増大、都市化による舗装面の拡大や都市形態の変化が主要な原因でございます。この現象の緩和を図るためには、省エネルギー施策の徹底に加えまして、都市を冷やす機能を持つ緑地の確保や風の道への配慮、街区、建築面での被覆対策など、都政の各分野において総合的な取り組みを進めることが必要であると考えております。

○青木委員 もちろん主は環境局ですから、環境局として東京の水と緑の復活に全力で取り組んでいただきたいと思います。
 ヒートアイランド対策がなかなか進まない中にあって、従来、私ども都議会民主党が主張しております庁舎の屋上の緑化、それからまた、今、局長からもご答弁いただいた風の道の取り組みがようやく始まろうとしておりますけれども、具体的に十四年度予算におけるこれらの取り組みの内容について、二点目にお伺いをしたいと思います。

○赤星環境局長 当局におけますヒートアイランド対策に関する事業といたしましては、まず環境科学研究所と都立大学とが連携いたしまして、都市内の局地的な気候を明らかにするモニタリング調査を区部約百カ所で実施いたします。
 また、東京体育館において、既存のコンクリート舗装をはがし、芝など保水性の高い舗装を導入するパイロット事業の実施、議会棟の屋上緑化などでございます。

○青木委員 風の道については、今お話があったように、モニタリング調査を予算化されるわけですが、この調査の結果を公表して、NGOとかNPOなどが活用できるようにするとともに、そのデータに基づいて行われた提案を東京都の施策形成に生かすように私はすべきだと思いますけれども、この点についてのご所見も伺いたいと思います。

○赤星環境局長 ヒートアイランドに関しますモニタリングの結果についてでございますが、都市緑化やまちづくりに取り組む事業者、NPO、NGO、研究者などに広く活用されますよう、インターネットなどを用いましてデータの提供を行ってまいります。
 また、NPOなどから具体的な政策提案がなされれば、ヒートアイランド対策の検討素材として活用してまいります。

○青木委員 先ほど局長の方から、東京体育館のコンクリートのはがしのことのパイロット事業というんですか、そのお話もあったんですが、そういったことについては、私ども評価をすることはやぶさかではないんですが、いかんせん、その規模がまだまだ不十分だというふうに思っております。
 私ども都議会民主党は、既存のコンクリートやアスファルトの塗装をはがして、保水性の舗装であるとか芝舗装などに変えていく施策を行うべきだというふうに提言をしてきているわけですけれども、総論賛成、各論になると、既存の舗装を変えることはなかなか抵抗があるという現実にも、率直にいってぶち当たっております。
 そういったコンクリートやアスファルトの舗装に関連して、都立公園のありようについてちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、もちろんいうまでもなく、公園というのは、都市空間の中にあって緑と水の拠点ということになると思うんです。公園があることによって気温が抑えられるという役割、オープンスペースを提供するだけの役割ではないわけであります。
 ただ、残念ながら一方で、都立公園、例えばうちの近くでいえば、駒沢のオリンピック公園などもあるわけですけれども、まだまだコンクリート、アスファルトに覆われた部分というのがあると私は思っております。
 ですから、そういうところをもっともっと工夫すれば、それぞれの都立公園が、ヒートアイランドの中にあって温度抑制をしていく、冷却の機能を持っていくことができる、そういった点で、公園の既存のコンクリートやアスファルトの塗装をはがして、公園をヒートアイランド対策の拠点にしていくための整備拡充が大事だと思いますが、ご所見を伺いたいと思います。

○山下建設局長 都市の中の公園は、気温の上昇を抑える、いわゆるクールアイランドをつくっており、都民に快適な生活環境を提供しております。都市公園の整備に当たりましては、これまでも、緑地空間を広くとることにより、緑が持つ環境改善機能を最大限に発揮させるとともに、既存の舗装を樹木の生育にとって効果的な透水性舗装に変えたり、散策路にチップを利用するなど、ヒートアイランド対策に取り組んでまいりました。
 今後、さらに緑化の推進や透水性舗装への積極的な転換による水循環の確保など、都市気候の緩和に取り組み、ヒートアイランド対策の拠点としての公園整備に努めてまいります。

○青木委員 建設局では、本年度、都道二カ所において、路面の温度を抑制できる保水性の舗装を実施してきているところだと思います。ヒートアイランド現象の緩和ということからいっても、こうした舗装は大変有効であると私は考えております。
 そこで、これまでの試験の施工による保水性の舗装の結果、効果、また、今後どのように進めていかれるのか、この点も伺っておきたいと思います。

○山下建設局長 昨年七月に、新宿副都心一二号線と調布市の東八道路で初めて、路面温度の抑制が期待できる保水性舗装の試験施工を実施いたしました。現在までの調査では、真夏の降雨後の路面温度は、一般の舗装と比べ十度程度の温度抑制効果があることや、材質により保水量に違いがあることなどが確認できております。
 しかし、保水の持続性、舗装の耐久性、コストの低減など、今後検討すべき課題もございまして、平成十四年度は、既設箇所の追跡調査に加え、新たに都心部の二カ所で試験施工を実施し、効果の確認を行い、課題の解決に取り組んでまいります。

○青木委員 道路の保水性の舗装に関しては、今、温度を下げることの効果というお話があったわけですが、大幅に普及するという上で、今、これもお話があったように、最大の問題はやっぱりコストの問題だと思います。例えば東京都が大規模に、大幅に保水性の舗装ということを方針を明確にすれば、これは当然、スケールメリットとしてコストダウンにはつながっていくというふうに私は思います。
 もう一点、ちょっと違った観点で都市の舗装のあり方について伺いたいんですが、それは民間が進める大規模開発への対応ということなんです。大規模開発、特定街区や再開発地区などで、都市計画の制度によって行われた開発は、容積率等を含めていろんなボーナスが与えられるわけですね。当然、そのボーナスが与えられたことによってキャパシティーが大きくなる。キャパシティーが大きくなれば、これはすべてというわけではありませんが、エネルギーの消費がふえるというのは当然かなというふうに思います。
 そこで、東京の経済活性化のために、東京再生プロジェクトがどんどん推進されていっても、それは単に経済性の追求ということのみでなくて、ボーナスが与えられたということの経済性のみならず、やはり大きなエネルギーの消費という面からいけば、そういった大きなプロジェクトについては、経済と、もう一つ、一方の面で環境、この両立が、大規模開発には、二十一世紀に向けては今まで以上に必要、環境への配慮が大切だというふうに私は思っております。
 二月の都市計画審議会の土地利用調査特別委員会からも、土地利用に関する基本方針の中間報告が出されました。ここでも、簡単にいうと、今、私がお話ししたように、容積率等を含めてボーナスが与えられるわけです。ですから、そうやってボーナスを与えられたものに対しては、屋上緑化とか、舗装に対して環境の負荷を低減すべきであるというような見解が示されております。
 私は、東京都はこういった考え方を受けとめて、大規模開発には、これらの環境負荷の低減策を厳格に求めていくということは非常に重要なことだと思いますが、このことについてお考えを伺っておきたいと思います。

○木内都市計画局長 特定街区などの都市開発諸制度の運用に当たりましては、これまでも緑化の推進などに努めてきたところでございます。
 今後とも、屋上緑化など、より環境に配慮した運用を行ってまいります。

○青木委員 今、局長からお話があった都市計画局が策定した都市づくりビジョンの中でも、環境と共生する都市の実現が目標に挙げられているわけです。こうした目標が単なるお題目ではなくて、実効性あるもの、担保できるためには、土地利用規制や都市計画のいろいろな制度の運用を環境の視点からも十分考えていく、このことが非常に大切である、不可欠なことであるということを指摘させていただいて、次の質問に入りたいと思います。
 二点目は物流対策であります。
 物流の高コスト構造は、我が国の産業の競争力に対する阻害要因ということになります。物流を人間に例えれば、まさに血液を通す血管ということでありますから、この血管が詰まったり、もろくなってしまえば、人間がいろんな病気が出てくるのと同じで、いろんな問題が出てくることになるわけであります。
 国においては、平成九年の総合物流施策大綱の成果を踏まえて、昨年七月に国際競争力のある物流市場と、環境賦課を低減させる物流体系の構築を目指して、新総合物流施策大綱をまとめました。
 実は私は、昨年の十月に、都議会の友好都市代表団の一員として、ソウル郊外、インチョン空港を視察させていただいたんですが、文字どおり、ソウル特別市、そして国を挙げて、物流のコストダウンに大変努力をされているということを、私は英語も余りよくわからないし、韓国語もよくわかりませんけれども、率直にいって肌身に感じてまいりました。
 東京都においても、この物流の高コスト構造を是正していくことが、都内産業の活性化にもつながっていく課題だと思います。そういったことで何点か伺いたいと思います。
 まず最初に、東京港においては、大型コンテナに対応した深い、そしてまた高規格コンテナターミナルやモーダルシフト船に対応したユニットロードターミナル等々の港湾設備が行われているわけでありますけれども、これはある意味でハードということだと思います。あわせて、ハードだけではなくて、ソフトの部分も私は非常に大事なことだと思います。
 お隣の横浜港は、東京港にとっては強力な競争相手ですけれども、ポートセールス活動や情報システムの構築においては、ともに連携することによって、切磋琢磨というんでしょうか、お互いに競争力を高めることができるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 また、輸入の多い東京港と、逆に輸出の多い横浜港が、お互いコンテナをぐるぐる回転させる、また、コンテナの利用の効率化によって、双方がコスト削減もできるのではないかと思います。こういった形で、東京港とお隣の横浜港の連携についてはどのようにお考えなのか、伺っておきたいと思います。

○川崎港湾局長 東京湾内の各港が連携することは、国際競争力の強化を図る上で大変重要なことであると認識しております。
 お話の情報システムにつきましては、入出港手続などを効率的に行う港湾EDIシステムの導入に際して、様式を統一するなどの連携を図ってまいりました。また、コンテナの回送につきましては、横浜港との間で現在も一部実施されているところでございます。
 しかし、ポートセールス等営業活動につきましては、個々の港の状況に応じて実施しているのが現状でございます。
 平成十二年には、港湾物流に係る共通課題の解決のため、東京、横浜、千葉、川崎の四港で連絡会を立ち上げました。今後、この場を活用するなどして、一層の連携強化に努めてまいります。

○青木委員 今ご答弁があった四つの港の連携の一方で、今度は港から品物がおりた後の話でありますけれども、国内輸送のコストの削減というのは極めて重要な課題になってくるわけです。同時に、先ほどから触れています環境負荷も低減するということも、あわせて行っていくということになってくるわけですから、コストの面と環境の面、両方から、私は鉄道貨物の輸送というのは極めて有効な手段だと思います。なかんずく、京葉線、りんかい線の貨物利用が有効というふうに考えておりますけれども、現状はどこまで進んでいるのか伺いたいと思います。

○木内都市計画局長 りんかい線の貨物利用は、鉄道貨物輸送のネットワークの強化となりますし、トラックから鉄道へのモーダルシフトに有効であるというふうに考えております。
 これまで東京都は、国や関係機関から成る調査委員会に参画をしてまいりましたが、その報告によりますと、時間短縮や環境負荷の軽減に効果が認められるものの、事業者となるJR貨物の事業採算性の確保などの面で課題も多いとされております。今後も関係者間で協議を重ねてまいります。

○青木委員 今お話を聞いてみると、なかなか鉄道は管理権が複雑であったり、それからトータルコストの面でも、鉄道貨物にモーダルシフトするということは難しいなという感じが私も率直にしております。
 そういうことになれば、やはりトラック輸送、これまた軽視をすることができないわけであります。問題は、いかに効率的なトラック輸送のネットワークを整備していくかということが重要になってくるわけです。
 そういった点では、都内には、大規模物流拠点の空白地があります。それは、長年の課題でもあります、なかなか進展が見られない多摩地区の広域物流拠点のことです。
 圏央道のインターチェンジ付近への立地が理想ですけれども、この拠点につながる道路の整備や流通業務市街地などの整備手法をどうするかについても、課題が山積をしていると思います。この多摩地区の広域物流拠点の整備についても伺いたいと思います。

○木内都市計画局長 昨年公表した調査報告によりますと、多摩地域の広域的な物流拠点を圏央道、中央道のインター付近に整備することが望ましいとされております。
 今後、物流の将来動向を踏まえまして、物流関係事業者の進出意向、さらには民間を主体とした整備手法などについて、引き続き調査を進めてまいります。

○青木委員 ちょっとここで、同じ物流でも、視点を変えて、中央卸売市場のことについて伺っておきたいと思うんですが、近年は相対取引による量販店向けの取引が進む中で、中央卸売市場が、物流の拠点としての役割が大きくなってきたと思います。
 東京の中央卸売市場の多くは、施設が残念ながら狭隘化しておりまして、また、コールドチェーンへの対応もおくれていると思います。
 産地から冷蔵車や保冷車がどんどんどんどん新鮮な食料品を運んでくる。それに対応する温度管理施設や荷さばきの施設などの整備を進めて、物流の効率化を図る。血をどんどん流していくということが求められていると思いますが、現在のこの市場における現状、そして今後の対応について伺いたいと思います。

○碇山中央卸売市場長 コールドチェーンの対応など生鮮食料品の流通環境の変化に対応しました施設整備でございますが、鋭意これは進めているところでございますが、なお十分といえない状況にありまして、今回都が策定いたしました第七次卸売市場整備計画におきまして、流通の効率化や、これらの変化に対応しました施設整備を重点的に行うこととしております。
 このため、各市場の卸売場の低温化など、さらにこれを促進するとともに、このたび新たに創設いたしました民活型土地利用システムなどの多様な整備手法を駆使しまして、一層の物流の効率化に努めていく考えでございます。

○青木委員 この問題の最後になるので、知事にちょっと伺いたいんですが、今、幾つか物流について伺ったんですが、何局か答弁をされました。国でも、この物流という問題についていえば、国土交通省であったりとか、それから経済産業省という、いろいろなセクションにまたがっていると思います。
 東京都も、今お答えいただいた局のほかに、産業労働局とか環境局とか建設局とか、これはいろいろな局にまたがったマターだと思います。東京都は、これらの局が連携して物流施策全体をコーディネートしていく役割を果たしていかなければならないと思います。そのためには、核となる部署が必要ですし、オーケストラでいえば指揮者、コンダクターというんでしょうか、その全体を見渡す目が私は必要だというふうに思います。
 そこで、知事は運輸大臣もご経験をされておりますので、今後の東京のみならず日本の物流施策全般についてのご所見を伺いたいと思います。

○石原知事 かつて三木内閣のときに、社会党と共産党が主導しまして、スト権ストというばかなストライキを十日間やりました。これは、それで致命的な打撃を要するに物価に与えて(傍聴席にて発言する者あり)あんな発言させていいのか、何者か知らぬけれども。日本の物価を流通を混乱させることで上昇させて、政治的インパクトを与えようとしましたが、案に反して、トラックがこれを引き受けまして、物価は一銭も上がりませんでした。
 以来、日本の物流というのは列車からトラックにシフトされまして今日に至った感がございます。もちろん、JRが貨物で運んでいる量もかなり多うございますけれども、しかし、主なる物流というのはトラックが担っている。
 しかし、そういう状況を踏まえながら、我が国の物流は惨たんたる状況でありまして、高コスト構造の典型ともいえます。しかも、その問題がこの東京を中心とした首都圏に先鋭的にあらわれております。
 この原因としてはもう、ご指摘のように、道路の不整備、あるいは空港、港湾の不整備、そして、それを結ぶ内陸交通の連絡の悪さなどがございますが、いずれにしろ、円滑な物流は我が国の経済構造改革の重要な柱でありました。
 本来は国が解決しなければならない問題でありますが、これについても、相変わらず国の対応が遅うございまして、国と協力しなくちゃいけない事業、たくさんございますけれども、例えば、東京に致命的な欠陥として存在している外環道路の一刻も早い整備などは、やはりこういった問題の解決に不可欠だと思っております。
 今後も、物流対策強化に向け、国に強く要望していくとともに、都みずからもその問題の解決に当たっていきたいと思います。

○青木委員 ありがとうございました。
 それでは、三点目なんですが、市町村合併について伺いたいと思います。
 この問題についても、過日、我が党の和田副委員長から質問がありまして、総務局長の方から、この合併特例法は合併の決め手にはならないという趣旨の見解が示されたように私も聞いておりましたが、であるならば、どのような支援策が具体的に必要なのか。また、合併特例法が不十分であるならば、都がみずから具体的な施策を打ち出す。また、あるいは国に、今の知事ではありませんが、どんどん提案をしていくということが必要ではないかと思いますが、こういった点について最初に伺っておきたいと思います。

○大関総務局長 現在の合併特例法は、合併に伴って生ずる一時的な経費の増加への対応措置や、議員の定数、任期に関する特例などの対応策を基本としておりますために、比較的財政力に恵まれております都内の市町村にとりましては、財政的なインセンティブが働かず、そうした点から抜本的な決め手にならない、こういう意味で申し上げました。
 やはり市町村合併の推進のためには、財政的なメリットあるいはデメリットがよく見えるよう国が対策を講ずる必要があり、このことを国に対し、機会をとらえ提案、要求してまいります。

○青木委員 ここに新聞記事がありまして、福生、羽村それから瑞穂と、二つの市、一つの町の合併に関する記事なんですが、合併に向けたこういう動きがあるというようなことですが、このような機会をとらえて都として働きかけや支援を行っていくべきだと思いますが、二点目、このことをちょっとお尋ねをしたいと思います。

○大関総務局長 お話の三市町で合併に向けた動きが見られることは承知してございます。その中で、福生、羽村の両市長は、平成十四年第一回定例会におきまして、市町村合併について、市民の意向を踏まえつつ検討していきたい旨の発言をしております。
 都といたしましては、このような両市の自主的な検討が何よりも重要であると考えておりまして、今後とも、こうした動きを機敏にとらえ、合併が促進できるよう、情報提供や助言あるいは必要な支援を行ってまいります。

○青木委員 今のご答弁で、情報提供、助言というようなことだと、何となく、率直にいって非常に具体性に欠けるのかなという感じがいたしております。
 この間の質疑もあわせて、もう一回、確認というか伺っておきたいんですが、東京都としては積極的な合併を進めるという決意があるということなんでしょうか。もう一回確認をさせていただきたいと思います。
 それから、あわせて、もし、その市区町村合併にかわる多摩の市町村の将来のあり方について、何か見解をお持ちならば、これもあわせて伺っておきたいと思います。

○大関総務局長 本来、市町村は、住民に対して第一義的に責任を果たす基礎的自治体といたしまして、例えば、清掃事業一つとりましても、自己完結的な行財政運営を行っていくことが求められているわけでございます。
 しかしながら、多摩の市町村を見てみますと、いわば急速な人口増、このことによりまして、村が町になり、町が市になってきたという歴史的な経緯があるわけでございます。いわば、必ずしもそうした自己完結的な要請にこたえ切れていないのが実情であろうかと思っております。
 今後、地方分権が進展する中で、行財政基盤の強化や広域的課題への対応能力の向上などを図る必要がございまして、市町村合併はそのための有効な選択肢の一つとして、各市町村において積極的に検討されるものと考えております。
 都といたしましても、あらゆる機会をとらえまして、市町村の合併の促進に努めてまいります。

○青木委員 それでは、四点目なんですが、青少年の健全育成と、これに関連して、知事が提唱されております心の東京革命について数点伺いたいと思います。
 青少年の健全育成のとらえ方というのは、よって立つ立場によってそれぞれ違うかと思うんですが、私は、知事が施政方針で述べられた、自明の原理として共有してきた社会の規範を守れる人間を育てていく、これは最低限の共通認識だというふうに思っております。
 若干私ごとで恐縮なんですが、私もかつて学習塾を経営していたことがありまして、黒板で一生懸命子どもに勉強を教えていたことがあるんですね。知識としては、子どもに勉強を教えることはできるわけですが、残念ながら、社会の規範をどう守っていくかといったようなことは、塾でも教えられることはなかなか少ないし、学校の教育の場でも少ないというのが、私、率直な感じ、感想でございます。
 私は、今四十六歳でございまして、あと三日後、三月二十九日が誕生日で四十七歳になるんですが、率直にいって私が最後のジェネレーションになるんだと思うんですが、今思い出してみると、子どものときに路地裏で、同じ学年のみならず、その下の世代、上の世代なんかと一緒に缶けりをやったり、隠れんぼやったり、鬼ごっこをやる。実は、三日ほど前に子どもを連れてこどもの城に行ってきたら、コンクリートの中で鬼ごっこをやりましょうというような、そんなスペースがあった。時代が変わったなという感じがしているんですが、そうやって群れて遊ぶ、それからまた、違う年代とも遊ぶということをやってまいりました。
 こういうことがあったんですね。こういうことを子どものルールでつくっていました。自分たちよりも小さい年代の子どもに対しては、みそっかすという表現、これは差別用語なのかちょっとわかりませんが、みそっかすといって、おまえはまだ小さいから鬼にならなくてもいいよとか、駆けっこもそんな遠くまで逃げなくてもいいよとかいうことで、暗黙のルールをつくっておりました。知事の言葉でいけば、社会の規範、そういったものを自然に一定のルールとして群れて遊ぶ、また、それぞれ幅広い年代のジェネレーションが一緒になって遊ぶということで形づくってきたわけだと思います。
 ただ、残念ながら、少子化もさることながら、私は目黒ですけれども、遊んだ路地裏はもうほとんどなくなってしまって、原っぱや、それからいろいろなところはすべてマンションに変わっていて、群れて遊ぶということ自身、また、少子化ですから、年齢が違う子どもと遊ぶなんていうことは、もうこれは夢のまた夢ということになってくると思います。
 ですから、これは本当は自然にでき上がるものですけれども、そういう客観条件からいくならば、こういった群れて遊ぶ、それからまた幅広い年齢の子どもたちと遊ぶという機会を、残念ながら、つくっていくということしかない、こんなように考えていますけれども、このことについてはお考えはいかがでしょうか。

○高橋生活文化局長 先生ご指摘のように、子どもたちは、異なる年齢の集団の中での遊びや触れ合い、競い合いを通じて物事の達成感を味わい、我慢することなどの基本的ルールを身につけていくものであります。
 しかし、ご指摘のとおり、少子化の影響や子どもの遊びが変化し、屋内での遊びがふえている中では、大人が意識的に交流の場をつくり出していくことが必要であり、心の東京革命行動プランにおきましても、地域に期待することとして、群れ遊びを復活させようと提起し、その重要性を訴えるとともに、地域の具体的事業化を進めようとしております。

○青木委員 四月から学校週五日制がスタートしていくわけですが、休みがふえるということが、私、さっき、塾をやっていたといって、何か自己否定になってしまうんですが、塾とかそういうところにどんどん通うことがふえてしまうということであれば、何のために導入したか、全く主客転倒になってしまうことだと思います。
 その心の東京革命を推進するという面からも、子どもたちにいろいろな体験や経験をさせるために、新しく生み出された時間を地域ぐるみで有効に活用できるような支援を、私は東京都も考えていくべきではないかと思いますけれども、この点についてお考えを伺いたいと思います。

○高橋生活文化局長 心の東京革命では、地域のさまざまな団体や学校が行う活動の中でも、特に、子どもだけでなく、その親や近隣の大人が協力し合う先駆的な地域ぐるみの活動を、心の東京革命推進モデルとして指定してまいりました。
 その一例といたしましては、町会や地元商店街の人々が協力し、子どもたちが町会会館から学校に通学し、商店街で商業体験をする合宿通学、それから、校庭にテントを張り、小学生が中学生や高校生と食事づくりや演奏活動などを一緒にする子どもキャンプなどがございます。
 このような異なる年齢の子どもたちが交流するモデルを、事例集の作成や発表会を通じて数多くの都民に伝え、子どもたちの実体験を充実させる取り組みを、都内全域に拡大してまいりたいと考えております。
 この中で、学校週五日制により生まれる余暇時間の活用も図られると考えております。

○青木委員 今、ご答弁いただいたように心の東京革命推進モデル事業等々で、子どもたちにいろいろな体験や、場づくりに今取り組んでいるということは評価をするわけですけれども、肝心なことは、そこに参加をする人はいいわけですけれども、参加をしない、また、いろいろな理由で参加ができないといった、そういった子どもたちにどうアプローチしていくかというのは非常に重要なことで、それが欠落していれば、これは運動としてはどんどん展開をしていかないことになってしまうわけですから、その辺、非常に重要な問題だと思いますが、あとから啓発活動等にも関連してくるんですが、その辺どういうふうにお考えになっているんでしょうか。

○高橋生活文化局長 率直に申し上げまして、幾ら呼びかけても活動に参加しない、あるいは時間の都合などで参加できない方々にこそ、積極的に運動に加わってほしいと願っております。
 そのためには、身近な地域で、一過性でなく継続的な事業としてさまざまな活動や場を提供すること、それから、活動内容を周知するさらなる努力が必要かと思います。また、なかなか参加しない人に対して、ご近所同士で声をかけ合い、気軽に参加できる事業内容等も必要かと考えております。
 今後、第三土曜日の家族ふれあいの日に、家族で汗を流せる事業を拡充したり、区市町村や地域の活動団体等が行う事業を支援する心の東京革命地域いきいき事業というのを来年度から推進してまいりますが、そうした事業等を通じて、子どもたちにさまざまな体験、経験をさせることができる機会を多く提供するよう、積極的に働きかけてまいります。

○青木委員 今のことにも関連してくるんですけれども、心の東京革命の普及啓発体制というのは、現在どういうふうになっているのか、私なかなか見えてこないものですから、この際、ちょっと伺っておきたいと思います。

○高橋生活文化局長 心の東京革命の推進に当たりましては、行政というよりも、家庭、学校、地域が行動主体となって、都民一人一人が積極的にかかわっていただくことが不可欠であります。
 そのため、民間団体や企業等が中心となって、推進協議会というものを設置しまして、現在、ボーイスカウトなど百八十を超える団体や約二千六百人の個人の方が、会員としてこの運動に参加しております。
 東京都は、こうした都民の行動を側面から支援し、運動の母体である推進協議会と連携して、ホームページの開設や会報の発行、それから、会員団体などが事業を集中的に行う推進キャンペーン、それから、区市町村と協力した街頭キャンペーンなどにより、普及啓発を今後ますます図っていきたいと思います。

○青木委員 今、推進協議会があって、いろいろな活動をされているということなんですが、私もきょう質問するので、周囲に、心の東京革命って知っているかと聞いてみたんですが、大変知事には申しわけないですが、ほとんどの方が知らないというのが率直な意見でした。
 私は、例えばバッジですか、個人会員でバッジをつけるというようなことのようですけれども、私も都議会に戻って九カ月ぐらいで、なかなか知事ともお会いする機会がないんですけれども、知事もバッジをつけていた姿を、まあどこかでつけていたのかわかりませんけれども、ほとんど見たこともありませんし、横山さんはつけられているんでしょうが、ほかの三役の方々もつけられていないし、今委員会室にいる方もほとんどつけてないんだと思うんですね。
 たまたま私いただいた「心の東京革命」というところで、多湖輝さんと創刊号で知事が対談をされているときには、小さくてよくわからないんですが、バッジをつけていたようなものも出ていましたが、一つの事例でいえば、バッジだけですべてがいえるわけではないんですが、バッジもこんなような、失礼だけれども、大変お寒い状況かなという感じがしております。
 あわせて、こういった会報も、これもまちの中にどういうところに配られているかも含めて、三回ぐらい出ているということでありますけれども、一つ一つ個別のことはおいておいて、とにかく私は率直にいって、これもPRが非常に足らないなと。
 今、民間の多くの方々もともに、オール都庁としての運動体だということですし、非常に大きな、知事も力を入れている割には--何も僕は毎日知事にバッジをつけてくださいということではないわけですけれども、非常にPRが足らないなという感じがしておりますけれども、この辺、ちょっとお伺いしておきたいと思います。

○高橋生活文化局長 心の東京革命、なかなか浸透していないというお話ですけれども、初期には、大きなイベント等、五千人の集会等をやったり、いろいろしてまいりましたが、現段階では、心の東京革命の、先ほどもちょっと申し上げましたように、単なるキャンペーンではなくて、少しずつ事業化をしようということで、先ほどのいきいき事業の話であるとか等を事業化しようとしております。
 その過程の中で、地道な事業化の過程の中で、逆にPRの方が少し十分ではないということだと思います。私どもとしても、厳しいご批判を受けて、十分これからやっていきたいと思っていますが、具体的な事業展開をいろいろしようと思っておりまして、来年度から、例えば、しつけを考える本「あいうえいくじ」というのを活用して、子育てのコツなどを伝える心の東京塾を百カ所以上で開催するほか、保護者が幼稚園や保育園などでのしつけの方法を学べるようにするなど、継続的な事業を進める仕組みづくりに力を注いでおります。
 今後、それと並行いたしまして、身近な地域で子どもたちの体験学習に協力しようを統一テーマとする大キャンペーンを展開するなど、一層の普及啓発にも努めてまいりたいと思います。さらに、テレビや「広報東京都」など都の広報媒体を活用し、都民の理解と参加を強く呼びかけてまいりたいと思います。

○青木委員 ぜひ多くの方が--私もまだバッジを買っていませんからあれなんですが、ぜひPR、一層頑張っていただきたいと思います。
 次の、心の東京革命について伺いたいと思うんですが、知事の提唱する心の東京革命は、青少年の規範となるべき、大人も含めた啓発運動というふうに私は思っております。多くの大人がこの運動に直接参加し子どもの育成にかかわることが大事であって、また、具体的な仕掛けもこれは必要になってくると思いますが、この辺のことも伺っておきたいと思います。

○高橋生活文化局長 心の東京革命は、子育ての責任者である親が子どものしつけをきちんとできるようにすることを目指しております。しかし、昨今の若い親自身には十分な子育ての力がない場合もあったり、あるいは親への子育て支援と同時に、周囲の大人による子どもへの働きかけが不可欠だろうと考えております。
 そのため、社会の役に立ちたいと考えている都民の方が、実際に地域で活動することが重要であり、その核となる人を育てることから始めることが必要であると考えております。
 このため、この運動に賛同し、子どもの育成活動に意欲のある方をアドバイザーとして既に養成を開始しておりますが、都内全域で普及活動やしつけなどの子育て講座を行うチーフアドバイザーの養成、それから、個々の区市町村で活動する地域アドバイザーの養成にも四つの区市で着手し、来年度以降、三カ年で都内全域に拡大したいと考えております。
 今後、その活動を通じて、地域の大人たちの運動への理解と参加を求め、社会全体の運動としてまいりたいというふうに思っております。

○青木委員 今お話のあった非常に重要なことは、核になる人ということですか、アドバイザーということ、一つ大事だと思うんですが、そういった方が、こういった運動というのは、えてして非常に偏ったことになって、マニアックな人が集まってしまったら、これは逆の効果になりますから、ぜひその点はご留意をして進めていただきたいと思います。
 過日この委員会でも、引きこもりの問題も含めて、子どもの教育、しつけの問題も出ましたが、知事の方から、これは親の問題として一刀両断にされてしまったわけなんですけれども、資源のない日本においては、日本の将来を担うのはもう子どもに尽きるわけでありまして、その子どもを健全に育つような環境を整えることが、大人全員の大きな責務、責任だというふうに思います。
 また、知事の言葉をかりていうならば、大人の責任については、昨年の知事の著書、「いま魂の教育」でしょうか、この中で、キリスト教の伝道者の賀川豊彦さんの著作を引用して、ちょっと長いんですけれども、読み上げさせてもらいますと、私たち大人は、たとえ他人の子どもだろうと、社会人として未熟な彼らを社会の先輩として、時にしかる責任があると述べていらっしゃいます。私も三人の子どもがいるわけですけれども、非常に身につまされることだと思います。
 また、一方では、知事が「青年の樹」という著書の中で、括弧づきの好青年だけを育てても意味がないというようなことを、その本の中である人にいわせているような場面もあるわけですが、こういったこと。
 それから、先ほどのPR等の問題も含めて、非常に大きな知事が掲げている運動でありますので、この問題の最後として、知事にこの心の東京革命の今後のご決意を改めて伺いたいと思います。

○石原知事 心の東京革命というロゴは都庁のスタッフの発明でありまして、ちと大げさな感じもしないでもございませんが、いずれにしろ、今引用されましたように、賀川豊彦がいっていました、子どもにはしかられる権利があるということは、翻せば大人には彼らをしかる責任がある。
 昔は、知らない人にもよくしかられたものですけど、このごろはもうそういう習慣がなくなりまして。ごくごく昔、当たり前なこととして通っていた、しかもそれが実は子どもたちを最低限の意味での健全な大人に育てていく大きなよすがになり得た社会的な習慣というのを取り戻そうということで、具体的に何をすべきかということは、六つですか、五つですか、ごくごく当たり前なマニュアルとしてまとめて皆さんにお話ししているわけですけれども。
 これは、やはり私はもともとバッジって嫌いで、議員のときもつけずにいて怒られたものですが、みんなが、都民全員がバッジをつけて済むものでもありませんし、やはり、さりげないときにさりげなく大人の責任で子どもたちをたしなめる。
 それは、実に石原さん、よくわかるんだけど、このごろ怖いと。うっかり注意すると逆に刺されたりするって、確かにそういう風潮があるんですね。だから、しかるときは数人でしかっていただくとか、とにかくそういう習慣というものがもう一回よみがえってこないと、大人も子どもも背中向け合ったまま、それぞれ孤独に、特に子どもは、何かよくわからんままに社会に放り出されてまごまごするということになるんじゃないかという気がいたします。
 いずれにしろ、これは膨大な予算をつけて、たくさん肝いりの行事を都が主催してかなうものでもございませんし、私が主唱すると非常に大げさなことになりますが、かねがね子弟の教育育成には関心もありましたが。いずれにしろ、都は都の責任で、そういう一つのいい意味の風潮をできるだけ多角的に手を尽くして育てていきたいと、そういうことを念じているわけであります。

○青木委員 ありがとうございました。
 それでは、続いて、精神障害者社会復帰対策について何点か伺いたいと思います。
 精神障害者は、平成五年の障害者基本法で身体障害者、それから知的障害者と同様に福祉施策の対象となったわけですが、残念ながら各福祉サービスの面ではまだまだ立ちおくれているなということが否めないことだというふうに思います。
 精神障害者福祉施策の大きな課題は、精神障害者の社会復帰を促進し、その自立と社会参加を実現することにあると思います。しかし、精神障害者の社会復帰の受け皿となるべき、これから何点か伺いますが、その社会復帰施設は、その施設が非常に偏在をしていると。あわせて、まだ量的な不足が問題となっております。この精神障害者の社会復帰についての取り組みに非常に熱心な地域と、そうでない地域との格差が非常に著しいという特徴もあります。
 平成十四年度から精神障害者の福祉事業は、区市町村、身近な自治体が行っていくことになってくるわけであります。私の住む目黒区には、共同作業所及び小規模な授産施設、それぞれ二カ所とグループホーム一カ所があります。地域の支援体制を進めているところでありますが、さらに地域で生活する精神障害者の日常生活の支援、相談の対応や地域交流の場となる地域生活支援センターなどの整備を計画的に進める必要があると考えます。
 以下、この精神障害者社会復帰施設の整備のありようについて伺っておきたいと思います。
 まず最初に、精神障害者社会復帰施設の整備については、東京構想二〇〇〇推進プランの三カ年計画では、十四年度の整備施設数は通所授産施設で二カ所、小規模な通所授産施設で七カ所など整備することになっておりますけれども、この精神障害者社会復帰施設整備にかかわる十四年度予算は予定どおり措置されているのか、まず最初にこの問題から伺いたいと思います。

○今村衛生局長 精神障害者社会復帰施設につきましては、昨年取りまとめました精神障害者社会復帰施設あり方検討会報告の方向性を踏まえるとともに、東京構想二〇〇〇の三カ年推進プランに基づき、整備を進めております。
 平成十四年度は、グループホーム、通所授産施設、地域生活支援センターについては計画どおりに、また小規模通所授産施設につきましては計画を十三カ所上回る二十カ所に対しまして新たに補助を開始する予定であります。

○青木委員 都では、社会復帰施設の整備を精神障害者社会復帰施設あり方検討会の報告に基づいて推進をするとのことですけれども、社会復帰施設のうち、今お答えいただいたグループホーム以外にも、生活の場、活動の場としての施設があるわけですが、その役割は地域社会への復帰にとって極めて重要なものでありますが、この十四年度の整備計画がどのようになっているか、お伺いしたいと思います。

○今村衛生局長 平成十四年度は、生活の場では生活訓練施設と福祉ホームをそれぞれ二カ所、また活動の場では共同作業所三カ所の新規補助を行うこととしておりまして、都では計画的な整備により社会復帰施設の充実を図っておるところでございます。

○青木委員 精神障害者社会復帰施設あり方検討会の精神障害者社会復帰施設の今後のあり方の中間のまとめの中の試算で、今お話しした活動の場の充足率が六七・五%と、それから生活の場の充足率が一一%となっており、特に、生活の場においての充足率が著しく低いという指摘がされております。
 現在も着実に施策を進めておられるようですけれども、今後とも、総体としてこの充足率のアップ、向上にぜひ努めていただきたいというふうに思います。
 それで、この問題の最後の質問であります。今るる私は量的な確保をお話をしてきましたが、当然それのコインの裏返しということで、施設が提供するサービスの質の確保も、これは重要なことと考えられます。東京都は、このサービスの質の確保についてどのように考え、また取り組む予定なのかを、この問題の最後として伺っておきたいと思います。

○今村衛生局長 ご指摘のように、社会復帰施設の量的確保とあわせまして、施設が提供するサービスの質の確保も重要と考えております。
 平成十二年六月の社会福祉法の改正に伴いまして規制緩和が図られまして、量的にはだんだん確保がいっておるんですが、さきに申し上げた検討会報告ではサービス評価の必要性が提言されておりまして、これを踏まえまして、平成十四年度は社会復帰施設等の評価基準を策定しまして、自己評価と、それに基づく専門家などによる第三者評価のモデル事業を実施し、質の確保も図ってまいりたいと考えております。

○青木委員 精神障害者の社会復帰、自立は、質問の中でもるるお話を申し上げてきましたけれども、安心して生活し、働ける場があってこそだというふうに思います。これらの生活の場、活動の場をしっかりと確保し、社会復帰を一層促進することによって、社会的な入院も減っていくと。QOL、クオリティー・オブ・ライフの向上にもつながっていくと考えられます。
 冒頭私も触れましたが、精神障害者が地域の中で安心して生活するために必要な福祉サービスが身近な地域の中で提供されるよう、計画的に社会復帰施設の量的整備、そしてまた質的な充実を図りながら、バランスのとれた施設整備が行われていくことを要望して、次の質問に入りたいと思います。
 次の質問は、都営住宅の管理問題についてお伺いをしたいと思います。
 住宅マスタープランの中でも、都営住宅の管理制度の抜本的な改革が掲げられておりまして、昨年の秋、私どもも賛成いたしましたが、期限つき入居制度が導入されました。これは特定都営住宅でありますけれども、これからは一般的な都営住宅へも本格的に導入されていくことを私どもも望んでおります。
 また、石原知事は先般の所信表明の中で、都営住宅の使用承継制度についても見直しの発言をされました。先ほどの比留間副委員長の質疑の中でも、使用承継が四千件あるというふうなご答弁もあったわけですが、早速、収入超過の使用承継を認めないこと、それから三親等から一親等にというふうに条件を変えたというような規則改正も行われておりまして、若干遅いのかなという感じはいたしておりますけれども、まず一歩進んだということで私どもも評価をいたしております。
 ただ、まだまだ都営住宅の入居者には、高級な外車を乗り回しているみたいだ、またどうも別に家を持っているみたいだというような、こういった声が率直にいって私の周囲などにも非常に多くあって、これは私は否定できない事実ではないかなというふうにも思っております。いわば、こういった不適正使用をしていることへの対策としては、資産の把握も含めた新たな入居基準の設定など、まだまだ多くの課題があると思います。
 また、今いった管理制度ということをこれから進めていただくわけですが、あわせてここで伺いたいのは、居住者の実態について、これも都民の中には不満、それからどうも不公平ではないかという、これも厳然たる声、事実がございます。
 そういった点で、都営住宅居住者の家賃の滞納や家賃の減免について何点か伺いたいと思いますが、十一年、十二年の滞納額、そして十三年度の見込みを伺っておきたいと思います。

○橋本住宅局長 都営住宅家賃の滞納額でございますが、十一年度が五十七億円、十二年度が五十四億円、十三年度は四十七億円と見込んでおります。

○青木委員 次第に十一年、十二年と減少しているわけですが、滞納の解消に向けてどのように取り組みが行われているのか。それからまた、その取り組みの中で、どういったことが、何が効果があったと考えられますか、この点、伺いたいと思います。

○橋本住宅局長 滞納の解消に向けましては、滞納発生の予防策といたしまして、居住者向け広報誌等による意識啓発、滞納の早期解消対策といたしまして、外勤嘱託員等によります納付指導の強化や、さらに管理職によります一斉電話催告、そして最終処理といたしまして強制執行等の法的措置の強化などに取り組んでおります。
 このうち最も効果があったのは、法的措置を強化したことであると考えております。この法的措置は、十一年度が一千三十五件、十二年度が二千十二件、十三年度は約二千六百件と見込んでおります。

○青木委員 今それぞれ数字を挙げていただいて、私も同じ数字を繰り返す必要がありませんので、ぜひ今後も滞納の解消に向けて頑張っていただきたいというふうに思います。
 それで、この都営住宅の家賃減免制度については、十二年度に、民間の賃貸住宅に居住している都民との公平を確保するために、家賃の免除を原則廃止をしたと。また、減免後の負担の額を定額方式から定率方式に見直したというふうにも聞いております。
 こういった減免制度の見直しや、それからまた、先ほど答弁のあった滞納解消に向けての取り組みを行った結果、どういった効果があったんでしょうか、伺っておきたいと思います。

○橋本住宅局長 家賃の減免を受けている世帯は、十三年度は約五万八千世帯でございます。減免制度の見直しによる効果は、十三年度は前年度に比べまして三十二億円程度、また滞納につきましては、先ほど申し上げたとおり七億円の縮減を見込んでおります。家賃減免制度の見直し及び滞納整理の両方で約四十億円の縮減となります。
 こうした取り組みによりまして、右肩上がりの傾向にございました減免額や滞納額をそれぞれ減少傾向に転じさせたことは、都営住宅の経営上、大きな効果があったものと考えております。

○青木委員 都営住宅、二十六万戸あるというふうにいわれておりますけれども、この二十六万戸、そこの二十六万世帯だけの方々の財産でないわけでございまして、これは一千二百万東京都民の文字どおり税金でつくられていると。もしかしたら、私の税金の一部がそのどこかのくぎの一本ぐらいになっているかというようなことで、一千二百万の東京都民の共有の財産だという、この認識がまず一番大事だというふうに思います。
 そのためにも、知事がこの予算特別委員会の中でも、今後積極的に管理制度の改革を進めていくと、過日の委員会での質疑、またきょうの先ほどの比留間副委員長の質疑でもそういったご答弁がありました。また同時に、今私が何点か質問した、特にその中で、滞納の解消など日常の業務をきちんと厳正に執行していくということも、極めて私は大事な--今四十億という数字も挙がっておりましたが、大事なことだというふうに思っております。
 私は、一つは、都営住宅が特別会計化されたということは、これはとりもなおさず効率的な運営が都営住宅の施策にも反映される、要求がされるということだと思うんですね。その視点が一つ。もう一つは、今私がお話しした、この二十六万戸の都営住宅の財産というのは、文字どおり一千二百万東京都民の財産だという、この視点。私は、この二つの視点がこれからの--これからというか、今までも必要であった観点だというふうに思いますが、最後に局長に、この都営住宅、私は二つ今お話を申し上げたわけですが、どういった取り組みの施策を進めていくのか、都営住宅に関しての局長の決意を最後に伺って、私の締めくくりの質疑を終わらせていただきたいと思います。よろしくお願いします。

○橋本住宅局長 平成十四年度から都営住宅等事業会計を設置する予定でございますが、これからの都営住宅事業につきましては、費用対効果など、より経営的視点を強化する必要があると考えております。
 ただいま理事からご指摘ございましたように、具体的には滞納整理の一層の強化やコスト削減等によります経費節減に努めるとともに、まさに都民共有の財産でございます都営住宅を適正に管理し、都民の理解と支持が得られるよう精いっぱい努めてまいります。

○和田副委員長 青木英二理事の発言は終わりました。

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