東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○星野委員長 ちょっと時計をとめてください。
 ただいま、田島和明理事より関連質疑の申し出がありました。
 本件は、予算特別委員会実施要領第七項の規定に基づき、質疑委員の持ち時間の範囲内で認めることになっております。
 それでは、田島和明理事の関連質疑を認めます。
 計測を始めて。

○田島委員 この際、各会派の理事にお願い申し上げます。
 副委員長よりいただいた時間内できっちりおさめますので、ぜひお許しを願いたいと思います。よろしくお願いします。
 いろいろ質疑がありましたけれども、質問の通告にはなかったんですが、まず初めに濱渦副知事にちょっと私はお聞きしたいんですが、アメリカ経済の立て役者、ロバート・ルービンという人が、ウオールストリートの実力者でもあったし、ホワイトハウスに入った、いうなら民間から官の立場に入ってきたことについてどう思われるか、答弁をいただきたいと思います。

○濱渦副知事 それぞれの議会あるいはそれぞれの政治には、それぞれの方法があろうかと思っております。

○田島委員 私がこの質問をしたのは、いわゆる、何か事を本気になってやるときには、濱渦副知事がそうだということじゃなくて、多少人生寄り道をしてきたような人の方が、むしろ、一つの変化も判断も決断もできるのではないかという期待感を持って今質問したわけなんですけれども、できれば、そういう意味から、もう一回答弁いただければありがたいと思います。

○濱渦副知事 ただいまお答えしたとおりでございますが、なお、この場を変えてご質問があるんだったら、それはそれでお答え申し上げたいと思いますが。

○田島委員 今、答弁ありましたけれども、それでは、各局の質問に入っていく前に、少し私の考えをいわせていただいて、その後、各局の質問に入っていこうと思います。
 今回の予算質疑の中で、江戸幕府、徳川の時代の話がよく出てきましたけれども、私が思うに、当時の中央集権体制ですか、もちろん、今の時代の中において人質的なことはないにしても、当時の中央集権体制がいまだに残っているのではないか、そういう思いがあります。
 例えばの話、国から都道府県、都道府県から市町村と、多くのお役人が入っています。例えば都道府県においては、部長クラスの要職に約五〇%を超える人たちが入っている、こういう現実の中で、本当に地方分権というものを今後の中でやっていく上について、相当の難しさがあるんじゃないかと。
 なぜかといえば、当然地方には、地方交付税初め補助金、相当の予算措置、いうならば政府予算の約五分の二、これが地方にお金として入っている。こういう現実の中で、真に地方分権を今後の中で貫いていこうと思えば、よほどの確たる心構えと、それは政治家にも、そういう気持ちと思いを思わなきゃならない一つ例え話があります。
 昭和五十七年ですか、老人保健法が成立されましたけれども、この老人保健法が成立するについて、当時、医療の立場から、お医者さんの立場から、岩手県の過疎地を、このままではだんだん過疎化が進んで、しまいには若い人はみんな東京へ行っちゃうと。そういう状況の中で、何とかより実効性の高い、老人総合保健医療事業対策本部なる、当時の厚生省が、えらい長い名前だけれども、百三十七の市町村に、ぜひ実効性の高いこれからの老人対策を考えていきたいということで、レポートを出してくれと。上がったレポートはただの一つもなし。こういうことを考えたときに、地方にもある部分、責任はあるのではないか、こういう思いすらします。
 今後の中において、この日本の国を東京から変えるという言葉に私は非常に期待感を持っています。この東京都から変えるという言葉の上においては、ぜひ、今の話じゃないですけれども、もっともっと国に積極的にいうべきことはいって、変えるべきことは変えていただかないと、とても地方分権なんということは、絵にかいたもちになってしまいそうな気すらします。
 それともう一つ、もしこの日本を東京から変えるというのであるならば、規制緩和も、ある程度の規制緩和をしないと、本当の意味で日本は変わらないんじゃないか。
 もう一点は税制です。
 きょうも、めったに新聞を見ない私が、たまたま読売新聞を目にしました。財政諮問会議で、会長の小泉氏を先頭に日本の税制の改革をしますと。どうも、その言葉には大きく期待感を持つんだけれども、結果的にはいつもアナウンスだけで、なかなかその姿が見えてこない。小泉首相のことを、あえてとやかくいう気はありませんけれども、よく夕方のニュースで、首相が官邸のところでこう手を上げています。私は、あの手を上げている姿を見て、どこかでだれかが、右を上げろ、左を上げろといってやしないか、こんな思いすらしています。
 ぜひ、政治が、三権分立の中で、立法府の立場として責任持ってやろうというのであるならば、むしろこの東京都議会、我が自由民主党が先頭に立って東京から日本を変える、このくらいの気概がなくして日本は変わらないと私は思っています。
 それともう一つは、先ほど、いきなり濱渦副知事にアメリカ経済のロバート・ルービンの話をして申しわけなく思うけれども、私はなぜその話を出したかというと、官と民の境が余りにもあり過ぎる。むしろ民から官に、官から民に、先ほどの衛生局の、我が党の比留間副委員長の質疑のやりとりの中に、非常に評価できるやりとりがありました。
 TLOですか、今後、官民一体となって開発をしていく、むしろこれが規制緩和の第一歩になるのではないかという期待感すら持っています。ぜひ、これは波及効果、ほかの局も含めてやっていただきたい、こう願っております。
 あるいはまた、東京都にしても政府にしてもそうでしょうけれども、自然科学を初めとする、各政府、東京都が研究をしているものの中には、民間が非常に高く評価しているものがあると思われます。この高く評価されているソフト等は、むしろ、先ほどいろいろ話が出ましたけれども、知的所有権として、事によったら民間に売却してもいいんじゃないかという思いすらします。財政的な面を考えてみても、どんどん官民一体の、これからは考え方と開発を進めていただきたい、これも要望しておきます。
 そこで、二つ、三つちょっと例を挙げますけれども、松下グループの一番責任者である松下幸之助さんが北京に行った際に、中国の鄧小平氏が、日本は既に共産主義になっているといったとかいわないとかの話があります。甚だそういう話というのは情けない話だし、そしてまた、こういうことを考えたときに、そろそろ本気になって、いわゆる政・官・財、鉄のトライアングルといわれたこのそれぞれの立場の人たちが必死になって日本を変えていこうとしないと、日本の国は変わらないと思います。
 この辺から、それぞれの各局の質問をしていきますけれども、冒頭、何か私流のいろいろな話を出しましたけれども、その辺のことを含めて、知事初め局長の答弁をよろしくお願いします。
 まず、都市基盤の整備に関連し、環境アセスメントについて伺います。
 昭和五十六年に、都は全国に先駆けて環境影響評価制度を条例として定め、都市環境の維持、改善に成果を上げてきたところです。
 現在、計画段階アセスの導入が検討されていると聞いています。都市環境の保全という立場から、このような制度を検討することは意義のあることですが、一方で、民間の創意工夫を十分生かし、都市再生を進めることが、今、東京にとって喫緊の課題となっています。
 こうした観点から見ると、制度発足後二十年以上もたった現在の事業アセス制度そのものを見直すべき時期に来ているのではないでしょうか。
 今定例会における我が党の松本幹事長の代表質問で明らかにしたように、民間事業者は、早期に事業を立ち上げていくためには、都の事業アセスの手続期間が支障となりかねない、高層建築物にかかわる現行の事業アセスの適用要件の改善、手続の簡素合理化、スピードアップが必要といっています。
 そこでお伺いしますが、これまでの事例では、高層建築物のアセスに要する期間はどのくらいかかるのでしょうか。

○赤星環境局長 環境影響評価条例の施行以来、環境影響評価を受理いたしました高層建築物の案件二十三件について見ますと、アセスメント手続に要しました期間は、最短で九カ月、最長で二十三カ月、平均で十三カ月となっております。

○田島委員 都条例のアセスは、市区町村長などからの意見に対する見解書についても、事業者に対し説明会を義務づけているなど、国のアセス法と比べても手続が多く、時間がかかるのではないでしょうか。
 今回の予算委員会では、我が党の佐藤裕彦委員の一般質問に対し、都市再生にかかわる高層建築物の予測評価を標準化するとの前向きの答弁がありました。我が党としては、標準化だけではなく、条例そのものを見直し、公示、説明会開催などの手続簡素化が不可欠と考えます。所見をお伺いします。

○赤星環境局長 まず、高層建築物に係ります事業アセスメントの規模要件でございます高さ百メートルという基準のことでございますが、これは、今後基準を見直した場合、どのような影響があるのか、地域の実態も加味して検討してまいります。
 次に、公聴会や説明会等につきましては、先日、環境影響評価審議会から、計画段階環境影響評価制度の導入等についての中間のまとめが出されたところでございます。
 その中で、事業アセスメントにつきまして、公聴会の内容の充実に合わせた評価書案に係る見解書の説明会及び都民等の意見書に係る手続の簡素化、二百件以上の事業アセスメントの実施により蓄積されたさまざまな知見を活用し、合理的な制度運用を図ることなどに言及されております。今後、最終答申を待って、具体化について早期に検討してまいります。

○田島委員 また、知事は、今定例会における我が党の代表質問に対し、環境アセスメントなどの手続の期間の短縮に努め、民間事業の促進を支援したいとの答弁をされました。知事の認識は、我が党と同じであると思います。都市再生を促進する観点から、よりよいアセス制度の構築に向けての知事の決意を伺います。

○石原知事 二十年前にアセスメント法ができたときに、私、実は環境庁におりまして、あのころは、佐藤内閣の時代に、四日市公害それから水俣といった、非常に無残な固定発生源での公害に住民たちがほとほと本当に懲りて、また、被害感が非常に蔓延しておりまして、環境影響というものを十分に時間かけて審議しようというのは、時代の一つの兆候として是といたしましたが、しかし、今日、大都市で特にいわれている公害というのは、全く種類の違うものでありまして、そういった質的な変化、あるいは形の上での変化というものをしんしゃくしませんと、日々激しい変化をします大都会というもので、アセスメント法が、アセスメントそのものがプロジェクトを逆に妨害するということにもなりかねません。
 そういうことで、アセスメントを決して手抜きをするということじゃなしに、合理的にスピード感を持って進めるということは、非常に大事な課題と認識し直しております。
 同時にまた、良好な環境を確保することも都の責任でもあります。ゆえにも、民間の知恵と努力を引き出して、民間事業者の手による都市の再生を促進するためにも、都は独自の工夫を行いまして、都市再生に関する、特に高層建築物の環境アセスメントや都市計画の手続の期間短縮に努め、民間が手がける事業の促進を支援していきたいと思っております。
 さきの政府の決めました羽田の沖合展開についても、国交省は一年半を上回るアセスメントの期間が必要と、法律を盾にいっておりますけれども、これは、この間、あれを建言して実行に移しました亀井前政調会長に諮りまして、もっと国交省もこのアセスメントを合理的に短縮しろということを強く申し入れましたが、都内においても、都の行政の責任範囲においても、その姿勢で進みたいと思っております。

○田島委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、市街地再開発事業についてお伺いします。
 まず、亀戸・大島・小松川地区再開発事業についてであります。
 ご承知のとおり、本事業は、江東デルタ地帯を大震災から守り、安全で快適な都市環境を整備する目的のもと、全国にも例のない大規模な再開発事業として進められてきました。いよいよ本事業も、本年夏には防災拠点がおおむね完成し、間もなく収束を迎えると聞いております。
 そこで、本事業にこれまでどの程度の歳月と事業費が費やされ、この結果、まちがどのように変わったのか、お尋ねします。

○山下建設局長 亀戸・大島・小松川地区市街地再開発事業につきましては、昭和五十年の都市計画決定以降、二十六年の歳月と約四千六百億円の事業費を投入してまいりました。
 当地区は、かつては木造住宅や工場等が混在密集し、災害に対し極めて脆弱な地域でございました。
 再開発事業の実施によりまして、二十万人が避難できる防災公園など、地区面積百ヘクタールの六割に及ぶオープンスペースの確保、用途の適正配置、建物の完全不燃化など、防災性が飛躍的に向上したところでございます。
 さらに、リバーフロントの景観に恵まれた良質な住宅供給や、都心への交通アクセスの向上により、定住人口が着実に増加し、地域の活力とにぎわいが生まれるなど、安全で快適なまちへと大きく変貌したところでございます。

○田島委員 本事業がこれまでに至ったのは、多くの関係者のご支援と協力があってのことだと思います。
 そこで、この多くの関係者の参加を得て、都としても記念式典を行う意義は極めて大きいものと思います。都も、地元区との連携により、完成イベントを開催したいとの意向のようですが、いつ、どのような方法で行われるか、お答え願います。

○山下建設局長 亀戸・大島・小松川地区防災拠点の整備は、全国でも類を見ない大規模な事業でございまして、ご指摘のとおり、都はもとより地元区にとっても、完成イベント開催の意義は大きいものと考えております。
 このため、防災拠点の完成を祝い、この夏、江東、江戸川両区及び地元住民との連携によりまして、記念式典を初めとする完成イベントを開催したいと考えております。(「具体的にやらなきゃ」と呼ぶ者あり)具体的な内容につきましては、今後、地元区及び住民の代表の方々を交えた実行委員会を設置し、検討してまいります。

○田島委員 その具体的内容なんですけれども、ぜひ、その際に石原知事に参加いただけるよう、この場で要望いたしておきます。
 次に、亀・大・小地区のほか、白鬚西地区、赤羽北地区を含むいわゆる既施行三地区の事業収支の改善状況でございます。
 昨年の第一回定例会における我が党の三宅議員の収支改善に対する一般質問に対し、民間ノウハウの積極的な活用によって事業コストのさらなる縮減を図るなど、収支改善に向けて努力することの答弁をいただきました。その後の取り組み内容と成果について伺います。

○山下建設局長 収支改善に向けまして、民間特定建築者制度の導入による敷地処分の促進を図る一方、分譲住宅の販売に当たりましては、プレセールスによる顧客動向の把握や、銀行による優遇融資制度の創設など、新たな取り組みを行い、収入確保に努めてまいりました。
 これらに加え、建築コストのさらなる圧縮や、都債の発行停止による利子負担の軽減など、事業コストを縮減することとし、その結果、約三百億円の収支が改善される見込みでございます。

○田島委員 厳しい経済環境のもとで大変なご苦労をし、収支改善に努めていることに対しては評価できると思います。事業終了時まで引き続きご努力をお願いするとともに、そして、これから再開発事業が本格化する北新宿地区と環状第二号線地区について伺います。
 これらの地区の事業は、都市の再生を図る上で極めて重要なものと認識をしております。これらについては、十四年度より、全国でも初めて再開発事業に公営企業会計を導入すると聞いております。この会計の導入目的と効果についてお尋ねをします。

○山下建設局長 公営企業会計を導入する目的は、貸借対照表などの財務諸表の作成によりまして、再開発事業の資産状況と財務内容を明らかにし、収支をより一層明確化することでございます。
 また、導入効果といたしましては、これら会計情報を事業に反映することにより、採算性を一層重視した運営が可能となること、事業の透明性をさらに高めることにより、都民への説明責任が果たせることなどでございます。
 両地区の再開発事業は、都市再生を図る上で極めて重要な事業でございまして、公営企業会計の導入を機に、より経営的な視点に立ち、効率的な事業を推進してまいります。

○田島委員 今の経済状況からすると、再開発事業の執行というのは大変厳しいものがあると思いますけれども、公営企業会計の導入を機に、さまざまな工夫や努力によってさらなる事業収支の改善を図り、的確な事業運営がなされることを期待し、次の質問に移ります。
 次に、産業政策について伺います。
 まず、中小企業の資金調達について伺います。
 長引く景気低迷や、金融改革の中で進められる不良債権処理、ペイオフ解禁などの影響で、中小企業を取り巻く経済環境は一段と厳しさを加えています。
 先月末、国は経済財政諮問会議でデフレ対応策を決定し、売り掛け債権担保融資保証の積極活用や、安定化特別保証融資の返済弾力化などの貸し渋り対策を打ち出しました。
 それに先立って、昨年末、都においては、我が党の要請にこたえ、売り上げ減少への対策資金として、経営基盤特別強化資金の融資枠拡大や、経営安定支援資金のうち、金融機関破綻関連の環境変化対策の金利引き下げ、複数借入金の一本化措置など、タイムリーな改善策を五項目にまとめ、緊急金融支援対策を講じたことは多としております。
 そこでお伺いしますが、三カ月余りを経過した現在、これらの対策のここまでの効果をどのように見ていらっしゃるのか、伺います。

○浪越産業労働局長 緊急金融支援対策の主な実績でございますが、売り上げ減少に対応する経営基盤特別強化資金においては、融資目標を三百億円ふやしたところでございますが、対策前の月平均九十二億円の融資に対しまして、対策後は約一・八倍の月平均百六十三億円となりました。特に、年末年始の三カ月間で、融資目標の増額を上回る五百十六億円の融資を行ったところでございます。
 また、金融機関破綻関連の環境変化対策では、対策前に比べ、対策後は月平均融資金額で十四倍も伸びております。さらに、新しい制度であります売り掛け債権担保融資では、五十二件の申し込みがございました。これらによりまして、中小企業の資金調達に一定の効果があったと考えております。

○田島委員 また、複数の借入金の一本化については、この措置を歓迎する経営者の話を聞くこともありますが、まだ広く中小企業に知られていない面もあります。利用者への周知について一層の努力が必要と考えますが、ご所見を伺います。

○浪越産業労働局長 新たな保証申し込みに際しまして、既存の制度融資の返済を条件にすることで保証承諾する、いわゆる複数借入金の一本化は、月々の返済の負担を軽減できる有効な手段でございます。
 都では、これまでも、関係機関への通知や、東京都中小企業ネットクラブの会員への配信などを通じまして利用を呼びかけてきたところです。
 今後、さらに中小企業に直接対応する金融機関の窓口向けのチラシを作成するとともに、都庁や中小企業振興公社のホームページ、また、現在開設準備中の東京信用保証協会のホームページで、複数借入金の一本化について、より一層の周知を図ってまいります。

○田島委員 現在の長期的な景気低迷下では、なお一層の既存制度の効果を高めるための工夫に努めると同時に、より一層の信用補完制度の改善などを通じて、中小企業の経営実態をよく把握している金融機関の力をさらに活用できる仕組みづくりを推進していくために、国への提案等も行いながら、あらゆる取り組みを行うことが必要だと考えますが、所見を伺います。

○浪越産業労働局長 ご指摘の、金融機関を活用した信用保証の仕組みづくりについては、今後、資金需要の実態や各金融機関の意向などの把握を行い、国への提案要求も含め、種々対応を検討してまいります。

○田島委員 次に、新産業の育成について伺います。
 中国を初めとする東アジア諸国の成長、国内企業の海外移転と国際分業が進展する中で、国内需要の多様化、商品需要の短サイクル化が進み、企業の経営は、従来のようなスケールメリットの追求型では機能しなくなっています。
 一方、民間金融機関は、経営体力が低下しているものも多く、取引先の審査を厳格にしたり、リスクに見合った金利の適用や担保の提出を強く求めるなどの状況が広がっています。そのために、資金調達の大部分を間接金融に依存せざるを得ない中小企業にとっては、調達量とコストの両面で困難性が高まっており、厳しい資金調達環境が続くと思われます。
 そうした中で、今後の経済の活性化を図る上で、中小企業、とりわけ、すぐれた技術や発想を持って新規事業分野への進出を目指す意欲的な創業者やベンチャー企業の活躍に期待が集まっています。
 しかしながら、こうしたベンチャー企業は、創業資金や人材が質的、量的にも不足していること、技術開発のリスクが経営規模に比して大きいことや、技術開発から企業化までの懐妊期間が長く、担保力にも欠けるなどから、研究開発やその成果の事業化に必要な資金調達が困難な企業が少なくありません。
 中小企業は、その資金調達の多くを銀行からの借り入れなどの融資に頼らざるを得ません。特に、創業企業やベンチャー企業は、すぐれた技術を持っているものの、担保力、信用力の不足、事業のリスクが高いことなどから、資金調達が困難な企業が少なくありません。そうした中で、民間金融機関の融資態度が変化して、ますます厳しさを増してきています。
 そこで、中小企業の資金調達の道を多様化していくことの必要性が指摘されていますが、そうした環境整備はまだ十分なものとなっておりません。そこで、創業時の中小企業の資金調達の現状について伺います。

○浪越産業労働局長 平成十二年の中小企業白書によりますと、創業時の資金の調達先は、複数回答ではございますが、自己資金が七九%、金融機関からの借り入れが五三・四%、個人投資家、いわゆるエンジェルからの出資が三・三%、ベンチャーキャピタルからの出資が〇・六%となっています。
 一方、日本の起業家が求めている支援者は、エンジェルについては六一・四%、ベンチャーキャピタルについては五六%になっております。
 こうした調査結果からすると、エンジェルやベンチャーキャピタルに対する期待感の高さがうかがえます。

○田島委員 今の局長の答弁にもありましたように、エンジェルのパーセンテージが三・数%だと。ちなみにアメリカは一六%。そういう意味では、もっともっと高めていく必要があると思います。
 都は、そうした創業間もないベンチャー企業に対する資金支援策として、中小企業等投資事業有限責任組合を設立しましたが、都が出資した投資組合のこれまでの実績について伺います。

○浪越産業労働局長 平成十二年度に、都は、中小企業総合事業団や東京中小企業投資育成株式会社などのベンチャーキャピタルと協力をして、東京中小企業投資事業有限責任組合及びジャイク・バイオ壱号投資事業有限責任組合の二組合を設立いたしました。この二組合の投資累計は、基金総額四十五億円のうち、既に六十五企業に対し四十四億円を超えております。
 また、投資組合は、この投資のみならず、ベンチャー企業の早期成長を促進するために、企業のニーズに応じて、人事、財務、生産、販売など経営全般にわたる課題への相談や指導などの支援を行っております。

○田島委員 都が投資組合を設立して、ベンチャー企業に対する直接金融の拡大に取り組んできたことは高く評価するものでありますが、多くの創業者やベンチャー企業が直接金融による資金調達を円滑に行えるようにするためには、ベンチャーキャピタルやエンジェルと呼ばれる個人投資家からのリスクマネーの供給が促進されるような環境整備が必要であります。
 例えば、アメリカでは、エンジェルからの投資が日本とは比較にならないほどの大きな規模で行われているのは、個人の投資家が投資に失敗しても所得から相殺できるなど、日本の税制との違いが大きいと思われます。
 そこで、日本のエンジェル税制の現状について伺います。

○浪越産業労働局長 エンジェル税制は、中小企業に対する個人投資家、いわゆるエンジェルの投資を促進するため、平成九年六月に創設されたものでございます。
 これは、一定要件を満たす企業の株式を取得した個人投資家が、当該株式の譲渡等によりまして生じる損益を、利益については課税対象利益を四分の一に圧縮でき、また損失については、当該損失を三年間にわたり繰り越しできる課税の特例制度でございます。
 この制度の適用を受けた中小企業は、制度創設以来この三月初めまでで、全国で十六企業、都内企業では六企業となっております。また、これらの企業と投資契約を行ったエンジェルの数は、全国で二百二十六でございます。

○田島委員 今、局長の話にもありましたけれども、全国で二百二十六。先ほどもアメリカの例を出しましたけども、アメリカでは六十万から七十万と、これだけの差があるということの中で、今後もぜひこの点についてはお願いしたいと思います。
 エンジェル税制の利用が意外に少ないのではないかと感じられますけれども、これは、制度が十分周知されていないのと、アメリカなどに比べてエンジェル税制の条件が要は厳しいため、そのためにエンジェルがなかなか思うように進まない。
 そこで、ベンチャー企業に対する資金の供給を円滑化させるためには、エンジェル税制をもっと拡充させていくべきと考えます。例えば、現行のエンジェル税制では、個人投資家がベンチャー企業に投資して、損失を受けた場合には、これまでは他の株式譲渡益に限り通算して控除されますが、これを株式譲渡益以外の所得にも通算して控除できるようにする、あるいは損失の繰り延べ期間を、三年ではなくして五年とか六年とか、もっと長期にわたって延長させるなどの改善が必要であると思います。
 こうしたエンジェルに対する税制の改善について、都としても積極的に国に働きかけをしていくべきだと考えますが、所見を伺います。

○浪越産業労働局長 個人投資家によるベンチャー企業への投資を促進していくためには、ご指摘のとおり、エンジェル税制の普及啓発とともに、個人投資家がより利用しやすいものに改善していくことが必要であると考えます。このため都は、ご指摘の点を踏まえて、国に対して制度の改善について働きかけてまいります。

○田島委員 ベンチャーキャピタルやエンジェルによる資金供給が活発に行われるように、都も尽力していただきたいと思います。
 そうした点からも、都がCLOによる新しい資金調達の道を広げる取り組みを行ってきたことは、高く評価するものであります。CLOについては、我が党の三宅議員が質疑を行いましたので、ここでは中小企業制度融資について質問いたします。
 創業者やベンチャー企業がすべて、出資等を通じて直接資金を調達することは困難だと思います。したがって、都が行っている中小企業制度融資についても、新規創業や経営革新など積極的な事業活動を行う中小企業の自助努力を支援するなど、中小企業金融を取り巻く環境の変化に対応した新たな役割を検討する必要があると考えます。
 そこで都では、制度融資において、創業支援融資を設け、これから創業しようとする者や創業間もない事業者への融資を行っていますが、この創業支援融資の実績を、前年度の実績とあわせて伺います。

○浪越産業労働局長 創業支援融資の実績でございますが、今年度については、平成十四年二月末までで八百六十四件、六十五億八千万余円となっております。これを対前年同期と比べますと、件数で四百二十五件、金額で三十三億九千万余円の減となっております。

○田島委員 創業を志す人は多いと考えられているのに、融資の実績が現実には伸びていないのは、消費と市場が収縮状態にある中で、新規開業が難しくなっている点もあるかと思われます。
 しかし、創業支援融資も、当該企業の技術性、市場性、経営者の能力等の非財務的な要素も踏まえて、無担保で融資できる限度額の改善なども必要なのではないでしょうか、伺います。

○浪越産業労働局長 都は、創業者の計画性や技術力、市場性などに着目しながら、創業支援融資を実施しております。その際、無担保で利用できる限度額については、これまで、創業前の者については一千万円、創業後三年未満の者には一千五百万円までとしてきたところでございます。
 今後、企業の成長段階に応じた資金調達の円滑化を一層推進するため、本年四月からは、無担保融資限度額を二千万円に引き上げるとともに、創業後五年未満の者まで対象を拡大する予定でございます。

○田島委員 今、保証協会の話が出ましたけれども、保証協会に限らず金融機関でもそうなんですが、いわゆる担保主義的な、これには不良債権の今の状況を見てもわかるように、そろそろ価値観を変えて、今も話をしましたが、技術性だとか市場性だとか、そういう別の評価価値でお金が出せるような方向で努力をしていただきたいと思います。
 さて、中小企業を初めとした東京の産業を今後とも活性化していくためには、東京が世界から常に注目を浴び、多くの人を引きつける魅力とビジネスチャンスにあふれる都市であり続けなければなりません。
 そうした観点から見れば、年間三千七百五十万人もの人々が訪れ、今や最先端の文化の発信源ともなっている巨大な集客マシーンである臨海副都心開発のことについては、東京の今後の行方に重大な影響を及ぼすといっても過言でありません。
 臨海副都心は、そのまちとしての発展の中で、一昨年、パレットタウン、アクアシティお台場、さらには昨年の国際研究交流大学村と、次々に人を引きつける新たな付加価値を生み出し続けることで、吸引力を維持してまいりました。
 今後とも、休むことなく魅力の創出に努め、東京全体の活性化の推進役を果たしていってもらいたいと思いますが、ことしはどんな魅力がこのまちに加わるのか、お伺いします。

○川崎港湾局長 四月には臨海トンネルが開通します。また、十二月にはりんかい線が全面開通することによりまして、臨海副都心への交通アクセスが飛躍的に向上いたします。これにより、これまで台場地区を中心に開発が進んでまいりましたが、これからは、青海地区、そして有明南地区が大きく発展していくものと考えております。
 ことしは、この両地区に、ヨーロッパスタイルの庭園式結婚式場、体験型ショールームでありますパナソニックセンター、江戸文化をモチーフにした温泉テーマパークなど、若者のみならず、ファミリー層を含んだ幅広い年齢層をも呼び込む施設が次々にオープンいたします。このように、ことしは臨海副都心の魅力がさらに拡大する年になるものと確信をしております。

○田島委員 臨海副都心の開発を単に局所的な開発とは考えず、その経済波及効果や雇用創出効果はいうに及ばず、知事がいわれるハブの地位を占め得るまちの開発であることをしっかり押さえておくべきであります。
 この開発の判断基準の本質がどこにあるかといえば、これが東京の産業、経済にとって必要か否かであろうと思います。不必要な開発ならば、即刻中止して会計を閉じてしまえばよいわけで、逆に必要不可欠なものであるならば、どんなに苦労してでもやり遂げなければならないわけです。今さら引き返すこともできず、しかも東京にとって重要な役割を担いつつあるという厳然たる現実を直視するならば、答えは一つ、頑張るのみであります。
 であるならば、景気の低迷が長引く中、この開発の財政を何としても立て直していかなければならず、まさにバブルの清算が求められているわけで、今回の財政基盤強化プランも、そうした脈絡において理解するべきであります。
 このプランについては、我が党としても、都を挙げた大胆な見直しにより、一千三百四十億円もの支出削減を図るなど、一定の成果を上げたと評価いたしますが、バブルの清算という観点から、当局みずからはどう評価しておりますか、お伺いいたします。

○川崎港湾局長 臨海副都心開発では、土地処分による多額の開発利益を見込み、レインボーブリッジや清掃工場の整備などに臨海会計が過重な役割を担ってまいりました。さらに、施設の整備水準も高いグレードに設定されたままとなっており、バブル期の考え方が現在まで色濃く残っていたのが現状でございます。
 今回の見直しでは、会計の本来の役割に立ち戻り、維持管理費等の負担のあり方について見直すとともに、施設ごとに、その必要性も含め、整備内容や手法を一つ一つ検証し、その結果として、臨海副都心地域内の施設は原則として整備を凍結することにいたしました。こうした取り組みにより、バブル期の発想を払拭することができたものと考えております。

○田島委員 バブル清算に向けて、昨年の三会計統合に続き、大きな一歩を踏み出したということかと思います。要は、今後これをどう実行に移していくかであります。このプランが絵にかいたもちとならないよう、都の総力を挙げて取り組んでもらいたいと思いますが、知事の決意をお伺いいたします。

○石原知事 おっしゃるように、バブルの崩壊、しかもその後の総量規制という、非常に稚拙な、粗暴な国の対処のおかげで、臨海副都心に限らず、あちこちの大きなプロジェクトが大きな痛手を受けたわけでありますが、個々の責任でこれを解消しなくちゃいけないと思います。
 いずれにしろ、船はもう既に出たわけでありまして、もとへ戻すのも難しいし、まして沈めるわけにもまいりません。そういうことでいろいろ手を尽くしてまいりましたが、今、局長からも答弁がありましたように、アクセスを含めて非常に新しい可能性がこれから芽生えてまいりますし、東京にとっていろいろな新しい可能性をはらんでいる地域でございますから、何とかこれを再生発展に向けて手を尽くして、育てていきたいと思います。
 ちなみに、同じ東京でありますけど、あの隣接した汐留などに比べますと、私は、地政学的にも、アクセスの点からいっても、お台場というか、あの地域の臨海副都心の方が、左右前後に動きがとれる、また、他県からの来入者も非常に便宜な足を持ち得る可能性がありますので、必ず東京にとってのみならず国民全体の大きな財産となるものと確信しております。引き続き都の総力を挙げてこの開発、完成に取り組んでいきたいと思います。

○田島委員 次に、都市農業について伺います。
 特に、区部初め市街化区域内を中心に行われる、いわゆる都市農業についてであります。都民に、新鮮で季節感豊かな農産物を提供しています。また、市街化区域内の農地は、都市住民が最も身近に触れ合える自然であるとともに、都市の中に豊かな緑の空間を形成し、安らぎや潤いをもたらします。
 しかし、都市農業については、周辺の住宅化などに伴い、日照りや風通しの問題や、街路灯による農産物の生育障害など、生産環境の悪化が懸念されています。さらに、都市の農地に課せられる高額の相続税などは、農業者の営業努力ではあがなうことができない状況にあり、市街化区域内の農地の減少に拍車をかける結果となっております。
 国はこれまで、市街化区域の農業については、農政のらち外とした姿勢をとり続け、施策らしい施策を行ってきていません。平成十一年に制定された食料・農業・農村基本法では、都市農業の振興が明確に位置づけられましたが、国がどういう形で都市地域の農地を守り、都市農業の振興を図ろうとしているのかがいまだに見えてきません。
 東京の農地については、その大半が市街化区域にあり、そのうちの七割近くが生産緑地に指定されていると聞いています。この比率は全国でトップであると思いますが、そうした意味でも、東京は都市農業のメッカとして全国をリードしていくべきと考えます。
 そこで、都市農業を振興する観点から、その基礎的基盤である農地の保全策などについて何点かお聞きします。
 市街化区域内の農地につきましては、ご承知のとおり、計画的に宅地化を図るべきものとして、農地としての現況にかかわらず、基本的には宅地並みの課税となっております。農地課税に比べ数十倍、時には百倍を超える重い税が課せられるとあっては、農業生産の収益によって農地を維持することは困難な状況にあります。
 一方、市街化区域内にあっても、生産緑地については農地課税が適用され、安心して農業生産を続けることが可能です。つまり、都市農業、中でも市街化区域内の農業の存亡は生産緑地にかかっているといっても過言でありません。
 そこでお伺いしますが、市街化区域内の農地は、現在の生産緑地法が施行されて以降、どのように推移しているのでしょうか、また、その減少をどう認識されているのか、伺います。

○浪越産業労働局長 現行の生産緑地法は平成四年に施行されておりまして、施行直後の平成五年一月における市街化区域内の農地面積は約七千七十ヘクタール、そのうち生産緑地面積は約三千九百八十ヘクタールであったものが、平成十三年一月には、農地面積約五千六百六十ヘクタール、生産緑地面積約三千八百八十ヘクタールとなっております。
 この間、農地面積は、千四百十ヘクタール、二〇%の大幅な減少でありますが、一方、生産緑地面積は、百ヘクタール、二・五%の減少にとどまっております。農地面積の大幅な減少の理由は、相続税などの高額な税負担が大きく影響しているものと考えております。

○田島委員 非常に多くの農地が減っているわけなんですが、都としても、都市の緑を守るとともに、都市農業を振興する上からも、生産緑地の追加指定を積極的に行うべきと思いますが、いかがでしょうか。

○木内都市計画局長 生産緑地地区は、市街化区域内の農地等で生産緑地法の要件を満たすものを区市が指定をしておりまして、その追加指定につきましても、区市が定める緑の基本計画などに基づき行っているところでございます。都としても、都市環境の保全の観点などから、制度の適切な運用に努めていきます。

○田島委員 その生産緑地の指定を受けるについて、例えば水耕栽培だとか、あるいは鉢でつくった場合には生産緑地としてはだめですよと、国のそういうあれがあるらしいですが、むしろ生産性を高めるという点において、農業従事者が一生懸命そこに励むのであるならば、そういうことにおいてもきちっと国の方にも、その制度が適用されるよう都としてどう考えるのか、お答えを願いたいと思います。

○浪越産業労働局長 生産緑地に対しましては、相続税の納税猶予制度が特例として適用されております。しかし、水耕栽培施設の床にコンクリートが敷設されているものなどは、その土地が耕作できないことから、課税上、農地として認められず、納税猶予制度は適用されておりません。また、市民農園や他の農業者に貸し付けている場合には、農家みずからが耕作していないことから、猶予制度は適用されておりません。
 これらの農地は、現実に農業のために利用されており、都としては、都市農業の振興を進める上で、納税猶予制度が実情に即して適用されるべきものと考え、猶予制度の適用拡大を国に対して提案、要求してきているところでございます。

○田島委員 生産緑地の指定に当たっては、三十年もしくは生涯にわたって営農継続が義務づけられています。あるいは現行の制度では、一団の農地として五百平米以上ないと生産緑地として認めませんよと、幾つかの厳しい条件があるわけなんですが、農地にかかわる人とすれば、むしろ五百平米以下で小作の立場で、一生懸命農業を続けた人もいるわけなんで、今後の農地ということを考えたときに、都市農業という特殊な条件を加味すれば、こうしたことについても、都として今後、都市の農地を守る視点に立って検討していただくことを要望いたします。
 そしてまた、市街化区域内の農地の置かれた状況などについてお伺いしてきましたが、最後に、今後の都市農業における農地の保全と農業振興をどのように進めていくのか、お答えをお聞かせください。

○浪越産業労働局長 ご指摘のとおり、都市地域の農地を保全していくためには、税制など解決していくべきさまざまな課題がございます。都市農業の振興については、こうした課題の解決とともに、農業を活力ある産業として育成することも重要であります。
 このため、都としては、魅力ある農業経営者の育成を目指して、収益性の高いブランド農産物の生産や、乳製品の加工、販売など、農業者みずからの創意工夫を生かした多様な取り組みを支援してきたところでございます。
 今後とも、都民が求める新鮮で安全な農産物を供給していくため、積極的に都市農業の振興を図ってまいります。

○田島委員 農業は農地がなくなったらできなくなります。イギリスが過去に、マニュファクチャーといって、収益性が高いということで、農地をつぶして家内制手工業、結局どうなったか。十五年待たずして、また農地を復興させたという現実があります。歴史に学べじゃないですけれども、ぜひその点を話をさせておいていただきたいと思います。
 最後に、島しょ地域の水産振興についてお伺いします。
 昨年の第四回定例会において、我が党の宮崎議員から、島しょ沿岸漁業者に深刻な影響を与えているまき網漁業の操業問題について質問したところであります。島しょにおける水産資源の漁獲量は、十年前に比べて半分に減少しており、漁業を取り巻く状況は大変厳しいものがありますが、ここで、これまで都として国に対しどのような働きかけをしたのか、また、その状況はどうかお伺いします。

○浪越産業労働局長 水産業の健全な発展のためには、水産資源の適切な管理と持続的な利用が重要でございます。このため、東京の海域においても他の海域と同様に、まき網漁業の操業禁止区域を設けるなど、適切な措置を講ずるべきものと考えております。
 都としては、これまで、東京都漁業協同組合連合会や東京都島嶼町村会・議長会と共同して、まき網漁業の操業禁止区域を設定することなどを、水産庁長官を初め国に対し強く求めてきたところでございます。私も、これまで二度にわたりまして水産庁長官にお会いし、申し入れをしてきたところでございます。
 国は、現在、内容について検討中とのことでございますが、これまでの国との折衝においては厳しい状況でございます。

○田島委員 私の質問はこれで終わります。(拍手)

○星野委員長 以上で比留間敏夫副委員長及び田島和明理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十六分休憩

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