東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○土持副委員長 矢部一委員の発言を許します。
   〔土持副委員長退席、委員長着席〕

○矢部委員 いよいよ、この三日間にわたります予算特別委員会の総括質疑の最終でございまして、二十四番目でございますが、順序を、通告をしたものの中で、前後を入れかえさせていただきたいと思うんです。
 二月四日から二月十一日まで、シンガポール、ホーチミン市と、都議会、八年ぶりで調査団として派遣をされてまいりまして、大変衝撃を受けて、道路行政についてということで述べて、質問をさせていただこうと思っておるところでございますが、今回のこの、二十四番目になりましたけれども、留置所のことが、初めて一億五千万という形で予算として調査費が計上されていますけれども、どなたもお触れになっていないわけでございますから、重点的にそのことにまず絞らせていただきまして質疑を行わせていただきまして、また時間が許すようでありましたらば、逆に、一番目のことに触れさせていただきたいと思うんです。
 いろいろと東京都と渋谷区との経緯、あるいは国との経緯があったわけですが、日本社会事業大学跡地、この跡地の利用計画ということで述べられているわけですが、そういう中で、昭和六十年に日本社会事業大学が清瀬へ移転を決定して、そして、それについて渋谷区は、国に、この土地を何とか求めたいということで取得の希望意思を表明しておりました。
 それから少し時間が流れまして、平成七年、これは阪神・淡路大震災がその一月にあったということもあるんでしょうけれども、国が補正予算を編成するに当たりまして、何としても一刻も早くお金にかえたいというような事情もあったようですが、東京都に取得の要請があったわけです。
 そういう中で、この取得をするに当たりまして、その当時は東京都の財政も豊かだったということなんでしょうけれども、幾つかの条件をつけて、国から払い下げを受けるということにしたわけです。それは、それと同時にまた、渋谷区も手を挙げておりましたから、渋谷区におきましては、臨時の区議会を開くまでには至りませんでしたが、全員協議会という形で全議員の了解を得て、東京都に譲りましょうという話になったわけです。
 そうしたことのやりとりについては、文書でも交換をされているわけでございまして、当時の財務局長と区、あるいは地元との間での文書の交換等がされております。また、国からは、この払い下げを受けるに当たりましての契約書があって、その契約書の中に、時期、期日と同時に、用途の指定をして払い下げを受けているわけでございます。
 そうしてきましたが、なかなか東京都も財政が厳しいという中で、できるならば民活の力もかりたいというような意思、意向があったやに聞いておりますが、そういう中で、国との関係、その契約書の中に盛り込まれております指定期日の解除と、それから指定用途の解除について手続をとられました。昨年の六月のようでございます。
 そういう手続はされておりますけれども、それと同時に、渋谷区とも一応、文書を公文書で交換してあったわけですから、その渋谷区との間のことも、ただす必要があったと私は思っているわけです。
 ただし、その時点ではまだ仮定であった、具体的な話ではないということはあるようでございますけれども、そういう作業が進んでいたという段階の中で、いろいろ調べていきますと、治安の事情はともかくといたしまして、知事の意向が大変強く意思決定の中で動いているというふうに、私は察知といいますか、感じているんです。
 ですから、知事の気持ちの思い入れというのがおありなんでしょうから、それをお聞かせいただくことが大事ではないかというふうに思っております。いかがでございましょうか。

○石原知事 今、委員のお言葉に、治安の変化、悪化もさることながら、知事としての私の意思云々とありましたが、この留置所の設置に関しての私の意向は、あくまでも、とにかく東京における治安の悪化、ほとんどの都民が、意識調査をしましても、圧倒的に一番案じ、憂いている治安の悪化というものを踏まえて発案したことでありまして、それをぜひご理解いただきたい。
 それから、あの土地について、今までどういういきさつがあり、どういう証文が交わされたかもしれませんが、しかし、この一、二年の間に、日本の、特に東京の治安は、非常に著しい変化、つまり悪化をしているわけであります。そういう状況の変化というものに、今まで互いに交わしたどんな文書があり、どんな約束があったか知りませんが、しかしやっぱり、焦眉の問題として、私たちはこれを正面からとらえなくちゃいけないと思うんです。
 それに迅速に対処することが、お互いに政治家の責任であり、行政の責任だと思いますし、そのために私は、これに対していろんな疑義を持っていらっしゃる都民の方々に出向いて説明することはやぶさかでありませんが、いずれにしろ、これは単に渋谷区のためだけじゃなしに、全東京、日本のためにも実現しなくちゃいけない、この国家社会、東京というものを安寧に維持していくための絶対必要条件の一つだと心得ております。

○矢部委員 そのことを否定するものではありません。これはまず、冒頭お断りしておかなくちゃいけないと思うんです。
 今お話の都政モニターアンケートの結果というものも、私も拝見をさせていただきました。またそれと同時に、渋谷区もつい最近、アンケート調査を行いました。アンケートというのは難しいものだなと。設問する側の意思というか、答えを期待してつくるものではないかなというふうに思うんです。
 共通するところは、犯罪の増加傾向についてということでいくと、東京都のアンケートに対しては、九四%の人が「知っていた」と答えています。渋谷区のアンケートの中でも、九三%の人が「知っていた」と答えて、こういうところ、あるいは二番目の犯罪、防犯、治安に対して、九六%の人が不安に感じていると東京都のアンケートでいっていますし、渋谷区のアンケートによりましても、九五%の人が、犯罪に対して何とかしなくちゃいけないといっていると、ここまでは同じなんです。
 ですから、犯罪に対しての認識は同じなんですが、その先なんですね。留置所、拘置所、刑務所のそれぞれの違いについて、「知っていた」、東京都の側は六割。これも当たり前のことかもしれません。その次に、留置所不足について知っていたかと、こう設問しているわけで、これについては六割弱の人が「知っていた」と答えているわけです。また、留置所の拡充については、八五%の人がやっぱり必要といっているんです。
 これを同じように渋谷区でも問いただしているんですが、その中で、同じような部分と、また違う部分と、幾つかご紹介したいと思うんですが、犯罪の発生を抑制するために刑罰を強化した方がいいと思いますか、という設問をしているんです。「そう思う」、「どちらかといえばそう思う」、合わせますと八六%、これも大変大事なことだと思います。
 また、各警察署に犯罪容疑者を留置するための留置所が併設されています。あなたは犯罪増加に対応するため、留置所の定員をふやした方がよいと思いますかというこの設問に対しては、「そう思う」、「どちらかというとそう思う」、六〇%なんですね。これらも流れとしては一致しているんですが、よくよく聞きますと、一カ所ではなくて分散するということの中でという前提があるのではないかと思うんです。
 これはその次の設問でそういうことが出てくるんですが、留置所を拡充するためにはそれぞれの警察ごとに留置所を設置し、捜査活動と一体的に運営した方がよいと思いますか、こういう設問です。意図的といえば意図的かもしれませんが、「そう思う」、「どちらかといえばそう思う」、合わせて七〇%です。これはおおむね渋谷区と同じぐらいの数のサンプルですが、四百九十八名の方々からの答えなんですね。
 一番最後に、留置所を小中学校、文教施設のすぐ近くに設置されることについてどう思いますかという質問に対して、「どちらかといえば反対」、それから、「反対である」というのが八七%。これもそれぞれ意味があるでしょうけれども、このアンケートをすぐ、すべてこれが裏づけというふうにはいえないと私は一つ思っているんですね。
 そこで、いろいろ調べていってわかってきたことですが、昨年の都議選の一週間後ぐらいですか、知事は六月二十九日の定例記者会見で、二、三の商社に口をかけて、ロンドンでやっている刑務所のPFIのことについて、また、そういうことを東京都もやる必要があるというようなことを述べられているんですが、このことについてはどういうふうに--これがベースになって今日進んでいると思うんですが、そういうことではないんですか。

○石原知事 必ずしもそういうことじゃございませんで、PFIというのは世界全体の非常に好ましい流れだと思います。民間の合理感覚で経営をすれば、官僚、役人がものをこう--要するに運営するよりもはるかに低コストで、また、条件としてもいいものが整えるという事例が幾つかありますが、その一つを、思いがけないけれども、非常にいい事例がロンドンの刑務所だと思います。
 そういうことで、刑務所と留置所というのは明らかに違いますけれども、これをPFIなどでやれば、非常に低コストで、非常に合理的な、しかも、そのときついでに申しましたのは、留置する、特に外国人の調書をとったりするときに、非常に通訳のコストがかかるわけで、それを見越して警察も微罪の外国人の容疑者というものを捕まえるのを手控えるような傾向が、必ずしもないでもない。そういうことを含めて、商社などに経営させて、そのOBで、それぞれ外国語の堪能な海外経験の長い人たちをうまく使えば、ほとんどただで通訳もできる云々という話はいたしました。
 そういう発想で、新しい留置所も民間の力をかりて、PFI方式でやったらどうかということをいったわけであります。

○矢部委員 この中では、留置所といっていらっしゃいますけれども、拘留というような言葉が出てきましたり、日本経済新聞の記者の質問等々のやりとりの中では、結局、国がやるべき部分、それをやらなきゃいけない。要するに、いわゆる拘置所をふやすべきであるというような感じのニュアンスのやりとりになっていると思うんですね。それで、それも決して間違いじゃないと思うんです。
 きょうは、記録を見ますと、昭和五十三年以来二十四年ぶりに警視総監に予算委員会にお出ましいただいているようでございますが、(「呼んだんじゃない」と呼ぶ者あり、笑声)今まで要請がなかったわけだからしようがないと思うんですけどね。ぜひこの辺のところなんですね。要は、留置所が少ないといっているけれども、現在、実際はどうなんでしょうか。

○野田警視総監 昭和五十年代ごろは一日平均で千五百人ぐらいの留置人が警察署の留置場におりました。それが平成四年ごろは九百五十人ぐらいに減っていたのでありますけれども、それ以後、一日当たりの留置人はふえてまいりまして、そのふえ方が特に平成十年以降になってきますと、著しいふえ方になっているということで、現在は留置場の定員をオーバーする日というのが非常に多くなっているということで、留置場が不足しているという実態にございます。

○矢部委員 そこでお尋ねをしておきたいと思うんですけれども、本来、留置所にいるべき人といったらいいんでしょうかね、何て表現していいのか、初めてのことですから大変難しいんですが、法律からすると、警察の留置所には最長七十二時間の留置期間というわけですから、そんなに長い間いなくていい施設--法的にはですね--であるわけなんですが、留置所にどのくらいの時間、平均時間、日数ですかな、あるいはこれは最近、日本人と外国人との違いも出てきているようですけれども、その辺のところは表現できるようでしたらお教えいただきたいんですが。

○野田警視総監 警察署で逮捕した場合には、警察署の留置場に留置するわけであります。四十八時間たちますと、検察庁に送致して、そして拘留をしてもらうということが多いわけですね。そして、拘留期間というのは最初十日で、一回延長されて二十日になる場合もありますけれども、その間に起訴するか、あるいは釈放するかという決定が検察官によって行われる。
 こういうことですが、いろいろな意見の違う方もあるんですけれども、警察としては、警察で逮捕した被疑者については、自分で責任を持って調べをして、そして、検察官と協力しながら起訴に持っていくということが必要だということで、その二十日間について必要な取り調べもしなきゃならない。ですから、警察の近くに留置場があるということが一番便利だというふうに思っています。
 ただ、今度は起訴されますと、原則として取り調べはしなくていいことになるんですが、共犯がある場合とか、あるいは本人がほかの犯罪をやっているということで再逮捕するというような場合もございます。
 それで、現在、留置している者が平均して何日ぐらい在監しているかということでありますけれども、総数では、平成十三年は一人当たりが三十六・三日でありました。これは平成四年ごろが十九・二日でありましたから、倍ぐらいになっているということであります。この三十六日のうち、日本人の平均は三十日、三十一日ぐらいでありまして、外国人の平均は約六十日であります。ですから、外国人の方が長く留置場にいるという状況になっております。

○矢部委員 法曹界の皆様方からすると、代用監獄と国際語にもなっているような表現で使われて、留置所が刑務所のように使われたり、拘置所のように使われたりすることもあるという指摘をして、また、そういう中で、七〇%は、本来、留置所じゃなくて、拘置所に行くべき人ではないか、こういったりしている。これは、見方、考え方の違いかもしれませんが、そういわれています。
 警視庁ではどう考えていらっしゃるんですか。

○野田警視総監 警視庁で留置している人を見ますと、起訴前の者というのが、昨年一年間の延べ留置人員で見ますと、三十五万三千人で、一日平均九百六十八人であります。起訴後の者は約五十五万五千人で、一日平均が千五百二十一人となって、六〇%を超えるという状況になります。
 ただ、これらの中で、共犯者もいないし、ほかに余罪もないということで、取り調べをする必要もないと。ですから、できるだけ早く拘置所に行ってもらった方がありがたいという者はどれぐらいいるかというと、昨年は一日平均で五百三十八人ということで、一日平均収容人員二千四百九十人の二二%でありました。

○矢部委員 実は、今回、質問をさせていただくに際しまして、東京拘置所、小菅の拘置所を視察させていただきました。あそこも改修工事をしているのかと思って行きましたらとんでもなくて、全面改築工事をしているわけでございまして、平成十八年に全部完成すると、現在より八百人、収容定員がふえるという工事をしておりました。
 そこで、いろいろやりとりをしながら、所長の話を聞きますと、拘置所の側の考えというのはまた違ってあるようでございまして、大体三百人ぐらい、本来拘置所に来てもらうんですが、申しわけないんですが、警視庁にお預かりいただいていますというような表現をしておりました。五百三十八人からすると、またその半分近く、六割ぐらいということなんでしょうか。ですから、それぞれ見方、とらえ方で大分違う現実が見えてきますけれども……。でも、警視庁のとらえ方からしても、五百三十八人、二二%ということでございまして、本来、どこが不足しているのかといえば、今直ちに留置所じゃなくて、本来は拘置所ができれば、これは収容余力ができれば、少なくともこの二二%はそちらへ移るわけですか。

○野田警視総監 現在の留置場不足というのがどこから生じているかといいますと、その主たる原因は、来日外国人の組織犯罪が非常にふえているということによっていると思っております。
 なぜかといいますと、日本人の場合ですと、保釈されるというようなことで、起訴と同時に留置場から出る、あるいは拘置されないというような事態になることが多うございますけれども、現在の来日外国人の組織犯罪というのは、共犯があると。あるいは、正式裁判が求められるというようなこともあり、同時に保釈できないということで、拘置所なり、留置場がいっぱいになると。
 残念ながら、もう一つ問題は、刑務所も定員がもう満杯だということでありまして、ですから、確かに今工事中の東京拘置所ができれば、とりあえず三百人ぐらいは移れると思いますけれども、それでも、現実に足りないと。
 それから、警視庁の留置場が、千五百人ぐらい留置されているという状態がおおむね定員的には適当だということから考えましても、現在仮に三百人減り、あるいは五百人減っても、今の状態でも留置場は足りない状況にあるというふうに思っております。

○矢部委員 ことしはワールドカップがありますが、それに向けて、出入国管理及び難民認定法の一部が改正されまして、国外退去でございますとか、あるいは上陸拒否ですとか、法の整備が少しされたようです。それと同時に、入管の保護施設というんでしょうか、やっぱり留置する施設も改築したりしているようですが、そのことによってこうした不法外国人を抑止というか、水際でとめることができるようになるというふうには思いませんか。

○野田警視総監 平成十四年三月一日に施行されました改正入国管理及び難民認定法に書いてある内容は、一つはフーリガン対策で、おっしゃるように、フーリガンのようなことをやった者について入国を断るというようなことであります。
 それから、外国人犯罪対策としては、刑法とか、暴力行為等処罰に関する法律、あるいは盗犯等の防止及び処分に関する法律に定める一定の罪を犯して、懲役または禁錮に処せられた者、これについて再入国を拒否する、あるいは退去を強制できる、こういう規定ができると。この辺については、いわゆる来日外国人の犯罪対策としては非常に有効だというふうに思っておりますけれども、留置場にいる人間を減らすという点においては余り関係はないというふうに思っております。

○矢部委員 留置所の人間を減らすことではなくて、留置所に入る人を減らすという観点でありまして、これからの増加の見方については、今までよりも水際でもっととめやすくなってきているんです。現実は、だけども、それが偽造パスポートで再入国して、そういう人が悪いことをするという現実が多くあるようですから、それで解決するわけにはいきませんけれども、もっとそうした水際での努力を重ねるということが、もう一面必要だろう。不法パスポート、偽造パスポートで再入国して、犯罪を犯す人の数が物すごくふえているということがいわれているわけですから。
 こういうことについて、今のコンピューター技術の時代ですから、顔をスキャンすれば、これがリストに載っている人かどうかというのをスキャンするくらいの技術はあると私は思っているんです。ただ、これは入管のことなんですけれども、そういうところへ警視庁から、あるいは東京都からの働きかけというのはされてないんですか。

○石原知事 不法入国する外国人についての認識がちょっと矢部委員と私は違うんですが、いわゆる法務省が正規の入国管理事務所で摘発するという不法入国の人間というのはかなりの数ですが、それはもう本当に、日本に不法入国する外国人の中では数の知れたものだと思います。これは明らかに全然そういう手を通じずに、例えば、悪名高い中国のシンジケートのスネークヘッドのようなものが組織的に不法入国させる。つまり、不法入国ゆえにパスポートを持ちませんから、結局、正規の就労ができないので、犯罪要因になる。そういった人間の数がはるかに多いと思いますし、これは警察庁がつかんでいることで、警視庁の管轄じゃございませんけれども……。
 ですから、私は、最低限、入国管理も法務省じゃなしに、警察がかつての内務省にするべきだということをいってまいりましたし、それ以外の対策は、この間も私の知人の野中君が中国に行くときに、強くいってくれといいましたけれども、広州というのは北京の政府の管轄の及ぶところじゃございませんで、ほとんど野放しの形で、かなりの数の、要するに、中国人が不法入国しているということは事実だと思います。

○矢部委員 知事のおっしゃることももっともだというふうに思いますし、そうした事実も、私も承知いたしております。しかし、今回の法改正によって今までできなかったことが少しできるようになった、枠が広がったということはあるわけですから、その効果が発揮される仕組みをつくるということについては、それこそ警察庁とどう協議されているのかというようなことについてはいかがでございますか。

○野田警視総監 不法入国であるとか、不法滞在というものについては、これが犯罪者に変わってしまうという危険が非常に高いので、一番いいのは水際で入国させないということと思って、入管とも人事交流するなどしながら、全力を尽くしているというところでありますけれども、現実問題として、二十数万人の不法入国、あるいは不法滞在があるという実態でありますから、容易な事態ではないというふうに考えております。

○矢部委員 最近、犯罪も、東京だけじゃなくて日本全国に広がる傾向もあるようですが、外国人犯罪といいますか、全体を減らさなきゃいけませんけれども、総数というか、今、警視庁が見込んでいるというか、数の決め方ですね。これからの犯罪の増加傾向。これを八・五%というふうに固定して推計をされているわけです。
 それはそれとして、どんどん犯罪がふえ続けるということじゃ困るんですけれども、もう一面は、例えば、法体系が日本は緩いとか、だから、ほかの国でやっていれば、とっくに逮捕されるのに、日本は全然問題がないとか、あるいは渋谷の原宿あたりで露天商がいまして、これを取り締まるのには道路交通法しか取り締まりようがない。罰金は五千円だと。五千円払っても、一日三万円稼げれば、全然問題ない。こういうことでは犯罪も減っていかないんだろうと思うんですよ。
 ですから、これは罰金を幾らにするかというのはあるけれども、今回シンガポールに行って、つくづく思いました。罰金をただ厳しくすればいいということじゃありませんけれども、それはすごい抑止力になると私は思うんです。そういう面での努力はされないんですか。

○野田警視総監 外国人が日本で犯罪をするというのは、多分バブルのころが一番警視庁では留置人員が少なかったということを見ますと、そのころは今よりも多分不法滞在の人の絶対数は多かったと思うんです、いろいろな統計から見ますと。ですけれども、犯罪は少なかった。外国人の犯罪というのは、そのころは、統計資料の留置場の中で見ますと、九人に一人ぐらいが外国人だった。それが現在は絶対数もふえた上に、三人に一人が外国人という実態になっているということで、恐らく不法滞在の人、あるいは不法入国してきた人が、今、組織的な犯罪をやっている。
 というのは、もう一つは、平成四年ごろの共犯率というのは一〇%以下でありますけれども、現在は五〇%を超えているのが共犯がいるというような実態になっていまして、そういう意味で、来日外国人の組織犯罪が繰り返されているという実態にある。そして、この数字は、ちょっと残念ながら、来日している外国人を全部外国に送り返す以外に減らす方法はちょっとないんじゃないかなというふうに思いますので、まだ当分の間はふえざるを得ない、残念な状態にあるというふうに思っています。

○矢部委員 日本の国そのものが、戦前まではという表現がいいかどうかわかりませんが、それぞれ各戸にもほとんどかぎがかかってない、雨戸の落としかぎぐらいで済んでいた国なわけです。きのうからもありましたが、日本の国のすべての体系が性善説に立ってつくられていると。そういう中で急激に国際化しちゃって、全然そういうルールのない、特に、知事のお話によく出ます中国関係の方々というのは、それこそ命がけで何か行うようですから、そういう現実と日本の国内とのずれを、もう一面解決しない限り、根本解決にはなっていかないし、犯罪はどんどんふえる一方ではないかというふうに思うんです。
 これはどなたがお答えいただけるかなと思うんですが、これについてはどうなんでしょうか、何かをしなきゃ。法律を見直す、あるいは国際的な水準にまでそろえるとか、何かこの辺の努力もしない限り、日本は犯罪天国みたいな--犯罪天国というんじゃないな、犯罪を犯しても何ともない国だというふうに甘く見られている状況を続けるというのも、よくないと思うんですが、いかがですか。

○野田警視総監 先ほどの八・五%というのは犯罪の増加の比率ではなくて、延べ留置人の伸び率を八・五%で計算しているということであります。
 外国人の犯罪の対策につきましては、政府において関係省庁が寄り集まりまして、抜本的な対策を考えながら検討しているというふうに聞いております。

○矢部委員 その抜本解決はいいんですが、いつごろに法の整備がされる見通しでございますか。

○野田警視総監 今のところ具体的なことは伺っておりません。

○矢部委員 ぜひその辺は一番……(「知事、知事」と呼ぶ者あり)知事、どうぞ。

○石原知事 せっかくの機会ですから、総監ご自身はちょっといいにくいことだと思いますので、私の口から申し上げさせていただきますが、私の親友の佐々淳行も含めて、警察のOB、治安担当のエキスパートを私、何人も知っておりますが、彼らがひとしくいうことは、とにかく外国人がかなり野方図にやり過ぎている。大体、日本の警察官の総数が、日本人の、国民の人口の割りに非常に少のうございますのと、もう一つは、これはご存じかもしれませんけど、つい最近までは、日本の警察官はけん銃を持っても絶対撃たないというのが外国人の犯罪者の通り相場でありまして、ついにこの間、あるケースで、朝鮮人の犯罪者に向かって発砲して、朝鮮人、韓国人の犯罪者の世界では、日本の警察は撃つぞといううわさが徹底した。
 中国人の系統の犯罪者がどういうふうに認識しているか知りませんが、ともかくも留置所が足りないため、金もかかるし、尋問にもかかるし、微罪は見て見ぬふりをして、警察官が手控えるようなトレンドさえ、このごろ出てきているわけです。そうすると、この程度のことをやって見逃されるなら、完全に捕まったと思ったのが見逃されるならば、よしということで、だんだん不法滞在している外国人の犯罪というのは、質的にも悪化していくというのが現況だと私は思います。
 こういう認識を私は持たないと、つまり、警察は非常に大きなハンディキャップをしょいながら、命がけで、ある場合には対処しているということもひとつご認識いただきたいと思います。

○矢部委員 その認識は私も同感でありますし、我が渋谷のまちの中でも、後ろ手に縛り上げられて、それこそすべて盗まれてしまって、もう恐ろしくて住んでいられないと、土地を売って越してしまった方もいらっしゃるくらいですから、深刻な現実であります。しかし、それだからといって、だから大規模留置所というのは、全然結びつかない話でありますし、ましてや原宿という話は全然結びつかないんですね。
 そこで、ちょっと都市計画局長にお尋ねしたいんですが、突然でごめんなさい。この渋谷の神宮前という地域は、表参道、山手線、区境と囲まれたエリアを文教地域に指定しているんですね。これは恐らく日本最大じゃないかと思うんですが、そういう指定はなぜしたか。それは住民の皆様方の知恵で、したことなんですが、こういう現実はご承知ですか。

○木内都市計画局長 この地域、昭和三十二年四月に文教地区の指定がされておりますけれども、それは明治通り沿いの商業地域などに旅館が立地するようになったということを背景に、そうした指定がなされたというふうに理解しております。

○矢部委員 そのとおりでありまして、その効果があって、そうした旅館群は壊滅いたしました。それは地域の住民の知恵でありますし、一丸となってやった結果でございます。そうした土壌のある地域だということは、ぜひ念頭に置いていただきたいと思うんです。
 それで、警視庁の予算の要望書の中には、大変大きな原宿警察署のプランが出ていまして、当初、渋谷区と合意した文書のときは、原宿警察署の面積は三千平米となっているんですが、警視庁の要望書の中は二万八千七百平米、十倍に面積がなっているわけで、これはとりもなおさず、六百人規模の留置所をつくろうという数字のあらわれだと思うんですね。
 こういう大規模なのというのは、私も建築でございますけれども、警察署というのは比較的制約のない建物ですし、どこでもつくれるものです。また、留置所というのも特に制約はありませんで、それは警察署に附属する施設だからなんですね。その概念というのは、そんなに大きなものじゃなくて、今ある原宿警察署は十四人しか収容できないんですから、大体附属する部屋が幾つかあるという概念のものなんですね。都市計画法上、あるいは建築基準法上、どういうふうに考えていらっしゃるか、お聞かせいただけますか。

○野田警視総監 留置場が非常に足りないということで、何とかしなきゃいけない事態になっているというのは、割合に最近起きた現象と思います。というのは、延べの一日当たりの平均が千五百人で、昭和五十年代。それが平成四年ごろには千人を下回ったということですけれども、千五百に戻ってから現在の二千四百台に至るまでが、非常に短い期間でふえてしまったと、こういうことがありまして、留置場を何とかしなきゃいけないということで、昨年、どこか既にある警察署の中で、警察施設の中でふやせないだろうかということで、一つは、八方面本部の施設の中に、無理すれば百人規模ができるぞということで、それを予算で要求しようではないかと。
 もう一つは、城東警察署の中庭に署長公舎がありましたけれども、これを取り壊して、そこに留置場をつくれば、もう少しふやせるというところまでは行ったわけでありますけれども、どう見ましても、今のまま世の中が変化し--来日外国人がいなくなれば別なんですけど、そうでない限りはふえざるを得ないという事態に対処するためには、早急に警視庁全体で千人分ぐらいの留置場が必要だということであります。
 したがって、とりあえず原宿に、今は六百ということで考えておりますけれども、いずれ警察署の改築が進んでいく過程では、それぞれ、例えば原宿でしたら、最低でも十四人が二十五人ぐらいにはしなきゃいかぬとか、あるいは女子房ももう五十ぐらい要るんじゃないかというようなところまでは、数年前の考えであったわけです。
 ところが、今の事態はとてもそれどころじゃありませんので、次に臨港署ができるとすれば、臨港署にも二百人ぐらい、あるいは月島署の改築が十年以内にはあるだろうと思っていますけれども、そのときにまた同じように二百人ぐらいをふやしていくというような努力をしていかないと、とても今の事態で手を打つのがおくれてしまうというふうに思っておりまして、ぜひご理解をいただきたいと思っております。

○矢部委員 都市計画局長、今六百という話がありましたが、そうしたものはいかがですか。

○木内都市計画局長 現在、その跡地の利用計画について、基本構想策定に向けた基礎調査を行っていると聞いておりまして、今後、具体的な建築計画が定まった段階で、その取り扱いについて検討するものというふうに考えております。

○矢部委員 余り優等生発言しないでいただきたいと思うんですが、そうじゃなくて、概念がないんですよ。概念がないの。概念がないものをつくろうとするのには、やっぱりルールをつくるということをしないといけないんじゃないですか。要は、母屋より大きな留置所がある警察署というのが存在できるかと。それは附属施設といえますか。そういうことはいえないと思うんですよ。仮定の話だからだと思うんです。
 先ほど来、警視総監は一生懸命努力して頑張っていらっしゃいますけれども、留置人員の年増加予測八・五%という数字、しかし、これは先ほど来申し上げましたように、本来は二〇%は向こうへ移るべきもの、拘置所へですね、そういうことではないかと思うんです。
 なおかつ、今までずっと全警察署の様子でございますとか、これからの増築、改築計画の中で、留置定員を増加させようという計画の資料をいただいておりますが、これで平成十八年着工でございましょうけれども、完成したときに、原宿署を一切改築しないで留置定員をずっと合計していきますと、十八年までで三千四百六十人になるんですね。これで、先ほど平成二十年、これも別にいただいた資料ですけれども、犯罪の留置するべき定員が三千五百ちょっとですね、十ぐらいでしょうか、これの八掛けにしても、三千四百六十あれば十分足りるわけです。
 要するに、原宿署にあえてつくらなくても足りるという資料を警視庁はおつくりになられているわけでして、そういう中で、なぜそこにこだわるのかが極めて見えないところであります。こういうこと、この事実をまずは申し上げておきます。
 それから、私は、知事にあえてお尋ねしたいんですが、知事は東京構想二〇〇〇、石原知事が就任されて、東京のこれからのマスタープランをつくられたわけです。これは二〇〇〇年の十二月です。この中、どこを読んでも留置所が足りない、留置所をつくるというものは出てないですね。(石原知事「それはそのころの認識と今と全然違うから」と呼ぶ)いやいや、認識が違うんじゃなくて、認識が違うことに気づかれたら、これはマスタープランなんだから、これは修正するなり、何かされるべきだと私は基本的に思うんです。それがされずに進んでいるということですね。
 ですから、唐突に留置所だけがひとり歩きして、なおかつ、何が何でも原宿につくるんだということだけが先行しちゃっていまして、何とも極めて不可解であります。
 なおかつ、先ほど来申し上げましたように、調べていきますと、いけばいくほど、本当に足りないのは留置所ではなくて、東京においては拘置所だし、日本全国で見れば、刑務所が足りないんじゃないか。そうすると、東京がひとり踏ん張って、留置所をただふやして帳じりを合わせようとしても、それはそれこそ東京都の超過負担の話であって、本来やるべきところは別のところでやらなきゃいけない。それぞれのところがやらない、要するに東京拘置所に行ってみて初めてわかりましたけれども、拘置所は今度三千にすると、それ以降東京につくる計画はないといっているんです。
 しかし、そうじゃなくて、今の建物でいけば、地検でございますとか、あるいは地方裁判所でもいいんですが、そういうところの改築のときに本当は併設してつくるべきものでありまして、そういう努力もされずに、なおかつ、これからは拘置所はつくらないというような話を聞いたままで、それに東京都がひとり頑張って、必要以上にオーバースペックに結果としてなる留置所をつくっても、それは将来に禍根を残すと私は思うのでございます。
 いろいろ申し上げましたが、また機会があるごとに述べてまいりますし、また、これは最後に申し上げておきたいと思うんですが、今、コンサルが何か計画をしているようです。しかし、これは法体系の中でないものをつくるんです。建築基準法上も六百人なんていう留置所は概念にないんです。それについては法曹界も大変心配しています。法曹界の中では、これは第二拘置所ができると。小菅まで行かなくて済むんだから、大変便利になるというような錯覚を持っている方もいらっしゃいます。こういう誤解を受けるようなものをなぜつくらなくちゃいけないのかという明確なところが、先ほど申し上げましたように、留置所の定員は平成十八年以降、応分に足りる計画を今つくられていますから、原宿署も改築する中で、必要最小限のものをつくらなくちゃならぬでしょうけれども、そんな大きなものをつくらなくてもいいという結論であります。
 この辺をぜひ前向きに検討していただいて、そして、仕組みをつくらなくちゃいけない。仕組み。仕組みをつくらなくちゃいけない。それはそれぞれの関係者を入れての仕組みをぜひつくっていただいて、拘置所のあるべき姿をご検討いただくことをお願いを申し上げまして、質問を終わります。

○石原知事 まさにそういう仕組みをつくる必要がありまして、どこかの新聞が抜いたという形でこの記事が出まして、いろいろ疑心暗鬼が拡大しているわけでありますけれども、六百という数字も必ずしもコンクリートなものではありません。
 ただ、おっしゃるとおり、これは本来、国が刑務所なり、拘置所というものを十分に設置していくべきものでありますが、国の行政がおくれている限り、その被害というものを都民が集約して受けるのは、私は許せない。
 例えば、過剰に留置所をつくったにしても、それが無為に、要するに、何年かたって役に立たなきゃほかのことに使えるわけですし、今せっかくあそこに大規模な移転というものが行われる限り、それを活用するということで、私は都民の安心というものを担保できると思うんです。
 それから、皆さん、勘違いしていらっしゃるのは、あそこに何も網走の、要するに、番外地が引っ越してくるわけじゃないんです。ぜひごらんいただきたい。(写真を示す)これ、マンハッタンのチャイナタウンの裏側です。マンハッタンのまさに目抜きのところに、こうやって、これは拘置所です。つまり、容疑者じゃない、告発された犯罪の容疑者が、(「拘置所が必要なんだ」と呼ぶ者あり)そうなんです。この横に裁判所がある。この下は有名な、いつも満杯のチャイニーズフードのレストランですよ。こういうものをご理解いただきたい。
 都会は、やっぱりスペースが限られている。それをいかに有効に活用するか。今、都民の一番の関心が治安である限り、つまり、それに対する安心というのを確保するために、私はできる限りの努力を、国がしないなら、かわってでも都がすることが、都民に対する、国民に対する責任の履行だと私は思います。どうぞひとつご理解いただきたいし、あそこにいらっしゃる渋谷区の皆さんも、都民として、日本人としてひとつご理解いただきたい。
   〔警視総監発言を求む〕
   〔矢部委員「終わりだよ」と呼ぶ〕

○野田警視総監 先ほどの資料の説明を……

○星野委員長 総監に申し上げます。質問の矢部委員の方からお答えは要らないという話でございます。大変失礼しました。
 矢部一委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして、付託議案に対する総括質疑は終了いたしました。

○星野委員長 次に、部局別質疑について申し上げます。
 部局別質疑は、本委員会設置要綱の定めるところにより、各常任委員会の調査をもってこれにかえることとなっておりますので、所定の手続を議長に申し入れます。ご了承願います。
 各常任委員長に申し上げます。
 部局別質疑に関する調査報告書は、三月二十日の午後五時までに提出されますよう、特段のご配慮をお願いいたします。
 なお、来る三月二十五日につきましては、締めくくり総括質疑を行っていただきます。
 また、三月二十六日に予定しております討論などの委員会運営につきましては、理事会にご一任願いたいと思います。ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時三十三分散会

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