東京都議会予算特別委員会速記録第四号

   午後七時三分開議

○土持副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 東村邦浩委員の発言を許します。

○東村委員 平成十四年度の予算は三千六百億の大幅な税収減となりました。文字どおりの不況でございます。徴税率も九六%ということですが、都民の方も大変な中、頑張って納税をしてくださっております。
 そこで、経営の鉄則は、何といっても入るをはかって出るを制すであります。知事も就任以来、この首都東京の再生のための財源として、東京都民に一方的な負担を強いないように、例えば銀行業に対する、いわゆる外形標準課税、そして宿泊税等、本当に創意工夫をしてまいられました。
 東京の喫緊の課題は、何といっても財政再建でございます。その根幹は、やはり会計制度がしっかりと確立しなければ、財政再建の第一歩が踏み出せないわけでございます。
 就任早々、知事は、この東京のバランスシートをつくる、こういうことで着手をされ、十三年三月には「機能するバランスシート」をつくられました。世界で七番目の都市国家といわれる、この東京において、これだけの規模において、あの「機能するバランスシート」をつくられたということは、私も会計の専門家として、大変な尽力と知事の決断と役人の皆さんの労苦であると感謝をしております。また、大いに評価をしております。まさに会計に精通をした知事でなければ、これはできなかったであろうと私は心から評価をしております。
 そこで、まず、バランスシートにかける石原知事の思いをお伺いしたいと思います。

○石原知事 我が国は、ずっと踏襲されている単年度会計年度制度というんでしょうか、その弊害か必然か知りませんけれども、ほとんどバランスシートなしに過ごしてきたわけでありまして、東京もそれに準じてきたわけであります。わかりやすくいえば、その弊害の一つとして、この二月、三月になると年度末で、わけのわからぬ工事が頻発するのもその一つのあかしでありますが、いずれにしろ、官僚の行う行政というのに、私は致命的に欠けているものは、金利の感覚と、それからやっぱり償却という観念も非常に乏しいですし、事業に関しては保証、保険というような観念も非常に乏しい。そういうものを補うためにもきちっとしたバランスシートが必要だと思うんで、日本公認会計士協会の会長の中地さん、知己でもありましたので、頼みまして、バランスシートをつくっていただきました。
 それも普通のバランスシートと違って、いわゆる公会計の中でいろんな形で運用のできるものにしていただきましたし、発表されましたら、これはうれしいことですけれども、都のこれから要職につくだろう中堅の幹部諸君が、ぜひ自分も受講したいということで、一回で済ますはずが三回に及んで、そういうレクチャーを受けたというのは、一つの大きな進歩につながると思います。

○東村委員 今、財政再建の上から「機能するバランスシート」をつくられた、こういう話をされました。私、非常に評価しているのは、普通、バランスシートというと貸借対照表だけ思い浮かべるわけですが、東京都は「機能するバランスシート」と、そこに行政コスト計算書とキャッシュフロー計算書、貸借対照表を中心に、貸借対照表の資金とキャッシュフロー計算書の繰越残高、そして、貸借対照表の正味財産と行政コスト計算書の次期繰越正味財産の額、これをリンクさせた、これはなかなかできないことなんですよ。これは私は非常にすばらしいなと評価しているんです。
 その上で、財務局長にお伺いしたいんですが、具体的に「機能するバランスシート」をどのように活用しているのか、お願いします。

○安樂財務局長 現行の官庁会計制度のもとでは、都の資産と負債の関係を対比させてとらえることが非常に難しいという面があります。あるいは減価償却費や金利負担など事業に要するコストの情報を明確にできないという、こういう問題もあります。
 このため、東京都では、その解決策の一つとして、十一年度からバランスシートの作成を試みております。今回、事業ごとのバランスシートを作成いたしまして、これを活用して、例えば、多摩ニュータウン事業の見直しを行ったり、都営住宅事業の、今回特別会計をいたしましたけれども、こういうことについてこれを活用しております。
 また、監理団体も含めました本格的な連結貸借対照表を都道府県レベルで初めて作成するなど、東京都全体の資産・負債残高などの財政状況を明らかにする、そういう取り組みを現在行っているところであります。

○東村委員 今おっしゃったように、事業の見直しや、さらに、事業の特別会計の設定などを含めて活用し、さらに、これもすごい評価すべきなんですけど、連結貸借対照表までつくってしまった。行くところまで行った嫌いはあるんですけども、大変によくできているんですが、私が一つ懸念しているのは、今の手法では、確かに機能しているバランスシートなんですが、限界が幾つかあるのではないか。
 そこで財務局長に、その限界についての認識をしているのかということと、もし認識をしているのであれば、具体的にその限界について説明をしていただきたい、このように思います。

○安樂財務局長 現時点では、バランスシートの作成に当たりまして、例えば決算統計の資料とか公有財産台帳など、官庁会計間での既存のデータに基づいて行わざるを得ないために、例えばコストに関する情報、こういうものをタイムリーに把握するのが非常に難しいという問題があります。(「そんなのわからない」と呼ぶ者あり)それから、公有財産台帳に道路などのインフラ資産が計上されていないという、こういう制約があります。こういうことは十分認識しております。こういう点で、必ずしも十分でないということはあると思います。
 ただ、こういう限界というのは、どうしても検討の過程といいますか、現在こういう過程にありますので、そういう段階ではやむを得ないと考えておりますし、限界のある中でも、先ほど申しましたが、事業別のバランスシートを活用した事業見直しを行うなど、積極的な試みを進めていきたいと思っております。

○東村委員 周りから、わからないという話がありました。
 (パネルを示す)ちょっと大き過ぎたんですが、実は今、バランスシートという概念がなかなかわかりにくいと。知っている方には、釈迦に説法で大変に申しわけないんですが、一つは資産という、これは借方とよくいわれているんですが、資産という概念、これはまさに将来の世代に残す財産なんですね。そして、これが資金が使われて、将来に残す財産がここに使われる。そして、貸方というのは、まさにお金を調達する側です。ここが大事なんですけども、負債というのは、将来の世代が負担しなければならない金額、これに対して、先ほど正味財産という話をしましたけど、正味財産というのは、まさに、今までの世代が負担してきた金額なんです。したがって、どれだけの財産が残るかということとともに、将来にどれだけ負担しなきゃいけないかということを本当に認識しなきゃいけない。
 ただ、今、説明がありました。公有財産台帳と決算統計資料をもとにやっていると。普通は、決算統計資料だけに基づいてやっている地方自治体が多いんですけど、東京都はやっぱりさすがだなと思ったのは、そこをカバーするために公有財産台帳まで採用していると。
 ただ、一つだけいわなきゃいけないのは、公有財産台帳、道路とかのインフラ資産、これがどうも整備されてなくて、なかなか載ってこない。いわゆる資産の、財産の網羅性に欠けてくる。また、決算統計資料は、寄附や除却のデータが出てこないわけです。そういった意味で、今度は実在性に欠ける。帳簿上載っているんだけど、実際に物を調べたら載っていなかったと、こういうこともあり得るわけなんですね。これだけの規模です。わずかな差が大きな判断ミスにつながってくる可能性があります。
 そこで私は、ぜひともこの東京都におきまして、今は、先ほど単年度ベースという話がありました。やはり複式簿記を導入しなきゃいけないときなんです。よく、複式簿記を導入しなきゃいけないという話をすると、企業会計じゃないからいいという話があるんですけど、これは実は大きな誤りでございまして、この四月に、実は日本公認会計士協会からパブリックコメントとして公会計原則がもう発表になるんです。こうなったときに一挙に加速してくる、こういう時代になってきたと私は思っております。
 その上で、複式簿記、日常の、自分が机の上で、何か取引が起きた、そこで既に仕分けを起こす。借方と貸方を起こす。資産がふえたり、お金が出ていったり、費用になったりする仕分けをそこで起こす。それを機械化すれば、決算でわざわざ一生懸命みんな集まって苦労してやる必要がないんです。その場でできるんです。むしろその方が早いんです。
 昔は、公会計の、また決算委員会というと二年ぐらいおくれていた、それを一年に短縮した。実はもっと短縮できるんです。企業は三カ月でやっていますから、そうすればもっともっと……(石原知事「国は三年おくれです」と呼ぶ)そうですね、おっしゃるとおりです。知事はよく理解されている。さすがだと思います。
 そういった意味で、私は、ぜひとも、なかなか抵抗勢力は強いかもしれませんけれども、複式簿記と発生主義会計を公会計の中にももう導入できる時代になった、このように考えておりますが、財務局長、どうでしょうか。

○安樂財務局長 東京都が行っている事業には、確かに採算性とか収益性のみをもって論じられないものがあります。そうした事業は、バランスシートを作成し、分析することには必ずしもなじまないと思います。
 ただ、今お話しありましたけれども、一方で、資産と負債の関係、あるいは事業に要するコストを正確かつタイムリーに把握して、適切な運営を期すべき事業もあります。そうした事業には、複式簿記による財務諸表を作成することが非常に効果的であるというふうに考えられます。
 ただ、こうした事業に対して、現在、国の法改正がないままで、複式簿記を都の単独で、都独自で導入したような場合には、やはり地方自治法に基づきます財務諸表、財務書類といいますか、そういうものの作成と重複した業務となりますので、ある意味で非常に効率が悪いといいますか、そういうことになることは否定できないと思います。こういう点で、現在、非常に苦慮しているところであります。こうしたことから、複式簿記と発生主義会計を導入するにはいまだ至っていないと、そんなような状況にございます。

○東村委員 二つつくるのは効率が悪いという話がありました。確かに国の法律というのはなかなか変わらないんです。権力闘争ばかりやっていますから、国民の方に目が向いていない国の政治家ですから、変わらないんですよ。まさに、私は、東京都から変えていくべきだ。私は、石原知事のキャッチフレーズが大好きなんです。東京から日本を変える。私は、世界も変えていけるのが今の東京だと思っています。
 そういった意味で、東京の今の喫緊の課題は、効率がいい、悪いという問題もあるかもしれない。ただ、一番やらなきゃいけないのは、やっぱり財政再建なんですね。そのために今、借金がどれだけあって、本当の資産がどれだけあるのかということをきちっと把握しなきゃいけない。
 知事は、第一回定例会の本会議の中で、相撲に例えて、東京都は、もう幕じりの一番下まで落ちたんだという話をされました。そこで私は、ぜひともこの財政再建の有効なツールとして、本当に複式簿記と発生主義会計を導入した機能するバランスシートをつくるべきだと、こう思いますが、財務局長、どうですか。

○安樂財務局長 確かにお話のように、財政再建を達成するためには、徹底した施策の見直し、再構築、現在これを行っておりますが、こういうことが必要であります。その際、事業によっては、バランスシートを活用して事業ごとのコストを把握するなどの取り組み、大変有効な手段になるというふうに考えております。
 このため、現在、各局が所管事業のバランスシートを自主的に作成していく際のマニュアルというものを作成中であります。あわせまして、バランスシートを分析するための必要な事業、あるいはその手法などにつきまして、現在、中地東京都参与を中心とする専門グループもありますので、そちらにもお願いしながら検討を進めているところであります。

○東村委員 マニュアル化も確かに大事なんですけれども、決断したら、むしろ本当に早いんです。こういうのは徐々にできるものじゃないんです。むしろ決断したらすぐできるんです。
 そういった意味で、私は、東京都は確かに十八年度まで収支見通しを立てている。ところが、資産、負債についての見通しは全く立てていないんですね。私は、今ここに(パネルを示す)ニュージーランドの発生主義による、いわゆる中期予想財務諸表、その中の、全部で、いわゆる財務業績報告書、貸借対照表、そしてキャッシュフロー計算書、東京都と一緒なんです。
 ところが違っているのは、その年度の資産、負債と、そしてキャッシュフローと財務業績を見ながら、五年間の予測を立てている。例えば、借入金なんかは、実は一九九八年が三百七十八億九千二百万ドルだった、これが二〇〇二年には三百六十三億四千九百万ドルまで下げると、具体的に出して、実はこの資金の流れもこうなるんだというところまで出しているんです。その上で、ニュージーランドは、実は三カ年の中期財政戦略というものをつくっているんですね。さらに十年分の財政戦略というものをつくっています。
 さっきもいいましたけれども、この四月に公認会計士協会がパブリックコメントとして公会計原則を出します。これは国の方が実は認めてきているんですね。そういった意味で、私は、ニュージーランドにできて東京にできないことはないと思います。今こそ知事の決断を促したいと思います。石原知事、どうでしょうか。

○石原知事 おっしゃるとおりでありまして、会計の発想というか、方法を変えていきませんと、中期の見通しというものはつきませんし、それがないために、国の行政が典型ですけど、行き当たりばったり、その場その場ということで、大きなロスが講じられてきたわけであります。
 ついでに申しますと、バランスシートをつくり、外部監査も入れたおかげで、いろんなことがわかってきましたが、これなんかまた、要するに委員のアドバイスもいただきながら、考え直していかなくちゃいけないことですけれども、つまり何をもって、どういうふうに資産として評価するかということも、非常に難しい問題でありまして、例えば東京がやっています地下鉄も、調べてみると、いっているほど負債があるわけではない。ならば、そういう新しい認識を踏まえて、営団との合併ということも、向こうが忌避しているようですけど、新しい会計のベクトルでいったら十分可能なことだと。それがまた都民に新しい利益をもたらすと思うんで、とにかく会計の発想、方法というものを絶対に変えていくことが急務だと私は認識しております。

○東村委員 今、話がありましたが、ぜひとも私も手伝いたいと思います。東京のためになるんだったら、手伝って頑張りたいと思います。ぜひとも変えてもらいたい、そう思っているわけでございます。あえていわせていただいて失礼ですが、今の東京には戦術はあっても戦略がない、そういう思いでいっぱいでございます。やはり戦略を立てなきゃいけない、もうそういう時代になったと、こう考えているわけでございます。
 次に、都立病院改革マスタープランについて、特に小児病院の統廃合問題、なかんずく八王子の小児病院の統廃合問題について何点かお伺いします。
 五年前の平成九年三月十三日、この予算委員会の場で、私の前任者であります白井常信議員--みんなから、よく、タイプは似ていないといわれます。しかしながら、思いは同じなんです。白井さんも私も、この小児病院にかける思いは同じなんです。この白井常信元議員が、八王子の小児病院の移転拡充について当時の衛生局長に質問いたしました。衛生局長、当時の衛生局長はどう答えたんでしょうか。

○今村衛生局長 ご指摘の質問に対しまして、当時の衛生局長は、速記録では、八王子小児病院は「とうきょうプラン’95」に計画されているとおり、移転改築を予定している。現在、八王子市という地域で果たしている役割から、移転改築する場合でも、同じ八王子市内で改築をしたいと考えている、との答弁を行っております。

○東村委員 大事な部分ですから、もう一度議事録を持っていいます。「八王子市という地域で果たしている役割から、移転改築する場合でも、同じ八王子市内で改築をしたいと考えております。」はしょられましたけど、次が大事なんです。「現在、八王子市内において幾つかの適地を検討している状況でございます。」ここまで答弁でいい切っているわけでございます。
 では、今回、マスタープランでこの八王子小児病院はどうなるのか、局長。

○今村衛生局長 都立病院改革マスタープランでは、限られた小児医療資源を最大限有効に活用するために、清瀬、梅ケ丘と統合し、小児医療に関する都の拠点として、心から体に至る総合的で高度専門的な医療を提供する小児総合医療センターを府中病院の隣接地に整備することとしております。
〔「違うじゃないか」「とんでもないよ」と呼ぶ者あり〕

○東村委員 今、やじも飛びました。違うんです。今回のマスタープランは、五年前の予算特別委員会でのこの局長の発言を百八十度転換するものであります。どうしてなのか、局長、もう一度答えてください。

○今村衛生局長 都立病院改革会議報告は、単独施設としての移転案は、小児科医師の減少問題や周産期医療、成人後の対応等、小児専門病院の課題の解決にはつながらず、限られた医療資源の活用という面でも限界があり、合理的でないといたしまして、都内全域を対象にした小児総合医療センターを府中病院に隣接して整備すべきものといたしました。今マスタープランは、この都立病院改革会議報告を尊重して策定したものでございます。
 この間、東京都保健医療計画でも、住民に身近な地域医療の確保については、基礎的自治体である区市町村の主体的な取り組みを基本とすると明確に規定しておるところでございます。

○東村委員 今、局長のいわんとすることは、毎回毎回聞いていますから、しゃくし定規でよくわかります。
 ただ、八王子及び西多摩--西多摩というのは本当に広いんです。奥多摩町、檜原村、あきる野市、日の出町、福生市、ちょっと青梅は考え方が違うみたいですけれども、二十三区が二つも入るんですよ、局長、この地域というのは。走ってみてください、二十三区が二つ入るんですから。あのときの局長の答弁に本当に都民の方は期待をしていたんです。これは掛け値なしで本当なんです。だから本気になってみんな怒っているんです。私は、予算委員会の答弁というものはそんなにも軽かったのかということを改めて局長に問いたいと思います。

○今村衛生局長 都立病院改革マスタープランは、先ほども申したとおり、小児科医師の減少など小児医療を取り巻く環境の変化を踏まえながら、従来の計画を変更したものでございます。都全体の小児医療の水準の向上を目指すものでございまして、地元の方々のご期待には反することとなり、大変申しわけないと思っておりますが、ぜひともご理解を賜りたいと思います。

○東村委員 ご理解賜りたい--私みたいに、人のいい人間でしたらすぐ理解できるんです。ところが、都民の人はだれも、三多摩の西多摩、八王子の都民は、本当に今、裏切られたという思いでいっぱいなんです。この思いを忘れないでもらいたいんです。
 ただ、これは局長にいい続けると、また同じ答弁が判で押したように返ってくるだけですから、改めて今度変えていきたいと思いますが、ここで、マスタープラン、マスタープランといいながら、中に書いてある文章をだれも取り上げてくれない。私はこれはもう十回読んだんです。もう本当に読みました。その中でこう書いてあるんですね。八王子小児病院が統廃合された後どうなるかということが書いてあるんです。何て書いてあるか。「周辺の大学病院、公立病院等に対し、小児救急医療等の確保について、都として協力の依頼を行っていく。」と書いてあるんです。ここでいう公立の病院や大学病院というのは具体的にどこを指すのか、局長、答えてください。

○今村衛生局長 八王子市内の東京医科大学八王子医療センター、東海大学八王子病院、さらには八王子市を含む南多摩保健医療圏内の多摩南部地域病院、日本医科大学附属多摩永山病院及び周辺の各市立病院などを指しております。

○東村委員 この中で八王子市内にあるのは、東京医科大学の八王子医療センター、そして東海大学の八王子病院、この二つなんですが、本当にこの二つの病院が今の都立小児病院のかわりができると、局長、心の底から思っているんですか。

○今村衛生局長 八王子小児病院が現在提供しております高度専門医療につきましては、市内の二つの大学病院や小児総合医療センター等と連携することによりまして、また、実態として担っている地域医療につきましては、地域の医療機関とのより一層の連携強化を図ることによりまして、それぞれ確保できるものと考えております。

○東村委員 今、確保できるという話がありました。実はこの四月に東海大の八王子病院がオープンするんです。私も先日、一時間かけて医師と一緒に回ってまいりました。その中で、病的新生児のベッドというのは三床しかこの東海大病院にはないんです。しかも、自分のところの大学病院で生まれた新生児で異常があった人しか受け入れをしないと。ほかの病院から受け入れてくれますか、ほかの病院から受け入れてくれますかと何度も聞きました。それはできませんと断られました。これについてどう考えているんですか。どうするんですか。

○今村衛生局長 東海大学八王子病院につきましては、何度かお願いに行っておりますが、周産期母子医療センターとしては整備されていないが、産科と小児科を標榜する病院であり、地域の周産期医療に大いに貢献できると考えられます。
 今後、病棟の開設状況に応じて、多摩地域周産期医療連携強化事業への参画や、将来的には、人的、財政的問題をクリアいたしまして、周産期母子医療センターとしての整備を働きかけてまいりたいと、こう考えております。

○東村委員 働きかけていきたい、将来的にはという話がありました。でも、本当に三床しかない。しかも、周産期母子医療センターも、将来、働きかけていきたいといっているんです。ただ、東海大病院にやる気がないわけですから、決意の域を出ないわけなんですね。都は本当に、あくであろう小児医療の穴をどこまで真剣に埋めていこうとしているのか、もう一度答弁を求めたいと思います。

○今村衛生局長 小児医療につきましては、都と地元自治体や地域の医療機関等がそれぞれの役割分担に基づきまして、協力して対応すべきものであると考えております。ご懸念の地域医療の確保につきましては、引き続き地元自治体や地域の医療機関等と協議しながら、また、ご出身の都議会議員さん等にもご活躍願いながら、地域の実情に応じまして、必要な支援策を講じてまいりたいと、こう考えております。

○東村委員 必要な支援策を講じていく、これはまず第一義的に都がやらなきゃいけないんです。
 幼いお子さんを抱えたお母さん方が、先日、一万五千人の署名を持って、知事あてに提出に来られました。私もご一緒させていただきました。局長、覚えていらっしゃるでしょう。本当にいたいけな子どもを連れたお母さんがいらっしゃって、局長も心を動かされたとおっしゃっていました。
 私は、この思いを無にしちゃいけないと思って、厚生委員会で二度にわたって小児病院の統廃合の問題を取り上げました。その中で、緊急時には五分から十五分以内に八王子小児病院に駆けつけなければ命を落としてしまうという、重度の在宅難病治療患者のお子さんのことを申し上げてまいりました。衛生局の大塚病院企画担当部長も、八王子小児病院に行って、この在宅難病患者のお母さんに会って、そしてお子さんに会って、涙されていました。
 私は、衛生局、情が通っているな、いいなと思いました。そのときに、本当にその大塚さんの涙が、私は今回のマスタープランの一文になったと思っているんです。読み上げたいと思います。「在宅難病患者等、小児総合医療センターに通院が困難な患者については、今後、具体的な対応策を検討するなど、配慮をしていく」ということを書いてくれました。これは画期的なことで、私は大変に感謝していますし、一歩前進して、衛生局はやっぱり人の命を本当に考えてくれているなということを、あのときは実感しました、きついことをいいましたけど。
 そこで、具体的にどのように考えているのか、答えてください。

○今村衛生局長 ただいまの通院が困難な患者さんにつきましては、きめ細かく対応していくつもりでございます。
 その際には、身近な地域の医療機関で必要なサービスが受けられますよう、東海大学八王子病院を初め地域の医師会、医療機関等と十分協議いたしまして、密接な連携をとることによって安心できる医療体制を確保していくよう、私たち、汗をかいていきたいと思います。
   〔「余り変わりないな」と呼ぶ者あり〕

○東村委員 余り変わりないという声が飛びましたけど、私は、医療体制を確保していく--さっきは配慮をするという一言だけだったんです。これが、確保するということを今回答えてくれたことに、私は一歩前進の感謝をしているんです。
 その上で、都は、三次医療を担っていく担っていくといっていますけれども、今いった在宅難病患者の治療も三次医療です。そうですよね、局長。そして、さらに新生児NICUやドクターカーというのが八王子小児病院にあります。これも三次医療なんです。
 そこで一つお聞きしたいんですが、平成十三年度にドクターカーによって八王子小児病院に搬送された数と、そのうち分娩にドクターカーが立ち会った数を、千五百グラム未満の新生児、そして千グラム未満の新生児に分けて答えてください。

○今村衛生局長 平成十三年四月一日から平成十四年三月十一日までの実績でございますけれども、千グラム未満の新生児のドクターカーによる搬送数は十五名、うち分娩立ち会いをしたのが十二名で、千グラム以上千五百グラム未満の新生児のドクターカーによる搬送数は二十四名、うち分娩立ち会いをしたのは十五名となっております。

○東村委員 千グラム以上千五百グラム未満が、二十四名中十五名立ち会いした。いわゆる九名は立ち会っていないんですね。さらに、千グラム未満の中で、十五人中三人は分娩の立ち会いをしていないんです。これはどういうことかといいますと、わかりやすいようにいいますと、新生児が生まれてから、そこで初めて異常があるということに気づいて、それからドクターカーを呼んで、ドクターカーが出発して受け入れたということなんです。
 私はよく、そういうことは本当にありませんかというと、衛生局は、府中の小児総合医療センターに母体が異常な段階で搬送すれば、そこで生まれるから大丈夫なんだということをよくいわれました。でも、こういう事実があるんです。これについてどうするんですか。

○今村衛生局長 ただいまハイリスク妊娠の母体の受け入れ体制の件でございますが、総合周産期母子医療センターを設置することによりまして、多摩地域におけるハイリスク妊娠の母体の受け入れ体制が強化されます。いわゆる新生児搬送例は少なくなるものと予想されております。
 一方、事前に予知し得ない低体重の出生も考えられることから、小児総合医療センターの整備に当たりましては、ドクターカーを新たに配備するとともに、多摩地域の新生児医療に対応可能な医療機関との連携強化を図ってまいりたいと考えております。

○東村委員 今、ドクターカーを配備するといいました。府中の小児総合医療センターから八王子市内まで何分かかるか、消防庁にデータを調べてもらいました。平均で二十六分四十三秒、渋滞時には三十分以上かかる。しかも、今私がいったように、生まれてから呼ぶわけですから、往復で五十三分二十六秒かかります。ドクターカーには医師と看護婦が同乗しますが、それだと万能じゃないということを八王子小児病院の院長さんがおっしゃっていました。このような事実を考えたときに、一刻一秒を争う新生児、この命が危険にさらされるようなことになるということをいいたいんです。したがって、小児医療というのは、やはり特別なんだということを私はいいたいわけです。
 多摩西南部地域に府中の小児総合医療センター、確かに立派です。そこまでいかないとしても、高度医療で何としても地元のニーズにこたえる、八王子小児病院のような三次医療が地元に必要であると思うんです。
 そして、こうした地域の実情を踏まえながら、確かに小児科不足という医療資源も確保しなきゃいけない。しかしながら、これにも配慮しながら、高度医療を初めとするこの地域の小児医療に、積極的に東京都は取り組んでいかなきゃいけない、私はこう思いますが、どうですか。

○今村衛生局長 ただいま、東村委員と、それからお母様方の大変な状況というのは十分理解できますし、大変貴重なご意見だと思っております。
 今後とも、地域に必要な小児医療の機能を確保するために、八王子小児病院の再編整備計画にあわせまして、あと五年も六年も先になるかもわかりませんけれども、大学病院、公立病院等への働きかけを重点的に行うなど、幅広い視点から小児医療の充実を図ってまいりたいと考えております。

○東村委員 幅広い視点というのを、ぜひとも持ってもらいたいんです。局長、これじゃだめなんです。幅広い視点をお願いしたいんです。
 そして、今、平成十年度につくられた東京都の保健医療計画、これが見直しの段階に入っていると聞きました。ぜひとも、都立病院改革マスタープランという小さな枠じゃなくて、保健医療計画という大きな枠組みから、やはり緊急の課題である小児医療について整理していく必要がある。
 保健医療計画の中で、例えば、東京都における小児医療のあり方検討会などを立ち上げるくらい重要な重みを持って、小児科医の確保対策とともに小児医療の充実策を、何とぞ最優先課題として取り組んでいくべきじゃないかと、私はこう思うわけです。局長、どうですか。

○今村衛生局長 ご指摘の小児医療の充実は、小児を取り巻く厳しい状況の中で、喫緊の課題であると認識しております。
 保健医療計画の改定に当たりましては、最重要事項の一つといたしまして、検討の場である推進協議会での議論を深めながら、関係機関の意見も聞き、小児医療の一層の充実に向けた具体的な施策を盛り込みながら、その実現に努めてまいりたいと考えております。

○東村委員 最優先事項とするという話がありました。私は、一歩前進の闘いができたと思います。まさに私は、この八王子小児病院の問題に、議員生命をかけて取り組んでいるわけでございます。そのために厚生委員会にも入ってやっているわけでございます。ぜひとも、今後とも徹底してこの問題をやってまいりたいと思います。
 次に、八王子-新宿間の高速道路料金の問題について、三多摩格差の一つとして、今まで何人かの諸先輩方がこの問題を取り上げてこられました。
 昨年の十一月二十七日に、石原行政改革担当大臣がリーダーシップをとられまして、この首都高速道路公団を含む主要七特殊法人の廃止、民営化を決定し、道路四公団については、新たに第三者機関を設置して、経営形態のあり方や整備のあり方、料金水準についても議論をするということになっているという話を聞きました。そこで、この問題を改めて取り上げたいと思います。
 まず、首都高速道路公団は現在、東は、また南は、北は、そして西は、どこまでエリアとしているのか、答えてもらいたいと思います。

○木内都市計画局長 現在、首都高速道路は、東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県の一都三県に及びまして、その供用範囲は約二百七十キロメートルでございます。
 その範囲としては、東側は湾岸線の千葉県市川市の高谷まで、西側は四号線、新宿線の高井戸出入り口まで、南側は横浜市金沢区にある湾岸線の幸浦出入り口まで、北側は高速埼玉大宮線の新都心西出入り口までとなっております。

○東村委員 西だけ、杉並の高井戸までなんですね。あとは埼玉、千葉、神奈川まで行っているんです。
 首都高速であり、実態として資本金を調べました。十二年度末五千九百七十億、そのうち東京都は千六百億、二七%出資している。国と合わせて七七%。さらに、東京都は無利子で貸し付けまでやっているんです、千八百九十七億。いわゆる三多摩の都民も東京都民です。三多摩都民の税金もここに注がれているわけです。
 なぜ、今まで三多摩の都民がこの首都高速の恩恵を受けることができなかったのかということを強く局長に求めたいと思います。

○木内都市計画局長 つながっているところの先の中央自動車道は、東京と主要都市を結ぶ都市間の高速道路として、国土開発幹線自動車道建設法に基づき、日本道路公団が設置及び管理をしている道路でございます。
 一方、首都高速道路は、都市内の自動車専用道路として設置されているものでございまして、交通ネットワーク上の位置づけなどが異なるため、現在のような経営形態となっているわけでございます。

○東村委員 今、経営形態が二つに分かれているという話がありました。八王子から新宿まで、合わせて片道千三百円かかるんです。
 先日、石原行政改革担当大臣が愛知県での講演で、道路料金が安くなったと国民に実感してもらわなければならないとか--これは読売新聞です。日経には、金を新路線建設に使うか通行料金の引き下げに使うか、第三者機関は、国民主体に考え、料金の値下げも議論してほしいということを述べています。
 このことについて、息子さんがこういうことをいっているわけでございます。父親の都知事として、この首都高速道路の料金の割高についてどう考えているのか、お願いしたいと思います。

○石原知事 石原大臣の発言は私がいわせたんです。(拍手)
 とにかく今、構造改革で、いろんな公共団体の統廃合がいわれておりますけれども、いずれにしろ、電車の方では、私鉄もJRも含めて同じチケットで乗っていけるような形になっていまして、それは本当にお客の便利というものを考えた上だと思いますけれども、とにかく既存の高速道路の料金所の区割り区割りというのは、私も非常に解せないものでありまして、これは速やかに合理化すべきものと思いますし、政府にも強くそれを要望していくつもりでおります。

○東村委員 以上をもって私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○土持副委員長 東村邦浩委員の発言は終わりました。

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