東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○比留間副委員長 続きまして、林知二委員の発言を許します。
   〔比留間副委員長退席、和田副委員長着席〕

○林委員 どうぞよろしくお願いします。私は、秋葉原のITセンターと、そしてたしか議案第九十号、東京都医療保護施設条例を廃止する、それに関係する民生病院のことに関しまして質問させていただきたいと思います。
 この二つの案件とも、都有地を処分するというのが伴っておりますので、まず財務局長にお尋ねをしますけれども、財産の取得といいますか、処分に関しては、議会の議決に付すべき契約及び財産の取得又は処分に関する条例で議会に付すかどうかを判断するわけでありますが、土地に関しては二億円以上、そしてそれに加えて二万平米以上ということになっています。
 秋葉原の土地は、もともとは二万四千二百平米だったかな、そして換地後は一万五千七百平米ということで、議会に付さなければならない。あるいは、民生病院の方は、たしか一千坪だから三千三百平米ぐらいだったと思いますけれども、金額は三十六億ちょっと超えますが、二万平米を割っているということで、議会には付さないということですが、この条件がどう考えても、東京の現実と離れ過ぎているというように思うんです。その点、どうでしょうか。

○安樂財務局長 東京都の場合、議会の議決を要する土地の売買は、ただいまお話がありました二万平米以上、かつ二億円以上と条例で定められております。このもとになりますのは地方自治法の規定でありまして、自治法では面積二万平方メートル以上で、かつ予定価格七千万円以上を議会の付議案件というふうに決めております。
 確かに、ご指摘のように二十三区内で二万平米以上の物件というのがあるのかと、非常に少ないというのは、確かにそうだと思いますが、この東京都の条例は、その面積につきましては法の規定をそのまま持ってきておりまして、現在の法がある限り、この基準より下回った規定というのができませんので、ご理解いただきたいと思います。

○林委員 そのことは承知しているんですけれども、今局長おっしゃられたように、二万平米以上の取引というのは大変少ない。そしてまた、秋葉原の土地にしても、二十坪ちょっと超えれば二億円になっちゃうんですね。二十数坪で二億円ですから、それがちょっと現実と離れているなというふうに思っております。
 私、財政委員会に入っていますので、あしたありますから、この延長戦はあしたやらせていただきますので、よろしくお願いします。
 それでは、ITセンターに関してですけれども、十二年九月に知事が現地を視察しまして、十二年十二月の定例議会で、あそこを処分して、ITの世界的な拠点にしたいという発言をなさいました。あそこは平成元年から、神田市場が移った後から空地として使われていなかったわけでありますけれども、そこを国鉄の清算事業団の持っている土地とあわせて区画整理事業をして、基盤整備を進めているところであります。
 そして、先般、一月三十一日までの募集をやめて売却を決めたわけでありますけれども、駅前の大変すばらしい、将来性のある、含み資産もすごく持っているだろうと考えられる土地を売却するという判断を、どのような考え方からやったか。ほかの方法も、例えばPFIだとか定借だとか、あるいは土地信託みたいな形でできなかったのか。いずれ適当なときに売却するとしても、今価格が一番低迷しているときに売らなければならなかった、そうした経緯なり理由なりを教えていただければと思います。

○浪越産業労働局長 都有地の活用方法については、土地信託、PFIなど、いろんな形態があることはご指摘のとおりでございます。
 秋葉原駅前都有地の場合は、建設するITセンターが激しい技術革新に的確、迅速に対応していかなければならないこと、また、IT関連産業の集積を図るという機能を十分に発揮できる柔軟な運営体制が必要であることなどから、民間事業者の知恵と力に期待することが最も適切と考え、民間の自主性が最大限に生かせる売却方式を採用したところでございます。

○林委員 あれは、たしか先ほど申し上げました平成元年に市場会計から一般会計へ移したわけでありますが、そのときがたしか三千六百億円を超えていたというふうに思います。そうしたことを考えあわせても、もう少し時間をかけて、あるいは産業労働局に所管替えをしましたけれども、財務局の方の意見も当然聞いているのかもしれませんけれども、ちょっともったいないなという気がしてなりません。
 それで、その土地の値段ですけれども、私も現地へ大分通いまして、不動産屋さんも十三社ばかり電話で話したり、直接訪ねたりしました。ちょうど参考になる取引事例としては、東側に平成十三年十月にヨドバシカメラ、逆かもしれませんけど、そして富士ソフトABCというのが東側の土地を取得しております。その土地と比べるのが本当は一番いいのではないかなと思うんですけれども、周辺の業者の話では、あの中央通り、ありますね。あの周辺、あそこに面したところで空き地が出れば、恐らく坪千六百万円以上で売買が行われるんじゃないかというようなことをいっておりましたし、また容積率の大体一・二倍から一・五倍ぐらいが秋葉原は相場なんだというような話も聞きましたし、また現実に後から結構詳細な資料を送っていただいた業者などもおりますけれども、その今申し上げました東側の取引事例などは、価格ですけれども、東京都としてはとらえているんでしょうか。

○浪越産業労働局長 株式会社ヨドバシカメラ及び富士ソフトABC株式会社が日本鉄道建設公団から購入した額については、非公開とされており、承知しておりません。

○林委員 私も、不動産取得税から換算できないかなと思って、主税局の方にも伺ったんですけれども、先ほどいったように、まだ換地が終わっていないものですから、公図にも出ていないということで、わからないということでございました。
 とにかく鹿島が買ったのは坪八百五十万ぐらいですから、東京都がいろいろな条件つけた中ではやむを得ないという業者も数社ありましたし、それの鹿島の使い方によって、ある意味では不動産取引ですから、価格は前後するものだというふうには私自身は思っております。
 そして、大変すばらしい場所ですよね。今、国会で都市再生特別措置法が審議されております。これを使って、あそこの開発をやることができるのかどうか。例えば、今八〇〇%ですけれども、容積率をアップして、開発事業者サイドでそういう仕掛けといいますか、そういう計画を進めることができるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。

○木内都市計画局長 都市再生特別措置法案では、都市再生特別地区は都市再生緊急整備地域の中で、事業者から提案を受けて指定すると規定されております。
 現在、法案が国会で審議中でございまして、緊急整備地域についても、あるいは特別地域についても、まだ未定でございます。

○林委員 ありがとうございます。私が聞いているところでは、三月中に一応成立をさせて、七月から施行するというような話を聞いておりますが、あのグループに引き渡すのが六月だというふうにも聞いております。そういう意味では、素人のうがった見方でありますけれども、三街区の一ですけれども、十二万平米ですか--のビルを建てるわけですね。基礎を物すごいいい基礎にすれば、五年後はフリーハンドでできるということでありますから、それに上乗せするようなことはできないのかなというようなことも考えております。そうすれば、事業者サイドで申請して特別地区の指定をもらえば、最高一三〇〇%ぐらいまで容積率をアップできるというふうにも聞いておりますので、ぜひ結果的に企業がもうけるというようなことのないようなことを注視していただきたいなというふうに要望しておきたいと思います。
 それで、応募資格についてお尋ねさせていただきたいと思いますが、これは十二月七日に募集要項が配布されて、締め切りが一月三十一日だというふうに伺っております。そして、一社だけしか結果的には応募した会社がないということでありますけれども、やはり一社だけというのが私はすごく引っかかるところがありますし、またこの期間が余りに短過ぎたんじゃないかというふうにも思っております。年末年始が入っているわけですから、それも加味すれば、やはり短いんじゃないかなと思いますけれども、東京都サイドとしてはどういう考えのもとでこの期間を設定したか、教えていただきたいと思います。

○浪越産業労働局長 公募期間の設定方法については、統一的な基準はなく、事業案件ごとに適切な期間を設定することになっております。
 今回、公募期間を約二カ月としたのは、一つとして、公共事業の入札、契約手続の改善に関する行動計画に定められております公募型プロポーザル方式の最低提出期間四十日を超えていること、二つ目として、公募時に参考資料としてITセンターの機能別専有面積、平面図などを配布し、民間事業者に理解を深めてもらうとともに、プラン作成作業の短縮化を図ったことなどから、民間事業者が英知を結集して取り組み、プランを完成する期間として、短過ぎる期間でないと考えております。
 さらに、グループの編成についても、意欲のある民間事業者は、平成十二年十二月の知事の土地売却宣言や、昨年三月に発表された導入機能調査報告書に基づき、企業活動を開始しています。十分な時間があったと認識しておりますし、私ども、この秋葉原の土地は、秋葉原ITセンターを主としてつくるものでございまして、それは大変ITというのは、変化の動きの激しい時代におきまして、できるだけ早期に建てなきゃいけないということも念頭に置きまして、あそこの土地を秋葉原IT関連ビジネスの世界的な拠点とするということで、ITを主とした土地ということでございます。

○林委員 導入機能等については、イベントホールだとか、あるいはショールーム、それから産・学連携の施設をということだとか、あるいは駐車場などについては、確かに十三年三月、幾つかの報告書なりガイドラインが発表されていますけれども、それでわかるかと思うんですが、このグループの組み方で一番肝心なのは、十万平米以上の建物を建てたか、それからまた十万平米以上のそういうビルを管理しているか、その条件自体は十二月七日になって初めて出たんだと思うんですよ、そのように聞いていますけれども。
 そうすると、当然これをやっていきますユーディーエックスもそうですけれども、企業グループ、企業コンソーシアムとかというらしいんですけれども、それにならざるを得ない。ゼネコンを中心とした、そうしたグループを組織しなければならない。このユーディーエックスも、聞くところによりますと三十六社で構成しているということでありますが、その三十六社とか三十とか四十という数字を考えただけでも、二カ月ないんですから、実質的には五十五日ですけれども、年末年始の期間も減るわけですから、十二月七日で知った人は。そんなの、休んでやれというふうにいわれるかもしれませんけれども、そういう意味でも余りに短い。
 そして、応募者が、応募した会社が一社というのも、やはり東京都が募集する、公募するという意味では、私としては短かったんじゃないかなというふうに思います。
 あわせて、審査委員会についてお伺いをしますけれども、審査委員会が設けられて、結果を出すまでは非公開ということでありました。審査結果を読ませてもらいましたけれども、学識経験者といいますか、民間の有識者が三人、それから都庁内の財務局長、都市計画局長、それから産業労働局長、それから濵渦副知事が入っておられましたけれども、その民間の三人の有識者は、それぞれ分野が違うんですよね。僕の判断ですからね。ITの先端技術の専門家、産・学連携の専門家、それから都市計画の専門家、そしてあと残りの四人はすべて都庁の方々ということですと、周辺から見て本当に厳しい、迅速に、何か三つぐらい書いてありましたけど、そうした審査ができたかどうか。
 そして、その中でわからないところは専門家に尋ねることができる。その専門家を選ぶのも、その審査委員会のメンバーの中で選ぶ。結果としては、専門家に聞くところはなかったということでありますけれども、この構成についても、どのような考え方でこの構成を組織したかということなんです。

○浪越産業労働局長 審査委員に学識経験者としてお願いした方は、秋葉原ITセンター構想を最もよく理解している方、まちづくりに関する深い造詣を有する方、秋葉原に対する愛情と理解を有する方でございまして、都が提示した秋葉原ITセンター構想の具体化を図る上で、最も優れた計画を選定していただけるよう、少数精鋭主義としたところでございます。
 また、審査委員会の設置要領では、必要があると認めたときは委員以外の者の出席を求め、意見を聞くことができるとの条項がございますが、結果として委員以外の方から意見を求める必要は生じなかったわけでございます。

○林委員 私が疑問に思った点だけをたださせていただいているわけでありますので、もう一つはアセスについてなんです。
 一昨日も渡辺議員が質問しておりましたけれども、これはどうしてアセスをしないでいいというか、もう少し環境局として厳しくというか、指導する方法があるんじゃないんでしょうかね。

○赤星環境局長 アセスのお尋ねですが、現行の環境影響評価制度では、対象となるべき事業及び規模要件は、条例、規則で明確に規定してございます。これに該当しない事業につきましては、条例に基づくアセスメント手続の対象とはなりません。
 しかし、環境の確保に関する配慮の指針の活用や、本年六月から施行いたします建築物環境計画書制度などによりまして、環境への配慮がなされるものと考えております。

○林委員 (資料を示す)開発するところがここだとするでしょう。この角に共同住宅で四十階建て、百四十メートルぐらいの四万平米程度のビルが建つわけですよ。隣は消防署ですけれども。この地域に九九・九メートル、十センチ低いだけ、そして二十一階建てですよね。それで、十二万平米、十二万を超える建物ですよ。そして、こっちに二十九階建てで四万六千平米ぐらいの百四十二メートルのビルが建つわけです。
 この底地すべての基盤整備は、東京都施行でやっているんですね。この土地は東京都の土地なんですよ。そこに建てるんですよ。それでも東京都としての指導の仕方がないというのはどうなのかなというふうに思うんですけれども、一般の人に話したら、そんなのおかしいよって、僕は百人に聞けば百人返事するだろうと思うんですよね。もう一度、局長、済みません。

○赤星環境局長 お答えいたします。秋葉原のITセンターに提案されている内容では、二棟の建物はそれぞれ条例の対象規模未満となっております。それから、二棟の建物はそれぞれが独立した建築物でございまして、延べ床面積の合算対象とはなりません。現在の条例では、対象となりません。

○林委員 もう承知はしているんですけれども、ぜひ今いったような形で、東京都が絡んで、東京都がアセス逃れの片棒を担いだというようなことをいわれないような、今後も指導をしていただきたい。ぜひお願いをしたいと思います。
 きょうも、この間話に出た六本木のあれが新聞の記事になりましたけれども、そうしたことのないように、ぜひしていただきたいと思います。
 このITセンターのことでは、最後に、私、まちに随分行きまして、大学生のころもよく行ったんですけれども、一坪ショップといわれる電気街、もう本当にすばらしい、僕はああいうの、大好きなんですよね。それからあそこからすごく成長して、周辺でもう本当に手広く商売をやっているようなお店もたくさんあります。
 (パネルを示す)あの種のにぎわいと、ここにあります、これはもうイメージ図ですから、すてきにかいたんだろうと思うんですけど、ITセンターに集まってくるにぎわい、向こうのにぎわいとこっちのにぎわい、ちょっと僕、異質なんじゃないかなという感じがするんですけれども、それをうまくマッチングさせる、そんな考えをお持ちかどうか。
 そしてまた、地域の人たちは、本当に地域の人たちの要望をかなりというか、もう一〇〇%に近い形で取り入れてくれたということもいってました。もう何人かの人に会って話しても、一様にそういうふうにいってましたし、早く建ててほしいということもいっていたことは率直に申し上げますけれども、このにぎわいに関して、あと地域との連携に関して、できるだけ早く答えてください。

○浪越産業労働局長 ITセンターがIT関連産業の集積を促すという目的を達成していくためには、地域との連携が不可欠でございます。
 このため、昨年三月に発表した導入機能調査報告書は、電気街や地元自治会の方々とともに作成しており、今後設置される地元のまちづくり協議会へも民間事業者の参加を義務づけております。
 また、事業者からは、お話の一坪ショップなどの電子部品販売業者と世界のユーザーとの間の電子商取引を仲介するWebマーケットの提案もなされており、着実な事業展開のためにも、地元と密接な連携を図るよう指導してまいります。

○林委員 ぜひ石原知事の、本当にスピードのある、こうした計画を実践していくということには大変評価をしているのでありますので、今申し上げた点を注意深く見守りながら、すばらしい開発をしていただきたいというふうに思います。
 もっとやじられるかと思って覚悟していたんですけれども、次の質問に入らせてもらいます。
 都立民生病院について伺いたいと思います。
 民生病院は、昭和二十八年に開設されて、行路病者といいますか、いわゆる行き倒れの人たちの仕事をずっと手がけてきて、今日まで本当に大きな役割を果たしたというふうに思います。
 それが、このたび条例を廃止して、民生病院の底地も、隣にあります済生会の方に売却をするということでありますが、その交渉経緯だとか、どういう考えでそういうことになったのか。衛生局でも結構いろんな施策をやっていますし、産業労働局でも年末の越冬資金だとか、いろいろなところでホームレス、あるいは行路病者に対する施策をやっているのは承知しているんですけれども、今お尋ねした点にぜひお答えをください。

○前川福祉局長 今のお話がありました点は、非常にいろんな広い話になり、よろしゅうございましょうか、かなりちょっと長くなります。(林委員「なるべく早目に」と呼ぶ)それでは、まず背景と経緯から申しますが、今お話がありましたように、そもそも民生病院は、昭和二十八年に開設をされた。当時は医療費の負担能力のない住所不定者等の生活困窮者というのは、都内の医療機関が大変少なくて、質も低かった。そういうことで、一般病院での入院を拒否される例が多くて、社会問題化をしていた。こうした対象者を治療、保護するための、しかも応急的な医療施設として設置をされたわけであります。
 その後、生活保護法に基づく指定医療機関の増加と診療報酬体系の整備等もあって、現在、多くの医療機関においては民生病院と同様の対応ができるようになってきております。これが背景であります。
 こうした背景をもとに、医療事情が大きく変わった。それから、民生病院自体がもう五十年もたって、医療法の基準にも不適合なほどに建物、設備が老朽化した。そこで見直しをするというのが問題の出発であります。
 次に、その見直しに当たっての考え方でありますが、こういった前提のもとにいろんな方法を検討いたしました。選択肢はたくさんあったわけです。十年以上も検討したわけですが、例えば(「もっとやってください」と呼ぶ者あり)いや、それは事実でありますが、市街地再開発の一環とするといったようなことも含めて、あるいは都立病院であることも含めて検討いたしましたが、ただ、前提として三点あるだろうと。
 一つは、民生病院が担っているホームレス等の受け入れについては、これは率直にいって、例えばシラミがたかっていたりとか、悪臭がしたりとか、普通の病院では受け入れることが大変難しい方がいらっしゃるわけです。そういう方をどこかで引き受けなくちゃいけない。そのための病院として民生病院がやっぱり必要だ、民生病院機能が必要だと。しかし、現在の建物、設備は老朽化していて、早急に何らかの形で新しい機能を持った施設をつくらなくちゃいけない。それが二点目です。三点目に、ただ、これは都立である必要はないだろう。民間医療機関も充実をしてきておりますから、機能継承がなされれば、それでよろしいのではないかという判断をしたわけであります。
 先ほど交渉経過のお話がありましたが、こういったことを前提にして、この民生病院機能を確保するための手法の一つとして、民生病院の開設時から管理運営を受託をしてきた済生会とも協議を行ってまいりました。この間、平成十二年十二月には、東京都の行政改革プランにおいても、その見直しが課題として取り上げられたわけであります。
 こういう中で、一昨年、平成十二年の夏に、済生会から民生病院の機能を継承する条件として、大きく二点、一つは用地の大幅減額による売り払いをしてもらいたい。それからもう一点、必要な病棟を建設するから、その建設と運営にかかる経費について補助をしてもらいたいという要望が具体的に出てまいりました。(林委員「十月」と呼ぶ)平成十二年の夏です、七月です。
 これに対して、私どもは、民生病院を本当に機能継承する意思があるのか、どういう内容ならいいんだということを確認をしながら協議を進めて、その過程で私どもは四つの条件を示しました。
 まず、用地は、適正な価格では売却をするけれども、つまり機能継承を確実にやったら、適正な価格、時価で売却はするけれども、減額は一切しない。それから済生会は、その際に民生病院機能を継承する病棟を新たに建設をすること。三点目に、新たな病棟の建設と運営にかかる経費についての補助も一切しない。その他一切特別な扱いはしないという条件を明示したわけであります。
 これを受けて、また向こうから申し出等があって、協議を続けて、昨年末に至って、済生会が都の示した条件を全面的に受け入れる、これを前提に民生病院機能を確実に継承するとの意思表示があった次第でございます。
 こういう経過で、私どもは、都の公有財産管理運用委員会、財産価格審議会にも諮って、売却の是非と価格を決定した、これが一連の経過でございます。

○林委員 もう少し教えますよ。今、局長がおっしゃっていた、とにかく民生病院の機能をどういうふうに継承させるかということがポイントなんだろうと思うんですけれども、逆に今、シラミがたかっていたりとかなんとかとおっしゃっていましたけれども、そういう同じ作業を他の病院も、九八%の病院がその医療指定を取ってやっているわけですよ。
 それで、十二年度の実績ですけれども、民生病院では患者さんは年間で七百十一人。墨田区にある白鬚橋病院は八百七十一人、それから墨田区にあります山田記念病院というのは八百六十八人、ほかの病院では大体年間四千人前後扱っているようであります。衛生局から資料をいただいたんですけれども、そういう意味では十分、今の時代はそれぞれの病院がこの機能を担っていけるというふうに思うんですよ。
 それで、あの土地をなぜ売却しなきゃいけないのか。先ほどもいいましたけれども、(図を示す)ちょっとこれ、後でまた使いますけれども、ここが赤羽橋の交差点です。この先が東京タワー、それで大江戸線が開通したばっかりですよ。土地の立地としてはすごく--ここが民生病院の敷地ですから。
 そういう意味では売却を合わせた形での--東京都の考えですよ、済生会が欲しいというのは十分知っていますから。東京都としてはもったいないんじゃないかなという思いがいたします。
 そして、今の病院が続く限り委託業務を続けて、あるいは何年後、三年後、五年後に今の売却の話をするとか、含めて、十年かかったとかというのも承知しておりますけれども、そんな感じがいたします。
 そして、売却の交渉をする構図が、どうしても私はいただけないといいますか、済生会の中央病院の会長は、昨年の八月三十一日まで前々の知事の鈴木俊一さんがやっておりました、昭和五十九年から平成十三年八月三十一日まで。そして、現在は元の副知事、僕は知りませんけど、野村鋠市さんという方が今、鈴木さんの後の会長になっています。そして、中央病院のほとんどの業務を仕切っております業務担当理事というんですか、関岡さん、元の福祉局長、企画審議室長ですか、その関岡さんが交渉相手なんですよ。
 それで、福祉局の課長さんなり係長さんなりが行って、今、局長がおっしゃった交渉をするわけですよね。やはりこういう構図は、一般の人が見ても、僕もあんまりいただけた話じゃないなというふうに思います。しかも、三十六億の土地を売るか売らないかという交渉ですから、その点に関してはどうですかね。
 それで、ついでにあれなんですけれども、(「知事答弁、知事答弁」と呼ぶ者あり)ちょっと待ってください。知事の兼職だとか、あるいは副知事、教育長、兼職を調べさせてもらいました。
 本来でしたら、石原知事が当選したときに済生会病院の会長にかわっていただければかなり変わったのかなというふうに思っておりますけれども、鈴木知事はやめられた時点では百九十四団体の会長なり評議員なり理事なりやっています。青島知事は九十七団体、それで現在、石原知事は七十四団体、六カ月前は八十二でしたから、八団体、半年の間で、僕からすれば減らしていただいたというふうに思います。
 こうした形が、石原知事がいみじくも施政方針でおっしゃっておりました日本の国は最も成功した社会主義の国だ、社会主義が最も成功した社会をつくっているというふうにおっしゃっておりましたけれども、こうしたいろんなところの兼職をするということが、ある意味では官僚の王国をつくっていく一助になっているんじゃないかなという気がいたします。
 そういう意味で、この済生会病院の会長、向こうが選んでいるというのもよくわかりますけれども、知事のお考えをちょこっと教えていただければ--じゃあどうぞ、いいですよ。

○前川福祉局長 私から、大変恐縮ですが、ちょっと事実関係が間違っておりますので、申し上げたいと思うんです。
 一点目は、対象として、民生病院の対象と一般の指定医療機関とが同じだ、これは全く誤解でございます。現在、一年間に救急搬送される住所不定者が約一万人おります。その中の大半は、おっしゃったように(林委員「入院治療じゃなくて」と呼ぶ)いえ、救急搬送されます。そのほとんどはおっしゃったように一般の指定医療機関に行きます。
 しかし、その中で、民生病院は平成十二年の実績で四百七十五名、こういう方々が一番問題なのであります。先ほど申し上げたように、シラミがたかったり、汚れていたり、悪臭があったり、あるいはアルコール依存症だったり、基本的な生活習慣がない。そういう方々を受け入れる場所がないんです。それを民生病院が機能として担ってきた。この機能は消せないのです。それをぜひ、誤解ですから、ご理解いただきたい。それが一点目であります。
 二点目に、なぜ売却をしたか。それは、売却をすれば、都にとって、都政にとって一番得だからであります。福祉サービスをやる上でも一番得だからです。なぜかと申しますと、この民生病院機能は単に病院があったらいいというわけじゃないんです。今お話しをしたように、対象が特殊で、それに対するケアも特殊ですから、これについては十分な経験と実績がなくちゃいけない。しかも、単に救急だけをやるんじゃなくて、すべての診療科目を備えた総合病院で、一体でやらなくちゃいけないわけなんです。
 そういう意味でいって、民生病院を活用してやっていくのが、総合的に判断して、都政にとって一番メリットがあると私ども判断をしたわけであります。
 三点目の件ですが、これも大変誤解がおありになるわけですけれども、鈴木知事は長年やっておられましたが、一昨年ですか、昨年でしたか、おやめになって、その後私どもの知事は、一切これは継承されておりません。会長をなさっておりません。
 それから、野村元副知事がそちらに行かれた経緯について、私ども全く知っておりません。もし知っていたら、これは好ましくないという指導をしたでありましょうけれども、残念ながら了知しておりません。
 それから、関岡さんという理事がいることは事実でありますけれども、この方の存在が今回の私どもの判断に影響したことは全くありません。先ほど申し上げましたように、済生会の側は一昨年来から、土地の大幅な減額をしてほしいという話があったのは、それは一切私どもは聞いていないわけであります。ぜひご理解いただきたいと思います。

○林委員 おっしゃっていることはよくわかりますし、民生機能をなくしちゃいけないというのも全く同感ですよ。だけど、あすこの病院だけで現実としてやっているわけじゃないんですから、ほかの病院でも今いった、洗濯といったら失礼ですけれども、入浴をさせてやっているというのも聞いていますよ。そういう意味ではそれでいいんです、そういうふうに思います。
 今の交渉の構図ですけれども、一般の都民がそういう図式にあるというのを聞いたら、知ったら、どう思いますかという、その感覚をやっぱり持ってほしいということなんです、と思います、僕は。
 それで、もう時間がないからお話ししますけれども、この図、全部国有地なんですね。ここが済生会の中央病院、この赤いあれが。それで三田国際ビル、三田高校があります。それから港保健所、これすべて国からの払い下げでありますけれども、済生会の土地はこういうふうになっているんです。こんな地型の土地を持っているのは--前はここまで持っていたんですよ、昭和四十六年までは。それを、ここを、民生病院が東京都の土地に国有地と物々交換をして、ここが東京都の土地になった後、ここを売っているんですよ。後ですよ。ここが東京都の土地になったら、これを売りますか。信じられないんですよ。
 それで、今は独自では建てかえがきかないんです。ですから、欲しいのはわかるんですよ、民生病院側が。そして、局長もよくご理解いただいていると思うんですけれども、(「民生病院じゃない、済生会だよ」と呼ぶ者あり)済生会側が欲しがるのはよくわかるんですよ。
 局長も中央病院の中のいろいろなことはご承知だと思います。ぜひこういう機会に、売却をするという機会に、中には本当に二十年、三十年勤めて、一生懸命済生会病院を盛り立てていこうというお医者さん、あるいは職員も大勢いるわけです。こういう機会にぜひ適切な指導をしていただいて、健全化に、そしてまた将来性のあるすばらしい(「どこに問題があるんですか、それは」と呼び、その他発言する者あり)細かくいわないとわからないんですよ。そういう努力をしていただきたいと思います。
 知事、さっきの兼職の部分だけちょこっと、兼職をいろいろな、例えば鈴木知事が物理的にいえば百九十四の兼職をしていて、とても物理的には務め切れないわけですよ。知事は今、七十五ぐらいですから、それでもかなり多いなと思いますけれども、そうしたことが、ある意味では官僚社会をつくっているんじゃないかということであります。--何もないですか、なければいいです。
   〔和田副委員長退席、委員長着席〕

○石原知事 私は怠け者ですから、知事になった限り、なるたけ知事の仕事に専念したいと思いますので、兼職はできるだけ減らしたいと思います。今やっているのはほとんどたわいないもので。(笑声)
 ただ、この済生会病院は、林さんも恐らく同じものをお読みになったんで、私、「中央公論」に載った内部告発のようなものを読みました。個人的にもいろんな事情聴取をしましたが、その限りのその文章は、世間に対する説得性がないですよ。私はやっぱり物書きですから、それを読んだときに、ああ、こんなことか、非常に感情的な恣意的なものも入っていまして、どこの組織にもいろいろごたごたがありますけれども、それをもって、つまり何というのかな、それを書いた人たちの立場がすべて正しいとは思いませんし、どこにでもあるようなケースだなと。何でこんなものを「中央公論」たるものがわざわざ取り上げたのかなという感じがいたしました。
 詳しいことは私、わかりませんけど、その限りにおいては、どこにでもあるようなたわいない問題、結局、組織の中の抗争の勝ち負けというんでしょうか、それは非常に私情絡みのものだなという感じがいたしましたけれども。

○星野委員長 林知二委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時二十八分休憩

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