東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○星野委員長 三宅茂樹委員の発言を許します。
   〔委員長退席、比留間副委員長着席〕

○三宅委員 初めに、質問の順序が入れかわりますことをお断りいたします。
 まず、都市再生について何点かお伺いします。
 東京都市再生の目玉である臨海副都心開発について始めます。
 このほど、臨海地域開発財政基盤強化プランがまとめられました。知事の指示のもとに、収支の両面から事業を大胆に見直したというだけに、今後の施設整備の凍結など、思い切った内容となっております。
 経営とは、環境変化にいかに迅速に効果的な決断ができるかであります。見直しに当たっては、都民参加の集会を開き、各界の意見を聞きながら慎重に計画そのものを見直してなどという意見があるようですが、この開発は、もはや形而上学的な議論をする段階でもなく、都政にそんなゆとりはありません。
 知事の迅速な土地売却方針の導入の決断は大いに評価するところですが、今回のプランで、長期収支均衡の前倒しを見込めることとなった主な要因についてお尋ねします。

○川崎港湾局長 前回平成九年の試算では、収支均衡年度を平成四十八年度としておりましたが、今回の見直しにより、十七年前倒しが見込め、平成三十一年度となりました。
 その主な要因は、まず、三会計統合により会計の財政基盤を確固たるものとした上で、今後の整備費を大幅に削減し、維持管理費等の負担を見直したことにあります。
 さらに、前回の試算では土地処分の前提を長期貸付としておりましたが、今回は売却を原則としたため、資金回収の早期化が図られ、均衡年度の前倒しに大きく寄与しております。

○三宅委員 今回の事業見直しによって、今のご答弁にありましたように、臨海副都心開発は事業の採算性を確保したという見方をしたいと思います。当面、安定的に事業が進められることになりましたけれども、土地を売却していくとなれば、市場メカニズムのリスクにさらされるわけであります。他の開発地域との競争に勝つために、企業が進出しやすい環境を整えることも本当に重要になってまいります。
 首都再生に向けて、臨海副都心開発は大きな可能性を持っております。この開発の成功が都民に何をもたらすのか、知事にお聞きいたします。

○石原知事 おっしゃるとおりでありまして、これから他の地域との熾烈な競争も行われるようになると思いますが、しかし、りんかい線が間もなくあそこに乗り込み、大崎へつながることになりますと、あの地域がむしろ汐留などよりももっと有利になって、一種のハブの地位を占めることにもなり得ると思います。
 それでまた、汐留の開発はつまびらかにいたしませんが、いずれにしろ、何といっても水辺との触れ合いがあり、レインボーブリッジもあり、ああいった東京になかった都市の景観、それからまた非常にアミューズメント施設の集積などによりまして、現在も日本全体から地方の方々が連休などはたくさん来られておりますが、そういう特異性というものを生かして、私は、今後東京にとっての活力を増進するための有力な拠点になると思っておりますし、また、そう心がけたいと思っております。

○三宅委員 今の知事のお考えを実現するには、毎日の日常的な任務、港湾局の皆さんが局長を中心にしっかりやっていただきたいと思います。
 次に、都市再生にこれは水を差す、東京の社会問題について質問をいたします。
 電柱や街路樹に取りつけられている違法な張り紙やいわゆる捨て看板、美観、風致を損なうばかりでなく、通行の妨げになって、東京を訪れた観光客に強い不快感をもたらすことは必定であります。これでは二十七億円の血税を使う観光産業の振興も、危ういものとなるのではないかと懸念する次第であります。
 各地区の行政や東京電力さんは、違反広告物の除去に、毎年膨大な数を処理をしているわけですね。しかし、いまだ道路上の電柱や、最近では交通標識の、要するに信号機のポールにまでこの違反広告物が非常に目立つ状況になっております。
 違法な広告物への対応は、ある意味では行政だけでは限界があって、市民などによって、日常的に通年監視、除去するシステムを整えていかないと、これは実効性が上がらないというふうに思います。この捨て看板、特に不動産業者のものが多い現状です。一部の業者の違法行為によって不動産業界全体のイメージがダウンする、そういった心配から、不動産業の団体から、除去作業をみずから行いたいとの要望がもう一昨年から出されているわけであります。しかし、なかなか実現をしない。
 昨年の三定、我が党のフレッシュマン、小美濃議員が質問し、同じ昨年の、選挙前でありますけれども、一定のときに私も質問いたしました。その折の局長答弁を踏まえて、これは一番大事な--国がいかに何もしないかという見本なんですが、屋外広告物法第七条第四項、この改正がいまだにできていない、このことと、それから民間団体の違反広告物取り締まりへの参加についても、非常にやはり動きが悪かった。現在の状況についてご説明いただきたいと思います。

○木内都市計画局長 東京都は国に対しまして、違反広告物の即時撤去が簡易に実施できるよう、屋外広告物法の改正を引き続き要望しているところでございます。
 東京都といたしましては、いわゆる捨て看板について、実質的に即時撤去ができるよう、昨年十一月、独自にガイドラインを策定いたしまして、そのことを区市に通知し、実行しているところでございます。
 また、民間団体による違反広告物の撤去は有効な方法と考えており、撤去の際のトラブル防止策等について、区市とも協議をしているところでございます。
 なお、世田谷区などでは、お話があったかと思いますけれども、既にこうした協議を踏まえて、町内会であるとか不動産業等の民間団体に対する委任の準備を進めているというふうに聞いております。

○三宅委員 一つ前進した答弁、ガイドラインをお出しいただいたということであります。しかし、お国の方は全然変わりません。要望しているということですが、もっともっと私どもも協力して、これを改正したいと思います。きょうは警視総監お見えですけれども、これはまた警察のご協力もぜひいただかなければいけないと思っております。
 次の質問に移ります。
 東京の再生には、道路整備の推進は極めて重要であります。しかしながら、都の財政再建は道半ばで、財源は限られております。このため、少ない経費で大きな効果が期待でき、地元のきめ細かな要望なんでしょうけれども、大変強い要望のある踏切道の改善やバスベイの整備などを効果満点道路事業として位置づけ、進めていくと聞いておりますが、これは大変結構なことであると考えます。
 そこで、この事業の中の踏切道の改善については、どのような踏切を対象に計画を定めたのか、また、その整備効果と、東急目黒線奥沢駅前の踏切拡幅への取り組みについてお伺いします。

○山下建設局長 踏切道の改善につきましては、都道と平面交差する百三十四カ所の踏切のうち、立体交差などの改良計画がなく、踏切内の歩道が二メートル未満の踏切五十カ所を整備対象といたしました。これらの踏切内に歩道を新設または拡幅することにより、歩行者や自転車の安全確保、交通事故の防止、自動車のスムーズな通行による渋滞解消などの効果が期待できます。
 また、奥沢駅前の踏切道改善につきましては、昨年十月、東急電鉄と踏切内の歩道を拡幅することで基本的な協議が調っております。現在、施工方法や整備スケジュールなど、詳細な協議を進めております。
 今後とも、東急電鉄、地元関係者の理解と協力を得て、平成十四年度末の完成を目指して事業に取り組んでまいります。

○三宅委員 また続いて都市再生でございますけれども、昨日も佐藤委員から話が出ていましたが、民間の総意や資力、信用などを背景として、都市再生事業を緊急かつ大胆に行おうとする都市再生関連法案が、現在通常国会に提出されております。そのために、都市再生の地域としては、東京駅周辺や秋葉原周辺など、都心部の限られた地域のみが脚光を浴びているという状況なんです。
 しかし、これは青山副知事も何か座談会でご発言をされたようでございますけれども、本質的な都市再生というのは、私の地元である世田谷区を初めとして、周辺区の密集市街地の改善、要するに地震に備える、当たり前のことでありますが、そしてまた地域の拠点となる駅周辺の再整備が、本当の意味では重要な課題だというふうに私は考えております。
 ですから、まず、この密集市街地を再生する一つのモデルケースになっておりますけれども、私の世田谷区の太子堂地区、三軒茶屋の近くでございますが、ここが、お国から都市再生第三次プロジェクトの密集市街地の緊急整備を行う地区として取り上げていただいた。加えて、都の防災都市づくり推進計画の重点整備地域にも含んでいただいている。
 この太子堂地区は、何回かお話出ていますけれども、国立小児病院のあるところなんですね。ですから、この跡地の活用によって、こういったまちづくりが本当に地域住民にとって効果的である、納得のあるまちづくりにしていかなきゃいけない、大事な注目されるプロジェクトになりつつあります。なっているかもしれません。そこで、こういった密集市街地の改善をどのように図っていくのか、お尋ねいたします。

○木内都市計画局長 太子堂地区につきましては、都市基盤整備公団が国立小児病院跡地を買収する予定でございまして、その跡地整備に当たりましては、良好な居住機能の導入のほか、緊急時の一時集合場所となる防災空地や、道路整備に必要な代替用地などを確保することが望ましいと考えております。
 これらの実現に向け、公団や地元のまちづくり組織との連携を図り、地元区とともに効果的な防災まちづくりを積極的に進めてまいります。

○三宅委員 ぜひ隠し事を余りしないで、地域住民から信頼が得られる都市計画行政をよろしくお願いいたします。
 次に、先ほど申し上げました駅周辺の地域の拠点となる再開発についてお伺いします。
 世田谷区の二子玉川東地区、ここのエリア、平成十二年に再開発の都市計画決定がされました。二年たつわけですが、こういった地域拠点の整備というのは、ある意味で非常にバランスのとれた都市の再生につながると思います。ただ、二年間動きがありません。何か事情があるんだと思いますが、そのおかげで地元の商業者や住民は非常に不安を強めておりますが、現在の都の見解をお伺いします。

○木内都市計画局長 この再開発事業は、二子玉川園跡地を含む区域面積が約十一・二ヘクタールと、我が国で一番大きい組合施行の再開発でございます。再開発準備組合では、事業の採算性や地権者の意向を踏まえ、駅前地区や住宅街区などを先行整備し、段階的に事業を進めていく予定でございます。
 東京都といたしましては、先行地区の平成十四年度事業化に向け、地元区及び準備組合と調整を進めてまいります。

○三宅委員 地域拠点として再整備が必要な地域、もう一つあります。私は、最近ここが大変気になっておるんですが、三軒茶屋二丁目の密集市街地であります。イメージからしますと、新宿駅の何とか横丁というところに大変似通った雰囲気の町でありますけれども、ここで昨年小さな火事がありました。ただ、一歩間違えれば大火になるおそれがあったと聞いております。
 この地区の出火の事実と延焼火災の危険性について、東京消防庁にお伺いいたします。

○杉村消防総監 かつて、当地域に隣接しております太子堂四丁目においても、多くの建物が焼損する大規模な火災がございました。お尋ねの三軒茶屋二丁目の密集市街地における昨年中の火災発生状況は、先生ご指摘の建物のぼや火災を含めて、三件発生しております。
 この街区につきましては、木造防火造の建物が密集し、道路も極めて狭いということから、火災が発生したならば、消防活動も困難で、延焼拡大する危険性を秘めております。このため、当地区を管轄する消防署においては、火災による被害の軽減を図るため、消防対策の万全を期しております。

○三宅委員 このように大変に火災の危険性が高い、しかも、当然木造のかなり老朽した店舗がびっしりとつながっていますから、阪神・淡路のレベルの震災、地震が来れば、ひとたまりもないだろうなと。夜、お客さんでにぎわっている地域ですから、大変な惨状になるんじゃないかというふうに心配をしております。
 ですから、ここの再開発の話がなくはないんですが、先にどうも進んでいないようなんですね。この再開発はぜひとも進めるべきと考えますけれども、東京都の見解をお尋ねします。

○木内都市計画局長 三軒茶屋仲見世商店街周辺地区では、再開発準備組合が平成五年に設立されまして、まちづくりの検討が進められてきましたが、土地所有者の準備組合への加入率が低いこと、さらには事業協力者も決まらないことなどから、再開発の計画が現在では固まっていない状況にございます。再開発事業を進めるには、こうした課題を地権者や地元区が中心となって解決していくことが必要でございます。
 東京都といたしましても、当地区の再開発が具体化されるよう、今後、区や関係機関と鋭意調整を図ってまいります。

○三宅委員 ぜひ視野の中から消さないようにお願いをいたします。
 次に、中小企業政策についてお伺いをいたします。
 日本は、あくまでもみずからの文明に根差した政治経済のシステムを構築し、自負を持ってそれを運営しなくてはならないと、知事は「文藝春秋」に寄稿されておりました。まさに同感とするところであります。グローバリゼーションなどという言葉に惑わされ、自国の果たすべき責任、守るべき有形、無形のものを見詰めようとする意識を日本は今全く失ってしまっている、こういった事態を、私は議員の端くれとして看過できない思いであります。
 知事も、その寄稿された中で述べておりますが、アメリカのグローバルスタンダードとは、アメリカの利益になる基準ということであって、その基準に追従することは我が国にとっては不利益なものである、こういうふうに述べられておりますが、そういった認識を、私は国を愛する者は持たなければならないと思います。
 しかし、まことに残念なことは、昨日の委員会でもたびたび指摘をされておりますけれども、現実は、BIS規制に追従しているその結果、国際業務がほとんど皆無に近い地域の金融機関が、東京のまちからその姿を消しつつあります。もう不況で体力の弱った中小企業は、あたかも血液を抜き取られて死を待つばかりの惨状であります。私は、守るべきは守るという自負を持って、日本は独自の産業政策の骨組みをつくるべきだと考えるものです。
 国の課題ではありますが、知事に、産業政策に臨む基本的認識を、中小企業政策を念頭に置いていただきながらお尋ねいたします。

○石原知事 三宅委員は中小企業診断士とお聞きしておりますけれども、それゆえにかなり高い専門性をお持ちだと思いますが、診断士として、日ごろその仕事をして日本の中小企業を眺めておられて、恐らく私と同じように、余りにも努力の割、持っている能力、可能性の割に報いられていないという考えをお持ちだと思います。
 きのうもどなたかの質問に答えて申しましたが、やはり人間というのは、物をつくる、つくって売り買いをするということが基本の経済活動でありまして、アメリカのように、それを放てきして、一種のマネーゲームとしてM&Aを繰り返すことで、実は世界一位の市場でありました、非常にすぐれた技術を持ち製品をつくっていた工作機械などというのは、完全に抹消、淘汰されてしまいました。
 そういう轍を日本は絶対に繰り返してはいけないと思いますが、アメリカはそれにかわる一種のマネーゲームとして金融戦略を立てまして、物をつくって売り買いするいわゆる物経済の総量--かなりのものだと思いますが、さらにその二十五、六倍の金の動く金融市場というものを一方的につくり、日本の金利政策なども、アメリカのいわれるままに今日のていたらくでありますが、そういう厳しい状況の中で、やはり私たちは、人間の基本的な経済活動は、物を苦労してつくって、開発して、売り買いをするという、その基本的な担い手であります日本の非常にすぐれた中小企業というものを、もっと本質的に理解をして育てなければならないと思っております。
 ゆえに、東京は、CLOを含めまして、また、それを次代に担っていくインキュベーターというんでしょうか、新しいベンチャー技術を開発している人たちにも機会を与えておりますが、これはやはり基本的には、国がそういう認識、文明論を持って行うべき大事な施策であると私は思います。

○三宅委員 まことにわかりやすく知事の経済、産業に対する基本的な認識をご披露していただいたと思います。
 そこで、お聞きしたいんですけれども、今の知事のような認識をお持ちのお知り合いの国会議員の方は何人ぐらいいらっしゃいますでしょうか。

○石原知事 余りいませんですな。国会議員には、特に与党は、地方選出の人が多うございまして、都会選出の議員がかなり少ない。同じ東京でも地域によって随分違いますが、ですから、与党を構成している、特に自民党の国会議員の主なる通念は、中小企業というと、どうしても商店街になってしまうんですね。これは確かに商店街も中小企業の一つでありますけれども、私たちが念頭に置いているのは、特に金融の対象にして助けなくちゃいけないと思っているのは、いろいろな技術を持ち、無限の可能性に近いものを持っている、物をつくる能力と技術、それを兼ね備えている、いわゆる大企業というものが実はそれによって支えられているような、そういう中小企業をもやはり念頭に置かなければいけない。そういうコンセプトがほとんどの国会議員に足りない。例外的な人は何人かおられますけれども、余りにその声が少ないというのが、今の国会の現況でもあると思います。

○三宅委員 ありがとうございました。中小企業というカテゴリーは、非常にあいまい、しかも都合のいいようにいろいろ使われるカテゴリーだと思っておりますので、今の知事のお話というのは大変に私にとっては参考になります。
 先ほど私が述べました守るべきは守るという--守るべきとは、まさしく私は、地道に日本文明を培い担ってきた小規模事業者のことだというふうに思っております。そして、保護政策に過度に依存することを潔しとしないで、そのときその現場で必死に新しい技術や経営革新に挑んで、私財を投じて、自己責任を貫徹しながら、この東京で生活してきた中小零細事業者のことと思っております。
 債権放棄というような恩恵にもちろん預かることもありません。強い自己責任感ゆえに、みずからの命さえ絶つという、善良で誠実な中小零細事業者を守らなくして、日本に、東京に政治があるといえるのか、いつもそう思っております。
 雇用を生み出す新たな産業を興すための構造改革は、これは何としても実行しなければなりません。ただ、今申し上げたように、グローバルな業務も担うことができる大規模な事業者に行使する構造改革の手法とルールを、地域社会の担い手である--役割が違うんですね、役割が。大動脈と毛細血管と、同じ血管であっても役割が違うように、役割が違うにもかかわらず、こういった小規模な事業者に押しつけている、このことは断じて許してはならないと思います。
 改めて、知事の中小零細事業に対する認識と、現在進行中の構造改革に対する見解をお伺いします。

○石原知事 現在の内閣が行っている構造改革は、第一ステージとしては、いわゆる隣の中国やソビエトのような共産主義国でかつてありました、今、反省のもとに淘汰されつつある国営企業と同じものですね、日本の対象になっているさまざまな機関は。これを合理化するということのようですが、しかし、それと相まって、やはり日本の実は致命的な役割を果たしている、技術を持ち、物をつくる能力を持っている中小企業を救済するというところまで、とても手が及んでおりません。
 ですから、私、息子も通じて幾つかの建言をしましたが、RCCという機構もありますけれども、そこで、殺すものは殺すというんでしょうか、要するに吸収していくものは吸収するにしても。しかし、もし今、先ほどおっしゃったように、血液を注ぎ直せばよみがえってくる企業もあって、それはまた大きな収益につながるわけですから、それを--もうかっている企業も実は日本にはたくさんあります。そういったものに拠金させ、政府も分担をして、そういうものに対する投資というものが実は利回りのいい投資であるという例をつくっていけば、随分違うと思うんです。
 それと、この間、去年ですか、非常に親しい仲のマレーシアのマハティール首相にも申し上げたんですが、あそこはサイバージャヤのような非常に電子工学の進んだ町をつくろうとしていますが、それはそれで結構なことだが、しかし、やはり、現に収益をすぐ上げ得るような、そういう物をすばらしい技術でつくっている日本の中小企業も大々的に迎え入れて、昔、山田長政がアユタヤ王朝に日本町をつくったように、マレーシアでそういう中小企業を丸ごと受け入れて、そこで日本にいるよりも生産が上がる、それがまた、要するにマレーシアの収入になるような、そういう機構を考えてくれないかといったら、ぜひやりたいということで、唐津一先生に往復していただいて、今検討しておりますけれども、ちょっと向こうの動きが鈍いようでありますが、そんなことも考えておりました。

○三宅委員 今の知事のお話を承って、実はこの後、中小企業振興対策審議会という審議会がございます。私もメンバーでございますけれども、知事がなぜこの中小企業の審議会で物づくりというのにテーマを限定されたのかなと、このお話をお聞きしようと思いましたけれども、もう既にご披瀝されましたので、これは省略をさせていただきます。
 日本の国会議員さんはすぐ商店街になってしまうというお話がございましたけれども、これから東京の商店街の振興策についてお尋ねをさせていただきます。
 地域商業の活性化ということで二十四億円の平成十四年度予算、厳しい状況の中で前年対比七億も増額をしていただいた。本当にありがたいと思う。知事はそうおっしゃいましたけれども、都の商店街振興に取り組む意欲のあらわれとして高く評価をいたします。
 しかし、変化の激しい商業やサービス業に対応する商店街振興施策の立案の基礎的統計として、ある意味で非常に私は重要だと思うんですが、活用される商店街の実態調査費が、今年度は計上ゼロ、事業休止となっておりました。これは大変に私はがっかりをしましたし、どういうことなんだろうかなと。何をやるのでも、一つの事をなそうとするときに、現状分析をせずして、どのようにして計画を立案していくんだろうかな、こんな思いもいたしております。
 ただ、今年度の予算で調査が実施されたということです。その分析を楽しみにしながら、じゃ来年度の調査はどうなるんでしょうか、お答えください。

○浪越産業労働局長 商店街実態調査は、都内の商店街を取り巻く環境を的確に把握をし、その実態を商店街振興施策に十分反映するために、三年に一度行っているもので、今年度この調査を実施したところでございます。現在、その取りまとめを行っておりまして、近々その発表を予定しております。
 来年度は、調査を実施する予定はございませんが、東京都商店街振興組合連合会との情報交換や、さまざまな機会をとらえての情報収集に努めてまいりたいと考えております。

○三宅委員 商店街の実態を的確に把握するといって、三年に一回の調査でどうやってやっていこうと、これは。まあいろいろあるんでしょう。それ以上いうといけませんから。(発言する者あり)
 昨年の第一定例会で、私は、そういった激しい変化に対応する具体策をご提案いたしました。じゃもう一回、早口でいいます。私の提案は、商店街の取り組むIT化を継続的に発展させる事業と、今出た東京都が実施する商店街の実態調査をITを使ってリアルタイム化をする事業と、さらに、知事が再三述べられております商品情報のネットワーク化を連携させて--これはもうITの世界でやるわけですから、ソフトを組めばいいんですね。これを一つの新しい商店街のITネットワーク事業としてやったらどうですかと、一年前の本会議の一般質問の中でご提案をしました。
 このご提案に対し、知事からは、質問予定に入ってないとお断りされながらも、ご興味を示していただいて、議会と都庁が協力し合って、流通情報の分析など、具体的にどうやってやるのかを検討するプロジェクトチームのようなものをつくり、流通情報を分析することが、商店街活性化にとり大事であるというご発言と、ぜひよろしく頼みますよと協力の要請を受けたところなんです。
 加えて局長からは、東京都商店街振興組合に対し、売れ筋情報や、都が持つさまざまな情報を各商店街がリアルタイムで活用できるシステムづくりについて積極的に働きかけていくという、こういう答弁をいただいています。これは議事録を丸読みしておりますけれども。そこでちょうど選挙に入ったものですから、少し私も反省しなければいけないんですけれども、知事の協力要請に対して、我が党は昨年、商店街振興議員連盟を設立いたしました。この提案に対する検討を担当部局、そして都振連に対して働きかけをしてまいりました。
 私はこういった、知事から何度も提案をしてこいよということで、提案をいたしました、これは私だけの例でございますけれども。ただ、残念なるかな、それの実現の道というのは、ただ人の力を待っていたのではできないんだなと深く反省をしているわけでありますけれども、こういったことも一つ、都議会と都庁がそういった一つのテーマを持って、多分フィージビリティースタディーのことを知事はイメージされてプロジェクトチームのようなものとおっしゃったと思うんですけれども、もう一度知事のご所見をお聞きしたいと思います。

○石原知事 これは、やる気になれば、割とスムースにできることなんですけれども、都庁の中に別にITに精通している人もいるわけじゃありませんで、みんなたどたどしくやっているわけですな。
 私も、前にお話ししましたが、イトーヨーカ堂の伊藤さんが今日のシステムつくられて、いつでもノウハウは隠し立てしませんよ、商店街の役に立つなら提供いたしますと。我々のようなチェーンストアと商店街はちょっと違うと思いますけれどもと、それは念を押されました。その後、現社長の鈴木さんにも、ある席で念を押しましたら、喜んでご協力いたしますということだったんですが、あとは、私もいわれることをいろいろありましたけれども、あれどうなった、こうなったと聞かないので、それは局長が動いてないんだ。けしからぬ話でありまして、これから督励して、やはりやらせますし、どうか一回、理事者もそうですし、議員の有志の方々も、ヨーカ堂におもむいて、どういうソフトで、どういう計量計算をし、どういうデリバリー流通のシステムをつくっているかということを、一回目で見て、説明を受けられると--それをそのまま踏襲することはできないと思いますし、また都なりの工夫を加えればいいことだと思います。
 ただ、私は、自分の選挙区にそれぞれ何々区の区商連というものを持っていました。同時に、その区商連の会長さんが、ある時期、都商連の会長をしておりましたけれども、それは一酒屋のおじさんでありまして、人望が高いから要するに都商連の社長になりましたが、その人だけの責任で動かせといっても、今までコンピューターもいじったこともないような店屋のおじさんが、組織の上に立っても、全部で支えないと、とてもじゃないけれども、都商連の発意としても、そういう新しいシステムを導入していくことは難しいので、それこそ、あなたのような専門家に出ていただいて、リードしていただければと思います。

○三宅委員 大変ありがとうございます。ぜひイトーヨーカ堂さんに視察を実現したいと思っております。
 今、知事からいみじくもご指摘がありました都商連--都振連といういい方なんですが、東京都商店街振興組合連合会というのが正式名称で、略称都振連といっておりますけれども、知事の再三にわたるご指摘を得て--会長さんがかわりました。いずれにしても、改革をしなくちゃいけないということで、熱心に動き出して、浪越局長も頻繁に連絡をとられているというふうに聞いておりますので、ぜひ実現をしたい。ただ、都振連さんも、改革を始めたばかりでありますから、急にはできないでしょうし、ですから、私としては、このモデル事業なり、それからモニター事業でスタートするべきだと思いますが、どうでしょうか、局長。

○浪越産業労働局長 平成十一年度から三年間のまちづくり事業に取り組んでいる、例えば世田谷区の下高井戸の商店街は、商店街の情報化だけではなく、宅配サービスなどにITを活用してございます。また、平成十三年度には、ホームページを開設いたしました品川区の戸越銀座ネットや中野区の「ハートビートなかの」など、各地でIT化に取り組まれてきております。
 こうした意欲のある商店街のモデルも参考にしながら、東京都商店街振興組合連合会とも連携をして、効果的なITの活用方法と、情報の収集にITを用いたモニター商店街の立ち上げという、ただいまの二つのご提案については、その実現に向けて検討してまいります。

○三宅委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、雇用対策、知事は、雇用の危機を突破するという、非常にわかりやすい力強いメッセージを都民に発しておりますが、今、失業者の中で、何といっても一番再就職の機会に恵まれないのが、リストラをされた中高年のホワイトカラー、そして、再就職を阻む最大の要因は雇用のミスマッチであります。
 この最大要因を解消するために、東京都は、新たな職業能力評価制度の創設に取り組んで、その制度を危機を突破する強力な武器とするには、その評価者を私は東京都知事とすべきと考えますが、見解を伺います。

○浪越産業労働局長 ホワイトカラーの能力開発を促進し、転職を容易にするためには、キャリアを客観的に評価する仕組みが必要でございます。この場合に、個人の経験、能力等をだれが評価、認証するのかということは、評価制度が一定の権威を持ち、広く社会に受け入れられるために非常に重要な要素であると考えております。また、この制度が、企業とホワイトカラー双方から信頼され、定着していくことも重要でございます。
 このため、都は来年度から独自に、中高年を対象としたホワイトカラーキャリア評価制度を、民間の幅広い協力を得て、ご指摘の点を含めまして、検討してまいります。

○三宅委員 どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、きょうは予算委員会でありますから、来年度の産業労働局の総予算、見てみました。三千二百億円であります。これを分析してまいりますと、七割以上は制度融資に使う預託金でありまして、実際の事業費は四分の一にも満たないことが相わかったわけであります。
 また、百八十八億円という人件費を計上されております。雇用の危機を突破し、強い産業を興すという大事業を、この数字だけで見ると、職員のマンパワーを頼りにしてなし遂げようとしていることになるわけであります。
 私は、このマンパワーの、少しうがった見方ですけれども、質に不安を覚えております。なぜなら、先日の経済港湾委員会で我が党の田島議員が、失業率の計算は公務員数を除いてやらないと正確な数値が出ないという指摘をしたわけですね。この話、時間がないので、長くなるので、しませんけれども、そのように、こういった頼りにするマンパワーは、ある意味でですよ、ある意味で、失業とか倒産とは全く無縁な方々がこのマンパワーだと。ですから、雇用不安や経営不安にいら立つ都民に対して、まさかないと思いますけれども、失業することのない安全地帯から、お上の意識そのままに、おい、というような、おい、融資してやるというようなことはないだろうなと。あっちゃいけない。自己保全をしたり、自己弁護に終始したり、もっと楽に仕事したいよとゆとりのある勤務を望むような職員の存在というのは、本当に一名たりとも許されない。浪越局長は、就任以来、とにかくそんなことがあっちゃいかぬということで体質改善に全力を注いでいられることを承知しておりますが、念のために、職員の意欲と士気の現状についてお聞きします。

○浪越産業労働局長 産業労働局は、現下の厳しい経済雇用状況のもとで、倒産の不安を抱え、毎日の資金繰りに走り回る中小企業の経営者や、リストラの恐怖におびえながら働く勤労者と日常的に接している職場でございまして、当局に働く職員は、そうした都民の置かれている状況に常に敏感でいなければならないと考えております。
 みずからの生き残りをかけて厳しい日々を送っている都民の目から見れば、まだまだ不十分なものと感じられると思いますが、職員一人一人が、当局に課せられた職責の重みを再認識し、より一層意欲を持って職務に励んでいくよう努力いたします。

○三宅委員 あと二つ質問いたします。
 子どもたちに、お金を稼がないと生きていけないという教育を教育現場でやってほしい、そして、フリーターやパラサイトシングルを容認する親に対してもガイダンスをしなさい、これは教育長さん、お願いします。
 最後に、CLO、若い人にビジネスチャンスを与えて、明るい光が唯一期待できるこのCLOについて、ぜひ、これからどうなるか。直接金融をやっているわけですから、これは本当に大いな期待をしなきゃいけません。ぜひ、これについては、今後の取り組みについて知事から答弁をお願いします。

○横山教育長 小学校から、お話しのビジネスマナーであるとか、あるいはルールに関することなどを学びますことは、基本的な経済の仕組みやお金の大切さ、お金を得る厳しさを理解する上で意義あるものと考えております。
 都教委としましては、東京の教育二十一研究開発委員会でございますが、ここに高校商業部会というのがございますが、ここで起業家精神の育成に視点を置いた指導内容の研究開発を行っております。
 また、東京都教育研究員の高校商業部会におきましても、小学校から高校までのビジネスにかかわる教育内容の系統的な指導について、実践的な教育を推進しております。
 また、小中学校の教員から成る金銭教育協議会でございまして、ここでもいろんな事例について行っております。
 ただ、ビジネスマナーであるとか、あるいはルールに関する学習につきましては、学習指導要領で系統的には扱っていない、こういうことから、今後はご指摘の点を踏まえまして、都独自にこれらの研究成果を発達段階に応じて体系的にまとめ、各区市町村教育委員会や関係機関と連携を図り、学校を指導してまいります。
 それから、次の保護者向けガイダンスの開催についてでございますが、これにつきましても、学校において職業選択の大切さや社会人として必要な心構えを説明しまして、生徒の就職に関して家庭の協力を得ることは極めて重要でございます。学校では、保護者会等で社会人としてのマナーやルールを守ることの大切さや、あるいはフリーターは雇用保険等の面から非常に問題がある、こういうことを説明しまして、家庭で生徒と十分話し合うよう要請しているところでございます。
 また、企業から人を招きまして進路講演会を開催して、企業人としての心構えや必要とされるマナー等について、保護者に対しても話を聞く機会を設けている学校もございます。
 今後とも、生徒が望ましい勤労観、職業観を身につけるためには、保護者の理解が不可欠でございますので、保護者の啓発もあわせて行っていくよう、各学校を指導してまいります。

○石原知事 CLOに関しましては、前年、前々年の二回を上回る規模の債券発行額約八百五十億円、参加企業約二千五百社に見込まれておりますけども、今回、日本で初めて信用保証を利用しないで、リスクは金融機関が引き受ける純民間ベースのスキームを実現いたしました。厳しい景気低迷の状況にあって、中小企業への資金の供給に有効な手だてがとれたと思っております。
 ただ、別に愚痴をいうわけじゃありませんが、メディアもこういう問題は苦手なのか、余り評価を受けませんで、私はかなり注目されていい手だてを講じていると思います。
 それから、うれしいことには、今回の発行の債券の大部分は、日銀が買いオペレーションなどの対象として検討しているそうでありまして、他の債券と比べて信用度が高いということの一つの証左だと思います。こういうのは、やはり継続が必要でございまして、これから先も工夫を加えながら、新しいそういう体制というのをもっと充実していきたいと思っております。

○三宅委員 どうもありがとうございました。(拍手)

○比留間副委員長 三宅茂樹委員の発言は終わりました。

ページ先頭に戻る