東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○和田副委員長 織田拓郎委員の発言を許します。
   〔和田副委員長退席、土持副委員長着席〕

○織田委員 初めて予算特別委員会で発言の機会をいただきます。一生懸命に質問をしてまいりたいと思いますので、ご答弁の方よろしくお願いを申し上げます。
 最初に、環境問題から伺いたいと思います。
 知事は先日、「地球温暖化阻止 東京作戦」、この実施を発表されました。今回、都が東京作戦の中で提案した五つの政策自体は、まず国に実行を迫るものと位置づけられておりますけれども、同時に、都においても温暖化対策の強化を目指す独自の行動を進める、このようにされております。
 最もエネルギーを使う多消費型社会のアメリカが、京都議定書からのほぼ離脱を決め、オーストラリアもそれにつながるんじゃないかというようなそういう状況の中で、また一方、日本においても、まさに京都議定書をまとめた国であるにもかかわらず、ここ数年、ずっと二酸化炭素の排出量というのはふえ続けているというような実態があります。そういう中で、今回、東京は知事のリーダーシップで次々と施策を打ち出している、このことについては、心ある都民にとっても、大変心強く感じていることであろうというふうに私も思います。
 もともと地球温暖化対策、CO2の排出問題というのは、これは淵源を尋ねていきますと、文明そのもののあり方にかかわることだろうと思います。電気を使い、車で走り、煮炊きをする、光熱、水道、ガス、そういった生活の隅々にまでこのエネルギーを使わなければ生きていけないというような、こういう文明をつくった人類が、この地球的な制約というような中で今後も生き延びられるかどうか、こういったところに人類の英知をいかに発揮をするかということでは、知事がよく引き合いに出されますホーキング博士との、来日されたときのあの情景というもの、私も全く同感であります。
 そういった意味で、私は、地球環境問題というのは、単に行政だけがやっていていいというものでもないし、都民や民間事業者、いかに巻き込んで広い運動を起こしていくかということが最も大事だというふうに思っております。そういう意味で、地球温暖化対策を進める意欲ある個人、団体、企業、民間の幅広いセクションと共同して、地球温暖化対策の推進力となるような運動、これを東京都主導でつくり、底辺から大きなうねりを起こしたらどうか、私はそう思います。
 こうしたことも含め、まず冒頭、知事のこの地球温暖化対策に臨む決意を伺っておきたいと思います。

○石原知事 地球温暖化という問題は、地球が文明の進展とともに、いかに時間的、空間的に狭くなったとしても、それはまさにグローバルな問題でありまして、この問題について、地上に住む人間がすべて同じ意識を持つ、危機感を持つということはなかなか難しいと思います。
 人によれば、いや、今、少しは地球全体の温度が上がっても、もう一回大きな循環の中で、第三氷河期ですか、第四氷河期が来て、そのプロセスで地球もまた冷えていくというようなばかなことをいう人いますが、しかし、私たちそれをずっと見届けるわけにいかないわけでして、ホーキングがいった予言というものが当たったなといったんでは、もう追いつかないわけであります。
 そういう意味で、私たちは、志のある者だけでもそれを食いとめる努力を、それぞれの人間として、個人としての責任でしなくちゃいかぬと思いますし、東京が逆立ちして頑張ったって、この地球の温暖化を東京だけで食いとめることはまさに不可能でありますが、やはり東京という大きな自治体がメッセージを発することで、日本全体の意識も変わってくるんじゃないかということで、今回の「地球温暖化阻止 東京作戦」を指令しまして、五つの政策を提案したわけでございます。

○織田委員 個別の問題に入ってまいりますが、東京作戦は、オフィスなど大規模事業所に二酸化炭素の排出削減を義務づけるということを提案しております。確かに、工業部門は地道に努力をして、省エネ努力をしてまいりましたけれども、業務部門の方が随分おくれているというのは、これデータの上から明らかです、細かくは申し上げませんが。
 そこで、オフィスビルの省エネという点では、この都庁舎、以前からも随分取り組んでおられると聞いております。実績も上げていると聞いております。どの程度の削減実績があったのか、どんな方法で行ってきたのか、財務局長、報告をお願いします。

○安樂財務局長 平成三年にこの新宿庁舎に移転して以来、省エネには力を入れて取り組んでおります。
 平成十二年度の実績で見ますと、移転当初のピーク時に比べまして、削減量は、電気が二三%減、水道が三四%減、冷暖房用の冷温水で五〇%と大きく減ってきております。
 省エネの具体的な方法でありますが、昼休みや夜間の事務室の一斉消灯を行っております。それから、エレベーターホールや廊下の照明の七五%消灯、第一、第二本庁舎の南側のエレベーターの夜間運行停止、それから水道蛇口の流量調整、流量を絞っております。それから、冷暖房温度の抑制あるいはブラインド使用の励行、このようなことを行っております。

○織田委員 今お伺いをしまして、随分できているんだなあと感心をするわけです。二〇%、三〇%、あるものについては五〇%、コストという面で見ても、上水で三割、電気で二割、トータルでも三割ぐらいの削減ができている、こういうことは、この都庁舎、考えてみますと本当に大きな効果が出ている。小さなことを積み上げていっても大きな効果が出ているということは、これはみんながやればすごいことになると思うんです。そういう意味で、ぜひこういう事例、あるいはまたほかの業務ビルでもやっているところがあろうかと思いますが、こういうのをもっともっとPRをすべきだなというふうに思います。
 そういった意味から、今回、省エネ型にしていくということで、大事な点、もう一点申し上げたいと思いますが、これは持続的に、この社会が進んでいく中で、環境対策というものが進んでいくことを制度として組み込んでいくということ、これが私は一番大事なことであろうと思います。ともすれば意識が薄れがちになりますから、自然の中で、ビルトインされた中できちっと対策が進んでいく、こういう仕組みをつくらなくちゃいけない。
 そういう意味からいうと、今回、環境確保条例で、建築物環境配慮制度を創設いたしまして、床面積で一万平米以上の建物を対象に、新たに建設するものですけれども、いろいろ配慮をしていただくというような制度をつくる、大変いいことだと思います。六月から施行すると聞いておりますが、民間事業者に、これこれこういう取り組みをしますよという、その提出を求める環境計画書の指針が近く公表されるようですけれども、どんな内容でしょう、簡単に教えてください。

○赤星環境局長 六月一日から適用されます建築物の環境配慮指針でございますけれども、一つ目は、エネルギーの使用の合理化、二つ目が資源の適正利用、三つ目が自然環境の保全ということで、その分野ごとに配慮すべき事項を定めるものでございます。
 エネルギー使用につきまして具体的に申し上げますと、屋根や外壁の断熱などの熱負荷の抑制、空調や照明の省エネルギーシステムの導入、あるいは自然エネルギーの利用などを予定してございます。

○織田委員 今のは新しい建物でございますけれども、既存の建物については、地球温暖化対策計画書制度、これもまた今回行うということでございます。新年度から本格実施と聞いております。
 これは、国の取り組みと比べて、どんな点がすぐれているのか、あるいはまたどんな効果が期待できるのか、簡単にお願いします。

○赤星環境局長 今ご質問ございました四月から適用されます制度でございますけれども、都の制度は、国の省エネルギー法と違いまして、特にオフィスビルについては、共用部分だけではなくビル全体としてとらえていること、事業所が使用します自動車の燃料も対象とすること、事業者に計画の公表を義務づけていることなどが特徴でございます。
 本制度の実施によりまして、何らかのインセンティブが働いて、事業者の取り組みを促進し、都におきまして、エネルギー消費の比率が高い業務部門の温暖化対策が進むことを期待しております。

○織田委員 これで、新旧の建物について一応網がかぶったということだろうと思います。大変いいことだと思います。しかしながら、これには、ある意味でいうとペナルティーがありません。これは善意に期待をして、お願いをしますよということで進めている施策だろうと思います。
 現段階では、善意に期待して皆さんの意思で対策を進めていこうということが必要でありますけれども、これで対策がどうなのかなと。検証をして、そしてそれが進まないということになれば、これは善意に対してはインセンティブで、そして悪意、怠慢に対してはペナルティーでというような形で対応せざるを得ないというような時期が来るかもしれないな、こんな思いを抱きながら今聞いていたわけですけれども、建築物と同様に、今東京の都市基盤、どんどん更新をしていかなきゃならないということになっていますので、そうなったときに、今度は、都市基盤、道路、公園、下水道、そういったものの整備に当たっても、環境配慮が進む仕組みが組み込まれていくということが大事だろうというふうに思います。
 特に、都市基盤は、一たん更新すると長期間使えますから、そのチャンスがなくなってしまうということで、そういう意味からこの取り組みを求めたいわけでありますが、そこで、水道局の事業についてお尋ねをしたいと思います。
 水道局は、十四年度予算でおよそ八億キロワット、料金にして百億円使う事業者であります。省エネができれば、電力料金の節約や環境負荷の低減につながります。
 そこで、これまでいろんなことおやりになってきた、省エネ、未利用エネルギーの活用をおやりになってきた、したがって、簡単にその紹介をいただければと思います。

○飯嶋水道局長 水道局では、安定給水を確保するため、電源の二系統化などにより、施設の信頼性向上を図っておりますが、その中で、環境負荷をできるだけ低減するよう努めております。
 その一環といたしまして、浄水場の発電設備にコージェネレーションシステムを導入するとともに、太陽光発電や水力発電など、自然エネルギーの活用にも取り組んでおります。
 こうした取り組みにより、その効果として、給水の安定性が一層向上するとともに、平成十二年度におきまして一億四千万円のコスト縮減、また、炭素換算で二千三百トンの二酸化炭素排出量の削減といった効果を上げているところでございます。

○織田委員 今ご答弁いただきましたように、常用発電とか自然エネルギーの活用、そしてそれがコスト削減につながっている、施設の安定性を高めているということで、いってみれば、環境負荷にプラスして二つのファクターがプラス要因にある。一石三鳥のことでありますので、今後も進めていただきたいと思いますが、省エネといいますか、電力節減という意味では、我が党も注目をしているNaS電池、ナトリウム・サルファの電池でありますが、下水道局では、これを葛西処理場で活用し始めております。夜間の電力をためて、昼間放電をしてやって平準化していく、非常に有効利用ということができる、そういうシステムでありますけれども、電力全体の供給というものを押し下げることによって、ピークカットをすることによって、さまざまな面でプラスになってまいります。
 そういう意味では、この八億キロワットの電力を使う電力事業者、調べてみますと、水道局には、給水所など電力を非常に使うところが大小取りまぜて二百カ所以上ある、このように伺っておりますが、こういう施設でもこのNaS電池を生かすべきであると思いますけれども、見解はいかがでしょう。また、導入するに当たって、じゃこれが課題になりますよというようなことがあれば、お答えください。

○飯嶋水道局長 水の使われ方は時間変動が非常に大きく、給水所などの電力使用量にも、昼夜間で大きな差が生じております。また、多摩地域におきましては、二系統受電が図れず、停電対策が十分でない施設がございます。
 NaS電池は、ご指摘のとおり、ピークカット機能や無停電電源としての機能を有していることから、これらを活用することにより、電力料金の低減、給水の安定性を向上させることが期待できます。しかしながら、NaS電池の導入に当たりましては、初期コストの平準化やメンテナンスの効率化など、なお一層の工夫が必要と考えております。

○織田委員 今ご答弁の中で、無停電電源ということがあったわけでありますけれども、たとえ短時間でも停電によって水道がとまると、影響は非常に大きいようでございますね。私もちょっと調べてびっくりしたんですけれども、所沢に飛行機が落ちたとき、八分間停電をしました。三十三万戸ですか、そのぐらいのところが断水をしたり濁り水が出た。八分。それから、瞬間的な停電、一分ぐらい停電をする、それでも地域によっては、私が教えていただいた例では、一万五千戸がやはり断水をしたり停電をしたりする。バックアップ機能はついているんですけれども、切れました、発電機回します、その間に少しタイムラグがある。そこで圧力が全部とまって、水道がとまって、さらに再び動き出すというところで、さまざまな支障が出てくるというふうなことをお伺いしました。
 そういう意味では、もし、こういったところにNaS電池、配置をできるとするならば、そういったことがほとんど解消できるというようなことで、大変いいことだろうと思いますし、ぜひ対応してもらいたいと思います。
 同時に、NaS電池を使ってピークカットをすると、これは供給側の東電についても大変メリットがあるというふうに伺っておりますので、先ほど、設備コストの平準化やメンテナンスのコスト効率化、そういったものは東電との協議によって非常に使い勝手のいい形も可能であろうというふうに思いますので、例えば、リースなどの手法を活用できないものなのかどうか、提案したいと思いますが、いかがですか。

○飯嶋水道局長 ご指摘のリース方式は、買い取り方式に比べまして、設備投資の平準化が図れますとともに、保守、運用や事故時の対応に東京電力株式会社のノウハウを活用していくことが期待できます。
 また、同社にとりましても、NaS電池の普及は、電力負荷の平準化により、設備投資の抑制や環境負荷の低減が図れるなどのメリットがあると思われます。
 NaS電池のリース方式につきましては、これまで自治体において導入した事例はございませんが、双方のメリットを最大限生かせるよう、早急に協議し、この方式の導入に向けて努力してまいります。

○織田委員 今ご答弁で、早急に協議をして導入に向けて努力をしていかれるというお答えをいただきましたので、ぜひ実行をお願いをしたいというふうに思います。
 このほか、水道局では、幾つかのエネルギー対策を行ってきたことでノウハウが蓄積をされてきております。また、我が党の提案で、環境会計ということも導入をされておりますので、この際、水道施設の全体を見まして、環境に配慮した、より効果の高いエネルギー対策、組織立った形で進めていくべきと思いますけれども、いかがでしょう、お答えをいただければと思います。

○飯嶋水道局長 エネルギー対策を進めるに当たりましては、対象施設の規模、立地条件及び更新時期を考慮し、最も導入効果が高い手法を選択していくことが重要と考えております。こうした観点に立ちまして、水道施設全体を見据えたエネルギー対策の基本方針を早急に策定してまいります。
 今後、この方針に基づき、当局が蓄積してきたノウハウを生かしながら、環境に配慮した、より効果的なエネルギー対策を局を挙げて推進してまいります。

○織田委員 東京都水道局以外にも、下水道でも大分頑張っておられます。建設局でも廃棄物の問題があります。港湾局、その他の事業局、いろんなところがあると思いますけれども、多くの都市基盤整備にかかわっている、そういう局に対して、逐一お聞きをいたしませんけれども、都庁を挙げてエネルギー対策、取り組んでいただきたいということを要望をして、次の教育の問題に移りたいというふうに思います。
 昨年の一定の文教委員会で、私、指導力不足教員への対応について伺いました。そのとき、十三年度から指導力ステップアップ研修を行うということでございました。一年間たった現在、その効果のほどはどうなのか、注目をしているわけでございます。
 そこで、時間もそんなにあるわけではございませんので、まずステップアップ研修の受講状況、さらに、研修して一年たちました。教員のその処遇、審査会で決めるというふうに聞いておりますけれども、審査委員会の構成、あるいはその権能、さらに今回受講した方々の処遇、このような点について、教育長にまずお伺いをしたいと思います。

○横山教育長 答弁をいたす前に一言発言することをお許しいただきたいと思いますが、私は教育行政を担う者としまして、こういった指導力不足教員の問題がクローズアップされるたびに、まさに教師として使命感に燃えて、子どもたちを愛して、職務を果たしている圧倒的多数の教師に、あるいは都民に対して本当に申しわけないという気持ちを感じております。それだけに、たとえ少数とはいえ、指導力不足教員と問題教員に対しては、厳しく厳正に対応していかなければならない、これが基本姿勢でございまして、それを前提に答弁をさせていただきます。
 まず、ステップアップ研修の受講の状況でございますが、平成十三年度に教職員研修センターにおきましてステップアップ研修を受講した指導力不足教員は、教壇を離れて研修を受ける長期コースが十八名、定期的に研修を受ける通所コースが八名、計二十六名となっております。
 研修の内容は、教科等の指導内容、方法や、児童生徒の理解、教育公務員としての心構え等でございまして、個々の教員の課題に応じて実施をしているところでございます。
 成果につきましては、受講者により異なりますが、教科の指導方法が改善された者や、教育公務員としての自覚が高まった者など、一定の効果が見られる者がございました。今後とも研修内容の充実を図ってまいります。
 それから、審査会の件でございますが、東京都としましては、平成十四年二月十四日に指導力不足等教員の取扱いに関する規則を定めまして、この規則に基づきまして、新たに外部の専門家を構成員とします審査委員会を設けました。審査委員会は、教育庁の幹部が入っておりますが、ほかに大学教授、医師、弁護士等で構成いたしております。
 審査委員会は、指導力不足教員の指定を解除する者、引き続き研修を継続する者、教育公務員としての適格性に欠ける者を判別しますとともに、その後の処遇について審査を行うものでございます。
 今回の審査の結果でございますが、指導力不足等教員のうち、既に四名は退職をしておりまして、今年度末に一名が退職を予定しておりますほか、三名が休職中でございます。残る十八名の指導力不足教員のうち、一名につきましては、指導力不足教員の指定を解除しまして、十七名は研修を継続することといたしました。

○織田委員 冒頭、教育長の方からお話がありました。私も同感であります。教育という問題を考えるときに、私、一番大事なのは学校の先生だと思います。ある場合には、親よりも長く子どもと接するということでありますから、教員の資質というのは本当に大事であります。今の教育問題の根源というのは、実はここにあるのではないかなと思えるぐらいであります。
 そういった意味から、大多数の教員の方々が本当に努力をされ、やっている場合が多いわけです。しかし、一部にそういう教員がいらっしゃることもまた一方事実であります。私がこういうことを取り上げるようになったのは、やはり私の友人の影響が大きいと思います。教育庁でもやりましたけれども。
 そういう中で、残念ながらそういう人が一人学校にいるだけで、周りの人は本当に苦労するんです。小学校の場合、二クラスで六学年、担任は十二人です。幾らか加配がありますから、大分いますけれども。そのうち一人が指導力不足に陥ったら、その学校は大変です。それをそのままにしかしておけないという状況が随分長く続きました。今回、このステップアップ研修ができたということで、変ないい方をしますけれども、こういう教員について、ある一定程度の出口を見出すことができたということだと思うんです。
 ですから、私がこの問題を取り上げて、どういう状況だったかというのを聞いたのは、それが機能をしていくのかなというところに、実は私の関心があったわけであります。今お答えをいただきました。五名の方がおやめになるということでございますし、十七名はまだ継続ということでございます。一名は職場に復帰をするということでございますから、私は初年度としては評価はできないものと思います。今後しっかりやっていただきたいと思いますし、丁寧にやっていただければと思いますが、その関連で、あと二つ聞いておきたいと思います。
 一つは、休職になったという形がありました。休職に対する将来の扱い、この点が一点。
 もう一つは、引き続き研修をするという方が半数以上の十七名ありました。この方たちの将来といいますか、その取り扱い、どんな形になるのか。いつまでも研修をするというわけにはいかないでしょうから、その辺の確認だけさせていただきたいというふうに思います。
 もう一点。これは一年単位でやっておりますので、例えば、四月に赴任をしてきました。もう半年頑張ったんだけれども、どうにもならないといったときに、そういう方の扱いというものは、これはどういうような形、考えられるのか。その可能性というものも含めてお答えいただければと思います。

○横山教育長 まず一点目でございますが、病気休職の期間は、職員の分限に関する条例によりまして三年を超えない範囲となっておりまして、病状が回復しない場合には、地方公務員法の規定に基づきまして、分限免職の対象となります。また、病状が回復した場合には、復職の手続を行いまして、ステップアップ研修を再び受講させることになります。
 こうした指導力不足等教員と決定され、研修を受ける者につきましては、その成果につきまして、年度ごとに判断をしているところでございまして、従来から、継続といいましても、三回以上行った者はいないわけでございまして、そういった意味では、今後とも研修結果を適正に判断をしまして、その処遇を決定をしてまいります。
 それから、年度途中におきましてでございますが、学校現場におきまして、教員の指導力等の問題によって、児童生徒に影響が出ている、こういう事態があって、校長、区市町村教育委員会による指導によっても事態が改善しない、こういう場合には、都教育委員会としましても、指導主事を派遣するなど、支援策を講じているところでございますが、そのような方策によっても、なお当該教員の指導力の回復が見られない、そうした場合には、学校現場の混乱が続いている場合には、年度途中でございましても、申請を受け付けることになっております。

○織田委員 時間もありませんので、個々の細かなことについては、お伺いをしません。しかしながら、こういった方たちをまさに生み出すかもしれないという、そういうおそれをすべての人が実は持っているわけでございまして、私は教員というものを考えた場合に、向き不向きの問題というのは、やっぱり入り口できちんとチェックをするべきであろうと思います。もちろん、採用の点、任用の点で厳しくやっておられるとは思いますけれども、いざそういう環境の中でやった場合にどうなるかというのは、これはだれにもわかりません。
 今、公務員、試用期間というのがあります。事務系で半年、教育公務員、教職の場合は一年というふうに伺っております。私は個人的には、これは三年から五年ぐらいの後に、そういう試用期間を設けて、その間にベテランの先生方によく見ていただいて、本当に適性があるのかどうか、考えていくようなチェックをする機能というものを設けたらどうかというのが持論であります。
 しかし、法改正というようなことはあれでありますので、今教育庁の方で、研修ということに大変力を入れてやっておられますので、一つ提案といいますか、お伺いしたいのは、この研修を通してみずからの行く末というものを、きちっと内省をしたり、そういうチェックポイントになるような、そういう形での研修というものを考えておやりになる必要はないのかということを思います。
 そして、それはその人がより大きく伸びていくためにも必要な研修でありますし、あるいはプラスに働くのか、マイナスに働くのか。ある一定程度のところできちんと、法的に試用期間を延ばすということが無理であるならば、十年研修というものを使って、そういう機能を持たしていくべきではないかというふうに思っておりますけれども、これに対する教育長のご見解を伺いたいと思います。

○横山教育長 実は、在職期間が十年に達した教員に対する研修につきましては、先般、教育公務員特例法の一部を改正する法律案が閣議決定されまして、現在国会に提出をされております。お話のように、教員が在職十年目などの節目の研修、その評価を受けることによりまして、教職に対する一層の意欲を持ったり、場合によっては転職を考える、そうしたみずからの能力や適性を再認識する機会を設けることは重要であろうと考えております。
 こうした観点から、現在、都研修センターで実施しております在職十年以上、十四年未満の教員を対象にしました現職研修Ⅲ部というのがございますが、これとの関連も含めまして、教員の個々の能力、適性等に応じた研修のあり方、それから、評価等につきまして、検討を開始したところでございます。

○織田委員 私、今申し上げましたような観点を検討しているのであれば、十分に考えていただきたいということを要望しておきます。
 次に、読書運動のことについてお伺いをしたいと思います。
 これは一年前のこの委員会で我が党の木内委員が知事と議論をしたところでございます。そのときに、表彰を考えましょうというような議論になったかと思います。現実的にどうなりましたでしょうか、簡単にご報告をお願いします。

○横山教育長 お話の顕彰につきましては、善行やすぐれた活動を行った児童生徒を東京都教育委員会児童生徒等顕彰制度に基づいた顕彰をいたしておりますが、今年度につきましては、読書活動や飼育活動など、学校内におきます地道で継続的な活動を重視しまして、朝の読書活動や生徒会による読書普及活動に熱心に取り組みました小学校二校、中学校二校の児童生徒の顕彰を行ったところでございます。

○織田委員 今後とも、こういう地道な活動等について、どこかの大会で優勝したとか、そういうのはそれだけで顕彰されているわけですから、こういう地道な目に見えない努力というものに対して目を向けていっていただいて、激励、顕彰していただければ大変ありがたいというふうに思っております。
 この問題につきまして、法ができました。昨年の十一月の二十九日に子どもの読書活動推進法というのが成立をいたしました。その中で、地方公共団体がそういうふうな推進計画を策定するよう努める、こういうことが決定をされました。
 そこで、東京都が、各区市町村で読書運動が進められていると思いますので、その実態を調査、推進をするとともに、都の独自計画を策定するべきだと思いますけれども、やるのかどうか。やるとすれば、いつまでにおやりになるのか、お伺いしたいと思います。

○横山教育長 子どもの読書活動の推進に関します施策を、総合的に、かつ計画的に推進することが法で求められているわけでございますが、都教委といたしましては、区市町村におきますさまざまな子どもの読書活動の実態の把握にまず努めながら、これは学校教育と社会教育が連携しませんとできませんので、連携しまして、広域自治体の立場から、平成十四年度中に東京都子ども読書活動推進計画を策定してまいります。

○織田委員 また、同法で四月二十三日は子ども読書の日とすることになったそうであります。この日について、東京都としても、意義を広く啓発していくための行事、イベント等を行ってはどうでしょうか。ブッシュ大統領が来日した折、夫人の方が、読み聞かせを行ったという記事が出ておりましたし、あるいはまた民間でも読書オリンピックといった試みも行われておりますので、さまざまに工夫して取り組むべきだと思います。見解をどうぞ。

○横山教育長 お話のように、子ども読書の日を契機としまして、子どもの読書について、広く啓発していくことが大変意義があると考えております。このために、子ども読書の日にちなみまして、読書の楽しさを味わうことのできるイベントを実施しますとともに、読書活動の普及を図るリーフレットを作成しまして、都内の公立学校に配布して、読書活動の推進に努めております。
 また、都立図書館におきましても、子ども読書の日の趣旨を区市町村立図書館を通じまして周知しますほか、都立図書館のホームページ等を活用するなどしまして、普及啓発に取り組んでまいります。

○織田委員 次の問題に移ります。
 時間が余りありませんので、分譲マンションの建てかえの問題に移りたいと思います。分譲マンションの建てかえについては、大変大きな課題であるというふうに私ども認識をしております。私ども、二年前の第一回定例会のときに、都市基盤の更新という問題を取り上げたときに、その一環として、分譲マンション建てかえ問題、これ、どうにもならぬですから、何とかしてくださいよということを申し上げ、それから、東京都はその二カ月後の五月から、国に対してさまざまな要求、提案を開始をいたしました。そして、今マンション建てかえ法の制定の手続が進んでおります。順調にいけば今国会で成立、秋には施行というような形になってこようかと思います。
 今回、国の立法措置に合わせて東京都もマンションの建てかえ支援策を打ち出して、これは新聞でも大きく報道されたところでございます。特徴を一言でいえば、国の方が建てかえに至る手続の問題をきちっと確定をしたということに対して、東京都はそこに至るまでの合意形成というところにきちっと焦点を当てて、支援をやっている、大変にいいことだと思います。この合意形成がなかなかできない。区分所有者も本当に大変な中で苦労しておりまして、このままいったら行き詰まるというようなことでございますので、これをぜひやっていただきたいと思うんですが、そこの中の一つに、建てかえアドバイザーの制度をつくっていくということがございます。
 この具体的運用、どういうような形になっていくのか。いろんな能力を持った人を配置をして、ネットワークで包んで、そして相談に応じて、個々の人たちの出口をつくってあげなければならない。生活状況を考えながら、出口をつくってあげなければならない。マンションの建てかえを推進していくようにしていかなければならないということでございますので、これの問題について、この運用を具体的にどうするのか、費用負担はどんなものなのか、あるいはシステムの構築をいつまでに完了するのか、いつから具体的に支援を開始できるのかなどの点について、具体的にお伺いをしたいというふうに思います。
 さらに、老朽マンションを個別に区市町村の方では掌握をしているように伺っております。十三区市でしたか、やっているというふうに思いますので、これについて、東京都が直接きちっとお知らせをする、老朽マンション建てかえアドバイザー、できましたよ、ご相談くださいということをきちんと周知をしていくというような行動、仕組みというものを考えるべきではないかと思いますが、この点についてお伺いをいたします。

○橋本住宅局長 初めに、建てかえアドバイザーでございますが、マンション建てかえの検討の初動期におきまして、建てかえに関する仕組みや課題につきまして、管理組合が理解を深めるための説明や助言を行うものでございます。その人材といたしましては、分譲マンションの建てかえの検討に当たって必要な一級建築士、権利調整や資金計画に関する専門家である再開発プランナーや公認会計士などを考えております。
 また、アドバイザーの具体的な運用や費用は、現在実施しております管理アドバイザー制度を参考に今後検討してまいります。
 なお、建てかえアドバイザー制度は、マンション建替え円滑化法の施行、ことし秋と予定されております、その時期に実施する予定でございます。
 次に、個別の老朽マンションへの働きかけでございますが、住民にとって最も身近な自治体である区市町村で対応することが基本でございます。区市町村が実態調査やアンケート調査などにより把握いたしました老朽化したマンションに対しまして、建てかえアドバイザー制度などの支援策について周知を図ることは、ご指摘のとおり重要であり、今後都は区市町村に積極的に働きかけてまいります。

○織田委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)

○土持副委員長 織田拓郎委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩といたします。
   午後三時十四分休憩

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