東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○星野委員長 河西のぶみ委員の発言を許します。
   〔委員長退席、和田副委員長着席〕

○河西委員 今回の予算委員会の質疑は、私の初陣でございます。諸先輩からのドスのきいたやじが多いと、なかなか思うように質問ができないと思いますので、ご協力のほどお願いいたします。
 質問通告に従いまして、本日は四問の質問をさせていただきます。
 まず、第一問は、男女平等施策の推進についてでございます。
 ことし一月、東京都は、男女平等参画のための東京都行動計画、チャンス&サポート二〇〇二を策定し、発表いたしました。これに先立ち、二〇〇〇年には全国の自治体で最初に男女平等条例を制定し、その具体的推進について、東京都民のみならず、全国から注目を集めているところでございます。
 男女平等条例の制定と行動計画の策定は、計画書の前書きで石原都知事もおっしゃっているように、社会生活や家庭生活において、男女を問わず、一人一人に個性と能力を十分に発揮する機会が確保され、男女が対等な立場であらゆる分野の活動に参画し、責任を分かち合う社会の実現を目指すことを理念としています。
 そしてまた、各局の関連事業を通して、事業者や都民の皆さんと連携しながら計画を推進していくことをもって、だれもが創造力を発揮できる東京を実現することを目的にしています。
 私流の言葉でいうなら、女性も男性もともに自立し、共生できる環境と条件を整えることによって、一人一人が輝き、納得のいく人生を生きることを互いに認め合う世の中をつくろうということです。
 生まれながらに持っている性差、つまりセックスを尊重することは当然ですが、それを超えて、歴史的、社会的あるいは経済的につくられた性差、つまりジェンダーの障壁から解き放たれること、つまりジェンダー・バイアス・フリーを東京都の施策や事業の基本に据えることが、今求められていると思います。
 このたび策定された男女平等参画のための東京都行動計画が、着実に、また積極的に推進されるよう、私も、都民の一人として、また議会人の一人として努力を惜しまないという決意を申し上げます。
 さて、行動計画では、三つの重点課題を挙げています。今回は、この重点課題のポイントを中心に質問をさせていただきます。
 まず、第一に、雇用の分野における参画の推進と子育てについてです。
 仕事と家庭の両立を進めることは、女性が働き続けられる社会をつくり、能力発揮を促進するものであり、重要な課題であります。男女平等参画のための東京都行動計画には、企業における女性の能力発揮を進めるためのポジティブアクションを促進するため、ポジティブ・アクション・プログラムを東京都において作成するとされています。仕事と家庭の両立支援についても、このプログラムに位置づけ、東京の実情に即した実効性のあるものとしていくことが重要でございます。
 企業や労働者の実態に即したものとして継続的に取り組むためには、ポジティブ・アクション・プログラムの作成、普及に当たって、労使の協力を得るなどの工夫が有効であると考えますが、ご所見を伺います。

○浪越産業労働局長 都としては、平成十四年度、企業における女性の能力活用や職域の拡大、仕事と家庭の両立支援など、企業における女性の積極的活用の具体的な方法を示すポジティブ・アクション・プログラムを、労使等の協力を得て取りまとめていく予定です。
 また、このプログラムが多くの企業で活用されるよう、幅広く普及に努めてまいります。

○河西委員 このたび、育児・介護休業法が改正されました。男女共通の育児、介護のための時間外労働の制限や、育児・介護休業を取得したことを理由とした不利益な取り扱いの禁止が定められたところであります。
 都の調査や相談、あっせんの概要を見ますと、育児・介護休業制度がまだ十分に定着していない状況がうかがわれます。育児・介護休業制度の定着を図り、仕事と家庭を両立して女性が働き続けられる社会とするためには、都としても一層の取り組みが必要と考えますが、ご所見を伺います。

○浪越産業労働局長 仕事と家庭の両立のためには、育児・介護休業制度の定着及びその活用が図られることは重要であると認識をしております。
 一方、都が平成十二年度に実施しました東京の女性労働事情調査によれば、必ずしも制度の定着、活用が十分とはいえない状況にございます。こうした状況などから、昨年十一月、制度の充実のために、法改正がなされたところでございます。
 このため、都としては、使用者向けセミナー、職場改善訪問事業などにより制度の普及啓発に努めるとともに、休業の取得等を理由に不利益な取り扱いをされることがないよう、相談、あっせん等の充実を図ってまいります。

○河西委員 今や、女性の雇用者は全体の約四割を占めておりますけれども、男女間の平均給与格差、男性一〇〇に対して、女性は六五・九にとどまっております。また、昇進、昇格の男女格差も解消されておりません。同一価値労働、均等待遇への実現は、まだまだ大きな壁が立ちはだかっています。
 一方、不況下にあって、男性の失業も大変厳しい状況にありますけれども、女性のパートタイマーの解雇をめぐる労働相談の件数もふえています。緊急避難型のワークシェアリングの導入は一部企業で見られますけれども、新しい働き方あるいは新しい暮らし方への転換につながる、労働時間の短縮を前提とした雇用創出型のワークシェアリングへの道筋は今後の課題でございます。
 このような状況のもとで、行動計画にあるように、事業者の理解と協力、具体的な取り組みへのバックアップが重要です。計画の目玉の一つである、実効性のあるポジティブ・アクション・プログラムの作成とその推進に期待をしたいと思います。
 次に、行動計画のもう一つの重点課題でありますDV防止と被害者の自立支援についてお伺いをいたします。
 行動計画では、第二章の人権が尊重される社会の形成のトップにDV防止が掲げられています。DV被害については、昨年十月十三日、DV防止法が施行され、被害者支援の体制が整備されましたが、法でいう都道府県の責務とは何か、改めてお伺いいたします。

○高橋生活文化局長 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律では、国及び地方公共団体は、暴力を防止し、被害者を保護する責務を有するものとし、職務関係者への研修や教育、啓発を行うものとしております。
 都道府県につきましては、婦人相談所その他の適切な施設において、配偶者暴力相談支援センターの機能を果たすようにするものとしております。配偶者暴力相談支援センターは、相談、一時保護、被害者の自立支援、保護命令への対応等の業務を行うこととなっております。

○河西委員 DV防止法の所管局は生活文化局でございます。一時保護を所管する福祉局の女性相談センターとの連携調整は緊密、スピーディーに行われるのか、この点についてお伺いいたします。

○高橋生活文化局長 配偶者暴力相談支援センターの機能整備に当たりましては、都民が利用しやすいよう、初期相談、カウンセリング、自立のための情報提供等、総合相談窓口の機能をウィメンズプラザが担い、一時保護及びこれに付随する相談機能につきましては、入所される方々の安全と安心を確保する必要があることから、これとは別に、女性相談センターが担うこととしたものでございます。
 ウィメンズプラザと女性相談センターは、一時保護を必要とする相談者に対して、緊密に情報交換を行い、入所やその後の支援方法について調整するなど、支援センターとして一体的に機能するよう、連携を図ってまいります。

○河西委員 昨年の十月に法が施行されまして、ここ五カ月が過ぎておりますが、昨年の暮れまでの三カ月間に前年度と比べて相談件数が一・六倍になったというマスコミ報道もございました。
 相談件数だけではなくて、どのような処遇を行ったかについて、関係機関、関係部署における対応等も含め、都の全体の状況を把握する必要があると思いますけれども、どのように考えていらっしゃいましょうか。

○高橋生活文化局長 被害者の支援に当たりましては、配偶者暴力相談支援センターだけではなく、さまざまな関係機関や民間団体が相互に連携し、協力することが不可欠であります。
 このため、ウィメンズプラザと女性相談センターとの緊密な連絡調整を図るだけでなく、区市町村や民間の相談機関、福祉事務所、シェルター、医療機関、警察等関係機関との連絡会議を設置しまして、都全体における相談及び対応の状況を把握するとともに、具体的な支援のあり方についても調整を行ってまいります。

○河西委員 関係する機関との連携を確保していくということでございますが、相談や、心理相談、カウンセリングもさることながら、ソーシャルワーカーによるケースワークが大切だとの現場の声がございます。保護命令の手続や生活保護の受給手続、子どもの転入学の手続、さらには住居や仕事探しなど、自立への実効性のある支援が今求められております。
 配偶者暴力相談支援センターにおきましても、DVの被害経験者や民間のシェルターなど、規模の大小はともかく、貴重なノウハウを持っている、そんな現場の声を聞きながら適切なケースワークを行うことが重要だと考えますが、いかがでいらっしゃいましょうか。

○高橋生活文化局長 被害者の自立支援に当たりましては、法律的アドバイスや支援制度等に関する情報提供により、被害者の主体的な対応能力を高めると同時に、被害者一人一人の状況に即したケースワークが重要であると考えます。
 配偶者暴力相談支援センターにおきましては、福祉事務所等関係機関と連携し、緊密に情報を交換しながら、ケースに応じた適切な助言や具体的な制度利用に当たっての援助など、被害者の自立に向けた支援を行ってまいります。

○河西委員 被害者の実態を見てみますと、本当にケースワーク、一時保護から自立に向かったその支援がとても重要だということを改めて感じております。
 今、このケースワークが重要であるというご答弁をいただきました。一時保護の期間は、東京都では二週間から二十日あるいは三週間ということで予算計上されているわけでございますが、しっかりとした、またきめ細かな自立へのサポートができないと、暴力に対します恐怖を感じながらも再び加害者のもとへ戻ってしまうケースがある、こういう事実が幾つも報告されています。
 被害者は、暴力を受けるのは自分に落ち度があったかもしれないと自分を責めることがございますが、そうではありません。ゆがんだ社会のあらわれである。この計画書の中にも、社会のゆがみの鏡である、こういう表現がされています。
 ここで、一時保護の細かい中身について、自立への一定の準備期間だというとらえ方に立ちますと一時保護がとても重要になりますけれども、時間等の制約がありますので、これは常任委員会の質疑に回させていただきまして、今後の課題として、最後に、被害者の広域保護や、また加害者の更生プログラム、これもぜひ検討されるよう申し上げまして、次に移りたいと思います。
 これまで行動計画の重点課題についてお尋ねしてまいりましたが、本計画は、平成十四年度から十八年度までの五年間の計画になっています。計画の目標値の設定と計画の進行管理がとても重要です。
 この計画の中には、審議会への女性委員の任用を平成十六年度までに三五%とするなど、数値目標が挙げられている項目もありますが、ほとんどの項目は目標値の設定がございません。計画の到達度について、都民の目にも平等参画の進捗が見えるようにすることが必要であると思いますが、今後どのように進行管理していくつもりなのかお伺いをいたします。

○高橋生活文化局長 行動計画は、男女平等参画に関して、都だけでなく、都民や事業者みずからが積極的に取り組むことにより、総合的に推進するものであります。
 毎年、計画の実施状況を把握するとともに、あわせまして、女性雇用者数の推移等、男女平等参画の現状を取りまとめ、年次報告として、広く都民に公表いたします。
 また、庁内の男女平等参画推進会議や行動計画に参加している事業者団体等で構成される男女平等参画を進める会において、課題等についても進行管理してまいります。

○河西委員 この行動計画は、ここにおいでの方皆さんに配布をされていると思います。大変すばらしい計画書だと思いますが、これは装丁や紙の質がいいということでなくて、この中身をきちっと実践をしていく。そして、きちっと今後はできるだけ目標数値、到達度がチェックできるような形で、職員はもちろん、関係諸団体はもちろん、都民にもわかるような形で、この計画が着実に進行している、このことがわかるようにご努力をいただきたいと思います。
 続きまして、二問目の福祉行政についての質問に移ります。
 介護保険制度の見直しについて、まず伺います。
 介護保険制度は、施行後、三度目の春を迎えることになりました。この間、介護支援専門員が多忙で本来の業務ができないとか、保険料や利用料の減免など、数多くの話題が新聞紙上を飾っております。実際に介護保険を利用している都民の皆さんや事業者、また保険者である区市町村からも、介護報酬やサービスの質の向上など、さまざまな課題も指摘されているところです。
 私は、この介護保険制度、保険会計は、半分が公費が投入され、残りを、年を重ねることによりだれかしらの手助けを必要としている人、あるいは必要とされるであろう人、すべての人々によって負担をしていくという、まさに共助を基本にして組み立てられている制度でございます。問題点はあるけれども、この保険制度をよりよく育てていく、こういう視点で質問をさせていただきます。
 そもそも介護保険法自体、施行後五年を目途として、制度の全般的な検討が加えられ、その結果に基づいて、必要な見直し等の措置が講ぜられるものと規定されています。また、国は、介護保険事業計画や支援計画の初めての改定が平成十五年四月に行われることから、これにあわせて、介護報酬の改定、要介護認定のコンピューター一次判定ソフトの改定を予定していると聞いています。
 そこでお伺いいたしますが、こうした国の改定に向けた動きに合わせて、都から適時適切に要望を出して、それを見直しに反映させるべきだと思いますけれども、どのような方法で行うのでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○前川福祉局長 介護保険制度を都民にとって使いやすく、わかりやすいものとすると、これが大事だと考えておりますが、そのために私どもは、昨年四月に、公募都民、学識経験者、さらに事業者と保険者の代表を委員とした東京の介護保険を育む会を設置をして、現在、広範囲なテーマについてご検討いただいております。
 一方、お話がありましたとおり、国におきましても、介護報酬のあり方や要介護認定の一次判定ソフトの改定に向け議論を開始しておりまして、来年の四月を目途に、今後検討作業を本格化させると聞いております。
 そこで、都としても、こうしたテーマにつきまして、来年度早々、今お話をした育む会で具体的に検討していただく予定であり、この会から提案がなされれば、それを踏まえまして、適時適切に国に対して積極的に提案し、要望していきたいと考えております。

○河西委員 ただいま福祉局長から、制度の見直しに対して問題提起されるとお伺いいたしましたが、ぜひタイムリーに行っていただきたい。
 新聞によりますと、介護報酬の改定に際して、国は直接、広く国民の意見を聞くということでございます。同じように、都が国へ要望を出される場合には、利用者である私たち都民や事業者、そして保険者の意見を集めていただきたい、そう思いますが、ご所見をお伺いいたします。

○前川福祉局長 ただいまご答弁申し上げましたが、既に東京の介護保険を育む会には、公募都民を初めとしまして事業者や保険者の代表の方が委員として参加をされ、さまざまな意見をいただいております。
 また、都民と事業者を対象としたアンケート調査を実施をいたしまして、介護保険制度に関する課題についても意見収集に努めております。
 なお、ご指摘がありました介護報酬の改定や要介護認定一次判定ソフトの改定につきましては、保険者の事業運営にも多大な影響を与えますので、今後、保険者の意見も積極的に聞いていきたいと考えております。

○河西委員 続きまして、福祉サービスの第三者評価についてお尋ねをしていきたいと思います。
 平成十二年度の介護保険制度の導入、平成十五年度における障害者分野の支援費制度への移行など、福祉サービスをめぐる状況は大きく変化をしております。
 私は、このような時代に本当の意味で利用者本位の福祉を実現していくためには、利用者がニーズに合ったサービスを的確に選択して利用できること、同時に、事業者がいい意味での切磋琢磨をして、質の高いサービスを利用者に提供していく、このことが何よりも求められていると思っています。
 そのために、福祉サービスにおいて、第三者による客観的なサービス評価をする、そして、その結果を広く利用者に情報提供していく、このような取り組みによって、本当の意味での選択、そして、その選択に基づいた利用ということが生まれてくると考えております。
 東京都は、第三者評価の仕組みづくりに向けて、平成十一年度から検討を始め、昨年度と今年度二カ年にわたって、評価手法や項目の確立のため、区市町村等と協力しながら、試行を実施してきております。国におきましても、昨年の三月に、福祉サービスにおける第三者評価事業に関する報告書が出され、五月には、都道府県に対し、指針が技術的助言として示されてきたところでございます。
 サービス評価と一言でいいましても、だれのために行うのか、サービス向上にどうつなげていくかなど、事業に対する考え方や具体的な仕組みなどさまざまな考えがあり、難しい課題が横たわっていると思います。
 東京都と国のこの評価制度の違いにつきましてはまた別の機会に譲らさせていただきますが、東京都が十一年から行ってきましたモデル自治体における試行、これについてちょっと触れさせていただきたいと思います。
 私の選挙区の調布市では、都の事業評価の評価項目を活用して、試行を今年度実施しています。その中で聞いた意見として、この事業評価について、利用者が欲しい情報はこういうものではない。調布の場合は、市が民間企業に委託したのではなくて、市民、NPOがこの調査に当たったということもございます。こういう、今申し上げたような意見を聞いているところでございます。また一方では、事業者のいいところや課題が明らかになって非常にいいという方もいらっしゃいます。つまり、利用者側の視点と事業者側の視点によって評価が分かれているということでございます。
 そこでお伺いいたしますが、都は、どのような考えで利用者調査と事業評価の二つを行う方向で進めているのでしょうか、ご所見をお伺いいたします。

○前川福祉局長 利用者が、福祉サービスの内容や質を比較をしながら、安心してサービスを選択できるようにすると。そのためには、二つの側面からの情報、すなわち、利用者の視点からの評価とサービス提供実態の客観的な分析、評価、この両側面からの情報が必要と考えております。
 そこで、私ども都における第三者評価では、国と異なりまして、利用者が提供されているサービスをどう見ているかを把握するための利用者調査と、専門的立場から事業者の経営状況やサービス提供のプロセスなどを評価する事業評価と、この二つを組み合わせて行う方式を採用しようと考えているわけでございます。

○河西委員 個々のニーズに合わせて提供される福祉サービスの評価については、高い能力が求められているのではないでしょうか。本当にそのような評価を行える評価機関が存在しているのかどうかという疑問がわいてまいります。
 その評価機関についていえば、国の報告書では、当面、各都道府県で一つの評価機関が評価をすることを想定して述べられておりますけれども、東京都が考えているのは、多様な複数の評価機関が評価を行おうとするものです。
 考え方としては両方あり得るように思います。しかし、今申し上げたように、都が行おうとしている評価は、高い能力を求められるものといえます。そのような高い能力を有した多様な評価機関をそろえるのは大変だと思いますが、都におきましては、どのようなお考えで多様な評価機関による評価を行おうとしているのでしょうか、お尋ねを申し上げます。

○前川福祉局長 一般にサービス評価と申しますのは、多様な評価主体が利用者や事業者の特性を踏まえながら多角的な視点から実施をすることで、利用者のためにより有効な選択材料となり得ると考えております。
 これは福祉サービスも同様でありますが、今お話がありましたように、一般のサービスに比べますと、評価対象となる事業者数が限られるとか、収益性に限界があるとか、こういったことで、多数の評価主体の参入を得る点で難しさがあるのも事実でございます。
 しかしながら、幸い東京は他と違いまして、調査会社であるとかNPOであるとか、評価機関となり得る社会資源が相当程度存在すると。したがって、都としては、これらを育成、活用する方針をとることとしているものでございます。
 東京という大都市の特性を生かしながら、都独自の評価システムの構築に向け、努力をしていきたいと考えております。

○河西委員 一つのところが独占して評価するよりも、いろいろな観点から評価が行えることは確かに必要ではないかと考えます。しかし、一方で、多様であるということは、サービスの評価の結果を、利用者が事業者間を比較するために活用するということが難しくなるのではないだろうか、そういう危惧があることも事実でございます。
 比較すること、これができてこそ利用者の選択のための評価となるのだろうと思いますが、そのためには、評価する人のレベルや視点を合わせる必要がございます。これは、非常に難しい課題ではないかと思います。同時に、利用者が比較し、選択できるようにするためには、利用者が容易に評価情報を得られるようにすることもまた重要でございます。
 これらの点をクリアして評価の信頼性を確保するために、都は具体的にどのように取り組まれるお考えなのか、お聞きをいたします。

○前川福祉局長 今お話がございましたとおり、利用者が評価結果を用いて的確なサービス選択を行えるようにするには、まず、評価機関自体の信頼性といいますか、評価機関が実施する評価の信頼性を確保することが不可欠でございます。
 そのため、東京都は、平成十四年度に、新たに設立をされた財団法人東京都高齢者研究・福祉振興財団の中に、中立的な機関として、評価サポート機構を設置をしようと考えております。
 この機構におきましては、評価の水準と評価結果をいろいろ比較する可能性を確保すると。そのために、評価を行う機関すべてに実施を義務づける共通評価項目を策定をすると。そして、あわせて、実際に評価業務に携わる評価者に対する研修を実施していきたいと考えております。また、評価機関として守るべき基準を定めて、これをクリアした評価機関を認証する制度をつくっていきたいと考えております。
 また、利用者がきちんと比較できるためには、当然ながら評価結果をわかりやすい形で入手する必要がありますので、同財団内に、総合的な福祉情報のデータベースを構築することを考えております。

○河西委員 サービス評価につきましていろいろお聞きをしてまいりましたけれども、率直な感想をいえば、非常にいいことだけれども、難しい点もたくさんあるなというのが実感でございます。
 まず、第三者が何かを評価するということ自体、日本の社会には余りなじみがございません。ましてや福祉サービスは、今まで、措置制度のもとで、行政がサービスを決定するという仕組みだったわけです。また、事業者にとっても、自分がいいところばかりならいいのですけれども、中には悪いこともあるだろうと思います。それを第三者に余り触れられたくないといったことも、わからないわけではございません。また一方、こういう状況の中で、結構私どもは、地域の住民間での口コミ情報、これが役に立っているという現実もございます。
 東京都は、先月出されましたTOKYO福祉改革STEP2の中で、平成十五年度、あと一年後にサービス評価を本格的に実施するとしています。私は、ぜひともこの評価システムを実施し、定着させていくべきだと考えますが、これを実現するための取り組みについて、局長の決意をお伺いしておきます。

○前川福祉局長 今お話がありましたとおり、これまでは行政がすべてをコントロールする措置制度によってほとんどのサービスが供給されてきたわけでございまして、事業者にとりましても、第三者から評価を受けたり、利用者から選択されること自体がほとんど未知の経験でございます。したがって、第三者評価システムを早期に構築し、定着させていくためには、こういった課題も含めまして、いろいろな問題を実践的に解決していく必要があると考えております。
 そのため、私どもは、来年度、特別養護老人ホームなど四つの分野の九十の施設について、評価のプロセスすべてを実際に行う試行事業を実施をして、評価システム全体の検証を行っていきたいと考えております。
 こうした取り組みを積み重ねて、平成十五年度における評価事業の本格実施を目指したいと。ぜひ東京のメリット、特性といいますか、これを生かしながら、新たなシステムをつくり上げ、早期定着を図っていきたいと、こう考えております。

○河西委員 この東京都が今試行的に行っている評価制度も、知っている人はまだまだ少ないと思います。定着には時間がかかると思いますけれども、ぜひ精力的な準備と、そして、この制度が定着するように引き続きご努力をお願いしたいと申し上げて、三問目に移ります。
 三問目は、市民とのパートナーシップについてですが、時間の関係もございまして、ちょっと外郭環状道路に関する市民とのパートナーシップだけに限って質問させていただきます。
 東京環状道路有識者委員会と、そして、このほど外環道路に関して新しい協議会、すなわちPI外環協議会ができた、こういうことになっていますが、それぞれどのような役割を担うのかお伺いいたします。

○木内都市計画局長 東京環状道路有識者委員会は、学識経験者を委員といたしまして、第三者的な立場から、外環の計画をめぐる諸問題について審議、評価、助言をする場でございます。具体的には、合意形成のプロセスや計画策定に当たって配慮すべき事項、さらには、今後設置される、仮称でございますけれども、PI外環協議会の進め方などについて意見をいただく予定でございます。
 一方、PI外環協議会は、外環沿線七区市のさまざまな意見を持つ住民と行政が、外環について幅広く議論する場でございます。

○河西委員 PI協議会、PIというのはパブリックインボルブメントということですが、要するに、一つの公共工事等、道路建設などが顕著だと思いますけれども、一つの事業を構想したり、あるいは実施をしていく。その際に、地元の関係住民団体、あるいは関係者、自治体も含めて、構想計画段階から実施、そして、私は事業の見直しも含まれると思いますけれども、同じテーブルに着いて合意形成をしていくということでございます。
 時間はかかっても、こういった合意形成、これが結果的にはその事業を前に進めることにつながるというふうに--私も、地元の都市計画道路、非常にもめて、三十年たなざらしになって、紆余曲折があったけれども、整備に踏み切っていったその経験を持っておりますが、そんなことも考え合わせますと、この市民とのパートナーシップ、住民との合意形成、これはとても大事だということを改めて感じております。
 外環道路につきましては、三十五年間凍結して、従前の高架方式から地下化方式に変更するというたたき台を持って、昨年五月から地元説明会が開催されました。新たな動きが出てきたわけですが、これまでの経過から見ても、そう簡単に前に進むとも私には思えません。必要性の是非から議論しましょうと、国も都もいっているわけですから。
 しかし、外環道路の整備についての効果と影響等について、客観的なデータ、きちんとした十年後、二十年後、五十年後のシミュレーションの提示の上で議論をきちんとしていけば、私は、きちんとした判断ができるというのが今の市民だろうと思っています。関係者の納得ずくの、まさにPIの精神を守って対応していただき、新たな合意形成のモデルになるよう期待をして、この問題は終わります。
 最後に、四問目でございます。限られた時間でどこまで質問できるかわかりませんが、基礎自治体と東京都の連携についてお尋ねをいたします。
 本格的な地方分権の時代を迎えて、多摩の市町村は、みずからの責任において、地域の特性を生かしたまちづくりを進めていくことが必要であります。そのためにも、税源も含めた財源移譲は不可欠であります。
 このような時代におきまして、東京都は、これまで以上に基礎的自治体である市町村との連携を強め、市町村を適切にサポートするとともに、広域的自治体の責務である市町村へのバックアップ機能を最大限に発揮をして、積極的に支援していくことをぜひお願いをするところです。
 しかしながら、最近の矢継ぎ早ともいえる多摩地域における施設の統廃合や事業の見直しを見ると、東京都の多摩地域に対する姿勢に疑念を抱かざるを得ません。都財政が極めて厳しい状況にあることは私も十分承知しておりますが、施設の統廃合や事業の見直しによって、住民へのサービスの低下を招くことがあってはなりませんし、まして、そのしわ寄せを市町村に負わせるようなことがあってはならないと思います。
 市町村は、住民サービスを直接担う自治体であって、都から負担を負わされたとしても、それを住民に転嫁することは極めて難しい立場にあるからです。都は、市町村のこうした立場を十分に理解し、事業の見直しなどを行うに当たって、市町村と十分に協議し、合意形成を図るべきでございます。
 基礎的自治体との連携に関して、この間の都立図書館の問題や保健所の再編や、さまざまな問題が気になりますが、きょうは、多摩の将来像二〇〇一の実現に関連してお尋ねをいたします。
 昨年八月、都は今後の多摩振興のためのビジョンとして、多摩の将来像を策定しました。この中で、自立と連携という基本理念や、活力と魅力にあふれた多摩の創造という将来の姿が示されています。
 先の見えない混迷の時代に、このような長期的なビジョンが示されたことは、一定の意義があると思いますが、肝心なのは、この多摩の将来像はあくまでもビジョンであり、その実現は今後にゆだねられているということです。構想を基本計画にまとめ、財源の裏打ちを持った実施計画をつくるなど、一層の具体的な推進をぜひやっていただきたいと切望するわけでございますが、庁内におきまして、副知事を本部長とする多摩島しょ振興推進本部が設置されており、今後、この将来像の具体化に当たっても、推進本部のもとに各局横断的な検討体制を整備し、責任を持って取り組んでいく必要があると思いますが、所見をお伺いいたします。

○大関総務局長 昨年八月に多摩の将来像を策定いたしまして、十五年後のあるべき多摩の姿をビジョンとして明らかにするとともに、十項目のチャレンジテーマを初めとした、多摩振興に向けての取り組みの方向をお示しいたしました。
 現在、この将来像の具体化を図るため、今後の多摩振興に寄与すると思われる企業やNPOの活動状況及び都民意識の調査などを行っております。
 今後、この調査結果を踏まえながら、多摩島しょ振興推進本部のもとで、全庁横断的な体制をとりまして、多摩の将来像の具体化に向けて取り組んでまいります。

○河西委員 さて、多摩地域は三百九十万人の人口を擁して、日本で最大の政令指定都市である横浜市をはるかにしのぐ一大都市圏であります。また、私の住む狛江市のように、区部に隣接し、減少したとはいっても緑も残っており、野川と多摩川に抱かれた快適なベッドタウンから西多摩の森林地域まで、さまざまな顔を持っています。
 都は、広域的自治体として、このような多摩地域の隅々まで目を配り、生き生きとした多摩の将来の姿を描き、市町村と連携してその実現に努めるべきだと考えます。
 今後の多摩振興に向けて、最後になりましたが、知事のご決意をお聞かせいただきまして、質問を終わります。

○石原知事 私、時々三多摩地方にも視察に参りますが、新宿を出て向こうへ向かう途上、だんだんだんだん建物の階数といいましょうか、高さが減ってきて、そうするとほっとするんですね。
 特に、三多摩地域へ入りますと、やっぱり昔の武蔵野の面影も随所に残っておりますし、同時に、多摩地域には先端技術産業が非常に集積しておったりしまして、非常に多彩な顔を持っていると思うんです。
 先般も、EUの大使を案内して、ヘリコプターで東京じゅう飛び回ったときに、彼らがひとしく、非常に東京というのは変化のある首都なんだなあということで感心しておりましたが、そういう意味合いで私は多摩というものをとらえて、決して二十三区にまねるといいますか、二十三区化をする必要は全くないと思います。あの地域の特性をやっぱり生かしながら、東京にとって欠かすことのできない一翼を担っていただくためにも、都としても、いろんな条件整備にこれからも力を尽くしていきたいと思っております。

○和田副委員長 河西のぶみ委員の発言は終わりました。(拍手)

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