東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○星野委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十一号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 昨日の委員会でご報告申し上げました議員傍聴席からの不穏当な発言の件につきましては、本日の理事会において、日本共産党から陳謝がありましたので、ご報告申し上げます。
 それでは、山崎孝明理事の発言を許します。

○山崎委員 連日ご苦労さまでございます。長期にわたる予算委員会でお疲れと思いますが、最後までひとつよろしくお願いいたします。
 昨年のこの予算特別委員会で、私は、環境問題に触れまして、自動車メーカーが大気を汚しているという件で、自動車メーカーの社会的責任を追及いたしましたら、すぐに都税調で検討するという知事のご答弁をいただきました。
 昨年十二月には、早速に東京都税制調査会の答申の中に、自動車メーカー税についての答申が盛り込まれました。そこでは、自動車メーカーに対して、適切な誘導を図るための政策税制を構築すべきである、このような回答を得たわけでございます。
 石原知事が、いい提案をどんどん出してくれ、そして、石原知事のスピード感あふれる感覚でこうしたものを取り上げていただいているということは、都議会としても、我々議員としても、大変やりがいのある、実に知事の決断とスピード感に私どもは感謝をいたしているところでございます。
 ただ、知事も、今日の国会の政治家あるいは役人、知事から見ればすべて後輩だらけ、若い人が知事から見ればたくさんになってしまった、そうした意味では歯がゆさばかりである、そんな感じがいたしますが、しかし、政治家として、男の意地として、国と戦うという意欲に私も共鳴をいたしまして、けんか腰で国と戦うべきだ、こういう感じを持っております。
 いってみれば、今日は乱世の時代であるといえるのではないかと思います。我々は、石原慎太郎という、現代史、後には、日本の歴史にその名を残すであろう、そうした政治家とともに、都議会でこうして一緒に活動できるということは、私も、議員としてのみならず、人間としてこの世に生をうけてきたかいがあった、そんな思いでおります。
 そして、長年、石原知事に側近としてお仕えした濱渦副知事の石原知事に対する思い、あるいは、都政にかかわるさまざまな今日までの思いがありましたら、感想をお聞かせいただきたい。

○濱渦副知事 突然のご指名で感動しております。
 私は、知事のもとで長く修行してまいりまして、国政にいたときもずっと思いがあるものでございますので、その政策を実現するために、微力でありますが、一生懸命努めてまいっておりますが、これからも努めてまいりたいと思っております。
 以上です。

○山崎委員 私は高校の野球部の監督をやっていまして、チームをまとめていくということは非常に難しい。知事はヨットに乗られるということ、大好きであるということも伺っておりますが、ヨットの方が命がけで、野球やサッカーよりはるかに大変だと思うんです。そうした意味では、クルーをいかに一体にまとめていくか、そしてまた、クルーはそのリーダーと一体となって航海をしなければならないという意味では、私は、執行機関、副知事、局長以下、皆さんの一体感というものがないと都政もうまくいかないのではないか、そしてまた、議会とも一体となって、今日のこの時代を、そしてこの都政の進展のために力を合わせていかなければいけない、こういう思いを抱き続けております。
 どうか、そうした意味で、今申し上げたように、議会も理事者の皆さんも一体となって、ぜひこれからも邁進を続けていきたいと思いますので、これからいろいろ質問をいたしますので、しっかりとしたご答弁をお願いしたいと思います。
 質問の順を変えて伺います。
 まず、花粉症対策について伺いますが、文部科学省のスギ花粉症克服に向けた総合研究の報告によると、スギ花粉症患者は約一千三百万人、年間医療費が二千八百六十億円に上る、都市生活者の十人に一人が患者だそうでありますが、特に東京では、それ以上の数であろうと思います。
 特に、今この時期が、スギ花粉の、花粉症の一番ひどい時期だと思いますが、昨年四月、知事は、国に対して、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトを提言し、その中で、花粉症に悩む都民のため、九千億円の予算を上げ、花粉症対策を都民にいわば公約をしたと私は受けとめております。
 しかし、国の都市再生プロジェクトでは、現在のところ事業化されておりません。しかし、花粉症に悩む多くの都民は、石原知事のこの公約に大きな拍手を送り、大変な期待を持ってその対策を見守っております。
 そこで伺いますが、国の都市再生プロジェクトの中では事業化されておりませんが、都が国に先駆けて行ってきた花粉数の測定やシーズンの飛散予測をやってきた実践は理解できますが、新たに十四年度の重要施策として取り組もうとしている花粉症予防情報ネットワークとはどのようなものか、具体的にお答えをいただきたい。

○今村衛生局長 ご指摘の花粉症予防情報ネットワークは、花粉症患者の発症予防や症状軽減のため、花粉の飛散予報だけでなく、気象情報や大気汚染情報、患者の発生動向などの総合的な情報を、より詳細かつ迅速に都民に提供していくものであります。
 花粉症対策には、患者本人のセルフケアが重要であり、こうした情報の提供が、花粉症患者の発症予防や症状軽減につながるものと考えております。
 来年度は、専門家による委員会を立ち上げ、ネットワーク構築へ向けた検討を行っていく予定であります。

○山崎委員 では、現在進めているディーゼル車排出ガスと花粉症に関する調査研究の成果を、このネットワークの中でどう活用していくことになりますか。

○今村衛生局長 近年、花粉症患者が増加しておりますけれども、その原因としては、スギ花粉の増加だけではなく、ディーゼル車排出ガスの影響があるものといわれております。
 都は、平成十三年度から、ディーゼル車排出ガスと花粉症の関連に関する調査研究を進めており、その成果を花粉症情報ネットワークにおける情報提供の内容などに十分活用していきたいと考えております。

○山崎委員 ここで私は、花粉症対策のみならず、森林の保護育成、そして環境対策について、私の考えを少々述べさせていただきたいと思います。
 三月三日の読売新聞に、「ヒノキ植林四〇〇年計画」という記事が出ておりました。これは、一九三四年から始まった奈良・法隆寺の昭和の大修理や、一九八一年の薬師寺など、伽藍再建には樹齢数百年のヒノキが使われてきた、これらの再建を手がけた宮大工の西岡常一さん、九五年に亡くなられましたが、千年もつ木造建築には樹齢千年の木材が必要と訴えてきましたが、日本では樹齢五百年前後のヒノキが切り尽くされ、薬師寺伽藍再建には台湾のヒノキ材が使われました。このため、三百年から四百年後に再び大修理の時期がめぐってくる法隆寺など、木造文化財修復に使う木材を今から植林して育成しようという壮大な計画が古事の森事業だ、こういう記事が出ておりました。
 これは、今から後四百年後のことを考えてヒノキを植えようという、こうした壮大な計画、これは林野庁も賛同をして、そうした国有林を提供する、そしてNPOやボランティアに協力をしてもらうということで、四百年後の寺院の修復のために今からそういった活動を始めているということで、私は非常に感動をいたしました。
 森林は大気をきれいにします。その森林の保護育成は、木材を伐採し、その後、植林をしなければなりません。杉は約四十年で成木となりますが、今日の多摩の山林は、伐採、植林の繰り返しがなされないため、このままでは将来、森は死滅しかねません。
 この原因は、ご存じのように、外材の輸入、安い木材が利用されることによる国産材の需要の低下、少しでも安い木材を求める事業者の指向が多摩の木材の需要の低下となり、間伐もできなくなり、ついには山の手入れさえもできなくなってしまった。そして、杉が成木のままの状態であるため、花粉症の最大の原因になっておるわけでございます。
 森は、伐採をして、利用して、植林をして、この繰り返しで森林は守られていくわけであります。そのためには、多摩の杉を利用しなければならない。何とかこの杉を生かしながら、東京の杉林の花粉発生抑制対策を進めるべきと思います。
 例えば、秋田杉で有名な秋田県を初め、各県では、県産材の使用促進のために、さまざまな施策を中小企業対策、あるいは山林対策、林業対策として行っておりますが、東京全域では、大きな木材需要があると思いますが、民間需要を引き出すためにも、まず都みずからが率先して木材使用に取り組むべきだと私は思うんです。
 そこで、都がみずから建設し管理する学校など公共建築物に、多摩産の杉を積極的に使っていく方法は考えられないでしょうか。

○安樂財務局長 東京都が建設いたします公共の建築物に木材を積極的に使用することは、お話にありましたが、意義のあることと思います。
 そういうことで、ご提案の多摩産の杉の使用につきましては、杉材が持つ和室向きの特性、あるいは安らぎを醸し出す長所に着目いたしまして、例えば、高齢者の施設や福祉施設などの内装材として利用する、こういうことを、積極的な活用を早速検討したいというふうに思います。

○山崎委員 本年二月、都の林業試験場が、杉の木にマレイン酸を注入する方法により、スギ花粉を生産する雄花の量を九〇%以上抑制するという明るい話題を提供しました。これがマレイン酸の粉、粉状態でございます。ここにこの粉を入れて水を入れる、そして杉の木にドリルで穴をあけて、これをこう突っ込むわけですね。そうすると、一日、二日だそうでございますが、ここに入っている液が全部杉に入りまして、その杉が、木ですから液が循環します。それによって抑えるということでございます。
 実は私の家に、樹齢で二十五年から三十年ぐらいの杉の木がありました。うちの隣はおふろ屋さんなんですが、その奥さんが、うちの世話もたくさんよくしてくれるいい奥さんなんですが、実はその奥さんが花粉症であるということを僕は全然知らなかった。ところが、近所の方が、山崎さん、お宅の杉でおふろ屋さんの奥さん随分苦労しているわよ、こういわれまして、びっくりしまして、私は、木はかわいそうだったんですが、その木を切り倒したんです。そうしましたら、それからその奥さんは花粉症がとまった。
 私は、木はかわいそうですから、その切り株を庭の腰かけにして今使っているんですが、そう思いますと、多摩の杉に、みんないろいろこういう薬を入れてやるわけですが、都内の杉について考えてみたらどうだろうかと。神社とか公園とか、いろいろ都内にはあると思うんですが、知事、いかがですか。
 そういった都内に生えている、近所、大体、杉の花粉といっても、風が吹けば五百キロも飛んでいく、しかし、風がなければ大体、まあ、どうでしょう、五百メートル以内でおさまっているんじゃないかと思うんですね。そうすると、都内にある、町中にある杉の対策をまずすることが--私は、多摩の杉全部やるといったら、これはえらいことですから、まず都内の杉から手がけたらどうかと思うんですが、知事、いかがでございましょう。

○石原知事 幸い私は花粉症にかからずに済んでおるんですが、私の周囲に、家族も含めて被害者がおりまして、見るに見かねて、知事になりましたときに、当時の小渕総理に、これは積極的に対処をしてくれ、大都市の問題なんだからといいました。
 ただ、そのときにもちょっと申し上げたんですが、私の知人に、非常に親しいグラフィックデザイナーがおりまして、私のある本の装丁を手がけてくれておりまして、その打ち合わせで話をしたら、何年か前、非常に目を真っ赤にし、鼻をぐずぐずさせて、とても東京にいられないんで、あした自分の故郷へ帰って向こうで仕事をしてきますと、三月の最初のころでしたけれども。それから一、二カ月して、花粉症が、花粉がおさまったころ東京へまた戻ってきて、その作品を見せてくれたんですが、そのときに、いや、石原さん、実に不思議ですな、私、長野の実家へ帰りましたけれども、そこへ帰ったら、田舎の空気のせいかすっかり治った、東京へ出てくる前の日に、ふと気がついたら自分の裏山は全部杉山だったと。
 そのそばにいてかからずに、花粉症がなくなって、東京に来るとこういう問題が起こるというのは、やはり私は複合汚染じゃないかとそのとき思ったんですけれども、都内の神社、寺社仏閣の杉をそれで調整するのも必要でしょうが、かつて、江戸時代から花粉症があったという話は聞きませんのでして、これは文明が進み過ぎたこの大都会での大気汚染というものとの複合汚染じゃないか。
 その原因をできるだけ早く究明してくれということで、国も予算をつけて、ぼつぼつ重い腰を上げてやっているようでありますが、できるだけ速やかに結論を出してもらって、それがさらに都会における大気汚染の防止に、抑制につながれば、相乗的に私は花粉症の問題も解決されていくんではないかと思います。
 ただ、要するに杉だけをあだにして、それでいじめることになるのか、助けるのか知りませんけれども、それだけではちょっと片手落ちじゃないかという気がいたします。

○山崎委員 複合汚染、当然そうです。例えば、秋田杉で有名な秋田県で、そんなに花粉症の人たくさんいるのかというと、そうはいないはずです。ですからこれは、ディーゼル車の排気ガスもそうですが、さまざまな要因が重なって花粉症というのはなるということは事実だと思うんです。
 ただ、今何をするか、何ができるかということを、すぐ対策を、私は打てるものは打つべきだと思うんです。そういった意味で、局長、いかがですか、都内の公園や神社の杉について、何かお考えをお願いします。

○浪越産業労働局長 林業試験場におきまして、先生お話しのありましたように、昨年の七月から本年一月まで、マレイン酸の注入によりまして、スギ花粉抑制の実証実験を行いまして、花粉を生産する雄花の量が大幅に削減されるという結果を得ました。
 私どもといたしましては、この成果をいち早く都民に還元するため、十四年度から、都内の神社や公園などにある杉約二万本を対象に、マレイン酸注入による花粉抑制パイロット事業を実施をしたいと考えております。
 また、マレイン酸の薬の効果の持続期間などの解明に取り組んで、スギ花粉の抑制に努めていきたいと考えております。

○山崎委員 これを一本入れると、大体、手間も入れて五百円ぐらいかかるそうなんです。多摩の杉林は、昭和三十年から四十年代に盛んに植えられたもので、花粉を旺盛に生産する二十年生以上の杉が、二万ヘクタールに本数ではおよそ四千万本あるそうです。これに一本五百円ずつかけてやると二百億円、一年でそれがとまるんならいいですが、これはまだ実験が始まったばかりですから、また二年目もやらなきゃならぬということになれば、毎年二百億円の予算がかかる。四千万本、これはどうやってやるんだろう。一年では到底不可能だと思うんです。
 しかも、東京の東の千葉県は、有名な山武杉の産地、これは房総半島、あらかた山武杉なんですが、これが春になると、春は大体東から風が吹きますから、山武杉の花粉が東京に飛来してくるわけです。
 花粉症対策には、十兆円プロジェクトに掲げているように、予防対策や森林管理に加えて、大気汚染の改善など、関東全体を視野に入れた総合的な取り組みが必要であると思います。
 特に、花粉症発症に影響が疑われるディーゼル車排出ガスの規制強化や、低硫黄軽油の早期導入など、大気汚染対策は極めて重要であります。
 ディーゼル車対策を七都県市で取り組み始めているように、花粉症の総合対策も広域的な取り組み体制の構築が必要と思いますが、知事のご見解をお伺いいたします。

○石原知事 現に、非常に多くの方々が、東京に住み、あるいは東京で働きながら花粉症で苦労していらっしゃるので、これはできることから対処しなくちゃいけないと思いますが、むだな努力をしても、しかしせんないこともありまして、一刻も早く、大都会の一つの特色、特徴であるこの花粉症というものの、複合汚染かどうか、まだ判然といたしませんが、これは憶測の域を出ませんけれども、いずれにしろ、そういう原因というものを科学的に究明することが、私は、費用をかけて効果を生むような、そういう対処につながると思うんです。
 ですから、国は非常に地方もカバーしていて、都会の問題については鈍感なところもありまして、口酸くいっているわけですけれども、やっと重い腰を上げましたが、国の研究に東京も積極的にデータを提供しながら、一刻も早く、この大都会の一つの特色である花粉症というものの、しょうけつの科学的な原因というものを究明することが私は肝要だと思います。
 ただ、おっしゃるように、東京にたくさんある杉にその対処を施すといったって、それは東京で済まず、千葉の杉まで手だてするわけにいきませんので、それは費用対効果から考えても難しいことですし、とにかく、かつてなかった、大都会にこのごろ発生して出てきた、文明病であるとしかいいようのない花粉症の、まず科学的な原因というものを一刻も早く究明するように、国にも働きかけてまいります。

○山崎委員 知事のお考えもよくわかります。どうか都を挙げて、また七都県市でそうした提言もぜひしていただきたいと思います。
 次に、特別交付税について伺いたいと思いますが、この予算委員会では、地方税財政制度の不合理な点、さまざまな議論がここでもなされてきたわけでありますが、東京都は、昭和二十九年の地方交付税制度発足以来、一貫して不交付団体であるため、地方交付税に対しては関心が薄く、国の十四年度予算では、地方交付税は総額十九兆五千四百四十九億円が措置されておりまして、地方の財源として不可欠なものとなっております。
 このうち普通交付税は、毎年、各団体に一定の行政水準を保障したり、財政力の均衡を図るため配分されておりますが、もう一つ忘れてならないのは、交付税のうちの特別交付税、これがどうもわかりにくい形で交付されておりまして、都が不利益な扱いを受けているのではないかと私は思っております。
 そこで、この点について何点か伺いますが、まず確認をいたしますが、特別交付税の目的や仕組み、交付総額、交付条件はどうなっておりますか。

○安樂財務局長 地方交付税は、普通交付税と特別交付税に区分されておりますが、普通交付税が地方自治体の通常の財政需要の財源として交付されるのに対しまして、特別交付税は、災害など、普通交付税ではとらえ切れない特別な財政需要に対して交付されるものであります。地方交付税総額の六%がこれに充てられております。
 国の十四年度予算における特別交付税の額は一兆一千七百二十七億円であります。これを各地方自治体に交付する仕組みになっております。
 特別交付税の算定は、市町村と都道府県で異なっております。市町村に対しましては、交付団体であろうと不交付団体であろうと、特別な財政需要の額そのものが交付されるのに対しまして、都道府県に対しましては、特別な財政需要の額から、不交付団体の場合、財源超過額を差し引いて交付されるという形になっております。

○山崎委員 それならば、かつて東京都と同様に不交付団体だった大阪府あるいは神奈川県ではいかがでしたでしょうか。

○安樂財務局長 不交付団体であって特別交付税の交付を受けた例といたしまして、大阪府がございます。昭和六十年度以降で見ますと、大阪府が昭和六十年度に、そのほか、神奈川県が昭和六十三年度と平成元年度に、それぞれ特別交付税の交付を受けております。
 ただ、財源超過額、不交付団体でありますので、財源超過額を差し引いて交付されますので、どの場合も少額ではございます。

○山崎委員 このように、都道府県の不交付団体であっても、特別交付税は交付されておりますが、東京都は、不交付団体でも今まで一度も受けておりません。全くおかしな話でありますが、都が特別交付税の交付を受けないのは、なぜ受けられないのか、ご説明願います。

○安樂財務局長 東京都の特別交付税の算定におきましては、区部につきまして、東京都と二十三の特別区を一つの市とみなしまして、これに府県としての都を合算して計算が行われております。
 その結果、仮に特別区の地域で災害が生じたといたしましても、都の財源超過額が、十三年度の算定結果でも四千九百億円以上ございます。これに上っておりますので、これを上回る特別な財政需要が生じない限りは、東京都は特別交付税の交付を受けられない、こういう状況になっております。

○山崎委員 では、具体的な事例として、平成七年一月に発生した神戸の大震災のとき、特別交付税は兵庫県や神戸市に対してどのくらい交付されたか、お伺いいたします。

○安樂財務局長 阪神・淡路大地震の際には、被災した兵庫県や神戸市などに対しまして、災害による需要を含めまして、六年度では、兵庫県に二百五億円、神戸市には百五十一億円の特別交付税が交付されております。
 それに続きまして、七年度、八年度にも交付されておりまして、三年間のみの合計でも、兵庫県には五百五十億円、神戸市には四百四十七億円が交付されております。

○山崎委員 神戸の大震災のときは、地元の兵庫県にも二百億円を上回る特別交付税が交付されたわけであります。しかしながら、今後、仮に、東京で万が一、同様な災害が発生した場合であっても、現行制度のもとでは、東京都は特別交付税の交付は受けられないということになります。
 また、当時、全国の自治体が応援活動を行いましたが、その経費のうち、災害救助法等の規定に基づいて被災団体が負担するものについては、特例として、応援団体に対して特別交付税で措置されたと聞いておりますが、東京都も応援団体として交付を受けたのか、そのときの状況をお伺いいたします。

○安樂財務局長 当時、東京都は、災害対策基本法などに基づきまして、兵庫県と神戸市で消防庁のレスキュー隊による救助活動などを行いまして、これらに要した経費は、災害発生からの二カ月間で約十億円に上っております。
 しかし、当時、東京都の財源超過額は五千四百億円以上あったために、他の応援団体に対しましては、合計で百七十三億円の特別交付税が交付されておりますが、東京都は、一文も交付を受けることができませんでした。

○山崎委員 一文も受けられないという、とんでもない制度であります。
 では、三宅村に対しては、三宅の災害について、平成十二年度では六億三千万、十三年度は五億二千万という交付を受けているわけですが、東京都は、これは受けられない。兵庫県は受けられた、神戸市も受けられた。ところが、三宅村は受けられたけれども東京都は受けられないと、こういう全くおかしな状況であります。
 ですから、三多摩の市町村には、災害のときに、市町村あるいは島しょは受けられる。逆三多摩格差ということになるわけですが、二十三区は受けられないんです、二十三区は。
 こうした制度は、ぜひこれを変えるべく懸命に努力をいただきたいと思いますが、特に災害だけでなくて、特別な財政需要に対してということで、経済対策とか環境保全対策あるいは都市対策、過疎対策、こういうところにも、特別交付税というのは措置されるということであります。
 例として聞きますが、特別交付税として、東京都と二十三区のように、東京の次に規模の大きな大阪府と大阪市を合わせた場合では、過去三年間でどのくらい交付されていますか。

○安樂財務局長 平成十年度で申します。大阪府が二十六億円、大阪市が四十四億円、合計七十億円であります。
 十一年度で、大阪府が二十一億円、大阪市が二十億円、合計で四十一億円であります。
 それから、十二年度でありますが、大阪府二十二億円、大阪市が二十一億円、合計四十三億円と、こういったぐあいであります。

○山崎委員 現在、国と地方の間の税源配分など、現行の地方税財政制度の抜本的な改革が国、地方を通じた大きな課題となっておりますが、一向に進みません。昨日の知事の答弁では、分権のときの一括法、中長期的ということで、中期というのは五年から十年ぐらい、長期というと五十年も待たなきゃできないと、知事はこうおっしゃっておりました。
 そのようなことを考えてみると、抜本的改革も急がれるわけですが、逆に現行制度の中で、都財政の現状や災害のそうした心配も含めて日々直面する課題の一つとして、地方交付税を今私は取り上げたわけですが、最後に、ただいまの議論に対して、特別交付税を含めて、地方税財政制度の改善に向けての知事の決意をお伺いいたします。

○石原知事 この議論を聞いておりましても、だれも非常に面妖な感じを抱かざるを得ないと思うんです。この間の阪神大震災並みの災害が二十三区に起こったときは、東京は一文も、それこそ援助を受けることはできないというのはおかしな話でありまして、この問題について、今度の政府の税調の会長になりました石君が私の後輩ですし、彼にも話しましたが、自民党の党の税調に話しても、地方出身の議員が多いせいか、全然この問題を知らない。
 政府で、とにかく税調としても考えろということを申しましたが、やはり、せっかく設けました都の、要するに税調が非常に注目もされておりますし、こういったものを活用して、こういうものの是正に努力していきたいと思うんです。
 いずれにしろ、行政の機能ということでは、一応二十三区はそれぞれ独立した形になっておりますけれども、国は、それを非常に都合よく一緒くたにくくりまして、自分たちの被害というんでしょうか、支出というものを頼りにされないような形で解釈するというか、せっかくできた特別区の区分、性格というものが非常にあいまいにとらえられていて、そういう点でも非常に大きな矛盾を私は感じます。
 いずれにしろ、地方分権一括法、まさに形骸だけのものでしかありませんが、これに本当に仏の魂を入れるために、この問題を踏まえて、これからも一生懸命努力していきたいと思いますが、やっぱり時間をかけてもしようがないので、これ、いつ災害が来るかもわかりませんし、いつ特別交付金の需要がある事態が到来するかもわかりませんから、本当に急いで、とにかく積極的に努力をしようと思っております。

○山崎委員 知事以下、理事者の皆さんも、国に相当な働きかけをしていただくわけでありますが、我々議員も党派を超えて、それぞれ個人的に、自分の党の先輩もいらっしゃるでしょうし、友人も、国会議員がいると思うんですよ。そういったことを、我々も一生懸命国会議員を説得して回らなければ、国は動かないと思うんです。
 ですから、ぜひひとつ各会派、特に自民党、しっかりこの点を頑張ってもらわなければいけないというふうに思います。
 では、次に、スーパーエコタウン事業について伺います。
 十兆円プロジェクトを受けて、国の都市再生プロジェクトの第一次決定の中で位置づけられたものでありますが、その経緯とねらいについてお伺いいたします。

○田原知事本部長 昨年四月でございますけれども、知事は、国に対しまして五カ年十兆円プロジェクトを提案いたしましたが、その中に、お話の首都圏スーパーエコタウンを盛り込んだところでございます。
 これを受けまして国の都市再生本部は、昨年六月、第一次プロジェクトとして、大都市におけるごみゼロ型都市への再構築を決定しております。
 このプロジェクトのねらいでございますけれども、大都市圏において産業廃棄物の発生抑制、資源としての再使用、再利用を進め、資源循環の輪--サイクルのことでございますけれども、輪を形成することによって、ごみゼロ型都市を再構築する、こういうものでございます。
 首都圏におきましては、七都県市連携のもとに、廃棄物処理施設やリサイクル関連施設を役割分担して整備をするということにしております。

○山崎委員 都内には約八百トンのPCB廃棄物があるといわれ、無害化を進めることは、都民の健康を守る上で極めて重要だと思います。また、プラスチック類の廃棄物も増大しているわけで、あるいはまた建築廃棄物、こうしたものが--これからも建築廃棄物は、特に大量更新期を迎えるわけですから、処理をしなければならない非常に大切な問題だと思うんですが、中防の内側埋立地には、PCB無害化処理施設、ガス化溶融等発電施設、大田区城南島には建設廃棄物リサイクル施設、情報機器類等その他のリサイクル施設、こうしたものをつくろうとしております。
 そこで伺いますが、中防の埋立地に二つの施設を予定しているわけですが、その立地の理由についてお伺いいたします。

○赤星環境局長 スーパーエコタウン事業のためには、さまざまな条件を考慮した結果、中央防波堤内側埋立地と城南島以外にはまとまった都有地の確保が困難であったため、この二カ所を事業用地といたしましたが、城南島につきましては、航空法に基づきます高度制限によりまして、おおむね三十メートルを超える建築物を建設することができないこと、また、PCB無害化処理施設整備の先行事例でございます北九州市や横浜市などにおきまして、市街化されていない埋立地で整備を進めていることなどを考慮いたしまして、ガス化溶融等発電施設とPCB無害化処理施設の二つにつきましては、中央防波堤内側埋立地に立地を計画したものでございます。

○山崎委員 ご存じのように、この中央防波堤の最終処分場というのは、それこそ三十数年にわたって清掃車が江東区内を通り抜けて、一日何千台という、五千台ともいわれておりますが、そうした清掃車が通過をしてでき上がった土地であります。
 区民は、東京全体のごみ問題を考えたときには、それについてどうこういうことはありませんし、長い間、それを我慢してまいりました。中防が終わった、そうしましたところ、今度は新海面処分場。そしてまた、新海面処分場が現在工事をし、進んでおりますけれども、その後には、今度は土地のでき上がった内側処分場には、こうしたPCBの処理施設等ができる。一体どうなるんだ、もう終わるんじゃないかということをその時々に思いつつ、次にまた新しい計画が出てくる。
 これについては、その安全性も重要でありますし、区民に安心を与えなければ理解を得られないと思いますが、この中央防波堤の埋立地内側は、四十八年から六十一年まで埋め立てをしてまいりました。平成八年に土地ができた。しかしながら、平成八年から今日まで、その土地の帰属がまだ決まっておりません。そういう状態を、いつまでほうっておいていいというはずはないんです。
 埋め立てが終了し、利用可能となった場合、一日も早くその帰属を決めなくてはならないと思いますが、東京都の見解をお伺いいたします。

○大関総務局長 お話のとおり、新たに生じた土地につきましては、早期にその帰属が定まることが望ましいわけでございます。
 この中央防波堤埋立地につきましては、地方自治法の定めによりまして、関係する特別区が協議を行い、確認した上でその帰属が決定される必要があるということから、先月、関係する五区で帰属問題五区協議会を設置したと聞いております。
 都といたしましても、一日も早く関係五区による話し合いがまとまることを期待しております。

○山崎委員 今申したように、地元の不安を払拭できるよう、どう配慮していくか。
 そして、長年、清掃車に悩まされてきた江東区民に配慮する必要があると思いますが、例えば二つの施設の搬入台数、どの程度のものか。そして、海上輸送の導入についても検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○赤星環境局長 二つの施設の一日当たりの平均搬入車両台数でございますけれども、PCBの無害化処理施設の場合は十台以下、ガス化溶融等発電施設の場合は二百台から三百台と想定しておりまして、環境アセスメント手続の過程を通しまして住民の理解を得ていきたいと考えております。
 なお、東京におきます廃棄物の海上輸送につきましては、既成市街地の交通量削減効果はございますが、積みかえ、積み込み、陸揚げ施設の整備や輸送コスト、作業効率などの課題がございます。特に、事業者責任の原則のもとにございます産業廃棄物につきましては、非常に導入が困難でございます。
 今後の長期的な研究課題とさせていただきます。

○山崎委員 意見はいろいろありますが、時間がありませんのでこの問題を終わりまして、次に、東部療育センターについてお伺いいたします。
 知事がご決断いただきまして、一年早く、この財政難の中で東部療育センターの建設が決まりまして、今、基本設計をやっているわけでありますが、その中で、これが子どもたちや親御さんのためにもいい施設になるように、例えば車いすで病院の中に入っていった、車いすに乗ったまま車輪を洗う装置が玄関にあるとか、そのひさしを広げて、雨のとき、ぬれないで入所できるような施設整備とか、そういったことなども、親御さんたちからさまざまな要望が出ているようであります。
 この土地について、また、隣の土地が、都有地がまだあいているようでありますから、その都有地を利用しながら、より広い大きな施設として設計段階から配慮をしていただきたい、このような要望も来ているところでございます。
 その点についていかがでございましょうか、お答えいただきたいと思います。

○今村衛生局長 東部療育センターの建設に当たりましては、ご指摘のとおり、障害児者やその家族の方々が利用する施設であることから、施設内での移動がしやすく、災害時の安全性にも配慮した低層階建てが好ましいと考えております。
 現在、隣接する都有地の活用を前提として基本設計を行っているところであり、通所や外来の機能をできる限り一階部分に配置するなど、利便性や安全性を確保した施設にしてまいります。

○山崎委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。(拍手)

○星野委員長 山崎理事の発言は終わりました。

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