東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○土持副委員長 吉野利明委員の発言を許します。
   〔土持副委員長退席、委員長着席〕

○吉野委員 本日、最後の質問となりました。理事者の皆さんも、委員の皆さんもお疲れのことと思いますけれども、もうしばらくおつき合いのほどをお願いを申し上げます。
 質問は、項目の下から順に行っていきたいというふうに考えております。
 十四年度予算は、十三年度当初予算に比べまして都税収入が大幅に減少する厳しい財政状況下で編成をされました。こうした中で、投資的経費についても抑制基調が保たれております。しかしながら、今回の予算は都市再生への確かな一歩が感じられる予算であり、投資的経費の活用に当たってはさまざまな工夫があったのではないかと推察をいたします。
 そこで、投資的経費の活用についてお伺いをいたします。
 申し上げるまでもなく、首都圏の再生は、経済の活性化や国際競争力の向上に不可欠であり、都としても投資的経費を適切に計上して、道路や公共交通網などの都市基盤整備を着実に進めていかなければなりません。しかしながら、都税収入の大幅な減少により、都財政はますます厳しくなっております。予算編成の苦心も、ここら辺にあったんだろうというふうに思います。
 この難問をどのように打開して投資的経費の計上を図ったのか、基本的な考え方をまずお伺いいたします。

○安樂財務局長 お話にありましたが、財政状況は極めて厳しく、予算編成に当たりましては、事業の必要度、優先度を厳しく精査し、歳出の抑制を図ったところでございます。しかし、そうした中にあっても、必要な都市基盤の整備は着実に進め、東京の再生に取り組んでいく必要があります。
 そのために、投資的経費につきましては不要不急の事業に鋭くメスを入れ、総額は抑制しながらも、国庫支出金をできる限り確保し、国庫補助事業を大幅に伸ばすとともに、投資効果の高い事業へ財源を重点的に配分するという考え方で予算を編成したところでございます。

○吉野委員 今、二つの考え方が示されました。そこで、それぞれについて聞いていきます。
 一つは、国庫支出金の確保であります。まず、十四年度予算における投資的経費を、国庫補助事業、単独事業に分けて十三年度予算と比べるとどうでしょうか、住宅事業の特別会計への移行による影響分を除いてお示しをいただきたいと思います。

○安樂財務局長 まず、国庫補助事業について申し上げますと、都営住宅事業分を除いた十三年度の国庫補助事業の予算は二千三百七十二億円であります。十四年度は二千四百五十六億円で、三・五%の増となっております。
 また、単独事業につきましては、同じく住宅分を除いた十三年度予算は四千百三十六億円であります。十四年度は三千七百八十億円で、八・六%の減となっております。

○吉野委員 それでは、この五年間の国庫補助事業の対前年度の伸び率、これはどうなっているんでしょうか。

○安樂財務局長 国庫補助事業の対前年度伸び率でありますが、十年度が一一・九%の減、十一年度が一・二%の増、十二年度が一二・〇%の減、十三年度が一・四%の増、十四年度が、ただいま申し上げましたように三・五%の増となっておりまして、過去五年間では一番高い伸びとなっております。

○吉野委員 ただいまのご答弁から、十四年度予算では厳しい財政状況にあって、国庫補助事業が着実にふえていることがわかりました。さらに十四年度予算では、都市再生のための都市基盤整備を着実に推進するための国庫支出金の確保に努めたということであります。
 そこで伺いますが、都市再生事業の推進のかなめともなる建設局では、国庫支出金の予算計上をどの程度ふやしたのでしょうか。

○山下建設局長 平成十四年度予算におきまして、建設局が計上している国庫支出金の額は八百四十七億円で、前年度予算額七百十三億円に対して百三十四億円、一八・八%の増額となっております。

○吉野委員 大分伸びているというふうに感じます。国も都市再生を打ち出しているわけですから、国に強く働きかけて、国庫支出金をぜひとも多く現実に獲得をすることが大事だというふうに思いますが、国庫支出金の獲得に向けた取り組みについて、同様に建設局長にお伺いします。

○山下建設局長 厳しい都財政のもと、都市再生に向け、都市基盤整備を着実に推進するためには、国庫支出金の獲得が極めて重要でございます。
 これまで都としましては、一連の国への提案要求活動を通じて、東京の基盤整備の必要性や効果の大きさなどを訴えるとともに、首都圏の基盤整備への国費の配分拡大について、七都県市が協働して、国に対し積極的に働きかけてまいりました。
 今後とも、都議会のご協力を得ながら区市町村などと連携し、あらゆる機会をとらえ、国庫支出金の獲得に努めてまいります。

○吉野委員 第二は、投資効果が高い事業への重点化であります。限られた財源をより効果的に用いる視点は、現在、最も求められているところであります。
 そこでお伺いしますが、どのような考え方を基準として投資的経費の重点化を図ったのか、具体的に、例えば道路整備についてお示しをいただきたいと思います。

○山下建設局長 東京におきます経済活動の高コスト構造を是正し、首都の活力を高めるためには、交通の円滑化を早期に実現する道路へ重点化し、投資していくことが重要でございます。
 具体的には、区部環状・多摩南北道路の整備や、踏切におけるボトルネックを解消する連続立体交差事業などを積極的に推進してまいります。

○吉野委員 現在、国を挙げて都市再生に取り組んでいるところですけれども、国の都市再生プロジェクトの内容を見ましても、ともすれば都市再生は二十三区の再生ではないかとの印象があります。私の地元の三鷹は、地理的にも住民のライフスタイルの面からも区部との結びつきが強いのですけれども、このように多摩と区部は相互に補完しているわけでありますから、都市再生に当たっても、多摩も含めた東京全体の再生という視点を持って当たっていくべきであるというふうに思います。
 そこで伺いますが、多摩の道路整備についての取り組みはどうなんでしょうか。

○山下建設局長 多摩地域におきまして、自立性の高い都市圏の形成に向け、都市間の連携を図る道路網の整備を進めることが東京全体の発展にとって大変重要でございます。
 今後とも、調布保谷線など南北方向の幹線道路を初めとして、多摩川中流部架橋や圏央道のアクセス道路の整備、さらにはボトルネックの解消にも資するJR中央線等の連続立体交差事業や交差点すいすいプランなどを重点的に推進してまいります。

○吉野委員 ぜひしっかり取り組んでいっていただきたいというふうに思います。
 また、都市再生の大きな柱として交通渋滞の解消があります。十四年度予算では、渋滞解消を積極的に進めるため効果満点道路事業を創設をしておりますけれども、この事業による具体的な効果をお示しください。

○山下建設局長 効果満点道路事業は、事業効果発現のネックとなっている箇所や、渋滞の原因となっているピンポイント箇所の重点的、集中的な改善を図る事業でございます。
 具体的な効果といたしましては、整備中の都市計画道路の残りわずかな未整備箇所を解消し、早期に道路を開通させること、あるいは道路の拡幅や交差点部に右折レーンを設置することにより、これまでの投資効果を一気に発現させ、渋滞の解消を図るものでございます。
 さらに、バスベイの設置や踏切内の歩道整備により、渋滞解消と歩行者の安全性を高めるものでございます。
 今後三年間で、これら四十一カ所の整備を進めてまいります。

○吉野委員 道路交通上の支障となっている箇所を集中して整備することにより、道路の既存部分の能力を飛躍的にアップすることが期待できるわけでありますし、こうした取り組みは、過去の投資を眠りから覚まさせるということで、速やかに住民の利用に供するという意味で、まさしく効果が大きいものであるというふうに思います。
 同じく鉄道の連続立体交差の推進についても、十四年度では三百二億円と、前年度に比べて大幅に予算がふえておりますけれども、この事業による具体的な効果をお示しください。

○山下建設局長 本事業は、多数の踏切を一挙に除去する事業でございまして、道路交通の円滑化、安全性の確保及び鉄道による地域分断を解消するなどの多大な効果がございます。
 例えば、これまでに完了いたしました小田急線狛江地区におきましては、十三カ所の踏切除却により、交差する道路の平均旅行速度が時速八キロから十九キロに向上し、この経済効果を試算いたしますと、年間七十五億円となります。
 平成十四年度には、小田急線経堂地区の在来線立体化を完了し、これにより、環七から多摩川までのすべての踏切が除却されます。
 また、JR中央線では必要な用地をすべて確保し、平成二十年度には全線を高架化する予定でございます。

○吉野委員 多摩地域の一体感を促進をする観点からも、JR中央線の名物、あかずの踏切解消に向けて、ぜひ取り組みをお願いしたいと思います。
 これからも都財政の厳しい状況が続くと思われますけれども、今後とも努力を重ねて都市再生の取り組みを進めていく必要があります。単独事業に比べ国庫補助事業は都の負担が減り、同じ都の財源でそれだけ多くの事業費を確保することができます。また、都債も国庫支出金が導入されれば、それだけ減少できることになります。今回の予算の取り組みは的を得たものであり、投資的経費の活用についての新しいスタイルを提示できたのではないかというふうに考えております。
 最後に、投資的経費についてのこうした取り組みをさらに進め、都財政の負担を軽減させながら、都市再生に向け、都市基盤の整備に全力を挙げていくべきと考えますけれども、知事のご決意をお伺いしたいと思います。

○石原知事 自民党を中心にしたこのところの政府は、特に自民党は橋本内閣以来の選挙で、東京や大阪といった大都市に限らず、県庁の所在地のような地方の大都市、中都市でも手痛い結果をこうむって、それが一つのきっかけになって、都市というものに堆積している国民の不満、不安というものをやっと感得するようになったと思います。
 ちょうどその時期に私も都知事になりまして、昔から知り合いであります小渕総理にも強く建言しまして、都市再生に対する意識がようやく国の政府にもでき上がってきたという気がいたしますが、いずれにしろ、東京に限らず大都市における都市基盤の整備というのは、産業の活性化や国際競争力の向上、あるいは質の高い生活基盤の確保のために不可欠なものでありまして、したがって、この厳しい財政状況の中でも、投資的経費については今後とも国費を積極的に誘引しながら、効果のある事業に集中して解決していきたいと思っております。
 いずれにしろ、私の持論でもございますけれども、何といっても、特に東京は日本の頭脳部、心臓部でありまして、それが衰弱すれば末端の手足もなえてしまうわけでありますから、そういう認識を国がようやく持ってきたというのは歓迎すべきでありますし、国と力を合わせながら東京の再生に努力していきたいと思っております。

○吉野委員 次に、先日、発表のありました旅券窓口のサービス拡大について伺います。
 旅券窓口のサービス拡大に関しましては、一昨年の第二定例都議会における代表質問で、我が党の松本議員が旅券窓口の土日開庁について伺い、さらに昨年の第一定例都議会におきまして、一般質問で、私が時間延長の実態や民間委託の内容等についてお尋ねをしたところであります。
 都では、これを正面から受けとめ、昨年四月からパスポートの日曜日の交付と、月曜から木曜まで夜間の時間延長がなされました。都民には大変好評であると聞いており、また、同時に申請業務の民間委託も実施しておりますけれども、民間にできるものはできるだけ民間に任せるという姿勢は、行政の今後のあり方を示すものだろうというふうにも思っております。
 そこで、交付業務の日曜開庁や夜間延長が都民ニーズにどの程度こたえているのか。また、申請業務の民間委託が旅券の発給を実施する上でどんな効果をもたらしたのかについて、まず伺います。

○高橋生活文化局長 平成十四年二月までの実績を見ますと、日曜開庁の交付実績は、一週間の交付総件数の約二〇%を占め、夜間延長の交付実績は約一六%を占めております。このことは、休みの日曜日や、会社帰りの夜間を利用して旅券を受け取りに来たいと思っている都民のニーズに十分こたえていると考えております。
 また、申請業務の民間委託につきましては、民間のソフトな窓口サービスが都民に好評であり、また、業務の繁閑にも柔軟に対応できることから、都民の待ち時間の短縮につながるなど、効果があると認識しております。

○吉野委員 さらに、申請業務の時間延長につきましては、先般の発表で、月曜から水曜日は午後七時まで、木曜、金曜は午後五時まで延長するという内容で、かつ、それは全国初とのことでありました。しかし、旅券の発給業務を行うに当たっては、外務省における確認行為が前提となることもあり、外務省のホストコンピューターの稼働状況との調整が不可欠であるというふうに聞いております。東京都と外務省との間でどこまで調整が進んでいるのか伺います。

○高橋生活文化局長 旅券の発給に当たりましては、パスポートの有効期限の確認などのために、外務省のホストコンピューターの稼働が不可欠でございまして、また、旅券の紛失による再発給など特別な処理を要する場合に、外務省との個別の協議が必要となってまいります。
 このため、夜間延長を実施するに当たりまして、外務省と再三にわたる協議をしてきたところでございますが、その結果、現在、午後五時までしか稼働してない外務省のホストコンピューターも夜間延長を行うことになりました。
 また、都道府県との協議に応ずる外務省の人員体制についても、東京都と十分に連携して対応していくとの意向を確認しております。

○吉野委員 この質問の最後に、一月の小泉首相の施政方針演説でも触れられましたけれども、世の中のIT化が急速に進展する中で、旅券業務についても電子申請が導入されると聞いております。これが導入されますと、都民の利便性が増す反面、これまでの申請業務が一変してしまうのではないかというふうに、期待半分、不安半分という形で関心を持っております。電子申請がいつ、どんな形態で始まるのか、また、それにより申請業務がどのように変化するのかについて伺います。

○高橋生活文化局長 外務省は、平成十五年度に実験的に一部電子化の運用を開始し、平成十六年一月から全国的に本格運用を開始するとしております。電子申請が始まりますと、夜間、休日を含め、いつでもパソコンで申請することができるようになります。しかしながら、電子申請には、戸籍を別途送付しなければならないという煩雑さや、申請から受け取りまでの日数が延びるという問題もあり、どの程度の利用者が見込めるのかは現在のところ不透明な部分も多いと考えております。
 したがいまして、東京都としては、平成十五年度に行われる外務省の試行結果を踏まえ、都民サービス向上の観点から、どのような対応をしていくべきかを十分検討してまいりたいと考えております。

○吉野委員 この旅券窓口のサービス拡大につきましては、全国的に例のない新しい制度を次々と展開をして、それが都民サービスの向上に確実につながってきているというふうに認識をしております。したがいまして、今後とも、不断に旅券事務を含め都政全般の見直しを進めて、さらなる都民サービスの向上に寄与されることをお願いして、この質問は終わりにいたします。
 次に、多摩地域に関する組織の再編について伺います。
 平成十四年度は、多摩都市整備本部や経済事務所の廃止、農業事務所、林業事務所の設置、三鷹労政事務所と立川労政事務所の再編など、多摩地域に関する組織の再編が予定をされております。また、先ごろ発表されました「二十一世紀の東京都保健所」では、多摩地域にある十二の保健所の見直しも検討をされているようです。
 私は、行政改革の必要性、重要性は十分認識しておりますが、このような一連の組織再編の動きを見ますと、都の事業が多摩から撤退をしていくのではないかといった不安を地元都民に抱かせているということも否定できません。さらには、図書館の再編では、十万冊余りの図書が処分をされるというふうな、現実には違うものが、あたかもそうであるかのように喧伝をされているということもあって、一層不安をあおり立てているという状況があります。
 そこでまず伺いますけれども、平成十四年度の組織改正はどのような考え方で行うのでしょうか。また、多摩地域の都民サービスの低下に関してはどのように考えているのでしょうか。

○大関総務局長 平成十四年度の組織改正に当たりましては、平成十二年十二月に策定いたしました都庁改革アクションプランを着実に実施していくとともに、社会経済状況の変化を踏まえ、新たな課題に対応できるよう全庁的な見直しを行っているわけでございます。
 また、組織改正に当たりましては、事業動向や施設の利用状況などを踏まえ、都民サービスが低下しないよう関係局と調整するとともに、関係する市町村に対しましては事前説明を行いながら進めております。

○吉野委員 組織再編に当たっては、都民サービスにも十分配慮されているとのお答えでしたけれども、組織を再編するなら、都民にとってのメリットがなければ意味がありません。
 そこで、今回の多摩地域に関する組織の再編では、都民にとってどのようなメリットがあるのか、伺います。

○大関総務局長 今回の多摩地域に関する組織再編のメリットでございますが、例えば、多摩都市整備本部の事業を建設局に引き継ぐことによりまして、より広域的な観点から都市基盤整備事業のノウハウや経験などを活用することができるわけでございます。また、事務所を統合し職員を集約することで、窓口サービスの充実や専門性の強化などにより自己完結的に事務処理に対応することが可能となり、より質の高いサービスが提供できることがあります。
 また、多摩地域の産業支援の拠点となる多摩中小企業振興センターにつきましては、再編により生み出されたスペースを活用することにより、暫定施設ではありますが、早期に開設することができました。

○吉野委員 次に移ります。
 次に、多摩地区水道事業について伺います。
 本年四月から三鷹市の水道事業が都営に統合されることになりました。この統合により、多摩地区では三鷹市を含めて二十五の市町が都営水道となります。しかし、これまで、統合した市や町における料金の徴収や市町レベルの施設の維持管理などは、市や町に委託して実施してきております。いわゆる逆委託方式であります。
 そんな中で、水道局では現在、現行の事務委託の解消を主な内容とする経営改善計画を策定中と聞いております。その目的は何なんでしょうか。また、二十三区と同様に東京都が直接運営を行った場合、具体的にどのような効果があるのか、伺います。

○飯嶋水道局長 現在策定中の多摩地区における経営改善計画は、市町への事務委託を解消し、多摩地区と二十三区とを一体的に運営することにより、お客様サービスの向上、給水安定性の向上、効率的な事業運営の構築を目的としております。
 具体的な効果といたしましては、第一に、窓口が都に一本化されることにより、どこからでも常時受け付けが可能となるなど、お客様サービスの向上が図れること、第二に、市や町の区域を超えた広域的管理体制が確立されること、第三に、組織のスリム化や意思決定の迅速化などにより事業運営が効率化されることなどが期待できます。

○吉野委員 都が直接運営することにより、都民サービスの向上、経営の効率化などさまざまな効果が期待できるということでありますけれども、それでは、長年にわたって行ってきた市や町への事務委託をどのように解消するのか、伺います。

○飯嶋水道局長 現在、二十五の市町には、合わせて約千百人の職員が水道業務に従事しておりまして、事務委託の解消に当たりましては、職員の円滑な削減が最大の課題と認識しております。これらの職員につきましては、退職不補充や配置転換等によりまして、市や町において段階的に削減していただくことを考えております。これにより、現在市町が行っている水道業務を順次引き継いでいくとともに、あわせて東京都においても事務所等の適正な配置と簡素で効率的な執行体制を整備してまいります。

○吉野委員 今のお話を伺っておりますと、事務委託の解消を進めるに当たっては、東京都だけで実施できるものではなくて、水道事業を受託している市や町の理解と協力が必要であるというふうに思います。事務委託制度を解消することについて、市長会にも報告をし、各市や町に意見照会を行ったというふうに聞いております。各市や町からどのような意見、要望があったのか、お示しください。

○飯嶋水道局長 各市や町からは、広域的な視点から区部と同一のサービスを実現するという東京都の考え方は了解するとのご意見をいただいております。
 一方、要望といたしましては、水道業務に従事している職員の問題があり、市や町の実情に十分配慮してほしい、また、事務委託解消の実施時期や期間などについては柔軟に対応してほしいなどがございます。

○吉野委員 事務委託の解消には、今答弁にありましたように、職員の円滑な削減が重要な課題であります。市や町によっては、行革を実行中であって、首長部局への短期間の配置転換などは容易ではない状況も考えられます。経営改善に当たっては、こうした市や町の実情や要望に十分配慮しつつ、その効果が早期に発揮できるよう都として最大限の努力をすべきと考えますが、決意のほどをお伺いします。

○飯嶋水道局長 経営改善は、お客様サービスの向上や経営の効率化に直結するものでございまして、ご指摘のとおり、改善の効果を早期に発揮させることが重要と考えます。このため、市や町の実情を踏まえた市町ごとの個別の移行計画を早期に策定し、実施可能な施策から順次実施に移すなど創意工夫を重ね、二十一世紀にふさわしい東京水道の実現に向けて最大限努力してまいります。

○吉野委員 次に、多摩地域の歩道整備について伺います。
 都内の交通事故は、死者、負傷者ともに前年を下回る結果とはなっておりますけれども、負傷者数はいまだ十万人を超えている状況にあります。さらに、高齢者の死亡事故が増加するなど、依然として危機的な状況が続いていることから、交通安全施設の一層の充実、とりわけ歩道の整備が重要であるというふうに考えます。
 十二年度末の都の資料によれば、多摩地域の歩道整備は、区部八四%に比べ六五%と大変おくれております。多摩地域での歩道整備を推進する必要があるというふうに思いますけれども、その取り組みにつきましてどうされるつもりなのか、伺いたいと思います。

○山下建設局長 歩道の整備は、歩行者の安全を確保する上で最も有効な方法であり、その重要性は十分認識しております。そこで、交通量や学校、病院などの配置状況を踏まえ、できるだけ早期に整備する区間として、多摩地域では、連雀通り、人見街道など百三十三カ所を選定し、現在、百十五カ所において事業中でございます。
 今後とも、財源の確保を図るとともに、地元の市や町、関係住民の理解と協力を得て、多摩地域の歩道の整備を推進してまいります。

○吉野委員 次に、多摩の南北方向の重要幹線であります天文台通りの歩道整備について伺います。
 この道路は、国立天文台付近のみが未整備となっており、おくれている理由として、遺跡調査などに時間がかかっているというふうに聞いておりますが、地元市も住民も早期完成を望んでいるところであり、私もこれまで何度もこのことについて言及してまいりました。
 そこで、集中的に遺跡調査を実施して、この区間を早期に整備をするべきというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○山下建設局長 天文台周辺の遺跡調査につきましては、平成十年度より調査を進めておりますが、調査範囲が広大で傾斜地であるなどの理由から、ご指摘のとおり調査に時間を要しております。そのため、調査の早期完了につきまして三鷹市教育委員会と協議を重ねてきたところ、調査体制を大幅に拡充するなどの協力が得られることとなり、平成十四年度末までに遺跡調査を完了する見込みでございます。
 今後とも、必要な用地取得に努め、未整備区間の早期完成に取り組んでまいります。

○吉野委員 時間がなくなってまいりましたので、先を急ぎます。
 次に、多摩地域の農業振興についてお聞きをします。
 都は昨年十二月に、「新たな可能性を切り拓く東京農業の挑戦」をサブタイトルに掲げた東京農業振興プランを発表いたしました。東京には、地元で生産される農産物の価値や、農業、農地の持つ多様な役割を理解している多くの都民、消費者がいます。東京の農業を発展させるためには、こうした方々の理解を一層深め、しっかりと手を組んでいくことが、魅力ある新たな農業を展開していくことにつながります。私は、多摩地域の農業を振興していくには、都民と農業との触れ合いを深めるとともに、多摩ブランドの農産物を育てていくことに力を入れるべきだと思っております。そうした観点から何点か伺います。
 まず、都民と農業との触れ合いについてですが、東京の農業は、都民が安心できる農産物を供給するとともに、野菜や果物などが育っていく姿を身近に触れることのできる貴重な場となっております。こうした東京農業の重要な役割をより多くの都民に知ってもらい、都民の理解と協力で守っていくことが重要と考えます。
 そこで、都がこれまで都民と農業との触れ合いを深めるためにどのような取り組みをしてきたのか、伺います。

○浪越産業労働局長 都民に理解され、信頼される東京農業を展開するためには、農業と都民との交流や触れ合いが重要であると考えます。このため、都はこれまで、果樹のもぎ取りや家畜との触れ合いができる観光農園、また、農作業を学べる体験農園の整備などを促進してきたところでございます。さらに、農業に対して積極的な参加を望む都民の要望については、農業ボランティア育成事業を通じまして、農業技術の研修や農家への派遣などに取り組んできたところでございます。

○吉野委員 大事な取り組みであると思いますが、私は次代を担う子どもたちへの取り組みがさらに重要ではないかと考えています。私の住む三鷹市では、小学校と地域の農業者が連携し、子どもたちの農業体験に積極的に取り組み、子どもたちの農業に対する理解が進んでおります。
 都としても、農業に触れる機会の少ない都会の子どもたちが青空のもとで土や農作物と触れ合い、体験することのできる学童農園の整備などを支援するべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○浪越産業労働局長 学童農園における農業体験は、東京の子どもたちが自然や命のとうとさ、環境や食べ物の大切さなどを学ぶことにより、人間形成に大きな影響力を持つことが期待されております。このため、平成十四年度から開始する都民参加の東京農業推進事業において、小中学校の総合的な学習の時間などにも利用できる学童農園の設置を支援していくこととしております。

○吉野委員 これからの農業振興については、都民に農業との触れ合いや体験などを通して理解を深めてもらうことの大切さを述べてまいりました。
 もう一つ重要なのが、農業者や地域住民が誇りにすることのできる農産物、いわば地域のブランド農産物を育てることと考えております。三鷹では、キウイフルーツが地域のブランド農産物として確立したことにより、生産に弾みがつくとともに、地域の人たちの農業理解にもつながっております。
 そこで、東京のブランド農産物にはどのようなものがあり、また、都としてブランドづくりにどのように取り組んできたのか、伺います。

○浪越産業労働局長 東京の特産物としては、コマツナやウド、アシタバなどが全国的に知られております。
 都は、これまで、農業試験場や畜産試験場において果樹や家畜の交配、選抜を重ね、付加価値の高い品種や生産技術の開発を積極的に進め、ブランドの育成に努めてまいりました。現在では、稲城ナシや高尾ブドウ、また、畜産物では東京シャモや「TOKYO X」などが東京ブランドとして広く知られているところでございます。

○吉野委員 私も、高尾ブドウや「TOKYO X」などについては聞いておりましたけれども、地域ブランドや東京ブランドづくりには、こうした東京オリジナルの農産物の開発がますます重要と思います。今後の計画などがありましたらお聞かせください。

○浪越産業労働局長 オリジナル品種の開発は、東京ブランドを育成する上で大変有効な手段でございまして、試験研究機関の重要な課題に位置づけております。昨年は、農業試験場が開発したウドの新品種、都香みやかの品種登録を行い、本年も、わせで甘みの強い新しい柿の品種、東京紅べにの登録を進めているところでございます。
 今後とも、こうした新品種の開発や高品質化への取り組みなど、東京ブランドの育成に努めてまいります。

○吉野委員 先ほどのお答えのように、東京には数多くの名産品、いわばブランド農産物と呼べるものがあるようですけれども、必ずしも一般の消費者や都民の知るところとはなっておりません。そこで、東京農業に対する都民の理解を一層深めるためにも、こうした農産物をより多くの都民に知ってもらうための方策が必要と思いますが、その点に関するお考えをお聞かせください。

○浪越産業労働局長 東京の農産物をブランドとして定着させるためには、品種や品質面で独自性を持ち、都民に認知していただき、支持を得ることがまず何よりも重要であると考えます。このため、区市町村や農業団体等と連携し、アグリフェスタなどの各種イベントで広く紹介していくとともに、東京都のホームページやマスメディアなどを通じて積極的なPRに努めてまいります。

○吉野委員 ところで、今、都市農地は、相続や都市基盤の整備などによって急速に減少を来しております。都市農業を維持発展させていくためには、その前提として都市農地の減少を抑える取り組みが必要です。道路等の公共事業に当たって、対象農地の代替地をあらかじめ確保する制度を設けるなどの手当てによって初めて都市農業の継続が確保されるものと思います。
 そこで、都市計画道路調布保谷線での実態について伺います。現在事業が進んでいる保谷三・二・六号線について、西東京市内で必要な事業用地の面積と、そのうち農地の面積及びその割合を教えてください。

○山下建設局長 保谷三・二・六号線の事業用地は、西東京市内で延長三・九キロ、面積は十二万二千平方メートルでございます。そのうち農地は三万一千五百平方メートルで、全体面積に対する割合は二六%でございます。

○吉野委員 かなりの農地が含まれることがわかりました。では、このように道路事業にかかる農地があった場合、代替地等の手当てをしているのでしょうか、現状をお伺いいたします。

○山下建設局長 農地の代替地につきましては、移転先の希望地域が限定される場合が大変多うございます。このため、あらかじめ関係権利者から移転先地の希望をお伺いし、希望に沿った代替地が取得できる場合は、関係権利者、都、代替地提供者とのいわゆる三者契約によりあっせんを行っております。
 なお、都といたしましては、代替地を直接取得することは行っておりませんが、関係権利者から希望があれば速やかに対応できるよう、農地に関する代替地情報の収集に努めております。

○吉野委員 例えば、外環道の事業が進んできますと、三鷹の中で一番農地の集積している地域に中央道とのジャンクションができます。知事にも昨年現地をご視察いただきましたから、状況はおわかりいただけているというふうに思います。このジャンクション、そして、その関連の道路を含めますと、三鷹の地域でこの外環道に関しておよそ十ヘクタールの土地がその対象地内に入ってしまうのです。しかも、このジャンクションのできる北野地域というところは三鷹の中でも農地の一番集積をしている場所でありまして、そこに十ヘクタールという大きな事業が進んでくる状況があります。
 地権者の人たちはこれからも農業を続けていくことを望んでいますし、市としても市内農地の維持は大きな課題であります。相続があって、すぐ目の前の農地が買い取り請求が出ていても、外環の対象用地が買収をされないということから、目の前の農地がみすみす宅地化されるのを見ていなければならないというのが現状であります。こうしたことを考えますと、今後事業化に当たっては、あらかじめ農地の代替地を確保するなどの生活再建の仕組みを設けていかなければならないというふうに思っておりますが、ぜひこのことについての見解をお伺いいたします。

○木内都市計画局長 外環に係るご指摘の地域、お話のあった三鷹市北野地域は、農地が多く存在し、営農者の生活再建上、代替地の確保や税制面での課題を抱えております。
 今後、都として、事業者である国とともに、事業化に向けて営農者の生活再建についての意向を把握するとともに、必要な仕組みについて国とともに鋭意検討してまいります。

○星野委員長 吉野利明委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定しました質疑はすべて終了いたしました。
 なお、引き続き理事会を開催いたしますので、理事の方々は控室一にお集まりください。
 また、明日は午前十一時から理事会を控室一で、午後一時から委員会を本委員会室で開催いたしますので、よろしくお願いをいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時十二分散会

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