東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○土持副委員長 佐藤裕彦委員の発言を許します。
   〔土持副委員長退席、比留間副委員長着席〕

○佐藤委員 久しぶりに予特で発言の機会をいただきました。三年前は委員長だったものですから、フラストレーションがたまりまして、きょうは存分にやらせていただきたいと思うんですが、四十五分という限られた時間でありますので、答弁の方もよろしくご協力をお願い申し上げたいと思います。
 まず、都市再生特別措置法について伺いたいと思うんですが、今、国会で審議中の都市再生特別措置法というのは、民間の持つ資金あるいはノウハウといったものを、波及効果が大きな地域に戦略的に振り向けさせる、そういうことで、思い切った制度を法制化しようとするものであろうと思います。ちょっと遅過ぎた感もあるんですが、やらないよりはやった方がいいだろうと私も思っていますけれども、この都市再生の動きに、相も変わらず、大企業奉仕になる云々といって百年も変わらないたわ言をいっている政党もありますが、民間の創意工夫で、民間の投資を都市開発に向けさせることが、東京ひいては日本の再生に必要であることは言をまたないわけであります。
 具体的に、都市再生を進める上での行政が改善すべき点は、私は四つあると思うんですね。一つは、開発に後ろ向きといっても過言でないような都市計画行政、そして手続に時間がかかり過ぎる環境アセス、規制緩和や手続の迅速化の問題、そして都市計画道路の整備の大幅なおくれ、この四点が私はあるだろうと思うんですね。つまり、行政が大きな問題を抱え過ぎているために、民間のコストに無縁なために開発の足を引っ張っているのではないだろうか、こんな思いがしてなりません。
 最初に、こういった行政のコスト意識、体質について、知事のご見解をお伺いをしたいと思います。

○石原知事 就任してから、私なりの所見で都のスタッフにも再三申してきまして、大分意識も変わってきてくれたと思いますが、国にいるときもそうでありましたけれども、じかに行政を、あるタイムスパン手がけるようになりまして、つくづく感じたことは、ご指摘の、コスト感覚というものの欠如、これは例えば金利についての意識がほとんどない、それから時間というもののコスト感覚がない、やった仕事に対する保険、保証というものの感覚が欠如しているということを痛感いたしましたし、また、それは、私のアドバイザイリーボードであります非常にすぐれた日本の経営者たちにも、主に外郭団体についていろいろ相談に乗ってもらいましたが、折節にみんなが感じて指摘してきたことでございます。
 まず、それを是正することで、行政が初めて民間のピッチに、ペースに追いついて、民間の方々の意思に沿う行政になり得ると思います。

○佐藤委員 そのとおりだと私も思います。
 先般、我が党の松本幹事長の代表質問に答えて、まちづくり方針の段階から緩和する容積率の事前明示を行うというお話がありました。このことは、事業者にとって実際どんなメリットがあるのか、それをお尋ねしたいと思います。

○木内都市計画局長 例えば、再開発地区計画につきまして、詳細な建築計画が定まっていなくても、公共施設の整備方針などが定まった段階で、おおむねの容積率を明示する運用を図るものでございます。
 このことによりまして、開発事業者は、早い段階から建築計画を見越した容積率を想定し、床の処分やテナントの誘致などを前提とした上で事業計画を作成することが可能となります。この結果、事業リスクや時間コストの低減などが図られ、都市再生が推進されるものと考えております。

○佐藤委員 さて、時代が変わりまして、アセス条例のできたころとは、現在の東京は本当に大きく変わっただろうと私は思っているんですね。昔は珍しかった高層ビルも、今や当たり前の時代になってきた。このような現状では、高層建築物のアセスをやめてもいいんじゃないかと私は思う一人であります。
 また、特別措置法では、都市計画手続についても六カ月という期間が設定をされているわけですが、アセスで一年以上かかるのでは、これは何のことはない、前と同じことになっちゃう。アセス手続短縮に努めるとのことでありますが、具体的な方策はどのようなものか、お伺いしたいと思います。

○赤星環境局長 先生お尋ねの都市再生特別措置法でございますけれども、都市機能の高度化と都市の居住環境の向上を大きな二つの柱としております。都市再生をスピード感を持って進めることは、極めて重要な課題と認識しております。同時に、良好な環境を確保することも東京都の責務でございます。
 アセスメント手続のあり方につきましては、これまで二十年間にわたり二百件を超えるアセスメント事例による知見を活用いたしまして、都市再生に係ります高層建築物の予測・評価項目を標準化するなど、制度面及び運用面から簡素効率化を図り、手続期間を短縮してまいります。

○佐藤委員 大いに期待をしたいんですが、建設局では、規制緩和の推進会議というのを立ち上げて、民間から意見を聞いているようでありますが、これら民間からの規制緩和の声をどのように吸い上げて、どう行政に反映させて、それを変えていこう、こういう意欲があるのか、お伺いをしたいと思います。

○山下建設局長 建設局では、本年一月に民活・規制緩和推進会議を発足させ、社会経済環境の変化に対応した事業の推進や施設管理への取り組みについて、新たな行動計画を策定することといたしました。
 計画の策定に当たりまして、庁内を初め、広く都民の意見を募集したところ、応募数は五百件を超え、このうち都民や民間事業者からは百件以上の意見が寄せられております。
 例えば、道路占用や公園利用の規制緩和、広告物の掲示、道路や公園での、地域と一体になって管理をするアドプト制度といいますか、そういうアドプト制度の拡充のほか、民間の開発事業にかかわる行政窓口の一本化や手続のスピードアップなどの意見がございます。
 今後、これらの意見を具体的に反映させた行動計画を本年六月中を目途に策定し、民活、規制緩和の推進に取り組んでまいります。

○佐藤委員 なるべく早く、ひとつよろしくお願いしたいと思いますが、ちょっと次にご当地ソングをやりますが、都市再生の一翼を担うと思われる大崎についてであります。
 りんかい線もようやく開通の見通しになりまして、いわば交通のかなめとなる日も近くなっている大崎でありますが、特に大崎駅の西口においては、隣接する地域との開発のペースが合わない、調整に非常に苦労しているということを私、聞き及んでおります。
 私は、民間事業者や地権者の開発スケジュールに柔軟に対応することが、行政のある意味では責務と考えておりますし、また、大崎駅の西口の事業促進を都がどのような形で進めていくと考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

○木内都市計画局長 大崎駅西口では、ご指摘のような事情によりまして、現在、当初予定しておりました地区全体にわたる具体の整備計画を策定できる状況にはございません。
 このため、道路など公共施設を大枠で定めた、いわば緩やかな整備計画を策定することによりまして、地区全体の計画的かつ一体性を持ったまちづくりを進める考えのもと、街区ごとに段階的にまちづくりができるよう仕組みを整えたところでございます。
 このように、都市計画の手続を弾力的に運用することで、事業の促進を図るよう努めてまいります。

○佐藤委員 大崎周辺では、多くの開発が予定をされておりまして、羽田の再拡張あるいは国際化にも大きな役割が期待される地域でありますので、よろしくお願いをしたいと思います。
 そして、隣の駅であります品川駅は、十五年度には新幹線の始発駅となることが決定をいたしております。このことに関連いたしまして、我が党の松原忠義議員から先般の一般質問におきまして、羽田-成田-品川駅をリニアモーターカーで結ぶ提案がなされました。答弁は、いささか拍子抜けというかあれだったんですが、まさにこの提案というのは、羽田、成田を一体利用できるウルトラCであると私は考えます。
 そもそも我が国の空港政策というんでしょうか、空港のあり方というのが、基本的というか長期的というか、そういったものを欠いた、誤った認識の上に立った、戦略を欠いた政策であるように思えてならない。そのために成田も非常にいびつな空港になっているわけでありますが、現在でも、理念のない空港ばらまきが日本各地で行われている現状であります。
 この羽田-成田のリニア化というのは、利用者にとっては不便この上ない、信じられないことにいまだに検問があるという成田を羽田と一体化をさせて、実質的に一つの空港として使うことのできる唯一の解決策であると私は考えております。
 そこでお伺いするんですが、都心の起点であります。他の交通機関とのアクセスあるいは用地の問題から見て、品川駅しかないと私は考えているんですが、いかがでありましょう。ちなみに、品川駅は港区でありますけれども。

○木内都市計画局長 中央リニア新幹線につきましては、現在、国等において、長期耐久性、コストの縮減など技術調査や、輸送需要、整備方式、財源等の課題検討に取り組んでいるところでございます。
 ご提案の趣旨は、その中央リニア新幹線を羽田及び成田空港へ延伸させるというものでございますが、中央リニア新幹線の構想自体が調査中でございまして、私として、駅の位置等についてなかなか申し上げることはできかねるわけでございます。お許しいただきたいと思います。

○佐藤委員 木内さんらしい冷たい答弁でね、(笑声)そこまではっきりいわれると、かえって気持ちがいいぐらいなんですが、品川駅が、大きな一つの、有力な候補であるということはいえるんじゃないですか。いかがでしょう。
   〔石原知事「そのとおりだよ」と呼ぶ〕

○木内都市計画局長 お考えとして、私としては受けとめさせていただきます。

○佐藤委員 知事がそのとおりだと、こういう話が漏れ聞こえてきましたけれども、そのとおりだと私も思っています。
 そして、過日の松原議員へのご答弁というのは、研究したいというお話でありました。私も都議会議員になって十七年目になっていますけれども、役所が貴重なご提言とか今後の研究課題とかいうと、まずやらない。やる気はないというのと同義語であるんじゃないかと私は思っているんですが、羽田-成田のリニア化は、金目の問題は別として、技術的な課題もあるでしょう。そういったものを別として、東京にとって必要なものと考えるのか、それとも不要なものと思うのか、どっちですか。

○石原知事 それは、まさに東京にとって、でき得れば非常に必要なというか、非常に有効性の高いものだと思います。この間、松原さんのご質問に答えたんですけれども、ちょっといい足りなかったんですが、これは、仮に低温超電導じゃなしにマイナス四、五度の常温超電導が実現しましてもなお、六百キロで地上を走る車両のための軌道の工事というのは非常に難しくて、トンネルの中のすれ違いというのはまず非常に危険ですから、できません。そうすると、物すごく工費がかかるわけです、東京、大阪をつなぐには。
 ですけれども、前、私が運輸大臣のとき建言したように、千歳と札幌を結ぶのは一つの案だったと思います。これはもう既に横に道路が走っていますし、また汽車が走っていますので、重複することになりますが、もし仮に常温超電導が実現し、品川と成田が結ばれれば、これはドイツのトランスラピッドでも高架式でやっておりますし、もしこれが直線的に結ばれれば、非常に機能的な、しかも構造上危険のない新しい試みになると思います。
 その点で、羽田と成田をほとんど一体化することで、私は非常に大きな経済効果もあると思いますが、あとは、都が研究する云々の前に、あれを担当している運輸省ですか、機関が、今後技術的なボトルネックをどれだけの速さでクリアして、常温超電導を実現していくかにかかっていると思います。

○佐藤委員 大変ありがとうございました。不肖私は、都議会リニア議連の会長でありまして、この立場からも、都市再生、東京・日本再生のビッグプロジェクトの一つとして、このリニアの問題、実現に向けて、もちろん技術的な問題も含めて、国へも強力かつ具体的な働きかけをしていただきたいと思いますが、いかがですか。

○木内都市計画局長 ただいま知事が答弁申し上げたとおりの考えのもとで、都市計画局としても、できることをしていきたいというふうに思っております。

○佐藤委員 大きな期待を持ちます。
 次に、ペイオフと金融の問題についてお伺いをしたいと思います。
 いよいよ延期されておりましたペイオフ解禁が目前に迫ってまいりました。都もさまざまな現実と理想のはざまの中で、ある意味ではジレンマの中にあると思います。時あたかも今は国会でもこの問題で、自治体のあり方というものを論議をしているようであります。
 そこで、まず、ペイオフ対策の都としての具体的な行動、ここがポイントというところは何かを伺いたいと思います。

○大塚出納長 公金は、ご存じのとおり、そのほとんどが都民から預かった税金であります。したがって、その公金の安全性を何としても守るということが対応の基本になるというふうに考えています。
 具体的には、安全な金融機関を選ぶ、これが一つ、もう一つは、安全を前提に、より効率的な金融商品を選ぶ、この二つだというふうに考えております。

○佐藤委員 全国の自治体が東京都のこの対策を注視しているのも事実でありますので、よろしくひとつ慎重にお願いしたいと思います。
 次に、ペイオフ解禁によりまして、都内の中小零細事業者等の金融事情がどのように変わると考えられるか、お聞かせいただきたいと思います。

○浪越産業労働局長 ペイオフ解禁によりまして、預金者による金融機関の選別が厳しくなり、金融機関自体の健全性が一層求められるようになるため、貸出先の選別も、より厳しくなることも懸念されます。

○佐藤委員 その、より厳しくなるということは、具体的には、今まで以上に貸し渋りがひどくなるとか、貸しはがしが猛烈に行われるとか、そういうふうに理解していいんですか。

○浪越産業労働局長 金融機関の貸出姿勢や中小企業の経営状況によっては、ご指摘の貸し渋り、あるいは貸しはがしが生ずる場合もあると懸念をしておるところでございます。

○佐藤委員 そういう厳しい状況が予想されるということを、ひとつ肝に銘じておいてほしいと思います。
 そこで、都の公金を預けている金融機関がいわば預金をおろすべきランクになった場合、これは必ずおろすんですね。その際どんな手続で行うんでしょうか。都が預金をおろすという影響は、はかり知れないものがある。下手すると、東京都が引き金を引く金融恐慌にもなりかねない問題であります。極めてスピーディーで、かつ的確な対応が迫られると思いますけれども、いかがでございましょうか。

○大塚出納長 預金先の金融機関の経営状況が、都の基準におきまして、途中でおろすレベルになった場合でございますけれども、その場合には、当該金融機関の役員から財務データでは見えない経営の実情等につきまして緊急ヒアリングを行った上で、公金管理委員会に諮問をいたします。
 委員会では、金融分野の専門家等にさまざまな視点から対応について検討していただきます。その提言を踏まえ、都として、公金の安全性の確保を最優先した適切な対応をとっていくわけでございますけれども、検討に当たっては、一般的な物差しだけではなく、個別の保全策でリスクを補完することが可能か等、代替案を含めて幅広く検討していただくつもりでいます。
 なお、一月末に受けた検討委員会報告でも既にご指摘をいただいておりますけれども、委員ご心配の中途解約を実行する場合には、都民の不安をいたずらに助長することのないよう、慎重の上にも慎重を期して対応してまいりたいというふうに考えています。

○佐藤委員 もし指定金融機関のランクが低くなった場合も、同様と考えていいわけですね。おろすわけですね、これね。そのときは、指定を外すことになるんでしょうかね。
 そもそも指定金融機関とは何なんだろうか。どういう基準で選定されるのか。そして、東京都あるいは金融機関双方にどんなメリットがあるのか、まず伺いたいと思います。

○大塚出納長 指定金融機関とは、そこからご答弁をさせていただきますけれども、まず、法令に基づきまして制度化されているものでございまして、地方公共団体の公金の収納、それから支払い、その二つの事務を行う金融機関であります。都道府県につきましては、必ず一つの金融機関を指定することというふうにされています。
 指定金融機関としての要件というふうなお話がございましたけれども、東京都の指定金融機関は、昭和三十九年の地方自治法の改正により現在の指定金融機関制度が創設されたわけでございますけれども、都におきましては、大正時代の旧安田銀行以来の歴史的経緯等を踏まえまして、現在、富士銀行を引き続き指定金融機関としてきたものでございますけれども、とりたてて法令上明確な要件が定められているものではありません。
 強いていえば、東京都の膨大な公金の収納事務等、それをきちっとやってくれるということが一つ、もう一つは、安全で健全な金融機関であるという、その二つかというふうに思います。
 情勢の変化によりまして、万一、都の基準において指定金融機関としての必要な水準、これを定めております。その水準を下回るような経営状況の変化があった場合には、先ほどご答弁しましたけれども、公金の安全性を最優先する立場から、的確、果断な判断をしてまいります。

○佐藤委員 的確、果断というんですから、しっかりしたそういう行動をとっていただけると思って、信じております。
 今のお話でございますが、そうしますと、現在、いわゆる銀行税で訴訟が行われております。本来なら、東京都の政策を理解し、都に対して協力を惜しまないはずの指定金融機関が東京都を訴えているというのは、極めてこれは異常な状態といわざるを得ないんじゃないか。訴えるんだったら、指定金融機関をやめてからやってもらった方がすっきりするんじゃないかと私は思うんですが、知事、いかがですか。

○石原知事 これはなかなか微妙な問題でありまして、第一には、富士銀行には、法人として税を納める納税者としての立場がありますね。第二には、法令に基づいて指定された公共性の強い指定金融機関という二つの立場があるわけでありまして、そうした中で、富士銀行は、全国銀行協会の主要加盟行として一つの選択をしたというか、せざるを得なかったと受けとめておりますが、私としては、いろいろ複雑な思いがしております。

○佐藤委員 大変ソフトなご答弁でございまして、波風が立たなかったのかなと思いますが、いずれにせよ、指定金融機関を改めて指定する時期に来ているというわけでありますので、さまざまなことを十二分に慎重にご勘案の上、新しい指定を行っていただきたいと思います。
 さて、ペイオフの解禁を控えまして、加えて、昨年来の国の厳しい、しかしながら、中小地域金融機関の実態を無視したともいえる検査によって、かなりの数の金融機関が経営破綻をしております。金融庁の検査が行われる、いわゆる国の検査が行われるようになって、現在までに幾つの金融機関がつぶれているんでしょうか。そのうち都内は何件あるんでしょうか。

○浪越産業労働局長 金融庁の公表資料によれば、平成十二年四月以降、現在までに、全国で、銀行二行、信用金庫二十一金庫、信用組合六十七組合が破綻しました。そのうち都内は、信用金庫三金庫、信用組合十三組合でございます。

○佐藤委員 大変な、かつてないつぶれ方でありますね。なぜこれは、信用金庫、信用組合が多くつぶれるんでしょうかね。今後、さらにこういった傾向が強くなると思われますが、その影響はどんなものがあると考えられますか。

○浪越産業労働局長 信用金庫、信用組合の破綻した事例によりますと、債務超過の状態になったものが多いというふうに聞いております。これらの破綻によりまして、受け皿金融機関に引き継がれるまでは、新規の貸し出しが実態として抑制されることになるため、取引先の中小企業等の資金調達に支障が生じるなど、影響が及ぶことが懸念をされます。

○佐藤委員 そして、それらの破綻金融機関の取引先は都内に何件ぐらいあると推定されるのか。その中で、どのぐらいの先数が、いわば正常債権でありながら、受け皿金融機関にスムーズに移行ができなくて、整理回収機構、RCCに送られてしまったと推定されるでしょうか。

○浪越産業労働局長 まことに申しわけございませんが、金融機関の検査監督は国の事務であることから、都では、破綻金融機関に係る取引先企業数等を推定する資料を持ち合わせていないことをご理解いただきたいと思います。
 なお、破綻処理が行われた金融機関にかかわる東京信用保証協会の保証残高は、平成十四年二月末現在で、合計で二万六百七十一件、千七十四億千五百万円でございまして、そのうち、株式会社整理回収機構、いわゆるRCCに引き継がれたものは、件数で一二・五%に当たる二千五百八十二件、金額で一四・八%に当たる百五十九億二千百万円となってございます。

○佐藤委員 都内のそういった取引先の数が把握されてないというんですけれども、非常に私は大事なことだろうと思うんですね。金融支援を考えていく中で、大きな問題であると思っておりますので、できるだけ、大まかな数字だけでもつかむ努力をしてもらいたいと思います。
 そしてまた、ただ単に担保割れをしているというだけで、正常にこつこつと返済を続けているにもかかわらず、RCCに送られてしまった。こういうことをどういうふうにお感じになりますか。

○浪越産業労働局長 金融機関が破綻した場合、破綻した金融機関の貸出債権は、債務者ごとに、受け皿金融機関かRCCかに振り分けられますが、その振り分けは、あくまでも受け皿金融機関による資産の査定などにより行われるために、経常利益を上げ、融資返済も約定どおり行っている健全な中小企業にあっても、結果としてRCCに引き継がれるものがあると報道されております。もし、こうした中小企業がRCCに引き継がれることだけにより倒産に至るとすれば、都として遺憾なことと考えております。

○佐藤委員 遺憾なというんだけど、これは大変なことだと認識してもらいたいと思いますね。
 RCCというのは、かつては血も涙もない取り立てはしないという、いわば中坊イズムというんでしょうかね、で、喝采を浴びた時期もあったわけですが、今は全く違いまして、現在のRCCは、巨悪にはほとんど手をつけない、弱い債務者からは強引に取り立てる。私にいわせると、小役人根性の塊みたいな運営をされておりまして、当然ながら、これは追加融資はありません。そして、これまで長期で借りていたお金を一括で返せとか、あるいは、三年で返せとか無理なことばっかりいう。返せなければ差し押さえ、物件は即競売。すなわち、借り手にとっては、RCC送りというのは死刑宣告と同じなんですね。
 こういったことが倒産件数をいたずらにふやしている、いわば景気回復の足を引っ張っているといっても過言ではないと私は思っています。このような現実を無視した強引な取り立てをしているRCCの経営についてはどう思うのか。
 そしてまた、今、国は、RCCの権限を大きくしようとしておりますが、こういった姿勢では、とてもとても、はい、わかりましたというわけにはいかないと思うんですが、いかがですか。

○浪越産業労働局長 RCCは、預金保険法等の金融関係法令に基づいて設立された株式会社でございます。主たる業務は、公的資金が投入された破綻金融機関などから引き継いだ貸付債権等の資産の整理回収でありまして、都としては、RCCによる回収について意見をいう立場にはございませんけれども、中小企業振興を図るためにも、その動向を注視していきたいと考えております。
 なお、昨年十二月、金融再生法の改正によりまして、大手金融機関から不良債権買い取り等、RCCの権限が拡大されたところでございます。

○佐藤委員 取引していた信金や信組がつぶれる、受け皿金融機関も決まらない、RCC送りになってしまった中小零細事業者というのを何とか救うために、都として新しい発想あるいは枠の中で、融資や保証を考えていくべきと考えているんですが、なかなかあんまりそういう意思もないようでありますので、この質問は飛ばします。
 例えば、江戸川区なんかは、これは保証協会で保証を断られたことを条件に、区で五百万まで貸しているんですね。こういうことを一つ私は考えてもらいたいと思っています。
 これは最後にお伺いしますが、先ごろマスコミ報道で、都立銀行の構想が紹介がありました。この構想が、まさに糧道を断たれた、技術やアイデアをしっかり持っている、にもかかわらず、実績がないというだけのために金策ができない。あるいは、それこそRCCに送られてしまっているけれども、まじめに頑張っている中小零細事業者に金融の道を開く、こういうことであれば、まさに画期的なことでありますし、景気回復の一助になることは明らかであります。
 ぜひとも実現をしていただきたい、こう思いますが、実現に向けましてはさまざまな問題もあるわけですけれども、どんな基本的なお考えで今検討されているのか、知事にご見解をお伺いします。

○石原知事 少し長くなるかもしれませんが、中小企業といいましても、玉石混交でありまして、だめなものはもうだめだと思うんです。これはやっぱりRCCがハンドルする以外ないと思いますけれども、息子も通じて政府にも建言しているんですが、やっぱり非常に優良な、可能性のある中小企業が、大手の銀行から金融が断たれて身動きできずにいる。それを何とかする方法はないか。
 例えば、もうかっている企業はもうかっているわけですな。トヨタだってそうでしょうし、シャープでもそうでしょうし、幾つかの企業がありますから、そういうところから拠金させて、政府も要するに肩入れして一つの基金をつくって、それで優良な中小企業というものを買い取るという形で、将来は非常にメリットも出てくるわけですから、そういう事業をやったらどうだと話をしているんですが、一向に反応がないんですけれども、それと並行して、政府がなかなか身動きがとれないならば、やはり東京に圧倒的に多い、おっしゃったような非常に優良な中小企業というものを、輸血することでよみがえらせる、そういう手だてを、都は都で、その責任で講じるべきではないかということから、この着想をいたしました。
 先般もどなたかの質問に答えましたが、元の大蔵次官をした友人が、日本人の金融に関するDNAは、あるリスクのある、要するに、金というものをハンドルをしにくい、結局郵便貯金に傾いていくといいましたけれども、郵貯そのものは、果たして安泰かといったら、私は、要するに千数百兆あるといわれている郵貯が果たしてどの部分不良債権化しているか。例の財政投融資で四国に橋を三本かけるみたいな公団につぎ込んだ金が、果たして返ってくるんでしょうかね。
 そういう不良債権化している内容というものを眺めれば、郵便貯金よりも、都は都なりの信頼性で、別に海外業務をやるわけじゃありませんから、ひとつ中小企業のためにも、新しい血を注ぐような銀行というものを創設できないかなということで考え出しましたが、いろんな障害、いろんなバリアがありますし、これは今研究中でありまして、もう少し進展を見ましたら、また東京都の考え方について、なお詳しくお話しさせていきたいと思います。

○佐藤委員 中小零細事業者に元気を出してもらうためにも、さらなるご研さんを期待をいたします。
 最後に、契約の問題について伺いたいと思います。
 地方の知事や市長が、いわゆる口ききビジネスで連座をしたり、北方領土に何とかハウスができたりしておる昨今でありまして、都においても、契約の透明性が今まで以上に要求されていることは言をまちません。そんな立場で何点か質問をいたします。
 まず、先ほど来お話があります低価格の入札についてであります。
 最近、公取委は、日立と富士通が受注した物件について、独禁法の不当廉売に当たるとの警告を出しております。
 日立は都の契約でありますが、具体的に、予定価格幾らのものを幾らで落札したのか、お答えください。

○安樂財務局長 日立製作所が落札いたしました、東京都の、これは文書総合管理システムでありますが、予定価格八千四百万円のものを落札金額は七百八十七円であります。
〔「ばかにされているんじゃないの」と呼ぶ者あり〕

○佐藤委員 今、ばかにされているんじゃないかとありましたけれども、ちょっと異常ですよね。八千何百万のものを七百八十七円。これは弁当も買えないね、高いやつは。そういうんで、こんな値段でまともな仕事ができると考えているんでしょうか、東京都は。
 このときに、日立に対する都としての対応は、どんなことをしたのか。どういう意図で赤字が必定の入札を進んでしたのかわかりませんが、人をばかにしていると私は思いますが。安けりゃいいというものじゃない。防止策はどうこれから講じていくのか、お伺いします。

○安樂財務局長 まず、日立製作所に対しましては、こういう低価格できちんと履行できるのかという確認をいたしまして、その後で落札決定を行ったんですが、誓約書もとるようなことをやっております。
 ただ、この低価格入札の防止策としては、若干繰り返しになりますけれども、一般的には、最低制限価格制度、あるいは、低入札価格調査制度というのがあるんですが、現行法上、これらの制度をこういう委託契約に適用してはならないというふうになっております。
 そういうこともありまして、当面の措置としては、価格だけではなくて、品質が低下するようなおそれのないように、価格だけではなくて品質も総合的に評価した上で落札者を決定する総合評価システム、総合評価、こういう入札方法をとっておるところでございます。

○佐藤委員 それはね、入札した人に、あんたできますかといって、できませんというわけないじゃないですか。それはね、もうちょっと何か考えていかないと、先ほどの話じゃないけれども、一回安くとって、次から高くしていこうなんというやつが出てくるわけで、その辺、もっと慎重に、世の中の常識に照らし合わせた対応を私はしてもらいたいなと思います。これは要望いたしておきます。
 ちょっともう時間がないので、はしょりますが、次に、財務局の、いわゆる契約二課の所管の入札に低価格入札が多いと私は思う。実例を見ますと、ひどいのは、落札価格と一番高く入札した金額が三倍以上離れているというのもあるわけで、この辺をどう考えるのか。
 私、適正価格の受注につなげるために、予定価格の事前発表の徹底、人件費等、これは契約二課の問題ですが、最低の人件費等を計算した最低の基準値とでもいうようなものをつくって設定をしていくべきじゃないかと思うが、いかがでございましょうか。

○安樂財務局長 契約二課がまさに業務委託契約を所管しておりますので、採算性を度外視したような低価格の入札が発生しているのは、先ほど申しましたように、工事案件とは違いまして、現行法上、最低制限価格を設けることができないために、こういう現象が生じております。
 この低価格の入札をどう考えるかということについては、二つ問題があります。その一つは、最少の経費で最大の効果を上げるという行政の原則からいえば、安いということは、必ずしも都民の利益に反しているわけではないんですが、問題は、ただいま指摘がありましたように、その品質が保証されるかという問題があるわけです。ただ、今回のような大きな企業では、そういう点は一つはあんまり問題がないんですが、もう一つ大きな問題がありまして、それは、こういう低価格入札が頻繁に行われるようになりますと、公正な競争が妨げられる、健全な経営環境が破壊されるという、こういうおそれがあります。
 今回、公正取引委員会が警告を発したのも、まさにこの辺を憂慮してのことだというふうに思っております。経済不況が長引く中で、頻発する低価格入札に対しては、効果的な対応をぜひともしなくちゃいけないというふうに現在憂慮しているところであります。

○佐藤委員 いろんな制約があるだろうと思いますし、業務委託等の問題については、最低制限価格がつけられないという判例も出ているようでありますから、これは難しいのはよくわかりますけれども、実態は、きょう、一々申し上げませんけれども、かなり、我々ちょっと見ただけでも、あれっと思うような実態があるようでありますから、今後ひとつ大きな課題として、解決に向けて努力をしていただきたい、こう思います。
 このままでは、都の積算はどうなっているんだといわれかねなくなっちゃうんですね。役所は定価って、こういわれる。そういうようなことをどうお感じになるのか。ご答弁は結構ですけれども、何でもかんでも今コストダウンが当たり前の時代に、東京都は乗りおくれてしまっている、こういうようにいわれないように頑張っていただきたいと私は思います。
 また、こういった委託業務については、公表をされないまま、いつの間にか役所に指名で呼ばれる物件が多く見受けられるんですね。何で公表しないんでしょうか。これ、不透明といわれても仕方がないんじゃないでしょうか。

○安樂財務局長 工事案件につきましては、その事業者の技術力、資金力、主に資金力なんですが、こういう施工能力から、年間の受注量というのはおのずから決まってきます。案件を公表いたしましても、一つの入札にさばき切れないような業者が集中するという支障は出ないんですが、業務委託などにつきましては、新年度の契約の準備が始まります大体二月中旬から下旬ですが、この限られた期間内に、五百、六百近い入札を行う必要がありまして、これらを混乱なく行うために、指名選定による入札を現在行っているわけでございます。現時点では、そういうことで案件の公表を一部しか行っていないわけであります。
 今後は、電子調達システムの導入によりまして効率化が進めば、これらの問題が解決してきますので、業務委託についても、事前に案件を公表して、広く入札を実施していきたいと現在考えております。

○佐藤委員 大分時間がなくなったので、まとめますが、まず、これは再三申し上げますけれども、すべての物件につきまして公表する、予定価格の事前発表をする、かつ、一般競争入札を電子入札で行う、こういうことが契約の信頼性、透明性を高める上で非常に重要だと思いますが、いかがでありましょうか。
 そして、もう一つは、一般競争入札、電子入札、それぞれの利点、導入している自治体、東京都としての導入の是非をお伺いをしたいと思います。
 最後に、これは知事にお答えをいただきたいのでありますけれども、東京都の発注する物件について、契約の信頼性、あるいは透明性を高めるために、あらゆる方策を私はとっていただきたい。都民の信頼を得るためにも、本当にこれは現下のさまざまな地方の状況を見ておりましても、非常に大きな課題になってくるだろうと思いますので、そこら辺のご決意をお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。

○石原知事 おっしゃるとおり、都民という他人様のお金を、私たち預かって使っているわけでありますから、契約に関しても、当然、その信頼性、透明性というものを確保するために、複合的に万全な手だてを尽くしていくべきだと思っております。今後も改良すべき点がありましたら、電子契約を含めまして、それでもいろいろな抜け道があると思いますから、万全を期して努力していきたいと思います。

○安樂財務局長 先ほどのご質問の一般競争入札等のメリットでございますが、一般競争入札の場合には、透明性とか客観性、競争性が非常にすぐれております。また、電子入札の場合には、事業者の負担の軽減が非常に図れる。それから、業務の効率化、経費の削減、それから、調達コストの低減などにメリットがあります。
 電子入札は、現在、横須賀市が行っておりますが、横須賀市では、この導入に先立ちまして、随意契約をすべて一般競争入札に変えております。
 ということで、東京都でも平成十五年度から電子入札を行いますので、この中で、ご指摘のような問題を総合的に解決できるというふうに思っておりますので、そのために全力を挙げていきたいと思います。

○比留間副委員長 以上で、佐藤裕彦委員の発言は終わりました。(拍手)

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