東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○星野委員長 次に、桜井武委員の発言を許します。

○桜井委員 初めに、東京ER墨東について質問します。
 いつでもだれでも、さまざまな症状の救急患者に対応していくという東京ERが開設され、救急医療の充実が図られたことは、全く大いに評価します。ただし、開設以来の状況を実際に見てみますと、間々手厳しい批判もあるように、さらに検討すべき問題点があるように思われます。
 そこで、何点か質問します。
 まず、墨東病院の救急患者数は、どのくらい増加しているのか。入院、外来の別を含め、伺います。

○今村衛生局長 墨東病院の救急患者数について、東京ER墨東を開設して以来の二カ月間の実績で比較いたしますと、入院患者が千七百九人で、前年より四百六十七人、約一・四倍の増加、外来患者は八千五百四十四人で、前年より三千八百九十九人、約一・八倍の増加となっております。

○桜井委員 入院もふえていますけれども、外来は特に激増しておりまして、長時間待たなければならない場合、あるいはまた、他の診療機関を紹介される事例が多いというふうになっております。
 また、患者に対応する医者、看護婦などの業務が、当然といえば当然ですけども、かなりハードな状況になってきていると思います。救急患者に適切に対応していくためには、スタッフ等の充実が必要不可欠である、このように思われます。
 スタッフの確保について、どう考えているか、伺います。

○今村衛生局長 東京ER墨東を今後とも円滑に運営していくためには、医師や看護士などの医療スタッフの充実が重要であることは、ご指摘のとおりであります。そのため、新たに医師の採用を早急に進めるなど、スタッフの確保について、現在、全力を挙げて取り組んでおります。
 今後とも、ER開設後の状況を踏まえまして、運用体制を十分に精査した上で必要な人材を確保するなど、なお一層万全を期してまいります。

○桜井委員 次に、他面から見ますが、幾ら墨東病院が頑張りましても、それで全部救急患者を受け入れるということは不可能ですので、どうしても他の医療機関との連携強化を推進していかなきゃならないというふうに考えられますが、墨東病院の他の医療機関との連携の充実について、どのように考えているか、お答え願います。

○今村衛生局長 これまでにも、墨東病院は医療連携に積極的に取り組んできておりまして、地区医師会等のご協力によりまして、紹介率が、五年前に比べて一〇ポイント以上、上昇するなど、これまでの取り組みの成果が具体的にあらわれてきているところであります。
 今後は、東京ER墨東の役割を最大限に発揮させるために、地区医師会の研修事業に対する支援や、近隣の医療機関情報の把握等の実績に立って、紹介患者情報のデータベース化などに積極的に取り組みながら、紹介、逆紹介を一層推進するなど、地域の医療機関との間で、より密接な連携関係を築いてまいります。

○桜井委員 初めてのことですから、初めから一〇〇%完全に整ってスタートするということは無理だと、こういうふうに思いますが、しかし、医療のことでございますので、今後、一層充実していかなきゃならない、このように思うわけであります。
 そこで、適切に患者に対応するための方策について、今後検討する課題について伺わせていただきます。

○今村衛生局長 ご指摘のとおり、ERの患者に対して適切に対応する方策について検討することが重要であると認識しております。
 このため、問診等を通じまして、患者の症状等に応じた診療を調整するコーディネーター役の医師を、今月から専任で配置いたしまして、患者に対する的確な医療サービスの提供と東京ER墨東の円滑な運営に努めておるところでございます。

○桜井委員 では、これは石原知事にご質問させていただきますが、ER墨東のさらなる充実を図るため、今後、引き続きスタッフの確保や運用体制の見直しを行うとともに、その実績等を十分に踏まえた上で--こうしたような取り組みにつきまして、さらなる救急医療サービスの充実について、知事の答弁をお願いします。

○石原知事 東京ERは、私が知事選に立候補をしましたときに、最初にいい出した公約の一つでありますが、やっと実現はいたしましたけれども、実態を見ますと、ご指摘のように、お医者さん、看護婦さんがへとへとになるぐらい患者が詰めかけまして、悲鳴を上げているわけですが、どうもこれは、実態をもう少し詳しく分析してみますけれども、いわゆる一次から三次救急までありまして、三次救急というのは、とにかくほうっておいたら命が危ないという、そういう、まさに救急を要する患者でありますが、いってみれば、あしたまで待ってもいいような方とか、一次、二次といった方々までが、とにかく二十四時間あいているから、いつでも行っていいぞということで、ラッシュして来られる。
 これはうれしい悲鳴でもありますけれども、スタッフは限られておりまして、実態は本当にへとへとになっているので、災害対策のときも実習訓練をやりましたけれども、つまりトリアージというんでしょうか、これはほうっておけない、これはまだ少し時間が、余裕があったといった識別というものを何らかの方法でしませんと、あした来ても十分間に合う、あるいはさほど技術的な対処を要しないような患者さんまでが墨東病院に詰めかけて、そこらの病院というと失礼ですけれども、普通の病院でも済むような対処を強いられるというような現況がございまして、これをどうやってうまく識別し、さばいていくかということは、これからの課題だと思っております。
 広尾と府中の病院にもこういうセクションを設けますが、墨東の例を踏まえて、経験を踏まえて、もっと合理化された運営ができるように努めていきたいと思っております。

○桜井委員 いきなり質問しますけれども、小児医療に対応していくために、都立病院はどのような役割を担い、具体的にどのような医療機能を持つことになるのか、伺います。

○今村衛生局長 小児医療に関しても、成人医療と同様に、都と区市町村との役割分担に基づき、患者のさまざまな疾患に対して、最も適した医療を提供できる体制を整備することが重要であります。
 このことから、小児医療についての都立病院の役割は、他の医療機関では対応が困難な高度で専門的な医療サービスを、すべての都民を対象として適切に提供していくことにあると考えております。
 具体的には、心臓病、がん医療等の小児特殊医療、周産期医療や小児精神医療といった医療機能を主として担ってまいります。

○桜井委員 都全体を視野に入れた場合、考えた場合、たとえ小児の医療機能を集約して拠点を整備しても、それだけでは点の整備にすぎないわけでありまして、小児医療の充実に向けて東京都全体の面の整備をどうするか、伺います。

○今村衛生局長 小児医療については、ご指摘の面としての整備を進め、都民に対する総体としての医療サービスの向上を図ることが重要であると考えております。
 このため、都立病院や大学病院等、高度、専門的な医療機関と地域の医療機関とがそれぞれ担うべき医療機能を分担しながら、相互のネットワークを充実強化していく必要があります。
 こうした取り組みを通じて、都民のさまざまな医療ニーズにきめ細かく対応し、患者がそれぞれの疾病、症状に最も適した医療を受けることができる体制を構築していくことが面としての整備でありまして、東京の医療水準の向上に結びつくものと考えております。

○桜井委員 都立病院の再編整備については、病床規模などさらに具体的な検討が必要と考えますが、今後、どのように進めますか、伺います。

○今村衛生局長 都立病院の再編整備に当たりましては、各病院の具体的な診療内容や病床規模等に検討する必要がございます。
 今後、マスタープランで示した再編整備スケジュールを踏まえて、都民が安心して受診できる医療提供体制の構築を目指し、地元自治体等のご意見、ご要望も承りながら、個々の病院ごとに、施設、人員等を含めた詳細な計画を策定してまいります。

○桜井委員 前置きは省略しまして、こういう大きな改革を実現していくためには、強い意思、果断なリーダーシップが求められます。
 最後に、都立病院改革に取り組む知事の決意を伺います。

○石原知事 何事でも、大きな改革を進める際には、いろいろ違った意見や議論が出てくるものだと思います。今も議論の中にありましたが、都立病院のあり方については、小児医療にかかわらず、私たちは、やはり面という形で、東京という大きな面という形でそれをとらえなくちゃいけないと思っております。
 都立病院は、都民全体にとってのかけがえのない財産でありまして、その病院が提供するいろいろなサービスは、個々の都立病院が、ある点としてあるその周辺地域のみならず、東京という大きな面全体について、公平な、効率的な効果を及ぼすという形で推進されるべきだと思っております。地域の医療は、身近な自治体の責任で積極的に取り組んでいきたいと考えてもおります。
 いずれにしろ、全都民の医療に対するニーズというものを鳥瞰的に見据えながら、高度で専門的な医療を幅広く都民に提供できる体制を、都立病院の連携も含めたネットワークを含めながら構築していって、都民全体の期待にこたえたいと思っております。

○桜井委員 次に、水道事業について伺いますが、初めに、知事に伺います。
 この水は水道水だと思うのでありますけれども、最近はボトルウオーターというんですか、ミネラルウオーターというんですか、うちの家内も飲んでいますけれども、ああいうのばっかりが普及してきますと、水道水がまるで安全じゃないみたいなイメージが浮かぶんじゃないかと思いますけれども、率直にいって、知事、このあたりについてどうお考えですか。

○石原知事 私は、冬の寒いときは水道の水を飲んでいますけれども、何となく暖かくなってくると、冷蔵庫で冷やしているボトルウオーターも飲むようになっていますが、こんなに大都市である東京の水が整備されていながら、パリなんかと違って、パリの水は飲んだら必ず病気になりますけれども、軟水なもので、日本の東京はそういうことがないのに、ほとんどの都民がボトルウオーターを飲まれる。一リットルの水の値段の方がガソリンより高いという、こういう現況は、私はやはりちょっと不自然なような気がします。
 ただ、率直にいって、東京の水がミネラルウオーターに比べてうまいかといえば、どうもまだ、ちょっと問題があるような気がしないでもないので、そういったら、私は前の赤川局長に怒られまして、飲み方もあるんだというので、オンザロックにしろとか、一回沸かせとか、これも手間暇かかるわけですけれども、いずれにしろ、東京の水道局もいろいろ腐心して努力しておりますが、どうも私にとってみると、十分飲める、ちょっと自分でさらに手を加えれば、飲料に耐え得る水道の水がありながら、都民の多くが、このごろはファッションということもあるそうでありまして、若い人は、日本製じゃなしに横文字のついているミネラルウオーターなら、一つのファッションで飲むということも先ほど聞いたばかりでありますが、せっかく努力して、後背地まで森林として確保しながら、東京は世界の大都市に比べれば、非常に密度の高い水道のサービスをしているので、それをひとつ飲むということも含めて、都民の皆さんに評価していただきたいと思います。

○桜井委員 いきなりこれも行きますけれども、漏水率、今から二十年ぐらい前と比べて、どのぐらいですかね、水道局。

○飯嶋水道局長 およそ二十年前の昭和五十年度での漏水率は、一六・一%でございました。現在は、十二年度で見ますと七・一%に低減されておりまして、量で申し上げますと、年間二億八千万立方メートルから一億二千万立方メートルに低減することができました。

○桜井委員 大変なご努力をされていると思います。今でもコツコツ、こうやって、やっているんですか。

○飯嶋水道局長 漏水があったときに即応的に修理する体制に加えまして、今、委員ご指摘のとおり、計画的に漏水調査する作業等を含めまして、予防的な対策、すなわち経年管の取りかえですとか鉛製給水管を計画的に取りかえを行っておりまして、今後、おおむね十年以内には、漏水率を五%台にまで低減したいと考えております。

○桜井委員 水道局長、答弁が--ごめんなさいね、急に変えちゃってね。
 水道局にとりまして安定給水が何よりも重要なサービスですが、施設の整備、維持管理、そういったハードの面ばっかりじゃなくて、営業サービス、そういったソフト面での対策も極めて重要なわけですね。
 水道局では、これまで、そういった面についてどのような営業サービスの向上策を実施してきたのか、答弁願います。

○飯嶋水道局長 水道局では、主要施策の一つとして、生活に密着したサービスの推進を掲げまして、さまざまな営業サービスを実施しております。
 最近実施した主なサービス施策といたしましては、引っ越しの際の水道料金清算業務につきまして、これまで平日に限られていたものを、土曜、日曜日などにも実施いたしますとともに、各家庭を直接訪問して、漏水調査や水質検査などを行う水道フレッシュ診断を、平成十四年度までの三カ年で行うほか、インターネット受け付けなどを導入してまいりました。
 また、本年一月には、お客様サービスの向上を目的といたしまして、新たな水道料金ネットワークシステムを稼働させたところでございます。

○桜井委員 今の答弁で、ネットワークシステムを稼働したということでありますけれども、都民サービスの向上について具体的に伺います。

○飯嶋水道局長 新たな水道料金ネットワークシステムでは、最新のIT技術を活用いたしまして、各営業所窓口と計算センターを直接結ぶことでリアルタイムでの情報伝達が可能となるとともに、大幅に拡大した保有情報を、いつでも供給できるものとなっております。
 例えば、お客様からの各種申し込み等の確認や、水道料金に関するお問い合わせ等に対して、常に最新の情報をもとに、より迅速、的確にお答えできるなど、お客様サービスは一層向上しております。

○桜井委員 営業所というのは、基本的にどういう役割を担っているんですか。また、年間の受け付け件数はどのくらいでしょうか、どのような方法により受け付けているんですか、あわせて答弁ください。

○飯嶋水道局長 水道局におきましては、営業所は地域におけるお客様サービスを担っておりまして、具体的な業務としては、水道使用の開始、中止を初めとした各種申し込みの受け付けや、料金の収納その他さまざまなお問い合わせや相談への応対などがございます。
 平成十二年度における受け付け件数でございますが、年間約百四十万件でございます。受け付け方法につきましては、お客様からの電話や専用のはがきによるほか、平成十三年四月からインターネットによる受け付けを開始するなど、お客様の利便性に配慮し、複数の方法により対応しているところでございます。

○桜井委員 今の答弁にあったと思うんですけれども、新しい料金徴収システムをさらに発展させ、受け付け業務を一カ所に集約するというのはいかがですか。これにより、水道に関する総合窓口が実現し、いわゆるワンストップサービスにより都民の利便性が飛躍的に向上するとともに、水道事業に対する都民の安心感をより一層高めることができます。
 受け付け業務を一カ所に集中させた総合的な受け付けセンターを早急に設置すべきと考えますが、見解を伺います。

○飯嶋水道局長 より一層の都民サービスの向上と業務の効率化を図るため、各種受け付け業務や相談業務などを集中化することが必要であると考えております。
 今後、ご提案の趣旨を踏まえまして、IT技術を活用してこのたび導入いたしました水道料金ネットワークシステムの特徴を生かして、二十四時間、三百六十五日のお客様対応をよりスムーズに行えるよう、総合的な受け付けセンターの設置に向けまして、積極的に検討してまいります。

○桜井委員 一番質問したかったところについに来ましたけれども、東京の隅田川は、パリのセーヌ川、ロンドンのテムズ川、ニューヨークのハドソンと並び称される川であります。この水辺空間を、東京の顔づくりと、基盤として活用することが大切と考えます。
 知事は、東京の顔づくりとして、隅田川におけるテラスなどの整備事業を重要施策に位置づけられておられます。これまでもスーパー堤防、テラスの整備が進められ、潤いのある水辺空間が形成されてきつつあります。
 そこで、隅田川におけるスーパー堤防やテラスの整備の進捗状況について伺います。

○山下建設局長 スーパー堤防は、計画延長十九・五キロのうち、今年度までに墨田区の吾妻橋地区など八・九キロが完成し、整備率は四六%でございます。
 また、テラスは、計画延長二十六・八キロのうち、今年度末までに二十三・二キロが完成し、整備率は八七%でございます。

○桜井委員 隅田川のスーパー堤防やテラス整備は着々と進み、水辺空間を都民などが散策路として活用できる状況までになっていますが、ふだんの隅田川は、地域の人々が散策に利用する程度で、多くの観光客が訪れるまでには至っておりません、残念ながら。
 東京構想二〇〇〇に掲げている、軽い飲食や休憩をとるためのオープンカフェテラスの設置誘導は、テラスににぎわいを創出するための有効な施策であり、早期の実現に向け、積極的に進めていただきたいと思います。
 また、隅田川周辺には、向島百花園、両国国技館、浅草寺、浜離宮恩賜庭園など、歴史的、文化的施設がたくさんありまして、これらと水辺の連携を図っていただきたいと思います。
 このため、観光客を誘導し、水辺ににぎわいを創出するよう、隅田川に関するわかりやすい情報の提供などが必要と考えますが、東京都の考えを伺います。

○山下建設局長 隅田川を軸に、歴史的、文化的施設をネットワーク化し、観光資源として生かすことは、地域の活性化に有効でございます。
 このため、散策ルートの設定とともに、わかりやすいサイン計画につきまして、地域の意見を聞きながら検討を進めております。
 また、周辺の歴史的、文化的施設の情報などを盛り込んだ隅田川のマップにつきましては、「東京の川を歩こう」という既存の散策ガイドの内容を、地元区や関係機関との連携によりまして充実してまいりたいと存じております。

○桜井委員 三島由紀夫の短編小説「橋づくし」にあるように、隅田川にかかっております橋は、庶民の思いを込めた小説の舞台にもなっております。(「藤沢周平も書いている」と呼ぶ者あり」)そうでございますね。
 隅田川には、両国橋など両岸を結ぶすばらしい造形美の著名橋が数多くあり、これらは東京の貴重な財産でもあります。著名橋や隅田川周辺の歴史的、文化的施設を、テラスを軸としたルートで巡回するスタンプラリー、終わったら、後、知事の顔写真か何かを写せばいいと思うんですけれども、そういったものを、隅田川のテラスを地域のイベントに活用することも、にぎわいを創出するために有効なことと考えます。
 また、著名橋や川を描いたり、写真を撮ったりすれば、絵画、彫刻を展示する展示会場としての場として、隅田川のテラスを活用することも考えられます。
 隅田川のテラスで、スタンプラリーや絵画、彫刻の展示を行うこと等について、東京都の考えを伺います。
〔知事「建設局に聞いたってしようがないんだよ、こんなの。朴念仁なんだから、みんな」と呼ぶ〕

○山下建設局長 清洲橋、永代橋などの著名橋や向島百花園、浅草寺などをめぐるスタンプラリーにつきましては、東京の歴史や文化に触れ、水辺に親しむという点で有意義なことでございます。
 また、教育活動や社会活動の一環として、都民の方々が、テラスで絵画、彫刻の展示を行うことは、水辺ににぎわいを創出するものでございます。
 これらの実現につきまして、地元や関係機関などと連携して、検討してまいります。

○桜井委員 せっかく知事が、建設局長に聞いてもしようがないということでありますので、ぜひ知事にご答弁をお願いします。即興で申しわけないんですけれども。

○石原知事 私、首都高速に乗って、隅田川沿いを走りながら眺めるたびに、いつも惜しいなと思うんですよ。だれがいついい出して、だれが考えてやったことか知りませんが、あの隅田川の護岸というのは、構造的にやぼくさくて、非常につまり使い手が悪くて、本当に都市の観光なんて全く考えない連中がやった駄作だと思いますね。
 これ、これからどうやってトリムしていくかが問題でしょうけれども、いずれにしろ、日本人といいますか東京の人は、川も含めてウオーターフロントの使い方が下手でして、今、くしくも三島さんの「橋づくし」をいわれましたが、あれ、私非常に好きな小説ですけれども、とにかく万葉のころから歌われている隅田川を、私たちは観光の資源としても、文化財としても、ほとんど使わずにきた。しかも、ああいう非常に無機的な、味もそっけもない護岸をしまして、全く川というものの風情をぶち壊しにしちゃったと思いますよ。
 これ、どうやって取り戻すか問題だと思うんですけれども、実は私は新内が好きでして、昔は向島や柳橋に行くと、新内の流しが船で来ましたけれども、もうそんな取りつく島もないような護岸になりまして、私からいって、これは知事の道楽といわれるかもしれませんけれども、しかし、新内を聞く会でも屋形船でやったらどうだといったら、早速都庁は飛びついたんですが、何とその主催者が建設局でありまして、これはまた、主催者が得意になってべらべらしゃべるとんちんかんなことでして、風情も何もあったものでないので、私はちょっと注意をしたんですけれども、これなんか、やっぱり屋形船を使ったら、三倍か四倍の申し込みがありました。
 このごろは、しまい切れないんで、場所を移しまして浜離宮でやっていますけれども、あれなんか、やっぱり新内は屋形船で聞くのがいいんで、そういうものの、何ていうのか、風情も込めた主催というのは、やっぱりラインをまたいで、もうちょっと気のきいた、配慮のできる局がやるべきだと私は思いますし、それなら、お客はもっと来るんじゃないかと思うんです。
 いずれにしろ、地元の議員の方々も含めて、ひとつ知恵を出していただきたい。これは、何も外国人、外国人を当てにするんじゃなしに、日本人そのものが、東京というのは大きな観光地でありながら、知らずに帰っちゃうわけでして、実に隅田川なんかもったいない。
 本当にいろいろ知恵を出していただいて、受けて立ちますから、やっぱり隅田川を一種の東にある代表的な川として、また、小説の舞台にもなり得るような形で復活させることでまた東京も再生していくと、私は思っております。

○桜井委員 今、知事に全部答弁していただきましたから、建設局長は、もうそれで結構にしましょう。
 次に、教育問題に移らせていただきます。
 都教委は、都立の中高一貫教育の整備を推進しよう、このようにしておられるようでありますけれども、何か聞くところによりますと、公立では宮崎県に一校、あとどこか併設型が三校ぐらいあるくらいでして、もちろん東京では初めてでございますが、この点についてお伺いします。

○横山教育長 先般公表いたしました中高一貫教育校の整備に関する検討委員会の中間まとめでございますが、そこでは、設置形態としましては中等教育学校あるいは併設型を基本としまして、中高一貫教育校を整備していく考え方を示しております。その上で、これらの学校におきましては、六年間の一貫教育を行う中で教養教育を重点的に行って、子どもたちの総合的な学力を培いまして、個性と創造性を伸ばすことをねらいといたしております。
 それとともに、今、本当に教育に求められております使命感、倫理観、あるいは社会貢献の心、そして日本人としてのアイデンティティーなど、みずからの社会的な役割についての認識を深めることによりまして、社会のさまざまな分野でリーダーとなり得る人材を育成することをねらいといたしております。

○桜井委員 使命感、倫理観、社会貢献の心、日本人としてのアイデンティティーなどなど、たくさんあるんでしょうけれども、そのうちの一つ取り上げますが、日本人としてのアイデンティティーの育成というのは、私も前にも質問したことがあるのでございますが、私が質問したのか、知事が答弁したのか、ちょっと忘れましたが、出ましたけれども、これは非常に、いうことはいえますが、なかなか難しいように思われますけれども、具体的にはどのようにいたしますか、伺います。

○横山教育長 おっしゃるとおりでございますが、自国の歴史あるいは文化、伝統が語れない、あるいは自国を愛せない、こういった者は、世界の人々からまさに信頼され、尊敬されることはないという、こういう点は多くの識者が指摘しているところでございます。
 そのため、世界の中の日本人としてのアイデンティティーをはぐくむ教育が重視されるわけでございますが、具体的には、教育課程としまして、例えば日本と国際社会であるとか、あるいは社会貢献論、こういった学校設定科目等の開設でありますとか、あるいは国語を初め、地理、歴史、公民等の各教科、さらには特別活動等の学習を通しまして、日本や世界の文化や伝統を学ぶことによりまして、日本文化への理解を深め、国際社会に生きるための資質、能力を培うなどして日本人としてのアイデンティティーの育成を図ってまいるつもりでございます。

○桜井委員 あと二、三問、教育長とやりとりしますけれども、最後は知事にご答弁をお願いしますので、よく伺っておいてください。一番最後にご答弁をお願いしますから。
 次にまた質問しますけれども、いわゆるグローバリゼーションが急速に進展する中にあって、だからこそ日本人としてのアイデンティティーをより一層高めなければならないということもあるでしょうし、さらにまた、時代の変革期にあった、有名な人でいえば坂本竜馬みたいな人、国内の地方同士の争いということではなくて、目先の利益にとらわれずに、世界の文化にも目を向けながら、我が国の将来を真剣に考えて、広い視野に立った新しい時代を切り開いていくような、そういう人材を育てていくことが重要である、このように思いますけれども、いかがでございますか。

○横山教育長 国際化が進展する中で、外国語等によりますコミュニケーションの能力を有しまして、我が国の文化、伝統とともに世界の多様な文化を理解して、世界を舞台に活躍する人材の育成を目指す、こういう教育を行っていくことにつきましては、日本の将来を見据えた場合に、大変重要なことであると考えております。
 こうした考え方は、何も中高一貫教育に限らず、すべての学校教育に共通するものでございますが、都におきましては、こうした教育を重視した中高一貫教育校のあり方についても検討してまいります。

○桜井委員 あと七分しかないものですので。本当は教育長ともう一問やりたいんですが--では、今、日本の社会は、若い者たちから科学技術離れとか理数離れですか、そういったものが起こっているので、それに対する対処をしなければならないというふうに考えられますけれども、そういったこともこの中には含まれているのかどうか、伺います。

○横山教育長 今、科学技術離れであるとか、あるいは理科離れ、こういった言葉で代弁されますように、子どもたちに科学的な物の見方、考え方の素養を身につける機会が不足しているという指摘がなされております。科学技術立国としての日本の将来に警鐘が鳴らされている、こういったことが現状であろうと考えております。
 お話のように、日本の科学技術を支えていく人材を育成していくためには、自然科学への理解や科学技術に関する幅広い基礎的な知識や能力を身につけて、将来、研究者、科学者として我が国の科学技術の水準向上に寄与する教育を行うことが大切でございます。このため、こうした科学技術教育を重視をした点につきましても、中高一貫教育校のあり方として検討してまいります。

○桜井委員 今、教育長とのやりとりも含めまして、石原知事にお考えをお聞かせいただきたいと思います。都立の中高一貫教育。

○石原知事 私は、それ、大賛成でございまして、限られた数じゃなしに、全部というわけにはなかなかいかぬでしょうけれども、教育長にできるだけ数多く東京でやってもらいたいといっているんです。
 それは、今日のように情報が非常にはんらんし、また刺激の多い時代に、子どもたちは本当に都会にいればいるほど、ちりちり、ちりちりして暮らしているわけでありまして、三年ごとに学校がかわるということよりも、六年なら六年、同じ仲間と一緒に過ごすということでの継続性の中で、学校の授業以外の雑多な会話というものの中からいろんなものが磨かれ、収れんされて体の中に蓄積されていくと思うんですね。そういうことでも、私は、幾つか代表的な一貫教育の学校がございます。慶應のようなのは小学校からほとんど大学まで、クラスは少しはかわっても、昔の仲間といつも顔を突き合わせて歩っている。早稲田のような代表的な私学も結局、それを眺めて、小学校を一貫教育として設けるような企画が現に進んでおりますが、私はやっぱり、できるだけ限られた仲間と一緒にいることの方がむしろ逆に世間を広く知れて、いろんな視点を持ち得るということになると思いますし、東京でも、ぜひ公立の学校でもそれを講じて、新しい試みとして、新しい子どもたちの可能性を引き出していきたいなと思っております。

○桜井委員 これで質問を終わります。(拍手)

○星野委員長 桜井武委員の発言は終わりました。

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