東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○星野委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十一号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 昨日の委員会におきまして、質疑持ち時間の超過がありました。昨日の委員会でも申し上げましたとおり、各委員におかれましては、質疑持ち時間をお守りいただきますようお願いいたします。
 また、昨日、委員会室におきまして、傍聴席にいた日本共産党議員が不穏当な発言を行ったとの申し入れがありました。昨日、理事会で協議いたしましたが、現在、事実関係の確認を含め協議中です。引き続き理事会で協議し、対応してまいりますことをご報告申し上げます。
 それでは質疑に入ります。
 清原錬太郎委員の発言を許します。

○清原委員 初めに、固定資産税から質問いたします。
 皆さんご承知のとおり、バブルが始まったのは昭和六十年ごろです。そして、平成三年ごろ、バブルがはじけました。その後、十一年たちましたが、いまだに不況の長いトンネルを抜け出すことができません。
 思い起こしますと、私たちにとって、バブル以前は、税金に関して重税感を感じなかったといってもいいくらいではないかと思います。それが平成六年、一物一価に限りなく近づけようという考えのもと、固定資産税の評価額は、今まで公示価格の二割程度であったものが、一挙に七割程度に引き上げられてしまってから、重税感がさらに重くのしかかるようになったこと、皆さんご記憶だと思います。
 今日までの間、何とか対策を打っていただきたいと思い、地価が毎年下がっている間は、固定資産税の評価額を三年に一回の評価がえの年だけ変えるのではなく、毎年、公示価格にスライドして下げるように提案をいたしました。が、これについては、評価の見直しをするという形で容認してもらいました。しかしながら、居住用地は、徐々に減税感が出てきましたが、事務所用地は、今なお高どまりだという指摘を数多く受けております。
 都の国に対する働きかけの結果について、まずお伺いいたします。

○安間主税局長 都は、委員を初め都議会のご支援をいただきながら、国に対して、大都市地域の商業地等の固定資産税負担を緩和するため、商業地等の負担水準の上限を引き下げることを繰り返し要望してまいりました。
 その結果、ご指摘のように、地価が下落しているときは、基準年度以外の年度でも簡易な評価替えができるようになったほか、商業地等について、税負担の上限が従前の八〇%から七〇%に引き下げられたところでございます。

○清原委員 確かにこうした制度改正により、一定の前進が図られました。しかし、大都市の商業地等の事業者の負担は、実態から見れば、これらは焼け石に水であります。地価が下落しているとはいえ、二十三区の非住宅用地の地価は、依然として極めて高い水準となっています。
 そこで伺いますが、一平方メートル当たりの非住宅用地の固定資産税評価額はどうなっているか、全国平均と二十三区を比較して示していただきたい。また、同じ評価額でも、二十三区は税負担が全国に比べて高いということだけれども、どのぐらい高いのか、お伺いいたします。

○安間主税局長 非住宅用地の一平方メートル当たりの評価額は、全国平均で約五万四千円であるのに対し、二十三区では約四十六万八千円と、約九倍となっております。
 また、非住宅用地の評価額に対する課税標準額の割合である負担水準は、平成十二年度において、全国平均が五四・六%であるのに対し、二十三区では六九・二%と、約二割高くなっております。

○清原委員 評価額が全国に比べて約九倍と高い上に、同じ評価額でも税負担が二割も高いのでは、ダブルパンチであります。
 こうした中、本定例会の施政方針表明において、二十三区における小規模非住宅用地の固定資産税等の減免を実施することが発表されました。この減免は、不況に苦しむ中小企業等の過重な負担を緩和するため、中小企業者が所有する四百平方メートル以下の非住宅用地のうち、二百平方メートルまでの部分について、二割を減免するものであります。
 この固定資産税の減免は、知事の英断であり、中小企業者にとっては朗報であります。極めて画期的な措置であると高く評価するものでありますが、固定資産税はまだ高いというのが都民の実感です。地価と税負担が連動しないなど、都民に極めてわかりにくい税制がそのまま残されております。
 そして、何よりも今日の固定資産税制の混乱を招いているのは、冒頭に述べたとおり、平成六年度に固定資産税評価額が、それまでの地価公示価格の二割程度から七割程度に改正されたことに起因していると考えております。したがって、都民の負担を適正なものとし、いつまでも住民が安心して事業を営み、住み続けられるような制度とするよう、制度の根幹からの抜本的な改革が必要であると考えます。
 固定資産税制の問題は、まさに東京の問題であります。今回の減免を契機として、国に対し、固定資産税制の改善をさらに強く迫っていくべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。

○石原知事 一地方とはいえ、東京は他の地方に比べて、首都ということもありまして、かなり特異な存在だと思います。でありながら、特異であるがゆえに、それを無視して、他の地方並みに一律に税法というものをかぶせるということそのものが、私はずさんであるし、乱暴であるといってはばかりませんが、いずれにしろ、ご指摘のように、バブルの折の地価の乱高下の中で、国は固定資産税のあり方について、全く有効な、かつまたきめの細かい措置を講じることなしに来たわけであります。
 その結果、ご指摘のように、連動するはずの地価と税負担が非常に大きく乖離をいたしまして、特に二十三区は全国でも非常に過大な負担をこうむるようになりました。
 都の財政も非常に厳しい状況でありますけども、現況を何とかしなくちゃいかぬということで、あの措置をとりましたが、ご指摘のように、この大都市というものの性格を踏まえながら、国があくまでもきめの細かい税制というものを構え、都民の信頼を、税についても回復するためにも、そういう手だてを講じる必要があると思います。
 今後も、固定資産税のあり方につきましては、都の税調などの論議も踏まえて、東京独自の立場で国に強い申し入れをして、東京の中で過大な税負担にあえいでいる方々のために、都も努力していきたいと思っております。

○清原委員 次に、健全な中小企業の事業継続を阻害する要因の一つとして、事業承継税制の問題があります。
 中小企業の皆さんからよくお聞きするのが、相続による事業用資産の減少です。健全経営だった会社が、突然の相続により、資金難等で経営が行き詰まるというようなこともあると聞きます。
 その要因の一つは、我が国の相続税、贈与税が、世界的に見ても税率が極めて高いというところにもあります。
 厳しい経済情勢が続く中で、中小企業が事業を承継する場合の税制のあり方を抜本的に見直すよう、今後、都として国にこれまで以上に強く働きかけていく必要があると考えますが、知事にご所見を伺います。

○石原知事 私、国会議員時代に、大蔵省の高官といろいろ話をする機会もございましたが、そのときに私自身の所見として、相続税というもののあり方をもう少し考えるべきであるということを申しました。
 そのときに返ってきた言葉に非常に驚きましたが、自分たちも、日本が自由経済社会であるがゆえに、個人が自分の努力で資産を形成することは原則的に認めると。しかし、それが雪だるまのように膨らんでいって、過大な資産形成をするということは好ましくない。ゆえに、相続税というものを設けて、三代たてば、初代の努力というのはゼロに帰すような課税が公正であると思うというんで、私は、隣の中国やその向こうの共産主義のソビエトでも、そんなばかなことを考えている官僚はいないぞといったんです。
 とにかくおっしゃるとおり、個人でもそうでありますし、特に事業者、中小企業者は、非常に優秀な技術を持ち、実績を上げていながら、相続というものをどうするかということで、むしろこのままなら、この事業をやめて引退しようかなんという人もいるぐらいでありまして、これはやっぱり日本の産業の基幹を支える中小企業の存在を、私たちはもっと評価しなくちゃいけないと思います。それならば、そういう事業者たちの相続税というものについても、大きな改修が必要だと思っております。都の立場を踏まえて、これからも国にそういう意見を具申し、改正するための努力をしていきたいと思っております。

○清原委員 我が国の農地等の相続に関しては、一定の要件のもとに、生前に後継者に譲り渡した場合の贈与税の納付を実際の相続が行われるまで猶予する制度や、相続税の免除をする制度が整備されております。農業の円滑な継承に役立っております。
 そこで提案したいのですが、日本経済の屋台骨を支える中小企業者に対しても、この制度が適用できるよう、税制の見直しが図られるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○浪越産業労働局長 相続税等の負担が中小企業者の事業の円滑な継承に影響を与えていることは、中小企業振興を図る上でも大きな課題であるというふうに認識をしております。これまでも、農地に関する相続税猶予制度に準ずるような納税猶予制度の創設を国に提案要求してきたところでございますが、ご提案の趣旨も含め、幅広く検討する必要があると考えます。
 東京の活力の原点となる中小企業の育成などの観点から、事業継承における税制について、より強く国に見直しを求めてまいります。

○清原委員 次に、築地市場の豊洲移転問題について伺います。
 都は、昨年十二月に第七次卸売市場整備計画を策定し、その中で、築地市場は豊洲地区へ移転するとの方針を決定されました。
 私は、これまでにも、本会議や各委員会において、老朽化や流通変化への対応におくれが目立つ築地市場は、抜本的整備が不可避であり、早急に移転整備か現在地整備かの論議に終止符を打ち、都が整備の方向を指し示すことが、都民にとっても、市場関係業者の将来にとっても、重要であると指摘してまいりました。
 また、昨年の本委員会では、築地市場は移転による抜本的整備が必要と考えるとの知事の所信表明を踏まえ、築地市場が首都圏の基幹市場、都民の台所の役割を果たすためには、豊洲への移転が望ましいと考えるとの意見を表明いたしました。
 このような経緯を踏まえ、私は築地市場の移転方針の決定というこのたびの知事の英断を歓迎いたします。しかしながら、豊洲移転の実現に向けて、これから取り組むべき課題も多いのではないでしょうか。
 そこで、まず、豊洲の新市場周辺の道路整備について伺います。
 移転後の新市場が豊洲の地で十分な役割を発揮していくためには、交通アクセスの確保が不可欠であります。都心と新市場を結ぶ重要なアクセス道路の一つである晴海通りについては、厳しい都財政の中にあっても、順調に拡幅、延伸工事が進んでいると聞いておりますが、整備の進捗状況と今後の予定についてお答えください。

○山下建設局長 晴海通りの延伸は、臨海地域全体の発展はもとより、市場移転にとっても重要であると認識しております。
 現在、築地地区、勝どき地区におきましては道路拡幅工事を、また、臨海部では晴豊一号橋の下部工事や道路部の盛り土工事などを実施しております。今後とも、平成十七年度完了を目途に整備を進めてまいります。

○清原委員 新市場の開設には、晴海通りに加え、環状二号線の整備もあわせて重要と考えます。当初の計画では、平成二十七年度までに整備すると聞いていますが、新市場の開設を踏まえ、一日も早い整備が必要であります。現在の進捗状況と今後の取り組みについてお伺いいたします。

○山下建設局長 環状二号線のうち、新橋・虎ノ門地区は、平成十四年度の事業計画決定に向け準備中でありまして、汐留地区は、ことし秋からのまち開きに合わせた一部開放を目指し、工事を進めているところでございます。また、臨海部では、東雲二号橋の下部工事や道路部の盛り土工事などを実施しております。
 今後とも、当初予定した事業期間の短縮を目指し、関係者との調整や国費など財源の確保を図り、早期整備に努めてまいります。

○清原委員 次に、新市場づくりの方針等について伺います。
 最近の流通の変化を考えると、現在の築地市場が狭きに過ぎることは明らかであります。それに比して豊洲は、築地市場の約二倍の面積を有することになります。これをどのように活用して、二十一世紀の生鮮食料品の中核を担う新市場を建設し、築地市場の再生を図っていくのか、新市場づくりの基本的考え方をお示しください。

○碇山中央卸売市場長 生鮮食料品流通の中心的役割を担います卸売市場でございますが、現在、市場経由率の低下や取引形態の多様化、情報化の進展など、さまざまな流通環境の変化に直面しております。
 お尋ねの豊洲の新市場につきましては、このような時代の要請に対応した市場システムの改革、これが結実された市場と考えております。また、立地の特性や広さを生かしまして、遠隔地からの船舶による輸送、機能的な物流動線の確保など、取引、物流の効率化を図ってまいります。さらに、食品の安全、衛生管理の徹底や消費者ニーズにこたえました諸機能の充実を図るなど、付加価値の高い市場づくりに取り組んでまいります。

○清原委員 都は、来年度から新市場の基本構想づくりに着手するとしておりますが、基本構想づくりに当たっては、開設者である都がリーダーシップを発揮しつつ、市場関係業者と協議を進めていくことが重要であると考えます。
 今後の基本計画づくりに当たっては、市場業者の方々に都の新市場づくりの考え方を十分に説明し、都と業界が一体となって協議を進める必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 都は、移転方針の決定に至る過程におきまして、市場業界代表者と都の協議機関であります築地市場再整備推進協議会、これにおきまして、移転についての都の考え方を十分説明してきたところでございます。
 今後、新市場の基本構想、基本計画づくりを進めてまいるわけでございますが、これに当たりましては、都の考え方につきまして、広く市場関係者の理解を得るため、新市場建設推進協議会なるものを設置いたしまして、鋭意検討を進めていく考えでございます。

○清原委員 次に、築地市場の跡地利用について伺います。
 私は、昨年の本委員会でも質問をいたしましたが、都は、築地市場の跡地利用の検討を今後どのように進めていくつもりなのでしょうか、お答えください。

○碇山中央卸売市場長 これまで築地市場の移転におきましては、庁内の関係局から構成いたします築地市場整備問題検討会を設置いたしまして、全庁的に取り組んできたところでございます。
 跡地の利用は、地域のまちづくりやウオーターフロントの活用など、東京の都市づくりにとって大変重要な課題であると認識しております。
 今後、跡地の利用につきましても、このような全庁的取り組みなどの方策を念頭に置きまして、地元中央区や関係各局とも十分連携をとり、多角的に検討を進めてまいります。

○清原委員 築地市場を再生して、時代の変化に対応した基幹市場づくりを実現するためには、築地市場の移転はぜひとも必要であります。しかしながら、中央区や地元住民の方々にとって、築地市場は地域のシンボル、経済活力の源であり、大変重要な存在であります。
 そこで、新市場づくりと移転跡地の利用計画を表裏一体のものとして取り組んでいくことが重要であると考えます。築地地域の人々の将来に対する不安を解消するためにも、東京都が中央区や地元住民の方々の意見を十分尊重の上、今後、この問題に全庁的に取り組んでいかれることを強く要望しておきます。
 次に、市場の施設整備のあり方について伺います。
 施設をどのようにつくり、どう活用するかは、行政だけでなく市場業者にとっても最大の関心事であります。
 そこで伺いますが、今回の第七次卸売市場整備計画では、市場用地の貸し付けによる整備手法を導入するとしておりますが、どのような整備手法なのか、その内容と基本的な考え方についてお示しください。

○碇山中央卸売市場長 市場を取り巻く環境でございますが、先ほどもご答弁申し上げましたとおり、今、大きく変化しております。市場に対しましても、これまで以上に商品の低温一環流通や、あるいは一次加工などの新たなサービスが求められております。市場といたしましては、これらのニーズに対応する施設の迅速で効率的な整備が特に必要となってきております。
 ご質問にありました新たな整備手法でございますが、市場用地に事業用借地権を設定いたしまして市場業者に貸し付け、これにより市場業者みずからのノウハウと資金で施設整備を可能とするものでございます。これらによりまして、市場用地の積極的な利活用を図っていくということを目的としたものでございます。

○清原委員 この整備手法の導入は、原則として開設者である都が市場施設を整備してきた長年のルールに新たなメニューを加えることとなり、大きな変革となります。今後、こうした新たな手法の導入により、これからの市場をどのように変えようとしていくのか、お伺いいたします。

○碇山中央卸売市場長 この新たな整備手法の導入でございますが、これまでの仕組みに加えまして、民間活力の導入による施設整備を促進していくということでございます。今回の手法でございますが、このたび策定いたしました第七次卸売市場整備計画により導入するものでございます。変化し続けます流通環境に迅速に対応できる市場への転換を図るためのものでありまして、こうしたことにより、時代の風にかなった市場システムの構築を目指していくものでございます。

○清原委員 今回の土地利用制度の導入は、これから新しく何とか景気を回復していこうという意欲的な方法、これへの第一歩ともいえるものであり、今後一層の市場システムの改革を進めることを期待して、次の質問に移ります。
 次に、都営住宅の管理制度について伺います。
 現在、都営住宅の居住者の高齢化が進んでおります。団地やその周辺の地域のにぎわいが失われ、町が衰退しているのを感じます。
 そこで、まず、都営住宅居住者の高齢化の状況についてお伺いいたします。

○橋本住宅局長 都営住宅に居住している世帯のうち、家族全員が六十五歳以上の世帯は約五万九千世帯ございまして、全体の二四%となっております。また、名義人が六十五歳以上の世帯は約十万三千世帯ございまして、四二%となっております。

○清原委員 今、答弁があったように、都営住宅居住者の高齢化は相当進んでいるのがわかります。こうした折に、昨年秋、都営住宅条例が改正され、若い世帯を対象に、期間が十年間の期限つき入居制度が、国の補助金を受けていない一部の都営住宅に導入されました。一部の都営住宅に限ったものとはいえ、新たな施策を迅速かつ機敏に実施に移したものとして高く評価するものであります。
 そこで、この期限つき入居制度の応募資格と、この制度による募集が昨年の十二月に行われたと聞いていますが、その実績はどうであったのか、お伺いいたします。

○橋本住宅局長 応募資格につきましては、対象を若年ファミリー世帯としており、具体的には、公営住宅法に定める入居資格以外に、申込者及び配偶者が四十歳未満で、かつ、夫婦のみの世帯、または夫婦及び子の世帯であることを条件としております。
 次に、昨年十二月公募の応募状況につきましては、三十七戸の募集戸数に対し千七百三十一名の応募がございまして、平均倍率は四十七倍、最高が二百十四倍、最低で四倍となっております。

○清原委員 私や、我が自民党は、従来から、成長過程にある若いファミリー世帯を都営住宅に期限つきで入居させることが、町のにぎわいを取り戻すことになると主張してまいりました。
 しかし、それだけではなく、その定められた期間中にしっかりと貯蓄して、次の若い世代に譲り渡すときには、ローンで都内に住居を求めて、引き続いて活躍をしてほしい。こうした若い人同士の心温まる譲り合いの精神に期待をし、若い人たちに頑張ってもらいたいと思っての考え方であります。
 私は、この期限つき入居制度については、国の補助金が入っていない一部の都営住宅だけではなく、一般の都営住宅にも、ぜひとも導入する必要があると思います。そこで、この制度についての考え方と、一般の都営住宅に導入するための取り組み姿勢をお伺いいたします。

○橋本住宅局長 期限つき入居制度は、都営住宅の利用機会の公平を確保するとともに、あわせて、都営住宅団地のみならず、周辺地域の活力の維持向上を図るために、特定都営住宅に導入したものでございます。この制度は、若年ファミリー世帯の都心居住の推進と地域の活性化に資する施策であると考えております。一般都営住宅につきましては、引き続き国へ法改正を強く求めるなど、積極的に取り組んでまいります。

○清原委員 知事は、さきの所信表明で、都営住宅の使用承継制度について見直すこととしたと発言されました。多額の税金を投じてつくられている都営住宅は、都民に公平に利用され、また、都営住宅に入居をしていない都民にも広く支持されなければなりません。
 都民の幅広い支持を得るためには、都営住宅の管理制度の改革により一層努力すべきであると考えます。この点について、知事の見解をお伺いいたします。

○石原知事 時代が大きく変わり、社会の構造もどんどん変わっていくわけでありまして、そういう流れの中で、都営住宅の管理制度についても抜本的な改革が必要と思っております。このために、特別会計の設置など経営的な視点を強化するとともに、期限つき入居制度の導入や使用承継制度の見直しを図ったわけでございます。
 また、木造住宅密集地域の災害対策としての整備や、分譲マンションを建てかえる際にも都営住宅を提供するなど、今後のまちづくりにも活用していきたいと思っております。
 こうした取り組みを通じて、都民共有の財産である都営住宅がすべての都民に支持されるように、抜本的な改革を重ねて推進していきたいと思っております。

○清原委員 今後とも、東京都が全国の先頭に立って、管理制度の改革に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、商店街の振興についてお尋ねします。
 現在、商店街は、売り上げの減少、空き店舗の増加など、どこも危機的な状況にあります。東京都がこれまで、商店街に数々の支援をしてきたことは十分承知しており、とりわけ我が党が提案した元気を出せ商店街事業は、今や商店街の活性化になくてはならない事業となっております。しかし、残念ながら、いまだ地域の商店街は復活し切れておりません。
 なぜなのか。端的に申し上げて、私は、大型店の展開や消費者の生活スタイルの変化、さらに、買い物に対する消費者の行動が変わったことが原因ではないかと考えております。従来のスタイルのままで店をあけていても、お客様は来なくなってきています。これを打開するため、まさに今、商店街も発想の転換が必要です。客を待つという考え方から、客の方に出ていく攻めの考え方が重要です。
 地域には、買い物に行きにくい高齢者や子育て中の女性、店があいている時間には行けない共働きの方などがおります。こういう方々から注文をファクスやインターネットで受け付け、希望する時間に配達する、現代版御用聞きを商店街で大々的に実施すれば、商店街とお客ともメリットがあります。
 そこでまず、都として、御用聞き商店街についてどのようにお考えか、所見をお伺いいたします。

○浪越産業労働局長 近年の急速な高齢化や、お話のありました消費者の生活スタイルの変化に伴うニーズの多様化に対応し、商店街の魅力を向上させることは重要であります。
 このため、商店街がいわゆる御用聞き商店街に取り組むことは、地域コミュニティの核としての役割を高めるとともに、活性化を図る上で意義があると認識をしております。

○清原委員 先日も新聞で、御用聞きを始めた商店街が紹介されておりますが、次第に広まってきつつあります。商店街の多くは、みずから懸命に努力しております。もちろん、自助努力が不可欠なことは論をまちません。
 ファクスとかパソコン、配達用自動車などに加えて、円滑に運営するには専任の職員も不可欠です。東京都は既に支援をしていると聞いておりますが、御用聞き商店街を始めるに当たり、どのような支援をしているのか、また、どのような成果が上がっているのか、お伺いいたします。

○浪越産業労働局長 これまで、立川市の錦商店街や富士見商店街、あるいは板橋区の中板橋商店街などに、活力ある商店街育成事業などで、ファクス宅配事業にかかわるファクスやパソコン、あるいは配達用の保冷庫などの購入に対して補助を行ったところでございます。
 いずれの地域も、高齢者や時間に余裕がない共働きの方々の利用が多く、サービスの向上という点から、商店街のイメージアップにつながり、地域になくてはならない商店街として評価を高めているところでございます。

○清原委員 ただいまのご説明では、御用聞き商店街は、やはり私が申し上げたように、成果が上がっているというふうに理解されます。お聞きして、改めて意を強くいたしました。
 もちろん、それぞれの商店街が売り上げ増に結びつけられるようにさらに工夫することが必要だと考えますが、基本的には、多くの商店街で御用聞きに取り組むことを奨励すべきではないでしょうか。それには、商店街の力量に応じた支援が必要です。商店街の側から客を確保するという意識が強まることで、商店街も積極的な経営を進めていくようになると思います。
 このため、御用聞き商店街を商店街づくりの新たなモデル事業として位置づけ、これまで以上の支援を行い、推進していくことが必要ではないかと考えますが、所見をお伺いいたします。

○浪越産業労働局長 商店街の活性化を図るには、何よりも商店街自身の意欲を高めることが重要でございまして、都はこれまでも、活力ある商店街育成事業などで支援を行ってきたところでございます。
 商店街が協力をし、注文とりと配達をする地域に密着したサービスは、少子高齢化社会や女性の社会進出、生活スタイルの変化などに対応したものであり、これからの商店街にとって重要な事業であります。
 このため、多くの商店街が意欲を持って御用聞き商店街に取り組むことができるよう、今後、都としても、ご提案の趣旨を踏まえ、積極的に支援をしてまいります。

○清原委員 新聞報道では、客が来ないなら、こちらから飛び込まなければという商店街の意気込みが紹介されていました。やる気を起こさせなければ、商店街はだめになってしまう。今、多くの商店街は、何をしたらいいのか、なかなかわからないで模索しているところではないかなと、こう思います。モデル事業でしっかりと示せば、意欲もわき、取り組もうという商店街もふえると思います。
 御用聞き商店街は、商店街の起死回生ともいえる事業です。ぜひモデル事業として実施していただくことを要望して、次に移ります。
 次に、技術検定実技試験場設置についてお伺いいたします。
 終戦を境にして、今日、日本の国は大きく変わってきました。従前は、必ず何らかの技能を身につけて、世の中に出て働こうというのが一つの決まった考え方でした。このことによって、社会では、自分に適した業種を選んで就職し、苦労して訓練、研修を重ねることにより技能を磨き、その人たちが社会の各分野における工事あるいは製造業に携わることにより役立ち、またそれが今日の日本の産業の発展に大きく寄与しているものだと思います。
 ところが、最近では、余り決まった職につくことを好まず、いわゆるフリーターと称して、決まった職のない若者がふえていると聞きます。これを考えたとき、私は、技能者育成の重要性をひしひしと感じざるを得ません。
 今日、国家検定として全部で百三十三種類の職種があり、東京都では、毎年約一万人の方々が受検していることに深く関心を持って対処すべきだと考えます。
 これだけの多くの方々が受検している国家検定ですが、残念なことに、受検のための会場が必ずしも東京都内にあるわけではありません。例えば、建築配管作業の技能検定試験は千葉県で行っております。これは、受検に際して、各受検者が重い道具を車に載せて持ち込む必要があります。このため、広い駐車場がある会場を確保しなければなりませんが、都内ではそのような会場を確保できません。
 このため、東京都管工事工業協同組合を初め多くの団体は、以前から技能検定場を東京都内に設置してほしいという要望を出してきました。
 そこでお伺いします。産業労働局長は、このことをどのようにお考えでしょうか。

○浪越産業労働局長 技能検定は、法に基づきまして、東京都職業能力開発協会が実施しているものでございます。
 大多数の技能検定の実技試験は、都立技術専門校の人材開発センターや民間協力団体の施設を会場として都内で行われております。しかし、設備等の関係で、一部は、お話のように都外で行われております。
 このような状況のもとで、技能検定場設置の要望が提出されていることは承知しておりますが、新たな技能検定場を建設することには、多額の費用がかかることや、広大な建設用地が必要なことなどから、実現するに至らなかったものであると考えております。

○清原委員 局長がお話しした、財政負担が大きいことはわかります。しかし、技能を継承、発展させていかなければ、我が国の製造業はどんどん衰退の一途をたどることになります。
 単に価格だけで国際競争するならば、人件費が安い中国や東南アジアなどに負けてしまいます。これからの日本が生きていくためには、高度な熟練技能を有する人材を育成し、製造業の国際競争力を維持しなければなりません。
 この人材育成の場として、技能検定場はぜひ必要な施設です。今後、この検定場設置の要望にどのように対処していくつもりでしょうか、お伺いいたします。

○浪越産業労働局長 お話のとおり、高度な熟練技能を次世代に継承していくことは、我が国の製造業の維持、発展に重要なことであります。しかし、技能検定だけを目的とする新たな検定場の建設については、使用頻度が低いこともあり、単独で建設することは困難であります。
 このため、技能検定の実技試験だけではなく、例えば、各種職業訓練、研修、検査、研究など他の機能をあわせ持つ、多角的で、かつ通年使用の施設との複合的設置の可能性や既存施設の活用なども含めて、局内に研究会を設置して種々検討してまいりたいと考えております。

○清原委員 現在、都内の中小製造業の中には、産業の空洞化のため、廃業に追い込まれている企業もあります。繰り返しますが、これを食いとめるには、諸外国にはない高度な技術、技能を継承、発展させていくことが重要であります。国も、ものづくり大学を開設するなど、物づくり人材の育成に本格的に取り組んでいます。
 都も、人材育成の観点から、多様な活用が図れるような施設の建設について調査費を計上するなど、早急に具体的な調査、検討を進めるようお願いして、質問を終わります。
 最後に、BSE関連の制度融資についてお尋ねいたします。
 国内での牛海綿状脳症の発症や牛肉の虚偽表示などにより消費者の不安が高まる中で、まじめに事業を続けてきた精肉店や焼肉店などが、消費回復の糸口を見出せず、大変な苦境に置かれております。
 とりわけ、資金繰りの苦労の声を多く聞くところでございますが、この状況に対して、都はどのような対策を講じてきたのか、お伺いいたします。

○浪越産業労働局長 いわゆる狂牛病の対策でございますが、昨年十月十一日に、まず第一弾といたしまして、食肉小売業や焼肉店等で和牛取引二〇%以上等の認定を受けた中小企業者に対しまして、制度融資に一般枠とは別枠の信用保証を導入したところでございます。
 また、第二弾として、同二十五日から、牛海綿状脳症対策緊急融資制度を創設いたしまして、金利、据置期間等の条件改善を図ったところでございます。
 また、十二月十二日には、認定要件を緩和し、風評被害対策として、広く緊急融資を利用できることとしたところです。
 これらの対策を通じ、牛海綿状脳症により影響を受けている関連事業者の資金調達支援に努めております。

○清原委員 せっかくの制度ではありますが、認定が受けられなかったり、融資が受けられなかったという中小企業の話も聞いております。長期化している景気低迷下で苦しい状況にある中小企業が、みずから招いたものではございません。降ってわいた社会的要因によって追い打ちをかけられ、廃業の瀬戸際に立たされているのが現状であります。
 こうした緊急事態に対して、必要な資金が手当てされているのか、一層柔軟な対応ができないのか、所見をお伺いいたします。

○浪越産業労働局長 牛海綿状脳症対策緊急融資等の利用に必要な区市町村による認定については、中小企業者の実情に応じた、弾力的な認定の依頼を行ったところでございます。
 また、関係機関に対して、緊急融資の趣旨を踏まえた融資促進を要請しているところでございます。
 融資実績は、昨年十月から本年の一月末まで、四カ月で千六十一件、百六億円余りであります。
 今後、一層、資金の必要な多くの事業者に活用していただけるよう、関連事業者の実態に対応した制度の運用を図ってまいります。

○清原委員 実績からもうかがえるように、まだ牛関連の事業者を取り巻く環境は、回復するどころか、事態の深刻化が懸念されるところであります。その中で、現在、牛海綿状脳症対策緊急融資は、特別対策として実施されていることから、この三月末で終了予定と聞いております。
 この緊急融資については、関連事業者の資金需要に応じて、実施時期の延長を行うべきと考えるが、どうでございましょうか。

○浪越産業労働局長 本融資制度は、法の指定及び区市町村の認定を要件としておりますが、その根拠となる法律の指定期間は、本年三月で終了する予定です。
 しかしながら、現状を見ると、景気が回復軌道に乗らない中で、牛肉の虚偽表示の問題の発生などもあり、緊急融資の相談が再度増加する状況も見られます。
 現在、国でも期間延長の検討が行われていると聞いておりますが、都としても、ご指摘の関連事業者の厳しい実態にかんがみ、的確な対応を図ってまいります。

○清原委員 今、答弁を聞きましたけれども、期間延長を含めて、ぜひ業界の方々の期待に沿った対策がとられるよう強くお願いをして、質問を終わります。(拍手)

○星野委員長 清原錬太郎委員の発言は終わりました。

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