東京都議会予算特別委員会速記録第二号

○星野委員長 次に、大西由紀子委員の発言を許します。
   〔委員長退席、和田副委員長着席〕

○大西(由)委員 限られた時間です。ご協力をお願いしたいと思います。
 都の財政危機への対応として、行政改革のためにも、行政評価とバランスシートの実施は不可欠な課題です。そこで、まずこの点から伺いたいと思います。
 行政評価を行うに当たっては、その判断の基礎資料として、現行の官庁の会計制度による現金主義によるデータでなく、発生主義に基づく機能バランスシートを活用することは、極めて重要だと思います。
 ところで、都の行政活動は、一般会計ばかりでなく、公営企業会計や監理団体もその一部を担っていて、それぞれの財務内容を見るだけでは、東京都全体の財政状態が見えてきません。「機能するバランスシート」の最終報告では、十一年度決算で監理団体をも含めた連結貸借対照表を作成していますが、今後とも、こうした連結貸借対照表を継続的に作成することが必要であると考えますが、いかがでしょうか。

○安樂財務局長 お話のとおり、監理団体も含めた東京都全体の財政状況を把握し、分析するという意味で、こうした連結貸借対照表を作成する意義は大きいというふうに考えております。十一年度に引き続きまして、十二年度末の連結貸借対照表を現在作成しているところであります。
 しかしながら、真に機能する連結貸借対照表を作成するためには、幾つか問題もあります。一つには、連結の対象をどこまでの範囲とするかという問題があります。それから、具体的な連結方法につきまして、例えば、各会計、監理団体の間で異なっている、固定資産の減価償却の方法あるいは各種引当金の計上基準などをどのように統一するかという問題がございます。
 こうした課題につきましては、中地東京都参与を中心とする専門チームの報告でも指摘されておりまして、現在、課題の解決に向けまして、引き続き検討を行っているところであります。

○大西(由)委員 現行の公会計制度では、現金の収支があった時点で取引が記録されます現金主義が採用されているわけですが、そのため、現金の支出と費用、つまりコストの区別がありません。例えば、一千万円の機械器具を購入したとします。この場合、現行の会計上は、購入した年度のみ購入費一千万円の支出が計上されるわけです。
 一方、企業会計上の発生主義のもとでは、仮にその耐用年数が五年であるとすれば、その購入費を五年で案分するので、五年間にわたって、毎年二百万円が費用として計上されることになります。
 事業の費用対効果を考えるに当たっては、こうした発生主義の導入により、事業に要するコスト、つまり施策原価を明らかにすべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○安樂財務局長 ただいま例示されましたような事業に要するコストの考え方は、民間などでは企業経営上で当然行われていることでありまして、事業の費用対効果を考える上に大変意味のある、有意義な方法であります。
 しかしながら、現行の公会計制度のもとでは、そのような仕組みを直ちに全面的に取り入れるということは難しいために、現在、東京都では、減価償却費や引当金繰り入れをコストとして算入する行政コスト計算書によりまして、発生主義の視点も取り入れて、主要な事業の実態を明らかにする試みを進めているところであります。

○大西(由)委員 その際、各事業のコストの範囲として、直接その事業に要するコストだけではなく、例えば、局の総務、経理部門の経費など、共通経費の間接コストを一定の基準により各事業に案分し、あわせて事業に要する総コストを認識することが必要であると考えますが、その点はいかがでしょうか。

○安樂財務局長 共通的な経費を考慮して事業に要する総コストをとらえるなど、事業ごとのコストをできるだけ正確に把握することは、今後、行政評価などをより一層効果的に行っていく上でも大切なことだというふうに思います。
 このための一つの取り組みとして、ことしの一月に専門チームから中間報告がありました都営住宅事業のバランスシートでは、住宅局総務部の人件費、管理事務費などの一部を都営住宅事業に要するコストとして整理して計算したところであります。

○大西(由)委員 それでは、次に化学物質関連に移ります。
 さきの代表質問の中で、平成十四年度内に化学物質について実態調査を行い、子どもガイドラインを策定するとのことでした。子どもガイドラインづくりに向けた室内空気環境の実態調査の内容とその結果を受けて、どのように対応なさるのか伺います。

○今村衛生局長 室内空気環境の実態調査については、学校、幼稚園、保育園等におけるホルムアルデヒド、揮発性有機化合物等の実態を把握し、専門家による化学物質保健対策分科会の審議を経て、子どもに対する化学物質の暴露量推計を行うことにしております。
 都といたしましては、その調査結果を踏まえ、子どもへの健康影響が懸念される物質について、都民が日常生活において自主的に危険性を回避できるような行動指針として、子どもガイドラインを策定してまいります。

○大西(由)委員 化学物質・子どもガイドラインは、危険性を回避できるような行動指針ということで、各方面で幅広く活用されることを期待するわけです。何よりも予防が最善の対策になるわけですから。
 そこで、公立学校については、各教育委員会を通じて周知、啓発されることでしょうが、都内の私立学校についてはどのように周知徹底されるのか。子どもたちの健康被害を未然に防ぎ、学習環境を整備するために、都独自の子どもガイドラインの内容を周知し、各私立学校においても積極的に活用されるように取り組むべきだと考えるんですが、いかがでしょうか。

○高橋生活文化局長 良好な学校環境の維持、向上を図ることは、私立学校においても重要なことと認識しております。
 来年度策定が予定されている化学物質の子どもガイドラインについては、その内容が学校環境の向上に資するものについては、事務説明会等を設け、周知を図り、積極的に活用してまいる所存です。

○大西(由)委員 現在、室内空気中の化学物質の室内濃度指針値は、十三物質のみが示されています。日常生活において、私たちは多種多様な化学物質により複合的に暴露しております。
 都民は、一般的な住宅の汚染レベルと比べて、自分の住宅は適正な範囲にあるのか、素朴な疑問を持っております。こうした疑問に行政等の関連機関がこたえる必要があると考えておりますが、都民にとって、健康で安心して暮らせる生活環境にするためには、指針値が示されていない化学物質を含めた室内環境対策を行う必要があると考えますが、その点はいかがでしょうか。

○今村衛生局長 室内空気中化学物質の健康影響は、いまだ十分に解明されておりませんが、日常生活において、その暴露をできるだけ回避することが望ましいと考えております。現在、指針値が示されていない化学物質を含め、室内空気中化学物質のさまざまな低減化策を盛り込んだ、居住者の健康や住まいの衛生について配慮するためのガイドラインを作成中であります。
 今後、このガイドラインを広く都民に普及啓発することにより、室内環境対策の充実を図ってまいります。

○大西(由)委員 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づきまして、現在実施されている日本住宅性能表示制度では、室内の空気環境に関してどのような内容になっているのか、お聞かせいただけますか。

○橋本住宅局長 住宅性能表示制度では、住宅の品質、性能について評価し、表示する項目といたしまして、構造の安定、火災時の安全、高齢者への配慮などとともに、室内の空気環境に関する項目が設定されております。
 この空気環境に関する表示項目の内容といたしましては、ホルムアルデヒドの放散に係る建材の等級や換気対策でございます。さらに、昨年八月、選択制により、室内空気中の化学物質の濃度等を測定し、表示する項目が追加されております。

○大西(由)委員 住宅性能表示項目に追加された室内空気中の化学物質の濃度等については、選択制になっているということですけれども、安心して暮らせる住環境を求める消費者の意識は今高まっております。近く、国も建築基準法を改正し、化学物質に関する基準を設定する予定ということからも、住宅性能表示制度に通常表示項目として盛り込むことは当然だと考えます。
 せめて制度の内容をわかりやすく普及、宣伝することで、化学物質のリスク回避を望む人が、性能表示項目のうち、選択制になっている室内濃度の測定があることを理解し、そして実施できるようにすることが必要だと考えますが、その点はいかがでしょうか。

○橋本住宅局長 住宅性能表示制度につきましては、消費者である都民や住宅生産者が制度の内容をよく理解していることが重要でございまして、これまでパンフレットを作成し、都民への普及を図るとともに、住宅生産者に対する講習会等を実施してまいりました。
 今後も、より多くの都民、住宅生産者が、化学物質の濃度等の測定、表示を初め、表示項目や等級などの制度の内容につきまして、よりよく理解できるよう、パンフレットの充実や講習会等の実施、さらにはホームページへの掲載、住宅月間でのPRなど、取り組みを推進してまいります。

○大西(由)委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、食品リサイクルについてお伺いいたします。
 飽食の時代が招いた大量生産、大量廃棄による食品残渣は、廃棄物対策の大きな課題となってきています。このため、昨年五月に食品リサイクル法が施行されました。そこで、さきの第四回定例会でも、食品廃棄物のリサイクルの対策について伺ったところ、都としては、消費者と食品関連事業者に働きかけ、食品廃棄物の発生抑制と再利用及び減量に努めていくとの答弁がありました。
 この一月に発表された都の廃棄物処理計画では、平成十七年度の最終処分量を平成十一年度対比で、一般廃棄物は三割削減、そして産業廃棄物については五割削減を目指すということとしており、最終処分量削減に向け、より確実に食品リサイクルを進めていくことが必要です。
 都として、実態を把握した上での対策が必要であると考えていますが、まずは見解を伺います。

○浪越産業労働局長 食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律、いわゆる食品リサイクル法は、自治体に対し、区域の経済的、社会的条件に応じて、食品資源の再生利用などを促進するための環境整備に努めることを求めています。
 この役割を果たし、食品リサイクル対策を実効性のあるものとするには、その基礎となる食品廃棄の実態を把握することが重要であります。
 このため、来年度、食品メーカーやスーパーなど食品関連事業者を対象とする食品残渣処理状況調査を実施し、基礎データを収集する予定でございます。

○大西(由)委員 進めていくに当たり、消費者を公募し、食品関連事業者を含む検討委員会を立ち上げ、食品リサイクルにおける都独自の廃棄物減量対策を検討するなどの必要があると考えますが、その辺はいかがでしょう。

○浪越産業労働局長 都は、食品関連業者や消費者の代表などで構成するフードシステム連携強化・循環推進基本計画策定検討委員会を設置をし、その中で、食の安全や安定供給とともに、食品廃棄物の発生抑制や資源の循環推進についても検討を重ねているところでございます。
 今後、検討委員会の審議や報告を踏まえ、食品のリサイクルを進めてまいります。

○大西(由)委員 まずは、都が率先して資源循環型のモデルに向けた取り組みが必要だと考えます。
 中央卸売市場においては、板橋市場におけるコンポスト化の実験事業や、築地市場においては水産を対象に実験事業に取り組むなど、減量に向けての取り組みは評価できます。しかし、さきの公営企業決算特別委員会で実験事業の課題の改善について伺ったところ、実際の市場を使用している事業者の意向を調査した上でリサイクルに向けて検討するということでしたが、その後の取り組み状況はどうなっているんでしょうか。

○碇山中央卸売市場長 市場におきまして、コンポスト化の実証実験を行ってまいったわけでございます。
 なお、コンポスト化を進めるに当たりましては、処理経費が割高である、あるいは二次発酵処理施設が必要であること、またコンポスト自体の流通ルート、いわゆる出口というふうにいっておりますが、これをいかに確保するかという課題がございます。
 実験実施を進める中で、ごみの分別収集が徹底されまして、市場が行った意向調査におきましても、生ごみの再資源化事業を推進していくべきという意見が多数を占めるなど、事業者の意識は確実に高まっております。
 大量の食品廃棄物を日々排出いたしております市場におきましては、率先して生ごみの一層のリサイクル化や減量化に取り組むことが必要であり、今後、市場の事業者と連携しながら、コンポスト化事業の諸課題を解決する方策につきまして鋭意検討を進めてまいります。

○大西(由)委員 また、施設整備におきましては、現在の市場においては、場所の確保など結構問題が残されておりますが、引き続き検討していただきたいと思っております。
 資源循環型のリサイクル施設を豊洲の新市場の整備計画において具体的に検討する、そういうチャンスじゃないかと考えているんですが、その点はいかがですか。

○碇山中央卸売市場長 さきに策定いたしました第七次東京都卸売市場整備計画におきましては、豊洲新市場の基本計画の策定に際しまして、環境対策の強化を実現し、周辺環境に対する負荷の少ない市場として整備していくこととしております。新市場では、ご指摘のように、生ごみのリサイクルに関します新しい技術を積極的に取り入れるなど、広く環境に配慮した市場として整備をしてまいります。

○大西(由)委員 市場における生ごみのコンポスト化事業や新しい市場での生ごみのリサイクルに関する新しい技術を積極的に取り入れることは、大変意義があり、期待するところです。
 しかし、生ごみからできた堆肥は良質な品質であることや、利用される仕組みが円滑に進まなければなりません。先ほど自民党の古賀さんもおっしゃっておりましたけれども、東京湾に森をつくるにはいい土が必要だとおっしゃっていました。すぐ近くにこのような必要とするところがあるということを考えれば、そういう循環の部分というものも非常に必要になっております。
 そこで、産業労働局では、これまでも有機農産物などの堆肥や生ごみの堆肥化等に取り組まれ、さまざまなノウハウをお持ちと思いますが、どのような協力ができるのかお伺いします。

○浪越産業労働局長 都としては、環境と調和した農業を推進するため、有機農業モデル団地の育成や有機農産物などの認証などを行ってきたところでございます。また、モデル団地への優良堆肥の供給に向け、有機農業堆肥センターを設置するとともに、都庁舎から排出される生ごみを堆肥化し、農家に供給してきたところでございます。
 今後、中央卸売市場などの事業者による食品廃棄物の堆肥化に当たっては、肥料センターで蓄積した技術やノウハウを積極的に提供してまいります。

○大西(由)委員 今後、食品製造過程の廃棄物や期限切れの食品など、本当に多くのごみが出ております。堆肥化だけでなく、家畜の飼料としてもリサイクルが進むものと考えますが、こうした飼料の安全性の確保などについてはどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○浪越産業労働局長 食品廃棄物をリサイクルするには、堆肥化のほかに、家畜用飼料として活用することも有効であると考えます。これまで飼料については、肥飼料検査所における検査を通じて安全性や品質の確保に努めてきたところでございます。
 今後、リサイクルにより増加が見込まれる飼料についても、徹底した検査により、一層の安全性や品質の確保に努めてまいります。

○大西(由)委員 廃棄物減量に向け、都として食品リサイクルを進めていくには、広域的な仕組みが必要です。食品事業者と廃棄物処理業者のみの問題としてとらえるのではなく、さまざまな分野が相互に連携し、協力を図りながら進めていく必要があります。今後、全庁的な取り組みとしていく必要があるわけですが、その辺の見解をお伺いしたいと思います。

○浪越産業労働局長 食品リサイクルは、食品の製造、流通、消費などの各段階で、消費者、事業者、行政など食品廃棄物にかかわるものが一体となって廃棄物の再生利用などに努めるものであり、関係する行政の分野も多岐にわたっております。したがって、的確かつ効果的な食品リサイクルのためには、都においても、関係する各局が相互に連携を密にして取り組んでまいります。

○大西(由)委員 次に、都市再生について伺いたいと思います。
 一月十四日付の「AERA」に、第四次首都改造計画の見出しで、都市再生が取り上げてありました。それによりますと、今、東京都心は、内外の有名建築家、デザイナーを巻き込んで大変貌を遂げつつある。東京は、欧州のように整理されたまちでもなく、雑多ないろんなものがあるまち、東京でなら空想したことが現実になる可能性がある。ここで何ができるか、前向きに挑戦したい。変わることが東京のおもしろさだからという若手有名デザイナーのコメントがありまして、その結果、東京は今、有名建築家のアトリエのようなにぎわいだそうです。
 個々の建物のデザインや機能性はよくなっても、東京全体のデザイン、どんなまちにするのか、都市計画は放置されたままだとのコメントもありました。当の建築家さえ、マンハッタンのような超高層を目指すのか、パリのような街区単位のまちづくりを目指すのか、議論もない。まちづくりをきちんとしないと、世界との都市間競争にだって負けてしまうとの発言もありました。
 東京に暮らす私たちにとっては、非常に気になるところです。その中には、知事の、グランドデザインをかくのは難しいなというような写真入りのコメントもありましたけれども、都市計画局として、東京のグランドデザインをどのように描いていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。

○木内都市計画局長 お話のように、国際的な都市間競争が激化する中、慢性的な交通渋滞であるとか、一部地域では若干ふえているとはいえ、なお続く都心居住機能の低下あるいは潤いのない都市景観など、さまざまな課題を抱えておりまして、東京の国際的な競争力は低下をしているという残念な状況にございます。
 このため、国際空港機能の強化あるいは首都圏三環状道路など都市基盤の整備、国際ビジネスセンター機能の強化、質の高い都市型居住の推進などに取り組むことによって、それら競争力のある都市、東京の再生を目指していきたいというふうに考えております。

○大西(由)委員 今、都市再生特別措置法が国会で審議されております。この法案では、都市再生特別地区、すなわち、既存の用途地域に基づく規制を全部適用除外とした上で、自由度の高い計画を定める地区としております。
 都市計画や建築基準法を適用除外とするのは、これまでの都市計画法制度や建築基準法による諸規制が根拠のない、間違ったものと認めることに等しいと考えるわけですが、そのように認識していらっしゃるんでしょうか。

○木内都市計画局長 都市計画法はいわば一般法でございますが、その中でも、従来から都市計画の目標を達成するため、特定の地区において、都市計画に基づき規制を強化し、あるいは緩和する仕組みは既に持っているところでございます。
 都市再生特別措置法は特別法でございますけれども、その中で、今回制度化される都市再生特別地区も、一般法と同様、都市計画の手法の一つとしてこれらの仕組みを定めることとなっておりまして、これまでの制度と何ら矛盾するものではないというふうに考えております。

○大西(由)委員 都市再生特別地区の指定には、まず、広域的な観点からの妥当性の検証が必要です。周辺地区への影響、ひいては都市計画全般への影響をどのように考えていらっしゃるのか。
 指定をすることによりまして、環境負荷や生活面でのマイナス、また都市インフラへの負荷を無視することはできないわけですが、その辺の見解を伺いたいと思います。

○木内都市計画局長 これまでも都市開発諸制度を活用して容積率の緩和などを行う場合には、当然のことながら、道路などの交通基盤あるいは各種のライフラインなど、都市施設との整合に配慮することを求めてきたところでございます。
 今後、都市再生特別地区の適用に当たりましても、これまでと同様、計画の提案を行う事業者に対しまして、都市機能の保持に十分配慮した事業計画を立案するよう求めてまいります。

○大西(由)委員 これまでも都市施設との整合に配慮を求めてきたし、今回の特別地区指定においても配慮するとの答弁ですが、ということは、これまでの東京の都市計画は一応成功してきたということにとらえていいんでしょうかね。
 都市再生については、大幅な規制緩和や債務保証などの支援が厚くされております。よく都市計画にはあめとむちといわれておりますが、こうしたあめの部分を与えるならば、事業者には環境や福祉など、地域のコミュニティへの貢献というものを求めていくことも必要だと思います。
 一つ例えれば、これまで東京都には、緑の再生ということで、緑のトラスト制度というものをつくり出そうという動きがありましたが、今やそれが消えかかろうとしております。そういう単に敷地をあけて上に積み上げるだけではなく、勝手にそれをやるんじゃなく、その部分をそういう緑に還元するような制度に持っていくということも必要だと思うんですけれども、そういうことはお考えになっていないんでしょうか、どうでしょうか。

○木内都市計画局長 都市再生事業は、もとより民間の活力を生かしまして、都市機能の高度化にあわせて、公共施設だとか、あるいは公益施設の整備を進めることを目的としているわけでございまして、そうしたことを進めることによって望ましい都市をつくっていくという考え方、今日が成功であるかどうかは別として、目的としてはそういうものを含意として持っているかというふうに思います。そのことが、ひいては地域の環境の整備にも資するものというふうに考えております。

○大西(由)委員 今回の法によって、いろんな、二十三区にはすごい恩恵がある場合もあります。しかし、多摩の方で都市再生の再生の中身といったら、今一番求めているのは、今ある緑の保全になります。そういう意味では、もっともっと発想を豊かにして、それで業界、行政が、事業者がそういうものに投資をする場合の貢献のあり方というんですか、さっきいいましたように、緑のトラストに貢献するとか、そういう方法をもっともっと東京都として独自に考えていただきたいと思います。
 次に、都市再生特別措置法の最大の問題点は、分権改革に逆行する。これを読みまして、本当に時代錯誤なものじゃないかと私は感じてしまいました。その証拠に、再生緊急整備地域の指定も都市再生本部、つまり、国がやるわけです。また、この地域の指定については、事業者等のあれで決めるわけですが、必要と認めれば、都市再生整備協議会が地域ごとにつくられますが、この事務局は内閣にあります。
 これは、分権の流れに逆行しているわけで、当該自治体として、都や基礎自治体の声や権限が確保されるかどうか非常に不安なんですけれども、その辺、しっかりと都はやるべきじゃないかと考えておりますが、いかがでしょうか。

○木内都市計画局長 お話の法上定められる都市再生緊急整備協議会は、国と関係地方公共団体が対等の立場で組織するものというふうに規定されております。
 協議会が設立された場合には、東京都は都市再生の推進に向けまして、主体性を持って協議を行ってまいります。

○大西(由)委員 確かに、今の時点では、この協議会のメンバーは首相と知事と、それから区長。そこに住む市民とかいうのはどういうふうになるのかと非常に不安ですので、その辺をしっかりと都が主体と思って、やっていただきたいと思っております。(「市民というのは何だよ」と呼ぶ者あり)都民といいます。いいかえます。
 既に都市計画は、官から民にとどまりませんで、官から事業者、市民、自治体がつくり出す新しい公として動き始めています。ヨーロッパなどを見ても、開発ではなく、市民参加や環境や文化を切り口に都市再生を図り、輝くまちとして都市を再生し、世界じゅうから人を呼び込んでいるという例もたくさんあります。開発一辺倒では、余りにも発想が貧弱だと私は考えております。
 翻って日本では、千客万来の都市を目指すなら、このような視点もどんどん入れていった再生にしてほしいと思っております。
 近年、マンション建設などをめぐって建築紛争が増加しているように、まちづくりは周辺住民にとっても重大な関心事です。こうした都民の意見を、都市再生緊急整備地域や都市再生特別地区の指定に際してどのように反映させるのか伺います。

○木内都市計画局長 都市再生緊急整備地域は、国が定めるというふうに規定されておりますけれども、その際には、あらかじめ関係地方公共団体の意見を聞き、その意見を尊重しなければならないというふうに法律上も規定されておりますし、そういう方向で東京都としても臨むつもりでございます。
 また、都市再生特別地区は、新たな都市計画として定めることになりまして、意見書の提出などの仕組みが既にこれもでき上がっております。
 いずれにいたしましても、意見を反映する仕組みができ上がるというふうに考えております。

○大西(由)委員 都市再生を通じて、都がどのような東京を目指しているのか、全く見えません。日本で必要なものは、例えば、美しい町並みだと指摘される人もおります。私もそのとおりと思います。あるいは、都市にももっと緑をふやし、そして、水辺にも都民が快適にアクセスできるような自然を生かした町並みが欲しいという人もいます。それにも賛成します。
 さらに、車に脅かされずに歩けるまち、疲れたときには座るベンチで眺めたりする景観、そして座って帰れる通勤電車が走るまちも欲しいと思います。私はこういうことを実現することが、今日の都市再生の目標にならなければならないと思います。
 そして、そういうことを実現するには、何かのルールづくりが必要だと思います。個人や事業者の行動が積み重なって集団を不幸にしないためのルールづくり。欧州の美しい町並みが、よく旅行に皆さん行くわけですが、厳格なルールによって維持されていることを考えれば、やはりそのようなまちづくりのルールというものを東京都でも考えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○木内都市計画局長 なかなか意見が分かれるといいますか、理解できない部分もあるわけですけれども、今日進められようとしている都市再生は、首都機能の高度化や魅力的な都市空間の形成をそもそも目指すものでございます。都市再生特別地区など新たな制度やルールによりまして、国際的なビジネスセンター機能の強化や質の高い都市型居住を推進していくことの考えは変わりありません。

○大西(由)委員 今回の都市再生特別措置法も、国主導、そして民間事業者提案型の再開発です。こういうやり方は、三十年以上前にアメリカが失敗だったと評価しておりますアーバンリニューアル、つまり都市再生によく似ているといわれております。アメリカが失敗だったと評価したのは、地域社会から遠い連邦政府、国主導で事業が進められた結果、都市の地域コミュニティが破壊されてしまったのが最大の理由としております。
 今、東京の町でも、日本でも、都内各地で、都市計画マスタープランづくりなど参加型のまちづくりが芽生えております。都市再生がこうした動きに水を差すものとならないように、都として、この法の運用には十分の配慮をお願いしたいと思っております。
 ついでにいわせていただければ、あのマンハッタンをつくった当事者の委員長、ロバートさんとかおっしゃっていましたが、その方でさえも、天空に暮らそうなどというのは余り健康的だとは考えないといっております。既に、世界ではそういう超高層ビルの時代は終わったといわれております。ぜひもっともっと発想を豊かにした都市再生を目指していただきたいと思います。(「どういうふうにしたらいいんだ」と呼ぶ者あり)今、いいました。(笑声)
 都市再生は終わりまして、次に、福祉に移ります。
 最初に、既に要介護になっている方について伺いますが、要介護状態を進行させないで、少しでも改善していくためには、その状態に応じた適切なケアを行うことが必要です。そのためにも、ケアマネジャーのサービスを適切にコーディネートすることが課題となってくるわけですが、聞くところによりますと、一品主義のケアマネジャーが多いと聞きます。ケアマネジャーの資質向上に向けた取り組みを強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○前川福祉局長 介護支援専門員は、介護を要する高齢者とその家族からの相談に応じ、本人の心身の状況や生活環境に最も適合したサービスが提供されるよう、サービス事業者などとの調整を行う重要な役割を担っております。介護支援専門員がこうした役割を十分に果たすためには、不断に資質の向上を図ることが不可欠でございます。
 そのため、都は平成十四年度において、引き続き介護支援専門員現任研修の充実に努めるほか、新たにケアマネジメントリーダー養成研修など、資質向上のための支援策を実施してまいります。

○大西(由)委員 来年度、介護保険事業支援計画及びこれを包含した全体計画であります高齢者保健福祉計画の改定が行われます。区市町村の介護予防への取り組みに対する支援を強化するためにも、都がつくるこれらの計画に介護予防の観点を盛り込むことが重要であると考えるんですが、所見を伺いたいと思います。

○前川福祉局長 介護予防事業と都の行政計画とについてでございますが、介護予防事業につきましては、既に十一年度に策定した高齢者保健福祉計画の中で、高齢者の地域における自立生活を支援するための施策として位置づけ、各種のメニューを示しております。
 来年度の計画改定に当たりましては、区市町村とも十分調整をしながら、事業内容や目標設定などについてより一層具体化を図ってまいる考えでございます。

○大西(由)委員 要介護になっていない方には、適切な介護予防サービスを提供し、要介護状態の進行を防止する必要があります。地域では、転倒予防教室やADL体操などの事業を行って取り組んでいるところがあるわけですが、まだまだ半数と聞きます。市区町村の取り組みが進まない理由は何なのか、取り組みを進めるためにどう支援していくのか伺いたいと思います。
   〔和田副委員長退席、委員長着席〕

○前川福祉局長 介護予防サービスは、今お話がありましたように、介護サービスと車の両輪をなす重要な事業でありますが、事業開始後間もないこともありまして、事業内容やその進め方などが十分には確立されておりません。そうした中、区市町村は、関連する事業との整合を図りながら、さまざまな取り組みを進めているのが現状でございます。
 都は、これまでも国制度を活用して財政支援を行うとともに、区市町村職員に対する研修などを実施をしてまいりました。今後、さらにこうした事例集の発行や先駆的事業の発表会の開催など、区市町村の積極的な取り組みを支援してまいります。

○大西(由)委員 最後に、知事に伺いたいと思います。
 都でも福祉改革を進めておりますが、地域をベースとした新しい福祉を実現していくためには、また、多様化した福祉ニーズにこたえていくためにも、地域での福祉活動や介護サービスに積極的に参加している市民参加型のパワーを今後一層活用していかなければならないと思いますけれども、その辺について見解をお伺いして終わります。

○石原知事 人は、だれでも老いていくわけでありまして、あすは我が身というものだと思います。そういう年配の方、あるいはハンディキャップを負われた方を地域の方々がそこで手を差し伸べて手助けするということは、人間社会の中の一つの理念の形だと思いますけれども、昔は、隣組であるとか、非常に美しいコミュニティがありました。いってみれば、情けは人のためならずでありまして、都としましても、できるだけずっと住んでこられた地域の中で、そういう障害のある方、あるいは非常に老衰された方々が生きていかれることが望ましいと思っております。
 前にも福祉に関しまして、自助、共助、公助ということをいってまいりましたが、心身の状況によっては、もはや自助というのはあたわざる方もおられますし、その次には共助という地域の方々の思いやり、実際に体を動かしてのサポートが必要だと思っています。
 都としましても、これからそういう地域の方々の善意というものを、もっとはっきりした形で実っていくような援助もし、そういう福祉の状況の実現に努めていきたいと思っております。

○星野委員長 大西由紀子委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 明日は、午後一時から委員会を開きます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時八分散会

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