東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後三時二十分開議

○比留間副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 和田宗春副委員長の発言を許します。

○和田委員 まず初めに、後ほど質問にかかわりますパートタイムプリズン、いわゆるパートタイム刑務所についての資料を、石原知事の方にお届けをさせていただきます。
 私は、まず初めに、都財政の要諦であります財政運営について、石原知事並びに関係局長にお尋ねをいたしたいと思うのです。
 平成十五年、十六年、十七年と、都債の償還はまさにウナギ登りになり、ピークを迎えることになります。先ほど石原知事も、財政再建団体になると困るということをおっしゃっていましたが、まさにその方向づけの予兆として、この都債の償還というものが横たわっているわけであります。
 一方で、減債基金の積み立ての不足額というものが、累計で実に四千六百七十四億円にも既になっております。借金の山であります。こうした現状を踏まえて、公債費と減債基金の関係について、まず明らかにしていきたいと思うのであります。
 まず、都債の実償還額は、平成十四年度は四千七百二十五億円にとどまっているわけでありますけれども、ことしの一月、平成十四年一月に出されました「都財政の収支見通し」というレポートによりますと、十五年度では七千億、十六年度では六千四百億、そして十七年度では六千五百億というふうに予定をされて、見込まれております。
 申すまでもなく都債は、原則として満期一括償還方式ということになっておりますから、十年償還の場合では、一年から九年目までは利子のみを払って、十年目に元金を一括償還する、こういうルールで都政は今まで運用してきたわけであります。
 そこで、この償還をスムーズに流していくためにどうしたらいいかというのが減債基金の積立方式でありました。これによりますと、起債した後四年目から、元金の六%相当を毎年基金に積み立てておきまして、満期時には基金を取り崩して元金償還に充てる、こういう仕組みになっているわけでありまして、これは、起債に協力をいただいたあらゆる方々がこのことを期待をし、このことを信頼をして起債の応募にこたえてくださったわけであります。
 ところが、今回のこの予算の中では大きな変化がありました。すなわち、この減債基金の取り崩しということになったわけであります。この減債基金の積み立ての一部減ということであります。この減債基金の取り崩しは、平成十五年度から十七年度に、毎年度三千ないし四千億円程度を予定しているというふうになっておりますが、そこでお伺いいたしたいと思うのです。
 十四年度末の減債基金残高見込み額は六千八百億円、このようにいわれております。したがって、十五年度以降も減債基金の四分の一の積み立て見送り。今回、十四年度は見送りをしたわけでありますが、これを続けていったならば、十七年度には基金残高の不足が生じるとされておりますけれども、この不足額はいかほどになるか、まずお答えをいただきたいと思います。

○安樂財務局長 このまま減債基金への積み立ての四分の一の見送りを続けた場合には、十六年度末の基金の残高は三千四百億円となります。十七年度に予定しております取り崩し額三千五百億円に対しましては、百億円程度の不足が生じることになります。
 しかしながら、将来の償還のために、十七年度にも新たに約一千七百億円の積み立てをすることになりますので、十七年度末で、基金には、なお一千六百億円程度の残高があるということになります。

○和田委員 今局長が答弁された、十七年度になれば、また何とかなりますよというようなことをお答えでありますけれども、その繰り返しが、今日まで都政の財政の首を絞めてきました。
 さて、この不足した状態というのは、具体的にはどういうことを惹起するのでありましょうか。

○安樂財務局長 ただいま申しましたように、十七年度においても約一千七百億円の積み立てが新たに加わりますので、減債基金の積み立てを今後も四分の一見送ったとしても、減債基金残高は、十七年度以降も直ちに枯渇するということはありません。資金的には、取り崩しは行い得る状況にあります。
 しかしながら、そうした状態というのは、基金の取り崩しが過去の積立分で賄い切れずに、将来のための積立金の一部を先食いしている、それによって十七年度の償還に充てているという状態でありまして、決して適切な姿ではないというふうに思っております。

○和田委員 冒頭に私申し上げたかもしれませんが、私たちは、政策だけで政治や行政を動かしているわけではありません。政策という大きな機関車を財政というエネルギーで動かして、今日、都民にこの列車に乗っていただいているわけであります。
 したがって、今局長がお話しのとおり、将来のための積立金の一部を先食いしているという認識、これは大変重要な認識でありまして、こういう危機感、クライシス感といってもいいかもしれませんが、そういうものがなくして、また、今は少し不如意だけれども、十七年度以降も直ちに財政は厳しくなく、枯渇もしませんよというようなことをいいながら、状況を糊塗しながら先へ先へ延ばすのじゃなくて、知事もしきりに心配しているようでありますが、財政が破綻したら、今も景気よくいろいろな政策を打ち上げている石原知事の姿は、完全にそこから消えてしまうわけですね。
 そこにあるのも、やはり東京都の財政が、健全化に向かって何か前向きだぞという関心があるから、石原知事の出されるあらゆる新税の構想や、あるいは環境問題などについても、都民も、また関係者も、拍手をしながら見ているのでありますけれども、本体の財政運営である、都政運営であるこの財政に大きな瑕疵が生じたときには、小さな、失礼ながらホテル税の二十億とかなんとかの問題じゃないと。
 東京都全体の行政が不信感に覆われるというわけでございますから、今の局長答弁は、もっと初めに危機感を私どもに答弁してもらって、その後に、十七年度以降も直ちに枯渇することはないので安心してくださいよと、答弁は逆転、まさにそれは逆立ちしているような答弁だと私はいわざるを得ない、厳しくご指摘を申し上げたいと思うのです。まず危機感があってから、その次に、しかし安心してくださいよ、こうですよというふうに説いていくべきではないのでしょうか。
 さて、次に行きたいと思うのです。それは減債基金の一時見送りを、今局長がおっしゃったとおり、これからも続けることになるでしょう。そうした場合に、私どものところに配られている、さきに紹介した財政収支の見通しというこの中では、財政運営に大きな支障があることを予兆はしているのでありますけれども、具体的には、どのように現場で感覚を持ってお受けとめになっているか、局長にお尋ねをいたします。

○安樂財務局長 この過去の積立分では賄い切れずに、いわば積立金の先食いということをいつまでも続けていけば、償還財源は枯渇して、年度間の公債費負担の平準化という、減債基金の持つ機能は失われていくということになると思います。
 都財政は、今後とも税収が低下するなど厳しい状況が見込まれる中で、こうした一時しのぎの対応を続けていけば、将来的には、財政運営を安定的に確保することは非常に困難になっていくというふうに考えております。

○和田委員 まさに、将来的に財政運営は困難になっていくという、そういう認識が、さきの私の質問と同じ認識に立たれたと思うんです。
 さて、じゃそのような認識でいつまでもとどまっているわけにはいきません。将来、多分横たわっているであろう将来の危機を回避するためには、何らかの手を打たなければなりません。それには、都債の償還財源である減債基金についても、今回、四分の一見送りましたけれども、そのようなことを簡単にするのではなくて、しっかりその積み立てという方針を守りつつ、守るためには、どういうふうに財源の捻出や工夫をしたらどうかということに思いをいたさない限り、本元を動かしていたら、なかなか財政の捻出方法というのは編み出してこれないだろうと思うのです。
 ですから、基金の積み立ては、絶対にこれは金科玉条のごとく動かさない。したがって、その動かさないためには、どういうふうな財政の捻出方法を考えるのかということをしていかなければならないと思うのです。
 これまでの東京都の財政というものの一つの宿命は、法人二税の動向に大きく左右されてまいりました。その結果、出てくる歳入と歳出ギャップに翻弄されてきているということであります。いうならば、この歳出歳入のギャップの差というものを解消することが安定した財政運営の基本だろうというふうに思うわけです。
 そこで、歳入確保の努力を行う一方で、やはりより一層、歳出の削減の取り組みも必要だろうというふうに思っています。
 私のつたない経験ですけれども、平成九年に初めて都議会に受かりました。そのときに財政委員会に入ったわけでありますけれども、そのときの東京都の都税の徴収率を見たときに、九三%どまりだったような記憶がするんです。ところが、私がほかの大都市の徴税率を見たら、九四とか五、高いところは六ぐらいまでいっていました。
 なぜ東京都は九三%台なのかなというようなことを考えて、ふと、その総体の徴税率が、もし一〇〇%だったら幾ら集まるのかと見たら、四兆円も集まるんですね。徴税率一〇〇%の場合で四兆円集まりました。したがって、一%徴税率が下がるということは四百億円下がるということ。逆にいえば、徴税率一%、税吏員の皆さん方の努力で上がれば四百億円の増収になる。これは当たり前のことなんですけれども、パイが大きいわけでありますから、九三%台、四%台の徴税率から一%上げるだけでも四百億円の増収になる。
 したがって、財政委員会で徴税率を上げるべきだというようなことをご進言申し上げて、今般のこの歳入確保の中では、都税の徴収率を九一・四%、これは十年度でありますけれども、これを約二ポイント引き上げたい。今、平成十二年度の決算を見ますと、九四・五%ぐらいになっていると思うんですが、少なくとも一%以上は平成十年度から上がっています。
 ですから、こういう確実な努力は積もり積もって歳入の確保努力につながってくるということでありますから、これからも一%という数字の、小ささではなくて、その中身のとうとさに十分留意をしていただいて、歳入の確保にとりわけ努力をしていただきたいということを申し上げておきたいんです。
 それから、予算編成を通じて、財務局は各局の要求を今束ねて調整するという、そういう予算編成を従来型のようにとってまいりました。今回もそうでした。しかし、事業を所管する局みずからが、みずからの責任で歳出削減に取り組むよう、そしてそのようなことを新たな手法として取り入れていくということが私は考えられていいのではないかと思っているんです。
 そのようなことを提言申し上げる視点から伺うのでありますが、本格実施となった行政評価制度によって、各局の施策の見直しの実効性を上げて、より一層の歳出削減につなげていく必要があるというふうに思うんでありますけれども、今後、行政評価制度についてはどのような取り組みを進めていかれるか、お答えいただきたいと思います。

○田原知事本部長 今年度から本格実施を開始いたしました行政評価制度につきましては、来年度以降も着実に実施をいたします。その結果を事務事業の見直しや予算編成等に反映をしてまいります。
 また、実施をいたしました評価結果につきましても、事業の所管局がどのように改善、見直しを行ったかについて進行管理を行いまして、その内容を公表することとしております。
 このような取り組みによりまして、各局による積極的な施策の見直しの実効性を確保してまいります。

○和田委員 その行政評価制度を私ども都議会民主党もしばしば求めてまいりましたが、それは導入されました。導入されてそれっきりではなくて、導入されたものの活用こそが私たちの主眼でございます。
 したがって、今お答えのとおり、導入された評価制度をどのように施策の見直しに生かしていくのか、そのことがこれから問われるだろうと思うんです。
 それもなおかつ、納税者や、あるいは都民の皆さんに、その必要性をできる限り平易に説明して、正確かつ適切な数値とかデータなどを公表していく必要があるだろうと思っています。とりわけ事業ごとにとか、行政コスト計算書、あるいは貸借対照表など、事業別バランスシートをつくって行政評価制度に組み込んでいく、そういう充実をしていく必要があると思うんでありますけれども、いかがお考えでしょうか。

○田原知事本部長 事業コストをより的確に把握をするためには、ご指摘ありましたバランスシートの作成というのは有効であろうと思っております。
 今後、各局におきまして、事業別のバランスシートを作成することになっておりますので、行政評価におきます評価項目である効率性などの判断の資料としてまいります。
 今後も、行政評価制度の改善に取り組み、評価結果を重要施策の選定などへも活用を図ってまいりたいと思っています。

○和田委員 今年度に石原知事は初めて重要施策の導入をされました。まさに、そのことは今度の十四年度の予算の大きな部分を占めて我々は審議をしているわけでありますけれども、このように重要施策の今と将来に向かって行政評価制度をしっかり活用しながら、次にどのような効果的な施策や、あるいは財政運営をしていくかというようなことにつなげていってほしいというふうに思いましたから、今の知事本部長の答弁は、極めて私どもの意にこたえた答弁というふうに思います。後は、それをしっかり実施をしていくことに注目をしていきたいと思います。
 この質問の最後になりますけれども、「都財政の収支見通し」では、今後、中期的に三千ないし四千の財政不足が発生するというふうにも、都みずからがこの見通しの中ではっきりおっしゃっているわけです。これはもしかすると、再び財政再建団体に転落するんじゃないかという危機感を当然内包した認識だろうと思っています。
 申すまでもなく、赤字限度額の算出方法というのは、府県相当分の標準財政規模の五%、それから、市町村相当分の標準財政規模の二〇%、その合算した二五%が東京都に適用されるわけでありますから、平成十三年度で試算をしてみますと、多分二千八百億円ぐらいの額が赤字限度額の数字になるだろうと思うんです。
 特に、十四年度以降はもう少しその額が下がってくるかもしれませんけれども、そのような水際のところにまで東京都はあるところ追い込まれてきているという認識を持つべきだというふうに思うんです。
 そこで、財政再建団体への転落を回避して、財政再建はできるんだろうか、このことについて知事の決意をお伺いいたしたいと思います。

○石原知事 財政再建について、さまざまなベクトルからのご議論がございますが、自明のことですけれども、現況の中での東京の財政再建にとっての最大のバリアは二つあると思います。
 その一つは、国全体の経済に左右される税収の低下、それもご指摘のように、東京の財政というのは法人二税への依存度が非常に高うございますから、これにも振り回されかねない。それからまた、先人が発行した国債というものの償還で、やっぱり借りた金はだれが借りようと返さないわけにいきません。時期が来たら、そのときの当事者が四苦八苦してでも払わなきゃいけないお金でありまして、という状況の中で、歳入歳出の両面にわたって、これまで以上に徹底した見直しを行ってもきましたが、東京自体ではしにくいこともありまして、国との絡みでいろいろ政策も講じようとしても、どうも国の反応が遅くてなかなか事がはかどらないというジレンマもございます。
 いずれにしろ、飽かずに今後とも力を尽くしていくつもりでございますが、ただ、やはり法人二税への依存度というものをできるだけ軽減しなくてはいけないという一つの目的もありまして、ゆえに新しい財源の創出といいましょうか、捻出といいましょうか、それが雇用にもつながるわけでありますが、その一つとしては、観光を産業と積極的にとらえて、その実績というものを上げていきたいと思っております。
 あるいは先ほども言及されましたけれども、バランスシートをつくることで、これを機能させることで歳出と歳入というものの軽減を図る、それから外部監査も入れまして、いろいろ手厳しい指摘を受けましたが、小さな小さな額かもしれませんけれども、それを積み上げることで、非常に放漫な東京都全体の部署部署の経営というものを是正することで、歳出というものも抑えていきたいと思っております。

○和田委員 石原知事、今、観光東京というような政策をちらっとおっしゃいましたけれども、私たちは一月の末から二月の初めまで、都議会から派遣されてオランダ、ロンドンに行ってまいりました。そのときに今お渡ししたパートタイムプリズンも入手したわけでありますけれども、そのときに、たまたま私どもはオックスフォード市を訪問しました。
 これは、オックスフォード大学があるまちということで有名なところでありますけれども、そこはオックスフォード大学という大学がそもそも観光の売り物になっておりまして、三十九あるカレッジ、トータルでオックスフォード大学を構成するわけですが、町並みも千年以上前の町並みが悠然と残っておりますし、そこを歩く方々にも風格もありますし、もちろんイギリスの中のユナイテッドキングダムからいろいろ来る方もいらっしゃるんでしょうけれども、まさに観光を生かしていらっしゃるなあ、しかしそんなに派手でもないし、ネオンもないし、看板もないし、落ち着いたオックスフォード市の運営とオックスフォード大学の協力だなということに、喜びの声と驚きの声を上げて私ども三人の仲間は帰ってきたんです。
 したがって、ただにぎやかににぎやかにとやるよりも、そのまちの持っている雰囲気というものを、国際的にも静かに静かに浸透させていくことによって、穏やかな売り出し方もあるのではないかなと思うものですから、そういうこともひとつ参考までに、私どもの派遣をさせていただいた事業の一環としてのご提言もさせていただきたいと思います。
 さて、次は、市町村合併についてお伺いいたしたいと思うんです。
 さきの本会議で、私ども田中良幹事長が代表質問に立ちまして、区市町村合併についてお尋ねいたしましたが、そのときに、総務局長の答弁は、昨年末、東京都の合併支援本部を設置した、支援の体制を整えた、市町村における自主的な合併を積極的に支援していく、このように極めて積極的な答弁をされております。
 しかし、全国的な視野でありますけれども、全市町村数三千二百二十三あるんですが、そのうちの六二・九%、二千二十六市町村が法定ないし任意協議会、研究会等を設置して合併を検討しているわけです。
 そこで、富山県とか高知県を除く四十五都道府県が支援本部を設置している中で、東京都が本部設置をしたのは昨年の末で、順番でいって恐縮ですが、実に四十四番目という、ちょっと出おくれた、そういう感がございました。しかも、都内には一部動きはあるんですけれども、顕在化した合併協議会を設置している市町村は一つもありません。
 東京都の方は、さきの本会議質問で、総務局長答弁で、支援体制を整えた、あるいは合併を積極的に支援していく、このようにおっしゃっているんですが、肝心な市町村の反応がもう一つというふうに私どもは認識しているんですが、この現状についてさらにどのような認識をお持ちか、お答えいただきたいと思います。

○大関総務局長 東京都は、お話のように、昨年十二月に都知事を本部長とする東京都市町村合併支援本部を設置いたしまして、全庁挙げての支援体制を整備したわけでございます。
 市町村合併、これはあくまで住民意思の尊重と市町村が自主的、主体的に取り組むことが重要でございます。現段階では、都内の市町村、いずれも合併に関する協議会等を設置する状況に至っておりませんけれども、引き続きいろいろな啓発等を行いまして促進に努めていきたいと思っております。

○和田委員 さきの答弁と同じような感触を持つんですが、まあ余り時間もたってないのでそれはしようがないと思うんです。
 ただ、東京都の姿勢というのは、市町村合併は本当に必要なんだというふうに考えているのか、あるいはさきにお答えのとおり、自主性に任せていて、東京都は関知しないよというふうにスタンスをおとりなのか、どういうふうな立場かわかりにくいんですが、それとも市町村から要望があれば考えるけれどもそれまでは静かにしていようというふうに、三様に思えるんですが、どの道を本当はおっしゃりたいんですか。

○大関総務局長 市町村におきましては、新たな行政需要への対応のためにも、行財政基盤の強化が必要でございます。そのための方策といたしましても、市町村合併、これは重要かつ有効な選択肢の一つであろう、このように受けとめております。
 そのため、東京都としては、昨年一月に市町村合併に関する検討指針を策定しまして、市町村あるいは都民を対象に合併に関するメリットを普及啓発活動の中に入れまして、情報提供に努めているわけでございます。

○和田委員 合併が必要だということは、いいんですよね、必要なんですよね。それで、支援本部を設置しても、例えば、検討指針以上のものが出てこなければ、分権の方向に向けて絵というのが示されたんだろうかどうかというふうに、理解いたしかねるところがあるんです。
 合併特例法というのは、ご承知のとおり十七年三月までで、合併にかかわる特例がございますけれども、そういうものは打ち切りますから、ちょうどあと二年ちょっとしかありません。それで、なおかつそのモデルによりますと、二十カ月ぐらいが準備期間に必要だということでありますから、逆算すればますます時間的な余裕はなくなってくるということでありますから、私はもっと作業を急いでいく必要があるだろうというふうに思うんです。
 具体的には、合併によってどういうメリットがあるんだろうか、どういうデメリット、不利益があるんだろうか、このことをはっきり自治体関係者に示していく段階ではないのかなと思うんですが、そのことの選択をしっかり各自治体に迫っていくぐらいの積極性をぜひ求めたいと思うんでありますが、どうですか。

○大関総務局長 一般的な合併のメリットにつきましては、東京都の市町村合併に関する検討指針の中で、住民サービスの向上あるいは行財政運営の効率化とその基盤強化などを提示しておるわけでございます。
 なお、具体的な合併のメリットにつきましては、住民や市町村が合併についての共通の問題意識を持って議論していく中で、それぞれの地域の特性に応じて検討していくことが重要であると、このように考えております。

○和田委員 少し積極的かなあと思ったら、またちょっと腰が引けたんで、ちょっと跛行しているような感じがしないではありません。
 情報化とか交通の利便性が旧来の社会構成と違って飛躍的に発達をしてまいりました。今まで歩いて一時間のところはもとより、車を使えば二、三分で行ってしまったり、そういうふうな現状もあるわけでありますから、従来型の行政区域のあり方から、少しく今日型の情報化あるいは交通の利便化が伴う、そういう行政区に変えていく必要があるだろう、そのことがまた、古い上着を捨てて新しい上着に着がえるということにもつながってくるだろうと思うんです。
 そこで、総務局は、広域連合などの中間的な方法よりも、ストレートに合併にというふうな、今そのお答えに受け取ったんですけれども、もしもそういう東京都のストレートに合併ということであるならば、まさにそれを応援する協議会の設置を勧告するという条項が地方自治法の二百五十二の二の四項にあるわけでありますから、これを使うことによって、今局長のご答弁の、合併に真っすぐ行って広域連合などの回り道をしないという手法をとるのであれば、その方法の、自治法二百五十二の二の四項にしっかり依拠した意思表示をし行動をとるべきじゃないんでしょうか、お答えください。

○大関総務局長 市町村合併、これはまた後退だといわれるかしれませんが、あくまで市町村の自主的、主体的な取り組み、それから住民の意思、これを尊重しないといけないわけでございます。
 合併協議会の設置の勧告につきましては、先に勧告ありきではなくて、合併に向けての機運が盛り上がった段階で、関係市町村等の意見を聞いた上で判断していくものだと考えております。

○和田委員 局長、いいですか。私は、行特委のときにもお話ししたと思うんです。同じ事例でしたけれども、私どもの坂口議員もかかわった西東京市の合併問題。それは経緯、いきさつがあって、随分それは、ここの例にふさわしいかどうかは別ですけれども、しかし、それとても、二つの自治体が長い時間をかけて練り上げてきて、住民の投票も受けたりしながら、議会が意思を決めて、一つの成功裏に終わった事例なんですね。そういう事例を我が東京都は身近に持っているわけですよ。そこからも学ぶことをしっかり学んで、そしていかに今の市区町村、これから触れますが、住民やあるいは議会、当該自治会や住民が望むならば、特別区も含め行政区域を変える絶好の機会が今到来しているんですよということを、十七年の三月いっぱいというふうに一応なっているわけですから、そのゴールテープまでに悔いのない形の選択余地を提供する、そのことが東京都の今課せられた大きな使命だろうというふうに思うんです。
 したがって、行きつ戻りつじゃなくて、もしもストレートに自治法二百五十二条のあの条例を使っていくならば、あの法律に依拠するならば、それを今の答弁のように、当該自治体に任せるというだけではなくて、任せるのは建前だけれども、それと同等に、東京都もあるところ発言権を持って指導申し上げるというようなところまで踏み込んでいかなければ、結局は腕をこまぬいて見ているにすぎないということになりはしないんだろうかというふうに思うんです。
 そこで、私、また重ねて、局長を困らすわけじゃないんですけれども、言葉をもらわなきゃならないんだが、ある新聞にも出ましたけれども、全国の大勢で、合併特例法に基づく合併の動きが出てきています。中間的な報告がなされました。結果として、それが終わってから気がついて頑張ろうと思っても、聞くところによると、あの特例法は延長しないというふうに聞いておりますから、もう遅きに失したという形になりかねません。結局、タイミングは今を置いてはないんだというふうに思います。
 しかも、小泉内閣の掲げる構造改革によって、地方交付税制度が見直されるということは、仮に内閣がかわっても避けられないということだろうと思うんです。このように、市町村合併を取り巻く今の小泉政権の持っている合併に対する姿勢、あるいは全国的な合併特例法を歓迎しながら動いているそういう動き、それを横目で見ながら、市町村合併を取り巻く今の状況について、局長はどのように認識をされているんでしょうか。

○大関総務局長 地方交付税制度の見直しを初めとしたさまざまな制度改革が検討されている中で、各市町村は、市町村合併について、合併特例法の期限を踏まえ、自主的に検討を行っているわけでございます。
 ただ、合併特例法、これは大変すぐれたものかもしれませんが、やっぱり決め手になるほどの特例法でないような気がするわけでございます。合併しても二年間は議員の数が同じでいいとか、こういうレベルではなくて、もう少し、メリット、デメリットをきちんと出せるような、そういう支援策での法律があってしかるべきであろうかと、このように思っております。
 そういう中におきましても、東京都としましては、さらに合併に向けた機運が盛り上がるように、住民や市町村への具体的な普及啓発、情報提供、こういうものが必要であろうということで、地域に応じた具体的な提案をしているわけでございます。

○和田委員 今、語気強くおっしゃったわけですが、そこまで認識されているのならば、合併を積極的に支援していくという先ほどの言葉の中には、相当具体的な事柄が含まれていると思われるんですけれども、何をお考えになって今そのような積極的に支援していくというふうに、本会議答弁も含めてですけれども、あったんでしょうか。

○大関総務局長 市町村の合併を進める上では、何よりも、先ほど何回も申し上げておりますように、関係市町村と住民の意向が重要でありますし、その共通の問題認識、これは高めていくことが必要なわけでございます。そういう点で、議論を活発に進めてもらうということが大事なわけでございます。
 ただ、議論を活発にしろといいましても、具体的な問題がないとなかなかしないわけでございます。そういう点で、現在、私どもとしましては、普及啓発の中に、これまでの成功例、そういうものもお示ししたり、それから財政面だとか行政運営、これに関することにつきましての適切な助言、例えば助言の中では、組織はこういうふうにつくったらいいんじゃないかとか、財政規模拡大のためにはこういうことをやったらいいんじゃないかという助言、あるいは情報提供といいまして、今までの各成功例、失敗例、こういうものをお話しをして、具体的な議論を高めているわけでございます。

○和田委員 まだちょっと具体的なことがないんで、私は切歯扼腕するところですが、ただ、局長ね、これだけの、こういう場合のカレンシーの認識を持ってください。来年は統一地方選挙ですよね、大多数のところが。そうすると、向こう四年間、それ以上のその自治体、自治体のテーマを論ずる絶好の機会がそこに用意されるわけですよ、来年の春。なおかつ私が申し上げた十七年三月に特例合併法の期限は切れますよ、二十カ月の間の準備が必要だと国はいっているよというと、ちょうどことしの夏以降から、合併がいいのか、自分は合併に賛否をどう対処していくのかというような問題の提起しやすい環境が来年の統一選挙までにあるわけですよ。
 私は何を要求しているかというと、それには、合併による利益、不利益を、皆さん方プロなんだから、そういういろんなケースケースを持ち出してきて、各市区町村の自治体にそれを示すことによって、なるほどそれならば我がまちの将来構想は、私どもはこういうふうに有権者に訴えて市町村合併しようとか、いや合併は反対だと。それはどちらでもいい、だけれども、絶好の四年に一回回ってくる地方選挙、その場面に特例法の切れるちょうど前のいい時期に重ね合わせることによって、今あなたが目指している積極的に支援をするという形の支援につながるんじゃないですか。その場面を活用しようとは思わないですか。

○大関総務局長 これは何度も申し上げますが、総論賛成、各論反対的な部分がございまして、私どもとしては合併には促進派でございます。
 しかし、そのことを強制的にお話ししましても、これはなかなか実現されるものでなくて、急がば回れでございます。やはり議論を高めていただく、その中で機運を盛り上げて、その中に財政面、そういう点での支援策をしていくというのが大事かと思っております。

○和田委員 私は、大関局長が強引になんて申し上げているんじゃなくて、判断材料は東京都は提供できるでしょうと申し上げているんですよ、各自治体なり何なりに。その結果の判断は、だって、そこの自治体で決める。少なくとも、西東京の場合には、住民投票という自治体の意見を聞く手法等を使って、結果として成功したという事例もあるわけですから、やり方はいろいろあるんですね。
 ただ、きしくも、来年の統一地方選挙というのは、我が町の行政区域を広げるの、狭めるの、そのままでいいのというのを論ずる絶好の機会、舞台がそこにあるでしょうといっているわけですよ。それには、議論の俎上にのぼり得るだけの客観的な材料は東京都は提供できませんかと、こういっているんで、何も強引に推進する方向で進めろというんじゃなくて、客観的な情報の提供は、先ほどご自身もおっしゃったけれども、メリット、デメリットの情報提供はしたいとおっしゃっているんですから、それは印刷物になるのか、あるいはホームページか、Eメールになるか、わかりませんけれども、少なくともそういう方法をお考えですかということにお答えください。

○大関総務局長 あらゆる機会をとらえて、あらゆる手法をとらえて、やっていきたいと思っております。

○和田委員 できるだけ--難しい問題は承知しているんです、東京都の権能範囲の問題とかね。ただ、どうしても、さきに申し上げたとおり、西東京の以降、東京都内の自治体の動きがとまってしまっているというところで、少し揺さぶるというとあれですが、動かしていく必要があるのかなというふうに思いますものですから、西東京の成功例なども含め、各自治体に、客観的に検討する、そういう資料をぜひわかりやすく作成して配布をするなども一つのアイデアだろうと。何よりも、統一地方選挙という絶好の舞台が用意されているというふうに思います。したがって、そのことは強く要望にとどめたいと思うのです。
 次に、さて、肝心な特別区の再編成についてでございます。
 これはまた石原知事は、昨年の予算特別委員会で、特別区の合併について、二十三区のあり方というのはちょっと不自然な区分になっているなという感じがしますというふうに答弁をされています。
 さきの私どもの田中代表質問に対して、大関総務局長は、調査を行っているというふうに現在進行形のお答えでありましたけれども、具体的にはどんな調査を行っているんでしょうか。

○大関総務局長 特別区の区域は、ご案内のとおり、我が国の首都として、これまで一体的に発展を遂げてきたという歴史的、地域的な特性を有するわけでございます。同時に、大都市制度として、一般の市町村とは異なった行財政制度をとっております。
 こうした中で、特別区の合併のあり方などを検討するに当たりましては、一般の市町村とは異なり、地域や行財政制度の特性を十分に踏まえていかなければならないと考えております。
 このため、現在、大きく四つの面で調査を行ってございます。一つは、特別区を取り巻く社会経済状況がどうなっているのか。二つは、特別区の地域的特性がどうなっているか。三つ目が、それぞれの区民の行動範囲、生活行動範囲がどういう形で行動しているのか。四つ目が、特別区それぞれの行財政運営の状況、こういったことにつきまして調査を行い、これらの調査が終わった段階で、それぞれ分析をし、その中で方向性を見つけていきたい、このように考えております。

○和田委員 私も行財政改革特別委員会のメンバーですから、特別区の選出ということもあって、このことも過去に触れました。したがって、屋上屋は避けますが、問題は、さきに申し上げたとおり、市町村については去年の一月、それから、区についてはまだ出ていない。しかし、十七年の三月にはもう終わっちゃうんだよ、そういうふうに合併特例法の期限切れ。それから、市は一年前にあり方について東京都は発表したけれども、区についてはまだ検討中というふうに、極めて準備が不足しているような状態で、この区の再編については事が進められているように思うのです。
 一方で、石原知事は、不思議な存在のように思うななんていうことをいっているわけでありますから、そこのところをしっかり整合性をとっていただいて、できるだけ早く特別区の合併の問題についても適切な判断のできるような材料を、今、明らかにされた四つの項目がございましたけれども、その調査を早く上げていただいて、関係する区部に早く流していただきたい。また、行特委の方にも、その前にですけれども、当然、早目に報告をぜひ期待をしておきたいというふうに、これは要望をいたしたいと思います。
 それから、次の質問でありますけれども、大都市行政の一体性とか統一性の確保というのを、合併についてよくおっしゃっていらっしゃいます。大都市行政の一体性、統一性の確保というふうに簡単にいわれるわけでありますけれども、大都市行政の、しからば区域、エリアというのはどこまで考えているんだろうかと、そういうふうに考えるわけです。
 それは、例えば一つの区切りは都心の三区だとか、特別区全体だとか、それとも、多摩地域の一部も含んだ形での大都市行政の一体性、統一性を確保していくというふうに考えていいのか、ただ言葉だけがそこに存在して、そこに血肉が通っていないように思うのでありますので、改めてこれについてのお答えをお願いいたします。

○大関総務局長 地方自治法では、特別区の存する区域において、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性及び統一性の確保の観点から、都が市町村事務の一部を処理するということにつながっております。
 将来的にはともかく、現行法制度上では、大都市行政のエリアというのは、特別区のエリアである、このように考えております。

○和田委員 そうなりますと、特別区のみを大都市行政のエリアだというふうに、今、局長が言明されましたから、今まで私が三つ申し上げたうちの整理が淡々とつきました。今後は、大都市行政といえば、二十三特別区のエリアだというふうに考えるようになるわけであります。
 さて、この一体性、統一性と特別区の自治権、これについての関係をどのようにお考えになっているんでしょうか。

○大関総務局長 今回の都区制度改革によりまして、特別区は、地方自治法上、住民に対して第一義的に責任を負う基礎的な地方公共団体というふうに位置づけられたわけでございます。
 一方、人口が高度に集中する大都市地域における行政の一体性、統一性を確保する観点から、都が一般市の事務の一部を処理することともされております。
 特別区の区域において都が処理する大都市事務は、消防や上下水道の事務など法律に基づくものと、都市交通や港湾等の都区間の協議に基づくものなど、必要不可欠な事務に限定されておりまして、特別区の自治権、このものを制約するようなものにしない、このように考えております。

○和田委員 まだ行きつ戻りつ、跛行しているように僕は思うんですが、それだけまだまだ--市区町村あるいは自治体の方が動いてくれば、大関局長の方も具体的にどう対処するかということでありましょうけれども、まだ自分の方から将棋のように手を指すというよりも、受け身のような形で当然いる立場でありますから。
 それにつけても、情報をしっかり提供して、十七年の三月という限度に向けて、しっかり東京都なりの姿勢を時には打ち出していくということで、千載一遇の合併時期でもありますだけに、合併選択をされるところは、ここをしっかり機として乗り出していくというような場面の設定に、東京都は積極的にかかわっていく。まずそのことを強く求めておきたいと思いますし、私自身、当該委員会のメンバーでありますから、そこでまた詳しくは質疑を交わしたいと思います。
 さて、次に移ります。次は、児童虐待防止に関連をしてお伺いいたします。
 十三年の十月に、「児童虐待の実態」という、これは俗に児童虐待白書ともいわれているものでございます。これは日本で初めてまとめられたというだけあって、極めて、図入り、そして分析も正確に行われておりますし、私どもこれをしっかり読まさせていただきました。
 これに基づいて、中心に質問をさせていただくわけでありますが、代表質問において、児童相談所の機能強化と地域のネットワークの強化について、我が会派は付言をいたしました。ここでは、その具体性について少しくお伺いをいたしたいと思うのです。
 児童虐待防止法は、ご承知のとおり、二〇〇〇年の十一月に施行されたわけであります。虐待の法的な定義を明確にしたり、あるいは司法機関と相談所のかかわり、あるいは虐待への対応には、前とは余り変わってはいないようにも私どもは思うのです。
 それというのも、関係者の義務は定められていますけれども、実効性を持たせる方策がない。私たち東京都で独自にやっていかなければならないことが多々あるわけでございます。
 また、その虐待事案等における警察の役割などは殊さら重要でありまして、警察と関係機関とも連携していく必要があるというふうに思っています。
 特に、児童虐待防止法の大きな特徴は、警察の父母に対する指導なり監督ということをしっかり明記しているということでもありますので、子どもを死に至らしめるような親、保護者について、やむを得ず警察の力によって親子を引き離す、あるいはその親に対して注意、監督をしていくというようなこともぜひしなければならない。事態はそこまで追い詰められているというふうに思うわけでございます。
 さて、虐待というのは、子どもの心に深い傷を残すものであります。そしてまた、そのいやし、ケアには、大変なエネルギーを使うわけでございますが、そのまたケアにも豊富な経験と知識が求められます。そしてまたさらに、長い時間が伴うわけであります。
 子どもたちの養育も、家庭的養育が望ましい。私どもはさきの本会議質問でも、家庭的養護が望ましいということを主張いたしましたけれども、被虐待児を預かる養育家庭の親御さん、お母さん、お父さんたちにも、子どもへの接し方など、情報提供したり、サポートすることも、これから必要だと思うのです。
 これらを踏まえて、現在不足しているといわれている養育家庭をふやしていくために、どのように東京都は取り組みをされようとしているのでありましょうか。

○前川福祉局長 今お話がありました養育家庭制度、これはいわゆる社会的養護を必要とする子どもを家庭的環境のもとで育てるという里親の一種でございますが、これにつきまして、私どもは大幅に拡充していきたいというふうに考えております。
 そのためには、まず、都民の皆さんにこの制度を理解してもらうことが必要でありまして、十四年度は、新聞広告、ポスター、インターネットを利用するなど、さまざまなメディアを活用しながら、大規模な広報活動を行って、制度の周知を図っていきたいというふうに考えております。
 また、お話がありました、被虐待児等を預かる養育家庭を支援するために、これまでと違って、児童相談所が指導、支援の中心となる体制を整え、訪問指導や心理面でのケアなどを積極的に行ってまいりたいと考えております。
 あわせて、この児童相談所と協力をし、子どもの養育の援助や相互交流を行う拠点、さらには養育家庭が悩み事を気軽に相談できる仕組みを整備してまいりたいと考えております。

○和田委員 平成十四年度、今の前川局長の答弁のとおり、予算的にも、子ども家庭支援センターの事業補助として三億二千七百万円余が計上されております。平成十三年度が二十九カ所だったものを、十カ所ふやして三十九カ所にしながら、この取り組みの積極的な姿勢をうかがい知ることもできるわけでございます。
 その上で、問題は、そこで働く支援ワーカー、専門相談員の力量の問題なんです。現在配置をされている職員の資格などについては、どのようになっているんでありましょうか。

○前川福祉局長 お尋ねは、いわゆる子ども家庭支援センターのことだと存じますが、これは今お話がありましたとおり、現在働いている職員、この方たちにつきましても、有能な人材を確保したいということで、要件を決めております。例えば、常勤のワーカー、非常勤の専門相談員につきまして、保育士あるいは保健師、教員などの資格を有する、あるいは、そうでなければ、児童に係る相談業務などの実務経験が豊富であることを配置の要件といたしております。

○和田委員 この白書を見ますと、虐待する多くの親は二十代ないし三十代の若い人たちというふうに、この白書ではいっているんです。そこで、子ども家庭支援センター職員の力量などが、二十代、三十代の親の方々の説得なり、ある意味じゃ教育なりに対して、効果を発揮しなければなりません。東京都としては、どのような積極的な支援をこのセンター職員の方々に求めているのでしょうか。

○前川福祉局長 今もお話がありましたが、子ども家庭支援センターが、地域にあって、児童相談所などの専門機関と連携をしながら、児童の虐待問題へ的確に対応していく、それができるためには、お話がありましたとおり、職員が子どもや家族についての幅広い知識であるとか実践的なケースワーク能力、こういったものを高めていくことが必要であろうと考えております。
 そのため、都としましても、平成十四年度から、児童相談所との職員の人事交流であるとか、あるいは児童福祉司等を対象とする専門的な研修へのセンターの職員の参加であるとか、また派遣研修生の受け入れであるとか、そういったさまざまな支援策を講じていきたい、こういうふうに考えております。

○和田委員 また、白書では、虐待をする者の半数以上が、みずから精神的な問題を抱えているということがいわれています。そこでは、加害者になる親に対するケア、それをぜひ強めていく必要があると思うのでありますが、それについてはどのように考えていらっしゃいますか。

○前川福祉局長 虐待の再発を防止するためには、これらの虐待を行った親というのは、自分が虐待をしたという事実を認識していない場合が多いわけでございまして、それをまず認識をさせる。その上で、虐待に至った要因に応じて、適切な助言、指導、それから場合によっては精神医学的な治療も含めた総合的、専門的な対応を行っていく、これが必要であろうと考えております。
 そのため、都では、児童福祉司が継続的に観察、指導を行いながら、必要に応じて心理職員によるカウンセリングをやるとか、あるいはもっと積極的に精神科医による治療を実施する等のことをいたしております。

○和田委員 これで意見にしたいと思うんですが、法ができてから、施行されてから、ちょうど一年ちょっとになったわけですが、ウナギ登りといってもいいくらいに、虐待の被害に遭う子どもたちがふえてきています。
 この白書でも、十五倍にふえた虐待、それから、虐待を受けた児童は千人当たり〇・七人、そして、虐待を受けた子どもの六割は二歳から八歳、一年以上虐待を受けた子どもは全体の四三%、軽度の虐待など比較的軽症の者が全体の五四%、極めて驚くような数字がここの白書の中には出ております。
 要するに、実態はここに込められているわけでありますから、これをどのように解消していくかというのが、平成十四年度、局長にかかってくる大きな使命だろうというふうに私は思うのです。
 その意味で、治療もそうですが、まさに予防的な観点からも、不幸な子どもを出さない、また不幸な親を出さないという意味で、積極的な親のカウンセリングを含めた対応を可及的速やかに手を打っていただきたいということを申し述べて、次の質問に移りたいと思います。
 次は、動物愛護条例に関連をしてお伺いいたしたいと思います。
 今回、東京都動物の保護及び管理に関する条例、これの改正案が愛護及び管理に関する条例という形で出されておりますが、これについて関連をしてお伺いをいたしたいと思うのです。
 私は、平成十二年の十二月十二日の厚生委員会で、この古い、今はまだ古いんでありますけれども、東京都動物の保護及び管理に関する条例に関連をして、質問をさせていただいたことがありますが、それに重ねてはもう申し上げません。今回、この条例にかかわる問題のみに絞ってお伺いをいたしたいと思うのです。
 この東京都動物の保護及び管理に関する条例、改正前ですから、古い名称でありますけれども、今回、改正案として、東京都動物の愛護及び管理に関する条例という形で、第一条を改正するとなっています。それは、旧来は動物の保護というやつを、動物の愛護、保護を愛護に変えるということです。
 それから、一条の最後から二行目、「動物による人の生命、身体及び財産に対する侵害を防止することを目的とする。」という従来の言葉を、身体及び財産に対する侵害を防止し、もって人と動物との調和のとれた共生社会の実現に資することを目的とするというふうに、ただ単に防止から、人と動物の調和のとれた共生社会の実現に資するというふうに、説明というか、中身を濃くされて改正がなされております。
 しかし、ここで私が気になることは、改正部分ではない、その上に、「身体及び財産に対する侵害」、侵すという「侵害を防止し」となっている言葉が気になってなりません。この侵害というのは、まさにある意図を持って悪意を行うというようにとれないわけはありません。
 私は、動物というのは、静かに自然にほうっておけば、人に危害を加えるということは間々ない。クマだとて、おなかがすくから人里に来て襲うわけでありまして、食物が充足されていれば、いたずらに人を襲わないといわれております。したがって、今回のこの条例につきましても、「侵害を防止し」というような、この「侵害」というような用語について、運用上、しかるべき配慮がなされるべきだというふうに思うんでありますけれども、いかがでありましょうか。
〔石原知事「おれは一度犬にかまれそうになったことがあるよ」と呼ぶ〕
〔和田委員「それは知事が変なことをいったからですよ」と呼ぶ〕
〔石原知事「そんなことはないよ。何いってんだよ」と呼ぶ〕

○今村衛生局長 動物が飼い主により適正に飼養されない場合には、人の生命、身体、財産に対する危害や損害を与えることになります。この意味から、侵害の防止は従来から条例の目的の一つに規定しておるものであります。
 一方、条例は、都民の動物愛護精神の高揚を図ることを目的の初めに掲げておりまして、これらをあわせて、動物が命あるものであることを再認識し、人と動物との調和のとれた共生社会の実現を目指すものであるということとご理解を賜りたいと考えております。

○和田委員 たしか、昭和二十五年に狂犬病予防法というのができました。これは確かに、衛生感覚が乏しかったときでもあって、大変それは私どもも恐れをなして、犬に近づかなかった時期も確かにございます。
 しかし、昨今、私たちの周辺を見ますと、お年寄り、体の不自由な人、車いす、電動車いすに乗りながらも、犬を抱えて買い物に行かれるようなふうを皆様方もごらんになることがあると思うのです。まさに動物と人間の交わりの仕方が、旧来の狂犬病予防法のときとは全く変わった形に変貌、変質をしてきている、変容してきているという認識を持たなければいけないと思うのです。
 でありますから、私は、この条例の取り扱いについては、扱い上はしっかり動物との共生に伴った形で、人も動物もともに東京都の政治のもとでは安心して暮らせるというような配慮をぜひ強く求めておきたいというふうに思います。
 さらに、収容した動物の処分に関連してなんですけれども、今回新たに設置される動物愛護推進員という制度がございます。私が十二年のときに指摘したのは、あっても全然機能していないでしょうといったら、機能していませんと、こういうんでありますから、それを当時は認められましたけれども、今回、新しい条例のもとでスタートするときに、積極的にこの動物愛護推進員の方々を生かして、その方々に、動物と人間が共生していく上に出てきている溝とか誤解というものを解くような、そういう働きぶりをぜひお願いしてほしいというふうに思うのでありますが、この動物愛護推進員の方々にどのようなことをお願いし、どのようなことを期待をしていくんでありましょうか。

○今村衛生局長 動物愛護推進員は、動物の愛護及び適正な飼養の推進につきまして、熱意と識見を有する都民のうちから委嘱をするものでありまして、飼い主等に対し、動物の適正な飼養についての助言を行うことなどが役割となっております。
 その活動には都の施策や事業実態の理解が不可欠であり、やむを得ず処分されている動物の実態も含め、動物愛護行政全般にわたる情報を提供してまいりたいと考えております。

○和田委員 動物によっていやされる、そういう心理状態の人や環境の方もいるわけでありますので、私は折に触れて、そういう方々の考えもこういう場を通じてご議論させていただき、できるだけ数多くの皆さんにご理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
 条例が制定された後の動物の取り扱いに、愛情を持って、まさに管理ではなくて、愛護するというような形で東京都が取り組むようなことを強く申し述べて、次に移りたいと思うのです。
 教育行政についてお伺いをいたします。
 さきに行政コストの公開についてお伺いしましたが、今回は学校教育についてお伺いいたしたいと思うのです。
 昨年のこの予算委員会で、私どもの西条庄治議員の質問に対して、横山教育長は、都立高校のコスト意識を伴った学校経営、開かれた学校づくり、情報公開の一層の推進といった観点から、各学校に、そのバランスシート等について作成できるよう検討するというふうに答弁をされておりますが、一年たちました。検討結果はどうなっておりますでしょうか。

○横山教育長 学校ごとのバランスシートの作成につきましては、その意義であるとか、これらも重要ですが、その経営改善に資するという目的、あるいは作成方法等を調査検討するために、昨年の七月に教育庁内に検討組織を設置しまして、検討を開始したところでございます。
 ただ、一方で、財務局におきましても、全庁的な立場から、各局が、所管します事業につきまして、バランスシートを自主的に作成できるよう、事業別バランスシート作成マニュアルの策定を進めておりまして、本年一月に中間報告を発表しますとともに、今後、各局から意見を集約しまして、最終報告を作成していくこととしております。
 都教委としましては、この財務局におきます検討状況も踏まえまして、学校別のバランスシートの作成方法、学校の経営改善に向けた経営分析の手法等につきまして、精力的に検討を行っているところでございます。

○和田委員 進めているというのは、一年ようやくたちましたけれど、まだ進行中でありますが、できるだけ早く公表していただきたい。
 その公表の時期については、いつごろになるのかということと、私どもは、これは生活文化局に関係をしてきますけれども、都立ができるんなら、私学も当然バランスシート等の公開をすべきだろうと思うんです。各校について、おおよそ一億円程度の補助金が交付されているケースもあるわけでございますから、それぞれについて、生文と教育関係から、両方、答弁をお願いいたします。

○横山教育長 今、学校運営に求められておりますコスト意識を持った学校経営、あるいは開かれた学校づくり、さらには、情報公開の一層の推進を図る、こういった観点から、財務局の策定しますマニュアルを踏まえまして、本年末を目途としまして、学校ごとのバランスシートの内容や活用方法などの整備を行いまして、あわせて校種別に、これは普通科高校、工業高校、商業、各種ございますので、校種別に試行校を定めまして、具体的に学校ごとのバランスシートの作成を行ってまいります。
 その後、できる限り早期に全校に拡大しまして、公表するように努めてまいります。

○高橋生活文化局長 私立学校につきましては、経常費補助を初めとする助成が行われていることから、この点からも、みずから積極的に財政状況を公表していくことが大事だと考えており、都としても機会をとらえて指導してきたところでございます。
 また、これまで経常費補助金の交付を受ける学校法人から、毎年度、財務計算書類について提出を求めておりますが、これらにつきましても、東京都公文書開示審査会の判断を踏まえ、情報公開条例に基づいて、適正に開示を実施しておるものでございます。
 なお、私立学校に対する補助金につきましては、公認会計士または監査法人による財務計算書類の外部監査が義務づけられ、また、地方自治法に基づく監査委員による監査も実施されており、適正な執行が確保されているものと考えております。
 監査委員による監査結果については、都の公報及びインターネット等でも広く都民に公開しているところでございます。

○和田委員 学校法人は学校法人で、自主的に判断すべきだということでありますけれども、やはり私学助成の評価項目の中に、財政の公開という一項を入れておくべきだというふうに思うんでありますが、各学校の財務状況の公開を強く求めて、局長の答弁をお願いいたしたいと思います。

○高橋生活文化局長 財務状況を初めといたします経営情報の提供につきましては、社会の大きな流れともなっており、私立学校につきましても、その公共性にかんがみ、都民の理解を得るために、みずから積極的に財務状況などを公表していくことが基本であると考えております。
 また、そうした中で、補助金による誘導策で公表を促すことも一つの方策ではありますが、現在、国の規制緩和推進委員会の最終見解を受け、私立大学における財務状況の公開のため、その具体的な内容、方法等についても検討がなされており、都におきましても、その動向も注視しながら積極的な対応をしてまいりたいと考えております。

○和田委員 次に、環境負荷の少ない都市づくりについて、これは石原知事にお伺いいたします。
 二月二十六日に、政府は、自動車NOx・PM法を施行するために、車種規制の対象となる自動車の指定、車種規制の経過措置等について定める政令を出しております。しかし、この内容は、知事が懸念しておりましたとおり、二年半も先送りしてしまったわけで、私どもとすると、最低の内容だというふうにいわざるを得ません。
 特に、我が会派は、ヒートアイランド対策について強く推進を求めてきたところでありますが、国が取り組むべき課題というよりも、都市独自の問題であって、東京都が責任を持って取り組んでいかなければならないというふうに思うんです。
 私たち都議会民主党は、馬場、小林、私という三人で、オランダの環境問題を、過般、視察してまいりましたけれども、それを踏まえても、やはりヒートアイランド対策は可及的速やかに行うべき東京都の喫緊の課題だというふうに思うんであります。
 それで、一局だけにとどまらず、総合的にこれは取り組んでいく課題だと思うんでありますが、石原知事の見解をお伺いいたしたいと思います。

○石原知事 まさにおっしゃるとおりでありまして、これは東京に限って申しましても、環境局だけの担当の問題ではない、ラインをまたいで労働経済局、生活文化局、建設あるいは総務、都市計画といった、各部局が力を合わせて対処すべき問題だと思っております。
 いずれにしろ、近代都市、大都市の利便性、快適性を支えるための膨大なエネルギーの消費が、こういった事態をもたらしているわけでありまして、これに対処するに環境局プロパーの問題でないと。文明全体のもたらした一つの弊害であるという認識の上に、ラインをまたいで多極的に、複合的に対処しなくてはならぬと思っております。

○和田委員 単一の局ではなく、複合的、総合的な対応をという石原知事の今の答弁を私は期待をしながら、その具体的な実現方を各局に求めてまいりたいと思うんです。
 次は、森林対策に入りたいと思うんです。
 多摩の森林再生計画が発表されまして、多摩の人工林一万八千ヘクタールを対象にした間伐材、間伐を実施して杉やヒノキといった針葉樹、それと広葉樹がまじり合った森を再生しようというふうに計画されております。
 私どもは、このような複合林化を積極的に進めるべきだというふうに思っているわけでございますが、ただ、しかし、私有林である人工林に公費を投入していいのかどうかな、しかし、花粉症対策以外にも公益的な効果が見込まれないのではないかなというようなそういう見解を持つんでありますけれども、いかがでしょうか。

○赤星環境局長 本来、森林は、水源の涵養、土砂の流出防止、二酸化炭素の固定によります地球温暖化の防止、野生動植物の生息環境の提供、観光レクリエーションの場の提供など、さまざまな機能を有しております。
 林業の衰退に伴いまして、荒廃の進む人工林におきましては、森林の持ちますこのような公益的機能が損なわれております。多摩の森林再生計画では、荒廃した人工林を計画的に間伐いたしまして、混交林化することにより、花粉症対策だけではなく、森林の持つ公益的機能を回復しようとするものでございます。

○和田委員 森の回復というのは、大変大事なことでありますので、今の姿勢をしっかり堅持して進めてほしいと思うんです。
 次は、花粉症の問題なんです。
 私も、これは関心がありまして、過般、林業試験場のマレイン酸注入現場を見てまいりました。二年、三年、十年、二十年木に注射をしながら、花粉の出ないように成長抑制剤を注射するわけなんですが、これについての結果が先ほど出ました。しかし、これを、より幅広く、効果的に実行していくためには、どういうふうな具体的策を用意されているんでありましょうか、お答えください。

○浪越産業労働局長 花粉症の対策としては、スギ花粉の発生を抑制するため、花粉の少ない杉品種への植えかえや、広葉樹への転換を進めることが効果的でございます。
 都は、これまで花粉の少ない杉の種子を苗木生産者に提供しております。現在、年間一万本の苗木を生産しております。また、引き続き林業試験場において、マレイン酸による花粉抑制の各種実証試験を行ってまいりたいと考えております。
 こうしたことを通じまして、スギ花粉の発生をできるだけ抑制してまいりたいと考えております。

○和田委員 杉に罪はないんです。すべて人間が横暴でありまして、杉はその被害者といってもいいくらいに私は思うんですが、当面、三千億ともいわれる花粉症の医療費とか迷惑料を考えると、やはり一番この近郊で杉を持っている東京都が、保有している東京都が責任を果たさなきゃならぬだろうというふうに思っておりますが、しかし、総合的にこれも対策を練っていただきたいと思います。
 次に、雇用対策に触れたいと思うんです。ワークシェアリングであります。
 これは、過般、知事が記者会見で余りいいことをおっしゃっていなかったんでありますけれども、あえて私はこれを質問いたしたいと思うんです。知事にではないですから、知事は聞いていてください。
 私たちは、さきに申し上げたオランダ、イギリスへ視察に行きましたが、そのときの大きなメインテーマは、そのワークシェアリングで、実際どういうふうなことをやっているのか、現場で見ようよということもあって、行ってまいりました。
 そこで、いろんな試みがありました。自治体の中でやっているのもあれば、民間もありました。男女がそれぞれ一日じゃなくて、七・五、七・五ずつ分け合ってやっていこうとか、いろいろな手法を見てきたわけでありますが、ワークシェアリングのこれだというものはないんです。みんなが試行錯誤でやっている。それがオランダモデルであったり、フランスであったり、ドイツであったりという形でありますから、私は、あえていえば、東京モデルがあっていいし、日本モデルがあっていい。そういう知恵の出し合いで、困っている雇用やあるいは財政をどうするかというのが、このワークシェアリングのいいところでありますから、その既成概念にとらわれずに、石原流のワークシェアリングを編み出せばいい、そういうふうに私は思っているわけでございます。
 さて、そこで、自治体の中でワークシェアリングというものも、やはり考えていくべきだというふうに私は思っているんでありますが、どのような見解をお持ちでありましょうか、お答えください。

○大関総務局長 ほかの一部の自治体が地域の雇用対策の一環として、超過勤務を縮減して、非常勤職員の雇用を行うなどの方策を始めていることは承知しております。
 しかしながら、東京都は、現在、財政再建を達成するための内部努力に全庁を挙げて取り組んでいるところでございまして、ほかの自治体で行っているような、非常勤職員や臨時職員の雇用をふやすということを、現時点で直ちに実施することは難しい問題があろうかと考えております。
 なお、東京都は、これまで毎年職員の定数削減を実施してきておりますが、その過程で、非常勤職員等の雇用や民間委託の活用などを行っております。これらの方策によっても、社会的に見れば雇用の創出をする側面があろうかと考えております。

○和田委員 ですから、いろんなやり方を称してワークシェアリングといっているわけでございますから、こんなものなんていうのはないんですね。それぞれが限られた仕事なり、労働、職場というものを分け合うというところがワークシェアリングでありますから、それをどういうふうに東京都は、今の局長のように、今までやってきたこともワークシェアリングだといえば、いえないわけないわけでありますから、そういう、お互いが限られた職場を分け合って努力し合っていく、そういう姿勢、理念というものがあれば、立派なワークシェアリングでありますから、お互いの労働力を守る、お互いの立場を守る、気にし合うということで済むわけでありますので、その姿勢を忘れずに、具体的にぜひワークシェアリングの理解を深めていただきたいというふうに思うんです。
 次に、多摩ニュータウンの開発について伺います。
 多摩ニュータウンが収束の段階を迎えてまいりました。これは大変ご苦労だったと思うんです。広さは、私の北区の約一・五倍もある三千ヘクタールという、そういう広さでございます。
 そこで、お伺いするんでありますが、都市基盤整備の状況は、大体もう私どもも、過般、視察をしてまいりましたからわかりますんで、今後、生活をする上で必要となるソフト面の対応が重要だろうと思うんです。多摩ニュータウンは四つの市で構成されておりますから、多摩ニュータウン市民ともいうべきコミュニティが形成されているわけですけれども、都として、今後、地元市民とどのように連携をとり、支援をしていくのか、このことについてお伺いをいたします。

○石河多摩都市整備本部長 昨年十一月に、地元四市が協力して、共通する課題の解決を図るために、多摩ニュータウンまちづくり協議会が発足をいたしました。ここでは、住民の一体感を高めるために、インターネットによる生活情報の提供や、各地の図書館、体育館の相互利用なども進めております。
 一方、ニュータウンでは、市民団体の数も多く、行政区域を超えた活動が活発に行われておりまして、四市にまたがり、また常に新たな住民を迎えているニュータウンにとっては、このような活動は重要であります。したがって、良好なコミュニティを形成するためにも、地元市と連携して、その活動を支援してまいります。

○和田委員 事業が収束するとなると、少しく寂しくなるんでありますけれど、まだまだ、私は、あそこ、同僚議員と一緒に最近見てまいりましたけれども、春先だったせいだか、極めて明るい雰囲気でありました。道路なども、地元市の方との協力で、路面補修とか何かしておりましたけれども、ああいうものが整備されれば、極めて快適な住環境だろうと私は思うんです。ですから、事を急がずに、地域のその四市とも相談しながら、しかし、まだ大事な仕事も残っていらっしゃるわけでありますから、それをしっかり果たしていただければなというふうに思うわけでございます。
 それから、真ん中が緑道に残っている道などもまだありますけれども、あれなども早急に工事をしなければならない残された課題だろうと思いますから、ああいう課題も、地域の声を聞きながら、ぜひ完遂をしていただきたいということを要望いたしておきます。
 最後になりますが、治安対策についてお伺いをいたします。
 ある意味で、これは人権の問題というふうにとらえていただいていいと思うんです。都民生活の安全と平和を保持し続ける、つまり治安を守るということについての根本というのは、起きた犯罪や災害に適切に対応すること以前に、犯罪を発生させない、予防だというふうに思っています。
 私は、基本的に性善説をとるようなことは、しばしば多いんでありますけれども、こういう発想にともすると陥りやすい自分自身の欠点もわかりながら、性善説のよさも自覚しているというふうに思っているわけであります。
 私どもは、石原知事に先ほどお渡し申し上げました、これは新聞記事ですけれど、「フィナンシャル・タイムズ」と、それから「デーリー・メール」なんでありますけれども、たまたま二月五日に私たちはヒースローをたつわけでありますが、その前日の四日に、ブランケット、イギリスの内務大臣が、こんなことを発表しているという記事が、これは「フィナンシャル・タイムズ」なんですけれども、そのときのものですが、これを切り取って飛行機の中で持って帰ってきましたが、載っていたんです。
 それは、パートタイムプリズンという耳なれない言葉でありました。パートタイムのプリズン、いわゆるパートタイムの刑務所と訳したらいいんでしょうか。それは、なぜこんなことになるかな、知事ごらんになったと思うんですけれども、この「フィナンシャル・タイムズ」だけを読むと、収容する人員は六万三千五百人しかないんだけれど、今年度末には七万三千人犯罪者が入ってくるんだと。それで、一年間に三万三千ポンド必要となってくるんで、どうしても刑務所に入れているわけにいかないので、週末だとか、そういうときに、軽微な犯罪の方は自宅に帰しちゃう。そして、刑務所と家庭の中間の、帰り切る前に行ったり来たりするというような、そういうことによって社会的に順化していくことを推進してはどうだというようなことを、イギリスのブランケット内務大臣が提唱したんです。これが日本に届いて、ロイターがお届けした日本の新聞記事にも載ったという経緯がございます。
 私自身は、日本に帰ってきて、五十嵐二葉さんという弁護士さんと連絡をとったんでありますが、彼女いわく、彼女は欧米のこの種の留置場や刑務所のことに詳しい方でありまして、それが向こうでは当たり前なんですよ、代用監獄などというのは日本だけですよというようなことをいわれまして、もっともっと、犯罪を一たん犯した方でも、社会復帰などの可能性をやわらかく見詰めてやるべきではないのかなというようなことをおっしゃっておりました。
 こんなふうな、パートタイムプリズンというようなそういう発想について、当局はどのような、人権的な立場から、お考えをお持ちでしょうか。

○大関総務局長 総務局が答えるかどうか、よく、適切であるかわかりませんけれども、東京都では、その他属せざることは総務局ということなものですから、私の方で答えさせていただきます。
 和田副委員長、さすがに性善説にお立ちの立場でご質問なものですから、ちょっと戸惑いもございますけれども、犯罪の被害者、それから被疑者、それからその家族、この方々の人権が侵害されるケース、これは多々あることはよく承知しております。すべての人の人権、これにつきましては、それぞれで大切に守られなければならないと、このように思います。
 いずれにしましても、それぞれの場面で適切に対処していく課題であろうと思っております。

○和田委員 人権の問題から、私どもは、かつてゲイとかレズビアンの人とか、性同一性障害の人なんかの声も聞いたことがあるんでありますけれども、やはり平等に聞いてさしあげるということが大事だろうと思うんです。レッテルを張ったり、烙印を押したりするんじゃなくて、人間というのは、鬼平犯科帳のこのせりふ集を持ってきたんですけれども、池波正太郎さん、鬼平犯科帳の長谷川平蔵にこんなことをいわしているんですよ。「人間ていう生き物は、悪いことをしながらいいこともするし、人の嫌われることをしながらも、いつもいつも人に好かれたいと思っている」、あるいは「人間というやつ、遊びながら働く生き物さ。善事を行いつつ、知らぬうちに悪事をやってのける。悪事を働きつつ、知らず知らず善事を楽しむ。これが人間だわさ」と、こういうふうに、池波さんは鬼平犯科帳をして、いわしめているんでありますが、このようなことも含めて、総務局長はどのようにお考えになりますか。

○大関総務局長 都民だれしもが、安全に、安心して暮らせるまちとするため、治安の維持を含め、人間の存在や尊厳が脅かされることなく、すべての都民の基本的人権が守られる社会をつくっていくことが重要であると考えております。

○比留間副委員長 和田宗春副委員長の発言は終わりました。

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