東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後一時三分開議

○星野委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示いたします。さらに振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑持ち時間はお守り願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭にご答弁されるようお願いいたします。
 なお、各局長に申し上げます。
 発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 古賀俊昭理事の発言を許します。

○古賀委員 私は、ことしの新年会のあいさつなどで必ず述べていることがあります。ことしは、平成十四年は、我が国の再生を願う者にとっては、銘記しなければならない節目の年だからです。
 さかのぼることちょうど五十年前、昭和二十七年四月二十八日、日本はサンフランシスコ講和条約の発効をもって、六年八カ月に及んだ屈辱の被占領から脱して、再び日本は主権独立国家となったのであります。昭和二十年八月から昭和二十七年四月まで、およそ七年間は、軍事占領という戦争状態が継続していたわけで、これをもって我が国は、旧敵国であるアメリカ、イギリスなどを初め、連合国の間で真の終戦を実現させました。つまり、大東亜戦争の終戦の日は昭和二十七年四月二十八日であって、昭和二十年八月十五日ではありません。八月十五日は、ポツダム宣言を受諾して、一切の戦闘を停止する旨、玉音放送をもってこれが発せられ、終戦の手続が開始されたその日であります。
 戦争に勝ったことをおごったアメリカは、徹底的に日本を骨抜きにする占領政策を容赦なく実行いたしました。文明に逆行した復讐の儀式でしかない東京裁判を強要し、我が国を犯罪国家とする、いわゆる東京裁判史観なるものをつくり上げました。また、メード・イン・アメリカの憲法まで押しつけたわけです。
 現在我が国を覆っている政治経済はもちろんのこと、あらゆる分野で噴き出している深刻な問題、不祥事、数々あるわけですが、その背景には、この戦後体制が垂れ流す害毒があると見て至当であろうと思います。
 去る二月に来日をしたブッシュ・アメリカ大統領並びに、これは夫妻で参りましたけれども、明治神宮を表敬参拝した折にも、小泉首相は境内に入りながら参拝はしないという情けなさ。これでは、ご祭神にも大統領にも礼を欠くということは歴然としているわけであります。
 自国の歴史の解釈権まで外国に奪われて、教科書にまで口出しされる無抵抗の状態、同胞が暴力により拉致、誘拐されても、これを同胞として救出しようとしない政府、ロケット砲まで発射をした武装工作船の引き揚げも決定できないなど、やっていることといえば、宗男と眞紀子のどたばた劇。この漫才を大まじめにやっているというのが、こっけいな今の国会の姿でもあります。
 これらは、五十年前に国家主権を回復した重大な歴史の事実を確と意識しなかったところに原因があって、そのツケが今回ってきていると見るべきではないかと思います。国家の名誉と国民の生存を危うくする戦後体制の克服と打破、これをもって混迷を脱出する、これが残された我が国の唯一の道ではないかと思います。
 知事は、所信表明でもいろいろ述べておられますけれども、私は、この予算特別委員会の冒頭に当たって、知事が国家独立の節目という意識をお持ちなのかどうか、この点まずお尋ねをいたします。

○石原知事 残念ながら私は、日本が独立した国家という意識を依然として持ち合わすことができずにおります。古賀さんがご指摘のサンフランシスコ講和条約、あれをもって実質的には日本は独立を回復したわけでありますが、建国以来の国と国との間の戦争の初めての敗北という処女体験が余りに痛烈であったためか、自分を取り戻すことができぬままに、講和条約の後も過ごしてきたということが否めないと思います。
 たびたびいっていることでありますけれども、トインビーが有名な「歴史の研究」という本の中で、いかなる強大な国家も、衰弱もし、場合によっては消滅もする、その衰弱、消滅の原因はいろいろあるが、すべて不可逆的なものではない。ただ、一番厄介な、国家が崩壊にもつながる要因は、自分で自分のことが決めることもできなくなったという、そういう民族、国家というのは、ある場合には、非常に短期間に崩壊し、消滅もするといっていますけど、私は、今日の日本のていたらくは、そんなような気がしてならない。
 おっしゃいますように、あの講和条約を結んだ後、アメリカがあの憲法をつくって押しつけたときには、日本がいずれ講和条約を結ぶまでのことだということで、なお憲法の改定条項まで設けましたが、それは占領下でそういうことは許さないという姿勢でありましたけれども、しかし、講和条約が結ばれた後も、私たちは、あの憲法の歴史的な正当性のなさというものを互いに認め合うことなく来たと思います。
 私は、国会議員をしている間、何度となく、憲法改正も結構だが、しかし、この歴史的な正当性というものを一回議会で否定したらどうだと。それは何も、要するに、五十一対四十九で済むことでありますから、そこから新しい憲法に関する議論が始まるべきだということを申しましたが、残念ながら、端緒につくまでもなく私は議員をやめましたけれども。
 そういう意味で私は、体裁の上では、日本は独立国家かもしれませんが、その実態というものは、自分で自分のことを決めることのない、いつもワシントンをうかがい、北京をうかがい、場合によっては平壌をうかがう、国家の体をなさない国家でしかないと、いまだに非常に口惜しいけれども、そういう認識を持っております。

○古賀委員 私も同感です。
 去る三月三日、桃の節句、ひな祭りの日に、靖国神社で、「英霊を慰め日本を守る女性たちの集い」というのが開かれました。私も、それを、女性ではありませんけれども、案内がありましたので、遠巻きにして参加をいたしました。これは、元インドネシア大統領の夫人でありましたデヴィ・スカルノさん、それから女優の朝丘雪路さんや水沢アキさん、また、作家で女性経営者の田村順子さんなどが中心となって開かれた集いということです。
 ここでは、歌手の清水楊子さんが「海ゆかば」を高らかに歌われて、朝丘雪路さんは「さくらさくら」の曲に合わせて大変流麗な舞を披露されました。この集会で述べたデヴィ・スカルノさんのあいさつが、私は非常に印象に残ったんです。ちょっと速く読んで紹介いたします。
 四十年の海外生活から二年前に日本に戻りました。いろいろ大変なショックを受けました。まず、倫理観のなさと道徳の低下、それに加えて国旗、国歌、教科書、放送用語等、なぜ問題にならないのか、それすら理解に苦しみました。日本の威厳はどこに行ってしまったのでしょうか。中国や韓国からとやかくいわれる筋合いはありません。日本には日本の歴史、文化、信仰、習慣、伝統、日本人の精神がある、となぜはねつけないのでしょうか。靖国は日本の心です。靖国は日本国の失った威厳です。スカルノ大統領は、その昔、私にこういいました。マッカーサー元帥は真の征服者である。日本を物理的に破壊しただけではなく、その精神をも破壊してしまった。日本は何と情けない国になってしまったのでしょうか。アメリカの大統領が明治神宮に参拝するというのに、時の首相は行かない。終戦記念の日に、そこに首相が参拝しなければ意味がないのに行かない。謝罪外交ばかりの腑抜け政治家。まるで去勢された男どものよう。愛する祖国のため、日本の心、靖国のため、私たち女性は立ち上がりました。
 こういう、参加している我々も、すっかり聞きほれてしまうようなあいさつをされたんです。私は、当日の、女性であるということで、どういう集会になるかというのはよくわかりませんでしたけれども、着物姿の女性の皆さんが、靖国神社の森に溶け込んで、まるで一幅の絵のように大変すばらしい集会であったというふうに思いました。日本の女性も、やっぱり優しさ、強さ、そういう美しさというものをまだまだ持っている、人に伝えたい価値はまだたくさんあるというふうに思ったわけです。
 真の終戦から、ことしは五十年だということを申し上げました。私たちは、女性の声が上がったことは、単なるこの年、偶然であったとは私は思いたくないのです。石原知事も、我々も男性ですから、施政方針の中で述べられましたように、我が国は今、最後の分岐点に立たされているというふうに述べられました。まさに背水の陣の心構えを持って、ことし、平成十四年、日本と東京のために仕事をしなければならないというふうに思うわけです。
 いろいろまだ議論はしたいんですけれども、これだけではありませんので、具体的に予算の件についてお尋ねをしてまいります。
 知事は、今回の予算を、東京が直面する危機に対応する予算と位置づけて、予算の着眼点の一つとして、東京圏を再生する、都民生活の不安を解消するための優先課題に財源を重点的に振り向け、積極的に対応したといっています。
 まず、首都圏の再生についてお聞きいたします。
 新しい時代における我が国の活力の源泉である、都市の魅力と国際競争力を高めることは極めて重要であり、都においても昨年、十兆円プロジェクトを国に対して提案し、その実現を強く働きかけてきたところであります。
 こうした動きに対応して、国においても都市再生本部が設置をされ、これまで三次にわたって都市再生プロジェクトを打ち出しました。国の都市再生関連施策との連携を図りつつ、東京都では、平成十四年度においてどのような首都再生のための施策に取り組んでいくのか、説明を願います。

○田原知事本部長 東京都が提案をいたしました首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトが、国の都市再生本部のプロジェクト選定や平成十四年度政府予算案などで実を結びまして、焦眉の急となっております首都圏の再生がようやく動き始めたところでございます。
 今後、首都圏再生のため、三環状道路の整備、それから空港機能の強化、基幹的広域防災拠点の整備やごみゼロ型都市への再構築などに集中的、重点的な投資が向けられるよう国に働きかけてまいります。
 都といたしましても、平成十四年度の重要施策の選定に当たりまして、六つの政策課題の一つとして、首都圏の再生と国際競争力の回復を掲げたところでありまして、都市再生に関連をいたします幹線道路や公共交通網の整備、交通渋滞の解消、活力と魅力のある市街地の形成などを精力的に推進をしてまいります。

○古賀委員 幹線道路や公共交通網の整備、市街地の開発、また空港や港湾機能の充実など、東京の都市基盤整備を着実に推進することは、産業の活性化や国際競争力の向上のために不可欠です。
 こうした都市基盤の整備について、大型開発であるからむだであると決めつける意見も相変わらず耳にしますが、これは誤っています。これからの都市基盤の整備は、都民の生活環境の質を高める、それから快適な都市生活をつくり出す、次の世代に引き渡す貴重な財産です。今後とも、その着実な整備を進めていかなければなりません。
 さて、雇用情勢は一段と厳しさを増しております。今月一日に発表されたことし一月の完全失業率は五・三%、依然として高い水準で推移しています。特に、家計の担い手である世帯主の失業者は九十八万人にも達しており、極めて深刻な状況です。
 また、中小企業が置かれている状況も深刻です。中小企業は東京の産業の基盤となるものであり、東京の活力の源泉です。しかし、長期にわたる景気の低迷により、その経営は悪化し、倒産件数も増加しています。
 十四年度予算では、策定に先立ち、重要施策を選定し、こうした首都圏再生や雇用、中小企業対策を初め、都が緊急に取り組まなければならない政策課題には財源を優先的に投入するとしています。
 では、平成十四年度では、重要施策に対してどのような予算措置をとったのか、説明願います。

○安樂財務局長 十四年度予算では、都税収入が前年度よりも三千六百億円も減少する大変厳しい状況にあったことから、当然、歳出全体を厳しく抑制しております。しかし、東京の再生と都民生活の向上を図るための、いわゆる重要施策には財源を重点的に振り向け、一般会計で見ますと、前年度に比べて二八%増の三千二百四億円を投入しております。この中には、効果満点道路事業、暮らしの福祉インフラ緊急整備など、少ない経費でも大きな効果を上げることのできる新規施策を三十四項目、二百四十一億円盛り込んでおります。

○古賀委員 都税収入が大幅に落ち込む苦しい財政状況の中にありますが、来年度予算では、首都圏を再生する、都民生活の不安解消のための優先課題に財源を重点的に振り向ける、東京が直面する危機に対応しているというふうに認識をいたします。
 次いで、予算の二つ目の着眼点は、財政再建の取り組みです。
 都税収入が大幅に落ち込み、財政再建半ばの都財政は、このまま手をこまねいていれば、先行き破綻を免れない危機的な事態に直面しています。こうした中、来年度予算では、財政再建推進プランの三年目の予算として、引き続き徹底した内部努力や施策の見直し、再構築に取り組んでいると思います。
 そこで、プランに基づく定数削減計画の推進状況でありますが、平成十一年七月に策定された財政再建推進プランでは、内部努力のさらなる徹底を、財政再建を達成するための具体的方策として位置づけ、その内部努力の大きな柱として、数値目標を示し、職員定数の削減計画を掲げています。その計画の内容は、平成十二年度から平成十五年度までの四年間で五千人の定数削減を実施するというものです。
 また、平成十二年十二月に都が発表した都政改革ビジョンⅠでは、都政改革を実現するため、効率的、効果的な執行体制を整備し、都民サービスの向上を図るという方針が策定されました。その中で、市区町村、民間企業との役割分担や事務事業の再構築を行うなどにより、職員定数が見直されることは、効率的、効果的な執行体制を実現するためにも必要不可欠であると思います。このような観点から、定数削減計画の達成状況に注目しています。
 そこで、この計画の三年目である平成十四年度における定数削減の進捗状況について伺います。

○大関総務局長 平成十四年度は、財政再建推進プランの削減計画を早期に実現するため、これまでにも増して徹底した事務事業の見直しを行うことなどによりまして、都全体で千四百十七人の定数削減を実施いたしました。この結果、平成十二年度から十五年度までの四年間で五千人を削減する計画に対しまして、三年間で九七%に当たる四千八百三十四人を削減し、計画を一年前倒しでほぼ達成することができました。

○古賀委員 三年目にして計画を一年前倒しし、ほぼ達成するという見直しを実施したことに対しては評価を惜しみません。しかし、経済状況は、企業の倒産が相次ぎ、失業者数が引き続き増加、先行きも大きな不安が残されています。また、都財政は依然として不安定な状況にあります。このような現状を踏まえますと、内部努力のなお一層の徹底が求められます。さらなる職員定数の見直しが必要不可欠です。財政再建推進プランはあと一年残しておりますが、今後の職員定数削減に対する見解を求めます。

○大関総務局長 現下の極めて厳しい経済環境と都財政の状況を踏まえますと、徹底した内部努力が求められておりまして、その大きな柱として、職員定数の見直しを行うことが必要不可欠であると考えております。
 今後、効率的、効果的な執行体制を実現して都政改革を推進していくためにも、財政再建推進プランの削減計画を確実に達成するとともに、引き続き厳しい職員定数の見直しを実施していく必要があると考えております。

○古賀委員 次に、監理団体の改革です。
 まず、平成十二年十一月に出された、現在五十八あります監理団体改革実施計画の進捗状況ですが、改革の柱は団体の統廃合、これは決まっています。間違いなくできるのか、お答えください。

○大関総務局長 監理団体改革実施計画では、団体の設立趣旨にまでさかのぼった抜本的な見直しを行っておりまして、統合の必要性のある団体につきましては、計画的に団体を統廃合することにしております。
 平成十四年度当初に予定しております株式会社首都圏建設資源高度化センターと株式会社沿岸環境開発資源利用センターの統合など三件につきましては、いずれも計画どおり統廃合等ができる見込みでございまして、今後とも実施計画の着実な実現に努めてまいります。

○古賀委員 いつも同じようなやりとりをしているのですが、必ず取り組んでください。
 計画では、監理団体への財政支出も見直すということになっています。状況はどうですか。

○大関総務局長 監理団体改革実施計画では、団体に対する都財政支出を、平成十一年度比で十五年度までに七百二十億円削減することとしております。平成十四年度予算案では、既に都財政支出を七百十九億円削減しておりまして、計画をほぼ一年前倒しで達成できる見込みでございます。
 今後とも、都財政支出のさらなる削減が図れるよう、外部委託の推進、競争性の導入、人事・給与制度の見直しなど、団体経営の効率化に取り組んでまいります。

○古賀委員 どんどん行きます。監理団体の役員報酬について伺います。
 都の職員の給与の削減の問題が、今定例会の大きな焦点、論点になっています。まだ何も伝わってきません。そうした中、五十八団体の常勤役員は現在百三十二人います。そのうち九十人が東京都の退職者となっています。この退職者役員の今年度の年収は、最高千八百万円から六百万円まで、平均でとりますと千三百万円となります。この役員の報酬額については、第二の職場です。納税者、都民の理解は得られないのではないか。
 監理団体の役員報酬は、十四年度も引き続き五%の削減を継続するのか、また、この際、思い切って役員報酬基準の抜本的な見直しに着手すべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○大関総務局長 監理団体の役員報酬につきましては、平成十二、十三年度の時限措置といたしまして報酬の五%削減を実施しておりますけれども、東京都といたしましては、現下の厳しい状況にかんがみ、引き続き平成十四年度も、報酬の五%削減を各団体に要請しております。これに加えて、十四年度からは、団体の経営評価の結果いかんでは、役員報酬がさらに削減されることとなります。
 しかし、現在の役員報酬基準そのものを再検証すべき時期に来ていることはご指摘のとおりだと思っております。平成十五年度の導入を目途に、役員報酬基準の見直しに着手してまいります。

○古賀委員 はっきり十五年度から見直すというふうに、報酬基準、もうここで決まったわけですから、準備をしてください。
 次に、施策の見直しです。
 財政の構造改革を着実に推進していくためには、既存のすべての施策について、聖域なく、また不断の見直しを行っていくことが不可欠です。平成十四年度予算では、歳出が前年度に比べて四・八%の減となっていますが、施策の見直しに取り組んだ結果、このうち、先ほど答弁のあった重要施策を除いて経常経費と投資的経費はどの程度減っているのか、お答えください。

○安樂財務局長 十四年度予算では、ただいまお話がありました、すべての施策について見直しを行いました。その結果、シーリングの枠外といたしました重要施策経費と給与関係費を除きますと、経常経費と投資的経費の合計では、前年度に比べて七・六%の減となっております。

○古賀委員 施策の見直しによる事業廃止などは、これまで行ってきた事業の終了という、ある意味では痛みを伴うことが場合によってはある。しかし、当然のことではありますが、施策に振り向けることができる財源には限りがあります。社会経済状況が激しく変化する中、行政が提供するサービスも、限りある財源を有効に活用できるよう、常に見直していかなければなりません。
 財政再建推進プランに基づき行ってきた施策の見直しは、その取り組みを通じて、新たな都民の期待に的確にこたえていくものであります。したがって、事業を廃止するから何でも反対であるといった姿勢に対しては、都政の将来を考えないものとして強く疑問を抱きます。
 続いて、受益者負担の適正化についてです。
 プランに基づく受益者負担の適正化の取り組みは、その達成状況が低いものとなっていることは十分承知しております。経済情勢が厳しい中、こうした手数料、それから使用料の改定を行うために、都民の理解を十分得ていく必要があります。
 今回は、三十四条例、規則の使用料、手数料の改定を行うということになっていますが、基本的な考え方を聞かせてください。

○安樂財務局長 使用料、手数料は、サービスと受益が明確に対応し、その受益者が特定されるような行政サービスについて、負担の公平を図る見地から、サービスの提供に直接必要な経費を原価として利用者に負担していただくことを基本的な考え方としております。
 このために、原価と現在の使用料、手数料との間に乖離が生じているものについては、原価に近づけるように改定していく必要があり、これまで三年ごとの見直しを行ってきたところであります。
 十四年度も、こうした基本的な考え方に立ちまして、三十四の条例、規則について、料金の改定や新設を行うことといたしました。具体的な料金の額は、原価を基本に置きながら、急激な都民負担の増とならないように改定率を一・五倍以内とし、国や他団体、類似施設の料金等も勘案して設定したものであります。

○古賀委員 行政サービスを提供するための費用である原価に基づいて改定を行うことは、当然です。
 それでは、今回、こうした原価を踏まえて改定を行ったものはどのような状況にあるのか、幾つか代表例を挙げて説明してください。

○安樂財務局長 今回の使用料、手数料の改定の中で、現在の料金が原価より低くなっているために料金などを引き上げたものは、道路占用料やユースホステルの宿泊料など十五条例、規則となっております。例といたしましては、東京国際ユースホステル宿泊料では、原価である施設の運営費との比較を行い、おおむね一割の引き上げを行っております。
 一方、近年の連続する土地価格の低下などによりまして原価が現在の料金を下回ったために料金を値下げするものといたしまして、霊園の条例などがございます。例といたしまして、多磨霊園の一般埋蔵施設使用料では一割程度の値下げを行うこととしております。

○古賀委員 使用料、手数料については、特定の利用者に受益が帰属するサービスの費用を基本としております。今回値下げになるものも含めて、その考え方は一応踏襲されているということで了としたいと思います。
 これまで、財政再建推進プランに基づく主な取り組みについて伺いました。こうした取り組みによって、プランの目標はどのくらい達成されたのか、それから達成状況を、内部努力、施策の見直し、歳入確保、税財政制度の改善の四つの柱ごとに、簡単で結構ですから示してください。

○安樂財務局長 財政再建推進プランに掲げる財源確保の目標額は六千三百億円でございます。十四年度までの取り組みによりまして五千七十五億円を確保し、達成率は八一%となっております。
 達成状況をプランの四つの柱ごとに申し上げますと、職員定数の削減などの内部努力は八〇%、施策の見直しが八三%、徴税努力などの歳入確保が一三二%、税財政制度の改善では六一%となっております。

○古賀委員 この計画の目標年度である十五年度に、あと一年を残しております。十四年度までの達成率が八割、これまでの取り組みが着実に成果を上げていると判断してもいいと思います。しかしながら、残りの一年、確実に目標が達成できるか、これはまた見守らなければなりません。
 そこで、都の歳入の根幹をなしております都税収入について、現下の景気の沈滞の影響を受けて、プラン策定時の見通しに比べどのような状況になっているか、お答えください。

○安樂財務局長 十四年度の都税収入は、前年度を三千六百億円下回る四兆三百四十二億円を見込んでおりますが、財政再建推進プランの数字と比較するために、ここから外形標準課税分の一千三十五億円と徴税努力分の六百八十億円を差し引きますと、三兆八千六百二十七億円となります。これと財政再建推進プランにおける十四年度見通し三兆九千九百億円と比較いたしますと、税収は、推進プランの見込みよりも約一千三百億円下回ることになります。
 また、再来年でありますが、十五年度の都税収入も、十四年度の国の法人税や所得税の動向などから推計いたしまして三兆七千八百億円程度に減少する見込みでありまして、財政再建推進プランの見通し四兆七百億円に対しましては約二千九百億円下回ることになります。
 このように、推進プラン策定時に比べ、かなり厳しい状況となっております。

○古賀委員 都財政は、いうまでもなく税収に大きく依存しているわけです。都税収入の動向を十分注視していく必要があり、また都税収入以外にも、税財政制度の改善では達成率が六割としていますが、内容を見ますと、今お話がありました外形標準課税によるものがほとんどなのです。税源移譲など抜本的な地方税財政制度の見直しは進んでいないのです。今後、どう東京はこれに対処するのか、いかがでしょうか。

○安樂財務局長 財政再建推進プランでは、国からの税源移譲によりまして一千五百億円を確保することを目標としておりますが、ご指摘がありましたとおり、外形標準課税の導入によりまして、当面、一千億円の財源は確保しておりますが、プランに掲げた税財政制度の抜本的な改革は、いまだ実現しておりません。
 現在、国におきましては、一連の改革の中で、国から地方への税源移譲が、ようやく経済財政諮問会議あるいは地方分権改革推進会議などの場で議論のテーマに上るようになってきておりますが、まだ抽象論の域を出ておりません。
 今後とも、消費税や所得税などの国から地方への税源の移譲を実現するために、国に対して強く働きかけていく必要があるというふうに考えております。

○古賀委員 乗り越えなければならない課題は、まだ山積しているということです。
 先般、来年度予算案の発表に続いて、財務局が十八年度までの収支見通しを発表しました。社会経済状況の急速な変化に即応して新たな収支見通しを速やかに示したことについて、我が党としても、適切であったと評価します。
 この収支見通しでは、今後、都税収入がさらに減少する。このままほうっておきますと、十八年度までの毎年度、三千億から四千億円を超える財源不足が続くということです。厳しい、極めて苦しい見通しということになっています。
 財政再建推進プランの達成状況、それから「都財政の収支見通し」に見られる逼迫した事態に対処して、一層財政再建の取り組みを強めていかなければならないというふうに思いますが、この件に関して知事の姿勢をただしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○石原知事 私は、就任以来、財政再建を都政の最重要課題として位置づけまして、財政再建推進プランに掲げる内部努力や施策の見直しなどの柱に沿って、全力を挙げて取り組んできたつもりでございます。
 前にも申しましたが、もし東京が再建団体に転落しますと、土俵を割りますと、他府県に比べて東京がやっている非常に相対的にはレベルの高い福祉を含めて、もろもろの施策というものが、国が要求する他県並みの、いわゆるナショナルミニマムまで、要するに落ちるわけです。これは、結果としては都民の不満、不安を招きますし、そうあってはならぬということで財政再建というものを心がけてきましたが、しかし、昨年夏以降、また景気が急に悪くなりまして、ご存じのように、都税の収入が大幅に落ち込んでしまいました。ここでぼやいてもしようがないのですけれど、えらいところへ、えらい時期に嫁に来たなという感じはしますが、ここでみんなが力を合わせて相当頑張りませんと、下手をすると、都債の償還など来年度はさらにかさみますし、財政的に非常にピンチにさらされるわけでありまして、そういう状況の中で、やはり従来どおり歳入歳出の両面にわたって徹底した見直しを行いまして、財政の構造改革に一段と強力に取り組んでいきたいと思っております。
 同時に、私がいい出して、七都県市が一種の広域行政として、限られた領域ではありますけれども、やがては道州制につながるかもしれない試みとして、税財政制度の抜本的な改革なども着手していきたいと思っていますし、まあ百年河清を待つとまではいかぬにしても、少し時間はかかるかもしれませんが、しかし、やはり今始めなくてはならぬと思って、それもまた財政改革の一助になると思っております。

○古賀委員 議会も協力してまいりますので、引き続き強い姿勢で取り組んでもらいたいというふうに思います。
 次に、小規模非住宅用地に対する固定資産税、都市計画税の減免について伺います。
 二十三区の非住宅用地の税負担は、国の無策の結果、現行税制のもとで過重なものとなっています。長引く不況の中で、中小企業者の経営を一段と圧迫しています。そうした中で、今回、石原知事が、我が党のかねてからの主張を踏まえ、非住宅用地に係る固定資産税、都市計画税の減免を決断したことは、不況に苦しむ中小企業者にとってまことに朗報であり、有効な支援策であると信じます。
 二十三区といっても、土地の値段や面積は場所によってそれぞれ異なるわけですが、今回の減免によって、税負担は平均的にはどの程度軽減されることになるのか、また、都の減免の意義やその効果について、改めて伺います。

○安間主税局長 まず、税負担の軽減額ですが、減免対象となる小規模非住宅用地については、評価額が、地域によって、また個々の土地によって大きく異なること等から、減免による軽減額を一概に申し上げることはできませんが、あえて二十三区全体での平均を申し上げますと、一件当たり約十一万四千円となります。しかし、この平均軽減額は、必ずしも軽減の実態を反映したものとは考えられません。例えば、評価額が高い中心区における平均で見ますと、一件当たり約三十四万五千円の軽減となります。
 減免の意義と効果でございます。
 今回の減免は、評価額が同じでも、税負担が全国に比べて高いなど、税制上の著しい矛盾により過重となっている二十三区の小規模非住宅用地の税負担を全国的な水準にまで戻すものでございます。
 税の公平、公正を確保することで、税制に対する都民の信頼の回復につながるとともに、東京の活力を支える中小零細事業者への大きな支援になるものと期待しております。

○古賀委員 議論は、この点はもうこれで終わりにしておきますが、関連して、多摩地域の財政支援の充実について伺います。
 現下の容易ならざる社会経済状況の中で、市町村がさまざまな行政課題に主体的に取り組んでいくためには、都の支援は欠かせません。
 また、先ほどの固定資産税の減免問題についていえば、市町村は、東京都と同様の中小企業支援策をみずから行う財政的余裕がないのが実態です。この件については、二月の二十五日--市長会、それから町村会長連名で、文書が私どものところに送られてまいりました。都の決定は、市町村への影響等の配慮を欠いたもので、困惑せざるを得ない、とするものです。申し入れ書が出されていることを都もご存じだというふうに思いますけれども、こういった市町村の置かれた状況というものを十分認識してもらいたい。
 十四年度予算においては、我が党の要望にこたえる形で、調整交付金が二十億円増額されるとともに、多摩、島しょ地域の市町村の意欲的な取り組みを生かすために、創意と工夫に基づくまちづくりを支援する市町村まちづくりチャレンジ事業交付金が五億円、新たに措置されました。
 現在の深刻さが続く都財政のもとにおいても、今後とも、調整交付金など都による財政支援を積極的に行っていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。念のため、お聞きするのですよ。

○大関総務局長 市町村調整交付金など都内の市町村に対する包括的な財政支援制度は、これまで、市町村の行政水準の向上や均衡ある発展などに大きな役割を果たしてきております。市町村財政が厳しい状況にある中で、その役割は大変重要となっております。
 今後とも、厳しい都の財政状況を踏まえつつ、市町村調整交付金、振興交付金や、お話の市町村まちづくりチャレンジ事業交付金などを有効に活用して市町村を積極的に支援してまいります。

○古賀委員 ここでちょっと、地元の問題で申しわけないのですが、お聞きいたします。都市計画道路の整備とJR日野駅の改良です。
 日野駅周辺では、市内の基幹的な道路である甲州街道に道路交通が集中しています。日常的に交通混雑を引き起こし、ラジオの交通情報でも、いつも名前が出ているわけです。市民生活に大きな影響が出ています。日野駅に向かうバス通りであります都道の一六九号線は、甲州街道に流入しようとする車で、朝夕は渋滞しますし、バスの運行も現に支障を来しております。このため、都道一六九号線及び甲州街道の迂回路的な役割を持ちます都市計画道路日野三・四・八号線の整備に大変大きな期待がかかっています。
 まず、駅周辺の日野三・四・八号線の整備状況を、簡単で結構ですから教えてください。

○山下建設局長 日野三・四・八号線は、日野市内の環状線として道路ネットワークを形成し、道路交通の円滑化などを図る重要な路線でございます。
 このうち、日野駅周辺の道路である日野市栄町から日野本町に至る延長約二・一キロの区間につきましては、既に約一・二キロメートルが完成しており、栄町五丁目地区の〇・七キロメートルは街路事業で、また、一丁目地区の〇・二キロは日野市四ツ谷前土地区画整理事業で施行中でございます。残るJR中央線との交差部につきましては、構造等の検討を進めているところでございます。

○古賀委員 大体私も承知しているのですが、この鉄道交差部についての構造の検討が今行われているわけです。整備効果を発揮するためには、事業を進めている区間とあわせて、このJR線と交差する立体交差部の早期完成を急ぐ必要があります。
 私は、平成十二年の九月議会の一般質問で、この立体交差部の早期完成を取り上げました。建設局長は、通行車両の高さ制限などを工夫、検討の上、早期事業化に努めるという答弁があったわけです。それから一年以上が経過しております。
 この立体交差部の現地を見てみますと、道路と鉄道部分、鉄道の線路がそう高くないということで、そのまま立体交差部をぶち抜きますと、三メートルの高さしか確保できないということです。道路構造令等で決められているのは、四・五メートル確保すれば、大型トラック、観光バス等も通行できるということです。今の甲州街道のあのガードは四・三メートル、大体交通に支障がないわけです。現状のまま抜くということは、もう工事をやっても、ほとんどの車両が逆に通行できなくなりますので、何としても少し大がかりな工事が必要になってくる。
 いろいろ見てみますと、観光バスの高さは二・八メートルから三・七メートル、救急車で大体高さが二・六メートル、それから消防自動車、はしご車でも高さ三・五メートル、ダンプトラックで三・二メートルということですので、四・五メートルは何とか確保してもらえれば、日野市内も循環バスをこれから走らせることができるようになるわけで、この交差部が今一つ注目を集めているわけです。
 ひとつ検討状況をもう少し詳しくお話し願って、事業化への見通しを答弁してください。

○山下建設局長 JR中央線との交差部の構造でございますけれども、先生ご指摘のとおり、大変複雑になっております。本路線と鉄道との高低差を考慮し、通行車両の高さ制限や、それに伴う沿道や周辺地域の影響、建設コストなどを比較検討しているところでございます。この結果を踏まえまして、平成十四年度には地元住民の意向を把握するための説明会を実施するとともに、構造決定を目指し、JR東日本、警視庁など、関係機関との協議を進め、早期に事業化を図ってまいります。

○古賀委員 説明会は、私、そう大きな障害になると思いません。大体私が回っていますと、早くやってくれという声が圧倒的に多いんです。馬場日野市長も、早期着手を願って都の方にもお邪魔しておりますので、ひとつこの件、しっかり受けとめてもらいたいというふうに思います。
 駅周辺、日野駅周辺地区については、平成十一年度に東京都の生活心しん育成整備事業のモデル地区に選定されたことを契機にしまして、日野市は平成十二年三月、学識経験者、まちづくり協議会や自治会の代表などが参加する日野駅周辺まちづくり懇談会を設立をして、日野駅周辺の総合的なまちづくりの実現に向け、計画の立案及び事業の推進方策を検討してきました。懇談会の議論を踏まえて、昨年十二月に日野駅改良及び駅周辺地区整備計画がまとまりました。かなり厚いものです。計画では、高架化による抜本的な駅改良が最も望ましいとしていますが、これらの実現には、百五十億円を超す費用と、長期間を要することが見込まれています。
 日野駅は、駅舎の老朽化及びホームや階段が狭隘なことによる危険性がかねてから指摘されているわけです。高齢化が進む中で、駅舎の障害を取り除くことが急務です。このため、日野駅では、現在の島式のプラットホームにかえて鉄道敷のり面を活用したホームの増設、改札口の移設、エスカレーターの新設、それから風防壁の設置により、緊急的、段階的に整備を進める暫定整備計画案を一つの方針として、JRにも今、市長が出向いていろいろ協議しているところです。
 これらの駅が抱える課題解決を図り、地域の総合的なまちづくりを進めるために、今後都は積極的に支援すべきであります。都は、駅改良に向けてどのような支援策が可能と考えているのか、ひとつ前向きにお答えください。

○木内都市計画局長 JRの日野駅につきましては、ご指摘のように、ホームや階段が狭隘なためラッシュ時には危険な状況にございまして、バリアフリー化も図れないなど、課題が多いことは十分認識しているところでございます。
 お話にありました市が立案した日野駅の改良計画案の具体化に向けましては、地域のまちづくりの主体である地元市とJRなどの鉄道事業者との連携が不可欠でございます。今後、都といたしましても、国の補助制度の適用が可能となるよう技術的な支援などを行ってまいります。

○古賀委員 国の補助制度の件は、ここで初めて出されたんですね。民間鉄道事業者に国の税金の投入は非常に困難だという前提がずっとあったんですが、先ほども申し上げました懇談会に、都の担当の方もずっと出席しておられたんですけれどもね、そういうお話を全然なさらなかった。そういう駅の改良についてのいろんな知恵を出し惜しみしないで、ひとつちゃんと会議に出たら知っている知識は活用していただきたいというふうに思うんですね。お願いしますよ。
 次に、中央防波堤内側に予定されている海上公園・平成の森構想について伺います。
 この件につきましては、平成十二年十二月の定例会で、我が党の山崎孝明議員がこの件を代表質問で取り上げております。「東京の輝ける未来を想定し、東京の玄関を美しく飾り、自然との共生都市のシンボルとなる、平成の森を創設して、次世代の人々にプレゼントすることを提案したい」という質問であります。答えは、いろいろ前後ありますが、「ご提案の平成の森づくりは、大規模海浜公園のあり方の一つとして大変に夢のある構想でございます。」と港湾局長が答弁した経緯があるんです。
 それを踏まえてお聞きをいたします。去る二月の十二日に、東京都公園審議会の答申を受けて、東京都はこれからいろんな作業を始めていくというふうに思うんですが、平成十四年度も含めまして、この公園の今後の事業計画については大まかにどう考えているのか。いかがでしょうか。

○川崎港湾局長 審議会答申では、お話の海上公園につきまして、豊かな森のある公園や、水辺と触れ合える公園の構想などを提案しております。この予定地は、現在、有明北地区埋め立てなどに用いる建設発生土の保管に使用しておりますが、かつてのごみ処分場であり、メタンガスの発生など、特有の条件を有しております。このため、まず、公園整備の前提となります土づくりの手法や、植栽に適した樹種選定などの基礎的な調査を実施してまいります。その後に公園の構想や整備手法などを作成してまいりますが、都民参加による公園づくりなど、今後の公園づくりの先駆的事例となるため、十全の検討をしてまいります。

○古賀委員 十四年度の具体的な取り組みについて今答弁ありましたので、着実にその進捗を願っています。
 環境問題とか、こういう森の話になりますと、いろいろ多岐にわたる議論が展開されます。都知事が前にいわれた文明論的視点が欠けているという指摘、私も同感です。森林の効用ということになりますと、CО2の削減であるとかヒートアイランドの緩和、それから防災ということ、もちろんこれらも大切なんですけれども、それだけではなくて、日本人の心の問題として私はとらえるべきだ。現代においても、文明論それから精神論、いわゆる文化論的にとらえるという視点が欠かせないというふうに思うんです。
 知事は、「国家なる幻影」という著書の中で--知事が書かれたことを私が読むというのもおかしいんですが、環境問題というのは文明のもたらす技術の発展に並行しての、しょせんは人間の本能に根差した極めて厄介な文明の矛盾の露呈といわざるを得ない、私は全くそうだというふうに思うんですね。この人間の持っておりますさまざまな本能とか愛着、文明の矛盾、こういったものが露呈しているという指摘がこの本の中に書かれておりますけれども、私はこれを理解をしている。
 どう理解しているかということを申し上げますと、四方を海に囲まれています国土の狭い我が国は、自然の恩恵にあずかりながら歴史を重ねてきたわけです。その恵みに感謝をする、それから、豊作を祈りつつ暮らす、四季の移り変わりや湿潤な気候の中で日本の精神的な土壌が養われたというふうに思います。自然への畏敬の念がそこにはある。時にはそこに神を感じる、聖域としてきたのです。山や森に神性を感じ、川や海、それから一本の草や木に対しても神を感じるという世界にもまれな日本人の繊細な感性と情緒をはぐくんできました。世界の文学でも最も情緒豊かとなったのは、この自然のたまものだと思います。
 江戸時代は、日本なりの近代化が進んでいたといえますが、幕末期に西洋近代化、つまり工業化の挑戦を受けて、日本もこの西洋近代化のレールの上をひた走りました。競争せざるを得なかったわけです。明治維新から日清、日露戦争を経て大東亜戦争に至る近現代、西洋近代化の路線を日本は必死になって走った。そして、戦後の経済復興、高度成長からの過程は、西洋列強の工業経済力に伍する力を保持するに至りました。
 今は、この西洋近代(物質文明)をいかに超えるかが問われている時代だと思います。そのためにどうするか、新たな選択と決断を求められている時代ではないかと思うわけです。
 この文明論的視点を勘案して西洋文明を鋭く批判した人は、ずっと前にもういるんですね。インドの大詩人、ラビンドラナート・タゴール。この言葉をいろいろ読んでいますと、実に示唆に富んでいます。
 タゴールはアジアで初めてノーベル文学賞を受けた詩人です。西洋思想にも知悉した大文豪で、すぐれた西洋文明批評家でもありますが、大正の初めに日本に来ています。我が民族の精神性と自然観を賞賛しています。
 タゴールは、自然に対する人間の心の態度を、征服と調和の二つに分けています。一つは西洋人の力による自然の開拓、科学技術は自然と人を征服することで生まれた。もう一つは東洋人の同情心による開拓、その中には、東洋が精神性を重んずる余り、科学技術の面の探求を怠った一方、科学技術の強大な力を持った西洋は、持たなかった東洋・弱者を力で屈服させたと批判をしています。日本こそは東洋の自然観を保持しながら西洋の科学技術を吸収、駆使しているわけでありまして、日本人こそ東洋の精神性と西洋の科学技術を統合し得る創造的天才であるとまでこのタゴールは激賞しています。
 しかし、そうした日本に期待しながらも、当時既に日本の東洋的精神が西洋の物質文明に侵され始めていることを危惧した人もいました。これは、ガンジーがそうなんですね。ガンジーは、既に日本は西洋に屈服したと失望をあらわしていました。
 これらの歴史の過程への評価はいたしませんが、その工業経済力の獲得の犠牲となったのが日本の大自然であると私は思います。東京湾の自然の喪失はその象徴ととらえることができるのではないか。
 百五十年前に、ご存じのようにペリーが日本にやってまいりました。このペリーは、東京湾の自然景観の美しさをたたえたものを報告としてまとめています。「ペルリ提督遠征記」、ここにその、これは分厚いものなんですけれども、この中に東京湾がいかに美しいかということをペリーは書いているんです。ペリーは何をしに来たかといえば、これは明らかにアジア進出を目的に軍事的行動の一環として日本にやってきたわけですけれども、その報告書の中には東京湾を描写した部分がある。こう書かれています。「その美しさはみづくした魅力的な新緑の衣をきたイギリスの庭園の様な風景さへ凌駕するものがある。」こう東京湾をペリーは見たんですね。それから、まだちょっと時間がありそうですので--これね、全部読むと非常におもしろい。吉田松陰の話も出てきます。どうペリーが対応したかというのもここに出てくるんですよ。
 この東京湾について、さらにこう報告書は書いています。「短艇ボートが測量から歸艦すると、士官も乘務員も皆、日本人の親切な氣風とその國の美しさに有頂天だつた。實際、何方へ眼を向けても之程美はしい景色は何處にもないと思ふ程だつた。船中の者が四圍の--周りのですね--沿岸を眺めて倦む事を知らなかつた。何處もかもよく耕され、あらゆる草木は濃い深緑に縁どられ、灣の單調を破つてゐる入江の奧には繁華な數多の村々が小さな森に圍まれ、緑の丘陵の山腹を流れ下る河の流は、靜かにまがりくねつて牧場を横斷している。それ等總てが一つに隔け合つて豊かに、美しく幸福な風景を現出して、之を眺めるものに喜びを與へるのだつた。」こうペリーの日本遠征記には書かれています。素晴らしかったんです、東京湾は。ところが、見る影も今、なくなってきつつある。
 この間に西洋近代化のいろいろな波が押し寄せてきまして、西洋近代化の富国強兵の国策、それから自然に象徴される東洋の精神文化の破壊との相克が始まったわけです。近代化の過程の中で、恵まれた大自然に培われた日本人の心まで変わり、今日荒廃してしまっています。日本を愛する文豪タゴールが九十年前に心配したことが、現実に今なってしまっているわけです。
 その東京湾の中央に位置するごみの島、これは日本における近現代史の東西文明の相克の生々しい姿といえるのではないか。そうした認識を持った上で、このごみの島をどう変えていくか考えるべきです。都会の自然も人の心も荒廃して瀕死の状態にあるのは確かです。
 昨年七月の石原知事のガラパゴス諸島に行かれたときの論考で述べておられるものを私、読みました。その中には、自分たちの手でつくってきた人間圏における文明なるものについて、そろそろ本質的な反省をしてかからないと、あのガラパゴスを含めてすべてのものを失いかねないと、こう知事は書かれているわけです。
 知事も、科学技術とごみの関係についていろいろ指摘をさらにされています。近代の科学技術について、科学技術はそのための諸々の開発を促進してきたが、それは地球主体の循環のシステムを超えることで、従来にはなかったさまざまな弊害を生み出すことになった。何よりの例が、地球主体の循環からはみ出しているごみである。排気ガスにせよ、ダイオキシンにせよ、他の廃棄物にせよ、大気や水や土壌を汚染させているものはあくまでも人間圏の派生物でしかないと、地球規模でこの問題をとらえておられます。
 私は、地球主体の環境のシステムを超えてしまったということに、知事が指摘しておられる点は非常に重要だというふうに思うわけです。近代科学技術が生み出したごみ問題をいかに処理して循環のシステムを取り戻すか、これを東京都の問題として考える、真剣に取り組む、その姿勢を打ち出すことが大切だと私は思います。環境問題の解決に、核心に触れるのは、そういった視点を持って初めて可能だと思うわけです。
 中央防波堤のこの内側埋立地には、既に平成八年の、私も参加いたしましたが、植樹祭で天皇皇后両陛下が苗木をお手植えになっていることは、まことに象徴的で意義深いものがあります。天皇陛下は、そのときにこう歌をお詠みになっています。「埋立てし 島に来たりて 我わが妹いもと いてふの雄お木ぎと 雌め木ぎ植ゑにけり」、こう歌われたわけです。このときの植樹祭では、生態系を重視した森の創出ということが誓われました。
 私は、知事に対して、私が今るる述べてきたことに関しまして所見を伺いたいと思うんですが、私が申し上げたいことは、中央防波堤内側のごみの島を、私は日本人の心のこもった島として、ものとしてよみがえらせてもらいたい。これは大変大きな波及効果をもたらすと思うんですね。国はどの程度気づいているかわかりませんが、都市再生本部が昨年十二月の第三次プロジェクトでここを緑の拠点と決定していること、このことから考えると、国も期待をしているなとうかがえるわけです。民間でも、千年の森づくりとして生態系の回復による持続可能な森づくりと循環型社会づくりが既に提唱されています。
 さきに紹介しました山崎先生のさきの代表質問の折にも触れられておりますが、私は、明治神宮の森というのは大変参考になるというふうに思うんです。八十年前、東京市長、今の都知事が中心になりまして、商工会議所、帝国議会、政府が動いて、全国の青年団の奉仕によって、いわば全国民が一丸となってつくられたのがあの明治神宮の森、国家的な森ということになるわけです。子々孫々に対して、自然を破壊した現代に生きる我々が後世に残すものは何か、子どもたちが森づくりに参加をするというようなことで、子どもたちの心にもいろいろなものが残っていくのではないかというふうに思うわけです。ぜひ、森づくりというのは一朝一夕にはできませんけれども、知事はこの平成の森づくりというこの事業についていかなる視点をお持ちか、お答えください。

○石原知事 先ほど古賀委員がお示しになったペルリの文献は、私も読んだことがございます。それと同時に、ぺルリが本国に送った報告書も、やはりタイプされたものをあるところで入手して読みましたが、その中でぺルリは、彼らが、日本人がこの国を開いて我々の新しい文明に接するならば、この国だけは恐ろしいほど短時間に強力な産業軍事国家になるだろうと予言しているんですね。ただ、文化的にはだめだと。なぜなら彼らはキリスト教を信じまいとするからって、そんなことは大きなお世話でありますが、ぺルリの予言が当たったわけであります。
 その予言を日本人がどれほど意識したか知りませんけれども、実現すべく近代化に努めた余りに、私たちは失うべくして失ったものも非常に多いと思うんでありますが、ご指摘のように、古来から森に限らず自然というものが日本人の信仰の対象になって、心のよりどころでもあったというご指摘には私、同感でございまして、このアニミズムというのは、日本の神道の非常に独特な、個性的な表出、あらわれであると私は思っております。これを評価したのは、ぺルリに限らず、タゴールに限らず、私も一部同伴しましたが、日本にやってきたアンドレ・マルローとか、あるいはちょっと古くはH・G・ウェルズというような人たちも、アインシュタインもそうでありますがね、やっぱり非常に日本人の神道による一種の汎神論というんでしょうかね、その独特の文化性というものを高く評価しておりましたが、私たち、確かに近代化のプロセスで大事なものを随分失いました。
 随所にあった鎮守の森であるとか、東京に限っていえば武蔵野の雑木林、そういったものを私たちは、精神の風土のよすがとしてあったものまでが消失しましたが、今あの埋立地に新しい森をつくるというのはすばらしい発案だと思いますけれども、なかなかこれは難しいですね。あそこの横のゴルフ場の、あれは前の埋立地、ごみの埋立地でありましたが、あれ、ゴルフ場を開場してからも、フェアウエーでたばこを吸うとガスが引火して爆発するからたばこは禁止されたような……(「いや、そんなことはないよ」と呼ぶ者あり)いや、今はそうですよ。(「あそこは最高のゴルフ場だよ」と呼ぶ者あり)そう。とにかく、やっぱりいろいろ排出するガスもあるでしょうから、あれがうっそうたる森に育つにはなかなか技術的には難しいことがあると思いますが、しかし、やはり私は、日本の首都である東京のかつて美しかった東京の湾口に、やたらに高いだけで醜悪な東京タワーであるとか、その他のランドマークと違って、うっそうたる森ができるということは大歓迎でありますし、これはやっぱりあるいは日本人ならではの試みではないかと。私もできるだけ協力をし、また、みんなで研究も深めていきたいと思っております。

○古賀委員 では、知事、もう一つ具体的なことをちょっとお願いも兼ねてお聞きいたしますが、一つの実践として、私から求めたいことがあるんですが、海上公園は、ご存じのように今、ごみで、木は土がないと育ちませんので、いい土をまず用意しなきゃいけないというこの土づくりの作業がまずあるわけなんですね。その後、全国の皆さんから木を持ち寄ってもらうというようなことも考えられますので、知事からぜひ、きょうは予算特別委員会の初日、この議場から、全国の皆さんに対して、都民でもいいんですが、土の持ち寄りであるとか、それから知事も、まず植樹祭で天皇陛下がお手植えになった木がありますので、続いて知事も植樹してもらう、そうした具体的な実践をこれから始めていくことが国民的な盛り上がりにつながっていくのではないかと思うんです。
 具体的にもう一度申し上げますと、客土、土の持ち寄りであるとか、苗木の献木という言葉で明治神宮はやりましたけれども、持ち寄りについてこの議場から呼びかけてもらいたいんですけれども、いかがでしょうか。

○石原知事 いつ埋め立てが終わって、いつ客土が始まり、献木の呼びかけが始まるかわかりませんが、それまで私、やっているかどうかわかりませんけれども、いずれにしろ、今の時点でこの計画として私は大変東京的というか、日本的というか、非常に来世紀的な新しいいい試みだと思いますので、議事録に残して、全国の皆さんにひとつ新しい首都づくりのため、一握の土をお持ち寄り願いたいと、一本の苗木をもたらしていただきたいということをはっきりとお願いするつもりでございます。

○古賀委員 ありがとうございました。では、この件は終わりにいたします。
 次は、学校週五日制の件であります。
 もう三週間もありませんけれども、小中学校では新学習指導要領が始まり、学校週五日制が始まるということになります。
 新学習指導要領によりますと、学習内容が三割、授業時間が二割削減されて、先進国では授業時間が一番少ない国に日本はなります。多くの都民、保護者は、学校五日制になって、果たして子どもたちに基礎学力が身につくのか、不安になっています。
 日本の子どもたちにゆとりを与えようというのが、従来の文部省の考えでありますけれども、そんなに日本の子どもたちは勉強しているのかということになると、実際は一番勉強していないという数字があるんですね。OECDが調査しております。経済協力開発機構が三十二カ国を対象--これは先進国も全部入っておりますけれども、その調査によりますと、たくさんいろいろありますが、我が国の生徒は、国語や数学、理科について、宿題や自分の勉強をする時間が参加国中最低である、三十二カ国中一番勉強しない国民、これにもっとゆとりを与えようというのが今回の文部科学省の計画ということになるわけです。これはゆとり教育という名前で、一見もっともらしい装いは凝らしておりますけれども、私は、このことをやると、ゆとりじゃなくて緩むんじゃないかと思うんですね。
 それで、一連の流れがありまして、昭和五十二年にゆとり教育というのを文部省がいい始めた、昭和五十四年には共通一次試験を開始して、勉強しない方がいいという風潮を、思想的なものを持ち込んだような気がいたします。その流れの中で、今回この学校週五日制が出てきている。
 子どもたちよりも、先生たちも、教育労働者と自分たちを呼んでいますが、おれたちも週二日休みたいというのが、何か本音じゃないかなという気がいたします。
 こういう今の実態を踏まえて、私はいろいろ議論をしたいんですが、時間の関係もありますので、私立学校のことを一つお聞きしておきたいんですね。
 文部省は、今は文部科学省という変な名前に変わりました。私立学校も右へ倣えで従えということで、私からすれば、国から地方へいろいろなものが移譲されたり、地方主権がいわれているときに、国のいうとおりに私立学校まで右へ倣えしなさいなんという通知、昔は通達といいましたけれども、これを出している。信じられない行為だというふうに私は思います。
 都道府県知事におかれては、管下の学校法人及び私立学校に対して、完全学校週五日制の実施に積極的に取り組むよう、引き続き格段のご指導をお願いします、余計なお世話ですけれども、こういうものを文部科学省は出してきている。
 私は、私立学校が今日、独自の建学の精神であるとか学校の教育方針に基づいて授業をどういうふうに組み立てるかは、全くその私学の独自性があっていいわけで、一々国がとやかくいうなんというのは、全く時代に逆行した姿勢だというふうに思います。
 東京の私立高校は現在二百三十七校ありますが、そのうち四二%に当たる百校が、この週五日制はやらないというふうに答えていますね。それから、私立中学校百七十八校のうち、半数以上の五二%に当たる九十三校が同様の方針を打ち出しているわけです。しかし、学校五日制をやりますという私立の学校についても、授業時間を延長するとか、さまざまな工夫を凝らして取り組んでいるわけです。
 この私学の方針に対して、国はこうやって躍起になって、何とかいうことを聞かせようというふうに悪あがきをしているわけですけれども、東京都は、この学校週五日制について、私は、私立学校については、文部省の家来のようなことはやめて、強制すべきではないというふうに都の方針を打ち出してもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。
〔「知事に聞かなきゃだめだよ、知事に」と呼ぶ者あり〕

○高橋生活文化局長 学校の休業日につきましては、学校教育法施行規則によりまして、公立学校の休業日は日曜日及び土曜日等と具体的に規定されておりますが、私立学校につきましては、「当該学校の学則で定める」とし、各学校の判断により休業日を決定することとなっております。
 したがいまして、平成十四年度に公立学校では完全学校週五日制が実現することになっておりますが、私立学校につきましては、制度の趣旨を踏まえ、各学校がみずからの教育方針に基づき、自主的に取り組むべきものであると考えます。

○古賀委員 今、知事に聞けということですので、では知事に、念のため。
 今の答弁は、私立学校に対して強要はしないということだと思いますけれども、そう受けとめてよいのか、知事に伺います。

○石原知事 私が、もし東京のいずれかの私立の学校の主宰者であるならば、私は絶対に文部省の通達を受け入れません。ゆえに、知事の権限というものがどこまで及ぶかわかりませんけれども、右から左へ、文部省の非常に愚劣なそういう通達を私立に伝達するつもりは毛頭ございません。
 この間、あるテレビの特集を見ておりましたら、実にしっかりした子どもたちが、みんな、十中八九は、五日制について、子どもながら首をかしげて、自分の学力が落ちるのを恐れるとか、あるいはもっと自分は勉強したいんだということを表示しておりました。
 そういうものを文部省の小役人がどういうふうにしんしゃくしているか知りませんけれども、国はいろいろ愚劣な役所を抱えていますが、最もその最たる、私も長年議員しておりましたけれども、一番軽侮を抱いていた、しかも国家にとって致命的な行政をしている文部省の今回の通達も、非常に本質を構えない、いわゆるポピュリズムというんでしょうか、まことに国家の本質を毀損しかねない、だれにおもねたか、いかなる教員たちにおもねたか知りませんが、非常に危険な私は通達だと認識しております。

○古賀委員 東京都においては、私立学校の教育方針はきちんと都も尊重して、強要は、強制はしないということですので、大変知事の発言は心強く聞かせていただきました。(「だめだよ、国のいいなりになっちゃ」と呼ぶ者あり)いいなりにならないといっていますから、大丈夫でしょう。(「違うよ、私立はそれでいいけれども、公立はどうするんだよ。学力の公私格差が生まれるじゃないか」と呼ぶ者あり)そのとおり。
 それでは次に、いわゆるながら条例について伺います。
 職員団体のための職員の行為の制限の特例に関する条例、これがいわゆるながら条例であります。私が一々解説するまでもなく、職員が勤務時間中に給与を受けながら組合活動を行うことができる、そういうものです。しかし、これは制限が当然ある。
 この勤務時間中の組合活動は、地方公務員法で定められた職務専念義務の例外として認めてあるわけです。旧自治省の条例準則の中では、その例外は、適法な交渉を行う場合と、休日、年次有給休暇、休職の期間と限定して掲げているわけです。
 しかし、都の条例では、この準則には規定していない準備行為まで含めて条例化していることで、職場規律のいろいろな問題が生じてきている。勤務時間における準備行為--組合活動のですよ、準備行為や活動も、適法な労使交渉以外でも給与の減額の対象外、こうしているわけです。
 これは、地方公務員給与の原資が都民の税金で賄われているということでありますので、勤務しないのに給与を受けながら組合活動をしている、それが認められるというのは、当然、例外中の例外として厳格に解釈されているというのが本来の姿でなくてはならないわけです。
 ところが、このながら条例が、いかに悪用、乱用されてきたかということは、具体的に後でお聞きしますけれども、そもそもこの条例を定めたのは昭和四十一年なんですね。当時は東龍太郎知事、東龍太郎知事は自治省の準則どおりに、準備行為は含まずに都議会に提案をした、したんですけれども、当時の都議会の判断が、はっきりいえば間違っていたわけです。
 当時の議会構成を見ると、何となくその背景が浮かんできます。昭和四十一年の臨時議会でこれは審議をしているんですが、その前年に都議会議員選挙をやっています。会派構成を見ますと、社会党四十五人、第一党、次いで自民党三十八人、公明党二十三人、共産党九人、それから民社党四人、その他一名ということで、これを審議した議会の議長、大日向議長、社会党、これを審議した委員会は、何か長い名前の委員会なんですよ、これが。(「いいよ、委員会の名前なんか」と呼ぶ者あり)いいんですか。その委員長も稲村さんという社会党、企画総務首都整備委員会。
 せっかく東さんは、そういう準備行為まで含めると職場規律が保てないということで含んでいなかったんですが、わざわざ都労連の委員長まで参考人として呼んで、その意見を聞いて、こういう委員会で組合の委員長を呼んで、参考にしますから話してくださいということで、時間も委員会で与えて、この準備行為が必要だということをいわせているんです。
 その結果、共産党は別の理由で反対しましたけれども、これが可決をされて今日に至って三十六年、(「自民党はどうしたんだ」と呼ぶ者あり)自民党は賛成した。このことがいかに職場の規律を乱しているか。
 例えば、後でまた、これに支払われている給与がどの程度になるのかというのも答えてもらおうと思うんですが、専門部会という分会で、週一回は準備行為ということで勤務時間中でも組合活動ができるんです。支部でもできる。本部はもちろん当然のこと。大変多くの、年に一回、年六回、週一回というふうに、本部、支部、分会と、適法な交渉の準備ということでこれが適用されている。昭和四十五年までは、その範囲が労使間で一致していなかったので、やりたい放題だったわけです。そういう経過が今日まであるということです。
 これは当然見直さなきゃいけないということになるわけですが、私は、一番端的に問題があらわれている例を一つ申し上げたいと思うんですが、国立市で最初にこれがむちゃくちゃ行われていたということが明らかになったんですね。公明党の方がちゃんと取り上げて議員さんが追及したということから、ぼろぼろと問題が出てきた。公立小中学校の先生が勤務時間中に無届けの組合活動を行って--無届けですよ、届けも出さないで、しかもそれが長年の慣行だから校長にも何もいわない、勝手にいなくなって、給料だけはちゃんともらっていた。
 最近、国会で税金の私物化という言葉がよく聞かれますけれども、まさにこれも税金の私物化をやっているわけです。
 平成八年の三月から平成十二年の十月まで調べただけで三千百二十三人、二十九の市区町村で、四百五十校の小中学校でこの不正が行われていた。
 教育庁は、一億三千二百万円の返還請求を行っているわけです。その前はもう時効ですから、返してもらえない、くれてやったことになるわけですよ。
 こういう、でたらめな条例といっては当時の議会の人に悪いんですが、これすら守れないのが、今の学校現場にたくさんいるんですよ。
 しかし、学校現場は、返還請求したからいい方だったかもわからない。このながら条例の準備行為を使って、東京都のこの都庁の中でも、多分一人もいないなんということはあり得ないはずですね。表に出てきただけでもこれだけです。
 返還請求というところまでこぎつけましたから、私は、きちんと返してもらうという手続をどんどん進めてもらいたいというふうに思うんですが、現在まで、この返還を行った人たち、どのくらいいるのか、また、返還を拒んでいる教職員の数はどうなのか、返還を拒んでいる教職員の人数とか金額。それから、組合もいろいろな種類がいるんですよ。過激派系もいれば共産党系もいれば旧社会党系もいる、複雑なんですね。ちょっと組合別に、今拒んでいる人はどのくらいいるか、答えてください。

○横山教育長 今お話しのように、正規の手続を経ずに勤務時間内に職員団体活動を行っていたことによりまして、給与返納の対象としました教職員の数は三千百二十三名、金額で一億三千二百六十四万余円でございます。そのうち返納した教職員の数とその総額は、三千七十一名、一億二千二百八万余円、返納率は九二%でございます。
 なお、一方、いまだ返納を拒否している未納者の数でございますが、平成十四年二月二十八日現在で五十二名、金額で一千五十六万余円でございます。
 その職員団体別の内訳、三団体ございまして、まず一つが東京都教職員組合、未納者は四十二名、未納金額九百六十二万余円、二つ目が東京都学校事務職員労働組合、未納者が六名、未納金額が六十八万余円、三団体目が東京都公立学校教職員組合、未納者四名、未納金額二十五万余円、こういう状況になっております。

○古賀委員 これほど明々白々な税金の不正取得をしておきながら、大甘の条例すら守れないような悪質な未納者、これに対してはどう処置していくのか、取り組み、どうですか。

○横山教育長 返納を拒否しております教職員に対しましても、当該の市町村教育委員会と連携しまして、これまで繰り返し返納を促してきたところでございます。
 ただ、現在の状況におきましては、自主的な返納の見込みはない、そういう判断をいたしまして、未納者個々人に対する訴訟の提起に向けまして、その準備に入っております。

○古賀委員 学校の先生で信じられないんですが、子どもたちに規則やいろいろな社会の決まりを教えなきゃいけない、お手本にならなきゃいけない先生がこういったていたらくですからね。法的な手続とおっしゃいました。速やかに進めていただくようにお願いをします。
 それから、私は最初に、都議会が組合の委員長まで呼んで意見を聞いてこの修正をした、準備という言葉を入れて、この条例を骨抜きにしたということの不適切さを先ほど指摘いたしました。
 もしこれが当時、自治省の準則どおりに条例制定していたとしたら、当然その準備行為は、給与カットしていますから、支払われた金額というのは、本来は都の事業に回せるということになるわけです。平成十三年一月から十二月までの間に準備行為によって給与を支払った額は都庁全体で幾らになるのか、いかがでしょうか。

○大関総務局長 東京都の職員が適法な交渉の準備に従事した場合、いわゆるながら条例に基づき職務専念義務を免除しているわけでございます。平成十三年におけるその時間数を仮に給与に換算した場合、知事部局等の約六億七千万円を含め、東京都全体の推計で約十九億七千万円となります。

○古賀委員 都議会が修正をして準備行為を加えたために、都庁全体で総額十九億七千万円の給与が減額されないで支払われているということになるわけです。
 条例の改正ということになりますと、私どもが今般提案をしております給与の削減条例についても、三田議長は人事委にその見解を求めました。
 この当時、このながら条例の修正に当たって、人事委員会は意見を聞かれているのかどうか。

○高橋人事委員会事務局長 当時の条例の修正案に対しまして、意見聴取を受けていたかどうかでございますが、地方公務員法では、職員に関する条例を制定または改廃しようとするときには、議会におかれまして、人事委員会の意見を聞かなければならないとされてございます。
 当時の記録によりますと、お尋ねの修正案につきましては、都議会からの意見を求められた事実はございません。したがいまして、当委員会といたしましては、この修正案に対しまして意見は申し述べてございません。

○古賀委員 おかしな話もあるものですね。地方公共団体は人事委員会の意見を聞かなければならないというふうに地方公務員法で定められている。しかし、当時の委員長も議長も社会党の議員さん、それから当時の議会局長も、議長の指示がなかったのかあったのかわかりませんし、もうお亡くなりになっているそうですね、聞きようがない。
 これは手続の法的な要件を欠いているわけです。聞かなければならないといって決めてあるのに、法に定められた手続を踏んでいない。瑕疵ある行政行為というものですね、これは。これを三十六年間続けてきた。
 どうしたらいいか。これは条例を、知事も決断する、議会も過去の判断を是正するという以外にないと思うんですね。
 ちなみに、職員に関する条例で、議会が修正するときに人事委員会の意見を聞いたことがあるかないか、ほかにどうですか。

○高橋人事委員会事務局長 一つの例といたしましては、昭和四十五年の第一回都議会定例会におきまして、職員の給与に関する条例の一部を改正する条例等の原案につきまして修正案が提出されました際、この修正案に対しまして、議会から改めて人事委員会に意見を求められておりまして、意見を申し述べたという事例がございます。

○古賀委員 やはり法に定められたことは、ちゃんと条例修正する際に議会は意見を聞いたものもあるんですね。
 このときはうっかりだったか故意だったか、いろいろな当時の記憶のある方に聞きますと、聞くとまずいという答えが多分出るだろうから、あえて聞かなかったんじゃないかというお話も、当時の記憶をいろいろたどって話してくださった職員の方があります。
 私は、教職員だけではなくて、一般の職員の皆さんも、こういう行政行為の瑕疵があったものによって、労使交渉の準備と称して職場を離れているような、そういうこそ泥みたいなことはやめた方が堂々と仕事ができるんじゃないかと思うんですね。
 いろいろ解説の本を読んでみますと、人事委員会の意見を聞かなかったということで直ちには無効にはならないだろうと、こう書いてあるんですね。議会が条例を最終的に意思決定したんだから、その場合は仕方ないんじゃないかというふうなことが解説書には書いてあります。しかし、議会では、改めて人事委員会の意見を聞くことも、必要に応じて、また改廃、条例改正することは、瑕疵を補正する適当な方法というふうに書いてあるんです。
 だから、議会は、知事の方が出さなければ、当然議会が出してもいいんですよ。一応私もいろいろ勉強しまして、給与削減条例も今出しておりますので、今度議員提案できるように、条例の一部を改正する条例というのを、もう日付を入れるだけでいいようにつくってあります。第二条第一号中「及びその準備」を削るということで、これで終わるわけですよ。もとの準則に、東龍太郎さんが提案した条例にこれで戻って、本来の形に返るということになるわけで、四月に入れば新年度、この一定で給与条例については何らかの形で決着を見ると思いますので、今度はこのながら条例に我々集中して取り組んで、議会の権能を発揮するということも、六月議会ぐらい、いいのではないかというふうに思っております。本来は知事の方が提案されるのが一番いいというふうに思います。
 これだけ傷を持って生まれた条例ですから、人事委員会に聞かなきゃいかぬと決まっている法律も守らないで当時議会は決めてしまった、当時賛成した自民党も責任がありますけれども、我々はそれを改めるにしくはなしで、議会としてもこのながら条例の改正を大いに目標に据えて取り組んでいきたいと思いますが、こういった背景、もっといろいろな資料を私、用意したんですけれども、もう時間もありませんので、私からは、その準備行為を削除すべきだというふうに考えますが、そういう提案をする意思ありや否や、いかがでしょうか。

○大関総務局長 次々と難題がかかってまいりまして、大変頭の痛いところでございます。
 この時間内組合活動、これは実効性のある交渉を迅速に行い、労使間の課題を円滑に処理するとともに、厳格な服務管理を行うために、必要最小限度の範囲で限定的に認めているものでございます。いきなり準備もなく交渉ということになりますと、交渉の回数がふえていくという、もう一つのデメリットもあるわけでございます。そういう意味で、必要最小限度の範囲内で限定的に認めていたという経緯がございます。
 いずれにいたしましても、東京都を取り巻く社会状況が変化している中で、都民の理解が得られるよう、ご指摘の趣旨を踏まえ、今後とも時間内組合活動の見直しに取り組んでまいります。

○古賀委員 範囲を見直すということでは、もう不十分なんですよ。人事委員会の意見を聞かなきゃいけないというのも聞いていないし、これがさんざん悪用されてきたという経過があるわけで、さっき教育庁の関係の給与返還請求、まさにそうなんですよ。だから、事務的に何か範囲を見直すとか、組合と話をして、組合がいいよといったものについて範囲を少しいじるというようなことでは、そういうびほう策では、もう通用しない段階に来ているという意識を持ってもらわなきゃ困る。それがなければ、もう用意してありますから、出します。
 給与条例も今ありますので、これで一応これは終わりにしておきたいというふうに思いますが、次に、似たようなものともいえますけれども、特殊勤務手当のことについてお尋ねをいたします。
 これも、都民の理解を得ていく必要が当然あります。特殊勤務手当は、ご承知のように、著しく危険、不快、不健康、困難な業務に対して支給される手当、業務の困難性とか、そういうものによって出されているわけであります。仕事の内容から見て、これはやはりもっと見直してもいいのじゃないかということがあるんですよ。
 私は、もう時間もありませんので、その見直しを求める答弁をこれから求めようと思っていますけれども、例えば税務の手当というのがありますね。それで、いろいろ聞きますと、税金を集めるというのは、余り希望者がいないというようなこともちょっと聞いたんですね。しかし、民間の人は、お役人が嫌だといえば、幾らでもやってくれる人はたくさんいると思うんですね、採用してくれれば。
 船員勤務手当、これも実習船に乗ったらもらえるとか、夜間学級通信教育勤務手当、有害薬品取扱手当、これは学校の先生。しかし、薬品を扱うことはだれにでもあると思うんですね。それから、交通局も特殊乗務手当、つまりバスや電車に乗ることを前提に就職しているわけですから、それに乗ったからといって、運転したからといって、また車掌の仕事をしたからといって、手当が出る。これは本来業務ですよね。本来業務。
 それから、交通局では技能手当というのもあります。これは保守、整備などに従事したらもらえる。しかし、それを仕事として、本業として入っている方に、改めてまたそれを出すというのは、どういうことかわからないんですね。
 それから、動物園飼育作業等業務手当。動物園に就職する方は、大体動物が嫌いだという人はいないと思うんですね。動物の世話をするという前提で就職するわけですから、それに不快だとか危険だとかいって、不健康だろうといって、手当を出している。どういう理由でこれを説明するか、非常に難しいんじゃないかというふうに思うんですね。
 それで、挙げれば切りがないんですが、例えば、先ほどいいました税務事務特別手当、ここは割と日額千四百六十円。月額はさすがになくなったんですけれども、ほとんど毎日、大体仕事に普通は行くわけですから、日額と書いてあっても、大体一月分でもらうわけですよ。
 税務というのは、都民と接触する場所でもありますね。都民と接触するのは危険ですかね。都民と会うのが不快ですかね。そういう名目での手当。私、特殊勤務手当の性格に合っていないというふうに思うんですね。都民と会うのが危険だとか思ってやられたんじゃ、都民は怒りますよ。
 見直しをやった方がいいというのは、当然都民の声だと思いますね。どうですか。

○大関総務局長 特殊勤務手当は、お話のように、著しく危険、不快、不健康、困難な勤務等に従事する職員に対しまして、本来なら、独自の給料表をそれぞれの職種に応じてつくるべきなんですが、そこまでもなくて、給料上何らかの措置が必要だと、こういう場合に支給されてきたものでございます。
 業務の困難性、特殊性、これは社会情勢の変化や技術の進歩あるいは職場環境の改善などによりまして、その設立当時と比べますと、大分状況も変わってきているものがございます。そういう意味で、見直しを行ってきております。
 都は、知事部局等におきましては、過去二十年間で、九十四手当を現在二十三手当まで減らしております。これまでも手当の廃止や減額などの見直しを随時行いまして、その適正化に努めてきたわけでございますけれども、今後とも、人事給与制度の抜本的見直しを進める中で、個々の手当につきまして、支給の必要性や支給額の水準などを都民の目線で厳しく精査してまいります。

○古賀委員 結果を期待しております。見直しを進めてください。どう考えても、都民と接触することが不快だとか危険だなんていう理由は通らない。それだけしっかり申し上げておきます。
 次に、建築行政の市への移管について伺います。
 現在、国立市の通称大学通り沿いの十四階建てマンションについて、幾つもの裁判が行われています。先月、東京地裁において、国立市に四億円の損害賠償を支払うよう命じた判決が出されました。これに対して、市は控訴しております。
 これらの争いの発端となったのは、大学通り沿いの高層マンション建設を阻止するため、建築確認申請が出された後に、急遽、国立市が地区計画及び建築条例を定めて、高さを制限したことに端を発しています。
 この条例にマンションが抵触するかどうかについて、まちづくり行政を行っている国立市と建築行政を行っている東京都で見解が異なっています。このことが、紛争を複雑にしている原因の一つです。
 東京都は、この高層マンションは適法であるとの立場を一貫してとっています。国立市長は、裁判で争われている段階で、建築中の高層マンションが違法建築であると勝手に決めつけて、東京都知事に対して、電気、ガス、水道の供給保留をするように要請し、また、多摩西部建築指導事務所長に対しては、違反是正の命令をするよう、文書で要望しております。
 ところが、国立市は、このマンションのために、みずから上下水道管埋設の道路占用許可を行って、また、本来、国立市が行うことのできる水道供給の保留は行わないなど、行政としての一貫性が全くありません。
 そこで伺うわけですが、国立市は、この高層マンションについて建築基準法上の判断をみずから下しているようでありますが、建築行政を所管している東京都は、国立市から相談を受けたことがあるのか、東京都として、このような状況についてどう考えているのか、お答えください。

○木内都市計画局長 国立市から、法上の取り扱いについて事前の相談は受けておりませんで、市が独自の判断をして行動をしているというふうに考えております。
 また、市の条例施行時には、この建築物の基礎をつくるための地面の掘削工事、いわゆる根切り工事に着手していたものでございまして、この段階においては市の条例は適用されず、適法であるというふうに考えております。
 こうした建築物への対応については、市が、建築行政を所管している東京都と十分調整をすべきだというふうに考えております。

○古賀委員 この件は、まちづくり行政と建築行政の所管が分かれている場合の問題点を端的にあらわした事例なんですね。
 そこで、このことに関連して、市における建築行政の取り組みについて、何点か質問します。
 自治体においては、独自の景観条例や指導要綱を策定してまちづくりに取り組んでいるわけです。建築行政と連動しない場合は、実効性に欠ける面が当然あります。地方分権により、建築行政事務が自治事務となっています。それぞれの市が個性のあるまちづくりを進めていくためには、建築行政も、住民に身近な自治体である市町村が実施すべきです。
 まちづくりを進める上で市が建築行政を行うことは、具体的にどのような効果があると考えているのか、お答えください。

○木内都市計画局長 ご指摘のように、建築行政とまちづくり行政は一体的に行うことが望ましいと考えております。そうしたことを行うことによりまして、建築活動を的確に誘導し、良好な町並みの景観や道路整備など、地域の特性に応じたまちづくりを行うことができると思います。
 また、違法建築物や建築紛争などについても、迅速かつきめ細かく対応できるというふうに考えております。

○古賀委員 だから、国立市も建築行政を行っていれば、今回のような複雑な紛争にはならなかったわけです。現在、全国の市のうち、建築行政を行っている市はどの程度あるのか。東京都における市の建築行政への取り組みについて答えてください。

○木内都市計画局長 人口規模別によって、建築行政を行っている市のあれが違いますけれども、全国的に見ますと、二十五万以上は必置でありまして、五万以下は東京都はございませんので、二十五万から五万の間で見ますと、全国平均は三百六十九市のうち二百九市、五六・六%、それに対して東京都にあっては、二十四市のうち六市、二五・六%ですから、二分の一以下の状況にございます。
 そうした建築行政については、東京都としては、事務の移管に向けて努力をしているところでございます。

○古賀委員 全国と比較しますと、東京都は、建築行政に取り組んでいる市が少ないのが特徴となっておりますね。移管を進めるべきだというふうに私は考えておりますが、どのように市に対して働きかけていくのか、いかがでしょうか。

○木内都市計画局長 事務移管につきましては、現在、十五万人以上の市を対象として個別の協議をしているところでございます。
 ご指摘を踏まえて、今後は、人口十五万人以下の市についても働きかけていきたいというふうに考えております。
 なお、区につきましては既に実施しているところであり、東京都は、市に対して五年間の財政支援あるいは三年間の人的支援を行うということで支援に努めているところでございます。

○古賀委員 三宅島の災害対策について伺います。
 村民の皆さんが全島避難して、はや二回目の正月も過ぎました。昨年末に三宅村が行った生活実態調査によれば、村民は厳しい避難生活にも耐え、一日も早い帰島を願っています。その希望者は九割に上っております。
 このような調査結果を踏まえ、三宅村では、学識経験者や村の各種産業の代表を委員とする三宅村復興計画策定委員会を設置して、三宅村復興基本計画を策定することにしています。
 一方、東京都では、災害対策本部のもとに生活支援のプロジェクトチームや技術会議を設置して、都営住宅の提供を初め雇用対策の実施など、避難生活上の支援を行うとともに、三宅島では砂防ダムの建設や電気、水道などの確保など、応急、復旧事業の推進に努めています。
 また、いざというときの硫黄ガス防御室の設置や、ガス防毒面を携帯しながらの工事施工などによって、着実に復旧対策が進められていると聞いております。
 そこで、生活実態調査からも島民が大きく期待をしている砂防工事の現在までの進捗状況と来年度の予定について伺います。

○山下建設局長 三宅島では、泥流による新たな被害を防ぐため、三十六の沢に七十五基の砂防ダムを設置する予定でございます。
 工事は、まず被害の著しい箇所から着手しており、昨年十二月に完成した三七沢を含め、今年度末までに、神着地区の川田沢などで十五基が完成いたします。
 さらに、本年一月以降、空港や村役場がある坪田地区の金曽沢、最近被害のあった阿古地区の鉄砲沢などで十三基の工事に着手しております。平成十四年度は、引き続き、伊ヶ谷沢などで七基に着手いたします。
 これによりまして、十五年三月までに三十五基が完成いたしまして、一つの沢を除きまして少なくとも砂防ダムが一基設置されることになりまして、安全性が非常に向上するというふうに考えております。

○古賀委員 終わります。(拍手)

○星野委員長 古賀俊昭理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時休憩

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