東京都議会予算特別委員会速記録第六号

平成十三年三月二十七日(火曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 三十九名
委員長田村 市郎君
副委員長前島信次郎君
副委員長松村 友昭君
副委員長白井  威君
理事古館 和憲君
理事古賀 俊昭君
理事宮崎  章君
理事土持 正豊君
理事山崎 孝明君
理事小林 正則君
羽曽部 力君
服部ゆくお君
林  知二君
木内 良明君
いなば真一君
近藤やよい君
吉田 信夫君
谷口 卓三君
今井 悦豊君
倉林 辰雄君
遠藤  衛君
藤田 愛子君
西条 庄治君
大木田 守君
石川 芳昭君
白井 常信君
比留間敏夫君
沢西きよお君
寺山 智雄君
大山とも子君
曽根はじめ君
清原錬太郎君
大山  均君
野村 友子君
村松みえ子君
桜井  武君
奥山 則男君
渡辺 康信君
木村 陽治君

欠席委員 なし

 出席説明員
知事石原慎太郎君
副知事福永 正通君
副知事青山やすし君
副知事浜渦 武生君
出納長佐々木克己君
教育長横山 洋吉君
警視総監野田  健君
政策報道室長安樂  進君
総務局長大関東支夫君
都立大学事務局長川崎 裕康君
財務局長木内 征司君
主税局長大塚 俊郎君
生活文化局長高橋 信行君
都市計画局長山下 保博君
環境局長中野 英則君
福祉局長高齢者施策推進室長兼務前川 燿男君
衛生局長今村 皓一君
労働経済局長浪越 勝海君
中央卸売市場長大矢  實君
住宅局長戸井 昌蔵君
多摩都市整備本部長田原 和道君
建設局長古川 公毅君
港湾局長齋藤 哲哉君
消防総監池田 春雄君
交通局長寺内 広壽君
水道局長赤川 正和君
下水道局長横山 博一君
選挙管理委員会事務局長南  靖武君
人事委員会事務局長中山 弘子君
監査事務局長久保田康治君
地方労働委員会事務局長歩田 勲夫君
収用委員会事務局長安間 謙臣君

本日の会議に付した事件
 付託議案の審査(討論・採決)
・第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算
・第二号議案 平成十三年度東京都特別区財政調整会計予算
・第三号議案 平成十三年度東京都地方消費税清算会計予算
・第四号議案 平成十三年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計予算
・第五号議案 平成十三年度東京都母子福祉貸付資金会計予算
・第六号議案 平成十三年度東京都心身障害者扶養年金会計予算
・第七号議案 平成十三年度東京都中小企業設備導入等資金会計予算
・第八号議案 平成十三年度東京都農業改良資金助成会計予算
・第九号議案 平成十三年度東京都林業改善資金助成会計予算
・第十号議案 平成十三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計予算
・第十一号議案 平成十三年度東京都と場会計予算
・第十二号議案 平成十三年度東京都都営住宅等保証金会計予算
・第十三号議案 平成十三年度東京都都市開発資金会計予算
・第十四号議案 平成十三年度東京都用地会計予算
・第十五号議案 平成十三年度東京都公債費会計予算
・第十六号議案 平成十三年度東京都新住宅市街地開発事業会計予算
・第十七号議案 平成十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計予算
・第十八号議案 平成十三年度東京都市街地再開発事業会計予算
・第十九号議案 平成十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算
・第二十号議案 平成十三年度東京都病院会計予算
・第二十一号議案 平成十三年度東京都中央卸売市場会計予算
・第二十二号議案 平成十三年度東京都臨海地域開発事業会計予算
・第二十三号議案 平成十三年度東京都港湾事業会計予算
・第二十四号議案 平成十三年度東京都交通事業会計予算
・第二十五号議案 平成十三年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十六号議案 平成十三年度東京都電気事業会計予算
・第二十七号議案 平成十三年度東京都水道事業会計予算
・第二十八号議案 平成十三年度東京都工業用水道事業会計予算
・第二十九号議案 平成十三年度東京都下水道事業会計予算

 第一号議案、第十八号議案、第十九号議案及び第二十二号議案に対する編成替えを求める動議の提出理由説明
・松村 友昭君

 討論
・村松みえ子君
・古賀 俊昭君
・藤田 愛子君
・今井 悦豊君
・林  知二君
・沢西きよお君

○田村委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案までを一括して議題といたします。
 本案につきましては、既に質疑を終了いたしております。
 ただいま第一号議案、第十八号議案、第十九号議案及び第二十二号議案に対し、吉田信夫委員外八名から編成替えを求める動議が、また、第一号議案に対し、羽曽部力委員外二十九名から付帯決議案がそれぞれお手元配布のとおり提出されました。
 案文はお手元に配布してあります。
 案文の朗読は省略いたします。
第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算、第十八号議案、平成十三年度東京都市街地再開発事業会計予算、第十九号議案、平成十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算及び第二十二号議案、平成十三年度東京都臨海地域開発事業会計予算の編成替えを求める動議
 第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算については、知事は、これを撤回し、別記要領により速やかに編成替えをするよう求めるとともに、関連する第十八号議案 平成十三年度東京都市街地再開発事業会計予算、第十九号議案 平成十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計予算及び第二十二号議案、平成十三年度東京都臨海地域開発事業会計予算についても併せて編成替えの上、再提出することを求める。
 右の動議を提出する。
  平成十三年三月二十七日
(提出者)
吉田 信夫 古館 和憲 大山とも子
曽根はじめ 松村 友昭 野村 友子
村松みえ子 渡辺 康信 木村 陽治
予算特別委員長殿
     記
一般会計
 歳入
1 使用料及手数料
 1 平成十二年度に改定された都営住宅の家賃減免制度を元に戻すため(一条例、一規則)、十億円を減額する。
 2 国庫支出金を百五十億二千四百万円減額する。
 3 都債を四百七十一億六千万円減額する。
 4 分担金及負担金、繰入金等を二百四十億九千万円減額する。
 歳出
1 総務費を二億円減額する。
 1 三自衛隊との防災訓練を中止し、総合防災訓練は消防、自治体、住民などを中心とした訓練にするため、二億円減額する。
2 生活文化費を八千五百万円増額する。
 1 男女平等に関する訴訟支援を実施するため、一千三百万円計上する。
 2 東京女性財団への委託を現行通り存続させるため、七千二百万円計上する。
3 都市計画費を二百三十五億六千九百万円減額する。
 1 首都高速道路公団への無利子貸付は、本来公団が自力調達すべきものであるので、貸付金二百三十五億四千三百万円を削減する。
 2 秋留台地域開発をとりやめるため、秋留台地域総合整備事業費を五百万円削除する。
 3 現在、凍結されている住環境破壊の外環計画を中止するため、住民の意思を無視した調査費を二千百万円削除する。
4 環境費を十七億円増額する。
 1 緑地を保全するため、保全緑地の公有化及び保全地域の推進管理費を十七億円増額する。
5 福祉費を六百二十億三千九百万円増額する。
 1 民間社会福祉施設のサービス水準及び職員処遇における公私格差を是正するための必要予算五十億円を計上する。
 2 長期化する三宅島島民の避難生活を支援するため、食費や生活費として、十四億四千万円を計上する。
 3 ひとり親家庭医療費助成を元に戻すため、三億円を増額する。
 4 乳幼児医療費助成の入院給食代を無料に戻すため、二百万円増額する。
 5 児童育成手当を元に戻すため、二億円を増額する。
 6 心身障害者医療費助成を元に戻すため、九十九億円を増額する。
 7 重度心身障害者手当を元に戻すため、九億円を増額する。
 8 心身障害者福祉手当を元に戻すため、二億円を増額する。
 9 障害者福祉会館の現行水準を維持するため、二千万円を増額する。
 10 シルバーパスの全面有料化をやめさせるため、二十億円を増額する。
 11 老人医療費助成(マル福)を六十五歳からの制度に戻すため、五十四億円を増額する。
 12 老人福祉手当を元に戻すため、六十三億円を増額する。
 13 介護保険保険料第一段階の人(生活保護を除く。)の保険料を免除し、第二段階の人の半額助成を実施する自治体に二分の一の補助制度を創設するため、四十億円を計上する。
 14 社会福祉法人等による介護保険利用料減免への支援を都独自に拡充し、対象事業者やサービスを広げ事業者負担の軽減を図るための補助制度を創設するため、四十五億円を計上する。
 15 特別養護老人ホームの補助を平成十一年度水準と同額に戻すため、百五十一億円を増額する。
 16 要支援・要介護に該当しない高齢者へのホームヘルプサービス、デイサービスなど、介護予防、生活支援事業を充実するため、二十億円を増額する。
 17 高齢者いきいき事業の住宅改修を充実させるため、五億円を増額する。
 18 特別養護老人ホームの新規着工を増やすため、特別養護老人ホーム建設整備助成費二十六億三千七百万円を増額する。
 19 高齢者在宅サービスセンターを実施している市区町村に対し、運営費の一部を補助するため、六億円を増額する。
 20 痴呆性高齢者グループホームの設置数を増やすため、整備費補助五億九千万円を増額する。
 21 ケアハウスの新規着工を増やすため、建設費補助四億五千万円を増額する。
6 産業労働費を二十四億二千六百万円増額する。
 1 仕事と家庭の両立支援の事業を検討するため、一千万円を増額する。
 2 中小企業の育児休業支援制度を創設するため、一億円を計上する。
 3 フリーター向けの総合的な相談窓口を開設するため、三千万円を計上する。
 4 若者、学者、企業などの代表により構成される委員会において、若者サポートプランを作成するため、一千万円を計上する。
 5 青年を含む職業教育対策として、技術専門校の定員を拡大するため、五億円を増額する。
 6 失業した勤労者の生活を支えるための生活資金融資制度を創設するため、五億円を計上する。
 7 工業集積地域活性化支援事業の効果を一層高め、補助を拡充(補助率三分の一を二分の一とし、補助額、地域数を拡大)するため、五億円を増額する。
 8 市区町村が独自に計画する商業振興について、事業補助を行うため、商店街活性化総合支援事業三億円を増額する。
 9 「元気を出せ商店街事業」の支援を拡大するため、三億円を増額する。
 10 商工指導所を継続させるため、四千六百万円を計上する。
 11 フランチャイズ商法の実態調査費二千万円を計上する。
 12 野菜供給確保対策の拡充として、野菜価格格差補給交付金の対象枠と品目の拡大を図るため、三千万円を増額する。
 13 鳥獣の被害対策を拡充、強化するため、三千万円を増額する。
 14 苗木購入を増やし、緑化推進を図るため、五千万円を増額する。
7 住宅費を四十七億二千四百万円増額する。
 1 マンション支援策として、老朽診断促進支援事業を創設するため、一千万円を計上する。
 2 都営住宅を新規に四百戸建設するため、六十四億円を増額する。
 3 南多摩尾根幹線事業を当面凍結・再検討するため、整備費を十六億五千四百万円削除する。
 4 現計画を抜本的に見直すため、坂浜平尾地区(稲城市)土地区画整理事業費三千二百万円を削除する。
8 衛生費を十二億四千五百万円増額する。
 1 村山・大和保健所を新設するため、三億円を計上する。
 2 小児慢性疾患等医療費助成の自己負担導入をやめるため、百万円を増額する。
 3 妊娠中毒症医療費助成の自己負担導入をやめるため、百万円を増額する。
 4 身体障害児育成医療等の自己負担額の改定をやめるため、一千百万円を増額する。
 5 大気汚染健康障害者医療費助成を二十歳未満まで拡充するため、二億五千万円を増額する。
 6 大気汚染健康障害者医療費助成の自己負担導入をやめるため、四千二百万円を増額する。
 7 難病医療のうち都単独助成分の自己負担導入をやめるため、二千四百万円を増額する。
 8 被爆者の子に対する医療費助成の自己負担導入をやめるため、百万円を増額する。
 9 小児精神障害者医療費助成の自己負担導入をやめるため、二千七百万円を増額する。
 10 精神障害者通院医療費助成の自己負担導入をやめるため、一億一千八百万円を増額する。
 11 精神障害者の授産施設運営費助成の見直しをやめるため、五千四百万円を増額する。
 12 結核一般医療費助成の自己負担導入をやめるため、五百万円増額する。
 13 各医療費助成の自己負担導入をやめた場合の老人保健法に基づく公費負担金を八百万円増額する。
 14 予防接種健康被害救済制度を継続するため、百万円を増額する。
 15 精神障害者ホームヘルプサービスを平成十一年度水準に戻すため、九千八百万円を増額する。
 16 精神障害者共同作業所運営費補助を充実(新規二十か所分)するため、二億三千六百万円を増額する。
 17 難病患者等居宅生活支援を平成十一年度水準に戻すため、六千八百万円を増額する。
9 土木費を七百九十二億九千六百万円減額する。
 1 交通安全施設整備費を平成十一年度水準に戻すため、四十六億一千四百万円を増額する。
 2 生活道路整備費を平成十一年度水準の半分まで戻すため、九十一億円を増額する。
 3 高速王子線・新宿線建設を抜本的に見直し、王子線関連街路の低公害化など必要な工事に限定するため、首都高速道路関連街路整備費を五割削減し、四十七億七百万円減額する。
 4 環状八号線、調布保谷線など、区部幹線道路や多摩南北道路の建設を全面的に見直す立場から、骨格幹線道路整備費を五割削減し、三百六十四億二千五百万円減額する。
 5 道路事業に対する直轄事業負担金百六十一億五千二百万円を削除する。
 6 臨海副都心開発を抜本的に見直す立場から、晴海通りの延伸(晴豊一号橋など)や環状二号線の臨海都市基盤関連街路整備費を三十一億六千六百万円削除する。
 7 河川事業に対する直轄事業負担金百二十三億八百万円を削除する。
 8 緑の相談所五か所を復活するため、八千六百万円を計上する。
 9 市街地再開発事業会計への繰出金中、環状二号線地区、北新宿地区等の事業を凍結・再検討するため、六十三億九千五百万円を減額する。
 10 臨海都市基盤整備事業会計への繰出金中、晴海地区土地区画整理事業化のための検討調査費を一千万円削減する。
 11 汐留、秋葉原地区の土地区画整理事業費を削除し、百三十九億三千三百万円減額する。
10 港湾費を三百十六億三千二百万円減額する。
 1 臨海道路建設を凍結するため、東京港臨海道路建設費を百二億六千百万円削除する。
 2 当初計画を全般的に見直すため、新海面処分場建設費を二百一億六千百万円削除する。
 3 湾岸費の直轄事業負担金を削除し、十二億一千万円を減額する。
11 教育費を十億五千万円増額する。
 1 三十人学級移行への準備調査費五千万円を計上する。
 2 小中学校校舎等の老朽化に緊急対応するため、初年度分五十校分の施設整備費補助制度を創設するため、五億円を計上する。
 3 小中学校校舎の耐震診断と補強の実態を掌握し、整備困難な区市町村に対し補助制度を創設するため、五億円を計上する。
12 学務費を三十一億円増額する。
 1 私立学校の経常費補助を三十一億円増額する。
13 各款共通の同和対策事業費を三十四億五千万円減額する。
14 諸支出金を二百五十四億九千六百万円減額する。
 1 社会資本等整備基金への積立金を二百五十四億九千六百万円削除する。
市街地再開発事業会計
 歳入
1 一般会計からの繰入金六十三億九千五百万円を減額する。
 歳出
1 市街地再開発事業費六十三億九千五百万円を減額する。
臨海都市基盤整備事業会計
 歳入
1 一般会計からの繰入金一千万円を減額する。
 歳出
1 臨海都市基盤整備費一千万円を減額する。
臨海地域開発事業会計
 資本的支出
1 埋立事業費七十一億八千百万円を減額する。
付帯決議案の提出について
第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算
 右議案に付する付帯決議案を別紙のとおり東京都議会会議規則第六十五条の規定により提出します。
  平成十三年三月二十七日
(提出者)
羽曽部 力 服部ゆくお 林  知二
木内 良明 いなば真一 近藤やよい
谷口 卓三 今井 悦豊 倉林 辰雄
遠藤  衛 藤田 愛子 西条 庄治
大木田 守 石川 芳昭 白井 常信
前島信次郎 古賀 俊昭 比留間敏夫
沢西きよお 寺山 智雄 田村 市郎
宮崎  章 清原錬太郎 大山  均
土持 正豊 桜井  武 白井  威
山崎 孝明 奥山 則男 小林 正則
予算特別委員長殿
第一号議案 平成十三年度東京都一般会計予算に付する付帯決議案
 1 男女平等参画基本条例の趣旨を踏まえ、都民、事業者を含め一党一派に偏しない総合的な男女平等施策を推進すること。また、財団法人東京女性財団については、存廃を含めその在り方を根本的に見直す検討が行われるよう配慮するとともに、そのための必要な対応策を講ずること。

○田村委員長 本動議及び本付帯決議案をあわせて議題といたします。
 この際、編成替え動議の趣旨説明のため発言を求められておりますので、これを許します。
 松村友昭副委員長。

○松村委員 私は、日本共産党都議団を代表して、ただいま提出いたしました第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算及び第二十二号議案、平成十三年度東京都臨海地域開発事業会計外二議案の編成替えを求める動議について、提案理由の説明を行います。
 今、日本経済は、放置することができない、深刻で新しい危機に直面しています。この最大原因は、自民党中心の政治が、一九九七年以来、日本経済の六割を占める個人消費を痛め続け、冷え込ませる経済失政を繰り返してきたからにほかなりません。しかも、政府が進めてきた社会保障の相次ぐ切り下げは、都民生活にかつてない苦渋の生活を押しつけています。加えて、来年度政府予算では、七十歳以上の老人医療費負担増、六十五歳以上の介護保険料を半額にする経過措置の打ち切り、六十歳以上の年金の賃金スライド停止など、二兆円もの新たな負担を高齢者にもたらそうとしています。
 こうしたもとで政治に求められているのは、福祉、社会保障をめぐる深刻な事態をどう打開するかであり、住民生活に密着した自治体にとっても、どのように都民の暮らしと福祉を守るのかが問われています。
 ところが、今定例会に提案されている来年度東京都予算案は、昨年三月議会で強行した福祉切り捨てを実行するものとなっていることです。老人医療費助成と老人福祉手当が廃止に向けてさらに削られ、シルバーパスも今年度に全面有料化され、ことし五千円だった人は一万円に引き上げられます。重度障害者手当の削減も本格的に始まろうとしています。
 一方、昨日の質疑で知事も破綻を認めざるを得ない臨海副都心開発や幹線道路建設など、財政難の原因である大型公共事業は相変わらず温存され、投資型経費は、首都高速道路公団などへの貸付金なども含めれば、一兆一千億円と、いまだバブル前の二倍近くの水準になっています。その一方で、重点化の名のもとに減らされているのは、生活道路や新規建設ゼロの都営住宅など、都民生活に密着した事業が中心です。
 借金に依存した大型公共事業が継続されている結果、都債の残高は来年度一般会計だけで二千八百八十億円もふえ、都債の残高、すなわち借金は一兆七千五百八十億円と、史上最高の記録を塗り変えるものとなります。
 このような予算が、都民の願いに背を向け、都民の暮らしに役立たないことは明らかであり、我が党は、知事がこれ以上の福祉の後退を許さず、切り下げられた福祉をもとに戻すこと、介護保険料、利用料の減免を実施することなどを中心に予算案を編成替えして再提出することを求めるために、ここに動議を提出するものです。
 今回示した編成替え案は、都政を都民が求める方向へ転換する上で、税収増を活用し、福祉をもとに戻すなど、まずこれだけは踏み出すべきだという最小限の項目に絞り込んだものです。編成替えの対象も、一般会計予算案を中心とし、他の会計の編成替えは、関連して修正が必要となるものにとどめました。
 以下、予算編成替えのポイントについて説明させていただきます。
 第一は、シルバーパス全面有料化、老人医療費助成、老人福祉手当の廃止、障害者やひとり親家庭の医療費助成への本人負担導入など、切り下げられた福祉をもとに戻すことです。
 今年度から実施された経済給付的福祉事業の切り下げは、年金暮らしの高齢者、障害者やひとり親家庭など、行政の支援が最も必要な人たちを直撃し、その命綱を奪うものです。一年が経過し、都民生活に及ぼすその影響の重大さ、道理のなさが改めて明らかになりました。福祉の切り下げはやめ、かけがえのない制度をもとに戻します。
 シルバーパス全面有料化は、住民税非課税の人への負担の押しつけと所得制限強化で、十万五千人から無料パスを取り上げる結果となりました。シルバーパスは、高齢者の生活と社会参加の権利を保障し、敬老の理念を込めたものであり、無料パスを復活します。
 マル福と老人福祉手当は、低所得者への何らの配慮もなく、段階的に廃止とされています。こうした段階的廃止計画は中止し、マル福は六十五歳からの制度に戻します。老人福祉手当は削減をやめ、介護保険実施後の寝たきり、要介護高齢者のサービス利用状況や利用料負担の実態を踏まえ、必要な拡充を行います。
 障害者への医療費助成、重度・福祉手当、児童育成手当の切り下げをやめます。生きることと医療費が切り離せない障害者にとって、医療費助成や重度手当などの切り下げは、生存権にかかわる問題です。とりわけ切り下げの被害が集中する重度障害児の家庭では、重度手当、医療費助成、児童育成手当を同時に取り上げられ、年百万円を超える負担増にもなる場合もあることが改めて明らかになりました。
 ひとり親家庭、公害患者などの医療費助成の負担強化をやめ、特別養護老人ホームへの都独自の補助を増額します。
 介護保険実施と同時に、都独自の補助が大幅に削減され、東京の特別養護老人ホームの多くが運営が苦しくなり、職員の削減や利用者サービスが後退する事態となっています。長年にわたり築いてきたサービスを維持できるようにします。
 予算編成替えの第二のポイントは、限られた財源を有効に生かし、介護保険の減免、雇用、営業、子育てなど、緊急で切実な都民要求を実現することです。
 重過ぎる保険料負担、利用料の負担で、保険料の未納、サービスの利用抑制などの深刻な事態を生んでいる介護保険については、都内三十八自治体が何らかの減免制度に踏み出し、都としての対策が急がれています。都として、保険料、利用料の減免を実施します。
 同時に、福祉改革推進プランで、障害者施策整備などについて拡充は見られるものの、老人保健施設やショートステイなど、全国最低水準の介護基盤を引き上げるための予算を積極的に確保します。
 深刻な不況、リストラの直撃を受けている都民、中小企業を応援するために、青年の雇用確保のためのフリーター向け総合相談や、若者サポートプラン、工業集積地域活性化事業の継続、元気出せ商店街事業の拡充などを行います。
 子どもたちが基礎学力を身につけ、楽しく学校生活を送れるよう、三十人学級への準備予算や、切り下げられた私学助成の復元などを行います。
 女性財団や商工指導所、緑の相談所などの都民生活に密着した事業の廃止や縮小を許さず、存続させます。
 昨年強行された都営住宅家賃の減免制度の改定は、所得の低い居住者に深刻な打撃を与えており、もとの制度に戻します。
 第三のポイントは、臨海副都心開発を初め、不要不急の公共事業にメスを入れることです。
 都の財政難の最大の原因は、バブル崩壊後、税収増が大幅に減少したにもかかわらず、借金に依存した大型開発を継続したことにあります。このため、一般会計だけで七兆円を超える借金を抱え、そのための借金返しは、来年度五千億円を超える規模になっています。来年度予算案は、この点を反省してメスを入れるのではなく、もっぱら都民施策にしわ寄せするだけで、肝心の大型公共事業は、重点化と称して温存、拡大しています。
 長野県知事の脱ダム宣言、大阪府の開発行政の見直しなど、公共事業の見直しは時代の流れ、全国の自治体の流れになりつつあります。この立場から、破綻が明白な臨海副都心開発は、来年度五年目の見直し時期に当たることからも、一たん事業を凍結し、都民参加で抜本的に見直します。あわせて、関連する幹線道路建設などの予算も削除します。
 住環境破壊、都財政難をもたらす幹線道路や大企業奉仕の環二再開発や汐留地区区画整理などの大型公共事業を縮小し、財源を確保するとともに、生活道路や交通安全施設などの生活密着型公共事業の予算を拡充します。
 本来都が負担すべきではない首都高速道路中央環状線の無利子貸付や国直轄事業負担金などは原則として削除するなど、財政支出の適正化に努めます。
 税収増で積み立てを積極的に行う社会資本整備基金は、過大なものとせず、適正な規模に抑制します。
 以上のポイントで予算編成替えを行った結果、浪費とむだを削り、生み出された一般財源七百億円を、福祉、暮らし切り捨てをもとに戻し、都民施策の充実を図る財源に充て、予算の均衡を図りました。
 また、借金財政から抜け出し、都民本位の財政再建に踏み出すため、大型公共事業を中心とした投資的経費の削減と生活密着型公共事業の差し引きで、都債発行を四百七十二億円減額しました。この結果、一般会計予算の規模は六兆一千百八十七億円となります。
 編成替えの規模は一般会計予算の二・九%程度ですが、都がこの方向に踏み出すことは、必ずや都民の皆さん方の願いにこたえるものと確信するものです。
 委員の皆さんがこの動議にぜひご賛同くださるよう心から呼びかけまして、提案理由の説明といたします。(拍手)

○田村委員長 松村副委員長の説明は終わりました。

○田村委員長 これより討論を行います。
 討論の通告がありますので、順次発言を許します。
 村松みえ子委員。

○村松委員 私は、日本共産党都議団を代表して、第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算案外九議案に反対、予算組み替え動議に賛成の立場から討論を行います。
 戦後最悪の不況、リストラに都民が苦しんでいるとき、求められたのは、今年度に引き続き来年度見込まれる四千八百億円の都税の増収を活用して、都民の暮らし、福祉を最優先に予算を編成することでありました。
 しかし、提案された予算案は、昨年に引き続き財政再建推進プランに基づいて、シルバーパスの全面有料化、老人医療費助成、老人福祉手当などの段階的廃止という福祉切り捨てをさらに推し進める福祉切り捨て実行予算であり、その是非が当予算委員会で鋭く問われました。
 知事は、二〇〇〇年度から毎年六千億円から七千億円、四年間で二兆一千億円の財源が不足するという理由で、これらの経済給付的福祉切り下げを行いましたが、我が党が示したように、今年度と来年度だけで八千四百億円に上る都税の増収や、過大な減債基金の見直し、さらには国直轄事業負担金の適正化などによって財源不足は生じないことは明らかであります。さらに、二〇〇二年度、二〇〇三年度についても、ふえる税収などに加え、投資的経費をバブル前に抑えることなどによって財源不足を避けられることも明らかとなりました。
 このように、福祉切り下げを進めるに当たって策定された財源不足という財政再建推進プランの最大の根拠が、計画初年度から大きく崩れたわけですから、これに基づいて計画された福祉切り下げ計画を凍結し、見直すことは、当然の道理であります。
 また、財源不足論が破綻したもとで、都が新たに持ち出してきた一兆円の隠れ借金も、本来一般会計に納付すべき借入金や実態のない基金事業、きょう、明日にでも緊急に解決しなければならない借金ではないもの、減債基金が過大に設定されていることなど、説得力に欠けるものばかりであります。
 また、都は、福祉施策の切り下げを行うに当たって、経済給付的事業は時代おくれとなったとの論拠を打ち出しましたが、その後一年が経過した今日の時点に立って、我が党は、質疑を通じて、制度が果たしている今日的役割、制度の持つ意義など改めて掘り下げ、本格的高齢社会を迎える上で、むしろ拡充こそが急がれていることを明らかにしました。
 シルバーパスの全面有料化では、これによって家の中での引きこもりが多くなったり、また、老人医療費助成の段階的廃止によって診療抑制が生まれるという深刻な事態が生じており、この制度が、高齢者、とりわけ所得の低い人や障害者の生活に欠かせない制度となっていることを、我が党は事実をもって示しました。
 さらに、高齢者が裕福という理屈についても、無年金者や低年金の高齢者が広く残されている日本の現状から見ても、世界の先進国では経済給付事業が主流となっているという点からも、また、全国の主要都市でも老人医療費助成や無料パスが守られているという事実からも、都のいい分の道理と根拠のなさを明らかにしました。にもかかわらず、知事が福祉をもとに戻してほしいという都民の願いにかたくなに背を向け続けていることに怒りの声が寄せられるのは、当然であります。
 経済給付的事業の意義と現実的必要性が我が党の質疑を通じて浮き彫りになる中で、知事は、生活保護を受ければいいという発言を繰り返されました。この点についても、質疑を通じて、日本の生活保護制度が世界と比べて大きく立ちおくれていること、実際に保護を受けたくても、葬式のために残してあるお金が問題にされるなど、受けられない実態が多く存在していることも指摘しました。実際に五年前の豊島区の母子餓死事件など、十三年間で二百十八人も餓死者が生まれているのであります。
 保護を受けずに、わずかな年金収入でも自立して生きている高齢者に支援を強めることこそ、行政の役割であります。都の財政負担が少なくなれば、あとはどうでもいいというのは許されません。
 また、福祉改革推進プランで示された障害者施設整備などの充実については、我が党は評価しつつも、東京が全国主要都市と比べても、老人保健施設など介護基盤整備などで大きく立ちおくれていることも指摘して、この分野でも都がもっと力を入れなければならないことを提案しました。この点では、まさに福祉局長の、両方できればそれにこしたことはないという答弁と同じ立場です。この点でも、我が党の提案は、ふえた税収を活用すること、さらには大型公共事業に偏った税金の使い方を改めるということで、福祉をもとに戻すことと、介護や障害者のための基盤整備の両方を進めるという現実的なものであります。
 スタートして一年を迎える介護保険制度についても、我が党は、保険料、利用料の減免を中心に、解決が迫られている問題についてただしました。特に緊急の課題となっている減免について、重い負担がサービスの利用抑制を呼んでいる実態を初め、既に三十八の自治体が何らかの減免制度に踏み出していることなどを紹介し、対応を求めました。これに対して、介護施設における国の制度に基づく減免への都としての独自の支援が、当予算特別委員会の場で表明されたことは重要であります。これは、介護保険について都が積極的にかかわって支援を行うことが当然の仕事であることを、都自身が認めたものであります。
 しかし、これはまだほんの一歩であり、我が党は引き続き、国政の場でも保険料、利用料の減免の実現に努めるとともに、東京都が制度の問題を正すための施策を積極的に実施するよう求めていくものであります。
 来年度予算案で問われたもう一つの問題は、全国自治体で大きな流れとなりつつある大型公共事業に偏った税金の使い方を改めるかどうかでありました。
 この点について、我が党は、昨日の質疑で、都政における浪費とむだの典型として臨海副都心開発の問題を取り上げ、土地利用が進んでいないこと、今後計画どおりに土地利用が図られたとしても、採算がとれず、さらなる都財政投入が避けがたくなることを指摘したのに対して、知事はその現状を認められました。
 知事、破綻の現状についての認識は一致しているわけですから、計画を凍結して、情報を都民に提供し、抜本的に見直しを行うことを我が党が求めることは当然であります。この破綻処理に当たっての我が党の見解は、昨日述べたとおり、負の遺産として都民に告知するとともに、国による支援、銀行による債務放棄など、応分の責任を負ってもらうことであり、その上で都として中長期的に解決を図っていくというものであります。
 また、都財政を大きく圧迫している汐留や環状二号線などの都市再開発、幹線道路などの大型公共事業の見直しも緊急の課題であることを指摘しておくものです。
 また、首都高速道路公団への無利子貸付金や国直轄事業負担金など、本来東京都が負うべきでない支出を適正化することで、切り捨てられた福祉をもとに戻すことや、介護保険の減免に踏み出すことが十分可能であることも質疑を通じて明らかにされ、知事も是正する旨答弁がありましたが、早急に改善を図られるよう要望しておくものです。
 長引く不況とリストラのもとで、都民の暮らしと営業は厳しい毎日を強いられています。知事は、与党三党の緊急経済対策について、国において議論すべきとの趣旨の発言をしましたが、その内容は、日本経済を立て直す上で欠かせない個人消費の拡大のための措置はとられず、株買い上げ機構や不良債権処理など、大企業・ゼネコン救済の色彩の濃いものであり、また、都市再生による新たな公共事業の拡大が盛り込まれているもので、都政にも深くかかわりを持つものであり、無関心であっていいわけはありません。
 日本共産党は、自民党が進めた消費税増税、社会保障改悪、大企業のリストラ支援という失政を告発するとともに、消費税を三%に引き下げ国民の消費購買力を直接応援する、社会保障の連続改悪を凍結し将来不安をなくす、リストラを抑え、中小企業を支援する政治で雇用危機を打開するという三つの分野での転換を提案しています。都政においても、こうした立場から都民生活を支援することが急がれております。
 我が党が提案している来年度予算案の組み替え動議は、以上の立場を踏まえるとともに、切り捨てられた福祉をもとに戻すこと、介護保険の減免に踏み出すことを中心に、青年の雇用確保のためのフリーター支援や、工業や商店街の生き残り支援、子どもたちに基礎学力を保障するための三十人学級への準備予算、私学助成などを盛り込んだもので、大型公共事業の予算を抑制し、全体として予算案の二・九%を充てることで都民施策を守る方向に踏み出せることを示したものであります。各会派のご賛同を求めるものであります。
 最後に、この予算特別委員会で繰り返し公党を誹謗する発言が行われたことについて申し述べておきます。
 自民党、公明党などがシルバーパスの全面有料化などの福祉切り下げの事実を否定し、銀行課税、ディーゼル規制、水道料金の値上げ阻止などで我が党が果たした役割をうそなどと攻撃する質疑も行われましたが、それらの攻撃のいずれもが事実に反していることが、我が党の道理ある反論によって浮き彫りにされました。
 まず、シルバーパスについて、千円の負担が、事務手数料という名目をつけようが、有料化そのものであった事実は動かせません。また、老人医療費助成、老人福祉手当の段階的廃止については、一言も口にすることができないのであります。四年前の都議選でシルバーパスの現行どおりの存続や老人医療費助成をなくすわけがないとした公約を投げ捨てた責任こそ問われているのであります。
 また、銀行課税やディーゼル規制については、我が党が提案した趣旨がその後施策として生かされたことは、我が党の提案が道理もあり、根拠もあるからこそ、こうした道が開けるに至ったことは明らかであります。
 さらに、水道料金についていえば、水道局が、我が党への説明の中で、資金収支が不足を説明し、値上げを検討していると述べたことは、打ち消せない事実です。昨日の公明党土持委員の質疑の中でも、水道局長は、水道料金を据え置くこととしたと述べたように、料金値上げを含めた検討の結果、見送ったことを認めているのです。土持委員自身、料金改定を見送ったというふうに認識していると表明されているのであります。大体、財政見通しで、累積収支を大幅に不足とすることは、料金改定の前提であることは、自民党、公明党なども賛成した九四年の値上げを初め、大幅値上げの際の通例であります。
 知事のハイエナ発言についてでありますが、これは公党を誹謗するものであると同時に、議会の品位をも汚すものであることは明白です。
 また、昨日、知事が、私の名誉のために申しておきますが、として発言された問題についても、事実は、昨年一月二十八日の予算復活要望の席で、我が党木村幹事長が、知事に対して、都が土地開発基金を廃止したことについて、日本共産党の提案が生かされたものと紹介したことについて、知事自身が助かっていると発言されたもので、その事実は、同席した我が党議員全員が聞いているのであります。
 助かっているとの知事の発言は、紛れもない事実であります。田中都議の名誉のために申し上げて、討論を終わります。(拍手)

○田村委員長 古賀俊昭理事。

○古賀委員 私は、都議会自由民主党を代表して、本予算特別委員会に付託されました第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算案に付帯決議を付して賛成し、そのほか知事提案の全議案に対し賛成する立場から、また、日本共産党から提出された編成替えを求める動議に反対する立場から討論を行います。
 我が国の経済状況は、個人消費の横ばいや失業率がこれまでの最高水準で推移するなど、景気は依然として低い水準で足踏みを続けています。現在、こうした状況を踏まえ、政府与党は都市再生を実現するための緊急経済対策を打ち出すとともに、日本銀行も量的金融緩和に初めて踏み切ることとしております。
 都においても、知事が、日本全体の景気浮揚のために、首都圏の再生が日本のよみがえりにつながるとして、五年間で総額十兆円を投資する緊急対策事業を国へ提言するなど、現状打開への道を必死になって探っています。まさにこのような厳しい状況の中で、平成十三年度予算はその第一歩を踏み出そうとしております。
 その平成十三年度予算案の財政規模を見ると、一般会計は六兆二千六十億円、前年度当初予算に比べて二千百八十億円、三・六%の増となっております。これに特別会計、公営企業会計を合計した都全体の予算額は、十一兆八千七百六十二億円、対前年度千五十三億円、〇・九%の微増となっております。
 知事は、今回の予算を、財政再建推進プランの前半の到達点として、その着実な実行を図ることにより、首都東京の再生を目指す予算として編成しました。
 我々も、今回の予算を、厳しい内部努力を継続し、福祉の再構築を行うなど財政構造改革を本格的な軌道に乗せるとともに、首都東京の再生に向け、ディーゼル車対策など、都政の緊急課題に果敢に挑戦した予算であると評価しております。
 それでは、本定例会の中で行われた議論等を踏まえながら、こうした十三年度予算の各分野の重要事項について申し上げます。
 歳入についてであります。
 まず、都税収入についてであります。
 平成十三年度当初予算案における都税収入は四兆三千九百四億円と、前年度に比べて四千八百十九億円、一二・三%の大幅な増となっております。これは、情報技術関連業種を中心とした企業の収益改善や、銀行業等に対する外形標準課税の導入による法人二税の伸びによるものでありますが、依然景気の先行きは不透明であり、今後の税収については楽観視することができる状況にはないことを覚悟すべきであります。
 次に、都債についてであります。
 都債については、投資的経費の削減等により、平成十三年度予算においては、三千五百七十七億円で、前年度と比べ一〇・三%の減と、二年連続の減少となり、起債依存度も五・八%と低下しております。
 しかし、十三年度末の都債残高は七兆七千五百八十億円となる見込みであり、今後都債の償還費が急増することを踏まえれば、引き続き都債発行の抑制に努めるとともに、減債基金への積み立てなど、将来の公債費負担に対する備えに万全を期していただきたい。
 次に、基金についてであります。
 十三年度予算においては、都税の増収を活用して、財政調整基金や社会資本等整備基金の積み立てを行うなど、財政基盤の強化を図っておりますが、今後も財政構造改革を着実に進めるという観点から、このような取り組みを積極的に行っていくべきであります。
 また、減債基金については、今後急増する都債償還に対応できるよう、可能な限り速やかに規定どおりの積み立てに戻し、減債基金の機能確保を図っていくことを要望いたします。
 歳入の最後に、税財政制度の改善について申し上げます。
 長年の懸案であった地方分権が昨年の四月より施行されたにもかかわらず、肝心の財源の移譲が行われなかったことはまことに遺憾であります。
 今後も、我々は、地方税財政制度の改善を目指す東京都議会議員連盟等の活動を通じて、地方税財政制度の抜本的な改革のために、国から地方への税源移譲を図り、財政自主権の確立を実現すべく、国に強く働きかけていく所存です。
 次に、歳出について申し上げます。
 初めに、新しい時代における福祉施策の再構築についてでありますが、我が会派は、時代の要請にこたえられる福祉を実現するため、昨年十二月に福祉改革の緊急提言を行いました。
 そうした要望を踏まえ、心身障害者施設の整備や、痴呆性高齢者グループホームの整備とともに、認証保育所の創設、乳幼児医療費助成制度の就学前児童までの対象拡大、さらには東部療育センターの建設など、幅広く新規事業を含めた施策展開が図られたこと、また、介護保険制度に関して、低所得の方々に社会福祉法人等による利用者負担の軽減措置を活用するための支援策を我が党が提案したのに対し、知事の前向きの答弁とあわせて評価するものであります。
 しかしながら、共産党の編成替えを求める動議については、これまでの福祉施策の継続を頑迷に固執し、私ども都議会の議決を得、市区町村も含めて着実に実施している案件について、もとに戻せなどと主張していることは、全く時代認識を欠く、無責任きわまりない議論であり、到底容認できないものであります。
 ただ単に都民に冷たいとか福祉切り下げなどとスローガンを繰り返すだけでは、何も主張も提案も行っていないのと同様であります。要するに、共産党は、国民の不安と不満をかき集めて、勢力を拡大しようとしているにすぎないのであります。
 今後も、行政がすべてを組み立てる福祉から、利用者指向の開かれた福祉への転換を図る福祉改革推進計画に基づき、利用者がみずからサービスを安心して選択できる福祉、民間企業、NPO、社会福祉法人など多様な事業者間の競い合いによるサービスの向上がある福祉、そして、市区町村などの身近な地域の特性を生かした福祉を目指し、引き続き、福祉改革の取り組みを強力に推進することを要望いたします。
 次に、産業政策についてですが、都においても、大型倒産や雇用不安が続き、前途容易ならざる状況にあります。
 意欲を持った中小企業や個人の経営革新や起業、創業等を支援するとともに、厳しい雇用情勢に対応し、円滑に再就職や転職できるよう就業機会の確保を図るなど、中小企業を初めとする都内産業の活性化や都民生活の安定を強く要望するところであります。
 次に、教育問題についてであります。
 教育は国家百年の大計ともいわれ、今、子どもたちに対する教育をきちんと行うことは、我々大人の子孫に対する責任であります。
 徳目教育の重視など、石原知事の提唱する心の教育の積極的な展開を図ることにより、思いやりの心のある、社会の基本的な決まりや合意を守る子どもを育成していかなければなりません。また、豊かな個性や能力を伸ばすため、都立高校改革や都立四大学の統廃合を含む抜本的な改革など、多様な手法により、教育の充実を図っていく必要があります。
 次に、環境対策について申し上げます。
 環境問題への対応は、今後ますます重要になってきております。都民の健康に大きな影響を及ぼす自動車公害については、国の対応が遅々として進まない中、ディーゼル車対策を中心に、自動車の低公害化を進め、自動車排出ガス対策などを引き続き大胆に実施していく必要があります。また、温暖化対策やフロン対策などの地球環境問題に対しても、都として積極的に取り組むことを要望いたします。
 次に、東京のまちづくりについて申し上げます。
 首都東京の活性化を図り、経済効率を高めていくためには、依然としておくれている東京の社会資本整備を進めていくことが重要であります。
 道路、鉄道の都市基盤施設は、産業の活性化や国際競争力の向上に資するだけではなく、地域の生活環境の質を高めるものであり、その整備に積極的に取り組んでいくべきであります。
 環状八号線などの区部の環状道路や多摩南北方向の幹線道路の整備を推進するとともに、鉄道の連続立体交差事業の一層の促進を図ることを要望いたします。また、通勤混雑の緩和に加え、都心部へ集中する業務機能を分散し、機能的な都市構造へと再編するため、東京臨海高速鉄道や日暮里・舎人線、さらには常磐新線など、鉄道の整備も重要であります。
 次に、臨海副都心開発についてでありますが、臨海副都心は、東京の魅力と活力を創造していくためにも重要な地域の一つであり、この開発を着実に進めていくことは、首都東京の活力と創造力を生み出す上でも極めて重要であると考えます。
 しかるに、共産党は、動議の中で、臨海副都心開発を相変わらず破綻していると決めつけ、浪費、むだ遣いの象徴として扱うなどということは、臨海副都心開発の意義や仕組み等を全く理解していない無責任な批判であり、これまた到底許せるものではありません。
 臨海副都心開発については、今後とも収入支出両面であらゆる改善策を講じ、大胆な改革に取り組みながら、交通網の整備などの都市基盤整備や事業者誘致などを積極的に推進していく必要があります。
 最後に、財団法人東京女性財団について申し上げます。
 東京女性財団については、財団設立の原点に立ち返り、存廃を含めて、そのあり方を見直すための検討が行われるよう配慮するとともに、必要な対策を講じることを要望し、付帯決議を付すことにいたしました。
 平成十三年度予算案等に関連して申し上げてきましたが、我が都議会自由民主党は、このような危機的な財政状況にあっても、東京の再生により、都民一人一人が希望や夢を持ち続けられるような輝かしい社会を築き上げていくことを責務として、今後も引き続き、少子高齢社会への対応や都市基盤整備の促進、景気対策、環境対策、教育正常化などの都政の重要課題に対し、その課題克服に向けて努力を惜しまず、鋭意取り組んでまいります。
 以上をもちまして私の討論を結びます。(拍手)

○田村委員長 藤田愛子委員。

○藤田委員 私は、生活者ネットワーク都議団を代表して、当委員会に付託された第二十二号議案、平成十三年度臨海地域開発事業会計予算に反対、第一号議案、平成十三年度一般会計予算に付帯決議を付して賛成、他二十七議案に賛成する立場から討論を行います。
 平成十三年度予算編成の作業は、一定の税収の回復があったものの、長引く景気低迷状況の中で行われました。この中で、実質収支は二年連続赤字となりました。むろん、都は財政再建プランのもとに財政改革を進めてきましたが、さらに優先課題を鮮明にする必要があります。
 私たちは、都の財政改革の方向は、将来世代に現在のツケを残さないということを基本にすべきというふうに考えています。このため、依然高い水準にある投資的経費を抑制し、公債費負担をコントロールしていくこと、投資の中身も事前事後の事業評価を徹底して行うことを前提に、不要不急の事業をやめて、地域の雇用にもつながる福祉型重視の投資に転換していくべきと考えています。
 新しい二十一世紀を見据えた施策展開のポイントの一つは、NPO、市民活動との連携だと考えます。介護保険の導入に当たって、NPO、いわゆる住民参加型市民活動との連携が進みました。地域の公共政策にとっては、市民活動は大きな一つの政策主体であり、不可欠です。私たち生活者ネットワークは、こうした新しい公共域を支援し、自治、分権を柱に都政運営を進めることが、新しい世紀の初頭に当たっての課題であると考えます。
 本議会の一つの焦点は、女性財団の存続をめぐってでありました。
 何より、なぜ女性財団のみが廃止の対象となったのか、極めて疑問であります。さらに、その判断が財政的側面のみで、しかも、構成団体としての都の責任を問わないことは、姿勢としても問題といわなくてはなりません。これからの社会に求められている行政とのパートナーシップや、NPO、NGOとの連携によって社会づくりをしていく先駆的な活動がこの女性財団にあったことは、評価されこそすれ、廃止を性急に結論づける根拠にはなり得ないのです。
 本議会の質疑と付帯決議によって、廃止を延期し、十三年度中の検討となりました。予算が十分盛り込まれない状態で、厳しい状況に置かれたといえます。市民と行政のパートナーシップとして、これまで果たし、そして今後果たすであろう役割をもう一度評価をし、条件整備しつつ、存続の方向で検討すべきであることを強く主張いたしたいと思います。
 次に、臨海副都心開発についてです。
 今回、港湾局が所管する三会計の統合が提案されました。まず、問題の第一は、平成九年二月の見直しによる長期収支が事実上破綻しているにもかかわらず、その総括や分析の前に、会計統合という莫大な収支上の相殺効果、すなわち、都民財産の損失が提案されていることです。今回の措置によって、約一兆円を超える財産が帳簿から消されます。もちろん、一般会計ではなく、公営企業会計のものでありますが、都民の財産にほかなりません。都民に対する代替案可能な情報公開、情報提供があり、説明責任が果たされてこそ、公平で多元的な議論が可能になります。
 第二の問題は、事業計画そのものの見直しに踏み込む方向性が示されていないことです。
 副都心地域の域内基盤整備など整備がほぼ終了しているとはいえ、広域交通基盤の整備などの投資が残されています。しかも、平成十四年に臨海高速の大崎延伸が完成するとはいえ、平成十五年には戦後最大のオフィス供給が発生します。その八割が都心三区に集中しており、価格においても、利便性においても、副都心地域の土地処分をめぐる環境は厳しいといわなくてはならず、事態は楽観できないのです。将来世代へのツケを残さないためにも、より都民への説明責任が問われるといわなくてはなりません。事業収支の見直しを行うなら、当然事業計画そのものの見直しを行うよう強調いたしておきます。
 最後に、本委員会での質疑、とりわけ答弁者席に座られている方々の態度について一言申し上げます。
 本委員会の質疑の中で、これまでの都議会では考えられなかった、答弁者席からのやじや、答弁中の態度の悪さが散見されました。有権者の信託による地位にある者同士のやりとりは、最終的に公職選挙を通じた評価にゆだねられるわけですが、議会の同意あるいは知事の任命による者は、この審判がないために、別の品格と倫理が問われるべきであるというふうに考えます。
 個々に強い反省を促して、生活者ネットワークの討論といたします。(拍手)

○田村委員長 今井悦豊委員。

○今井委員 私は、都議会公明党を代表して、本予算特別委員会に付託されました第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算外二十八議案、自民、公明、民主、無所属クラブ、生活者ネット提出の平成十三年度東京都一般会計予算に付する付帯決議案に賛成し、共産党提案の一般会計予算組み替え動議については反対の立場から討論を行います。
 平成十三年度東京都予算案は、一般会計が六兆二千六十億円で、三年ぶりに対前年度比三・六%増となりましたが、一般歳出は、対前年度比〇・三%増とほぼ横ばいとなり、堅実な予算となっております。
 歳入面では、知事の英断により導入した銀行業等に対する外形標準課税及びIT業種等の法人課税の伸びに支えられ、税収が大幅な伸びを示しておりますが、財政再建の途上にあることを視野に入れ、一層着実な財政運営に当たることが望まれます。
 今後、減債基金積み立ての一部見送りや他会計からの借り入れによって生じる隠れ借金が累計で一兆円に上っていることや、加えて、十四年度から飛躍的に膨れ上がる都債償還費、退職手当や既存の社会資本の維持更新等に要する経費の増嵩等を考えるならば、都財政の先行きはなお予断を許さないものがあります。
 しかも、最近の米国経済の減速により、我が国経済も大きな影響を受けることが懸念され、都財政への影響も憂慮されます。したがって、今後とも、積極的な財政構造改革への取り組みが必要となることはいうまでもありません。
 我が党は、この新年度予算編成に当たり、徹底した行財政改革で都の財政構造を変革すると同時に、少子高齢化社会への対応や東京の活性化に必要な予算に十分な配慮をすべきであると主張してまいりました。
 都が今回の予算を、財政構造改革を着実に進めながら東京の再生を目指す予算と位置づけておりますが、このことは、まさに我が党の方針と軌を一にするものであります。その意味で、職員定数や職員給与の削減、管理事務費や監理団体への財政支出の削減、経常経費の見直しなどでおよそ八百億円に達する財源を捻出し、新たな福祉システムの構築並びに環境、教育、中小企業対策など、社会経済情勢の変化に対応した都民福祉向上の予算確保に充てるなど、著しい社会情勢に対応したものと評価するものであります。
 このように、新年度予算案は多くの面で評価するものでありますが、厳しい財政環境のもとにあって、都が今後とも財政再建をなし遂げながら東京の活力を維持し、都民生活を擁護するために引き続き政策努力を展開し、都民とともに新たな世紀の構築に向けて前進すべきであります。
 行政改革については、職員定数を一千二百七十九名の削減を行うとともに、職員の給与においては、給料を四%削減するなど、人件費の抑制に努めております。その他、監理団体については、団体の統合、事業再編及び団体職員の削減や都からの財政支出の削減など、これまで我が党が強く主張してきた見直しに力を入れており、努力の跡がうかがわれるのであります。
 また、福祉、医療対策については、我が党は、厳しい財政状況下にあっても、一律に削減すべきではなく、行政改革などさまざまな工夫を凝らし、財源の確保をするとともに、あわせて福祉施策の再構築による新たな財源を積極的に充てるべきであると、繰り返し主張してまいりました。
 こうした観点から、我が党は、昨年の十二月の十八日に、二十一世紀の新たな福祉、少子化対策として、福祉改革に関する緊急提言を行いました。これに対し、都は、我が党の提言を全面的に受け入れ、東京都福祉改革推進プランを策定し、具体的な施策として、乳幼児医療費助成制度の就学前までの拡大や、都独自の駅前保育の実施、さらには障害者の親亡き後の対策としての施設整備、新たな介護施設としてのケアリビングなどの充実に努めてまいりました。さらに、子育て中の親が最も望んでいる小児救急医療についての取り組みや、重症心身障害児入所施設の充実についても、我が党の主張を大幅に取り入れております。
 このように、十三年度予算案は、都の福祉改革推進プランの第一歩となるもので、今後も施策の着実な推進を望むものであります。また、我が党が強く主張してきた三百六十五日二十四時間の東京ERや、エイズ対策として、高校生等が同世代とエイズについてともに語り合うピアエデュケーションに要する経費も新設するなど、評価のできるものとなっております。
 教育については、我が党は、米国における教育改革の主役を担っているチャータースクールの例を引き、学校改革を強く主張してきたところであります。今回、アドベンチャースクールなど新しいタイプの高校を設置するとともに、スクールカウンセラーやアドバイザリースタッフの配置や、インターネットの活用などの施策が強化されており、混迷の続いている教育に対し、新たな試みを行うことに加えて、少子化等を見据えて学級編制の弾力的運用を開始するなど、都自体が教育改革に果敢に取り組んでいる努力を多とするものであります。
 また、我が党は、従前から教育における私学の果たす役割の重要性について強調しているところでありますが、十三年度においては、我が党の要求である情報教育推進補助を創設しましたが、今後とも、着実に私学助成に取り組んでいくことを強く要望するものであります。
 中小企業対策については、長引く不況下にあって、中小企業は懸命に生き残りの道を探っておりますが、こうした中小企業の再生対策として、我が党は、中小零細企業、ベンチャー支援策を提言してまいりました。具体的には、民間の実務経験者の活用と、都、国の支援策が一体となりベンチャー企業等を支援する中小企業総合支援センターの設置や、創業支援事業の整備、さらに中小企業向け融資を大幅に拡大するなど、東京経済の再生のかぎを握る中小企業対策への取り組みの努力が見られるのであります。
 その他、環境問題については、ディーゼル車規制に関連し、都に強く要望してきた民間事業者へのDPF装着費の補助が、十三、十四の両年度で一万三千三百一台を対象に実施されることになりましたが、ディーゼル車対策はまだ緒についたばかりであります。今後、強力な取り組みを要望するものであります。
 次に、商店街振興対策については、元気を出せ商店街の増額や、空き店舗広域活用事業、就業機会の確保等の事業が盛り込まれました。また、住宅政策については、既存の中層都営住宅のエレベーターの設置を初めとするバリアフリー化など、都営住宅の管理運営費を増額しており、我が党の要望にこたえたものとしております。
 交通整備に関しては、都道の路面補修等が増額され、多摩南北方向の道路の整備、鉄道の連続立体交差化の推進、踏切すいすい事業等、多くの事業が盛り込まれております。中小企業の仕事確保の要望にこたえた内容となっております。
 また、五会派提出の付帯決議案につきましては、男女平等参画社会の一層の推進と、女性財団の健全な運営を図ることをねらいとしたものであります。
 以上、賛成の主な点を挙げましたが、本予算は、このように多くの点で評価はできるものの、都財政は依然として厳しい状況にあります。したがって、一層慎重な財政運営が求められるものであります。
 なお、日本共産党提案の一般会計予算組み替え動議については、都財政が財政再建の途上にあるという現実を無視した暴論であり、財政再建を図りつつ、都民生活向上に最大限こたえていくことこそ、将来にわたる財政の安定をもたらし、ひいては都民生活を守ることになるのであります。
 したがって、当面の税収増を財政再建に充てることではなく、後年度の多大な負担を伴う歳出の拡大を図ることは、将来の税収動向も見きわめない無責任な対応であって、都財政の破綻を招くもので、容認することはできません。
 平成十三年度予算は、新世紀のスタートを切る重要な予算であります。我が党は、厳しい財政状況にあっても、財政再建をなし遂げながら東京の活力を取り戻し、あくまで都民生活を擁護するために、都はさらなる政策努力を行い、都民が安心して暮らせる東京の実現を望むものであります。このため、我が党は、予算案に対し建設的な意見を積極的に述べ、真に実効ある予算とすべく全力で審議に臨みました。いたずらに過去の施策への復帰を求め、あまつさえ都民を偽ることすら平然として行う一部会派とは、明確に一線を画すものであります。
 予算成立後は、今議会における我が党の主張、意見を真摯に受けとめられ、知事を先頭に全局は予算の円滑で効率的な執行に努め、都民福祉の一層の向上を図るべきことを最後に要望し、私の討論を終わります。(拍手)

○田村委員長 林知二委員。

○林委員 私は、都議会民主党を代表して、本委員会に付託された第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算には付帯決議を付し、第二号議案より第二十九号議案までは原案に賛成の立場から討論を行います。
 平成十三年度東京都一般会計予算案は、企業収益の改善や銀行業等に対する外形標準課税の導入などにより、法人二税の大幅な伸びを見込み、三年ぶりの増額予算案となっていますが、政策的経費である一般歳出はほぼ横ばいとなっています。
 しかし、一般財源ベースでの財源確保の状況は、徴税努力や外形標準課税の導入で歳入確保策が前進した反面、内部努力や施策の見直し、再構築では、十二年度予算案に比して大きくペースダウンしております。これらの結果、歳入の伸びが見込まれるにもかかわらず、職員給与の削減や減債基金積み立ての一部計上見送りで、千四百三十八億円の臨時的な財源対策を余儀なくされています。
 一方で、アメリカ経済の急減速や昨今の世界同時株安に見られるように、日本経済の構造改革のおくれが世界経済を景気後退に巻き込み、それが日本経済を破局に導くという最悪のシナリオが進行しつつあります。今は、一刻も早く政権を交代し、構造改革に向けた政策を断行しなければなりません。
 また、仮に最悪の事態が回避されたとしても、景気の先行きは極めて不安定であり、都税収入の減収をも見込まざるを得ない状況にあります。本予算案では、財政調整基金や社会資本整備基金への積み立てによって、ある程度の減収には対応できるよう措置されていますが、今後の情勢は予断を許してはくれません。
 私たちは、いかなる事態に至っても、でき得る限り都民生活を防衛していかなければなりませんし、東京都自身も、今後実施される組織再編成、電子都庁化に伴う事務事業の見直し、十三年度に本格実施される行政評価制度などを活用しながら、より一層の内部努力や施策の見直し、再構築に取り組んでいく必要があります。知事並びに関係各局長のより一層のご奮闘を求めるものであります。
 また、現行制度内で可能な努力を進めることは当然ですが、現在の自治体の財政危機の根本的要因である現行地方税財政制度の改革抜きには、本質的な解決にはなり得ません。
 昨年の東京都税制調査会の答申では、二十一世紀の地方主権を支える税財政制度を具体的に示しており、これをてこに、自治体の課税自主権を尊重する地方税財政制度の抜本的な改革に早期に取り組まなければなりません。同時に、まず基礎的自治体が総合的な行政を担うに足る自治能力を身につけるために、そして、人々の活動の広がりと都市問題の広域化に都道府県が適切に対応するために、区市町村の合併や道州制の導入にも積極的に取り組んでいかなければなりません。
 さて、本予算案を個々に見ますと、給与関係費は、退職手当に千五百六十二億円を見込まざるを得なかったことにより、前年度に比べ増となりましたが、物件費、扶助費は前年度に引き続き減少し、投資的経費は九年連続の減少となっています。東京都の借金である都債の発行は、昨年をさらに割り込んで三千五百七十七億円となっています。財政再建が最重点の課題であることは理解しますが、都債を活用した投資にもっと配慮する必要があると思います。
 また、ディーゼル車対策を中心とした自動車公害対策、都立高校や都立四大学の改革、中小企業や個人の経営革新や起業、創業支援、幹線道路の整備や踏切すいすい事業など、東京再生のための施策に財源を重点的に投入している点は評価すべきと思います。
 しかし、例えば商店街の振興策では、まちづくりの視点から、地域住民やNPOなどと協働しながら取り組んでいく必要があります。福祉に関しても、従来の手当制度ではなく、多様な福祉サービスの提供と利用者が選択できる仕組みづくりを講じていく必要があります。そのためにも、認証保育制度の推進や心身障害者施設の緊急整備、精神障害者の格差是正に積極的に取り組まれるよう求めるものであります。
 都政改革の方向については、私たちがこれまで提言してきたことの多くが、さきの都庁改革アクションプランに盛り込まれており、監理団体の改革についても基本的に了解できるものです。しかし、東京女性財団の十二年度廃止は余りにも唐突であり、理解に苦しむものです。行政の内部では種々の検討があったのでしょうが、財団理事会との関係では、そして一般都民との関係では、どれほどの検討の機会があったというのでしょうか。
 幸い知事の決断で、財団の存廃について、十三年度内に結論をということになりましたが、財団に対して、役人の発想、役人の基準を押しつけた結果、知事が批判するような財団にしてしまった責任は東京都にもあるという点を踏まえ、第一号議案に付帯決議を付して賛成することといたしました。
 また、今回の予算では、臨海会計、埋立会計、羽田沖会計の三会計を統合する提案がなされています。
 臨海会計は、十二年度末の借金額が合計八千八百十五億円にもなる見込みであり、この財政再建計画を示さなければ、三会計統合は、臨海開発の救済策だと指摘されても仕方がありません。
 臨海副都心開発の具体的な改革案の検討に着手するとともに、それを踏まえた臨海開発の長期収支試算をできるだけ早期に都民に明示すべきです。また、改革案の検討に際しては、基盤整備に対する国庫補助の導入やPFIの活用などさまざまな工夫を講じるとともに、包括的外部監査など外部の専門家の知恵を活用し、都民の負担が増大することのないよう求めるものです。
 なお、平成十三年度東京都一般会計予算案等四議案に対して、日本共産党より組み替え案が提案されておりますが、今東京都が進めている財政構造改革は、時代の大きな転換期における中長期的視野に立った改革の一環であり、単年度予算でつじつまが合えばよいというものではありません。しかも、この案は、過去への回帰を夢見るものであり、未来を切り開くものとはなっておりません。したがって、私たちが賛同するに足る案ではありません。
 また、本委員会では、知事並びに関係局長を巻き込んだ公明党の日本共産党批判が行われました。虚偽の宣伝に対し、仮にそれが政党であったとしても、理事者側がそれをただすことは、当然なされなければならないことと考えます。しかし、政党間の争いは政党間でなされるべきであり、これに理事者側を巻き込むことは、現に慎まれるべきだと考えます。
 また、知事は、この争いに参戦した際、ハイエナを下劣なけものとされました。私が思いますには、崇高な霊長類である人間がハイエナもどきの行動をすることが下劣なのであって、ハイエナがハイエナとして懸命に生きることは、決して下劣ではなく、むしろ称賛されるべきであります。人間はもとより、アリから象に至るまで、その出生を選択することができないのであります。ハイエナの名誉のために一言申し上げておきます。
 最後に、私たち都議会民主党は、今後とも、自治、分権の推進、都民福祉の向上、そして、活力ある東京の再生に向けて一丸となって取り組んでいくことを申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

○田村委員長 沢西きよお委員。

○沢西委員 それでは最後の討論を行います。
 私は、都議会無所属クラブを代表しまして、本委員会に付託されました第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算案に付帯決議を付し、第二号議案から第二十九号議案については原案に賛成する立場から討論を行います。
 平成十三年度予算案は、一般会計で六兆二千六十億円、対前年度比で三・六%増となっていますが、一般歳出が四兆四千八百四十七億円で、対前年度比〇・三%増とほぼ横ばいの編成となっていることからも、平成十二年度予算と同様、緊縮型の編成であるといえますが、現下の都政の最重要課題である財政再建推進プランの着実なる推進という立場から、一定の評価をするものであります。
 しかしながら、徹底した内部努力や施策の見直し、再構築など、財政構造改革に積極的に取り組んだ結果としながらも、なお千四百三十八億円の財源不足を生み、臨時的な財源対策を講じざるを得なかったところに東京都の深刻な厳しさのあることを、都の行政事業にかかわるすべての職員がしっかりと認識する必要があると思います。
 IT関連業種を中心とした企業収益の改善や、銀行業等に対する外形標準課税の導入などにより、平成十三年度予算案においては法人二税の伸びが期待できるとはいえ、先行き不透明なまま、回復の糸口さえ見つけられずにいる我が国経済の動向を勘案の上、税収の一部を、将来の財政負担の増大に備え、基金の積み立てや減債基金積み立ての一部復元に活用した措置は、我が会派の主張にも沿ったものであり、財政基盤の強化に貢献が期待できるものと評価するものであります。
 現在の財政危機を突破するための努力は努力として、基本的には、現行の地方税財政制度の抜本的改革がなければ、本質的な解決はないものといえます。知事を先頭に、全庁を挙げての取り組みの強化に期待するとともに、我が会派も、地方税財政制度の抜本的改革が真の地方自主権の確立につながる道であるとの考えのもとに、全力で取り組んでまいることを申し添えておきます。
 東京再生の鍵が都経済の活性化にあることはいうまでもありません。財政構造改革の推進を目途に、投資的経費の見直しを図り、総事業費の圧縮を図ったことは是としますが、そのことが事業活動そのものの勢いをそぐことになってはならないと思います。
 公共事業の適宜適切なる展開は、都経済の活性化に欠かすことのできない要件の一つであります。分離分割発注の拡大など、地域の中小企業の活性化につながる事業展開は、十分に可能であります。英知を結集しての取り組みを強く求めておきます。
 さて、平成十三年度予算案を目的別に見るとき、特に都民生活の安心と安定に直接的につながる福祉と保健について、構成比においては一一・五%と、平成十二年度と同率ではありますが、額において三・一%増としたことを評価しておきたいと思います。
 なお、障害者及び高齢者施策の執行に当たり、これまで以上の配慮を望むとともに、医療改革の着実なる推進を図られるよう申し添えておきます。
 都民生活及びその経済活動の安心、安定を考えるとき、忘れてはならないのが、震災、防犯に対する危機管理体制の強化であります。世界規模で進むボーダーレス化の中で、東京が世界の主要都市としての地位を保ち続け、千客万来の東京を築くためにも重要な課題であり、より積極的な取り組みを望むものであります。
 日進月歩で変革の進む社会構造の中で、都民ニーズも、日々多様化しています。その変化に適応し、都民ニーズに迅速に対応できる行政システムを築いていくこと、つまりは行財政の構造改革を現実のものとすることが、結果として行政コストを下げることになり、都民生活の質的向上を図り、生活都市東京を創生する最短の道であると考えます。
 首都東京の再生を目指す予算と位置づけられた平成十三年度予算の確実なる執行を強く求め、私の討論を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○田村委員長 以上をもちまして討論は終了いたしました。

○田村委員長 これより採決を行います。
 初めに、吉田信夫委員外八名から提出されました、第一号議案、第十八号議案、第十九号議案及び第二十二号議案に対する編成替えを求める動議を一括して採決いたします。
 本動議は、起立により採決いたします。
 本動議に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○田村委員長 起立少数と認めます。よって、本動議は、いずれも否決されました。

○田村委員長 次に、第一号議案、平成十三年度東京都一般会計予算を採決いたします。
 初めに、本案に、お手元配布の羽曽部力委員外二十九名から提出されました付帯決議案を付することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○田村委員長 起立多数と認めます。よって、本案に、お手元配布の付帯決議案を付することに決定いたしました。
 次に、本案について採決いたします。
 本案は、ただいまの付帯決議を付して原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○田村委員長 起立多数と認めます。よって、第一号議案は、お手元配布の付帯決議を付して原案のとおり決定いたしました。

○大山(と)委員 ただいま廃棄されました我が党の意見は、少数意見として留保いたします。

○田村委員長 ただいま大山委員から、少数意見として留保したい旨の発言がありましたが、本件は、会議規則第六十七条の規定により、二名以上の賛成者を必要といたします。
 大山委員の発言に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○田村委員長 賛成者二名以上であります。よって、本件は、少数意見として留保されました。
 なお、少数意見報告書は、議長に提出いたしますので、速やかに委員長までご提出を願います。

○田村委員長 次に、第二十二号議案を採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○田村委員長 起立多数と認めます。よって、第二十二号議案は、原案のとおり決定いたしました。

○大山(と)委員 ただいま廃棄されました我が党の意見は、少数意見として留保いたします。

○田村委員長 ただいま大山委員から、少数意見として留保したい旨の発言がありましたが、本件は、会議規則第六十七条の規定により、二名以上の賛成者を必要といたします。
 大山委員の発言に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○田村委員長 賛成者二名以上であります。よって、本件は、少数意見として留保されました。
 なお、少数意見報告書は、議長に提出いたしますので、速やかに委員長までご提出を願います。

○田村委員長 次に、第二号議案、第十八号議案から第二十一号議案まで、第二十三号議案、第二十四号議案及び第二十七号議案を一括して採決いたします。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○田村委員長 起立多数と認めます。よって、第二号議案、第十八号議案から第二十一号議案まで、第二十三号議案、第二十四号議案及び第二十七号議案は、いずれも原案のとおり決定しました。

○大山(と)委員 ただいま廃棄されました我が党の意見は、少数意見として留保いたします。

○田村委員長 ただいま大山委員から、少数意見として留保したい旨の発言がありましたが、本件は、会議規則第六十七条の規定により、二名以上の賛成者を必要といたします。
 大山委員の発言に賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○田村委員長 賛成者二名以上であります。よって、本件は、少数意見として留保されました。
 なお、少数意見報告書は、議長に提出いたしますので、速やかに委員長までご提出を願います。

○田村委員長 次に、第三号議案から第十七号議案まで、第二十五号議案、第二十六号議案、第二十八号議案及び第二十九号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田村委員長 ご異議なしと認めます。よって、第三号議案から第十七号議案まで、第二十五号議案、第二十六号議案、第二十八号議案及び第二十九号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査は終了いたしました。

○田村委員長 なお、委員会審査に関する委員長の口頭報告につきましては、理事会にご一任願いたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田村委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○田村委員長 この際、石原知事から発言の申し出がありますので、これを許します。

○石原知事 ただいま平成十三年度予算案を可決いただきまして、まことにありがとうございました。
 審議の過程で賜りました貴重なご意見、ご提言、また、ただいまの付帯決議の趣旨につきましては、十分尊重させていただき、今後の都政運営に万全を期してまいりたいと存じます。
 委員長を初め委員の皆様の長時間にわたる熱心なご審議に対して、心より感謝を申し上げる次第であります。本当にありがとうございました。(拍手)

○田村委員長 発言は終わりました。
 この際、私からも一言ごあいさつを申し上げます。
 三月一日の委員会発足以来、付託されました平成十三年度予算につきまして、連日、長時間にわたりまして精力的に審査を重ね、さまざまな角度から、極めて熱心、かつきめ細かい質疑、議論を尽くされたことに心から敬意を表し、深く感謝を申し上げます。
 特に、今回の予算特別委員会は、財政構造改革を着実に進める中、首都東京の再生を目指す予算を審査する極めて重要な意味を持つものでありました。
 本日、ここに無事最終日を迎えることができましたのは、ひとえに三副委員長を初め理事並びに委員の皆様方のご協力のたまものと、心から感謝を申し上げる次第であります。
 また、石原知事を初め理事者の方々におかれましても、連日、長時間にわたる質疑にもかかわらず、終始一貫、真摯な姿勢でご答弁をいただき、改めて御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 なお、審査の過程で出されました問題点やご意見等につきましては、今後の都政運営に十分反映していただき、千二百万都民の期待にこたえられますよう、強く要望いたしておきます。
 最後に、本委員会における審査の成果が、必ずや将来の都政に大きく貢献するものであることを確信し、私のごあいさつとさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時二十四分散会

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