東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○白井(威)副委員長 沢西きよお委員の発言を許します。
   〔白井(威)副委員長退席、委員長着席〕

○沢西委員 さきの総括質疑で残してしまいました質問から始めさせていただきます。
 時間が余りございませんので、簡潔明瞭にご答弁を賜りたいと思います。
 私は、日本の大都市圏での道路行政は大変おくれていると思っています。特に東京圏での環状道路の整備率は二〇%余りであります。これでは余りにもおくれているとしかいいようがありません。私は、片側二車線ぐらいの道路は、幹線道路としては狭過ぎると思っています。東京圏の環状道路一本でもいいですから、片側六車線ぐらいのが整備されれば、劇的に渋滞が解消され、生活密着道路にも車が入ってこなくなると思うのであります。
 これだけのことをすれば、当然環境問題が浮上してきますけれども、道路の整備とあわせ、その両側に三十メートル、五十メートルぐらいの林、つまり緑の公園をつくっていくのです。こうすれば住民の憩いの場になります。交通問題も環境への配慮もされている合理的な考え方だと思うのです。絵に描いたもちというのは簡単ですが、私の大言壮語を夢と片づけずに、実現してほしいと思うのであります。
 こうしたでっかい発想は必要だと思うのですが、小説「後藤新平」の作者でもある青山副知事、いかがでしょうか、お願いいたします。

○青山副知事 後藤新平が九十年前に、ろくに自動車がない時代に、台北につくりました幅四十メートルを超す三線道路、すなわち、真ん中が公園で、その両側が車道であるという道路は、現在、台北市民の貴重な財産になっています。東京でも、一九二三年、関東大震災の後、震災復興計画でつくりました昭和通り、幅四十四メートルございまして、真ん中はグリーンベルトでした。戦後、私たちがそのグリーンベルトをつぶして、車道にいたしました。
 今、アメリカのボストンで、セントラル・アーテリーと呼ばれる高速道路を高架から地下にしまして、地上の高架道路を撤去した後、地上をグリーンベルトにしようとしています。その完成予想図を見ますと、戦前の昭和通りそっくりのグリーンベルトをつくろうとしています。
 幅の広い道路という発想は、戦災復興計画でもございました。山手通りは、戦災復興計画では幅八十メートルだったわけですが、マッカーサーの占領軍司令部が、敗戦国の首都にそのような立派なインフラは必要ないといいまして、二十二メートルに削られたものです。それを今ようやく四十メートルに広げる事業をしているわけでして、これはいわば戦後処理がまだ終わっていないといっていいかと思うわけです。
 オリンピックのときに、私どもは環七、環八を二十五メートルでつくりました。狭いために、これがもともと機能的にも環境面でも非常に負荷が過大になっているわけでございます。現在進めております外環を初めとした三環状道路が完成した暁には、環七、環八の車線を減らして、おっしゃるようなグリーンベルト等をつくる、そういった夢の実現を目指して道路づくりの仕事をしてまいりたいと考えております。

○沢西委員 頑張ってください。
 さて、放射五号線の道路建設に当たって、総合アセスメントが行われていると聞いていますが、その進ちょく状況はどうなっているかをお伺いいたします。

○中野環境局長 昨年三月に、放射五号線の道路計画案を対象に、総合環境アセスメント制度の試行を開始いたしました。その後、実施主体による住民説明会の開催、住民及び関係区市長からの意見の提出、それに審査会による「都民の意見を聴く会」の開催などを経まして、現在、試行審査会において審査が進められております。

○沢西委員 アセスメントの手続を進める中で、専門家や住民からいろいろな意見が出されていると思うんですけれども、幾つか紹介をしていただきたいと思います。

○中野環境局長 アセスメントの手続を通じまして、玉川上水の保全、沿道環境への配慮を求めるなどの環境保全に関する意見、それに道路整備に反対する意見や、付近道路の混雑解消のために道路整備を望む意見などが寄せられております。

○沢西委員 利害が反するといういい方は合わないと思いますけれども、かなり対立する部分が出てくる可能性があると心配になりますけれども、建設局と環境局の両局長に伺いたいと思います。

○中野環境局長 現在、試行審査会において審査が行われている段階でございますが、環境局としては、放射五号線の計画案の策定に当たり、当該地域の状況を踏まえ、道路整備に伴う環境負荷を可能な限り低減させるため、緩衝緑地帯や遊歩道の整備など、十分な環境配慮を行う必要があると考えております。

○古川建設局長 放射五号線は、杉並区から三鷹市にかけての一・八キロが唯一未整備となっており、交通渋滞を解消するため、早期の完成が必要です。
 総合環境アセスメントの試行に当たっては、建設局としても積極的に参画し、放射五号線を取り上げるよう働きかけ、取り入れられたものです。
 今回、計画案を三案提示していますが、いずれも広幅員の豊かな緑地空間を設けるなど、当該地域の状況を踏まえた案であり、環境に十分配慮したものと考えております。
 事業者としては、審査会の答申を踏まえた上で、これまでに培ってきた環境保全の技術と経験を結集して、可能な限り環境に配慮した計画案を策定し、着実に道路整備を進めてまいります。

○沢西委員 縦割り行政の弊害などと批判されることのないよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 総括質疑から続けたこの問題の最後の質問でございますが、これは、今後の予算編成、事業執行に大きく影響することなので、軽々には結論の出せないことを承知で提案します。
 それは、道路に限らず、都が施設建設を図る場合、事業予算の一定割合を環境配慮分として確保するというルールを創設してはどうかということであります。将来の東京づくりを考えるとき、大変有効なことと考えますが、知事の所見を伺います。

○石原知事 東京を今後も世界有数の都市として発展させていくためには、このまさに危機的な環境というものの再生が不可欠であると思います。
 必要なコストは負担して、将来の世代に我々が良好な環境を残すことが、私たち世代の責務でもあると思いますが、しかし、お気持ちはよくわかりますけれども、環境コストは事業ごとにかなり違いまして、環境防止、環境維持の技術の革新もありますことから、多様な事業に一律のルールを適用するのは、ちょっと妥当ではないような気がいたします。
 いずれにしろ、またすべての施策に環境の視点を徹底して、東京をこのまま発展持続可能な都市につくり直していきたいと思っております。

○沢西委員 それでは、私の地元のことで大変恐縮でございますけれども、東久留米市を含む北多摩北部地域は、都市公園面積が非常に区部や他の市域に比べまして狭く、かねてから都立公園の設置を強く要望しておりました。
 その要望にこたえ、東京都は、平成七年に六仙公園の設置を都市計画決定し、事業化に向け努力を続けてこられたことは、私も地元市民と一緒になって事業推進を要望しておりましたので、十分承知しています。その努力の結果、本年一月に測量説明会が実施されたこともあり、地元の期待は大変大きなものとなっております。
 そこで、まずお伺いいたしますが、基本的にどのような整備計画なのか、イメージをお示しいただきたいと思います。

○古川建設局長 六仙公園は、地元東久留米市を初め六市から成る多摩北部都市広域行政圏協議会の要望を受け、平成七年に都市計画決定した、面積約十五ヘクタールの総合公園です。
 公園の整備計画は、南沢緑地保全地域の湧水、落合川の豊かな水、広大な農地を生かした武蔵野の風景の再現をイメージしています。
 整備の内容としては、公園の中心となる約一ヘクタールの六仙池、都民参加でつくる雑木林、農業体験のできる農の広場などを計画しております。

○沢西委員 地元市民から、サッカーあるいは野球等のできる多目的運動広場の要望が私のところにあります。公園整備に当たりましてどのような考えをお持ちですか、お願いいたします。

○古川建設局長 六仙公園には、老人から子どもまで自由に楽しめる面積約二ヘクタールの芝生広場を計画しております。今後、地元市等と協議しながら、この広場を、サッカーなどが可能な多目的運動広場として整備することを検討してまいります。

○沢西委員 六仙公園の事業化につきましては、地元に密着する問題なので、これまでも何度か委員会や本会議で要望してきたところですが、ことしの事業スケジュールを、示せる範囲で結構ですから、お聞かせいただきたいと思います。

○古川建設局長 現在、計画区域の一部、一・四ヘクタールを、事業認可予定区域として用地測量を実施しております。また、今月末には、この区域の地権者を対象とした事業説明会を予定しております。平成十三年度早々に事業認可を申請し、できるだけ早い時期の事業認可取得を目指しております。
 今後とも、地元市等と連携しながら、着実に事業の推進を図ってまいります。

○沢西委員 着実なる事業執行を期待して、なお一層公園の予算措置を強く要望するものであります。
 さて、現在の東京を生活者の立場で見るならば、先進諸国に比べ、まだまだ家も狭い、道路も狭い、公園も少ない、緑も水も身近にあるとはいいがたく、アメニティーな都市とはいえないと思うのであります。知事が提唱するように、東京を千客万来の世界都市とするには、まず、そこに住んでいる都民が毎日を快適に過ごせるまちに創造していかなければならないと思うのであります。
 そのことを忘れずに、東京構想二〇〇〇に示されたビジョンを着実に実行されんことを強く申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○田村委員長 沢西きよお委員の発言は終わりました。

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