東京都議会予算特別委員会速記録第五号

   午後六時四十三分開議

○白井(威)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 西条庄治委員の発言を許します。

○西条委員 我が党は、民主党はもう既に三人の委員から質問させていただいておりますので、私は、その三人が触れられなかった問題、商店街振興の問題、それから私学助成の問題、それから都市景観の問題、この三点について、持ち時間の範囲内で質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、商店街振興の問題から入りますが、知事、実は私、商店会長なんですよ。地元の文京区で小さな商店会の会長をさせていただいております。そんなわけで、むしろ体験的な質問になるかと思います。
 そうはいいましても、文京区って人口の小さいところですし、私の商店街は三十店舗ぐらいしかない。たまたまそんなこともあって、私もこんな立場にいるから、区商連の常任理事までさせられている。こんな立場でやるんでありますが、三十店舗ぐらいしかない、正確にいうと、うちの商店街は二十九店舗ですが、昨年の十一月に二軒やめたんです。そしたら、年が明けたらまた二軒やめちゃった。たったこの数カ月の間に、四店舗廃業に追い込まれました。もちろん、それは後継者の問題なんかもあるので、先行きを見越してやめたのもあります。
 現状は、政府がいよいよ、例の財務大臣というんですか、経済は破綻だなんて宣言したり、デフレがいよいよ政府から正式に宣言される、こういう状況からいくと、ますますこれには拍車がかかる。私は、この商店街、みずからもこういう立場にいながら思うんですが、これは自分の生業ですから、サラリーマンが自分の仕事がなくなったとき、だれが面倒見ているかということと同じで、本来、知事がいっているように、自助努力の問題であることはもう百も承知なんです。
 ところが、まさに、うちのところなんかはその典型ですが、一人一人は零細のさらに底辺をいくようなこういう商店。今さら、僕なんかあれですが、一定の年齢のいった人は転職もできずに、とにかく、あとの余生を、最後、元気な間はやっていこうという人たちをつぶしてしまったら、その後どうするんですか。私にいわせれば、全部介護保険にいっちゃいますよ。そういう意味で、むしろこれを社会的にどう最低のものを守っていくかという現状にも、多少一方ではありますよということを踏まえて、私なんかは、今いった自分の生業なんだから、自助努力はもとよりの話なんだけれども、そこから先をどうするかということの話を少しさせていただきたい、このように思っております。
 これは、私がいわなくても、知事なんかもご存じでしょうけれども、商店街、いわゆる商店会でもいいんですけれども、これが実は東京の町を形成している。つまり、さっきいった自分の商売ということではなくて。といいますのは、実は私のおやじが町会長をやっておりました。そんなことで、私も町会の役員もさせられます。そうすると、私の町会を見ると、町会の役員というのは全部商店街の活動家なんですよ。私の大体同じ世代がみんなやらされるわけですね。一つの地域コミュニティを形成している。私は、東京の場合、町会を一つのそういう組織だと見ると、これを形成しているのは大体商店街なんだ、こういうこと。これは多分ご存じだと思う。
 町会が何かやるとき、大体駆り出されるのは商店街の若手なんですよ。それは、いざといえば、トラック持ってこい、すぐ持ってくる。机どこかといったら、うちの店のを運び出そう、こういう話ですよ。それで町会が成り立っている。うちの百四十町ぐらいある町会を見ますと、商店街の活動を一定やっているところの町会は一定の活動ができる、こういう現状が起きています。
 この前出た元気出せ商店街のあれも一つのイベント援助費ですから、こういうものがそういうところへ動いていくんですね。ですから、私は、商店街の街という字を書いて街まち、街まちあって初めて町が成り立っているんですよ。それは理事者の皆さんもよくおわかりだろうと思っているんです。
 どちらかというと、商店街振興、労働経済局がやるのは、まさに商店に向けてなんだけど、その一方で、商店をつぶしてしまうと、町がつぶれてしまうからという観点をかなり持ち出したらいいのではないかという質問に、これから少し入らせていただきたいと思っております。
 そういうことからいきますと、商店街振興プラン策定の問題がほかの委員からも出ておりました。まさに一つ一つの商店街の実情は、例えば、商店会といいましても、銀座の商店会とうちのところの三十店舗ぐらいの商店会とが肩を並べたってできっこないし、同じノウハウを渡されても、銀座の商店会みたいのとおまえのとこ一緒にやれといわれたって、それはできっこないんです。
 そこで、地場の、それぞれの市区町村は、場所場所の、自分の自治体ですから、実情はよくわかっているんだろうと思っております。ですから、問題は、この商店街振興のプラン策定に当たっては、それぞれの自治体が、いかに自分のところのそういうプランをつくれるかが、僕は勝負だろうと思っております。
 大体一月に一回ぐらいずつ、文京区の商店連合会も会合をやっていますから、そういうところへ、自治体との連携の中でプランをおろしていくということが、私は大事だろうと思っているんです。
 そこで、労働経済局にお尋ねいたしますが、今策定をされているこのプランについて、そういう発想を持ち込んでいただきたい、このように私は思うんです。
 本予算案では、新規事業として商店街活性化総合支援事業が計上されましたね。この一連の中にあるわけですから、まず、そのプランをおろすための策を今練っておられるんでしょうから、そこら辺のところを--私がいいたいのは、東京には、それこそ銀座の商店会から、私のところみたいな零細の底辺をいくような商店会まであるんですから、それらに向けた市区町村の指導をどのようになさるのかということを、まずお答えいただきたいと思うんです。

○浪越労働経済局長 ただいまお話にありましたように、商店街が地域コミュニティの核として機能し、その役割を十分果たしていくためには、まず商店街自身が自主的、自立的に課題の解決に取り組むことが不可欠であるというふうに考えてございます。
 商店街の振興に当たっては、地域の実情に精通し、商店街とかかわりが強い区市町村の果たす役割が、お話のように極めて大きいものがあります。このため、区市町村においては、地域住民などの意見を聞きながら、まちづくりの視点を取り入れた商店街振興の計画をみずから策定することが重要でございます。
 都は、こうした区市町村の主体的かつ自主的な取り組みを尊重し、区市町村がみずから計画した事業の実施を支援してまいります。

○西条委員 ありがとうございます。それで、うちの田中良議員が本会議で質問をされました。そのとき、知事はこうおっしゃっていたんです。商店街、特に都商連は、何とかしろ何とかしろというだけで自助努力がないと。これは、そういう意味では私も同感です。ただ、事情はありますよということだけは申し上げておきたいんですね。そのときに、うちの田中良議員に、少しは対案出せよと、こういうふうに強くいっておられました。対案になるかどうかわかりませんが、私はそれを受けて、田中良議員からも話を聞いていますから、ちょっと大きな観点、二点から話をしたいと思っているのです。
 今、町会や何かの話をしましたが、要は、ある一商店街にどうにかしろといったって、例えば私のところだって、自分のうち一軒で、今いった残りの二十九軒についてこいといったって、そうはなかなか、売り上げもみんな違うし、今いった、もう高齢者で後継者もいないのもいれば、そういうのを一律にというのはできないんです。
 だけど、先ほどちょっと町会や何かの話も出しましたが、僕は二点から話しますが、まず先の方、地元の町会だとか、あるいはNPO--NPOというと漠然としちゃうから、知事あれでしょうけれども、例えば婦人団体なんかは、結構町場で活動しているんだ。そういう人たちと生活とは密着しているから、結構商店の我々みたいな若いのとは仲がいいんですよ。例えば、文京区でいえば消費者の会とか、それをNPOというかどうかわかりませんが、そういう団体が結構片っ方で活動していて、その人たちの活動と本来一体になれるんです。
 ところが、やはり市町村のところまで行っても、縦割り行政ということで、うちらの文京区でいえば、商工課がそこの商店街についての施策は一手に握ってしまう。それから、町会の方は区民部が一手に握ってしまう。なかなか行かないんです。それもお上から、上から上意下達みたいにしてできないから、結局は末端のところで苦労してやっている。だけど、そんな団体の横の連絡とか、そういうのはわからないわけでありますから、そういう連携をとれるような仕組みをやっぱりどこかが上からつくってやらなければ、いわゆる呼び水をおろしてやらなければ、それは無理だろうと思うんです。
 ですから、労働経済局の局長、その辺のところのノウハウをおろしてやってもらえないかなと。

○浪越労働経済局長 都はこれまで、各区市町村が行っている商店街振興策や商店街の先進的事例の情報を収集し、その結果を事例集や施策一覧として取りまとめ、区市町村や商店街に提供してきたところでございます。
 今後とも、積極的な情報提供に努め、意欲ある取り組みを促進してまいります。
 また、商店街振興に当たっては、まちづくりの視点にも立って、その中心的役割を担う区市町村や、お話のありました住民、NPOなどと連携、協働していくことが重要でございまして、人材育成の観点からも意義深いものがあると認識しております。
 このため、NPOや地域住民などとの連携を、二十一世紀商店街づくり振興プランで示す戦略、八つあるんですが、その戦略の一つとして位置づけております。都は、商店街がNPO等と協働したまちづくりに取り組めるよう、区市町村とも連携し、支援してまいります。

○西条委員 ありがとうございます。
 もう一つの観点から私は聞きたいんですが、今のは、どちらかというと、自治体でいうところの市町村の方へおろして、そこのところへの指導をぜひしてくださいねという話です。
 私は今度、都の方の取り組みをもう一方で少し考えてやってほしいというのは、今ちょっとまちづくりの観点で局長から話が出ておりましたが、これは都市計画局の話になるだろうと思います。
 例えば、私のところでいえば、やめちゃった商売どうなるかというと、いまだシャッター閉まったままです。次の人にも貸さないんだ。なぜかというと、貸して変なやつに入られちゃって、また追い出すのに金かかると嫌だからって、大家は貸さないんですよ。それで全部閉まっていっちゃう。いわゆる、俗にいう仕舞屋になっていっちゃうわけですよ。人によってはそこに自動車を入れて駐車場にしちゃうとか、そういう形で、まちづくりの観点からも、廃業が出ていくということは、商店街がなくなり、町がなくなっていくんです。
 事実上、冗談でいうんですけど、うちは商店街じゃないよ、点の集まりだよ、こういっているんですよ。結構長さはあるんですよ。だけど、あいている数の方がずっと多いんですから。極論をいいますと、地べたにくっついて寝泊まり、だれもしていないわけだ。マンションなんかになると、上の方は住んでいるけど、下なんかだれもいないわけですよ。そういう形で、ここの交差点の角から向こうまで約五百メートルの間、地べたにだれも寝泊まりしていないと。こういうような状況が、都心のところ、我々のところは特に起きています。こういうことなんです。
 それで、ですから大事なことは、私はまちづくりの観点から、片っ方で、今いった労働経済局だけではなくて、そういう商店街振興という意味で、都市計画局がどう加わっていくか。極論をいうと、さっきいった、大変失礼ないい方になるけど、縦割りでばらばらになっているところを、どこかで両方一緒にしてしまって、この商店街振興に取り組むやり方をしていかなければいけない、こういう話を申し上げたいんです。
 それで、いわゆる地区計画などによる規制や誘導が本来できるはずなんだと私はいいたいんです。それが、まさに知事のいう前向きのまちづくりじゃないですかと。そういう意味で、現在、商店街の中で地区計画の指定を受けているところなんて、そんなにないんだろうと私は思うんですよ。ですから、そういう面での取り組みをぜひしてください。それから、そういうノウハウを都市計画局が持って、まさに労働経済局と手を組んで、まさに市区町村におろしてくださいということをお願いしたいんですよ。
 そういう意味で、都市計画局の方で、誘導や規制ができている例があるのかどうか、なければ、そのノウハウを組めるのかどうか、ちょっとお答えをいただきたい、このように思っています。

○山下都市計画局長 商店街を振興し、にぎわいを確保するためには、ご指摘の地区計画は有効な手段でございます。例えば、建物の一階部分について、住宅の用途を制限し、店舗の立地誘導を図ることなどが考えられます。
 こうした商店街の活性化を図るための地区計画は、これまでに五十地区で策定されてきておりまして、地区計画の策定に当たりましては、地元の自治体と商店街などが協力して、合意形成を図っていくことが不可欠でございます。都といたしましても、こうした地域の取り組みを積極的に支援していく必要があると考えております。
 また、労働経済局の行う施策も、こうした地区計画の中にある程度取り込んでいって、一体化していけるというようなことも考えられますので、そうした局間の協力もしていきたいというふうに考えております。

○西条委員 今幾つかあるとおっしゃっていたけれども、うちの文京区なんかはないんでしょうから、あれですが、そういうのは労働経済局なんか把握されているのかな。--まあ、これについては答弁なくてもいいです。ですから、そういう例が、事実上はこのくらいの計画は練った、実際は成功しているか、まだ着手もしていないか、それくらいは、きょうじゃなくていいですから、どこかで示していただきたい。
 できれば、そういうのをまさに労経局を通して、知事のいう都商連あたりにおろしてやってほしい。本当に具体的に商店街の役に立ち、都商連も含め、それぞれの区市町村のあれも--そんなのは僕自身が見たこともない。そんなことがあること自体も気がつかない。それをいろんなネットワークを通じて、市区町村を通じておろしていってください。それで小さなところがやれるかやれないかは別だけど、そういうメニューをやっぱり示していくべきだろうということ。
 そうはいいながら、知事もあちこち、世界じゅうを歩いているけど、私もいろんなところを見せてもらったけれども、東京はやっぱり商店街という意味じゃ、ちょっと異常ですね。都市が大き過ぎる。地方都市というのは、一つの都市の人の集まる真ん中のバザールか、それこそ中央広場みたいなところにそういうのが集中をして、そういう意味で、町として、まさにそういう中心の商業の場所と住む場所とが非常に鮮明に分かれています。東京の場合は全く際限なくあって、商店街がどこに行っても、大きいのもあれば小さいのもあって、まさにめちゃくちゃな混在。
 こんな一千万都市で、そんなに簡単に今から商店街を寄せたりなんかはできないですけれどもね。日本の場合、比較的地方都市がうまくいっているのは、適当な人口のところに何とか市場なんていうのは、大体一個ぐらいしかないですから。そういう意味で、東京は、でき上がっちゃったものをこれから動かすというのは、なかなかできっこないのはわかっております。
 そうはいいながら、私は最後に知事に、総合的なタクトを振ってほしいということをお願いしたいのは、私が知っているのは、例えば住宅局の優良建築物整備事業、こんなのは、先ほどの商売をやめていった人の跡を、ただ金もうけのマンションを建てさせちゃうということではなくて、さっきいった都市計画局との連携を図る。そのために、少なくとも住宅局がこういう事業を商店街へおろせるかどうかということを検討する。
 それから、福祉局の福祉のまちづくり地域支援事業、これまた、そういうのをやっておられるかどうか。それから、建設局でいえば、市区町村の土木補助の活用が、例えば道路や何かで、商店街が直していくときに、うちらだって、インターブロックにするとかなんとかいうときに、そういうのが適用できるかどうかと。
 こういう本来なら労経局だけしか携わってないところへ、よその局がどう携わっていくかが、それがひいていえばまちづくりになるし、それから一人一人の、親の商売継いじゃって、生涯この商売やっていく以外ない、それで生きていく以外ないんだという人たちが、その町、その場所に住みついていくわけですから、それをどう確保してあげられるかは、知事のいうとおり、自助努力だとはいいながら、弱い人が自力ではできない場合に、都の複数のそれぞれの局のいろんなノウハウ、施策、これを一つのところに寄せる、まさに労働経済局のところに寄せるというような仕組みは、まだ私は都の中でもできていないような気がいたすんです。
 ですから、それをまさに知事のリーダーシップで、総合政策メニューみたいのを、商店街振興のためにつくっていただけないか。これが、知事が我々の田中良さんに対案を出せといったことの、何とか対案になるかどうかはわからないけれども、この問題の終わりに、知事にそういう指導力を発揮していただきたいという意味を込めて、ご答弁をいただきたい、このように思います。

○石原知事 大都市、特に東京における商店会の問題というのは、一種の都市論というか、文明論というか、文化論のような気がするんですね、それを象徴している。今おっしゃったように、東京はできることは一生懸命やりますけれども、あるいは都商連なり区商連から、東京における商店街としてこういうものが欲しいというプロポーズがないんですね。客をよこせといったって、それはそちらの才覚の問題でして、僕は、一回、あなたなんか商店会長していらっしゃるんだったら、都議会議員でもいらっしゃるんだし、メンバーの一人になっていって、東京の商店会の問題のシンポジウムか何かをやって、いろいろ周知を集めたらいいと思うんです。
 再三申していますが、イトーヨーカ堂の伊藤さんなんかは、自分たちが分析した流通に関する一種の方程式を幾らでも提供しますといっているんですけれども、つまり、それをいっても全然反応がない。
 ちょっとアトランダムなお答えになりますけれども、生活様式も随分変わってきましたし、商店街というものをつぶしている一つの要因であるコンビニエンスストアなるものも、まさにその名のとおり、コンビニなんですよ。今の都民にとっては、要するに非常に便利なんですね。商店街がそれに対抗して、どうやって保証するか、あるいは対抗していくかということも、大事な問題だと思うんです。
 前後左右しますけれども、例えば、私の選挙区でありました品川に戸越商店街という非常に大きな立派な商店街があるんですが、これ、第二京浜をまたいで、南北ですか、かなり長く延びる商店街ですけど、議員のときに私、ある主婦にいわれて行ってみました。同じ品物が、値段を聞きますと、こっち側と向こう側では随分違う。別にお豆腐とか、ホームメードのクッキーの味とか、そういうものじゃなくて、普通に市販されているものでも値段が違う。そういうものの差というのをどうやって埋めるかということなんかも商店街として考えるべきなのに、全然考えない。いろんな問題があると思います。
 いずれにしろ、結局、驥尾に付した問題というのは、地元の商店街の方々、せいぜい区市町村の首長さんたちしか掌握し切れませんから、これはやっぱりぜひそちら側から、こういうことで手をかせというオファーをしていただきたい。それがないと、なかなか東京都も、意欲はあっても動くに動けないというのが現状だと私は思います。

○西条委員 知事、ありがとうございます。今すぐ結論も出ないから、私も、そういう先ほどいった常任理事もさせていただいているから、今の知事のいったようなことをぜひ伝えていきたいと思っております。この問題ばかりやっていられないので、この問題はこれで終わります。
 次に、私学助成について伺います。
 私学助成といいましても、実際は公立との兼ね合いの中の話なんで、議論はそういうようになりますことをお許しいただきたいと思います。
 実は、私も都立高校に行かせていただきました。この春、私のせがれもおかげさまで都立高校に入れさせていただきました。そういう私自身が、今度の自分の子どものことを見ていて、公立と私学の中での子ども、実際は親ですけれども、選択、試験を受けるための苦労をしているということを、私も身をもって見ました。私のところは、おかげさまでたまたま都立の方に行かせていただいたけれども、そういう意味で、私学の方を少し議論させていただきたいと思います。
 それで、もとよりの話ですけども、高等学校に通う都民の負担格差、この問題がやっぱりあることは、歴然とした事実です。現状では、公立と私立というもののすみ分けを、例の憲法の八十九条、そこのところから出てくるわけだよね。それで、明らかに同じ教育をきちんと分けざるを得ない、それは憲法上で。だけど、僕はそういう視点ではないところで教育全体をやはり見るような立場を、東京都の教育委員会というか、総務局にしても、あるいは知事なり、そういうところでは--子どもに、こっちは公立だ、こっちは私立だと色分けはないんでしょうから、そういう立場でやはり物を考えていきたいなと、このように思っております。
 それで、平成十二年度の数字で見ますと、都立高校に通う生徒の負担は年額十万八千円、そういうことですよね。それで、入学金がさらにこれに加わってくるんだよね。それから私立は八十万九千七百四十三円、こういう数字を調べさせていただきました。この公費負担の差でも、平成十年度の数字で、私立高校は三十九万七千円なのに対して、都立高校は百二十六万六千八百三十円、こういう数字を調べさせていただきました。
 そもそも私学とはという論の立て方もありますが、東京の私学は、生徒の急増期に--まさに実は私は団塊の世代ですから、この時期に公立で負えなかった部分を私学が全部負ってくれたんだと、そういうことで東京の子どもたちの教育が成り立っているんだと、そういう発想の上でどうするかなんだろうと思います。
 そこで、東京都では、具体的にこの私立高校に通う生徒の負担軽減は、具体的には何をしているんでしょうか。これは総務局の方なんだね。

○大関総務局長 ご案内のとおり、東京都は、私立高校に通う生徒の保護者負担軽減策といたしまして、特別奨学金補助を実施しているわけでございます。この補助は、世帯の所得状況に応じて授業料の一部を補助しております。補助額は、平成十三年度予算案でございますけれども、生活保護世帯で年間十六万四千円、住民税非課税等世帯では十二万三千円、それから住民税が一定基準以下の方、この世帯は八万三千円、こうなってございます。

○西条委員 一体その補助を受けられるのは、私学に実際通っているお子さんがいますよね、そのうちのどれくらいをカバーすることになるんでしょうか、結果的に。

○大関総務局長 この補助は、私立高校に通う生徒を持つ都民を対象としておりまして、他県在住生を除いた私立高校生全体に占める割合は、平成十二年度の実績見込み推計で約一九%となってございます。

○西条委員 今、局長からお答えいただいたとおり、実際は、もちろんこういう制度があるんだけど、二割弱ですよね。二割弱の人が、実際その対象になるわけですよ。しかも、最も対象者の多い住民税一定基準以下の世帯、八万三千円、さきに述べた負担額の一割強にしか実際は--今いった二割の対象の子は、それを具体的に補助されるわけですね。
 そこで、東京は、私学に通う生徒の負担軽減に向けて--これだけで本当にいいかどうかと、公立との差のこの分をね。今後はこの補助金を一体、今のままでいいと総務局も思っていないと思うんですが、それはどうなさろうとしているんでしょうかね。

○大関総務局長 私立高校に通う生徒の保護者負担軽減につきましては、まず第一義的には、私学助成の基幹的補助であります経常費補助で対応するわけでございます。次に、その補完といたしまして、この特別奨学金補助を実施するわけでございます。特別奨学金補助につきましては、その役割を考慮いたしまして、従来からの支給単価及び支給基準の維持に努めてまいったところでございます。今後とも、厳しい財政状況でありますけれども、保護者負担の軽減に努めてまいります。

○西条委員 この議会では、東京都育英資金貸付条例の一部を改正する条例案が提案されておりまして、私立高校の生徒への貸付単価が二万九千円から三万円に引き上げられるということになってますね。もちろん、今、引き続き検討しますといっておりますが、これはそういうことで一歩前進でありますが、都内私立高校の授業料の平均月額三万二千四百一円にまだ達しておりませんよ。当然、今のお金では到達しないんですよ。しかも、その金はいずれ、もちろん奨学資金ですから、返していかなければなりません。
 そうはいいながらも、今いった、わずか二割ともいいたくはないんですけど、そういう引き続き貸付単価の増額を望むけど、それができないとなれば、この生徒たちの負担軽減の観点からいえば、国公立高校生への貸付単価一万八千円との差額一万二千円については、ある程度返済の免除なり何なりとか、そういうことも手をつけていかなければいけないんではないか、このように思うんですが、いかがでしょうか。

○大関総務局長 東京都育英資金制度では、成績が良好で経済的に修学が困難な生徒に対しまして、学資金を貸し付け、修学の機会拡充を図ることを目的としておりまして、卒業後に本人が返還していくことが本旨となってございます。
 また、本制度は、所得基準及び償還基準等につきまして、国公私立を問わず、同一の基準で運用しております。したがいまして、ご提案の返還免除につきましては、現時点では困難であると考えております。

○西条委員 そういわれるだろうと思っておりますが、いろいろ考えてあげてください。(発言する者あり)いや、今しろといったって、無理なんだ、やらないといっているんだからね。時間もなくなってしまいますから、進めさせていただきます。
 実はこの委員会に出された資料で見させていただきますと、私立高校の全日制ですが、通う生徒は、平成三年度で二十七万五千人、平成十二年度では二十万人に減っております。一方、都立高校に通う生徒も、平成三年二十万人、十二年に十四万人になっております。公私の割合を計算してみますと、四二・四対五七・六、それから四一・五対五八・五と、若干私立の方にシフトしているような数字が出ております。
 学校基本調査によるとこういうことになるんですが、都内公立中学校卒業者に限ると、平成十二年度の場合でとってみますと、公私の割合は一体どうなりますか。

○大関総務局長 平成十二年三月ということでございますので、この三月、都内の公立中学校を卒業し、全日制高校に進学いたしました七万八千百九十七人のうち、都立高校は四万七千五百九十六人で、約六一%、私立高校は二万六千八百五十九人で、約三四%、国立高校及び他県の高校は三千七百四十二人で、約五%となってございます。

○西条委員 それで、都内に限ってみますと、全体の生徒数が、もちろん子どものあれで減っていますが、都立高校の努力で、それはいろんな努力をなされて、それから一方ではこういう景気が悪くなっていることもあるんでしょうけど、私立から公立へのシフトが多少出ています。それは顕著だろうと思うんですよ。それで、全体では私立へシフト化していながら、都内高校に限ってみると、公立にシフトしているんですね。そういう現象が多少見られるんです。これは、それだけ、見方によれば、都内の私学が一生懸命経営努力をして、その差額の分というのは、他県からやっぱり引っ張ってきているんですよね。それは、生き残っていくために、各学校も。そういうのがここで見られるわけであります。
 ちょっと時間がないから、細かな数字は調べたのは申し上げませんが、このように都内の私学は一都三県の規模で物すごい競争をしているわけです。それで、そこに、今いった、まさに総務局の方から補助をしていくわけですから、見方によれば、そのお金は他県の子どもたちの面倒を--言葉がいいか、都が負っていることになりますよね。一体この一都三県の私学補助、それぞれの県がどういう数字を示しておられるんでしょうか。

○大関総務局長 一都三県の平成十一年度決算ベースで見た場合は、私立高校経常費補助の生徒一人当たり補助額は、埼玉県が二十五万八千二百三円、千葉県が二十八万一千八百四十一円、神奈川県が二十二万三千五円、東京都が三十六万三千九百四円となってございます。

○西条委員 今、局長から示された数字のとおり、いかに東京都がこれだけ多く出しているかというのがはっきりわかりますよね。それで、私は、もう時間がだんだんなくなってきたんで、ひとつ結論めいたことをある程度いいます。
 まさに、この前の都税調ではありませんけれど、他県から来た自動車からでもちょっと金取ろうかといったぐらいでしょう、知事、それをやるやらないは別としてですよ。それで、やはりこれだけ、もちろん私学が努力して他県から--もちろんそれはその人たちが、他県、近県の人たちでも東京の学校へ行かせたいというんで来ているのに、今度は東京都から金持ち出してといっちゃいかぬけど、どんどんやっているんですからね。これはむしろその分ぐらい三県へ多少負担をしろというぐらいのことはあっても私はいいんだと思いますけどね。(「東京の子が千葉へ行っているのもあるんだから」と呼ぶ者あり)もちろんそれもありますけど、いやいや、行っているのはいいんですよ。だけど持ち出しが結局都の方が多いんだから、そういうような発想はありませんかということを申し上げているんです。

○大関総務局長 私立学校は、公立学校と異なりまして学区制をとっていないために、広範な地域から生徒が集まってきております。私学助成制度は、このような前提条件のもとで、各都県がそれぞれ地域の実情に応じたものを実施しておりまして、各都県の私学助成に対する国の補助制度等も同様の考え方になってございます。
 都は、私学助成を初めとする私学行政全般につきまして、近隣各県との間で常に情報交換に努めておりまして、ご質問の点につきましては、こうした各県との連携を深めていく中におきまして、今後の課題とさせていただきます。

○西条委員 この問題の最後にいたします。
 これは、教育長にむしろ伺いますけど、明らかに公立と私立とで、いろんな仕組みや、先ほどいった学区やなんかいろんな問題がある。そういう中で、しかし、そうはいいながら、公立と私立という両方の学校にそれぞれ公金を使っている金が違っているわけですから、このことをやはりもっと都民にはっきりわかるようにしていくべきだろうと思っております。
 機能するバランスシートというのを持ち込んで、ここまでやっているんですから、こういうもので示された数字をもっときちんと都民へ公開をしていくべきだろう。それで、そういう数字の違いというものをちゃんと示していくべきだろう、このように思うんです。
 そういう意味では、教育長、それをぜひやってほしいと私は思うんですが、いかがでしょうか。

○横山教育長 今、委員がおっしゃられたのは、多分、教育費全体というよりも、各都立高校ごとの、バランスシートですから、積算をしろという趣旨かと思うんですが、都立高校の人件費あるいは管理費等のデータを整理しまして、いわゆる行政コスト計算、これについて作成、公開につきましては、コスト意識を持った学校経営であるとか、あるいは開かれた学校づくり、さらには情報公開の一層の推進、こういった観点から十分に意義があるだろうと考えております。
 積算上の課題は多々ございますけれども、各学校ごとに作成できるように検討をしてまいります。

○西条委員 ありがとうございます。
 もうあと四分しかなくなってしまいましたので、最後の都市景観の問題で質問させていただきます。
 少しまとめてやらないと間に合わなくなってしまいますのでね。まちづくりをどんどん東京都が進めている反面、実は東京の町は、マンションや何かどんどん建って、それから再開発などされて、町がきれいにできていく反面、都市景観の面では非常に無秩序になるんじゃないかなと思うんです。
 私、一回、パリに夜飛行機でおりるときに、パリの町というのは非常に高さもきちんとしているし、それから、夜見ると、真っ白なライトでずっときれいなんですね。多分、香港のような東京を望む方はそれでいいんだろうけど、地方から帰ってきて東京を上空から見ると、これはもうネオンはめちゃくちゃ、それから大小さまざま、そういう件で、割と建築基準法や何かで高さ制限や何かをやる割には、広告は何かどうもめちゃくちゃのような気がするんですよね。
 ここら辺の件は、都市計画局は一体どういうように交通整理をされておられるのかということをお尋ねします。

○山下都市計画局長 東京の屋外広告物につきましては、人の目を楽しませる、町ににぎわいをもたらすなどの評価がある反面、デザイン、色彩が派手で、町並みに調和しないものがあることも事実でございます。中でも、違反広告物が、ご指摘のとおり通行を妨げ、あるいは都市景観を損なうといった問題を引き起こしております。
 違法な張り紙等の除却は、住民に身近な自治体である区市などが実施しておりますが、都といたしましても、関係機関や民間団体と共同で、これらの違反広告物を除却するなど、その撲滅に努めております。
 また、違反広告物をより簡易に除却できるよう、早期の法改正を国に要望しております。

○西条委員 それからもう一つ、この際だから申し上げます。
 たまたま、これは、交通局が一方でラッピングバスをつくりました。これに対して賛否がいろいろあります。その反面、ちょっと東京の今いった景観とごちゃごちゃになっちゃって、あれがまた加速度をつけているという意見もあります。
 それから、例えばヨーロッパや何かだと、結構きれいな町の中にいろんなトラムや何かの広告がきれいに入って、むしろそれが一つの町の、例えばウィーンならウィーンの町をつくり出しているけど、ちょっとまだ東京はそこまでいっていないですよね。その点についてはどうでしょう。これはどこの、交通局が答えるのかな。少なくとも景観や文化に詳しい、それじゃ知事から……。

○石原知事 おっしゃったことは一々同感でありまして、特にラッピングバスに関しましては、こうなってくると、もう町並みもへったくれもないで、やけみたいなもので、金稼ごうということでやったんですが、それにしても、ちょっと、いい趣味の広告と悪い趣味がありまして、もうちょっと選考の過程で厳選しろということをこの間も申しました。
 それから、町並みその他の看板でありますけれども、私、あるもので読んだんですが、例のフランク・ライトが東京の帝国ホテルの依頼を受けて来たときに、その印象を何かに書いております。それは、ほとんどが平家、高くても二階家で、みんなかわらでふいてあって、実にモノクロームのとても愛らしい都市だということが書いてあります。まさにさっきおっしゃったように、パリも、ネオンサインも全部白色で統一していまして、あすこもやっぱりモノクロームのしっとりした情感があるわけですね。
 日本は、なかなかそこまでいくのは非常に難しいんです。私、環境庁のときに、とにかく看板の色もなるべくモノクロに近く、それから新幹線の沿線にある野立ての、せっかく安土桃山のあのあたりに来ると、非常にきれいな原野の中に、福助たびだとか、何とか学生服とかが立っていて、これは時限立法でなくしたらどうだということをいいましたら、すべて通産省は商業の振興に妨げになるとばかな一徹で反対しまして、実現しませんでしたが、やっぱりそろそろそういうことを考えるところへ日本の成熟というのは来ているんじゃないかと思います。
 都市に関しましても、都市計画が本当になかったに等しいわけで、東京はまさにケーオスの状態でありますけれども、少なくとも今後はもうちょっと日本人の持っているよき感覚をまちづくりに持ち込むような努力を精いっぱいしたいと思っております。

○西条委員 ありがとうございました。
 実は最後にちょっと知事に申し上げたいことが--これはやめます。また、次、何かの機会にしますが、知事、たまたまきのう千葉の選挙が終わりました。今いろんな政治家が、国政の方は混乱しておりますが、知事を先頭に、石原知事がまさにその嚆矢、最初の一番目だろうと思います、いろんな知事が政治家として大変華々しく活動されておる。今どっちかというと、日本の政治を引っ張っているのは、それぞれの知事じゃないかと思っております。
 そんなことをちょっと申し上げたかったんで、知事は大変ご苦労さまでしたということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)

○白井(威)副委員長 西条庄治委員の発言は終わりました。

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