東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○松村副委員長 土持正豊理事の発言を許します。
   〔松村副委員長退席、前島副委員長着席〕

○土持委員 締めくくり総括質疑に際しまして、都政の重要課題について何点か質問をさせていただきます。
 最初に、財政問題について何点か伺います。
 東京都は、IT関連業種等の収益の改善や銀行業等への外形標準課税の導入などにより、十二年度最終補正及び十三年度当初予算で都税の増収を八千四百億円と見込んでおります。共産党は、この八千四百億円の増収をもって、財政再建推進プランで掲げた削減目標額六千三百億円を上回り、あたかも財政再建推進プランの目標が達成したかのように、税収が回復したのだから、削減した歳出を復元しなさいということであります。
 都財政の現状と財政再建についての見解を最初に求めたいと思います。

○木内財務局長 都財政の現状につきましては、七兆円を超える都債残高、あるいは二年連続の財政赤字に加えまして、減債基金の積立不足など隠れ借金がいまだ存在しておりまして、依然として厳しい状況にあると考えます。
 また、今回の都税の増収につきましても、その一定割合が税連動経費として区市町村へ交付されること、財政調整基金への積み立てが義務づけられていることなど、その全額が都の施策に充当できるものではございません。また、今後の経済情勢も決して楽観できるものでもございません。
 いずれにいたしましても、十三年度の予算編成において、都税の増収を見込んだ上で、なお一千四百億円を超える財源が不足し、臨時的な対策をもってそれを補ったところでございます。
 さらに、今後の隠れ借金の解消についてもめどが立っていない状況でございまして、残念ながら構造的な赤字体質を転換するまでには至っていない、まだ道半ばであるというふうに私どもは認識しております。

○土持委員 改めて知事にお尋ねいたします。財政再建推進プランのねらいと、目標年次である平成十五年までの財政再建に向けた知事の決意をお伺いさせていただきます。

○石原知事 るる今まで申し上げてきましたが、たまさかことしの税収がふえましても、そんなものは本当に焼け石に水でありまして、隠れ借金その他、非常に財政に不健全な要素も多々ございます。大事なことは、やはりこれから、時代の変化に応じて必要とされる新しい都民のニーズや、それに伴う施策の展開のために、弾力性のある財政を持っておりませんと、そういった都民の要求に対応することができないわけでありますから、いずれにしろ、そういう力を蓄えようということで財政再建し、少し財政的な筋肉も力をつけていこうということでやっております。
 国の経済動向もなかなか厳しい感じがいたしますし、税収の方も、ずっとそれが並行して伸びるということは、とてもおぼつかないと思います。
 そういう点でも、できる限りの力を尽くして、自分自身のぜい肉もそいで、やっぱり財政再建というものを都なりに推進していかないと、いざというときに間に合わぬ、そういうことで、これからも強力に改革を推進していきたいと思っております。

○土持委員 知事のリーダーシップのもとで、全庁挙げて将来のために財政構造改革への取り組みを要請するものであります。
 続きまして、地方の独立の観点から、地方公共団体がみずからの権能を行使して調達し得る財源を伴った権限移譲、すなわち、真の分権の実現を図るために、具体的な行動を起こすべきではないかというふうに考えますが、知事の所見を伺います。

○石原知事 これは、東京都に限らず、各地方自治体、同じような不満というものを抱えていると思いますが、先般、地方分権一括法なるものが成立しましたけれども、いかなる行政にも不可欠な財政的な力というものを税財源の分与という形で与えようとしない、非常に有名無実の法律だと思いますけれども、いずれにしろ、地方主権の時代でありますから、都の税調なども力をいただきまして、やはり獲得できるものは自分の力で獲得していくという、そして、それがまた要するに国民、都民、つまり、大衆に過剰な負担を負わさないような形で世間一般が納得できるような、そういう考慮もしながら、これからも都なりの税財源の獲得をしていかなければならないと思っております。

○土持委員 次に、福祉の関係についてお伺いいたします。
 我が党の緊急提言にこたえる形で策定された福祉改革推進プランについては、新世紀にふさわしい利用者本位の新しい福祉の構築を目指すものとなっております。各種施策を推進するためには、平成十六年度までの五年間で五千二百億円を上回る予算を集中投入するわけであります。一連の施策見直しにより生み出された財源を有効に活用したからこそ、可能になったものと思います。
 今後、このプランに示された施策が確実に実現され、都民の皆さんの前に新しいサービスを提供することが非常に重要であります。
 ここで改めて、この五千二百億円を上回る財源を福祉に集中投資することがどのようにして可能になったか、お示しいただきたいと思います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 お尋ねの福祉改革推進プランにおきましては、五年間で総額五千二百億円を上回る事業を計画化し、多様化、高度化する都民ニーズにこたえて、福祉施策の充実を図ることといたしております。これは、一連の経済給付的事業の見直しによりまして生み出された財源を、改革の実現のため、戦略的、集中的に投入することにより可能となったものでございます。
 二十一世紀にふさわしい利用者本位の新しい福祉を東京から実現し、都民に実感していただくため、国に先駆けて、戦略プロジェクトを初めとする福祉改革への取り組みを積極的に展開してまいります。

○土持委員 我が党がかねてより主張してまいりました障害者の親亡き後対策についてなんですけれども、障害者施設緊急整備三カ年計画の中に盛り込まれておりまして、今後二百カ所にわたって生活基盤が整備されるわけであります。障害を持つお子さんの親御さんからは、やはり期待すると同時に、みずから暮らす近くに整備されるだろうかという気持ちを抱いているわけであります。入所施設と通所施設の配置がどうもアンバランスな状況にあるんじゃないかと思います。
 ぜひ、不足する地域の区市町村の積極的な取り組みを促す意味で、包括補助制度の特別の支援を行うなど、偏在解消を誘導すべきではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 障害を持つ子どもさんを抱えた保護者の方々の不安を解消するためには、今お話しありましたとおり、障害者の方々が身近な地域で多様な暮らしを選べるようにインフラ整備を進めていくことが必要であると考えております。今回、福祉改革推進プランに基づきまして、心身障害者施設緊急整備三カ年計画を策定いたしましたが、区市町村において、ぜひ積極的な取り組みをいただきたいと考えております。
 都といたしましても、三カ年計画による特別補助に加えまして、包括補助制度などを活用して施設が各地域にバランスよく整備されるよう、区市町村などの取り組みを支援してまいります。

○土持委員 これからの新しい福祉は、身近なところで、本当にきめ細かな取り組みをすることが非常に重要になってくると思うんですけれども、私の近くにも、知的障害者の親たちが共同でマンションなどを借りまして、小規模の知的障害者の生活の場をつくっている、こういうことをよく見かけますし、また、さらに何人かでグループをつくり合って、高齢者の方に声をかけ合うとかという、いろんな形の小規模のボランティアの活動が多く見られるわけなんです。
 こうした身近なきめ細かなそういうボランティアのグループに対する対応が、なかなか厳しい現状にあるんではないかと思うんですが、ぜひボランティア活動の条件整備などを支援するシステムができないものか、都としても施策化すべきじゃないかというふうに考えているんですけれども、いかがでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 利用者が必要なサービスをみずから選択、利用できる、こういう福祉を実現することを私ども目指しているわけですが、そのためには、社会福祉法人や株式会社などによるサービスに加えまして、今ご指摘ございましたが、NPOであるとか、あるいはボランティアであるとか、こういった身近な地域に根差した主体によるきめ細かな活動が大切な役割を果たすと考えております。
 そうした活動を支えるためには、まず、区市町村が主体的に、活動の場の整備など、独自のボランティア支援施策を実施していただくことが必要であろうと思います。
 都といたしましては、こうした区市町村の取り組みを、包括補助制度などを活用しながら支援をしてまいりたいというふうに考えております。

○土持委員 福祉局長、新世紀にふさわしい、利用者本位の新しい福祉をこれから構築していくわけですけれども、福祉改革の取り組みは、我々にとっても重要な政策課題であります。ぜひこれからも、この福祉の構築については全力で取り組んでいただくことを強く要望しておきたいと思います。
 介護保険についてお伺いいたします。
 今回の定例会で、本会議の代表質問、また予算特別委員会においても、我が党議員から、介護保険制度における社会福祉法人等による利用者負担の減免措置に関する活用策について提案をいたしました。
 それに対して、知事からは、矛盾ははっきり見きわめて、東京なりの措置もいたさなくてはいけないとの大変積極的なご答弁をいただきました。福祉関係者はもちろん、介護の負担に悩む多くの方から、都が検討を始めたというのは本当かという問い合わせが随分ございました。都が動くことの影響の重大さを非常に感じたわけですが、介護保険の制度の根本にかかわる課題については、我が党は、今後ともさまざまな角度から、国に対して要望していかなくちゃならないと思います。
 しかし、都も、東京の介護保険を育む会を新たに設置して、必要に応じて国に提案していくことが必要であります。私どもも大いにその成果に期待しているところでありますが、今回の我が党の提案は、その育む会における取り組みに先鞭をつけることにもなるのであると認識をしているわけでございます。
 何としても、社会福祉法人による利用者負担の減免措置が活用されるための支援策が、早急に取りまとめられなくてはならないと思います。本日の締めくくり質疑における重要な課題の一つなので、ぜひ知事の所見を改めてお伺いしたいと思います。

○石原知事 発足して一年が経過したわけでありますけれども、いろいろな矛盾点というか、足りないところ、ひずみというものも露呈してきておりますし、それを十分見きわめて、都は都なりの措置を講じていかなくちゃならないと思っております。
 おっしゃるとおりの低所得者対策でありますけれども、社会福祉法人などによる減免措置もその一つでありまして、何といっても介護保険の現場であります区市町村が、驥尾に付した措置を講じていただかなければなりませんけれども、それをさらに都としても、これから区市町村のそういった努力に対して報いるように、都としての支援策をできるだけ早く検討して、行っていきたいと思っております。

○土持委員 よろしくお願いいたします。
 次に、小児救急医療についてでありますが、今回の本会議代表質問で、小児救急医療体制の具体的整備について伺いましたが、二次救急医療については、小児科医師により常時診断を行うことができる固定、通年制の施設を確保し、ことしの四月から実施するとの力強い答弁をいただいたところであります。我が党としても、この四月からの体制強化には大いに期待しているところであります。
 ところで、お子さんを持つ親としては、子どもが急病になったときに、できるだけ早く、できるだけ近くということが、どうしても要望事項の第一に挙げられてくるのではないかと思います。
 先日の新聞報道によりますと、一晩に百人もの小児患者が一つの病院に、小児救急に参加した病院に集中してしまったということがございました。このような場合、具体的にどのような対応をするのか、お伺いしたいと思います。

○今村衛生局長 小児の二次救急医療体制の整備に当たりましては、医師会等のご協力を得ながら、二次保健医療圏など地域性を考慮し、複数の参画医療機関を確保しており、ある病院が満床の場合であっても、他の空きベットを有する近隣医療機関に入院できる体制が整っております。
 具体的には、患者が救急車で搬送される場合には、救急隊は、救急車に搭載されている端末装置により救急医療機関の空きベッド状況等を把握し、対応が可能な医療機関を選定して搬送を行います。また、都民が救急医療機関を直接受診される場合は、東京都保健医療情報センターや東京消防庁におきまして、近隣の複数の医療機関の情報を提供しております。
 今後とも、都民が地域の中で安心して暮らせるよう、各医療機関との連携を図り、小児救急医療体制の充実に努めてまいります。

○土持委員 三百六十五日二十四時間ということで、お子さんを抱えているお父さん、お母さんは大変な期待を今抱いているわけですけれども、ぜひそうしたネットワーク体制をしっかり確立していただきたいというふうに思います。
 次に、患者中心の医療についてですが、医療ミスや医療事故の報道が大変最近大きく、医療機関に対する都民の信頼が大きく揺らいでいるという状況ではないかと思います。
 そこで、来年度患者の声相談窓口というのが設置されますけれども、具体的にいつ設置されて、どのような機能を果たすのか、最初にお伺いしたいと思います。

○今村衛生局長 患者の声相談窓口につきましては、知事を先頭に進めております東京発の医療改革の重要な柱の一つとして、平成十三年度早期の開設を目指して、現在準備中でございます。
 この窓口は、都民からの電話や来所による診療内容、医師等の応対など、医療に関するさまざまな相談や要望に応じ、患者や家族等へのアドバイスや、医療機関との診療に関する良好な環境づくりを担っていくものでございます。

○土持委員 患者の声相談窓口で集まったいろいろな情報が出てくるわけですけれども、これをどのようにこれから都民に提供していくかということは、安心感を高める上で非常に大事だと思うのです。今後どのような活用をされるか、示していただきたいと思います。

○今村衛生局長 患者の声相談窓口に寄せられた情報や相談事例につきましては、整理分類を行いまして、それらを都民や医療機関に定期的に公表していくとともに、医療従事者の講習会などで活用し、患者と医療機関との信頼関係の形成に努めることによりまして、東京発の医療改革の目標である開かれた医療、安心できる医療の実現を目指してまいります。

○土持委員 続きまして、教育問題についてお伺いをいたします。
 我が党は、定例会のたびに教育問題を取り上げて、提案をしてまいりましたけれども、不登校や中退した生徒などのやり直しのきく教育機関として、チャレンジスクールを発足いたしました。このチャレンジスクールの現状について、まず最初に伺いたいと思います。

○横山教育長 お話のチャレンジスクールにつきましては、不登校や、あるいは中途退学を経験した生徒なども含みます多様な生徒の学習希望にこたえる学校として設置したものでございまして、都立高校改革推進計画に基づきまして、平成十二年度に桐ヶ丘高校、平成十三年度には、二校目となります世田谷泉高校を開校いたします。

○土持委員 今答弁のありました泉高校、ことし開校したわけですけれども、ことしの桐ヶ丘と泉高校の応募状況はどうだったか、示してください。

○横山教育長 お尋ねの二校につきましては、いずれも募集定員を二回に分けて募集を行っております。
 平成十三年度入学者選抜におきまして、桐ヶ丘高校には、前期百五十人の募集に対しまして四百九十二人、三・三倍の応募でございます。後期は、二十二人の募集に対しまして百七十六人、八倍の応募でございました。
 また、世田谷泉高校につきましては、前期百四十人の募集に対して六百九十人、四・九倍の応募、後期は三十一人の募集に対して二百九十一人、九・四倍の応募がございました。大変な応募率でございます。

○土持委員 今のご説明でわかるとおり、大変に希望者が多いわけです。これはやはりチャレンジスクールをできるだけ前倒し、早急に建設すべきだというふうに考えますけれども、教育長の考え方を示してください。

○横山教育長 チャレンジスクールにつきましては、都立高校改革推進計画に基づきまして、全体で五校設置をいたします。
 現在、平成十六年度に江東地区チャレンジスクール、平成十七年度に港地区チャレンジスクールを開校する予定でございます。
 今後におきます設置計画につきましては、実は平成十三年度に、都立高校に関する都民意識調査の実施を予定しておりますが、こうした結果も参考にしつつ、平成十四年度に策定いたします都立高校改革推進計画第三次実施計画におきまして検討し、都民の期待にこたえてまいりたいと考えております。

○土持委員 それでもなかなか入れないお子さん、生徒が出てしまうのが現実です。大変なことだと思うのです。できたら、何としても救いたい思いなんですが、知事とちょっと目が合いましたので、やる気のあるお子さんについて、この方たちに、今、インターネットとか、それからいろんな情報があって、自宅でも不登校の人が勉強できる、あるいは専門学校に行ける時間もある、いろんな方法がとれると思うのですが、できたら、この高校受験の方のセーフティーネットとして、やる気のあるお子さんについては、ぜひそういうセーフティーネット的な学校の制度をつくっていただきたいというふうに考えているのです。
 教育長に伺いますけれども、教育長の答弁の後に、知事にちょっと答弁をお願いしたいと思います。

○横山教育長 学ぶ意欲のある生徒を広く受け入れる学校としましては、現在、通信制高校が重要な役割を果たしているわけでございますが、今後、その通信制高校におきまして、学習指導や教育相談などにインターネット等の情報技術を活用しますことは、これまでの学校教育にはうまく適応できない生徒も含みます、能力や関心が多様な生徒に対しまして、弾力的な高校教育の機会を提供する上で、非常に意義があることと考えております。
 このため、来年度教育庁内に検討委員会を設置しまして、通信制高校における教育課程の編成でありますとか、あるいは学校規模などにつきまして、具体的な検討を行ってまいります。

○石原知事 このごろ、仕事をする方々も、ホームオフィスとかスモールオフィスとかという形で、電子工学的にほかと連絡をとりながら、ちゃんと仕事を果たしていらっしゃる。まして受験生で頑張ろうという意欲のある人だったら、教室に行かなくてもいろんな形で勉強するでしょうし、また教室には、今日ちょっと社会的ないろんな問題がありまして、いじめであるとかその他ありますので、私は時代に応じた新しい教室というのでしょうか、勉学のシステムというものを、東京都こそ、やはり他に先んじて講じていく必要があると思います。
 また、そういう点で、ひとついろいろ専門家の意見も聞きながら、新しい試みをぜひしてみたいと思っております。

○土持委員 大変ありがとうございました。
 ぜひ本当に、十五の春を泣かせないという言葉をよく聞きましたけれども、そういうシステムを確立していただきたいと思います。
 教育長、もう一つ、今、都立の盲・聾・養護学校で、インターネット接続について、いろいろ意見がありまして、現在、月に十五時間しか接続時間がないのですけれども、これは何とか無制限にぜひしていただきたいというふうに考えているのですけれども、いかがなものでしょうか。

○横山教育長 ご指摘のように、パソコンであるとか、あるいはインターネットなど情報技術の活用といいますのは、障害のある児童生徒にとりましても、情報の収集、発信の有効な手段でございますことから、都立盲・聾・養護学校におきまして、これまでも障害の特性を踏まえた情報教育を推進してまいりました。
 お話のように確かに時間制限がございますが、十三年度からは、すべての盲・聾・養護学校が接続時間の制限なしにインターネットを活用できるようにしまして、情報教育の充実を図っていこうとしています。

○土持委員 よろしくお願いいたします。
 次に、高齢社会における住宅問題についてお伺いをいたします。
 今国会で、与党三党が提案した高齢者の居住の安定に関する法律案が上程されたわけであります。その中で、民間賃貸住宅については、滞納家賃の債務保証制度など、高齢者が安心して住み続けられるさまざまな仕組みが考えられております。
 しかし、高齢者というだけでアパートが借りられないとか、何とかしてもらえないかという相談を、連日私たちは受けているわけであります。法の制定を受けて、今後、都で、大家が不安を抱くことなく高齢者が入居できるための取り組みをぜひ展開すべきだと思いますけれども、住宅局長、いかがでしょうか。

○戸井住宅局長 都は、これまで、東京都防災・建築まちづくりセンターにおきまして、滞納家賃の保証などを行う安心住宅制度により、高齢者の入居を支援してまいりました。
 このたびの法律案によりますと、高齢者が円滑に入居できる賃貸住宅の登録、閲覧制度が創設されるとともに、大家の不安を解消するために、滞納家賃の債務保証などを行う機関が設立されることになっております。
 都といたしましては、これまでの安心住宅制度を踏まえ、今回の法律案を活用した高齢者の新たな入居支援の仕組みを、福祉施策や区市町村と連携して検討してまいります。

○土持委員 民間住宅の事業者による高齢者向けの設備の整った優良な賃貸住宅がございますが、今回、この法案で、民設民営方式の制度が拡充されることになったわけなんですけれども、都においては、これまでの実績と今後の取り組み、十一年度から始まっておりますが、示していただきたいと思います。

○戸井住宅局長 高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、これまで、国と都の支援を得て、区市町村が事業主体となりまして、民間により供給されてまいりました。
 今回の法制化によりまして、入居者の収入要件がなくなるとともに、税制上の優遇措置が新たに設けられることとされております。
 実績でございますけれども、平成十一年、十二年度合わせて二百七十戸の供給を進めてきたところでございます。平成十三年度につきましては、二百五十戸の供給を計画しております。
 今後とも、区市町村を積極的に支援してまいります。

○土持委員 高齢者の方と若年のファミリー世帯、これは住宅問題で、大きな両方の課題になっているわけですが、特に若年ファミリー世帯の都営住宅入居促進が非常に重要なんですけれども、これからどのようなことを考えているか、住宅局の考え方を示していただきたいと思います。

○戸井住宅局長 若年ファミリー世帯の入居を促進し、団地や周辺地域の活力の維持向上を図るため、まず平成十一年十月から、若年ファミリー世帯向け募集を実施しております。
 また、都単独で設置している都営住宅を活用し、若年ファミリー世帯を対象とした期限つき入居についても、平成十三年度の導入に向けて、現在検討しているところでございます。
 さらに、スーパーリフォーム事業におきましても、平成十三年度から、新たに三戸を二戸に改造し、こうした若い世帯向けに居住面積を拡大するタイプの事業を試行的に実施してまいります。

○土持委員 ところで、本予算特別委員会の初日に、我が党が、高齢者が民間賃貸住宅に入居する際の身元保証人、これは保証人がいなくて大変に困っておりまして、ぜひ検討委員会でということで質問をさせていただいたわけですが、高齢者施策推進室よりぜひ内容について具体的に示していただきたいし、また、この問題の取り組みについて、決意をお伺いしたいと思います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今お話ございましたが、ひとり暮らしの高齢者等が地域で安心して生活をする、そのためには、民間賃貸住宅への入居時における身元保証が大変重要でございます。
 お尋ねの身元保証人制度検討委員会におきましては、こうした観点から、家賃の保証であるとか、病気、死亡時の支援策等について検討をいただいておりましたが、今月の末に報告をいただく予定でございます。
 今後、その報告を踏まえまして、関係局、区市町村と具体化に向けて検討してまいりたいと考えております。

○土持委員 次に、電子商取引について伺いたいと思いますけれども、大変にIT化が進む中で、電子商取引に参入したいという希望があっても、中小企業の皆さんから、なかなか参入が不可能だという声がありまして、だんだんとIT化が進むにつれて、こういった相談が東京都に多く寄せられてくるのじゃないかと思うのですけれども、その対応策についてお伺いしたいと思います。

○浪越労働経済局長 インターネットを利用した販売などが増大するのに伴い、中小企業からの相談も増加するものと考えられます。
 これまで、電子商取引に関する経営上の疑問や、ITに関するソフト、ハードの課題については、それぞれ商工指導所や産業技術研究所などにおいて相談に応じているところでございます。
 今後、本年四月の組織の再編整備に伴いまして、商工指導所の機能を引き継ぎます中小企業振興公社や産業技術研究所などが連携を強化することにより、IT関連の相談などの充実に努めてまいります。

○土持委員 済みません、よろしくお願いしたいと思います。特に、ITに絡む問題は非常に複雑なので、体制が組みにくいかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、インターネット通販について、大変に被害が増大しているという状況でございます。インターネットの急速な普及で、通信販売が伸びているわけですけれども、半面、被害が増大しています。消費者センターに寄せられた相談件数、あるいは中身について、どういう具体的な相談があったのか、事例を示していただきたいと思います。

○高橋生活文化局長 最近行いました消費生活モニターアンケートによりますと、約九割の人がインターネット通販に不安を感じております。
 こうした状況の中で、インターネットに関する消費生活センターの相談件数は毎年倍増しておりまして、平成十二年度は二千五百件を超え、その約六割がインターネット通販であります。
 また、その相談内容でございますけれども、覚えのない代金請求を受けた、あるいは注文した商品が届かない、それから画面で見た商品と違うなどの相談でございます。

○土持委員 相談件数がかなりふえているという状況の中で、消費者保護の観点から、これからどのような具体的な対応をしていくか、お伺いしたいと思います。

○高橋生活文化局長 インターネット通販をめぐるトラブル防止のためには、例えばホームページを、消費者の関係で「東京の消費生活」というのを持っていますが、そうした消費者へのホームページ等、さまざまな方法で情報提供を行うほか、適切な相談処理を行うよう、新たな班編成などの体制強化を図っております。
 今後、インターネット通販の健全な進展のため、不適正な取引行為を行う事業者に対する調査指導を強化してまいります。
 また、新たに電子商取引関連事業者団体協議会などを設置しまして、消費者トラブルの実態を踏まえて、関係する事業者団体等の自主的な対応を促すなど、積極的に取り組んでまいります。

○土持委員 次に、環境問題に移らせていただきますが、我が党は、三ゼロ社会の実現を政策として掲げてまいりました。その一つがごみゼロ社会でありますが、これは、ごみを単なる廃棄物としてとらえるのではなく、資源として循環させることを目的とし、それによって、環境面はもちろんのこと、雇用創出にも寄与することが期待されております。こうした資源循環型社会の構築こそ、二十一世紀に望まれる時代、社会といえます。
 こうした背景があって、我が党の北側政調会長は、去る二月の衆議院予算委員会で、資源の循環型社会形成のための具体案として、エコタウン構想を提唱したところであります。こうした我が党の提案を踏まえて、連立与党三党は、三月に発表した緊急経済対策の中に、都市再生の実現として、エコタウン構想を示したのであります。
 そこで、まず、東京の産業廃棄物の多くは他県で処理されているわけですけれども、その実態について示していただきたいと思います。

○中野環境局長 平成九年度の都内の産業廃棄物実態調査によりますと、発生した産業廃棄物を、リサイクルや中間処理によって減量した後に残る最終処分量は、三百二十五万トンとなっています。
 このうち、約八割が都外で処分されているという状況でございます。

○土持委員 八〇%ということで、実態が示すとおり、東京の産業廃棄物の処理は、ほとんどが他県に依存しているわけです。いうなれば、東京圏のごみ問題の解決は、即日本のごみ問題の解決に結びつくものといえます。
 知事は、こうした実態を踏まえて、エコタウン構想についていろいろ評価をされておりますけれども、率直な知事の評価をお伺いするものであります。

○石原知事 産業廃棄物は、今後も大都市の中でますます増加が見込まれておりまして、この廃棄物問題の解決は、行政区分を越えて、またいで、東京圏全体の持続した発展を可能にするためにも、非常に重要な、不可欠な課題であると思っております。
 これからの廃棄物対策は、発生自体の抑制と、なかなかいうにやさしいのですが、皆さん平気でごみを出されますけれども、いずれにしろ、その抑制と、発生した廃棄物の徹底した再資源化が必要でありまして、エコタウン構想は、こうした施策の方向にも合致して、非常に現代的なものだと思っております。
 ですから、さきに提案しました首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトの中におきましても、東京の試案として、環境対策の柱の一つとして、この問題についての提言を行いました。

○土持委員 このエコタウン事業は、これからどのように取り組まれていくのかということなんですが、現在、全国で十三の自治体で実施されております。我が党としても全力で取り組んでまいりたいと決意しておりますけれども、これからの取り組み、どういう取り組み方をするのか、さまざまな取り組み方があると思いますけれども、その効果についてもあわせてお伺いしたいと思います。

○中野環境局長 建設廃棄物の再資源化や廃プラスチック対策など、廃棄物の適正処理とリサイクル対策の推進は、環境負荷の小さい社会の実現に寄与するとともに、いわゆる静脈産業の振興など、経済の活性化にも貢献するものと考えております。

○土持委員 今回のこの予算特別委員会の三日目になりますけれども、我が党の谷口委員が質問をさせていただきました。その中で、特に質問の後の翌日、新聞「赤旗」の記事が、どうしてもこれは、私どももう一回主張しなくちゃいけないという思いで、貴重な時間をとるわけでありますが、翌日の新聞に、値上げ阻止した日本共産党、当局いいなりの公明党、日本共産党都議団に値上げすると説明しましたという新聞報道がなされておりました。これは、事実についてどうなのか、答弁いただきたいと思います。

○赤川水道局長 水道料金を改定するといったような説明はしておりません。したがって、事実と異なります。
   〔発言する者あり〕

○土持委員 水道局長、では、事実はどうだったんですか。

○赤川水道局長 平成九年十一月に作成いたしました財政収支の概況により、その時点での財政状況を説明いたしました。

○土持委員 財政状況を説明したということ、では、「赤旗」に書いてあるように、不足額が生じたら値上げするというような、こういうふうな書き方になっているんですけれども、これはどういうことなんですか。

○赤川水道局長 都議会各会派に対する説明と同様、平成十年度末に見込まれる約百十八億円の資金不足の取り扱いについては、現在検討中であるとご説明いたしました。

○土持委員 それでは、重ねて伺いますけれども、値上げすると説明したとするこの「赤旗」の記事は、誤りですね。

○赤川水道局長 その時点での状況を説明したもので、水道料金を改定するとかしないとかといったような説明はしておりません。先ほどお答えしたとおり、その時点での財政状況をご説明したものでございます。

○土持委員 百十八億円の不足額が見込まれていながら、料金改定しなくて済んだという現実があるわけですけれども、これはどういうふうにしたんですか。

○赤川水道局長 その後、収支見積もりを精査するとともに、四百名の定数削減を初め、諸経費の見直し、工事コストの縮減、未利用地の売却など、可能な限りの企業努力を行うことにより収支不足額を解消し、水道料金を据え置くことといたしました。

○土持委員 では、この「赤旗」の記事はうそですね。

○赤川水道局長 先ほどもお答えいたしましたが、水道料金を改定するとかしないとかいったような説明をしたものではありません。したがって、記事の内容については誤りであると考えております。

○土持委員 我が党は、安易な料金改定は絶対許さないという立場で、企業努力をずっと主張してきたわけです。水道局にも申し上げました。
 局長、覚えていらっしゃいますか。

○赤川水道局長 都議会各会派からさまざまなご意見がありましたが、水道局としては、最大限の企業努力を行うことにより、料金を据え置くことといたしました。

○土持委員 私も鮮明に覚えておりますけれども、青島知事の時代に、財源不足を理由に、東京都は、いわゆる五十九項目、七十八億円の料金改定を提案してきたわけなんです。我が党は、厳しい財政状況ではありますけれども、行うべきは都民生活を守るということであって、また、私たちは徹底的に議論を重ねる中で、その年の第一回定例会では、五百億円、結果的には行革を断行することができたわけです。
 そういう状況を見ながら、水道局としても、資金不足が見込まれる中、景気の低迷の中で、都民の生活を守ろうという観点からいろいろ企業努力をしてきたと思うんですね。で、料金改定を見送ったというふうに認識をしているわけですけれども、局長、いかがですか。

○赤川水道局長 ご指摘のとおり、都民生活に与える影響を最大限配慮するとの認識のもと、あらゆる創意工夫を凝らして経費の圧縮を図るなど、徹底した企業努力により料金を据え置くことといたしました。

○土持委員 財務局長に伺いたいんですけれども、一連のこういう行政改革のいろいろな予算に共産党はどういう態度で臨んでいたか、示してください。

○木内財務局長 平成十年第一回定例会において、一般会計当初予算案や職員定数条例の改正案について、賛成でなく反対でございました。
   〔発言する者あり〕

○土持委員 反対したんですね。
 今、やじが飛んでいますけれども、もっとまともな議論と--間違ったことをそのまま見過ごすわけにいかないからしているのであって、特にシルバーパス問題だってそうだ。厳しい財政状況の中で、知事部局とぎりぎりの折衝の末、千円という手数料で守ってきた。
 また、「赤旗」によりますと、公約違反の悪政を推進した自民、公明、それに加担した民主の責任が問われるというふうに、こんな、民主も含まれているんですよ。こういうビラを出された。出されっ放しで何にもいわないというのはおかしいと思うんですね。だからいっているのであって、これはとんでもないことだと思います。
 さらに、知事の提案の外形標準課税とかディーゼル車に及んでは、もうとんでもない。先駆的な提案だというふうにいっているんですけれども、こんなことも絶対あり得ないことでありまして、都政の成果は共産党ひとりでやったと、まるでそういいたいような雰囲気であります。悪いのは石原都政であり、悪いのは自民、公明、民主だと本当にいわんばかりなんです。もうこれは本当に許されないことだと思います。
 先ほど山崎理事からもビラについてちょっと質問がありましたけれども、こういうテレビという大きなマスメディアの前で、こういううそが通るという、要するに、間違っていることを何回もビラとか新聞でやったらうそが通るというこういう世界は、とても議会のルールには合わないと思うんです。私は、情報提供を都として絶対すべきだと思うんです。
 知事の答弁を最後に求めたいと思うんです。
   〔発言する者あり〕

○石原知事 余り興奮しないで。
 こうした問題に関しまして、都議会の場で活発な議論が展開されることによりまして、都民に、政党の欺瞞も含めて真実が明らかにされることは、大変結構だと思います。
 ついでに申しますけれども、先ほど入手いたしました、これ、共産党の田中智子さんのビラにも、共産党の提案に石原知事も助かっていると、私が感謝申し上げたように書いてありますけれども、これは名誉のために申しておきますが、私、そんなことを申したことはございません。
   〔発言する者多し〕

○前島副委員長 お静かに。

○土持委員 都政の重要課題の質問に移ります。
 次に、総務局に伺いたいと思いますが、震災対策であります。
 一昨日、広島県の安芸灘を震央とする大地震が発生いたしました。時、ところを選ばない自然災害の恐ろしさを改めて見せつけたわけでありますが、東京においても、南関東地域直下の大規模地震発生の切迫性が指摘されているところであります。
 震災対策の強化は都政の重要課題でありますが、昨年の第四回定例会で(発言する者あり)東京都震災対策条例は……。

○前島副委員長 お静かに。質問中です。

○土持委員 いよいよことしの四月から施行されることになっております。震災対策の指針となるわけでありますが、新しい条例が掲げる震災対策の基本理念について、知事の考え方を示していただきたいと思います。

○石原知事 地震災害から身を守るためには、まず、自分で自分を守るという自己責任原則による自助の考え方と、次いで、ごく間近、身近に住んでいらっしゃる地域の方々の助け合いによって、自分たちの町は自分で守るんだという、そういう共助の考え方を都民が理解し、常日ごろから地震への備えに努めていくことが肝要だと思っております。最低限、隣にだれが住んでいて、どういう家族構成かということぐらいは、やはり隣人として認識し合っておくことが、私は、やはりいざというときに必要な共助の要件になると思っております。
 その上で、公助の役割を果たす都及び区市町村が、予防対策にとどまることなく、応急及び復興を視野に入れた総合的な震災対策を推進していくべきだと思っております。

○土持委員 防災に関する広域的な自治体連携について伺いたいと思いますけれども、震災対策は、広域的に被害が予想され、救助活動とか帰宅困難者対策など、首都圏全体で取り組むべき課題だというふうに思っておりますが、私は、その解決に向けて、今情報ネットワークを活用し、自治体でお互いに情報交換あるいは情報共有等を図っていくことが、非常に必要ではないかというふうに考えます。
 特に首都圏には、このほか、交通とか環境など共同して解決すべき問題も大変多いわけでありまして、総合的な行政のネットワーク化に取り組むべきと考えます。所見を伺いたいと思います。

○大関総務局長 震災対策などの広域的な課題の解決に向けまして、情報ネットワークを活用し、情報の共有化等を図ることは、大変有効な手段だと考えております。
 平成十三年度から、都道府県、政令指定都市を結びます総合行政ネットワークが整備されますが、このネットワーク事業を積極的に活用することにつきましても、現在策定中の電子都庁推進計画に位置づけ、七都県市の広域的な連携を強化し、防災対策を初め首都圏に共通する課題の解決に向けて、実効性のあるものとしていきたいと考えております。

○土持委員 総合防災訓練についてでありますが、昨年九月三日、首都東京の大規模地震災害を想定して実施しました。銀座に戦車が走ったわけでありますが、そのときのいろいろな反省点とか、あるいはことし行われる総合防災訓練、いろいろな課題があるかと思いますけれども、どのように……(「装甲車だよ)と呼ぶ者あり)戦車じゃない装甲車、大変失礼しました。余り変わらないな。
 ことし、どういう計画になっているか、お示しいただきたいと思います。

○大関総務局長 昨年のビッグレスキュー東京二〇〇〇は、これまでにない最大規模の防災訓練を行いまして、自衛隊、警察、消防等の防災機関相互の連携に大きな成果を上げたと考えております。
 しかし、今後の課題といたしましては、災害時に住民の命あるいは財産を守るための第一義的責任を負います区市町村が主体的に取り組むことと、その区市町村との連携を重視した訓練が必要であると考えております。
 このため、来年度は、七月に、防災担当者の判断、指揮、調整能力の向上を目的として、区市町村が主体的に参加する、図上による本部運営訓練を大規模に実施いたします。
 また、九月一日の防災の日には、多摩地区で多くの地域住民の参加を得まして、地元自治体等関係機関の緊密な連携のもと、より実践的な総合防災訓練を実施し、首都東京における災害への備えを一層強化してまいります。

○土持委員 今、十三年度は多摩ということでございましたけれども、二十三区においてはどういうことが予定をされているか、示していただけますか。

○大関総務局長 二十三区におきましても、図上訓練の中でも共同で参加していただきますし、それから、毎年各区でやっております自主的な防災訓練、恐らくこれは九月一日に各区でやると思いますけれども、これにつきましても連携してまいりたい、このように考えております。

○土持委員 次に、本会議の我が党の代表質問で、教務主任辞令交付式や教組の教研集会の例を挙げて指摘したように、一部の教員かもしれませんが、社会常識を逸脱した行動は目に余るものがあります。このような行動を許容する土壌が学校職場に広がっているのではないかという懸念を抱くわけであります。
 学校は今、多くの問題を抱えている中で、校長のリーダーシップのもと、主任という立場で、校長の意向に対応するいろいろな活動をしなくちゃならないにもかかわらず、校長の意向にかかわらず輪番で割り当てたり、また、主任手当を組合に拠出をするとかということで、制度自体が形骸化しているという話をよく聞くわけであります。
 主任制度の趣旨とその実態について伺いたいと思います。

○横山教育長 学校におきます主任制度は、円滑な学校運営が行われるにふさわしい学校組織を整える、そういう必要性から、昭和五十年の学校教育法施行規則の改正により設けられた制度でございます。
 教務主任あるいは生活指導主任などの主任が、分掌する分野につきまして、企画立案、連絡調整及び指導助言に当たることとされておりますが、確かに一部の学校におきましては、主任がその職責を果たしていないために、校長の経営方針が所属教員に十分浸透しない、あるいは秩序ある円滑な学校運営が実現できていない状況もございますし、お話のような実態の残っている学校もございます。
 その原因としましては、制度導入時から職員団体の反対運動が続いていることもございますが、より根本的には、主任が任用上の職級として設置されておらず、その権限や職責が不明確であることなど、制度そのものに不十分な点があるためと考えております。

○土持委員 これまでも、都教委が、職員会議を校長の補助機関として明確に位置づけるよう学校管理運営規則の改正を行ったり、また人事考課制度などを導入する、そういうことで学校運営の改善を図ってきたわけですね。しかし、主任制度については、どのように取り組むかということが示されていないのですけれども、具体的にここで示していただきたいと思います。

○横山教育長 主任制度が適正に機能するように、これまでも、今お話がございましたが、主任の発令を従来の校長発令から教育委員会発令に切りかえたことや、学校に校長の補助機関として企画調整会議を設置しまして、主任をその構成員としたこと、また、一部の教育管理職選考におきまして、主任経験を受検資格とし、管理職候補期間中に主任を経験させることとしたほか、主要な主任に対しまして悉皆研修を行うなど、主任が学校運営の各分野でその職責を果たせるよう、さまざまな取り組みを進めてきたところでございますが、先ほども申し述べましたように、現行制度そのものに問題があるため、改善には限界がありますことから、これは何としても制度の改善が必要であると考えているところでございます。
 そこで、文部科学省に対しまして、制度の抜本的な見直しとしまして、主要な主任につきましては任用上の職として位置づけること、職務権限の明確化を図ること、さらに、給料表に新しい職務の級を設置することを含めまして、主任の職務の困難度、責任に見合った処遇の改善を図ることを、都道府県教育長協議会を通じて要望しているところでございまして、都道府県共通の悩みとして最大の問題となっております。

○土持委員 教育長、主任制度は、この間、都教委で全力でいろいろな取り組みをしてきたと思いますけれども、学校改革の総仕上げになるような意味合いがあるわけですね。しかし、依然として主任制度の形骸化の実態というのがあるんですね。この際、主任制度の抜本的な見直しをすべきじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○横山教育長 現在学校が抱えております諸課題に対応しますとともに、教育改革を推進するためには、校長のリーダーシップのもと、学校が組織として適正に機能する必要がございます。
 主任の抜本的見直しのため国の制度改革が必要となるものにつきましては、今後とも、国に所要の法改正を求めていくとともに、都教育委員会としましても、独自に主任制度を機能させるためにはどうあるべきか、こういった問題につきまして見直しの検討に取り組んでまいりたいと考えております。

○土持委員 続きまして、都立大学に関して伺いたいと思いますが、最近、新聞報道で、生命科学や超電導など先端的な科学技術分野での大学の研究成果が大きく紹介されております。大学の研究に対する注目度が高まっているとは思いますけれども、都立大学でも、産業経済の活性化や都民の生活に直接貢献する研究など、時代の要請にこたえるべきじゃないかというふうに考えるわけです。
 そのために、限られた研究費が与えられているわけですけれども、今まで一律に分配をされているという状況の中で、もっと効果的な配分方法を考えるべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○川崎都立大学事務局長 ご指摘の研究費の一律的な配分につきましては、今回、その一部を見直し、研究の活性化を図るとともに、すぐれた研究能力を持つ研究者やグループの特色ある研究を奨励することを目的といたしまして、総長特別研究費というものを新たに設けたところでございます。
 この研究費は、バイオテクノロジーや情報技術などの先端的分野、福祉、環境等、社会的ニーズの強い分野などを対象に、研究計画を学内から公募し、すぐれた企画に対して研究費を重点的に配分するものでございます。
 今後とも、このような競争的な研究費の割合を高めていくよう努めてまいります。

○土持委員 総長特別研究費ということでありますが、今後の成果に注目していきたいと思います。
 このほかに、企業から共同研究をふやしてもらいたいとかという要望があったり、特許化を進めてもらいたいとか、産業界や地域社会との連携を図っていただきたいとか、いろいろ要望が出ております。
 そのために、すぐれた成果を生み出した研究者が報われるという、こういうことが大事だと思うんですね、評価されるとかという。こういうことが非常に大事じゃないかと思います。そうすることで、大学としても非常に持てる力を発揮できるという状況になるのじゃないかと思います。社会のさまざまな分野からの期待にぜひこたえていくべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○川崎都立大学事務局長 本学では、産・学連携を促進するなど、研究と社会との接点の拡大に努めてきております。
 ただ、まだまだその成果、十分なものとはいえないのが現状でございます。
 これからは、産業界が求める具体的な研究開発や都市問題に関する実践的な研究など、社会的要請にこたえる研究を重点化していきたいと考えております。
 そのためには、研究費の重点配分や外部資金の導入、すぐれた研究成果の公表、そして研究意欲を引き出す評価システムの創設などにより、教員のインセンティブを高めていくことが重要であると考えております。
 今後、こうした競争的環境の中で研究の活性化を図り、社会のさまざまな分野からの期待にこたえていきたいと思っております。

○土持委員 期待しておりますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、下水道の関係で質問をさせていただきたいと思いますが、二十一世紀は環境の世紀ということで、今回の予算特別委員会の中でもたびたび言葉が出てまいりましたが、世界的にも地球環境の危機が叫ばれている状況であります。
 我が党は、都庁舎のISO一四〇〇一の認証取得や環境会計の導入を今日まで提言してまいりました。こうした提言を取り入れ、下水道局では、全事業所において認証取得に取り組み、また、環境会計の導入を行っているわけであります。大変に評価するものでありますが、都がISO一四〇〇一や環境会計へ前向きに取り組むことで、都民はもとより、全国の自治体に対し、環境改善の動きもさらに活発になるのではないかというふうに思います。
 そこで、下水道局の環境会計の導入とISO一四〇〇一の取り組みについて若干伺いたいと思いますが、既に下水道局では、都庁舎の認証取得に先行して、平成十一年の七月に取っているわけでありますが、ISO一四〇〇一の認証取得をし、同システムに基づき、環境改善へ向けたいろいろな取り組みをしてまいりましたけれども、その効果がどういう形であらわれているのか、また、これからどういう取り組みをするのか、示していただきたいと思います。

○横山下水道局長 平成十一年七月に先行的に認証を取得した落合、中野及び有明の三処理場において、環境マネジメントシステムの運用を通じまして、職員一人一人の環境保全に対する意識が高まり、より高いレベルの放流水質を目指した運転管理を行うなど、環境に配慮した事業運営が行われました。
 同時に、消毒用の薬品使用量、電力使用量などの削減が図られ、温室効果ガスである二酸化炭素排出量削減や経費節減といった効果がありました。
 また、今後の取り組み方針といたしましては、今月中には局内十一カ所の全事業所でISO一四〇〇一の認証を取得し、引き続き継続的なシステムの改善を行いまして、さらなる環境負荷の低減に努めてまいります。

○土持委員 ISOの方はよくわかりましたけれども、環境会計導入によってどのような効果を期待しているか、示していただきたいと思います。

○横山下水道局長 下水道事業は、都民、事業者から排出される汚水を処理しまして、きれいな水にして川や海に戻すことで、水環境の改善に重要な役割を果たしております。
 一方、下水処理施設の運転に要する電力の消費や汚泥を焼却する際の排ガスの発生など、事業を実施していく上で環境に負荷を与えており、この環境負荷の低減にも積極的に取り組んでおります。
 環境会計を導入することで、環境コストと効果を的確に把握いたしまして、わかりやすく示すことにより、事業の透明性を高め、都民の下水道事業への信頼性を確保するとともに、より効率的で環境に配慮した事業運営を行うなど、効果がございます。

○土持委員 快適な水環境の実現に向けた環境施策の総合的な取り組みの展開として、ISO一四〇〇一や環境会計がある。これは継続的活用を積極的に進めていく必要があるんじゃないかと思います。
 最後にこの所見を伺って、終わりといたします。

○横山下水道局長 全事業所で構築する環境マネジメントシステムや今回新たに導入した環境会計は、今後、継続的に計画、運用、点検の見直しを行うことで、職員一人一人の環境意識を高め、環境に配慮した事業運営を確立してまいります。これによりまして、効率的な環境負荷の低減を図り、自然と調和した都市環境の創出に努めてまいります。
 また、局の環境保全の取り組みを取りまとめ、積極的に公表することで、都民にも、より一層水環境の改善や環境施策に対する理解が得られるものと考えております。

○前島副委員長 土持正豊理事の発言は終わりました。(拍手)
 この際、議事の都合により、おおむね三十分間休憩いたします。
   午後六時十一分休憩

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