東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○田村委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案までを一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月十六日に議長を通じ各常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 山崎孝明理事の発言を許します。

○山崎委員 自民党を代表して、締めくくりの総括質疑をさせていただきます。
 石原知事初め理事者の皆さんは、一カ月にも及ぶ長時間の審議で大変お疲れだと思いますが、実質的には、あと、きょうとあしたでございます。寝ずに頑張っている理事者の方々もたくさんいらっしゃいました。本当に申しわけないと思いますが、おつき合いをいただきたいと思います。
 さきのこの予算委員会で、石原知事から、共産党に対して、ハイエナ発言がございました。あのとき私も共産党さんの姿をこうじっと見ていたんですが、ハイエナ発言の後に続いて、共産党の質疑があったわけです。大山議員、村松議員の質疑があった。あれだけ知事にハイエナといわれたにもかかわらず、お二人は、質疑の中で一言も反論も抗議もしなかった。これは、お二人はハイエナ発言を認めたというふうに私は感じたわけでございます。
 そして、吉田議員が、大もめになった後、抗議をした後、数分残していた。そのとき吉田議員は、あれだけこけにされたにもかかわらず、抗議を途中で終えて質疑に入ろうとした。私は、それを見ていておかしいなと、だれしも感じたと思うんです。で、後ろからメモを渡されて、改めて抗議を続けたのであります。そして最後に、大塚主税局長にきっちりとけりをつけられた、これがせんだっての予算委員会の姿でありました。
 まあ天下の公党を誹謗したと知事に食ってかかったのなら、なぜ徹底して抗議をしなかったのか、これは後で渡辺議員の発言の機会がありますから、そのときにご説明いただければありがたいと私は思っております。
 また、共産党さんがまくチラシの中には、こういう表現がありました。「都議会第二党になってからは自民党をも動かして」という文言がありまして--我々は共産党に動かされたことがありますか。(発言する者あり)もう本当に、まあ何といっていいんだか、もうびっくりしますよ。
 それともう一つ、共産党さんの反論を聞いていましたが、あの反論を聞いていると、日本語がわかっているのかなという気がします。と申しますのは、共産党さんがとったと称する実績の根拠として述べられているのは、何年何月にこのことについて質問した、あるいは意見を述べたというものばかりでありまして、けさ12チャンネルで討論会の番組がありました。金曜日に収録したんですが、そのときに、やはり共産党の議員が、ディーゼル車の規制は我々がやったと、こういう発言をテレビでもいっている。私は、そこで、石原知事にまたどなられるぞといってやじを飛ばしたんですが、そのようなことばかりおっしゃるのは、しっかりとした根拠でやらなきゃいかぬというふうに思っています。
 質問した、意見をいったことと、それを実現させたことは全く違うというのが普通我々の常識でありまして、日本語もそういうふうに使われているはずです。質問や提案をしたりして関心を持った事項を実現させることが一番苦労するところで、政党の存在と実力はこの実現にあるわけでして、ちょっとさわったくらいで、もうとったといいふらすのは、都民を愚弄するものであります。政党に宣伝性はつきものです。都民を欺くようなことは、以後慎んでいただきたい。(傍聴席にて発言する者あり)
 重ねて申し上げたいことがあります。
   〔発言する者あり〕

○田村委員長 傍聴人に申し上げます。
 傍聴人はご静粛にお願いします。

○山崎委員 先日の代表質問において、共産党は、十二年、十三年度の都税の増収により、財政再建推進プランで掲げた六千三百億円の財源不足はすべて解消されるため、プランに基づき見直した福祉施策はもとに戻すべきだ、こう主張しております。この主張には二つの大きな問題があります。
 第一は、財政再建推進プランをしっかり読んでいるのかどうかというのが一つの疑問です。
 四年間の財源不足が六千三百億円とおっしゃっていますが、この六千三百億円は、十五年度の予算編成における財源不足見込み額です。このため、財政再建推進プランでは、十五年度までに特別な財源対策を講じなくても予算を編成できるようにしようというのが、その内容であります。
 したがって、それまでの十三、十四年度にも財源不足が存在するわけで、その累計は約二兆五千億円。現に十三年度予算案では、四千八百億円を超す都税の増収を見込んだ上でなお千四百三十八億円の財源不足が生じ、臨時的な財源対策を行ったと都は説明をしているわけです。十二、十三年度の都税の増収八千四百億円で財源不足六千三百億円を解消し、二千百億円の余裕があるなどといった発言は、全くの誤りであります。
 第二の問題は、財政構造改革の本質を理解していない、こう思います。
 都は、この二年間、財政再建推進プランに基づき、職員定数の削減や給与カットなどの内部努力や施策の見直し、再構築など、財政構造改革を全力を挙げて推進しております。こうした財政構造改革を通じて目指すものは、強固で弾力的な財政体質の確立であり、そうした取り組みによって、都民ニーズに的確に対応し、新たな施策を展開しているところであります。
 その一環として、今回、福祉施策についても、従来の経済給付的事業を抜本的に見直して、少子高齢化社会における新たなニーズにこたえるため、福祉改革推進プランを策定し、サービスの質と量の充実を図っているのであります。
 いうまでもありませんが、財源不足の解消は重要であります。しかし、財政構造改革とは、歳入と歳出のギャップを埋めるという、そういう短絡的なものではありません。財政構造改革の本質を十分にとらえた上で、今後の財政運営のあり方について議論していく必要があります。
 以上申し上げましたように、都財政の現状に対するこうした誤った理解は、都民の判断を曇らせるものとなりますので、当委員会の予算審議に当たって改めていただきたい。この場をかりて、よくこの点を指摘させていただきます。
 知事の施政演説に私は大変感銘いたしました。それは、三つの危機--東京の危機、日本の危機、地球の危機、この三つの危機を知事は掲げられたわけでございます。この中で、豊かさの代償として地球の寿命を大幅に縮めているのが、今日の実態であります。今世紀の終わりには、東京も日本も地球上の人類も、消えて存在しなくなる懸念すらあります。二十一世紀は人類の存亡をかけた世紀であるということを、肝に銘じる必要があります。そのために、脱産業革命とも呼ぶべき環境革命を通じて文明社会を築いていきたいという趣旨の演説がございました。
 そこで、普通であれば財政問題から質疑に入りたいのですが、まず第一に、環境対策から私は質問をしたいと思っております。
 先日、福沢諭吉没後百年の催しがありました。その会場で「二十世紀の予言」という、報知新聞が出ておりまして、一九〇一年、ちょうど百年前の一月二日号、一月三日号がありました。
 ちょっと説明させていただきますが、無線電信及び電話。これは「二十世紀の予言」ということで、一九〇一年の新聞です。無線電信は一層進歩して、ただに電信のみならず、無線電話は世界諸国に連絡して、東京にある者がロンドン、ニューヨークにある友人と自由に対話することを得べし。
 遠距離の写真。数十年の後、欧州の天に戦雲暗たんたることあらんとき、東京の新聞記者は、編集局にいながら、電気力によりてその状況を早速写真となすことを得べ、しかしてその写真は天然色を現象すべし、こう書かれています。
 七日間世界一周。十九世紀の末年において少なくとも八十日間を要した世界一周は、二十世紀には七日を要すれば足ることになるべく、また、世界文明国の人民は、男女を問わず必ず一回以上世界漫遊をなすに至らん。
 鉄道の速力。東京-神戸間は二時間半を要し、また今日四日半を要するニューヨーク-サンフランシスコ間は一昼夜にして通ずべし。また動力はもちろん、石炭を使用せざるをもって、煤煙の汚染なく、また給水のために停車することなかるべし。
 自動車の世というのがありまして、馬車は廃せられ、これにかわ得るに、自動車は廉価にあがなうことを得べく、また軍用にも自転車及び自動車をもって馬をかわ得ることとなるべし、こういうふうに書いてございました。
 これは、科学的な予測については、大方ちょうど百年前に、今日の世の中を的中させていると思います。
 ところが、おもしろいことに、当たっていないのが幾つかありまして、それは自然なんですね。自然に対して、暴風を防ぐという項がありまして、気象上の観測術進歩して、天災来らんとすることは一カ月以前に予測することを得べく、天災中の最も恐るべき暴風起こらんとすれば、大砲を空中に放ちて変じて雨となすを得べし。されば二十世紀の後半期に至りては、難船、海嘯、つまり津波ですね、等の変なかるべし。また地震の動揺は免れざるも、家屋、道路の建築はよくその害を免じるるに適当なるべし。
 あるいはこんなおもしろいのもあります。人とけものとの会話自在。獣語の研究進歩して、小学校に獣語科あり、人と犬、猫、猿とは自由に対話することを得るに至り、したがって下女、下男の地位は多く犬によりて占められ、犬が人の使いに歩く世となるべし。
 今、後半に申し上げたのは、自然界の予測です。
 野獣の滅亡については、アフリカの原野に至るも、獅子、トラの野獣を見ることあたわず、彼らは、わずかに都会の博物館に余命を継ぐべし。
 蚊及びノミの滅亡。衛生事業進歩する結果、蚊及びノミの類は滅亡すべし。
 このような、ちょうど百年前に出ている新聞を見ました。
 こうして見ますと、科学は相当な勢いで進歩する。しかしながら、大自然というのは、非常にその力というか、おもしろいものだなと、そう簡単に人間が大自然を乗り越えるということは非常に難しい、そんな思いがしたので、環境対策についての質問の前に、私はこれを述べたわけです。
 知事は、せんだっての委員会でのお話、記者会見でもありましたが、超鉄鋼ですか、非常にすごいものができたと。例えば羽田の桟橋方式の飛行場をつくるには、それが最適なんだろうと思うんです。私の友人が、鉄をさびから防ぐために、新しいメタルスプレー工法というのをつくり出しまして、これでやると、その友人いわく、百年間は鉄はさびない、こういうことを今やっておりまして、あちこちで今実際にでき上がっている橋や鉄塔について挑戦し、海外からも非常に多くの引き合いが来ておりますので、一度知事の超鉄鋼とそのメタルスプレーを組み合わせれば、羽田の飛行場を新しくしても、一世紀はもつだろう、こんな思いがしております。
 それでは質問に入りますが、環境の視点から、提案を含めて何点かお伺いいたします。
 二十世紀の象徴であるモータリゼーションは、私たちの生活を本当に便利で快適なものにしたわけですが、反面、かけがえのない環境に大きな負荷、特に自動車交通の集中する東京は、大気汚染が都民の健康と生命を脅かしております。
 いつも共産党さんばかりにパネルをやられているから、自民党だってこういうことができるんだというところを見てもらいたいと思います。(パネルを示す)自動車のCO2排出量の割合、これ平成九年度ですが、資料をお配りしますので、そちらを見ていただければわかるのですが、CO2の排出量については、運輸部門が二〇%、民生部門二四%、産業部門四〇%、その中で、運輸部門で自動車が八八%を占めております。それから大気汚染物質の自動車の寄与割合でありますが、これについては自動車が圧倒的に多いです。ごらんのように、SPMについても、自動車が八一%という大きな比率を占めているわけでございます。こうした中で、知事がいち早くディーゼル車規制を英断されたことは、本当にすばらしいことだと思います。
 しかし、さきの第四回定例会の代表質問で私が申し上げたとおり、ディーゼル車の規制によって、負担は、税による都民の責任とユーザーである業者の責任ということになるわけですね。このほかに、私は、荷主の責任があるんじゃないかということを本会議で申し上げました。
 荷主といいましても、大手のメーカーさん、鉄鋼メーカーも何でもそうなんですが、メーカーと、末は一家の主婦が宅急便をやる、それもやっぱり荷主です。ですから、非常に幅が広くて、どうにも、これを負担させるといっても、なかなか難しい。
 業界は運賃を上げればいいんですが、今の時代、運賃を上げれば、もうそのほかの業者に取ってかわられてしまう。そういったところで、運輸業界自体も大変な苦しみを今味わっているわけで、そこにDPFの装着費の負担ということになると--私の住んでいるところは運送屋さんの大変多いまちでして、中小のトラック五台、十台という方がたくさんいらっしゃいます。そういう方々とも一生懸命僕は話し合いをして、意見を聞いて今日まで来ましたけれども、何か知恵はないかということで皆さんに相談するんですが、なかなかいい知恵が浮かび上がってこない。
 規制により、トラックやバスを使用する事業者というのは、より低公害な車への買いかえか、DPFの装着ということになるわけです。多くは中小事業者で、これは弱者です。ユーザーは、販売されている車を買わざるを得なかったわけですね。仕方なしに、ある車を買うわけです。ところが、後から規制がかかって、この車はだめだと。装着しなくちゃだめだとか、いろんなことになってきてしまった。値上げをして価格への転嫁は不可能と。
 一方、DPFの装着費の二分の一は都民の税金で補助されるが、これは都民の負担。つまり、都民も弱者であります。ですから、ともにコストは、弱者である中小企業、中小事業者と都民が負担するということになるわけですから、これは果たして公平であろうか、私はこう思います。
 私は、浪人時代、三十代前半ですが、四トン半のトラックを運転して、機械を積んで日本じゅう走りました。約二年半。四トン半のディーゼル車です。排ガス基準が甘いことをいいことに、メーカーは、パワーとスピードのみを求めて開発してきたと思うんです。私は、そうした自動車メーカーにも大きな責任があると思います。
 自動車で商品の安全性に欠陥があった場合に、メーカーは、過失の有無にかかわらず、メーカー責任として部品交換や修理を無料でやるわけです。こうした考え方は、私は、環境にも適用されるべきであると考えております。
 企業の社会的責任ということがよくいわれますが、知事は、環境の危機に直面している今日、自動車メーカーの社会的責任をどのようにお考えでいらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 企業を構成する社長さん以下、社員もすべて人間でありまして、国民、市民でありますから、大気汚染の被害者でもあるわけでありまして、かつ、その中の限られた方々がメーカーで仕事をしていらっしゃる。私は、やっぱり人間としても、それを構成している企業としても、今日のこの社会問題たる大気汚染に対する責任は、当然あると思います。
 何といっても、大気汚染の最大の元凶は自動車であるということは自明でございまして、そういう意味でも、自動車を工夫してつくる方々にもいろんな責任があると思います。
 いずれにしろ、地球への負荷をどこまで抑制するかが問われている今日でありますから、メーカーが、環境負荷の少ない自動車の開発、生産はもとより、社会的な損失の負担など環境保全について、より大きな責任を求められるのは当然だと思います。
 私の一年先輩でありますが、トヨタの会長の奥田さんとも非常に親しくしておりますけれども、トヨタはトヨタで、自分の技術を自負しておりますから、うちはできるんだということをいいますが、それを内だけにせずに、そういう技術というのは、結局、万民に開放して、どの自動車も、トヨタの開発した技術というものを共有できるみたいなことにならぬかということをよく申しているのですが、いずれにしろ、どことは申しませんけれども、現況、外国には低公害車を売り、同種類でありながら、日本には公害をまき散らす車を平気で売っているような企業がありまして、こういったものは、やはり国がしっかりして、行政の責任として均一化すると。もちろん、いい意味での均一化をする必要が私はあると思います。

○山崎委員 さきの総括質疑において、知事が我が党の宮崎理事に答弁されたとおり、これからの環境施策は、環境重視を経済の仕組みの中に内在化させることが不可欠で、税制の果たすべき役割は非常に重要になる、こうお答えになっております。
 そこで、自動車にかかわる税について考えてみたいと思いますが、都税としては自動車税、自動車取得税、国税として自動車重量税、消費税、こうあるわけです。これは、全部ユーザー、つまり、ユーザーである消費者がこの税の負担をしているわけです。
 お配りしてあります資料3ですね、ここに細かく、いろいろ使途、それから税収も書いてございます。
 自動車にかかわる税金の試算としても、普通自動車で二千三百ccで七十二万七千円、トラック七十二万三千円、バス百三十一万一千円というふうに、使っている人たちは、こうやって税金を払っているわけですよ。
 ところが、メーカーが負担する税は、主税局長、ありますか。

○大塚主税局長 メーカーが負担する税はございません。

○山崎委員 メーカーは、一切、車についての税は負担していない。トラックの国内生産台数は、十一年度ですが、百七十四万七千台、輸出量が五十九万五千台あります。国内販売車と輸出車では、排ガス基準について、仕様は同じなのか、違いはあるのか、これをちょっと見てもらいたいと思います。
 (パネルを示す)資料の5、6、7を見ていただきたいと思います。ガソリン乗用車における排ガス規制値の比較、NOXですが、この実線が日本の基準です。点線がカリフォルニア州。これはユーロですね。
 そうして見ると、少なくとも二〇〇〇年までは、日本のガソリン車は、ヨーロッパやアメリカのガソリン車よりも、〇・二五と〇・一五ですから、〇・一グラム・パー・キロメートル、こんなに差があります。
 これが、二〇〇〇年を過ぎて一たんは下がりますが、二〇〇五年、二〇〇四年になりますと、アメリカよりも下に行かなければいけないのですが、まだそういうことは計画されておりません。
 これは、ディーゼル重量車における排出ガス規制値の比較、(PM)です。これにしても、もうはっきり出ているんですが、日本の基準値がこんなに高くて、ヨーロッパやアメリカは、二〇〇〇年以降もダウンさせて、なおかつ二〇〇五年以降はもうゼロに近いほどに下がっているわけです。
 これは、メーカーの名前を出して悪いんですが、アコードとサニーを、国内で売っている車とアメリカのカリフォルニアで売っている車の比較をしました。エンジンの排出量はちょっと違いますけれども、ごらんのように、NOXもHCもCOも--COは、ちょっとこれ、アメリカのアコードの場合は違いますが、こんなにも差が開いている。サニーの場合にも、これほど違いがあって、なおかつ一番最後の欄を見ていただくと、価格です。価格がそんなには違っていない。そんなに違わないような車をつくって売っているわけです。
 国の法改正や都の条例制定は、メーカーにしてみれば、今までの基準に合った車を製造しているんだから、当然という姿勢があります。しかし、大気を汚染する状況を知りながら、外国に出す車はいい車、今、知事がおっしゃったとおりです。国内は、基準に合っているんだからいいんだという考え方は、とんでもない話だと思うんです。国内あるいは日本人に対しては、汚れた空気を吸ってもいいんだというような企業の意識が、はっきりとここであらわれていると思います。
 そこで、環境保全のために都民、業界に負担をさせるだけでは十分といえず、これでは公平の原則にかなっておりません。
 ちなみに、国内の自動車生産台数、先ほどはトラックでしたが、今度は、自動車が約一千万台売れています。乗用車八百十万、バス四万八千台、トラック百七十万台。都内の自動車販売台数は、十一年度ですが、新車で四十万二千台、中古車で三十七万二千台。十一年の都内の自動車の年間販売額は、一兆三千二百六十七億円あるわけです。これは、全部新車ではありませんから、少なくとも新車でも半分以上の七千億以上、販売されているわけです。
 そもそも、ディーゼル車に限らず、自動車は、程度の差こそあれ、環境に大きな負荷を与えております。
 先日、新聞では、自動車メーカーの賃上げの記事がありまして、四年ぶりに前年を上回ったと報道されています。今、メーカーが取り組むべきは、より環境負荷の少ない自動車の開発であり、行政の役割は、そのためのインセンティブの仕組みを用意することであると思います。
 そこで、環境負荷の少ない自動車の普及促進を図るため、ただいま伺った自動車税等ではどのような措置が講じられておりますか、主税局長、お答えください。

○大塚主税局長 自動車にかかわる税のうち、環境負荷が少ない自動車の普及促進の観点から特例措置が講じられておりますのは、自動車取得税、それから自動車税でございます。
 まず、自動車取得税でございますが、低燃費かつ低公害の自動車につきまして軽減措置が講じられております。また、自動車税につきましては、低燃費かつ低公害の自動車を軽減する一方、新車登録から一定年数を経過した自動車を重課するいわゆるグルーン税制が、国の制度として平成十四年度から実施される予定でございます。
 なお、都におきましては、ご案内のとおり、一昨年、都議会のご承認をいただき、国に先行して条例化を図っております。

○山崎委員 軽減措置が中心ということです。そうしたユーザーに対する軽減措置も必要ですが、私はあわせて、メーカーに対して、環境負荷の度合いに応じた課税、自動車メーカー税ともいうべき法定外税を、環境目的税として新たにかけてもいいのではないかと考えております。
 ちょうど知事が環境庁長官をされていた時代だと思いますが、アメリカでは、NOXなど排ガスを、昭和五十一年から従来の十分の一に規制するというマスキー法が制定されました。しかし、実現不可能とする業界の猛反発に遭って、これは大幅に後退したんです。
 ところが、日本は、世論の高まりの中、マスキー法と同じ規制が当初目標どおり実施され、結果として、我が国の自動車産業は技術力が非常に向上した、そして国際競争力も非常に高まった、こういわれております。
 アメリカ・カリフォルニア州では、平成十五年から、販売台数の一〇%は、排ガスゼロ、またはこれに準ずる超低公害車とするよう、自動車メーカーに義務づける規制が行われます。このため、日本の各メーカーは、同じ車種でも、カリフォルニア向けと日本国内向けで仕様を別にするなど、規制をクリアするための懸命な努力をされていると聞いております。
 私は、これらはいずれも規制による例ですが、税制によっても高いハードルを課すことにより、環境負荷低減に対する同様のインセンティブを与えることができると私は考えております。
 例えば、環境負荷の最も少ない自動車を基準とし、それ以外の車に、負荷の程度に応じメーカーに税を負担していただく。税率については、燃料区分があります。それから重量区分--重量車であるかないか、燃料区分というのは、ディーゼル車かガソリン車か、あるいはほかの燃料か、排出ガス性能区分、低排出ガス車認定基準に適合するかどうか、現行規制に適合するかどうか、新短期規制に適合するかどうかというふうに、幾つかにランク別に分けて、一番いい、基準のいい車を税率ゼロにして、悪い車ほど税金を少しずつアップしていくという方法が考えられるのではないかと思うんです。
 一台生産し、都内で販売する一台ごとに、最も環境負荷の少ない車を無税、それ以上を程度に応じて税率を上げていけば、私はできるのではないかと思います。これによる税収をDPFの装着補助あるいは低公害車の普及支援、もっと税収が多ければ、多摩の森林の保護育成や都内の緑の倍増計画にも充てることで、二重の政策効果も期待できるはずであります。
 知事が本会議で、知恵を出し合い、アイデアを出し合って、議会も出してくれ、一緒にやりましょう、責任は私がとります、こういうふうに発言されたのを聞いて、私は本当に感銘いたしました。
 都議会自民党は、みんなで懸命にこうした勉強をし、研究をし、きょうここに提案をさせていただいたわけでございます。
 東京の直面している環境の危機、自動車メーカーの社会的責任、自動車の技術革新の可能性、これらを踏まえて、トップランナー方式ともいえるこのような仕組みを、東京都としてぜひ検討していただきたいと考えますが、知事のご所見を、あるいはご感想をお伺いいたします。

○石原知事 これは、非常に大事なご提言だと思います。ただ、やっぱり、最終的には国全体がこういう体制をとらなきゃ、これだけの狭小な国土ですから、東京近辺がやっただけでは間に合わないことだと思いますけれども、いずれにしろ、経済性との五分五分のトレードオフで済むような現況では、もう環境問題はないと思います。
 ですから、おっしゃるように、環境負荷が少ない自動車の開発、生産に、強いインセンティブとして、また汚染の原因でもある自動車の生産者の責任の求め方の一つとして、非常に有効な方法だと思います。
 議員の方々にも参加いただいている都の税調もございますから、そこで一つのフォーマットをつくって、まず、できることなら東京、東京圏で実現する。そして、それをベースに、やはり国に働きかけていきませんと、都民は救われても、国民が救われないんじゃしようがありませんから。
 今おっしゃられて思い出しましたが、マスキーが日本にやって来たときに、私、環境庁に在任中でしたけれども、自分のマスキー法の車に初めて乗って涙を流していましたが、実はあのときは、日本は、四日市公害とか水俣の後遺症で非常に神経質になっておりまして、世界に先んじてマスキー法をアダプトした車をつくました。アメリカはそれをせせら笑って、日本の経済をつぶすには簡単だ、あいつらの環境理念を刺激して、トラックにまで、つまり規制をかませたら、日本の産業はつぶれると、そういうふざけたことをいったアメリカ人もおりましたが、皮肉なことに、あの以後、むしろ日本が足踏みしている間に、アメリカを含めて世界の方が先に進みまして、自動車に関する環境の規制といいましょうか、税制も含めて、どうも日本は、あの後、余り進歩していないということで、国民、都民も大気汚染で非常に大きな被害をこうむっている現況でありまして、やはり東京からいい出したことでありますから、都税調にも頑張っていただきまして、ひとつ新しいフォーマットをつくって、国にもこれを実現するように迫りたいと思います。

○山崎委員 仮に、ただいま申し上げたような新税が実現した場合、ともするとメーカーは、価格に転嫁してユーザーに負担を負わせることになりかねません。社会的責任について、メーカーの踏み込んだ自覚を期待する次第ですが、そうした自覚を促すのは都民の世論でありまして、知事には大いにリーダーシップを発揮していただきたいということを申し上げておきます。
 また、これはちょっと質疑から外れるんですが、天然ガス車、いい燃料を使ってもらいたいということですが、スタンドが少ないからユーザーは車を買わない、需要が少ないからスタンドがふえない、生産台数がふえないから車の価格が高い、こういう三すくみで、ユーザー、スタンド、メーカーの本当にこれは三すくみであります。
 東京都もいろいろ天然ガスのスタンドを補助してやっておりますけれども、知事にお願いなんですが、例えば高速道路ですね、公団、東名とか東北道とか、あれだけ大きなサービスエリアがあるんですから、あそこへ天然ガスのスタンドを必ずつけるように国の方に働きかけていただきたい。天然ガスは、満タンにしても長距離走らないですね。多分、ゴルフに行って、往復では無理なんじゃないか。どこかでまた入れないと、ゴルフ場から帰ってこられない。これでは幾らやってもだめですよ。ですから、ぜひその点もあわせて、これは知事にお願いいたしておきます。
 次に、東京ベイエリア21に関連してお伺いいたします。
 目標年次が二十年から二十五年という長期的な視点からの都市づくりの方向性を示しております。しかし、何か夢がないようで、私は残念でなりません。そこで、長期的視点から、鉄道新線についてお伺いをいたします。
 (パネルを示す)これは、ここが臨海副都心、羽田がここですね。東京湾のこうした鉄道の線がこう並んでいるわけです。東京構想二〇〇〇では、臨海、臨空、都市軸の機能について、国際空港、港湾、広域幹線道路といった国際広域交通の結節点であり、世界との交流の接点となるとしております。したがって、そのためには、臨海地域において鉄道ネットワークを強化することが不可欠だと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

○山下都市計画局長 臨海地域の再編整備の支援などの観点から、この地域におきます鉄道ネットワークの充実強化は重要でございます。
 このため、都といたしましては、今月末に天王洲アイルまでの区間が開業するりんかい線につきまして、平成十四年度の開業を目途といたしまして大崎延伸を進めるとともに、「ゆりかもめ」の豊洲延伸につきましても、平成十七年度の開業に向けて事業を進めております。
 さらに、地下鉄八号線の豊洲以北への延伸など、臨海地域における鉄道ネットワークの充実強化に取り組んでまいります。

○山崎委員 今の答弁で、地下鉄八号線の延伸について検討するということですが、地下鉄八号線の豊洲から住吉までの区間については、区部東部地域の南北交通の鉄道不便地域の解消という点から、早急に整備が必要と考えますが、都のお考えを伺います。

○山下都市計画局長 都は、これまでも、国に対しまして、八号線の整備促進を提案要求いたしますとともに、沿線区などで構成されます促進協議会に参画し、早期整備に向けた活動を行ってまいりました。
 また、当該路線は、昨年一月の運輸政策審議会答申におきまして、目標年次の平成二十七年までに整備着手することが適当であるというふうに位置づけられておりまして、今後とも、国及び帝都高速度交通営団に対し、早期実現を求めてまいります。

○山崎委員 知事、ちょっと見ていただきたいんですが、これがりんかい線、これは地下鉄東西線、都営新宿線、それからこれは総武線、大体東西がほとんどであります。今行っている「ゆりかもめ」が豊洲まで十七年に開通するわけです。
 ところが、おもしろいことに、ここに亀戸からずっと赤い線が示してありますが、これは昔の貨物の線路がありまして、今ここにレールセンターというのがあります。レールセンターから、日に何度もないんですが、貨物がここを走っております。総武線に入っていくわけです。
 ところが、それがあって、なおかつ、このちょっと青いところ、豊洲までは、都有地が、昔の石川島造船に行くための貨物の線路の跡地が残っております。そして、この青い線ですが、新木場まで、昔、港湾局が計画した鉄道の線路の敷地が残っております。幅、狭いところで十五メートル、広いところで二十メートル以上あると思います。これは明治通りに沿っているんです。
 こういう線があって、なおかつ、私は、この新木場というのは、これからの臨海地区における鉄道の一大結節拠点ですから、ここと羽田と、そして亀戸というのがあるんですが、これを結ぶことができないだろうかと。羽田の方については、ここは計画がありますが、この新幹線の車庫のところですね、ここまで貨物が入ってきているんです。線路があるんです。ですから、これは私は簡単に実現するんだろう、こう思います。
 そこで、この江東区には、例えば、ここ新木場では、新木場地区の老人専門病院のある地域ですが、IT関連の大きな開発がもう始まっております。約三十一ヘクタール。それから、今、ここいらになりますが、三菱製鋼の跡地で、これは十六ヘクタールの開発、それから、後で質問しますが、豊洲にあるIHIの開発、これは五十ヘクタール、それから、この貨物線のわきのここのところに小名木川という貨物線の車庫があるんですが、ここが八ヘクタールで、ここの開発が今間もなく動き出そうとしております。
 このように、この地区は大きな開発がたくさんある。線はみんな東西。南北がどうしても必要だというふうに考えております。
 そこで、この線なんですが、これは東武なんです。東武が鬼怒川から浅草へ行く。これは本線ですが、支線として亀戸まで来ているんです。ですから、東武鉄道を乗り入れさせて、新木場に持ってきて、そして、これが羽田へ行く。新宿から箱根へ行く、東京駅から熱海へ行く、それと同じように、臨海副都心あるいは羽田から鬼怒川温泉に行けるんです、つながれば。
 私は、こういう--まだ二十五年先の計画ですから、構想ですから、このくらいの楽しい夢、それの実現に向けて都は動いてもいいんじゃないか、検討してもいいんじゃないか。すばらしいことだと思うんですが、知事、ご感想を聞かせてください。

○石原知事 今までにもいろいろ新しい鉄道の構想が披瀝されてきましたけれども、要は、最後は金と要するにお客の問題でありまして、それが結局すべてを決めざるを得ないし、また、それで物事にかからないと、例えば十二号線、大江戸線のようになかなか大変なことになりかねませんが、私、今のご説明聞いていてなるほどなと思ったのは、ゲージというか規格の問題もあるんでしょうけれども、亀戸から羽田を結ぶ線というのは、途中通過する地域地域にいろいろなポテンシャルがありますから、かなり信憑性のあるというか、大事な問題だと受けとめました。
 いずれにしろ、その先、私、鬼怒川へ行ったことがないので、存じませんけれども、どれほど観光のポテンシャルがあるか、このごろ人の嗜好も変わってきたので、一概に論じられませんが、いずれにしろ、私たちそう長く生きているわけじゃないですけれども、やはり二十年、三十年、四十年先にどういう首都圏というものを子どもたちに残していくかということは、今から論じられるべきですし、一つの夢として考えさせていただきたいと思います。
 ただ、亀戸と羽田は、私は、既に既存の条件は整っておりますから、一つの現実性のある考え方かなという印象を受けました。

○山崎委員 ほかの国際飛行場は、飛行場とダウンタウンを一カ所結べばいいんですが、東京あるいは羽田ということを考えますと、首都圏三千万の地域ですから、一方だけつなぐというのではなくて、放射状にいろいろな方向につないでいきませんと、羽田は生きてこないというふうに考えております。多少夢がかっておりますので、知事が関心を示していただけただけでも十分でございますので、ひとつ新しい夢のある構想を理事者の皆さんも今後発信していただきたいと思います。
 次に、これは近未来的な具体的な問題で、LRTについて伺います。
 日本初の本格的LRTの導入について、これは江東地区で今調査をし、いろいろやっております。今いった亀戸から新木場に向かうLRTを江東区が今研究をいたしておりますが、そのルートは、私が申し上げたようなことなんですが、このルートについて都として把握していれば、お答えいただきたいと思います。

○山下都市計画局長 江東区におきましては、二つのルートを検討しておりまして、一つは、JR京葉線の新木場駅から明治通りを北上いたしまして、越中島貨物線敷地を利用して総武線の亀戸駅に至るルートでございます。システムは路面軌道系が妥当であるというふうにしているところでございます。
 それから、もう一つは、明治通りを北上した後、永代通りを経由し、東側にずれまして、丸八通りを北上して亀戸駅に至るルートでございます。このシステムにつきましては、丸八通りの幅員からいたしまして、モノレールまたは新交通システムなどが妥当だというふうな報告がございます。

○山崎委員 今のルートで考えてみますと、新木場駅から上がって亀戸駅までの、その地域の開発動向というのを見てみますと、夢の島、新木場のそばの夢の島には、ドリームアイランド計画という大規模な開発が予定されておりますし、途中にある、先ほどお話ししましたが、小名木川貨物駅、これも大型ショッピングセンターや住宅建設などの計画がされております。
 将来の旅客需要の増加も見込まれるなど、この計画の実現性は高いと考えられますが、本格的LRT導入は日本でも初めてであり、区も積極的に取り組んでおります。区に任せ切りにするのではなく、都としてもこの動きを支援すべきと思いますが、いかがですか。

○山下都市計画局長 LRTは、主といたしまして地域交通を担う公共交通機関でありますことから、地元自治体が主体となった取り組みが重要でございます。
 都といたしましても、こうした区の主体的取り組みに対しまして、諸課題の解決に向けて技術的な支援を行ってまいりたいと存じます。

○山崎委員 よろしくお願いいたします。
 関連して、今地図で示しましたが、石川島播磨重工の東京第一工場が、この十三年度をもって、長く地域に親しまれてきた造船所を閉鎖して横浜へ移転すると聞いております。
 この跡地が五十ヘクタールもあります。この地域には、有楽町線豊洲駅、それから「ゆりかもめ」も豊洲まで入ってきますが、東京駅から直線で約三・五キロ、非常に都心に近い上、水辺を有するなど、開発の可能性が非常に高いわけです。
 さきに公表された東京ベイエリア21の中でも、この地域の開発計画の案が示されておりますが、この跡地開発、五十ヘクタールという規模も大きく、その影響は、豊洲地域にとどまらず、東京全体のまちづくりにも大きなインパクトを与え、経済波及効果も大きいと思います。
 そこで、まず、この地区ではどのようなまちづくりを進めるのか、お考えを伺いたいと思います。

○山下都市計画局長 豊洲一ないし三丁目地区開発は、大規模で、周辺に与える影響も非常に大きく、臨海地域の再編を進める上で重要なプロジェクトであるというふうに認識しております。
 地権者が主体となった民間主導による先駆的な開発を進めることで、この地域の活性化はもとより、東京の再生にも資するモデルプロジェクトとなり得るものでございます。
 このため、住宅だけではなく、さまざまな機能を集積させる必要がございます。具体的には、水辺や駅周辺への商業施設の整備など、にぎわいある街区の形成を推進いたします。
 また、既に立地しておりますITやエネルギー関連などの先端技術に関する研究開発機能の一層の集積を進めまして、産業拠点の創出を誘導していく必要がございます。

○山崎委員 そこで、現在想定している今後の開発スケジュールについてお伺いいたします。

○山下都市計画局長 事業者には、平成十七年度の「ゆりかもめ」豊洲駅の開業に合わせまして、一部、まち開きをしたいという意向がございます。
 都といたしましては、地元区とも十分協議の上、近々この地区の開発にかかわる基本的なまちづくりの方針を取りまとめ、引き続き速やかに必要となる都市計画などを定めるよう努めてまいります。

○山崎委員 私は、子どものころからあの周りによく遊びに行って、随分あの大きな工場を目にして育ってまいりましたが、非常に長期間にわたる、五十ヘクタールですから相当広い。したがって、その開発をうまく進めていくには、開発全体を取りまとめて運営していく組織が必要だと思うんです。
 東京ベイエリアの中には、タウンマネジメントと呼ばれるそうした手法があるようですが、具体的にどのような取り組みを行っていくのか、お伺いをいたします。

○山下都市計画局長 この地区の開発は、ご指摘のとおり、大規模かつ長期にわたりますことから、都といたしましては、開発を円滑に進めるための仕組みが必要であると考えております。
 事業者は、この地区の特性を踏まえた一体的なまちづくりの企画、運営を図るために、ご指摘のタウンマネジメント機構の設立準備をいたしております。
 具体的には、そのタウンマネジメント機構におきまして、地区の統一的な開発方針を取りまとめるとか、あるいは情報インフラやエネルギーシステムなどについてその検討を進めるといったことを行っているようでございます。
 都といたしましては、この地区の開発が円滑に進むよう、今後ともタウンマネジメント機構の設立を含め、技術面での指導、支援を行ってまいります。

○山崎委員 東京ベイエリアは、羽田空港の再拡張あるいは第二湾岸道路の整備など、これからやることはたくさんあるわけです。それをうまく誘導し、東京圏、ひいては日本の再生につなげていくべきと考えますが、この地域を含め、東京湾全体を視野に入れた広域的な取り組みについて知事のご所見をお伺いいたします。

○石原知事 東京は非常に大きなまちでありますけれども、海に面した盛り場というのは実はないんですね。お台場がその例外的な存在に最近なってきました。ですから、あそこに非常に地方からの人が、年間四千万近い方がいらっしゃるわけですけれども、私はやはり、今度のこの石播の跡地というのは、それを中心にして、第二のお台場と申しましょうか、つまり、地続きの東京の、お台場というのは一種の島ですけれども、そうじゃないウオーターフロントとして非常に貴重な存在だと思います。
 今、タウンマネジメント云々の話がありましたが、日本人というのはこういう開発が実は下手でありまして、例になるかならないかわかりませんが、私の前住んでおりました葉山の近くに、すばらしい自然の中に国際文化村なるものをつくりましたが、これはもう本当にめちゃくちゃな開発で、その責任者の某大ディベロッパーの、その世界では元老の、名前を挙げてもいいですが、安藤さんに私文句をいったら、いや実はあれは失敗だったと認められたようでありまして、これはやはりそういう轍を踏まないように、例えば、東京都に都市計画なんかなかったんですから、実質的には。やはりそういう轍を踏まないように、きちっとワンシティーワンアーキテクトといいましょうか、思想の統一をして、例えばロンドンの水辺につくった新しいウオーターフロントというのは、日本人がイニシアチブをとって、日本の商社が日本のディベロッパーにやらせて、非常に好評なんです。外国でできたことが日本でできないわけはありません。
 とにかくばらばらに力を集めるのじゃなしに、やはりきちっとしたマネジメントで、イメージのはっきりした、日本に未曽有のそういうリゾートというんでしょうか、人の集まる地域というものを、私はやはりこれからの東京のためにぜひつくっていきたいと思っております。

○山崎委員 私どもの地元でもありまして、子どものころからああいった地域で遊んで育ってきた私としては、本当にいい開発、そして、それが東京にとって大きくプラスするような開発であってほしいと心からお願いをいたしておきます。
 続いて、老人病院の運営と行政改革について伺います。
 都政改革と民間活力を導入したこれからの施設経営のあり方についてでありますが、私の地元である東西線南砂駅の南側一帯が、都の区画整理事業によって今大きく変わろうとしております。
 民間企業によるIT、先ほど地図でお示しした場所ですが、民間企業によるIT関連業務ビルの整備、そして都が整備するエリアでは、高齢者福祉・医療の複合施設の建設が着々と進められ、その中核となる高齢者専門病院がその雄姿を見せ始めております。今回、知事のご英断によって、平成十七年度開設を目指し、重度心身障害児施設、東部療育センターの整備も事業化されたわけでございます。
 十二月本会議のあのビデオを見た重度のお母様方が、涙を流して抱き合って喜んでいたというふうに聞いております。お母さんの一人からは、知事さんにお会いしたら、山崎さん、知事さんにくれぐれもお礼をいってほしい、こういう言葉がありましたので、お伝えさせていただきますが、一部政党は、石原知事は福祉には冷たいというようなことをずっといい続けておりますが、決してそんなことはない、最も恵まれない、つらい思いの方々に愛の手を差し伸べた石原知事のご英断に、最大限の賛意を表するところでございます。
 ところで、その中で今最も先行して整備が進められているのが、高齢者福祉・医療の複合施設でございます。
 かつて鈴木都政の晩年、東京都は、財政難から大型施設は全部凍結ということに方針が決められました。そのとき、私は、必死の思いで、この複合施設だけはやるべきだ、これからの高齢化の時代に向かっていって、東京の福祉あるいは高齢者対策として、特に痴呆症も収容できる先駆的な施設であるから、これは絶対やるべきだということで、必死に我が党の皆さん、各党もですが、声を上げて、この施設だけは残した。本当にこれが今、雄姿をあらわしてくると、私としては本当にうれしい思いでいっぱいでございます。
 それぞれの施設が--ここには特養、それから老健、それから東部療育センターと、一大医療あるいは福祉の一大拠点になるわけです。当初は、公設直営という方針でありましたが、財政難からその方針が変わって、民営方式ということになってきたわけです。
 そこで、特に知事が全国に先駆け、広く民間からの公募によって事業者を選び、病院改革の先駆けにするとお話しされているこの高齢者専門病院の公設民営方式による病院経営について、行政と施設経営のあり方という観点から何点か伺いますが、まず、この病院をつくった趣旨はどこにあるのか、そして、どんな医療サービスを目指そうとしているのか、お伺いをいたします。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 高齢化の進展に伴いまして、高齢者医療のあり方が重要な課題となっておりますが、中でも、急増する重度の痴呆性高齢者に対する医療については不十分な現況にございます。
 このため、都は、病院、介護老人保健施設、特別養護老人ホームが連携し、総合的なサービスを提供する高齢者福祉・医療の複合施設を整備することとした次第でございます。
 高齢者専門病院は、ご指摘のとおり、その複合施設の中核を担う医療施設として、都が直接整備設置するものであります。この病院におきましては、重度の痴呆性高齢者に対する専門的な医療や身体合併症医療などを先駆的、モデル的に実施をしてまいります。
 また、こうした取り組みを通じて得られたノウハウを地域の医療機関等に普及、還元し、痴呆性高齢者医療の全体の質の向上にも貢献してまいります。

○山崎委員 全国自治体に先駆けて、これほどの先駆的な事業に取り組む東京都の姿勢は本当にすばらしいことだと考えておりますが、経営方法について、旧来の方法をとらず、公募による公設民営方式にしたということですが、この高齢者専門病院、全国で初めての公募で病院経営事業者を選ぶということですが、どういう理由で公募方式にされたのか、お伺いいたします。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今述べました高齢者専門病院の設置目的を達成するためには、意欲と能力を十分備えた事業者を選定していくことが必要であり、そのため、提案内容を競わせ、よりすぐれた提案者を選ぶことといたしました。また一方、事業者の選定に当たりましては、機会の公平と選定経過の透明性を確保することが重要でございます。
 こうしたことから、全国で初めての公募方式に踏み切った次第でございます。

○山崎委員 公募は既に締め切ったと聞いておりますが、どれくらいの応募があったのか、またその形態別の内訳はどうなっているか、あわせて教えていただきたいと思います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 本年一月十一日に応募受け付けを開始し、二月二十日に計画書類の提出を締め切りました。
 その結果、応募してきた法人は六法人あり、そのうち最終的に計画書類の提出があったものは、五法人でございます。
 形態別の内訳を申しますと、医療法人、学校法人、社会福祉法人の三種類でございます。

○山崎委員 事業者の選定はどうやって行い、いつごろまでに決定するんでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 事業者の選定につきましては、現在、外部の有識者や都民代表を交えた公募審査委員会で、厳正かつ公平な審査を進めているところでございます。
 委員会におきましては、提案されてきた事業計画内容の妥当性や経営採算性等につきまして、客観的な審査基準に基づいて事業予定者を選定してまいります。
 その結果を踏まえ、四月中には病院事業者を決定したいと考えております。

○山崎委員 四月中ですか。
 審査委員会を設けて厳正、公正な審査を行い、四月中には決定をされるということですが、全国で初めてのケースですから、やはりいろいろ注目をされていると思います。こうした点を考えて、厳正、公平な審査を行い、すばらしい病院事業者をぜひ選んでいただきたいと思います。
 さて、病院の経営形態ですが、公設民営方式ということですが、この公設民営方式とは一体どのような運営方式なのかをわかりやすく説明をいただきたい。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今回の高齢者専門病院の公設民営方式ですが、これは、公の施設として都が整備をし、病院経営を民間法人にゆだねる方式でございます。
 具体的な運営方法ですが、経営が不安定な開設当初から二年程度は都からの委託方式をとりまして、事業が軌道に乗ると思われる三年目を目途に、自主事業方式へと転換し、十年程度で完全独立採算を目指した経営を行うものでございます。
 このように、先駆、モデル的事業として位置づける期間を十年程度とし、この間は、法人の経営努力を促しながら、都が必要最低限の財政補てんをしていくことを考えております。

○山崎委員 いかにも石原知事らしい、新しい発想であると思います。普通ですと、これまでつくった施設は、当然のごとく直営か、あるいは外郭団体に任せてきたわけですが、こうした公設民営方式を取り入れたその理由をお聞かせください。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 先ほど申し上げましたが、高齢者専門病院が目指す新たな医療に取り組んでいくためには、これまでとは違った診療体制や手厚い人員配置体制が必要でございます。このため、経営面で思い切った改革手法をとらない限り、大幅な赤字が出ることは避けられないものと思われます。
 こうしたことから、民間の豊富なノウハウを生かし、質の高いサービスと経営の効率性の確保の両立を図る、こういう考え方に立ちまして、民営化に踏み切ったものでございます。

○山崎委員 民営化をするということになれば、それなりに十分なシミュレーションをしたと思うんですが、収支の想定をどのように行ったのか。また、実際に応募した法人が提案してきた収支の想定は、そうした都の試算と比べてどうであったか、お教えいただきたいと思います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 あくまで一定の前提条件のもとに行った想定でございますが、直営の場合と、監理団体の場合、民営方式と、この三者について十年間の収支の試算を行っております。その結果、民営方式をとった場合、病院の経営効率、都の財政負担の両面ですぐれた方式であるとの結論を得たものでございます。
 また、実際に応募してきた法人の収支想定におきましても、応募法人のすべてが、都の想定を上回る健全な収支計画を提出してきております。

○山崎委員 私ども、特に行財政改革基本問題特別委員会等で、再三我が自民党は申しておりましたが、民間活力の導入あるいは都と民間の役割分担、都と区市町村の役割分担、こうした点をはっきりとどんどん打ち出していかなければ行政改革はできませんよと、そして、短期的な目標と長期的な目標をしっかりとらえて行政改革をしていこうじゃないかということを再三申し上げてまいりました。とにかく、組織のスリム化と財政対応力の強化を図っていくことを強く要求しておきます。
 最後に、病院の開設に向け、三つばかり伺いたいことがあります。
 高齢者の専門病院ですから、遠くからもたくさんの高齢者が来るでしょう。この高齢者の名称なんですが、現在、高齢者専門病院といっているのは仮称だと思いますが、何か都民から広く公募して、都民がわかりやすく、また親しみやすい病院名にすべきと思いますが、いかがでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 高齢者専門病院という呼び方でございますが、これは、平成六年に策定をした、高齢者福祉・医療の複合施設基本構想以降、仮称として使われているものでございます。正式な病院の名称につきましては、平成十四年度の病院開設時に合わせて決めることとなりますが、ご指摘の公募につきましても積極的に検討していきたいと考えます。

○山崎委員 二点目は、病院までのアクセスの問題でありますが、亀戸方面からのバスによる南北のアクセスは、今現在、駅の北側でとまっておりますが、南側が広場が整備されれば、当然南側まで、病院までのアクセスは考えられますが、都として、病院までのバスのアクセスを図ることができないかと思いますが、交通局長、いかがでしょうか。

○寺内交通局長 東西線南砂町駅南側の高齢者専門病院竣工時の同駅南側へのバス路線の延伸につきましては、南北アクセスの確保を図る上から、ターミナルや道路など周辺諸施設の完成に合わせて対応してまいります。

○山崎委員 療育センターもできますし、老人専門病院もできます。そこで、駅から病院やセンターまでのバリアフリーに関して伺います。
 南砂町駅にはエレベーターがないんです。今後これらの施設が開設したときに、お年寄りや障害者のために何としてもエレベーターが必要だと思います。都として、南砂町駅のバリアフリー化を図るとともに、病院までのルートもあわせてバリアフリー化すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○山下都市計画局長 現在、帝都高速度交通営団は、東西線南砂町駅につきまして、エスカレーターやエレベーターの設置などバリアフリー化を推進しているところでございまして、東京都もこれに対し財政的支援を行っております。
 また同時に、駅から病院に至る経路につきましても、都と区が協力して整備を行っているところでございます。
 このような取り組みによりまして、平成十四年六月に予定されている病院の開設に合わせまして、駅から病院までの経路をバリアフリー化してまいります。

○山崎委員 次に、知事の推進する、東京発の医療改革の中の都立病院の取り組みについて伺います。
 去る二月二十二日に、都立病院改革会議において小委員会の経過報告がありまして、今後の都立病院の役割などについて基本的な考えが示されましたが、そこで、新たに都立病院の担うべき役割として整理された行政的医療の考え方はどんなものか、お伺いをいたします。

○今村衛生局長 少し長くなりますが、大事なところなのでご説明させていただきますと、今後の都立病院の役割として整理されました行政的医療の考え方は、大きく三つの柱から構成されております。
 第一点目は、感染症医療、災害時医療など、法令等に基づき対応が求められる医療として、行政の積極的な関与が期待されている医療でございます。
 二点目は、難病医療や救急医療など、社会的要請から特に対策を講じなければならない医療として、一般医療機関等において質的、量的に不足する分野について、供給体制が整備されるまでの間担っていく医療であります。
 三点目は、エイズ医療など新たな医療課題に対して先導的に取り組む必要がある医療として、一般医療機関での医療提供体制が確立されるまでの間対応する医療であります。
 これら三つの柱を総称して、新たに行政的医療として位置づけております。

○山崎委員 都立病院改革会議では、四月以降、いよいよ都立病院の具体的な再編整備などについて検討していくと聞いておりますが、この新たな役割をどう受けとめているのか、お伺いをいたします。

○今村衛生局長 一般の医療機関では対応が困難な医療分野などを都立病院が適切に担っていくことによりまして、さまざまな疾病に対応して、都民が安心して受診できる医療提供体制を整えることが重要な課題であり、役割であると考えております。
 都立病院改革会議では、今後、都立病院の具体的な再編整備のあり方等につきまして議論が行われる予定でありますが、今回、検討経過の形で整理された都立病院の新たな役割を基本として、さまざまな視点から積極的な議論が行われることを期待しております。

○山崎委員 医療の問題は、都民一人一人の生活と密接に結びついているわけで、この点特にしっかりと議論を深めていただきたいと思います。
 次に、東京ERについて何点か伺いますが、都民のために三百六十五日二十四時間の安心を担っていただく東京ERの整備については、高く評価するところでございます。これは、第一号が墨東病院ということが決定いたしておりますが、東京ERでは、休日、夜間を問わず、いつどんなときでも来院すれば診察が受けられると受けとめている方も多いと思うんです。
 救急で対応しなければならないにもかかわらず、昼間行けない人が夜行ってしまう、夜中に行ってしまうということになりますと、救急の人の対応も難しくなるであろうし、また、一般の方が来て、急病でない人も来て診療を受けたいということになると、相当混乱すると思うんですが、まず最初に、東京ERは、対象となる患者など、どのような考え方で運営を行っていくかをお伺いしますが、それと同時に、どのような診療体制をとっていくのか、あわせて二点お伺いいたします。

○今村衛生局長 東京ERは、広尾、墨東、それから府中と整備するわけですが、ご指摘のとおり、これらは拠点病院でございまして、通常でもたくさんの患者がいらっしゃいます。
 東京ERは、限られた医療資源を効果的、効率的に活用していくために、都民ニーズの高い救急患者を対象にしていきたいと考えております。
 実施に当たっては、混乱が生じないよう、その趣旨について都民に周知し、十分に理解を得てまいりたいと考えております。
 なお、救急以外の患者につきましては、地域医療機関との連携も図りながら、適切に対応してまいります。
 また、東京ERでは、救急患者の九九%以上を占める内科系、外科系、小児科の疾患に対応できる専任の医師によります診療体制を整備し、必要に応じ他の診療科の医師による応援体制を組むことにより対応していくこととしております。
 なお、休日、夜間の眼科や歯科などの小規模診療科の救急医療については、他の医療機関との密接な連携や、救急専門医の早期育成を図るなど、都民ニーズを踏まえながら適切に対応してまいります。

○山崎委員 非常ににいい政策です。二十四時間三百六十五日体制というのは、だれもが願っていることでありますが、それがうまくいってもらわないと困る。夜中に、風邪引いたぐらいで行かれてしまう、患者さんがいっぱい来た場合には、救急の患者さんまで手が回らないなんていうことになると本当に大変です。せっかくの東京ERが死んでしまいます。ですから、そういった意味で、しっかりとそれは対応して、都民にもよく知らせて運営をしていっていただきたい、このことをお願いしておきます。
 次に、患者の権利章典について伺いますが、都立病院の取り組みの中で、患者の権利章典の制定があります。これは、東京発の医療改革の柱の一つでもある患者中心の医療の普及に大きな役割を果たすものと期待をしております。
 そこで、この患者の権利章典とはどのようなものなのか、そして都立病院にとってどんな意味を持つのか、お伺いいたします。

○今村衛生局長 患者の権利章典は、知事が進めております東京発の医療改革の重要な柱の一つでございまして、都立病院を運営していくに当たって守るべき倫理的な規範として、患者が受診する際の権利を明らかにするものであります。
 この患者の権利章典を定め、公表することにより、患者にとって安心できる医療、信頼できる医療を一層推進するとともに、病院職員の意識改革を進め、都立病院における医療サービスのさらなる充実を図ることができると考えております。

○山崎委員 さらに、患者の権利章典はどのような方法で検討し、どのように具体化していくのか、お伺いいたします。

○今村衛生局長 都立病院における医の倫理等に関する問題を審議する都立病院倫理委員会のもとに、患者側の視点からの医療に造詣の深い外部委員を中心とした専門委員会を設置いたしまして、現在鋭意検討を行っております。
 今後は、本年夏に予定されているこの倫理委員会報告に基づき、都立病院としての患者の権利章典を定め、職員に周知徹底することはもとより、都民や他の医療機関にも積極的にPRするなどして、患者中心の医療の実現に取り組んでまいります。

○山崎委員 これまで漠としていた医療サービスの利用者たる患者の権利を明文化することで、患者や家族に権利意識を育て、医療従事者にも、医療はサービス業であるという意識をきちんと持ってもらう。患者の権利章典は、医療にまつわる日本人の意識改革だと思います。ぜひ一日も早く、都立病院の玄関に入ってそうしたものを見たいと願っているところでございます。
 次に、小児救急医療についてお伺いいたします。
 赤ちゃんや子どもが急病で行っても、医者がいなかったとか、あるいは専門医がいなくて亡くなってしまったとかということも、テレビで放映がありました。東京発の医療改革の主要な柱として小児救急医療体制の充実を掲げ、東京都は、十三年度から、小児科医が必ず診療するよう、休日・全夜間診療事業を拡充するとしておりますが、この小児科の休日・全夜間診療事業では、どの程度医療機関を確保できる見通しなのか、具体的にお伺いいたします。

○今村衛生局長 小児の休日・全夜間診療事業では、地域性等を考慮しながら、小児科医師が常時診療できる医療機関を、都内に約五十施設、七十床程度、医療機関のご協力により確保し得る見込みであります。本年四月からは、新たな体制により支障なく事業を実施できるものと考えております。

○山崎委員 二次の小児救急医療体制が今後充実されることは、大変多くの都民が心強いと思うんですが、救急医療体制は、区市町村が実施する初期救急医療と、都が実施する二次及び三次救急医療の三層構造になっています。そうした中で、休日や夜間においては、小児科医師が診療を行っている二次の医療機関に軽症の小児患者が大勢詰めかけ、その結果、二次の救急医療体制にそのしわ寄せを来すことがありますが、小児の救急医療については、初期の体制もあわせて充実強化することが必要であると考えております。
 そこで、都は、小児の初期救急についても、都民にわかりやすく、利用しやすい体制づくりを目指し、モデル事業を計画していると聞いていますが、地域性を踏まえてどのように事業展開を図っていくのか、お伺いいたします。

○今村衛生局長 小児の初期救急医療のモデル事業は、区市町村が、地域の実情に即しまして、平日の準夜帯、十七時から二十四時までですが、この準夜帯における救急診療事業を実施できるように、都が、都医師会や地区医師会等関係機関との調整を図り、事業の仕組みづくりを行うもので、都内三地区における実施をただいま計画しております。
 事業を実施するに当たっては、区市町村や関係機関の理解と協力が不可欠でございまして、平成十三年度早期の実施に向けて現在協議を進めております。

○山崎委員 赤ちゃん、子どもさんというのは本当に診療も難しい。赤ちゃんなんか言葉を使えないわけですからね、本当に大変だと思うんですが、さらに小児の救急医療体制の充実を図るために、例えば都立病院に小児専用のICUを整備していくことは考えられませんでしょうか。

○今村衛生局長 小児専用のICUの整備につきましては、大変重要なことだと我々も認識しております。
 小児専用のICU整備のためには、施設面の制約であるとか、人的配置あるいは財政上の問題等、解決すべきさまざまな課題があるのも事実でございます。
 したがいまして、本年夏に予定されております都立病院改革会議の報告を踏まえまして、都立病院全体の具体的な再編整備を行っていく中で鋭意検討してまいります。

○山崎委員 次に、ディーゼル車排出ガスの花粉症への影響について伺いますが、ディーゼル車から排出される微小粒子は、呼吸器疾患との関連や発がん性などが指摘されておりますけれども、花粉症患者、非常にこれ、春先から多くの方々が花粉症で苦しんでいる姿を見ますと、まだ私は花粉症になったことがないからいいんですけれども、本当につらそうですね。何とかいい治療法がないかと、注射がいいとか何がいいとかということで、いろいろ、かかった方はあちこち話を聞いたり薬を飲んだりしているようですけれども、なかなかこれは治らない。都会専門の、かといって、秋田杉のある秋田の人が花粉症があるのかないのか。--ない、と。そうなると、やはりこれは現代都会病の一種なんだろうと思うんですが、花粉症患者が増加する原因を、東京都はどう考えておられますか。

○今村衛生局長 花粉症患者の多くがスギ花粉症患者でございますが、スギ花粉症患者の増加原因は、戦後植林した大量の杉林が成長し、飛散する花粉の量が多くなるといわれている樹齢三十年を超え、花粉を大量に生産していることが大きいものと考えられております。
 また、大気汚染物質、とりわけ近年増加しているディーゼル車から排出される微粒子との関係も疑われております。

○山崎委員 この辺を早急に、都民の健康を守るために、花粉症の実態調査というのを、東京都やってください。いかがですか。

○今村衛生局長 ディーゼル車排出ガスの花粉症への影響について、その実態解明に努めることは重要な課題と考えており、都は、平成十三年度から新たに、花粉症の発症にディーゼル車排出ガスが与える影響や、花粉症発症メカニズムを解明することを目的とした総合的な調査研究を実施することとしております。このことによりまして、大気汚染防止対策及び花粉症の予防治療対策に資することができるものと考えております。

○山崎委員 多くの人が花粉症で苦しんでおるわけですから、何とか東京都としても、こうした方々のためにも、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、地球の温暖化についてお伺いをいたします。
 (パネルを示す)これは、東京の低地帯の地盤高平面図でございます。この濃いところが、要は低いということです。資料はお渡しいたしますが、私、この赤いところに住んでいるんですよ、家が。昭和二十六年、キティー台風のときに堤防が決壊して水が出ました。うちは漁師で、ノリ屋をやっていた。ノリ屋の漁師の網元なんですが、中二階が荷物置き場になっていて、はりを張って板を渡してある。そこへ私は逃げ込んで助かった。小学校一年生ですから、ランドセルをしょって逃げて助かりました。
 この地域は、それこそ外郭堤防ができる前は、あるいは内部河川の整備が進まないころ、あるいは下水の整備がまだ進んでいないころは、もう雨が降れば水が出ていた。そういう地域で生まれ育ってきましたから、水の怖さも知っていますし、そういった意味で、しっかりとした堤防を築いていかないとならないと。
 特に、いろいろ研究では、IPCCのまとめた報告を聞きますと、今後百年の間には、海面は、九センチから、一番多くて八十八センチ、水面が温暖化によって上昇する、こういわれております。
 そこで伺いますが、海面上昇の予測値は九センチから八十八センチという幅ですが、東京臨海部では、このような海面上昇が生じた場合、どんな影響が生じると考えられますでしょうか、お伺いいたします。

○齋藤港湾局長 地球温暖化により海面が最も上昇する場合を想定いたしますと、IPCCの予測では、百十年間で八十八センチとなっております。仮に、これを単純平均いたしますと、年間〇・八センチの上昇に相当いたします。
 一方、東京港では、伊勢湾台風級の台風による高潮が発生した場合を想定いたしまして防潮堤の必要な高さを決めておりますが、設計に際しましては、地盤条件等を考慮してさらに高くしており、現状では平均約二十センチの余裕がございます。
 このため、地球温暖化に伴う海面上昇により直ちに影響が生じるものではないと考えておりますが、今後、国際的な動向や国の対応等にも十分留意しながら、状況の変化に適切に対応してまいります。

○山崎委員 現時点では影響がないということですけれども、東京港の防潮堤の延長は約三十二キロ、いざかさ上げが必要になったといったって、そう簡単にできるものではありません。ですから、今からそういった防潮堤--古くなったのもありますから、つくりかえるときに、ある程度の予測をしながら、現在のままよりはやっぱりボリュームを上げて、あるいはグレードを上げて、高さを上げてというんでしょうか、そのようなことも考えていかなければならないと思います。
 また、東京港の水門や排水機場というものは、三十四年の伊勢湾台風後に大体できておりまして、それは阪神・淡路大震災の経験を踏まえた設計となっていないわけですね。ですから、この点については、これだけ今お示しした地域が低地帯、いつも干潮時でもマイナスというような地域もあるわけですから、ぜひ水門、排水機場について、早急に老朽化対策を講じ、耐震強化対策を進めるべきである。我々はそういう地域に住んでいますから、ですから、大水の経験もありますから、ほんとうに怖いですよね、あの堤防が一度決壊しましたら。
 ぜひこの点について、今後の取り組みはどうなっているのか、お伺いをいたします。

○齋藤港湾局長 東京港の水門、排水機場については、ご指摘のとおり、そのほとんどが整備後三十年以上経過しており、地盤の液状化のおそれもございます。
 そこで、最新の知見に基づいて、老朽化対策とあわせて、大規模地震にも耐え得る施設に早急に改修していく必要があると考えております。改修には約四百五十億円の事業費が必要と見込まれますので、事業の推進のためには、国庫補助の拡充による財源確保が不可欠と考えております。
 このため、国に対して、従来の高潮対策事業の補助事業とは別に、新たな補助制度として、大都市海岸緊急防災対策事業の創設を強力に働きかけているところでございます。今後とも財源確保に努めながら整備を図ってまいります。

○山崎委員 財源がなければどうにもならぬ問題ですが、ぜひこの点は、東京の安全のために頑張っていただきたいと思います。
 次に、財政問題に入ります。
 我が国の株価は、バブル崩壊後の最安値を更新し、ことしの一月の失業率は四・九%、さきの日米首脳会談においては、日本の経済の回復のために、不良債権の処理の促進を初め、構造改革の必要性が打ち出されました。
 国の方は、歳入の三分の一を国債で賄っている。十三年度の見込みでは、その債務残高は約三百八十九兆円、国税収入の七・七倍にもなっているということであります。
 知事、このような我が国の経済を初めとする閉塞的な状況を打破するために、今一体何が必要なんでしょうか、教えてください。

○石原知事 ことしに入ってからの景気の指標等を眺めますと、日本の経済の状況は、とても楽観できるようなものではないと思います。ご指摘のように、国債への依存率を見ましても、財務大臣当人が、あれは失言なんですか、修正したんですか、とにかく非常にうかつに破局という言葉も口にしかねないような現況にあるということは、もう否めないと思います。
 やはり、こうした状況を打破するために、強いリーダーシップが必要だと思いますが、リーダーシップ云々の前に、特に金融に関しては発想というものを変えないと、本当に国民の税金を小出しというんでしょうか、たんびに、相当の額でありますけれども、次々に公的な資金としてつぎ込んで企業を支えるだけではらちが明きませんし、それがその周りに振動を与えて、経済そのものが非常に不安定になっている状況は否めないと思います。
 アメリカも景気が失速してきたようですけれども、当然のことでありまして、早い話が、アメリカは世界一の借金国ですから、日本は世界一の債権国でありながら、今まで向こうが栄えて、こっちはだめだなんてばかな話でありまして、これはやっぱり金融に関するかじ取りそのものがだめだった、その証左だと思います。
 早い話が、リスクマネー、つまり、リスクマネーというのは、専門的に限っていいますと、未公開の株の企業に対する金融のことですけれども、そうじゃなく、もっと幅広く、つまり、いつも担保、担保で裏打ちして、半分壊死したみたいなそういう血液じゃなくて、損得も覚悟で、しかし、やはりあくまでも得というものを確保するためにいろいろ手だてを講じて思い切ってお金を使うという、そういうお金の使い方を心がけなけりゃだめだと思います。
 今度、私はあるもので論文を書きましたが、やっぱり日本の一つの力であります国民が保有している金融資本というものを束ねて、もっとアクティブに使う、そういう手だてを講じないと、日本はアメリカの金融の奴隷に甘んじるだけで、いつも収奪を受けて、物は立派につくる、それで上がりは上がるけれども、その金は外国が使うみたいなそういう立場から脱せない。ここら辺でそろそろ私たちはそういう発想の転換をして、持っている力を十全に使う努力をしませんと、下手をすると、日本が引き金になって不況が世界全体に波及していくということにもなりかねない。
 財務大臣はどういう方かよく存じませんけれども、他人事のように、それしかないとか、何でもありの時代になったとかいっているけれども、これじゃ困るんで、まあ私は国におりませんから、都としても、国務の方にすべき建言はして、知恵があり力もある民族なんですから、発想を変えて、持てる力を十全に駆使していく、そういうやっぱり心がけというものをまず持ってもらいたいと思っております。

○山崎委員 ありがとうございます。
 知事から、もうがんがんそうしたことを発信していただいて、東京から日本を変えていただきたいと願っておりますが、都も、国とたがわず、この十年間で見れば、税収は相当大きく減少いたしましたが、その間の一般歳出の推移はどうなっているか、国との対比で説明をしていただきたいと思います。

○木内財務局長 国の当初予算における一般歳出は、十年前の平成四年度は三十八兆七千億円で、その後一貫してふえ続け、十三年度には四十八兆七千億円となっております。
 一方、東京都の当初予算における一般歳出は、四年度は六兆千四百七十三億円、十三年度は四兆四千八百四十七億円でございまして、この間大きく減少しております。これを四年度を一〇〇とする指数で見ますと、国においては一二六、東京都は二七ポイント減少し七三と、好対照となっております。

○山崎委員 公共事業についてはいろんな意見があるんですが、国も都もバブル期には大きな税収増があって、それがバブル崩壊後は、公共事業等による景気対策を国が行ってきたところであります。
 都は、ここ数年、税収の減収に合わせて一般歳出を厳しく抑制してきたのに対し、国は景気対策という大義名分で一般歳出が大きく増大していることがよくわかりますが、公共事業において、国とは異なる都の方針が持つ意味とか、あるいは効果についてお伺いをいたします。

○木内財務局長 国は、景気対策の観点から公共事業を増大させてまいりました。また、この間、事業分野別のシェアにも大きな変動はなく、それが固定化し、中には投資効果にいささか疑問があるような事業も実施してきたといわざるを得ないというふうに思います。
 一方、東京都としては、厳しい財政状況を踏まえまして、投資的経費を抑制する中、幹線道路や公共交通網の整備など、投資効果の高い事業にシフトさせ、限りある財源の効果的な配分に努めてきたところでございます。
 今後とも、東京における空港、鉄道、道路などの都市基盤整備に、着実な整備を図ってまいります。

○山崎委員 都財政における取り組みは、国や他の地方団体にも大きな影響を与えてきました。知事のリーダーシップであります。
 また、国家財政と比較すると、数字の上からも、はっきりと財政再建に取り組む姿勢の違いを見出すことができます。国の構造改革を強く促すという観点からも、都におけるなお一層の財政構造改革の推進が必要であると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。

○石原知事 おっしゃるとおりであると思います。いずれにしろ、都の財政の再建はまだ道半ばでありまして、構造的な赤字体質を転換するまではとても至っておりません。
 しかも、景気の動向はどうも下がりぎみでありまして、当然、今後も決して手を休めることなく財政構造改革に取り組んでいきたいと思いますが、しかしなお、都はあくまでも大きなポーションであるとはいえ、日本国家の一部でありまして、東京都がばたばたしても国が持ち上がるのはなかなか難しいんで、そろそろ政府の方も発想を変えて、本気で構造改革に取り組んでもらいたいと私は思います。
 かつてそれを積極的にいったのは、私の盟友の梶山静六君だけでありましたが、やっぱりそういった先人の言というものをもう一回政府もこの辺で踏まえ直して、かじのとり方というものをはっきり変えていただかないと、下手をすると東京も、要するに国と一緒に沈むということになりかねない、そういう非常に強い懸念を抱いております。

○山崎委員 そこで、各都道府県別にどれくらいの公共投資が行われたかを調査した行政投資実績があると聞いておりますが、直近で、東京に対してはどの程度の公共投資がなされているのか、お伺いいたします。

○木内財務局長 総務省が先ごろ公表いたしました直近の平成十年度行政投資実績によりますと、東京都の区域における国や地方公共団体などが実施したところの行政投資の総額は、三兆七千四百四十五億円でございまして、全国の合計に占める割合は七・九%となっております。
 また、東京、神奈川、埼玉、千葉を合わせました東京圏の割合は、一八・三%にとどまっております。

○山崎委員 次に、都道府県別の比較をする観点から、総額ベースでの人口一人当たりでの公共投資額は、東京は幾らで、順位はどうなっているのか、また、最も多い県はどこで幾らなのか、お伺いいたします。

○木内財務局長 人口一人当たりでの東京都における投資額は三十一万六千五百五十四円でございまして、都道府県順位は第四十位でございます。
 また、最も多いのは島根県で八十一万千二百五十七円、東京都の二・六倍となっております。

○山崎委員 何と、人口一人当たりでは、島根県は東京都の二倍以上の公共投資が行われております。
 我が国における公共投資の実態を見ますと、大都市圏よりも地方が重視されているということは、もうかなり前から叫ばれていることで、大都市で生み出したお金を地方に配分する。国土の均衡ある発展ということでは耳ざわりはいいんですけれども、極論すれば、地方圏による東京圏あるいは大都市圏からの奪取といってもいいんではないかと思います。特に、国、地方を通じて、財政状況は非常にまだ厳しいものとなっており、より効率的な財源の配分を図っていく必要があるはずであります。その点、東京を初めとする都市部での社会資本整備は、地域間で比較すると、地方圏におけるものより経済波及効果が高いことはいうまでもありません。
 そこで伺いますが、我が国において、公共投資の配分に地域間の大きなゆがみが見られる現状について、知事はいかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 これは、かねがね私も東京都出身の国会議員として、まあかつておりました自民党の中では口酸くいってきたことでありますけれども、しょせん衆寡敵せずで、田舎出身の方が多過ぎまして、主張が通らなかったといううらみがございます。
 例えば、ガソリン税なども、田中角さんがやっぱり目的税として、高速道路、主要道路の建設という形で設けましたが、東京のガソリンの売り上げは恐らく日本一でありまして、それに占める比率に比べれば、東京が、つまりガソリン税を目的税として東京において使われている比率というのは甚だ低く、非常に心外なものであります。
 いずれにしろ、概況見ますと、列島改造論の余韻がまだまだ続いているようでありまして、しかも、この失われた十年の前半では、小沢一郎君が幹事長のときに、私たちは猛反対したんですけど、アメリカに押し切られて、経済構造協議なるものをしまして、十年間に四百三十兆というべらぼうな公共投資を意味もなくすると約束して、もうこれは済んでしまいましたけれども、その結果一体どういう形に社会資本が充実されたかというと、非常にお寒い話であります。
 今後も、やはり東京から大いに主張しまして、今回、遅まきながら政府も気がついたのか、首都圏の再生のために、内閣が続いての話でありましょうけれども、五年間で十兆という基金を用意して首都の充実に充てるようでありますけれども、私たちこれをただの空手形では終わらせずに、みんなして追い込んで、首都東京のためだけではなしに、日本のために、首都圏の充実のために、有効に使っていく努力を続けたいと思っております。

○山崎委員 五年間で総額十兆円の緊急プロジェクトの知事のご提案があったわけですが、これはもう我々も、都議会自民党として、今自民党本部と相ぶつかり合っているところですけれども、政策の点では、知事と一体となって何とかやっていかなきゃ東京は沈没してしまうと思っておるところでございまして、この点、我々議会も各党力を合わせて頑張りますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、商店街対策について、我が党の三宅議員が一般質問で、ITを活用して売れ筋情報などを収集分析し、広く地域流通情報として発信し、経営マネジメントに生かしていくことが必要だと、こう質問をいたしました。
 これに関連してですが、都は、二十一世紀商店街づくり振興プラン策定の大詰めの段階にあると聞いていますが、このプランにおいては、売れ筋情報などのリアルタイムで活用できるシステムづくりなどについてどう方向づけているのか、お伺いをいたします。

○浪越労働経済局長 現在、二十一世紀商店街づくり振興プランの策定を急いでいるところでございますが、プランでは、商店街が取り組むべき八つの戦略を提示し、その一つとしてITを駆使した情報戦略を掲げております。
 その中で、消費者ニーズを把握、分析し、データとして活用することがこれからの商店街にとって重要であるとしております。しかしながら、個々の商店街が単独で取り組むことに限界があるものについては、商店街の連合会が、その専門的立場から調査研究することが必要であるとしているところでございます。

○山崎委員 各商店街がリアルタイムで活用できる売れ筋情報など情報提供に対しては、東京都の商店街振興組合連合会に働きかけていく旨、都の積極的な答弁をいただいたところでありますが、知事が重視するスピードの観点からは、もう一歩具体的に踏み込むべきと考えますが、いかがでしょう。

○浪越労働経済局長 ご指摘のシステムづくりを行うに当たっては、商店街にとって真に必要な情報が何であるかを見きわめていくことが重要でございます。このため、実業家や専門家はもとより、商店街関係者の意見を取り入れていくことも欠かせないことと考えております。
 したがって、都は、東京都商店街振興組合連合会に対し、商店街に必要な情報をリアルタイムに活用できるシステムづくりについて、早急な検討組織の整備や調査実施の働きかけを行うとともに、必要な支援に努めてまいります。

○山崎委員 ありがとうございます。
 東京の地場産業の立場から、繊維産業でありますけれども、中国の方から大変安い品物が入ってきて、特に、東京の繊維関係の人たちは悲鳴に近い声を上げております。
 この点について、国の経済産業省も、繊維製品輸入急増対策として、昨年末、三億円の予算を積み増ししたところですが、この繊維製品輸入急増対策費三億円を編成した国と連携をして、繊維産業振興のために積極的に支援すべきと思いますが、いかがでしょうか。

○浪越労働経済局長 繊維産業は、都における重要な地場産業の一つでございまして、これまでも、繊維産地活性化基金事業や繊維地場産業活性化補助事業など、国の特別対策とも機動的に連携を図りつつ支援してきたところでございます。
 ご指摘のとおり、繊維産業は、繊維製品の輸入の急増により、大変厳しい経営環境にありますが、中には、生き残りをかけて一生懸命頑張っている企業等もございます。このため、これらの企業に対しては、従来の支援策に加え、さらに中小企業経営革新支援法による支援策を活用するなど、国とも連携を図りながら対応してまいります。

○山崎委員 次に、介護保険制度における低所得者対策についてお伺いいたします。
 さきの予算特別委員会において、我が党の近藤やよい議員から、介護保険制度における利用者負担について一つの提案をさせていただきました。
 それに対して知事からは、区市町村が、制度の根幹を堅持しつつ、工夫を凝らし、社会福祉法人等による利用者負担の減免措置等を活用することは有意義である、都としても支援策を検討していきたいと、極めて前向きのご答弁をいただきました。
 今回の提案のように、政府の講じた施策が活用されていない点について、工夫を凝らし、本当に困っていらっしゃる都民の方々に対して対策が講じられるよう、東京都として市区町村に支援することは、極めて意義のあることであります。
 なお、我が党の提案を受けて、この区市町村への支援策が知事によって取りまとめられるにしても、先々、国においても、今回の支援策が介護保険制度の中へ取り入れられることが必要であると考えます。そのためには、全国自治体をリードする都として、今回の支援策が制度の中へ取り入れられるよう積極的に提案すべきということをあわせて要望しておきたいと思います。
 また、その意味からも、私どもが提案するこのような取り組みは、介護保険法で定める制度見直しまでの間の暫定的な取り扱いとされるべきであることを申し添えておきます。
 知事のあのポスターですね、「さあ、新しい福祉だ。」、大変反響がいいようでございます。ぜひとも我が党の提案を踏まえて、社会福祉法人等による利用者負担の減免措置が活用されるための、いわば東京方式ともいうべき支援策が早急に取りまとめられるよう、再度知事の決意をお伺いいたします。

○石原知事 再三申してきたことでございますけれども、人間のつくった制度でありますから、最初から一〇〇%完璧なものはなかなか及ばないと思います。いずれにしろ、およそ一年たちまして、いろいろなひずみも見えてきましたし、また幾つかの課題が顕在化もしております。
 問題の低所得者対策でありますけれども、社会福祉法人などによる減免措置が活用されていないことも課題の一つでありまして、都民が真に必要とするサービスを利用できるように、制度の根幹をあくまでも維持しつつ、区市町村が身近な自治体として工夫を凝らして、積極的にこの減免措置を活用することが望ましいと思っております。
 この措置の活用に向けた区市町村の努力に対して、都として、当然支援策をできるだけ早く検討して積極的に進めていきたいと思いますし、ひいては、東京がつくった新しいフォーマットといいましょうか、これは一つの緊急措置でありましょうが、しかし、これは、あくまで国がいい出して抜本的な改正をした制度でございますから、それが全体に反映されていくように、都からも働きかけていきたいと思っております。

○山崎委員 東京都が石原知事を先頭に、ディーゼル車の規制にしても、神奈川や埼玉がそれに合わせて同調してくる。やがてはそれは大都市に広まるでしょうし、この介護保険の東京方式にしても、東京都がやることによって、ほかの地域に波及していく。国はスピードが遅くてどうにもならんよとよく知事はおっしゃいますが、そのとおりであります。ただ、我々地方自治体あるいは地方議会としては、我々にできる範囲というものがやっぱりあるわけで、せめて、そういったアリの一穴ではありませんけれども、必死にそこを広げていく努力を我々議会もやります。どうか知事には、その先頭に立って頑張っていただきたいと思います。
 次に、多摩地区の振興について伺いますが、市町村への財政支援として、市町村振興交付金、調整交付金、区市町村振興基金というものがありますが、今回の定例会で、そうした条例の改正案が提出されました。この改正案に盛り込まれた金利負担軽減策としての借りかえ制度の内容と、いつから市町村の借りかえが可能になるのか、あわせてお伺いをいたします。

○大関総務局長 今回新設いたします区市町村振興基金の借りかえ制度は、過去の高金利時代に貸し付けました資金の繰り上げ償還を図りまして、新たに低利の資金を貸し付けるものでございます。このことにより、過去に市町村が高金利で借り入れた貸付残高がなくなり、新たに現在の金利で借り入れることが可能となりますので、その利率の差だけ金利負担が軽減されることになるわけでございます。
 また、この適用に当たりましては、基金の長期的な資金運用の安定性や、市町村の財政状況、金利の状況などを総合的に判断いたしまして、借りかえを認める団体や借りかえの対象とする貸付利率を定めることになります。
 今後、対象団体につきまして、財政状況などの一定の条件を設けた上で、今回の借りかえの対象とする利率は、現在の繰り上げ償還制度と同様に、年六%以上の利率を考えております。
 また、実施時期につきましては、本条例改正後に市町村の予算措置が必要となるため、七月実施の方向で準備を進めてまいります。

○山崎委員 ただいま答弁にあった、六%以上の利率を対象に七月に行うと。市町村の支払う利子の軽減見込み額は、全体ではどのくらいでしょうか。また、対象となる団体数はどのくらいありますか。

○大関総務局長 先ほど申し上げましたことを前提にして、仮に年六%以上の利率を対象に七月に借りかえを行うとして試算いたしますと、全体で約二十四億円の利子が軽減されることになります。
 また、軽減の対象となる団体は、都内の全市町村三十九団体中、二十二団体となります。

○山崎委員 財政状況が極めて厳しい中で、多摩、島しょの市町村にとって、この金利負担軽減策は大きな効果をもたらすものだと思います。
 次に、都庁改革アクションプランによる、多摩地域における農林水産部門の組織体制の見直しについて伺いますが、組織を見直すに当たり、今後、どのように農業や林業の振興を図っていくのか、労働経済局長よりご答弁をお願いいたします。

○浪越労働経済局長 多摩地域の農地や森林は、環境の保全や水資源の涵養、防災や潤いの空間を創出するなど、多くの公益的かつ多面的機能を果たしております。
 また、そこで営まれる農林業は、地域を支える重要な産業となっており、今後とも多摩地域の農林業振興を充実させる必要があると考えております。
 このため、効率的かつ効果的な執行体制を整備し、農林業振興のかなめとなる事業所機能を強化するなど、現地完結型の組織を目指してまいります。

○山崎委員 次に、このプランによると、流域下水道本部は、十三年度中にそのあり方を検討し、明らかにします、こうなっておりますが、多摩地域における流域下水道の役割は非常に重要なものであります。
 十一年度には檜原村が流域別下水道整備総合計画に編入され、奥多摩町の編入も現在協議中、また、三鷹市や立川市、八王子市、町田市の四市にも編入の要望があると聞いておりますが、このような状況を踏まえれば、多摩地域における流域下水道事業は、引き続き円滑に推進できる体制を維持する必要があるのではないかと思いますが、このことについて下水道局長のお考えをお伺いしたいと思います。

○横山下水道局長 流域下水道事業を円滑に推進していくことは、極めて重要なことであると認識しております。
 今後とも簡素で効率的な執行体制を整備することで、その役割を果たしていきたいと考えております。

○山崎委員 次に、交通渋滞対策について伺います。
 幹線道路をつくることに反対する政党もありますけれども、東京の空気をきれいにする、そしてまた、車の流れをよくして経済波及効果も及ぼさなければいけない。幹線道路の整備をさらに推し進め、我々は、道路ネットワークの形成により、交通の分散、そして渋滞を解消しなければいけないと考えております。
 とりわけ、区部環状方向の道路のうち、環状八号線については、練馬区などの区間が未完成のため、通過交通の分散機能が十分に発揮されておりません。そこで、早期に全線を完成させることが急務であると考えますが、環状八号線の取り組み状況についてお伺いをいたします。

○古川建設局長 羽田空港から北区までの計画延長四十四キロの環状八号線は、本年度末までに三十八キロ、八六%が完成します。残る区間は、練馬区及び板橋区内の六キロであり、これまで九四%の用地を取得してきました。
 平成十四年度末には、目白通りから春日町の二キロの区間を交通開放いたします。
 今後とも、地元区や関係者の理解と協力を得て、十七年度の環八全線開通を目指して、全力を挙げて取り組んでまいります。

○山崎委員 また、多摩地域では、南北道路と交差するJR中央線、京王線、ここが問題です。そこで、JR中央線の連続立体交差事業の取り組み状況と、あわせて多額な事業費を要するはずですが、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○古川建設局長 まず、三鷹駅から国分寺駅間については、九五%の用地を確保済みであり、平成十三年度には、高架化のための仮設の線路や駅舎の建設工事などが全線にわたり本格化いたします。この区間については、十七年度下り線を、十八年度上り線を完成させます。
 残りの西国分寺駅から立川駅間については、八五%の用地を取得しており、十九年度下り線を、二十年度上り線を完成させ、十八カ所すべての踏切を除却します。
 今後とも、地元市や鉄道事業者と一体となって事業の推進に努めます。
 多額の事業費を要しますが、整備効果がそれを上回って非常に大きい東京の都市基盤整備を力強く推進するためには、都みずからの努力に加えて、東京再生に向けた国の大都市政策の転換、道路特定財源の東京への配分拡大、短期間に集中投資が可能となる資金調達方法、例えば国費の無利子貸付制度の創設が必要です。
 今後とも、都議会のご協力を得ながら、国に対して強く働きかけ、国費等の所要財源の確保に努力いたします。

○山崎委員 次に、渋滞の原因となっている違法路上駐車や道路上での荷さばき車対策は、即座に実施しなければならないと考えておりますが、昨年秋、渋谷駅周辺で路上駐車の削減等を柱とした社会実験が行われましたが、その結果、どのようなことがわかったのでしょうか、その成果を今後どう生かしていくのか、お伺いをいたします。

○山下都市計画局長 昨年の十月から十一月にかけまして、渋谷駅周辺を対象に、交通渋滞の緩和を目的として、路上駐車車両の駐車場への案内、誘導、荷さばきスペースの設置などを内容とする社会実験を実施いたしました。
 その結果、路上駐車が減少するとともに、荷さばき車両による交通阻害も解消され、実験を行った道路では、走行速度が八キロメートル程度上昇するなど、実験施策による自動車交通の円滑化が検証されました。
 また、地元商店会や物流事業者からは、施策の本格実施を望む声も多く、交通環境の改善に向けた地元の取り組み機運を高めることもできました。
 都では現在、この成果を生かし、施策の本格実施に向け、地元渋谷区などとともに検討を進めております。

○山崎委員 十三年度から三年間で、路上駐車対策を集中的に講じていくとしておりますが、その内容はどんなものでしょう。

○高橋生活文化局長 路上駐車対策は、これまで関係部局が、交通渋滞の解消や交通事故の防止などの立場から施策を進めてまいりました。しかし、交通渋滞の激しい路線や地域においては、今後一層、関係部局が密な連携を図り、渋滞解消に向け、施策を強化していく必要がございます。
 そのため、区部の中でも特に交通が集中し、路上駐車による渋滞が激しい主要幹線道路と、これにかかわる繁華街地域を対象に、道路構造等の改善、駐車場等の整備促進、荷さばき対策、違法駐車防止キャンペーンや取り締まり等、関係部局が連携協力して、ハード、ソフト両面から総合的かつ重点的に取り組み、交通安全対策の観点も含めて、地域の理解と協力を得ながら渋滞解消を図っていこうとするものであります。

○山崎委員 交通渋滞はさまざまな影響を及ぼし、今、大都市東京の社会資本の整備も十分でない、こういう都会でありますが、交通渋滞を解消するために、最後でありますが、知事の決意を伺って、私の質問を終わらせていただきます。

○石原知事 大都市への集積、集中というのは、コンピュータエージの文明の公理、原理だと思いますが、やはりそれに伴うマイナスの要因もございまして、これは何といっても交通渋滞であります。
 昨年ですか、渋谷でやりました一種の実験も、非常に効果が上がったようですけれども、案外金がかかりまして、五千万ほどのお金が人件費その他でかかったようですけれども、これはやっぱり地域的な実験ではなしに、東京都全体に及ぶもっと大きなシステムの改良という形で、私は心がけなくちゃいけないと思いますし、そうすることで経済効果も上がると思いますし、東京の一つの再生もあり得ると思っております。
 今後も、ちょっと人知を尽くして、なるたけ金をかけずに、渋滞を緩和する方策を講じていきたいと思っております。

○山崎委員 ありがとうございました。(拍手)

○田村委員長 山崎孝明理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十八分休憩

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