東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○前島副委員長 藤田愛子委員の発言を許します。
   〔前島副委員長退席、委員長着席〕

○藤田委員 レイチェル・カーソンの「沈黙の春」で化学物質に対する警告がされてから、もう既に三十年たっています。さらに、シーア・コルボーンらが「奪われし未来」で環境ホルモンのことを書いてから三年がたちました。
 東京都でも、ダイオキシンを含む環境ホルモンに対する問題意識が高まっていまして、各部門で適切な対処が始まっていますけれども、まず初めに、知事に、環境ホルモンに対する認識について伺います。

○石原知事 今、レイチェル・カーソンの「沈黙の春」のお話をされましたが、あの本が出たてのころ、日本では余り知る人がなかったときに、なぜか天才的な評論家だった小林秀雄さんがその話をしていたのを印象深く覚えています。文壇の会でその話がまた出まして、有吉佐和子さんがそれを非常にまた強い印象で受けとめて、彼女は、その後、「複合汚染」という有名な小説というかリポートを書きましたが、あのころから、やっぱり私たちにとって、わかっているようで実はわかっていない汚染というんでしょうか、そういう危険が日常生活の中へ浸透してきているという実感がございます。
 特に、その環境ホルモンについては、本当にまだシロかクロか検証されていない部分もありまして、それなりに一層私たち気をつけなくちゃいけないと思いますが、さきにも申しましたけど、エントロピーという、決して物質というのは不滅の形で、いい循環を遂げない。場合によったら非常に悪い堆積をして、形を変えただけで積もっていくという。それからまた、そういうものの分析も、科学という方法が、決して、分析の光を当てただけで、実は実態を狂わしてしまうぐらい不正確なものだという、例のハイゼンベルクのああいう原理も私たちもう一回踏まえてこの文明の状況を見直しませんと、生きている間は何とかなるかもしれませんが、私たちの子孫の代にどんなことになるか、非常に恐ろしい気がいたします。

○藤田委員 ベトナム戦争では、枯れ葉剤として使われたダイオキシンの問題だけではなくて、実は塩ビ製の血液バッグで負傷兵が死亡したという、大きな問題としてこれが取り上げられていました。バッグの柔軟剤として用いられたフタル酸エステルが溶け出してきたということなわけです。実は、この塩ビとフタル酸エステルが、いまだに医療用具に使われている、こういう現状があります。
 一昨日、国は医療用具の安全調査を行うということが報道されておりましたけど、このような素材はすべて、今の知事のお話にもありましたように、使用しないことが、未然防止の観点から原則であると思いますけれども、都立病院においての現状はどんなふうになっていますでしょうか。

○今村衛生局長 塩ビ製の医療用具の一つとして輸液セットがございます。この塩ビ製輸液セットは、特定の注射薬を使用したときに微量のフタル酸エステルが溶出する場合があることは承知しております。このため、従来から都立病院においては、特定の成分が含まれる注射薬を使用する場合、塩ビ製以外の合成ゴムなどの輸液セットを使用しております。
 ご質問の趣旨も踏まえ、今後とも医療用具等の情報の収集に努め、患者の安全に一層配慮した適正な医療用具等を使用してまいります。

○藤田委員 代替品もあるわけでございますので、使えば使うほど安価になりますから、ぜひかえていただきたいというふうに思います。
 環境ホルモン専門家会議の結論から、教育庁では、給食施設でのフタル酸エステルを含有する塩ビ製の手袋の使用を自粛してきました。近々環境ホルモン取組方針が改定されるというふうに聞いていますけれども、公共施設での先導的役割を明記する必要があるのではないかと思います。改定の目途についてもお尋ねいたします。

○中野環境局長 都は、これまで、環境ホルモン作用が疑われる食器や農薬などは、代替品への転換を進めてまいりました。一方、国では、今年度から、化学物質の環境ホルモン作用を明らかにするため、物質ごとに生殖毒性などの有害性の評価を行っております。都では、国の評価結果等も踏まえまして、東京都環境ホルモン取組方針を見直す予定でありまして、この中で公共施設での取り組みについても検討してまいります。

○藤田委員 病気で命を落とすのではなくて、医療過誤や投薬ミスなどが問題になるケースが後を絶たないわけでありますけれども、そして、さらに、老人になれば、複数診療が多くなります。他科の--いろいろな科の受診状況を把握しないで、胃腸薬ですとか、抗生薬ですとか、それから鎮痛剤など、重複投与が日常化をしているわけです。
 私が調べたところによりますと、都立病院や東大病院など薬剤部門が既に電子化されているところでは、重複投与等のチェックができるわけですけれども、IT、ITというふうにいわれるんですが、実はレセプト部門だけでして、薬剤部門の電子化や、それから電子カルテの作成が、本来は医療過誤や薬剤ミスを防ぐ方法の一つとして重要になってくるだろうというふうに思っています。
 一般病院も含めて、どんなふうな指導をこれからしていくのかを伺います。

○今村衛生局長 医療事故防止を図るためには、情報技術の導入を含め、医療機関における医療事故防止に向けた取り組みが重要でございます。このため、都が各病院に対して行う定期的な医療監視において、医療事故防止対策委員会の設置や、医療事故防止マニュアルの作成など、薬剤部門を含めて事故防止対策の取り組みを指導するとともに、各種の講習会等を行い、医療事故防止の徹底を図っておるところでございます。

○藤田委員 都は、患者中心の医療ということを提起しておりまして、その実践として、都立病院における診療記録等記載マニュアルを作成いたしました。また、財団法人の日本医療機能評価機構によって、病院機能評価制度の審査を受けています。この結果は、医療法の広告規制があるために、認定証の提示と、それから、なぜか、おかしいんですが、インターネットのホームページに認定の事実を公開するということができるんですが、それにとどまっているわけです。
 患者にとってみれば、サービスの内容の情報公開をすることは、医療機関を選択する上で重要となるわけです。さらに、都立病院としても、患者に評価してもらう項目を入れる。例えば、私は評価項目に治癒率なんというのを入れるといいかななんというふうにも思っているんですが、独自の評価制度を検討すべきだと思います。患者の自己決定に向けた情報提供について伺いたいと思います。

○今村衛生局長 都立病院に対する利用者の評価につきましては、従来から、患者満足度アンケート調査という形で、利用者から当該病院のソフト、ハード両面にわたって幅広くご意見をいただいて、事業改善に役立てております。残念ながら、これも医療法上、広告規制に抵触するということで、アンケートの結果の公表はできない現状でございますけれども、医療情報提供に関する都民ニーズの高まりや、患者の選択を通じた医療の質の向上という観点から、広く都民に対する情報提供を行っていくことは大変必要なことであると考えておりまして、今後の研究課題としていきたいと考えております。

○藤田委員 患者の権利を明確にするためには、患者の自己決定を保障していくことや、病院機能評価制度の認証を表示するだけではなくて、苦情の申し出の受け付け、それから、処理やインフォームド・コンセントなどの充実、それから、患者を取り巻く状況の改善を行っていくことが必要だというふうに思っています。例えば、外部の法律家などの有識者や公募の市民が参加した組織を都立病院につくっていくことなどもできるかと思いますが、いかがでしょうか。

○今村衛生局長 都立病院では、医の倫理等に関する問題を審議する常設の委員会として、外部の法律家や有識者を加えた倫理委員会を設置しております。この委員会におきましては、これまでも患者と病院の関係にかかわるさまざまな課題について検討を行ってきておりまして、現在、患者が受診する際の権利を明らかにすることを目的といたした患者の権利章典を検討しているところであります。
 また、カルテ等診療情報の開示など、インフォームド・コンセントのさらなる充実にも取り組んできたところであり、今後とも患者中心の医療に向けた取り組みを進めてまいります。

○藤田委員 あらゆる人的ミスを防ぐ方法を駆使しても、なかなかこの医療過誤事件というのが後を絶たないわけでございます。インフォームド・コンセントを十分にしても、患者と医師の立場は同等にはなり得ないわけです。
 こうした点を踏まえて、患者の権利章典、今お話がありましたけれども、この権利章典を運用させて、条例化を検討すべきだというふうに思っています。医師の高度な技術や知識と、それから、患者の認識に差があるのは当たり前でして、そういう状況であっても、患者の自己決定等の権利を保障するために、医療従事者の説明責任をこれからどんなふうに考えていくのか、果たしていくのかを伺います。

○今村衛生局長 患者中心の医療を推進するためには、医療機関が率先して患者との信頼関係の構築や医療従事者の意識改革に取り組むことが必要であります。このため、都立病院における患者の権利章典の策定とともに、医療機関に対する患者からのさまざまな相談や要望を受けとめる患者の声相談窓口を、新たに庁内に設置することといたしております。
 また、広く都民を対象とした講習会の実施や、都内の医療従事者研修の充実によりインフォームド・コンセントの推進を図るなど、医療従事者の意識改革に努めてまいります。

○藤田委員 環境ホルモンと同様に、都民の不安ということでは、遺伝子組みかえの食品についても問題提起をしたいと思います。
 種を超えての遺伝子組みかえの可能性、それから、アレルギー症状、子孫に対する影響などの不安があるわけでありますけど、この不安を解決する一つの方法として表示の問題があります。未然防止の観点と都民の健康を守るため、また、消費者の選択権を確立するために、遺伝子組みかえの表示が必要であるというふうに思っているわけです。
 消費者モニターのアンケートでは、表示マークは高齢者にも一目でわかるようなものが望まれているわけですけれども、四月からはJAS法で遺伝子組みかえ食品の表示の義務化がスタートします。東京都でも独自にこの表示を行うというふうにいっていますけれども、この目的と方法を伺いたいと思います。

○高橋生活文化局長 遺伝子組みかえ食品は、登場してから日が浅く、長いスパンでの影響は未知数であるため、消費者は漠然とした不安感を持っております。このため、消費者がこれらの食品をみずからの判断で適切に選択できるよう、本年四月から始まるJAS法による表示制度に合わせ、都独自のマークを定め、消費者にとってより見やすく、わかりやすい表示の実現を目的としております。都としては、ガイドラインにより事業者に自主的な対応を働きかける方針でございます。
 また、使用するマークのデザインは、都民へマーク表示の周知を図る趣旨から、公募をしておるところでございます。

○藤田委員 一方で、この独自の表示をめぐって、都内で流通する食品関係団体から反対の申し入れがあったということなのです。反対の理由と、反対している事業者に今後どういうふうに都が対応していくのかを伺います。

○高橋生活文化局長 事業者へは、これまでマーク表示の趣旨を説明し、協力を求めてきたところでございますが、このたび全国流通している食品の関係団体から反対の意見書が出されております。その理由は、JAS法改正に伴う新しい包装の準備をしている時期に、全国流通する商品へ都内だけに適用する表示を求められても、今すぐには対応できないなどというものでございます。
 都としては、しかしながら、こうした団体の中にも積極的に応じようとしているところもございますし、今後ともこうした団体等にも粘り強く働きかけるとともに、現在協力の意向を示しております先駆的な事業者から実施してもらうなど、都独自のマーク表示を積極的に推進してまいります。

○藤田委員 協力をしていこうという業者がいるわけですけれども、こういう業者を都民が選択をしていくことができるように、社会的な評価、インセンティブを与えるような方法が必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。

○高橋生活文化局長 マーク表示は、ガイドラインという形で実施するため、事業者の理解と協力が不可欠であります。このため、より多くの事業者の協力が得られるよう、必要に応じて中小事業者の方々などにマークを印刷したシールの配布、また、協力事業者の店頭でのポスターの掲示など、さまざまな方策について検討していきます。

○藤田委員 知事も、どくろマークのこういうのじゃないので何とかやろうという話がありましたので、ぜひしっかりと、ポスター掲示も含めてやっていただきたいと思います。
 また、この施策の前進を図るために、大量消費の首都圏において、同じマークを近隣自治体と共有、活用するなど、統一していくことが必要であるかと思いますが、いかがでしょうか。

○高橋生活文化局長 現在でも、都の消費者条例の表示等は、近県等にも実質上流通しているようなところもございますが、先ほどの問題のように、商品が全国流通していることなども考えますと、都のマーク表示制度が他の自治体にも普及し、多くの消費者が商品選択に活用できるようになることは意義があると思います。
 このため、近隣自治体へも取り組みが広がるよう、関東ブロックの会議などさまざまな機会をとらえて働きかけていくつもりでございますし、関東ブロックの知事会等でも知事からもこういう発言をお願いしようと思っております。

○藤田委員 昨年、アメリカでは飼料にしか使われていないのに、食品として日本で流通してしまったスターリンクの事件がありました。スターリンクはトウモロコシの品種の一つで、下痢などのアレルギー症状が疑われているわけですけれども、なぜそれが食品として輸入されたのか、これが疑問なわけです。輸出時のスターリンクの混入のチェック体制が有効に機能していなかったことから、日米の検査に食い違いが連続して起きているのではないかというふうに思うわけです。
 スターリンクの混入のチェック体制が有効に機能するように対策が立てられているのかどうか、国の検査体制について伺いたいと思います。

○今村衛生局長 遺伝子組みかえトウモロコシ、スターリンクにつきましては、安全性が未審査であることから、日本に輸入、上陸されないような体制をとる必要がございます。そのため、昨年十一月に、日米の政府間で、船積み前に検体のサンプリング及び検査を行うことで合意しました。
 その後、日米の検査結果の一部が一致しなかったことから、再度協議を行い、本年二月、検体量をふやすなど、検査体制の強化について改めて合意したと承っております。

○藤田委員 私の同僚の大河原議員の家にも、このスターリンクの食材が入ってしまったということで、幸いにアレルギー症状はなかったようですので、幸いなことでございましたけれども、ぜひここのところは合意をしていただきたいと思います。
 しょうゆ、植物油など組みかえDNAが検出できない加工食品や、組みかえ食品が原材料の五%未満の加工食品については表示の対象になりません。また、慢性毒性などについても不十分であることから、検査方法の検討など、対応を充実していく必要があろうかと思います。
 四月から、食品衛生法に基づいて遺伝子組みかえ食品の安全性審査が義務化となります。遺伝子組みかえ食品に対する都民の不安に一日も早く対応するために、都の監視・検査体制を早急に準備する必要があろうかと思いますが、いかがでしょうか。

○今村衛生局長 衛生局は、本年四月から実施される食品衛生法に基づく遺伝子組みかえ食品の安全性審査の義務化に対応するため、以前から準備を進めてまいりました。監視を的確に行うために、昨年度から遺伝子組みかえ食品の輸入等の実態調査を実施し、基礎的データの収集に努めております。また、検査体制の充実を図るために、衛生研究所に検査機器を新たに配備する予定であり、これらにより、遺伝子組みかえ食品の監視・検査体制を整備してまいります。

○藤田委員 現状では、食品、飼料とも、スターリンクのみならず、未承認の組みかえ食品の混入を防ぐことはできないわけなんですね。四月以降は、食品衛生法第七条違反としての処分や、輸入時のモニタリングをすることにはなっているんですが、追跡が不可能というような状況です。また、現行の国の食品安全行政には、消費者に参加の仕組みがありません。これが不安を増大させていることになるわけですけれども、遺伝子組みかえ食品についての表示や安全性にかかわって、消費者である都民の権利が侵害されるおそれができたとき、都民から消費生活条例の八条の知事に対する申し出が対応できるのかどうか、確認をしておきたいと思います。

○高橋生活文化局長 東京都では、これまでも、商品の表示やその安全性に関する問題について都民からの申し出を受けた場合は、必要な調査を行い、その申し出内容が事実であると認めたときは、国への提案や関係業界への働きかけなどを実施してきたところであります。
 遺伝子組みかえ食品については、これまでも都民の申し出を受け、さまざまな対応を行ってまいりましたが、今後とも適切な措置を講じてまいりたいと思います。

○藤田委員 九万五千筆余りの署名をつけました子どもの権利条例制定を求める請願が、二月十五日の厚生委員会で審議をされました。結果は継続審議でしたけれども、子どもの権利に対する認識の差はいろいろあったものの、いずれの会派も、条例は必要ということがこの中で話されました。早急に条例制定に向けての作業を進めるべきであるというふうに考えています。
 さて、子どもの権利侵害の最たるものとして、しつけと称して繰り返し行われる虐待の問題があります。幼い命が奪われる事件が後を絶ちません。児童虐待に対しては、子どものケアだけではなくて、親に対するケアが不可欠であります。
 児童相談所では、子どもに対してのノウハウはあるけれども、制度的にも親に対してのケアが十分保障されていません。児童相談所だけの観点からは解決ができない問題が多くなっているわけです。母子相談や青少年相談も兼ね備えるファミリー・ケア・ワークが必要で、総合機能が求められているというふうに思います。現在の東京都のいわゆる児相の機能、それから、子育て、家庭支援センターの中では、なかなか問題が解決ができないのじゃないかというふうに私は思っています。
 このように、現行の子育て施策はさまざまな問題を内包しております。時代の変容に合わせて、少子化対策も抜本的に見直していく必要があるというふうに思います。二千億円かけても、合計特殊出生率は一・三七から一・三四に下がってしまったわけでありますので、子育て、少子化問題に対する基本的スタンスを決めまして、具体的な方策を積み上げていくことが必要だと思います。福祉局は、子育て支援や少子化問題に対してどのような考えを持っているのかを伺います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 少子社会が進展する中で、家族や地域社会の養育機能の低下など、東京の子どもを取り巻く環境は大きく変化しておりまして、さまざまな課題が顕在化しているのは事実でございます。
 こうした課題に的確に対応するためには、長期的な視点に立って、福祉を初め労働、教育、文化などの各分野にわたる総合的な取り組みを図ることが必要であると認識をいたしております。来年度から、少子化をテーマに幅広い議論の場を設けて、二十一世紀東京の暮らしのありようを検討していく予定でございます。その中で、子どもをめぐる課題への対応についても考えてまいりたいと存じます。

○藤田委員 今ご答弁がありましたように、総合的な施策が問われているというふうに思います。こうした点では、その場で、現在古くなった子どもの計画を改定して、子ども総合計画の策定をぜひとも議論をしていただきたいというふうに思っています。
 こうした総合的な施策を検討する上でも、実態をぜひとも把握をしていただきたいと思っているわけです。どの自治体でも、子育て世代の親は、子育て仲間がいない、あるいは、子どもの遊び友達がいないというふうに、一様に場づくりを望んでいるわけであります。今までのように、要するに、出産をしたら親になるというような、親の意識が生まれるというような状況ではもう既にないということでありますので、実態に合った子育て支援が望まれるわけです。
 虐待に関しては、白書ともいうべき調査を本年度作成と聞いておりますけれども、総合的施策のためにも、この子育て中の親の声を十分に把握することが必要かと思いますが、いかがでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 子どもや子育て家庭を取り巻く課題への対応を考える上で、実態を把握することは大変重要でございます。このため、従来から、児童相談所や児童関係の各種施設、福祉事務所や子ども家庭支援センターなどを通じて、また、各種の団体との意見交換の場を活用などして、実態の把握に努めております。
 今お話がありましたように、今回、具体的データを整理、分析して、東京における児童虐待の現状を白書として取りまとめる予定といたしておりますのも、そうした認識に基づくものでございます。
 先ほど申し上げた少子化についての議論の場におきましても、お話の点を大切な視点の一つとして議論を深めていきたいと存じます。

○藤田委員 子どもの権利の原則を揺るがせるような家族による重大な虐待事件が続いているわけですけれども、さらに注視しなければならないのは、養育困難な家庭の子どもには養護施設が用意をされているんですが、この養護施設内での虐待問題です。児童福祉審議会が意見具申をして、都が子どもの権利条例を制定しようと検討する契機が、この家庭だけでなく養護施設における虐待の問題があったというふうに、あのときに提起があったというふうに思います。
 最後にもう一度、子どもの権利条例制定の意義について、改めてお尋ねをしたいと思います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 先ほどお答え申し上げましたが、東京の子どもをめぐっては、さまざまな問題が顕在化をいたしております。こうした課題への対応は重要でありますが、子どもの置かれた実態を踏まえ、実効性のある具体的な施策を積み上げることが必要であると考えております。
 また、児童の権利をどうとらえるかにつきましては、多様な意見があり、いまだ概念の整理も不十分でございます。ご質問の権利条例につきましては、こうした観点に立ちまして、児童福祉の増進に有効か、さまざまな角度から慎重に検討する必要があると考えております。
 今後とも、東京の子どもの実態、子どもをめぐる環境の変化などを幅広い視点からとらえ、これに基づいて適切に対応してまいります。

○藤田委員 昨年四月に施行されました東京都男女平等参画基本条例の推進は、行動計画など施策の実効性に今後はかかっているわけであります。性別役割分業意識による社会制度や慣例、女性への間接差別などが依然として存在をしています。両性にとって、男女平等の推進、あらゆる場での意識改革は重要であるというふうに思っています。
 東京都の行動計画となる男女平等参画のための中間のまとめが出されまして、それを受けて、都民や事業者、区市町村からの意見の募集が行われています。行政のみならず、市民とのパートナーシップを重視していくことが、都の施策の方向性だというふうに認識をいたしております。
 そこで伺いますけれども、女性施策のプロパーとしてウィメンズプラザを運営してきました女性財団でありますけれども、この財団と同様に都が一〇〇%補助金を出して運営している監理団体は、女性財団のほかにどこがありますでしょうか。それから、その監理団体は、なぜ今回廃止ないし統合の対象にならなかったのかについて伺います。

○大関総務局長 今回の統廃合は、団体の設立趣旨にさかのぼった上で、効率的、効果的な事業実施が見込めるかどうか、また、都以外からより多くの収入が見込めるかどうかなどを勘案して整理したものでありまして、単に都の財政支出の割合で判断したものではございません。
 ちなみに、お話しの都からの補助金、委託料が事業費財源に占める割合の高い団体は、東京都心身障害者職能開発センター、東京都医学研究機構などとなっております。
 このうち団体への人的支援の面において、常勤職員の全員が都からの派遣である団体は、東京女性財団だけでございます。

○藤田委員 財団は、市民のパートナーシップで自主的にテーマを設定して活動してきたわけでございます。設立趣旨の男女平等の社会風土づくりに大いに役立ってきたというふうに思います。また、市民とのパートナーシップということでも非常に有効な施策でありましたし、先駆的テーマを、例えば家庭内暴力についてなど、これを誘導してきたというふうに評価をしております。いわゆる直営との違いが、私はここにあるというふうに思っています。
 効率のみを考えた直営化には反対であることを表明をいたして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

○田村委員長 藤田愛子委員の発言は終わりました。
 以上をもちまして、付託議案に対する総括質疑は終了いたしました。

○田村委員長 次に、部局別質疑について申し上げます。
 部局別質疑は、本委員会設置要綱の定めるところにより、各常任委員会の調査をもってこれにかえることとなっておりますので、所定の手続を議長に申し入れます。ご了承願います。
 各常任委員長に申し上げます。
 部局別質疑に関する調査報告書は、三月二十三日の午後五時までに提出されますよう、特段のご配慮をお願いいたします。
 なお、来る三月二十六日には、締めくくり総括質疑を行っていただきます。
 また、三月二十七日に予定しております討論などの委員会運営につきましては、理事会にご一任願いたいと思います。ご了承願います。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後九時四十六分散会