東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○田村委員長 沢西きよお委員の発言を許します。
   〔委員長退席、前島副委員長着席〕

○沢西委員 大変にぎやかなのを、淡々と進めさせていただきます。
 少数精鋭の無所属クラブの代表といたしまして、総括質疑をいたします。誠意あるご回答をお願い申し上げます。
 二十年ほど前のことでございますけれども、内山節さんという若い哲学者がおりました。私も二十年前ですから、もっと若かったわけでありますけれども、「存在からの哲学」というタイトル名の本を読んだことを思い出しました。これからの日本は、存在としての哲学が、あらゆる分野においてプレゼンスが増してくるであろうと、その方は予測して書いておったわけでありますけれども、その前にも、一九八〇年に書かれたものですけれど、その以前にも、どうも哲学というものは狭小化されて、存在感が薄いといっておったわけでありますけれども、それでは、その一九八〇年から二〇〇〇年にかけまして、現在はどうかと。現在の日本は、その哲学者の論とは全く逆の、哲学や理念、また戦略なき日本になってしまっていると思うのであります。
 私は、そのことが、石原知事が所信表明で指摘した三つの危機を創起した要因であり、東京ばかりか、日本全体に閉塞感を漂わせているのだと思うのであります。いかがでしょうか。

○石原知事 まさにおっしゃるとおりだと思います。ずっと続いてきた場当たりの状況主義というものが、どうにかなるだろう、どうにかなるだろうという、その急場の手当てだけで過ごしてまいりました。それは、結局、半世紀に及ぶ平和と繁栄の中で、この国、国家のありようであるとか、自分の責任といった本質的な問題について考えようとしない風潮が蔓延した結果だと思います。
 その結果到来したこの直面している危機に、いまだにどう対処すべきかわからないままに、いたずらに混迷が深まっているという嫌いがございます。
 政権をめぐる騒動や財政破綻を他人事のようにうそぶく、私はその点について、この間、宮澤さんを面罵しまして、激しいけんかをいたしましたが、何かやはり、立場のある人たちまでが、この危機的な状況に対して自覚と責任を持っていない。それが、実はテレビなどを通じて如実に国民にわかるわけでありますから、国民そのものが、非常にまあ絶望感とまでいきませんけど、白けて、何か政治というものを方法として見放した。しかし、それにかわる社会工学的な方法がないままに、私たち、本当に何か静かに音もなく、深い深い水底に沈みつつあるような気がしてなりません。

○沢西委員 もう一つ、総体的な問題でありますけれども、今日本は、第三の大転換期を迎えているといわれています。将来に向けて、どの道を選択するのか、大変重要な時代であると思うのですが、対応、方向が不透明なため、何となく悲観的な風潮に流されていると思うのです。
 いわゆる第三次革命がいわれている現状を、都知事としてどうとらえておられるのか、お聞かせください。

○石原知事 私、第三次革命という言葉の意味合いについて、それほど精通しておりませんが、多分、かつての明治維新、中世の終わりを告げた、それから、日本が初めて体験した敗戦、そしてその後の今のこの混迷というものだと思います。
 やはり、戦後まだ続いてきました中央集権という政治体制というものが、もう時間的に疲労しまして、それにかわる新しい体制というものが求められながら、そのめどがつかない。あわせて、中央集権、つまり、知らしむべからず、よらしむべしという形で行われてきた、護送船団と別称いいますけれども、そういう官僚の支配する金融政策なり財政というものが、当然の破綻を来したということであると思います。
 私たち、やはり急がなくちゃいけないと思いますし、そのために拙速もいけませんけれども、しかし、まずその自分の置かれている危機というものを危機としてとらえるということが、実は大事でありまして、残念ながら、その危機感が、国政を担当する政治家にも、国の官僚にも、それからまあ多くの国民にもまだまだ足りないような気がしております。

○沢西委員 私は今、東京を、日本を覆っている閉塞感を打破するためには、グローバルな観点に立ち、政策を明示し、戦略を立てながら、それを実行していく強力なリーダーの存在が必要だと思うのです。
 別によいしょするつもりはありませんけれども、そうした意味でリーダーシップを発揮しているのは、石原知事、あなたを除くと、片手に足りないぐらいの名前しか浮かんでこないのであります。まあ、ほとんど浮かんでこないわけであります。
 そして、週刊誌によれば、カルロス・ゴーンにやってもらえなんていうのが出ておりました。まことにこれは大変深刻な問題だと思うのであります。
 今までの日本は、外交一つとっても、パックスアメリカーナで、自主自立外交をしていないと思います。あえていえば、金銭外交ぐらいであったかと思うのであります。また、行政はほとんど役人任せでありましたし、防衛、教育等々、みんなで渡れば怖くない方式で、余り考えもしないで、つまり、集団に埋没させまして、個々を育成するといった体制になっていなかったと思うのであります。
 リーダーを育てる、あるいはリーダーが育つ環境を、かなり意識的に、教育、または漠然としたいい方ですが、社会の中につくっていく必要があると思うのです。二十一世紀、これは初めですけれども、全く今後、若い人も含めて、リーダーの不足に悩む事態になるんじゃないかと私は思っているわけです。そういう点で、知事はどうお考えでしょうか。

○石原知事 あの現代におきますリーダーというのは、かつての中世というか、戦国時代のリーダーとは大分意味合いも違うと思いますし、また、そういう形のリーダーは望むべきでもないし、また望むべくもないという気がいたします。
 しかし、やはり、それぞれの社会、それぞれの組織にリーダーは必要でありまして、大事なことは、私はやっぱり合議を尽くす、それから、既存の発想にとらわれずに、新しい発想に関心を持ち、興味を持ち、そういったものに自分のベクトルを据えるという、そういう姿勢だと思います。
 先ほど、かんかんがくがく、かまびすしい騒ぎの一つの対象になりましたが、あの銀行課税にしても、これは、私が大まかな注文を出したのを、都の中にいる、そういうタレントたちがまさに知恵を絞って持ち出して、それを遂行する方策については、また合議しましたけれども、やはりあちこちに知恵があるわけでありまして、それを絞り出す、ある場合には強引にでも絞り出す、そういう作業というのを、抵抗があってもあえて行う人間というのが本当の意味で衆知を集め切ると思いますし、やはり日本人というのはそれぞれ教養水準が高うございますし、いろいろなところに、野に遺賢ありというと都庁に失礼でありますけれども、やはりそういう人材はいるわけですから。
 国だっていると思いますし、国政に長くいました自民党にもいるんですけど、そういう人たちを余りしんしゃくしないで、結局、官僚が決めた、国家の官僚が決めた発想の中に政治家も安住してきたために、今日このていたらくになったという気がいたします。
 要は、人間の個性、感性の問題でありますが、それを画一的に埋没させてしまう在来のその教育にも、私は問題があったと思います。

○沢西委員 さて、十三年度予算案はもとより、道半ばにある都の財政再建問題にもかかわってくるんですけれども、先日、アメリカの格付会社スタンダード・アンド・プアーズが、日本の国債の格付を、最上級のAAAからAA+に一段引き下げたとの報道がありましたが、このことについてはどう受けとめましたか。

○木内財務局長 今回のことは、格付会社が独自に行ったものでございまして、東京都として、それについて申し上げるべきものはないだろうとは思いますけれども、しかしながら、格付は、今日の日本の経済あるいは財政運営に対するマーケットの見方を示しているのではないかというふうに思います。

○沢西委員 東京都も外債を発行していますし、今後も発行する可能性もあるわけですが、何か影響は受けるのでしょうか。

○木内財務局長 国債の格付の引き下げに伴いまして、政府保証の外債も格付が引き下げられますので、一般論といたしましては、これに伴い、資金調達のコストが上昇するというふうに思います。

○沢西委員 いずれにしろ、アメリカ、ドイツ、フランスなど、他の先進国が依然としてAAAを維持する中で、日本の格付が引き下げられたことは、知事のいう日本の危機の一つのあらわれだと思うんですけれども、関係大臣の発言は、金持ち国日本、日本は金を貸している国だという感覚の発言で、危機感がないように思えたんですが、最近やっと、宮澤財務相が危機的状況であるとの発言をしています。宮澤さんも昔はよかったんですけれども、何か悟りを開いちゃったような、どうも頼りない、こういう状況でございまして、それならそれに沿って対応をびしびし行っていくべきと考えますが、知事はどう思われますでしょうか。

○石原知事 また財政は、国家の財政はもちろん財務省なり政府の責任事項でありますけれども、眺めておりますと、私も長く自民党におりましたし、政府にもいたことがありますが、何というんでしょうかね、危機感がないといえば簡単でありますが、その身の置かれた状況がまだ複合的に見えていないという感じがしきりにいたします。
 先ほどの質問にありました、都債についての都の格付を私は非常に気にしておりますけれども、でき得れば、国よりも高いランクをつけさせようと、今、人を講じて努力をしておりますけれども、できるかできないかわかりません。現にトヨタのような会社は、国よりはるかに高いランクの格付をされております。
 ただ、この格付会社なるものも甚だくせ者でありまして、場合によっては、東アジアの経済が壊滅したときには、随分これは働きましたが、アメリカの経済戦略、金融戦略に乗って、殊さらにこういうものを喧伝する節もございます。
 いずれにしろ、どういう画策でか、戦略でか知りませんが、ついに日本の格下げをしたということを、私たちはやはり、皮相な出来事、上っ面の出来事としてだけじゃなしに、やはりそれなりの原因、理由というものを私たちは抱えているんだと。
 これだけ世界が狭くなった状況の中で、各国の経済が相互関係にあるわけでありまして、まあ、そういう視点でも私たちは国に対する責任、政府の責任、世界に対する日本の責任というものを考えて、もうそろそろ思い切った手だてを講じて、国民にいいにくいこともいって経済の立て直しをしないと、それこそ、さきのNICの報告じゃありませんが、十五年もたてば、日本はせいぜい世界の十六、七番目の経済国に転落することもあり得るんじゃないかということを懸念しております。

○沢西委員 国、地方を合わせた債務残高が、十三年度末には六百六十六兆円にも達すると聞いております。これは間違いないか、後でお答えいただきたいと思いますが、今後においても債務は増大していくのではないかと、景気回復は非常に厳しいと、最重要課題であると思いますけれども、また構造改革の問題も急がねばならない。銀行の不良債務の解消とか、相当思い切った手術のときが来ているのではないかと。しかしながら、短期的に相当の痛みを伴いますから、やはりだらだらとしていると、かえって衰退は長引きながら回復しないということだと私は思うんですけれども、こうした国の財政状況等も含めまして、どう解釈すればよいのか、財務局長にお尋ねいたします。

○木内財務局長 国が発表しました十三年度末の見込み数値によりますと、国の長期債務残高は、国債残高三百八十九兆円も含めまして、合わせて五百六兆円程度でございます。それに地方の長期債務が百八十八兆円程度でございまして、その重複分を控除すると、お話しのとおり六百六十六兆円程度となるというふうに推計されております。
 さらにまた、この国債の残高、先ほど申した三百八十九兆円でございますけれども、財務省がまとめた資料によりますれば、その十三年度末の数字が十六年度末には四百八十三兆円になるというふうに推計をいたしておりまして、事態をこのまま放置するならば、先ほど先生お話しの六百六十六兆円の債務といいますか、国、地方を通じた債務もふえていくのではないかということが懸念されるわけでございます。
 こうした我が国の状況、今、債務の残高というのは、GDPの一・三近いかと思いますけれども、そういう状況にあり、大きな問題でありまして、国の財政、知事でご答弁申し上げましたように、三四%が国債に依存し、さらには国税収入の八倍近いという国債の残高を抱えているわけでございまして、一言で申せば非常に危機的な状況であるというふうに解釈せざるを得ないというふうに思います。

○沢西委員 さて、現在、都は、財政再建推進プランに基づきまして、全庁挙げて財政構造改革に取り組んでいるわけでありますけれども、改めて財政再建推進プランの掲げる目標を確認させていただきたいと思います。

○木内財務局長 一昨年七月に策定されたプランの目標は、第一に、財政再建団体への転落を回避するとともに、十五年度までに巨額の財源不足を解消すること、第二に、経常収支比率を、十五年度までに当面九〇%以下の水準に引き下げることの二つでございます。

○沢西委員 さて、十三年度予算についてでございますけれども、都税の増収見込み額と財源不足額を示していただきたいと思うのであります。特に、最近はアメリカの景気後退が急速にやってきておりますから、日本、アジア、相当影響を受けるものということで、非常に、増収というよりは大変心配になる歳入の問題だと思っております。

○木内財務局長 十三年度当初予算における都税収入は、十二年度当初予算に比べて四千八百十九億円の増となっております。しかしながら、この税収増については、その一定割合がいわゆる税連動経費として区市町村へ交付されること、財調基金への義務的な積み立てがあること、こうしたことから、その全額が都の施策に充当できるわけではございません。
 また、今回の予算編成におきましては、歳入歳出両面にわたり徹底した見直しを行い、財源の確保に努めたところではございますけれども、先ほどの都税の増収を見込んでも、なお千四百三十八億円の財源不足となった状況でございます。

○沢西委員 今示された千五百億円の財源不足には、職員給与の削減と減債基金の一部計上見送り、これは臨時的な財源対策と理解していますが、財政赤字をこれ以上ふやさないためにも、この臨時的な財源対策をしないで、歳出削減での対応を考えませんでしたか。

○木内財務局長 臨時的な対策を講ずることなく予算編成をすべく努力をいたしたところでございますけれども、結果として、やむを得ない措置として臨時的な財源対策を講じたものでございます。

○沢西委員 毎年度、予算編成における歳出削減の手法といたしまして、シーリング方式が導入されていますが、これはややもすると、めり張りのない一律削減のようになり、財政構造改革とはほど遠いものになるので、今伺ったわけでございますけれども、十三年度予算編成におけるシーリングの意義を改めてお伺いしたいと思います。

○木内財務局長 財政の再建のためには、施策の見直しを行うことが必要でございまして、マイナスシーリングは、そのための手法、手段の一つであるというふうに考えております。
 十三年度におきましても、個別の事業それぞれを一律に削減するのではなくて、あらかじめ経費の大枠に対してマイナスの枠を設けたところでございます。そして、単なる経費節減にとどまることなく、施策や事業そのものの見直しを進める上での一つの有効な手法として、マイナスシーリングを活用したところでございます。

○沢西委員 シーリングの趣旨は理解いたしました。
 いずれにしろ、目先の財源不足を解消するといった狭義な考えにとらわれることなく、将来にわたって新たな都民ニーズにも的確に対応できる、強固で弾力的な財政体質の確立を目指し、頑張ってもらいたいと思います。
 次に、ちょっと飛ばしまして、税収の拡大については、やはり都経済の活性化が重要なわけでありまして、その刺激策としての公共事業の展開は欠かせない要件と私は考えています。
 ただし、量的拡大だけではなく、質的な充実、多様化への対応をどうするのかが今後の課題だと思うのであります。家も狭ければ道路も狭い。多摩地域は特にそうでありますけれども、それに公園も少ないと。生活者の立場に立って都市基盤の質的向上を考えれば、まだまだ行政として取り組まなければならない事業はたくさんあると思うのですが、いかがでしょうか。

○山下都市計画局長 ご指摘のとおり、まだまだ取り組むべき課題はたくさん残っております。例えば、東京の都市基盤の整備水準で申しますと、道路率、これはニューヨークの二三%に比べまして、東京区部では一五%となっておりますし、公園面積も、二十九平方メートルに対しまして四・五平方メートルと、欧米の諸都市に比べて極めて低いものになっています。また、住宅の環境なども依然低い水準にとどまっている次第でございます。
 今後とも、都民が豊かでゆとりある暮らしを実現していくため、生活者の視点に立った社会資本の整備や、住宅、住環境の確保に都は積極的に取り組む必要があると考えております。

○沢西委員 それこそ、都市構造そのものを変革させ、新しい東京づくり、私流にいわせてもらうならば、生活者大国を目指すべきであり、知事の提唱する環状メガロポリス構造の根底にもそれがなければ、結果として潤うのはゼネコンだけみたいなことになりかねないと思うんですが、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 東京に限らず、いかなる都市に関係するグランドデザインにも、おっしゃるように生活者の視点に立った配慮というものが、発想というものが必要だと思います。そういう点では、私は、従来の東京が行ってきた都市計画というのは、非常に大きな欠陥もあったと思いますし、先般も、三鷹のあの環状道路の候補地へ行きますと、ここに道路をつくるといったって、もう、かなり閑雅な住宅地がある。そこにいかに、とにかく家をつぶさぬにしても、高架線をかけるなんていうことは、無神経というか、あり得ないことでありまして、そういう計画は、まさにお上のつくる机上のプランでしかないと思います。
 そういう反省に立ちまして、やはりこれからの新しい構想の中にも、生活者という、東京都を構成している、首都圏を構成している生活者たちの立場というものを十分しんしゃくし、人間味のあるといいましょうか、すべての意味で合理的な、そういった構想というものを計画化していく必要があると思っております。

○沢西委員 いずれにしましても、行財政改革の促進なくして財政再建はないわけでありますから、削減だけにとらわれると、都政に活気がなくなると思います。その点も十分に考えながら今後の財政運営に取り組まれるよう、強く申し上げておきたいと思います。
 都の事業は、その所管局で自己完結できるものと、事業として所管局はあるが、施策として幾つかの局がそれぞれの事業を進める上で対応していかなければならないものがあると思うのであります。住宅の建設やインフラ事業そのものは所管局で自己完結できますが、環境行政の面からすると、所管局の論理だけでは済まされないことになり、とりわけ道路づくりは、その最も顕著な例だと思います。
 そこでお伺いしますが、道路づくりに当たっての環境への配慮はどのように変化してきたのか。環境問題の重要化に伴い、毎年環境への配慮を増しつつ、事業の具体化が行われてきたと思うんですけれども、具体例を挙げて説明をお願いしたいと思います。

○古川建設局長 道路整備に当たりましては、従来より、計画幅員を工夫し、歩道を広げて緑化するほか、沿道対策を含めた総合的な環境対策を目指して順次取り組んできました。環境影響評価条例の制定以降は、予測、評価を行い、事業の中で環境保全策を充実してきました。
 さらに、平成十一年度から総合環境アセスメント制度を試行し、計画の早い段階から環境に配慮した道路づくりを目指しております。
 最近の具体的な取り組みとしては、全国に先駆けて都が研究開発した低騒音舗装を環七や環八などの主要な幹線道路二百三十キロで実施したほか、板橋区大和町において土壌浄化システムの大規模な実証実験を行うなど、新技術の導入を図っています。また、調布保谷線などにおいて、既定計画を広げて、車道の両側に幅十メートルの緑豊かな環境施設帯を設置することとしています。
 東京の道路行政は、環境保全の面からも、常に時代の要請にこたえ、全国をリードする取り組みを重ねてきましたが、今後とも道路づくりを通して新たな都市環境を積極的に創出してまいります。

○沢西委員 逆に、環境局の立場から注文をつける度合いは変化してきたのかどうか、お伺いしたいと思います。

○中野環境局長 道路の整備に対しましては、環境影響評価条例や自然保護条例などに基づきまして、環境の保全に適切な配慮がなされるよう、必要な意見を申し述べてきました。特に近年におきましては、自動車排出ガスによる環境影響の評価や、道路建設に際しての生態系の保護などに関しまして、一層きめ細かな措置がとられるよう、事業者との協議を行っておるところでございます。

○沢西委員 既成の道路までそうしろとはいいませんが、環状メガロポリス構造などで計画されております今後の幹線道路の建設については、道路に沿って、いわば森林遊歩道、緑の公園を一緒につくっていくぐらいの大胆な発想で計画すべきだと思うんですが、お伺いをいたします。

○石原知事 おっしゃるとおりでありまして、これ、どちらから届いた資料か知りませんが、私もよく知っているアベニュー・ド・フォッシュの写真がありますけど、パリのエトワールの放射線の中の一つの大通りがこれだけ緑がたわわにあるというのは、私も最初に行ったときは驚きましたけども、東京はスペースが限られていますから、なかなか難しゅうございますが、環境庁におりましたときに、例の悪名高い四三号線を何とかするということで、最初は二年か三年の計画というのを、私、一年で、とにかく並木を植えろということで植えました。それでもかなり印象が違ったと思います。これは実質的に大気の汚染の要するに防止にはなりませんけども、印象として、心情的にあの道の印象が変わったと思いますし、いずれにしろ、大事な道路に緑をたくさん植える。緑地が多いということは、そこを通行する人たちにとっても、いろんな点で大きなメリットがあると思います。そういうことを新規の道路については精いっぱい心がけていきたいと思っております。

○沢西委員 それでは、大分質問が残ってしまいましたので、残った分は締めくくり質疑でやらさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。(拍手)

○前島副委員長 沢西きよお委員の発言は終わりました。

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