東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○松村副委員長 羽曽部力委員の発言を許します。
〔松村副委員長退席、白井(威)副委員長着席〕

○羽曽部委員 高齢者福祉の問題についてお尋ねをいたします。
 質問の順番が一番遅くなりましたので、最後でございますから、前段で重複している部分があろうかな、こんなふうにも思いますが、視点を変えてお尋ねをしたいというふうに思っております。特に、寝たきり老人の介護についてお尋ねをいたします。
 今、一番家族が行政に手をかしてほしい、こういう住民のニーズは、まさに高齢化社会の中の老人介護の問題でございます。私の生活相談の中でも、寝たきり老人の介護の相談に来る人は、すべて若い人であります。まさに若い人たちの問題が介護問題であろうと私は思っております。
 相談の内容を一くだり申し上げますと、働き盛りの家族の中で、寝たきりの八十六歳のお父さんを、八十二歳のお母さんが五年間も介護してきたというんです。そのお母さんがとうとう介護を必要とするようになってしまった。その介護の負担の重圧に困っているんだ、こういうわけであります。私の妻も会社に勤めているし、私も役所に勤めているので、お互いに交代で、週に二回は勤めをやむを得ず休まざるを得ない、こういうことであります。介護施設に入れようと思っても、介護施設は空きがない、また、父も母も在宅介護を望んでいる、こういう状態にあるわけでございますけれども、私ども働き盛りの家族の人生設計に狂いが生ずるんだよというぐらい、実は悲鳴を上げているんです。
 これは、若い働き盛りの社会的な活力をそいでしまうのではないかなと、私も危惧の念を持っております。働き盛りの家族の息子や嫁などが働く意欲と活力を全くそがれてしまうというのが、介護保険ではないのかな。これは本当に介護をしてみた方が初めて肌で感ずる問題であります。一人っ子同士で結婚すれば、四人の親の介護を、この状況の中では面倒見なくちゃならないというような事情があります。
 ちなみに、私は以前に海外視察団長として、デンマークの老人介護の施設とそのシステムについてつぶさに視察をさせていただきました。
 デンマークでは、特に自分の家で寝たきりの老人の在宅ケアは、朝、昼、晩、ホームヘルパーの介護サービス制度が完全に確保されておりました。食事、洗濯、入浴、買い物などの、こういう日常のことはすべて、福祉行政の仕事だ、福祉行政の仕事だと、そういうふうに任されて、介護は訪問介護を含めて二十四時間体制で確保され、寝たきり老人が我が家で、自分の家で、何不自由なく安心して日常生活ができるという、こういう質の高いものだな、私はそういうふうに見ておりました。
 この老人介護の質の高さの、この思想的な背景は何かというと、人の命のとうとさ、数秒の時間も気を抜かない。気を抜かないで、気を離さないように、どう人の命を守るかという思想が徹底していることにあるのかなと思っておるんです。
 しかし、フィンランドもスウェーデンもノルウェーもデンマークも、北欧はすべて社会主義の国であります。この基本的な思想の中には、貧困は、みんなで苦労を分かち合うときは静かに耐えることができるという、この有名な、たしかスウェーデンの社民党の指導者の一人が国会で演説して、それがずっと社会主義に広がったわけであります。
 しかし、振り返ってみて、この国は今、収入の八〇%を税金として払わなきゃいかぬ。消費税だと二五%から三〇%払う、こういう国でありますから、財政的には厳しいわけであります。やっぱりそこまでやらないといけないのかなと。振り返ってみて、日本の国は自由主義経済でございますから、その社会主義の議論の中で息を吸っているわけじゃないことだけは、私がここで説明を要しないわけであります。
 一方、今東京都では、今後六十五歳以上の高齢者人口というものは急増してまいります。二〇一五年には都民の四人に一人が高齢社会になると、そういう予測を立てているわけであります。やや大げさないい方をすれば、津波のようにどどっと、高齢者の到来がやってくるだけは間違いない。
 このことの視点からして、現在の福祉サービスでは、量的にも質的にも対応することが極めて困難な状況にあることは、だれの目から見ても明らかなように思うのでございます。
 そこで、東京都は、昨年の十二月二十五日に、石原都政の福祉政策の基本的な指針となる福祉改革推進プランというものを発表したわけでございます。
 そのプランには、従来の行政主導型から、利用者指向の開かれた福祉の実現に向けた展望が、理念として挙げられているわけであります。
 先ほど、私の同僚の古賀委員の方からも質問がありましたけれども、やりとりを聞いていますと、そうだな、やっぱり契約自由の中の、福祉が、市場原理の中でマーケットメカニズムの中に持ち込まれてきているんですなというふうに私は感じました。二十五年前に、アメリカのピーター・ドラッカーさんが提案した、マーケットメカニズムを入れるほかないんだろうという、このことを私は思い出しながら聞いていたわけであります。
 いずれにしても、その中でも五つ挙げてあります。五つの戦略というんですか、改革プランのセットですね。サービスの質、量の確保、これが一つです。二番目は選択の仕組みづくり、事業者間のサービス競争の推進、身近な地域でのサービスの提供、社会の変化に合わせた福祉の構築という、この五つの改革プランをセットして、これを推進する八つの戦略と十二の戦略プロジェクトを示して、改革をこれから進めていこうと。十二年から五カ年計画ですか、五千二百億円を上回る事業を見込んでのセットと、こういうことは、私は、石原知事に対する、こういう前向きの姿勢で活力ある福祉施策を進めていくという意味では、高くこれを評価をしています。
 その中でも、具体的に福祉サービスの提供の、もちろん核となるのは、何といっても基礎的自治体でありますところの区市町村であります。区市町村が核になっていくんです。いろんなことを書いて挙げたけれども、それは何といったって、身近、手近の基礎的自治体を区市町村がやるわけでございますから、当然、その期待に取り組んでいる人に包括的な補助制度の充実強化をすることが最も重要なんだ、ここに力点を本当は置かなきゃいかぬと私は思っているんです。
 このことは、まさに広域行政としての役割、東京都のお仕事だと思っているんです。これ、東京都のお仕事なんです。
 ところが、これまで、前年まではどうであったかというと、二十三区は、特別区の内部的団体としていたわけでございますから、この辺に力を入れるべきだと私は思っているんです。
 そこで絞ってお尋ねをしますが、福祉改革を推進するためにも、区市町村の包括的な補助の、高齢者いきいき--僕はみずみずしい事業といいたいんですが、いきいき事業をさらに充実すべきだというふうに思いますが、これに対するお考えをお尋ねしたいと思います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 お話のとおり、福祉改革を推進していくためには、東京都のみならず、区市町村がみずからの発想に基づきまして、地域の実情に合わせたきめ細かな施策を展開していただくことが必要でございます。
 高齢者いきいき事業は、こうした区市町村の取り組みを支援するものでございます。平成十二年度におきましては、全区市町村が積極的にこの事業を活用され、社会参加の仕組みづくり、コミュニティバスの導入、NPOや地域団体等の活動支援など、六百八十八事業を実施されております。平成十三年度はさらに事業を充実し、区市町村の主体的な取り組みを支援してまいります。

○羽曽部委員 今ご答弁いただきましたけれども、そういう意欲でやってほしいんです。区市町村中心の介護サービスにも課題はいっぱいあります。
 例えば、介護を必要とする高齢者と家族が自宅で一緒に安心して暮らす、これは最高の生きる喜びを感ずる、ここはスタンスかなと私は思っています。できればそうしたいんです。施設中心になるよりは、その方が一番いいなというふうに私は思っているんです。
 訪問介護あるいは訪問看護、さまざまな在宅介護サービスを組み合わせるシステムというものをしっかりとつくっていただいて、そのサービスをコーディネートする。そして、介護支援専門員、これは東京都の役割です。ケアマネジャーですが、その役割は極めて重要だと私は思っているんです。
 しかしながら、この介護支援専門員は、まだまだ介護保険制度が始まったばかりでございますから、そういう意味では、この職種のことについては、あれこれと、いろんな請求事務など、いろんな手がかかることがございまして、本来期待されるところのケアマネジメントが十分にできないのではないか、私はそういうふうに思うんです。
 そこで、都として、この介護支援専門員の支援策をどのように行うか、この所見を承りたいと存じます。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 介護保険制度で重要な役割を果たす介護支援専門員が、給付管理業務等の事務負担が重い、そういったことで本来の役割を十分に果たせていないのはご指摘のとおりであります。
 そこで、都では、介護支援専門員への総合的な支援策を検討するため、学識経験者や保険者である区市町村の職員の参加を得た介護支援専門員支援会議を今月二十四日に設置する予定でございます。
 また、同じ日に、介護支援専門員の有志が発起人となり、介護支援専門員研究協議会が設立される予定でありますが、都は、この会の設立に向けた支援も行っております。
 今後とも、さまざまな支援策を積極的に推進してまいります。

○羽曽部委員 ところで、介護のための財源というのは、今のような公費と保険料を組み合わせたいびつな関係のものは、後でまたゆっくり私の所見として申し上げますが、新しいこの介護の制度の課題の多くがあるということを指摘したくて申し上げますけれども、私は疑問を持っている一人であります。
 しかし、これは制度の根幹に係る問題に触れるわけでございますから、ここで見直しを、今後どうするかの議論は時間をかけて、むしろ国民的な議論を、多く多くいっぱい尽くさなければならないなというふうに私は思っております。
 こうした費用の負担のあり方をどのような--このような課題ではありませんけれども、よそに触れますが、現在、施行されている介護保険制度が、実際今のところはまだ試行錯誤の中ですから、大きな混乱はない、このとおりにスムーズにいっているわけであります。
 基礎的自治体では、このことをすいすいと一応はやっている。おおむね順調だなと私は思っています。ただ、痴呆性の高齢者の要介護の認定が低くなるとの指摘などは、やっぱりもう既に出ているわけです。さまざまな課題がこれからあらわれてきますが、この要介護認定の問題は、既に国が取り組んでいるとも仄聞をいたしております。
 介護保険の課題は、都や保険者である区市町村の努力によって改善すべきものでありますし、法改正を必要とするものであれば、そのレベルもさまざまであろうかなと思います。
 そこで、今後、制度がスタートして生じているこれらの課題について、都としてはどのような対応をするのか、広域行政としての姿でお答えをいただきたいと思います。

○石原知事 具体的には担当局長からお話をいたしますが、おっしゃるとおり、これはまさに試行錯誤の段階でありまして、これからいろんな問題点が出てくると思います。しかも、国は大きな問題点に気づいていろいろ対策を考え出しているようでありますけれども、さらに国からユーザーの間近にいる東京、さらにその中で、もっと身近なところでこの業務を担当している区市町村が、もっと生々しい問題の把握をしていると思いますから、やっぱり介護問題については、ある時点を過ぎたときに、そういった情報を集約して、反省すべき補てんというものを東京も心がけていきたいですし、もっと抜本的な問題に関しては、東京から国へ建言して、せっかくスタートした新しい方式でありますから、国民、都民に納得していただくものにリフォームしていきたいと思っております。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 ただいま知事から申し上げましたとおり、スタート直後でありまして、いろんな課題があるのも事実でございます。例えば、先ほど委員ご指摘もありましたが、要介護認定の問題であるとか、あるいは先ほど申しましたが、介護支援専門員の問題であるとか、こういった問題につきまして、都としては、保険者である区市町村、それから当然事業者、一般の都民、学識経験者、こういった幅広い分野からの参画を得まして、東京の介護保険を育む会を新年度早々に設置をする予定でございます。それによりまして、この制度が都民にとってより使いやすく、わかりやすいものとなりますように、国に先駆けて積極的に取り組んでまいりたい、そう考えております。

○羽曽部委員 私の方から、昨年の介護保険の制度を見直せということを質問の題にいたしましたので、私の所見をここで述べておきたいと思っておりますが、今や還暦や古希を過ぎて--迎えたじゃない、過ぎて、そういう子どもが、年とったお父さんの、老いた父を見る時代になったというふうに僕は思うんです。
 昔は古希に当たる年齢というのは、今や七〇%掛けかなと思うと、これからは百歳ですよ。そういう時代に来た。昔はわずか人生五十年。これは昔の昔のお話。四十歳で隠居だなんていう、そういう時代もありましたけれども、やはり不老長寿はかつて人類の夢だ、あるいは天の摂理で老いは仕方がない、そんなふうにいわれましたけれども、今は時代が変わってまいりました。文化も進んできました。医学の発達もすばらしいものがあります。
 そこへもってきて、人間の体に有害な活性酸素を抑制する酵素が研究されたんだそうでありまして、アメリカでは、そのパテントを取ろうということで盛んにやっているようでありますが、人生はまさに百歳から百二十歳ぐらいにぐいぐいと寿命が延びてくる、こんな状況であります。
 ですから、そういう中でのこれからの高齢化社会の対応というのは、かなりやっぱり長期的にいろんなことを考えなきゃいかぬ。殊に都政の中では、これからは人口がだんだん減少していく。これは先進国みんなそうであります。フランスもそうでありますけれども、今は五千万そこそこじゃないでしょうか。
 日本の場合も、明治の初め、江戸の終わりは三千四百万、それから一億二千万になるわけですが、恐らくこれも人口の動態の研究所でいわれているように、八千万から六千万ぐらいになっちゃうんじゃないか。東京都も、そういう計画の中で、これからは都政の政策策定もあっていいんじゃないかな、私はそんなふうに思っております。
 いずれにいたしましても、この介護保険というのは、やはりイギリス、デンマーク、先ほど申し上げたスウェーデンのように、租税をもって行う方法と、それからドイツやオランダの保険制度のように、契約自由の原則で、民法の基本じゃないけれども、私的自治の原則が基本になって、契約自由の原則で、契約するのも、相手を選ぶのも、内容を決定するのも、どんな方式でやるのも自由だという、そういうスタイルになっていくのかな。
 私は、先ほども申し上げましたけれども、古賀委員のやりとりの中で聞いておって、やはりこれからの介護の時代は、市場原理も交えたマーケットメカニズムを入れた福祉の施策というのが、二十五年前にピーター・ドラッカーさんがアメリカでいっていたけれども、そうかなみたいな感じを私も持っております。
 しかしながら、日本の介護のシステムを昨年から始めたわけですが、それまでは、日本の場合は、北欧と同じく税方式でやってたんです。税金ですべて賄っていたんです。それもたしか、そのサービスの供給量が足りないとか、あるいは比較的所得の低い人を中心にやっていたことは事実で、まさに租税を原資にしてサービスを提供していたことは、日本の歴史の歴然たる事実であります。
 その中でやっと、公的介護の充実は介護保険制度でやると、こういうふうになったけれども、これが日本の介護保険、さまざまな問題を抱えちゃっているわけです。一見ドイツの介護保険のように見えるわけですけれども、そうでもないんですね。財源に公費を半分充てるというようなことですね。そして、市町村が保険者になる、介護の必要度合いをはかる、認定をまずコンピューターでつかさどる、ドイツのような現金給付はないなどなど、基本的な点でやっぱり大きな違いがあるのじゃないかな。
 介護保険制度を、イギリスや北欧のように租税を原資としたサービスとして行うのか、ドイツのような、あるいはオランダのような、契約書に基づいて、社会保険として保険料のみをもって行うのか、二つの選択でいろいろとこれは研究されて、検討されて、今日があるのかなと私は思っていますが、昨年から始まったこの日本の介護保険は、保険という形をとりながらも、区市町村が保険者になり、公費と折衷の形で運営されていく。コンピューターによるところの認定といった、国の関与も隅々にまで行き渡った。そのためにさまざまな問題が、いろいろと複雑に、錯綜いたしております。公費でもなければ保険でもないという、ゆかんだいびつな関係にもあるように私は思っています。
 私の主張からいえば、公的介護の充実を図るべきです。当然です。また、国民はそのための適正な財源も新たに負担すべきだという国民的な議論を重ねる必要がある。国民的な課題としてこの問題を提案していく必要がある。そして、制度は簡素で明快で公平なものにしていく。その公的サービスは血の通った温かいものしていただきたい。こんなことは当然であります。私はこんな願いを、当然のことながらかなえたいなと思っておるわけです。
 このような視点に立って、昨年から厚生省が実施しておりますこの介護保険制度に対して、私はさまざまな問題点は実は持っております。きょうはいっぱいやろうと思いましたが、時間が十三分になっちゃった。ともかく、改革も提言もしていきたいわけでありますけれども、私は、新しく始まったこの日本の介護制度のどこに問題があるのか、どのような経過でその制度が提案されたのか、どのような改善策があるのか、多くの問題の意識を持つ一人であります。
 殊に、大事なところは、区市町村では健康保険料の滞納者が多いんです。恥ずかしい話でございますけれども、その中で、健康保険の滞納の徴収率というんですか、これは新宿が二十三区の中で最低であります。こんな状況の中では、今後のこの保険の徴収も滞納が多くなって、財源が行き詰まってしまうことが目に見えているわけですから、これはやはり何とか私どもも考えていかなくちゃならない。見直しをしなくちゃならないのはそういうところにあるんです。あと三年でこれは行き詰まるんじゃないか、私はこんな危惧の念を持って皆さんにこんなことを申し上げているわけであります。
 これは私の所見でございますから、所見は所見として申し上げておきます。答弁は要りません。
 二番目でございますが、日本の教育をだめにしてしまったのはだれだと、こういう大変えらい問題をふっかけたわけですが、本当は教育じゃなくて、日本をだめにしたのは、ここまでだめにしたのはだれなんだと、こういいたいわけであります。
 時間がないから率直に、原稿なしでやらせていただきますが、実は、自分がおんぶした子を三年探したという話がありますが、日本の国をだめにしたのは、私です、皆さんです。一人一人が、実はこれをだめにしてしまったんです。
 それはなぜかというと、自分の子どもに、私どもらは昭和の一けた生まれでございますが、何といってもあの苦しい、貧しい未文化の時代を育ってきた私どもらは、せめて子どもにだけは欲しいものを上げよう、喜ばせてやろう、そうして甘やかしてきました。ここに実はあるんです。
 石原知事もいいましたけれども、しかることを教えない、褒めることばかり、甘やかすことばかりで来た今日この姿が、実は私どもらに大変なそのしわ寄せになってきました。その子どもが今、親になっているんです。だから、その子どもも、またしからないんです。
 そういう形でありますから、大人は、これはしからなければならないと同時に、しかり方、しかられ方、何でしかられたんだろうか、ああ、これはいけないんだ、こんなことしちゃいかぬだったという認識を教える、我慢を教える、教わる、その姿がちっとも--私どもらには努力が欠けたんです。私はそれに対して、私自身が反省をしています。日本の国をだめにしたのは私ども大人であり、親であり、さらに、その子どもが育ってまた親、これが次々となっていく。これでは、自分の子にわがままを抑えることを教えられない。こんなままで来たこの日本の姿こそ、みんながだめにしてきたと私は思っております。
 ともかく、そういう意味では、やっぱりやってらならぬことを、すべきことをきちっと子どもに教える私でありたい。私は、自分に反省をしています。評論家みたいなことをいっても始まりませんから。それが大人社会に入って、一人前になって--これは自由という権利があります。その権利は生活上の利益であるはずです。生活上の利益は、相手も生活上の利益を持っています。そこで衝突するわけですから、そこにはルールがあって、そこからすばらしい明るい社会が見出せる。私はそんなことを思っていますが、私の考えに誤りあらば、指摘をしてください。

○石原知事 お互いに同世代のせいか知りませんけれども、全く同感でございます。
 私、よく講演などで使います言葉に、福沢諭吉の、独立の心なき者国を思うこと深切ならず、それから、その次のページに、立国は公にあらず、私なりという言葉がございますが、私、教育に関しても、教育が派生してもたらした今日の国の現況、つまり結局、私たちが大事な大事な私ごととして、自分の子弟の教育、しつけということを考えてこずに、いたずらに先生に物を任せてきたその結果だと思います。
 でありますから、心の東京革命などでも、端的にわかりやすく、日ごろしていたことをもう一回取り戻してしよう、他人の子どもでもしかろうと。やっぱり思いやりの一つも、他人の子どもも自分の子どもも--まして自分の子どもに対する思いやりというのは、私はしかることだと思います、褒めることもありましょうが。そういう当たり前な人間としての、国民としての、国とのかかわりの中でのこの国を形成する国民の一人としての責任、最低限の責任について、私たちもう一回考え直す時期に来ていると思っております。

○羽曽部委員 ありがとうございます。
 都市型水害対策について触れてみたいと思いますが、皆さん、思い起こしていただきたいんです。あれ、新宿に何でそんな水があふれるほど床上浸水になるのかという話がありますけれども、皆さんご承知のように、西新宿というところがありますね、その地下で、エレベーターがこう下がっておりて、ああ、水が出るなと思って行ったら、そのエレベーターがあいたら水が入って亡くなっちゃったと、こういうありさまです。
 こんなことがいっぱいあるのは、どっかやっぱり下水道というか、水を吸い込んでいく、そこに何か欠陥があったんじゃないかと私は思っているんです。今は、本当にスコールのように雨が降りましたら、それは何とももう、受け皿がないんです。のみ込めない。そんな状況にあるわけですけれども、やはりこれは広域行政の、まさに下水道局のお仕事なんだと思うんだけれども、その辺のところはどういうふうにはかどっているのか、はかどっていないのか、この点だけお答えをいただきたいと思います。時間がありませんので、至急お願いします。

○横山下水道局長 ご指摘のように、下水道はほぼ一〇〇%普及しておりますが、都市化によりまして雨水が地中に浸透しにくくなりまして、下水道に流れ込む量がふえております。これによりまして、下水道管などが雨水を排除する能力が不足いたしまして、浸水被害を起こしているところでございます。
 このようなことから、当局といたしましては、雨水整備クイックプランをつくりまして--これはどういうものかと申しますと、過去にも繰り返し浸水被害を受け、その浸水被害が大きい重点地区や、あるいは新宿駅など周辺に大規模な地下街があり、浸水対策を強化する必要がある地下街対策地区などに区分いたしまして、それぞれの地域特性に合った効果的な対策を実施しているところでございます。
 このようなことで、現在これらの事業につきまして、計画どおりしっかりと進めておるところでございます。よろしくお願いいたします。

○羽曽部委員 環境問題についてお尋ねをします。
 ダイオキシンというのは、落ち葉を燃してもダイオキシンが出るわけでしょう。何か一ピコグラム、一兆分の一だと、そんなふうになるというんだけれども、みんな心配していますよね。安心と安全を得るのが東京都政の役割、そういう中で、何か科学技術なんて、もうミクロのミクロの話をするんで、みんなびっくりしちゃうんだけれども、たしか新聞にいつか出ていましたね。いつだったか正確でないから失礼になるかもしれないけれども、所沢の作物が都民の食卓にのるのに、何かダイオキシンと関係があって大変だというんだけれども、多摩川の魚も雄、雌がわからなくなる、こんなふうになって、男の、失礼だけれども、一物も危ない、子種ができないと。
 こんなこともあるわけですから、この辺のところを、ひとつ環境の問題として、安心、安全をどういうふうな形で発表していけるのか、リスクをコミュニケーションしながらやっていけるのか、この辺のところをお答えいただきたいと思います。

○中野環境局長 東京都環境科学研究所では、平成十年度及び十一年度に、多摩川水系の河川や神田川などの五地点におきまして、コイの生殖異常を調査いたしました。その結果、雄と雌の比率はほぼ同じでありました。
 しかし、採取した雄の精巣の一部には、今お話しのように、萎縮等の異常が見られたということでございますので、現在調査を継続しているところでございます。

○羽曽部委員 都市基盤のことについてお尋ねをしたいわけです。
 現在、西富久地区というのが新宿にあるんですが、ここは新聞でよく出ておりますけれども、いってみれば、殺伐とした地上げの後の食い荒らされた虫食いの跡です。それは全く殺風景な場所になってしまいましたけれども、ここを地域住民の人はまちづくりということで、組合をつくりながら今やっておりますが、これの進ちょく状況等を踏まえて、どこに--早くやれやれというまちづくり組合と、それから公団との関係では、どんなふうに仕事が進んでいるのか、東京都はどんなかかわりをしているのか、教えてください。

○山下都市計画局長 西富久地区でございますが、地上げにより不良債権化した土地の存在がまちの活性化を阻害しておりまして、その解決が地域の大きな課題でございます。
 このため、平成十一年七月に、本地区を含む五ヘクタールを緊急再開発事業促進地区に指定したところでございます。
 現在、まちづくり組合と新宿区及び都市基盤整備公団により、事業採算性も含め、事業手法や計画内容の具体的な検討が進められております。
 都といたしましては、この地区の住環境の向上や都市機能の更新が早期に図られるよう、今後とも地元区等との調整に努めてまいります。

○羽曽部委員 次に、新宿の富久町における開発と環状四号線、この道路整備についてどうなっているのか、お願いします。

○古川建設局長 環状四号線の靖国通りから河田町までの八百メートルのうち、余丁町通りから河田町までの三百メートルを一期区間として、今年度、用地測量を実施しております。
 残りの余丁町通りから靖国通りまでの五百メートルについては、小石川工業高校の統合や西富久地区まちづくりなど、地域の動向を見ながら、事業化に向けて地元区等と調整を図っているところでございます。

○羽曽部委員 ありがとうございました。(拍手)

○白井(威)副委員長 羽曽部力委員の発言は終わりました。

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