東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○松村副委員長 寺山智雄委員の発言を許します。
〔松村副委員長退席、白井(威)副委員長着席〕

○寺山委員 先ほど谷口委員の方から質問があったときに、知事もお答えになりました。また、今定例会の所信表明で、知事は、存亡をかけた取り組みということで、我々人類さえも今世紀中にはその存在を失ってしまうという強烈な危機感を、都民に対してメッセージを送られました。今後、このような危機の実態、そして将来に対して、一体私たち政治や行政が具体的に都民に対してどのような施策を展開していくのかということが求められているんだろうというふうに思います。
 自然環境、あるいは社会環境の危機の状況、これが今、私たちの都民生活の中にも信号機の危険信号をともしている、そういう実例というのがあります。その一つの実例というのが、まず、これから取り上げますアレルギー疾患です。
 都が平成十一年に調査をしまして、昨年の七月に発表しました、都内の三歳児の子どもたちとその親を対象にした全都調査によりますと、何らかのアレルギー疾患を持っている三歳児の子どもたちが四一・九%、実に五人に二人が何らかのアレルギー疾患を持っているという、大変驚くべき調査結果が出ております。
 まず、衛生局長にお尋ねしますが、こうした状況を都はどのように認識をしているのか伺います。

○今村衛生局長 ご指摘のように、都が昨年度に行ったアレルギー疾患実態調査によりますと、何らかのアレルギー疾患に罹患している三歳児の割合は極めて高い水準にありまして、本人はもとより、家族にとっても深刻な問題であると認識しております。
 このため、都は、アレルギー性疾患対策を保健医療行政上の重要課題としてとらえまして、予防、治療、調査研究の各分野において、これまでもさまざまな対策を進めてきております。

○寺山委員 都が行いました調査に先立ちまして、国が平成四年から六年にかけて、ゼロ歳児から五歳児を対象にした調査をしております。国の全国調査です。これによりますと、二八・三%が何らかのアレルギー疾患を持っているということです。当然、年次も違いますし、対象の乳幼児の年齢も違いますので一概にはいえませんが、どうやらこの国の調査と東京都の調査を比較すると、東京都におけるアレルギー疾患の保有率というのが高いというふうに思われますが、東京での高い理由を含めて、どのように認識していらっしゃるのか伺います。

○今村衛生局長 アレルギー性疾患は、性別や遺伝的素因、抵抗力の低下といった要因に加えて、食生活の変化や大気汚染、住宅におけるダニやカビの増加などのさまざまな環境要因が複雑に絡み合って発症するといわれております。
 また、各種調査結果では、都市部と非都市部との有症率に明らかな差が認められる場合が多い。こうしたことから、アレルギー性疾患増加の背景には、都市化の進展に伴う生活環境の変化も大きく影響しているものと考えております。

○寺山委員 今ご答弁いただきましたけれども、このアレルギーという問題について、これは遺伝子的な要因も確かにあるというふうにいわれますけれども、こうした我々の周りの環境の変化、あるいは都市のあり方、あるいはその居住のあり方というのが、非常に発症、そして症状を悪化させるということの非常に大きな要因になっているということがいわれているわけです。
 そこで、まず、やはり日常生活の中でアレルギーにかからないようにする予防というものが大切だというふうに思いますが、都としての今の予防対策、どのように取り組んでいらっしゃるのか伺います。

○今村衛生局長 東京都は、平成十年度に設置されました東京都アレルギー性疾患対策検討委員会での議論等を踏まえまして、予防対策として、保健所におけるアレルギー相談や、室内環境の改善指導、花粉情報テレホンサービス、ホームページによる情報提供などを実施しているほか、アレルギー疾患ガイドブックや各種パンフレット類の作成によりまして、アレルギーに関する正しい知識の普及を図っているところでございます。

○寺山委員 ぜひ日常生活での我々の予防というのが必要なんですが、都が行った調査の結果を見てみますと、例えば、ぜんそくを持っている子どもがいるにもかかわらず、家庭の中で喫煙をするような大人がやっぱりいるということで、そうしたアレルギーに対する考え方も含めて、予防をきちっとやっていかなければいけないだろうというふうに思います。
 国は、来年度から、保健婦を対象にしたアレルギー研修を行うというふうに聞いております。この予防推進を図っていくためには、こうした人材の育成というのをきちっと計画的に行っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○今村衛生局長 先生ご指摘のように、今後、予防対策の一層の推進を図るためには、アレルギー性疾患対策にかかわる人材を数多く育成していくことが必要と考えております。
 都はこれまでも、保健婦等の専門研修を行い、アレルギー性疾患対策にかかわる人材の育成を図ってきたところでございますが、今後とも、地域保健活動を推進する人材の育成に積極的に取り組んでまいります。

○寺山委員 今、局長からもご答弁がありましたが、東京都は、アレルギー性疾患の検討委員会というのをおつくりになっていて、今年度末にも最終報告が出されるということを聞いております。その結果を踏まえて、今後、衛生局としての取り組みをどう進めていくのかを伺います。

○今村衛生局長 東京都といたしましては、今年度末に予定されております検討委員会の最終報告を踏まえまして、今後とも、予防対策の一層の強化や治療研究の充実とともに、総合的なアレルギー性疾患対策を強力に推進してまいる所存でございます。

○寺山委員 ぜひ総合的な取り組みをお願いしたいというふうに思いますが、実は、この季節になりますと、花粉症の方が大変多くいらっしゃると思います。平成八年の調査になりますけれども、スギ花粉症の有症率というのが十年前に比べて二倍になってきている。倍増しています。
 先ほどの国が行った調査によりますと、乳幼児ばかりじゃなくて、成人、大人が保有しているアレルギーというのが約三〇・六%になる。三人に一人は何らかのアレルギーを持っている。東京の場合には、先ほどの乳幼児の例に倣いますと、恐らく保有率というのはもっと高いだろうというふうに思っております。ということは、このアレルギーの病気というのは、まさに世代を超えた国民病の一つといえる。そして、先ほど、東京都市部における特殊性というものがあって、これは都市の病気であるというふうにもいえる。もっといいますと、まさしく、これまでの経済を中心としてきたこの社会のあり方それまでもやはりきちっと変えていかなければ、このアレルギー対策というのは進展しないだろうと思います。
 衛生局、保健衛生の部分でしっかりと対策をとっていただくことも必要ですけれども、知事にぜひお願いしたいのは、ぜひこうした問題を全都的な取り組みとして今後推進していただけるように、強くお願い申し上げたいと思います。
 そして、今、体ということでアレルギーという問題を出しましたけれども、心の病というものが最近急増していると聞きます。
 まず、衛生局長にお伺いしますが、例えば、うつ病ですとか、あるいは自律神経、こうした病が最近ふえているという、その実態について、都としてはどのように把握していらっしゃいますか。

○今村衛生局長 東京都における通院医療費助成の認定患者数でとらえてみますと、五年ごとに見てみますと、平成二年度末で約三万二千人、平成七年度末で約四万八千人、平成十三年二月末では約八万五千人と、年々大幅に増加しております。

○寺山委員 今のご答弁から、平成二年度から平成十三年度のこの十一年間に、約三倍近くこうした心の病を持つ方々がふえている。この十年間で三倍増しているということです。
 よく経済的な損失で失われた十年ということをいいますけれども、実はそれに伴って、私たちの心の安定も欠く、この失われた十年であったということがいわれていますし、まだまだこの傾向というのはこれから続いていくんだろうというふうに思います。
 一般の私たちの社会を見ていても、本当に信じられないような犯罪、事故、事件が起こっています。家庭の中を見回してみても、例えば思春期の引きこもりや、あるいは家庭内暴力や登校拒否、あるいは私たち大人だって、児童虐待という問題、あるいは自分の母親を介護している中でのある虐待、そうしたものが、実はこうした心の問題から派生してきているということを、私は見落としてはいけないだろうと思います。
 こうした現状を考えていきますと、これまでは個人の問題としてメンタルヘルスケアということがいわれていましたけれども、行政がより一層の相談機能を充実するという役割が期待されている時代になってきているというふうに思いますが、都が今取り組んでいる心のケアの対策、どういうふうになっているのかお尋ねします。

○今村衛生局長 保健所や精神保健福祉センターでは、精神障害の発生の予防と精神的な健康の保持増進を図るために、電話や面接などによる専門的な相談を実施しております。特に、思春期の心の問題につきましては、学校や児童相談所などと連携を図りながら、相談活動を実施しております。
 今後とも、精神保健福祉センター等を中心に、地域の関係機関とのネットワーク化を一層推進いたしまして、きめ細かな対応を積極的に図ってまいります。

○寺山委員 その思春期、それから大人のこうしたうつですとか、そういうものが蔓延してきているという状況について、ぜひ取り組みを進めていただきたいというふうに思います。
 医療関係者ですとか専門家の方々の相談体制というものが必要なことは、これはもう当たり前のことなんですけれども、もっともっと地域の中に、もっと身近に、こうした相談を受けたり、あるいは気づくということ、そういうことができるような体制づくりが必要だろうというふうに思います。
 要は、行政だけがこれからそういう部分を担うのではなくて、ボランティアの方々--実は、これは阪神の大震災、あるいは三宅島の震災でも、そうした心の傷を負った、衝撃を負ったことに対する心のいやしの活動というのを、ボランティアの方々はたくさんやっていらっしゃるわけです。
 平成十一年に神奈川のボランティアセンターが調査を行いましたところ、全国には今、約四百のこうした精神保健ボランティア団体が存在をしているということです。ところが、残念ながら、東京都だけを見ますと、わずか十団体しかありません。これはまだ把握が足りないのかもしれませんけれども、こうしたボランティア団体、あるいはボランティアの方々の育成というのを東京都も手がけるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。

○今村衛生局長 精神保健福祉センターでは、ボランティア活動を行う方々の知識や技術の向上を目的とした研修や情報提供を行っております。
 また、これまで、精神保健福祉センター等におきまして、ボランティアの参加を得た活動を行ってきておりまして、大変ありがたいことだと思っております。
 今後も、都民の心の健康の保持増進を図るため、精神保健分野でのボランティアの育成を行ってまいります。

○寺山委員 多角的に、それから総合的な取り組みをぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。
 そうした心を支えていくということについて、ペットの役割とか存在ということが非常に今社会的に認知をされてきています。これから、ペットとの共生社会というテーマについて取り上げさせていただくわけですが、かねがね、昨年の常任委員会等でも、都営住宅におけるペットの飼育の問題について取り上げさせていただいてきました。
 現状、都営住宅でのペットの飼育というのは禁止をされています。ところが、実態上は、飼っている方々はたくさんいる。そうしたことにおける苦情というものが大変多いというふうに聞いていますが、その実態はどういうふうになっているのか、お答えください。

○戸井住宅局長 平成十一年度における電話などによります苦情は約五百五十件でございます。
 苦情の内容は、鳴き声、におい、ふん尿、抜け毛などによるものがほとんどでございます。

○寺山委員 そうした苦情が、これはもう長年ずっと実は実態的にあったわけです。そうした状況を、専門家の方々を交えて検討委員会をつくって、そこで現実をきちっと議論して、どうあるべきかということをきちっと検討してくれというふうに、これは私だけじゃなくて、各会派ともそういうふうな要望があって、そして検討会が開かれたはずです。その検討の内容と今後のスケジュール、そうしたものについて伺わせてください。

○戸井住宅局長 都営住宅におけるペット飼育につきましては、学識経験者、自治会代表等から成る検討会を既に設置しておりまして、去る二月に第一回を開催したところでございます。
〔寺山委員「局長、済みません、続けて今後のスケジュール」と呼ぶ〕

○戸井住宅局長 今後のスケジュールでございますが、検討会におきましては、ペット飼育のメリット、デメリット等を検討しているわけでございますが、検討会を二月に一回行いまして、今後は四回程度開催いたしまして、本年の八月を目途に提言をいただく予定となってございます。

○寺山委員 本年の八月をめどに報告をお出しになるということなんですが、報告が出た後、実際上、それについての合意形成を地元地元でどう図っていくのかということが、具体的にはこれから必要になってくると思いますので、そういう合意形成の手法についても、ぜひその中で検討していただきたいというふうに思います。
 この都営住宅でのペットの飼育についてもそうですけれども、ペットと人間が共生していくためには、やっぱり人間社会のルールにのっとった動物のあり方というものが基本的に議論されていかなければならないのだろうと思います。当然、犬が好きな人、嫌いな人、これはいます。これはもういかんともしがたい。しかし、犬嫌いとか、実は犬へ多数寄せられている批判というのは、そうした犬がきちっとしつけられていないというところに、非常に今問題があるんだろうと思います。飼い主がただ単にペットをかわいがる、愛玩するということだけでは、もうこの社会の中でペットを飼う資格はないというふうに私は思っています。
 今回、動物の愛護及び管理に関する法律が施行されました。特に、犬の飼い主に対しては、同法を受けて定められた、犬及びねこの飼養及び保管に関する基準というのがあるわけです。その中でこういうふうにいわれています。適当な時期に飼養目的等に応じて適切な方法でしつけを行うとともに、所有者等の制止に従うよう訓練に努めることとされています。当たり前のことです。しかし、これが現実的には義務づけられていない。いわば努力義務という形になっているわけです。
 現実的には、本当に愛犬家の方々がいらっしゃって、きちっとしつけをされている方々もたくさんいますが、本当にしつけさえしない、そういった飼い主が多い。この実態、本当にこのままでいいのだろうかというふうに私は思っています。
 さきに述べました基準の有無にかかわらず、飼い主の当然の責務であるということにかんがみて、しつけ講習会への参加を、本来ならば飼い主に義務づけるぐらいの姿勢を、私は行政というのはとっていいんだろうというふうに思います。
 そこで、都として、この飼い主の責任の徹底について一体どのようにお考えになっているのか伺います。

○今村衛生局長 ご指摘のとおり、犬と人間が共生していくためには、飼い主によるしつけが不可欠でございまして、飼い主がその意義を十分に認識する必要がございます。そのため、東京都におきましては、飼い主に対する個別指導のほか、犬のしつけ方教室や、新しい飼い主へ譲渡する際の講習会等を開催するとともに、パンフレットやホームぺージ等による啓発を行っております。
 今後とも、区市町村と連携いたしまして、飼い主責任について普及啓発に努めてまいります。

○寺山委員 結局しつけもできないような、そうした飼い主は、大体、犬なんかの飼育放棄をする例がやっぱり多々あるわけです。一体、年間どれだけの犬が捨てられて、動物保護センターで命を奪われているのか。もうこの繰り返しをずっとしているわけです。そういうことをなくすためにも、飼い主の責任というものを今後きちっと明確化していっていただきたい。それは区市町村の責任というふうにいわれるかもしれませんけれども、ぜひ東京都が率先してそういうふうな対応をしていっていただきたいと思っております。
 その一方で、実はそうした実態の中で、全くのほぼボランティアという形で、愛犬家の方々、あるいは犬の訓練士の方々がしつけ教室を開いていらっしゃる、そうした実態があります。ところが、実際上、そうしたしつけ教室をやろうとしたときに、なかなかこういう都心の中では、しつけ教室を行うような場所の確保がない、あるいは広報手段を持たないというふうな方々がたくさんいらっしゃるわけです。こうしたグループに対する支援というのも、私は今後どんどんやっていくべきだと思うんです。
 これも本来ならば区市町村の責務かもしれませんけれども、こうした民間団体の活動を積極的に都としても連携をとっていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○今村衛生局長 飼い主責任について普及啓発していくためには、行政ばかりでなく、民間の活動が重要な役割を果たすと考えております。改正された動物の愛護及び管理に関する法律では、行政と協力して地域における動物の愛護と適正な飼養の推進を図るため、動物愛護推進員の制度が設けられております。
 東京都は、この制度を受けて、平成十三年度中に、動物愛護を目的とする関係団体及び行政機関等で構成する協議会を設置する予定でございます。今後、この協議会におきまして、民間団体等との連携を含め、動物愛護推進員の委嘱及び活動内容等について検討してまいります。

○寺山委員 動物愛護推進員というふうな制度ができるわけですけれども、そういった中の議論を含めて、ぜひ今後こうした民間の団体との連携もきちっと検討していただきたいと思います。
 やはりこのしつけの問題をきちっとここでしなければならないという原因は、先ほど私も少しいいましたけれども、犬が非常に社会的に役立つ、あるいは人の支えになる。これは障害者の方、あるいは痴呆性の老人の方、そうした方々に対して、治療の面とかそうした面でも非常に有効な役割を果たすということがいわれています。また、それだけではなくて、災害救助犬、あるいは警察の捜査などによる、あるいは薬物などを税関で取り締まる麻薬犬ですとか、そうした犬の役割というものを、私はもっともっと社会の中で活用していくべきだろうというふうに思います。
 そのためには、やはり今、この犬の問題に関して、社会的に大変まだまだ壁がある。それを取り除いていくためには、やはり犬を飼っている飼い主がまずはみずから襟を正して、きちんとしつけをしていった方がいいというふうなことだと思います。
 今、社会的にも有用な役割を果たす犬の存在があるというふうにいいました。東京都では盲導犬の育成というのをもう随分前から長くやっていらっしゃるわけですけれども、なかなかその盲導犬というのも、働く期間が短い、あるいは育成に時間がかかるなど、本当に必要とされている方々に対する供給というのがまだまだ十分な体制ではないと聞いています。
 民間の育成団体の幅広い活用なども図って、今後もこのような盲導犬の育成について積極的に推進するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 東京都は、視覚障害者の方々の行動範囲を拡大し、社会復帰と自立を促進するために、昭和四十四年度から盲導犬の給付事業を実施いたしております。これまでに二百三十七頭を給付し、現在、都内で五十七頭が活躍をしている状況でございます。
 今後とも、盲導犬を必要とする視覚障害者の方々が一層利用しやすくなるよう取り組んでまいります。

○寺山委員 ぜひお願いをしたいと思いますが、最近、マスコミ等で介助犬という犬の役割が非常に注目されていまして、今、国では、この介助犬に対しての検討をしているというふうに聞きます。実際上、この介助犬にはまだ登録制度もなくて、なかなか社会的な認知も受けていないということなんですが、私、都内でびっくりしましたのは--実は兵庫県では独自のそうした取り組みを国に先駆けて実施はしているんです。東京都においてこの介助犬というのを調べてみましたら、平成六年の四月に都営交通において、交通局において、都内在住の介助犬を随伴されている方々について、個別対応ですけれども、きちっと対応されて、そして都営交通を介助犬とともに利用できるというふうな配慮をやっていらっしゃる。これは平成六年ですから、もう七年前。随分これは気のきいたというか、行政にしては珍しい対応をされていたんだなというふうに思いますが、これから恐らく、国のそうした検討の動向も踏まえて、都としてもこうした介助犬に対する支援策等を含めて検討されていくと思いますが、今後のその取り組みについての考え方を伺います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今お話がありました手足の不自由な障害者の方々の日常生活を助ける介助犬、これは民間団体によって育成されておりまして、全国で十頭ほどいると聞いております。現在、厚生労働省におきまして、介助犬に関する検討会を設置しておりますが、これは私どもの職員も参加をしておりますけれども、ここで介助犬の役割や有効性などについて検討いたしております。
 今後、こうした民間団体や国の動向、さらに利用者のニーズ等を見きわめながら、適切に対応してまいります。

○寺山委員 福祉のまちづくりという観点からも、こうした盲導犬、あるいは介助犬、ほかにもそうしたきちっと世の中のために、あるいは人の助けになるような犬が社会の中で貢献できるような環境づくりを、ぜひ福祉局としても進めていっていただきたいと思います。
 それでは次に、学習障害児対策についてお伺いをしたいと思います。
 学習障害児という言葉は、もうこれは都議会においても、あるいは都政の課題においても取り組まれている問題でありますけれども、現在アメリカでは、十人に一人の割合で、学習障害と呼ばれる中の代表的なものの一つであるディスレクシアと呼ばれる、これは先天的に読みに問題を持つ子どもがいるといわれています。しかし、残念ながら、このディスレクシアという名前さえ、実は聞いたこともないという方も多いのではないかと思います。
 このディスレクシアというのは、今いいましたLDと呼ばれる学習障害、実はこれは非常に広域な概念でありまして、こうした概念の中に大きく一括されて、全く通常の生活能力を持っているのにもかかわらず、知的障害の方々と同等の扱いとしてみなされている例が多々あるというふうに聞いています。このディスレクシアの子どもたちは、そういった学習上のハンディ以外では実に多くの才能を持ち合わせています。例えばアインシュタインがそうだといわれていますし、芸術や、あるいは文化、また最近ではITの分野で非常にその才能が発揮されている事例があるそうです。
 欧米では、これは実は非常に早くから研究が進んでいまして、そうした現状に対して、彼らの先天的に持っている潜在能力の開発を助けようということで、アメリカではこのディスレクシアの専門の教育機関がつくられていて、偏差値にとらわれないような、そうした特有の指導に当たっているという例がたくさんあります。
 今、日本でも個性を尊重する教育というものが叫ばれていますけれども、都が率先して、今のこの教育制度の中で苦しんでいる--実態として、例えば読みができないということによって、いじめに遭ったりだとかということで不登校の状況に至る、あるいは教員の理解がなかなかないということで学校嫌いになるというふうな子どもたちが多く存在をしています。ぜひこうした子どもたちの才能を開花させてあげるような教育のあり方というものをお考えいただけないかというふうに思います。
 こうしたディスレクシアを持つ、学習障害も含んだこうした保護者の方々からすると、やはり一番まず先に、学級担任の理解や指導の充実を求める声というのが多く聞かれています。もちろんこれは個に応じた指導が当然必要になってくるわけです。この指導に対する専門性を高めていく、あるいは知識をふやしていくということが必要というふうに思います。
 来年度からは教職員の研修センターが設置されますけれども、ここにおける、その学習障害児に関して、一体どのような専門的な研修を行っていかれるのかということを伺います。

○横山教育長 平成十三年度に新たに設置いたします東京都教職員研修センターにおきましては、幼稚園、小中学校、高等学校、盲・聾・養護学校の教職員に対しまして、学習障害児についての医学的な理解をまず深めるとともに、通常の学級における個に応じた指導のあり方を会得させるために、事例研究や課題研究を主体とする、専門性の向上を図るための研修を行うこととしております。

○寺山委員 そうした学級担任、直接そうしたディスレクシアを含む学習障害の子どもに当たる担任の先生、特にそうした方々に対する指導の充実というのをぜひ調べていっていただきたいと思いますが、実は、こうした学習障害児に対する、いわば特殊的な教育の制度を含めた教育のあり方というのを決めたのが、まだ本年の一月なんですね。これは国でなったのは、まだ緒についたばかりです。あるいは文部科学省の方は、来年度、小中学校における学習障害児などの調査をして、全国的に一体どれぐらいいるのかというふうな調査を行うと聞いております。
 国としては、まさしくこれからスタートさせるということでありますが、都の教育庁は、比較的先進的な取り組みをこれまでずっと行っていらっしゃいました。そうした担任の先生の方々に対する指導のあり方というものも大切ですけれども、実は、そういう子どもたちに対する評価のあり方ということについての柔軟性を持たせるべきではないかというふうに思いますけれども、教育長としてはどのようにお考えでしょうか。

○横山教育長 昨年の十二月に、国の教育課程審議会におきまして、障害のある児童生徒も含めまして、新学習指導要領の実施に伴う評価のあり方について答申が出されたところでございます。都教育委員会としましては、この答申に示されております、一人一人の障害の実態等を十分把握しまして、児童生徒が持てる力を発揮して学習活動に取り組む状況をきめ細かく評価する、こういうことなどについて、区市町村教育委員会及び都立学校に対して周知を図ってまいります。

○寺山委員 そうした制度の評価のあり方ということについては、まだこれから時間はかかると思いますけれども、例えば私の知っている、そのディスレクシアと呼ばれているような子どもで、実は日本の教育の中ではなかなかなじめなくて、不登校の状況になりました。その後、アメリカの方に行きまして、やはり専門的な教育を受けました。彼は非常に音楽的なセンスがあったということで、今アメリカの方の有名な音楽大学の、パーカッションというパンパンパンパンやるのがありますが、そこで教育を受けて、非常に注目されている日本の若い青年の一人になってきています。
 まだまだこれから教育改革ということで制度の改革も含めて行われるわけですけれども、やっぱりこうした才能を伸ばしていく、天才教育とまではいいませんけれども、そうした才能を伸ばしていくような教育のあり方、あるいは評価のあり方というものを、東京都の教育委員会、あるいは都立大学、そうしたところでぜひこれからお考えいただければというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 それでは最後に、東京女性財団の問題について申し上げます。
 もうこれは代表質問、それからこの予算特別委員会でも種々議論がされておりまして、どうやら同じことを繰り返した内容を聞いても、同じような答弁になってくるんだろうと思いますので、意見だけ述べさせていただこうというふうに思います。
 私ども民主党は、今回の予算の復活の場面において、都民と、そして企業とNPO、それぞれが知恵を出し合って、本当にこの女性財団というものが、自立的に、これから新しい、まさしく再生をするためのプロジェクトというのを提案いたしました。残念ながら、それには予算はつきませんでした。
 今までの知事を含めたご答弁についても、実際上は直営という実態の中にあって、これからどういうふうにしていったらいいのかということ、そこに本当に大きな批判が寄せられているのも事実です。しかし、これだけはぜひご了解いただきたいのは、財団に対して、やはり役人の発想、あるいは役人の基準を持ち込んで、これまでの財団の姿、あり方というものが形成されてきたということだけは、ぜひ肝に銘じていただきたいというふうに思います。
 私は、これから新たな財団づくりということで、自主的に女性運動団体の方々を含めて一緒に検討していって、そして本当に行政、都政と一緒になって女性施策が推進できるような形の自立的なものにしていくように、私自身も努力していきたいと思います。
 今後、女性財団がそうした自立的な運用ができるということになったときには、ぜひ東京都としても、そうした、ともに女性施策を東京の中でつくっていくための支援をよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)

○白井(威)副委員長 寺山智雄委員の発言は終わりました。

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