東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○田村委員長 谷口卓三委員の発言を許します。
   〔委員長退席、前島副委員長着席〕

○谷口委員 都議会予算特別委員会で発言をする機会が、これで最後になると思います。
 まずは、石原知事並びに都の職員各位の今後のますますのご活躍をお祈りいたします。そして、私の提案が、近い将来いささかでも都政に貢献することに期待を込めまして、質問をさせていただきます。
 二十一世紀は環境の世紀、あるいは健康の世紀、生命の世紀などといわれております。二十世紀文明が環境破壊というとてつもなく大きい負の遺産を二十一世紀に引き継いだ結果、地球全体の生命まで危機的状況に置かれるようになりました。少し大げさですが、近年の狂気じみた社会事象は、ある意味で破壊された地球の叫び、警告のように思えてなりません。その意味で、我々は今改めて負の遺産を超克する努力を惜しんではならないと思うのであります。
 二十一世紀に対する知事の展望、時代認識を伺います。

○石原知事 あるものにも、私、私見として書きましたが、その私見の根拠になるある著書のデータを非常に印象深く読みました。それは、技術的な専門性を持った専門家たちを対象とした非常に広範囲な調査でありまして、その人たちに、今日のこの文明がいつまでもつだろうかというアンケートをしましたら、六〇%近い人が、せいぜい五十年だと。それから、それにまつわって、人間の存在そのものがいつまでもつだろうかという質問に対しても、ほぼ過半の方々が、非常に短い、あるいは危険にさらされているという、そういう予測を持っていらっしゃるということがわかりました。
 やはり私たちはそういうものを踏まえて、決してこれは杞憂だけではなしに、根拠のある事実が堆積されているわけでありまして、先日申しましたけど、物質がいい形で循環するというかつての法則は実は間違いで、非常に悪い循環があったり、堆積があったりする。エントロピーであるとか、私たちが信じてきた科学というものが決して確実なものでなくて、その分析や研究そのものが端緒から間違った形で進む可能性があるというので、例のハイゼンベルクの不確定性原理などが事実として証左されている今日でありますから、相当な覚悟で、私たち自分たちのつくった文明を見直していきませんと、地球という惑星が非常に短命に終わりかねないという懸念が科学的にも証明されつつあるということをやっぱり認識してかかりませんと、二十一世紀は決して夢の世紀にはなり得ないんじゃないかという危惧を強く持っております。

○谷口委員 大変懇切丁寧なご答弁、ありがとうございました。
 環境の基本といいますと、空気、水、土壌、そういったものでございますが、空気に関しましては、知事が先頭に立ちまして、ディーゼルエンジンの排気ガス対策に取り組んでおられる。その取り組み方が、従来の常識を打ち破って、国に対しても業界に対しても断固として挑戦されている。非常に頼もしくもあり、痛快でもございます。その他の環境問題につきましても、今後ぜひ思い切った対応をお願いいたします。
 東京の水道水について伺います。
 家庭で使う浄水器の国内販売実績では、毎年三百万台以上が出荷されております。さらに、何とかのおいしい水といったボトル水も販売量が伸びているようでございます。
 そこで、浄水器を使った場合どんな効果があるのか、都民の間でどの程度普及しているのかを伺います。

○赤川水道局長 浄水器の効果といたしましては、一般的には濁りとカルキ臭を除去することができ、有機物の除去にも一定の効果があるといわれております。一方、定期的なカートリッジの交換も含め、浄水器を適切に使用しない場合には、細菌が増殖するなどの障害が発生するおそれがあります。
 また、浄水器の使用状況については、全国的な調査というものが行われていないことから、正確な実態は不明でありますが、昨年、各家庭を訪問して実施した水道フレッシュ診断のアンケートによりますと、約三八%の家庭で浄水器を使用しているとの結果を得ております。

○谷口委員 家庭の約三八%が浄水器を使用しているということでございますが、これは、都民が健康というものを心配している、その一つのあらわれでありましょうし、都民の心の中に何かしらの不安がある。その一方で、安全でおいしい水も欲しいと、こういう思いじゃないかと思います。
 安全という面につきましては、水道法で水道水の塩素消毒が義務づけられております。しかし、これにはトリハロメタンの生成やカルキ臭の発生という問題がございます。高度処理水以外にも、これらの問題解決の技術として二酸化塩素がありまして、欧米では既に消毒剤として広く利用されております。一方、日本では、先ごろ国が利用の基準を設定をいたしました。このことから、二酸化塩素利用の道が開かれたと聞いております。
 そこで、二酸化塩素の効果、これまでの塩素剤と比べてどこが違うのか、これをお示しいただきたい。

○赤川水道局長 二酸化塩素は、細菌類に対しまして塩素と同程度の消毒効果を有しており、トリハロメタンを生成しないという利点があります。また、原水中のアンモニア性窒素と反応しないため、いわゆるカルキ臭を抑制するという利点もあわせて持っております。しかしながら、人に対して健康への影響を与えるおそれのある亜塩素酸イオンなどの物質を生成する等の問題も指摘されております。

○谷口委員 二酸化塩素にも問題点はあるようですけれども、ほかにいろいろの効果が期待できるというところから、国も対象素材に加えたものと思います。
 都として、このような新しい技術に対して積極的に調査を行う必要があると考えますが、水道局の取り組みを伺います。

○赤川水道局長 国におきましては、浄水処理過程における二酸化塩素の適正利用など、新しい技術につきましてさまざまな研究がなされております。水道局としても、そのような成果を参考にすることはもとより、安全でおいしい水の供給に向け、幅広い視点から積極的に新たな技術の研究開発に取り組んでまいります。

○谷口委員 都立大学の都市研究所の星旦二教授が編集されました「都市の健康水準」という書物には、都市の水道水は、どんなすぐれた浄化法を用いても、環境ホルモンや各種発がん性物質の濃度は、深山からわき出してくる水源に比べて低いはずはない。そのため、都市と農村部の平均寿命は今後さらに広がるであろうと述べております。こうした課題を克服するためにも、都として新しい技術の研究開発を幅広く推進されるよう要望いたしておきます。
 次に、日本人の食料の安全性について伺います。
 米、野菜、果物などについての農薬残留問題を初めとして、輸入食品や缶詰類、さらに遺伝子組みかえ食品の安全性等、消費者の周囲は不安でいっぱいであります。農薬や病害虫防除剤など、生産や加工の段階で添加される化合物への不安でございます。
 町田市在住の農民作家、薄井清著の「東京から農業が消えた日」には、二十三年間に及ぶ農業改良普及員生活を振り返りまして、お上主導の農政がいかにいいかげんなものであったかを書きつづっておられまして、まことに示唆に富んでおります。当時に比べまして現在は、科学も進歩し、安全性への点検が万全を期されているとはいいましても、知事が今申されましたように、科学は、一応万能とはいわれているものの、完璧ではない。何か事件が起こって初めて軌道修正されるというのが現実、そういう現実は変わっておりません。
 そこで、生産や加工段階における食物の安全性についての所見を伺います。

○今村衛生局長 食物の安全性を確保することは、都民の命と健康を守る上で、都政の重要な課題の一つであると認識しております。生産段階で使用される農薬や、加工段階で使用される添加物等につきましては、農薬取締法や食品衛生法などにより、使用方法や残留量についての基準等が定められております。さらに、都は、関係各局が連携いたしまして、東京都における食品安全確保対策に係る基本指針を定めて、農薬や添加物等の適正な使用を指導しております。
 都では、これらの基準や方針に基づきまして、輸入食品や広域流通食品を含めまして、監視、指導の充実強化に努め、食物の安全確保に万全を期しております。

○谷口委員 狂牛病が世界的な広がりを見せております。都の見解をお聞かせください。

○浪越労働経済局長 これまで我が国においては狂牛病の発生は確認されておりませんが、この問題には強い関心を持っております。現在、その侵入を未然に防ぐため、狂牛病が発生している国からの生きた牛や精肉、畜産加工品などの輸入が法律上禁止されております。都においても、法律に基づき、家畜保健衛生所を中心に、狂牛病を初めとした法定伝染病に対し、厳しい監視、予防体制を整備しております。

○谷口委員 狂牛病も、何かそのえさに問題があるんじゃないかというふうな気がいたしております。
 輸入食品の安全性にはよく疑問が投げかけられておりますけれども、国内の農産物にも問題がないわけではありません。その一つである連作障害について伺います。実態を教えてください。

○浪越労働経済局長 一般にいわゆる連作が行われている産地においては、特定の作物を同じ畑で毎年生産するため、連作による病虫害の発生が大きな問題となっております。一方、東京の農業は、少量多品目の生産が中心であるため、その多くが毎年異なる作物を生産するいわゆる輪作で行われておりまして、連作障害の発生は比較的少ないと考えております。

○谷口委員 農業生産に使われておる薬剤といいますと、クロルピクリン剤、ダゾメット剤、ディ・トラペックス剤など約五千種類に及ぶとのことでございます。東京は日本最大の消費地でございまして、食物の安全性には重大な関心を持たざるを得ない。
 そこで、連作障害に関する不安材料について認識を伺います。

○浪越労働経済局長 都内農家では、土壌消毒剤などの薬剤使用は比較的少ないが、連作障害の発生しやすい作物においては、一定量の使用はやむを得ない状況にございます。そのため、薬剤の適正使用について、病害虫防除所や農業改良普及センターによる指導を行っているところでございます。
 また、薬剤に頼らない連作障害対策といたしまして、農業試験場において、病気に強い品種の選定や、土づくりを基本とした有機農業などの研究を積極的に行っております。

○谷口委員 連作というのは、毎年毎年同じものをつくりますと、地力が減退いたしまして病害虫が発生をする、そこで土に注射をするという、そこに非常に大きな問題が発生するわけであります。
 そこで、この連作障害を回避する有効な手だてというのは輪作ということになるわけですが、例えば一例を挙げますと、嬬恋のキャベツというと、東京では大変有名でございます。いわゆるブランド品なわけですね。だから、嬬恋の農家は、キャベツをつくれば収入はある程度安定する。ここでナスビやキュウリをつくっても売れません。これは、その結果として連作を余儀なくされて、その弊害を東京の消費者がかぶると、こういう結果になっているわけでございます。
 これは一つの流通問題でありまして、この点についての認識も伺っておきたいと思います。

○浪越労働経済局長 農産物の安全に対する不安が高まる中で、身近で生産され、安心、安全な都内産の農産物への都民の期待が高まっております。都はこれまでも、都民が安心して食べられる新鮮な農作物の供給に向け、有機農業の推進や直売施設の設置などを支援してきたところでございます。
 今後とも、こうした都民の期待にこたえ、豊かな食生活を支えている東京の農業の振興に一層努めてまいります。

○谷口委員 ちょっと、緑の東京革命、後にいたしまして、昨年、第四回定例会において、私は東京の農業について知事に質問いたしました。知事は、都としても農業を重要な産業と位置づけて、消費地に近い特性を生かした都市農業を振興するとお答えいただきました。お答えのとおりに東京の農業を振興するには、都内に現存する生産緑地の保全が必須条件でございます。反面、平成十年に都が実施した都市農業実態調査によりますと、四九・二%、約半分の農家が、後継者はいないと答えております。重大な事態でございます。
 都は、担い手の確保、また農地の保全をどう考えておりますか。

○浪越労働経済局長 担い手の確保と農地保全は、東京の農業振興にとって大きな課題でございます。こうした課題を克服するためには、農業を産業として魅力的なものとしていくことが重要でございます。そのため、都としても、魅力ある農業経営の育成を目指して、収益性の高い農畜産物の加工、販売など、農業者みずからの創意工夫を生かした多様な取り組みを支援しております。
 また、後継者を対象とした技術セミナーなどを実施するとともに、生産緑地の追加指定を推進しているところでございます。
 今後とも、担い手の確保と農地保全のため、積極的な施策推進に努めてまいります。

○谷口委員 農業の担い手が不足をいたす中で、全国的に見ますと、農業生産法人が地域の担い手になって、農産物の生産流通や農地の保全を支えている例がふえております。一方、地価の高い東京では、農地の取得や貸借が大変困難でございまして、農業生産法人の設立要件などが厳しいこともございまして、そうした取り組みが余り聞かれません。
 今後は、農業ヘルパーや農作業受託組織の育成とともに、農業生産法人の活用などを真剣に検討すべきと考えます。ご意見を伺います。

○浪越労働経済局長 都内の農業では家族経営が大多数を占めておりまして、農業生産法人は少ない状況にございます。しかしながら、販売戦略や財務管理などに農業以外のノウハウを積極的に取り入れた新しい農業経営を進めるためには、農業生産法人は有効な方法の一つと考えられます。このため、昨年十一月の農地法改正によりまして、農業生産法人の形態要件などの緩和を踏まえながら、今後その育成と活用を検討してまいります。

○谷口委員 市街地だとか調整区域地内にございます農地は、消費者が安心できる農作物の生産、供給とともに、いわゆる緑の東京計画の一環としても貴重な環境財といえると思います。しかし、東京の農業の現状は非常に厳しい。もう生産緑地といっても、荒れ地のところがたくさんございます。その未来を農業者だけに期待するというのは無理がございます。
 そこで私は、農業も有力なベンチャービジネスと位置づけまして、今後は農業関係者以外の豊富な人材に積極的に参加していただいて、活力あふれる東京農業を再興するならば、活路が開けるんじゃないかと考えるわけでございます。それには思い切った初期投資、そして戦略的な経営によって収益性の高い農業を実現すること、これが条件でございます。もし東京の農業が再興できますならば、緑の畑から台所へと、こういう新しい物流革命が起こるだろうと私は信じております。
 いわば東京方式というわけでございますが、知事の所見を伺います。

○石原知事 東京は、何といっても、農業にとっても大消費地でありまして、地方にないような種類のニーズがあったり、それにかかわる情報や人材もございます。また、先般都立の科学技術大学に行きましたら、そこでやっている研究で、雨が少なくても育つ、そういう植物のDNAの組みかえによる造成をやっておりましたけど、もしそういうものが成功しますと、画期的な、何というんでしょうか、効率のいい植物の生産もできるわけでありまして、例えば現にシバザクラやツタなど、いわゆる都市の緑化のための植物というもののニーズも非常に多うございますから、都市型のそういう需要にこたえるような、食品に限らず、そういう植物というものも農業の一端として造成していく、そういう努力をこれからも心がけていきたいと思っております。

○谷口委員 先般は食料安保の問題もあわせて質問をいたしましたけれども、ぜひとも東京の農業というものを再興して、やっぱり日本にとって農業というものは非常に大事だということをぜひ訴えてまいりたいというふうに思っておりますので、力を入れて政策展開をお願いしたいと思います。
 平成九年の九月十日、東京都の教育庁人事部長あてに届きました一通のファクスは、都立新宿高校の習熟度別授業が申請どおりに行われていない、虚偽報告だという内容でございました。都の教育庁が全都立高校を対象に調査をした結果、百六十九校中六十九校が虚偽報告をしていた。これは教育現場が虚偽をしていたということですから大変な問題でございまして、こういったことが明らかになって大騒ぎとなりましたことは、記憶に新しいところでございます。
 以来、教育庁は、都立高校のあり方検討委員会を設置いたしまして、開かれた高校教育の実現を目指して学校運営の適正化を進めてまいりました。
 そこで、まず、学校運営の適正化に向けた取り組み内容と、その後の改善状況を伺いたいと思います。

○横山教育長 学校運営の適正化の取り組みにつきましては、平成十年七月に、国の省令改正を待つことなく、都立学校の管理運営規則を改正しまして、職員会議を校長の補助機関として明確に位置づける等の見直しを行ってまいりました。このことによりまして、職員会議が、校長が学校の経営方針を教職員に周知したりする、まさに校長が経営責任をより的確に果たせるようになったところでございます。
 これとともに、校長が主宰をしまして教頭及び教務主任等を構成員とします企画調整会議を新たに全校に設置をしまして、校長の補佐機能の強化を図ったところです。
 また、開かれた学校づくりに向けましては、授業公開を全校で実施することとしたほか、平成十一年度から学校運営連絡協議会の試行に入りまして、平成十三年度からは全校で実施してまいります。
 さらに、東京都独自の教員の人事考課制度を平成十二年度から導入しますとともに、十三年度から教職員研修センターを設置しまして、能力開発のための教員研修をしてまいります。
 いまだ改革途上ではございますが、今後とも学校運営の適正化に向け努めてまいります。

○谷口委員 いろいろの努力を重ねてくださっているということはよくわかるわけでございますけれども、なかなか、でき上がっている学校の空気といいますか、運営といいますか、これを大きく改善していくということは難しい問題なんだろうというふうに思います。
 そこで、知事のお手元に二つの都立高校の職員会議録をお届けいたしております。ピンクのリボンがついているのは--二校のが、二つございますので--十一年の三月までの会議録でございまして、中身はなかなか詳しく記載をされております。一方肌色の方のリボンがついているのは、その後の十一年四月以降のものでございまして、内容は全く項目だけと。実際どんな話し合いがあったのか、まるでわからなくなっているわけでございます。
 せっかく教育長としては、開かれた学校にするというふうなことで指示を出しているにもかかわらず、こういう実態があるというわけですね。これは、教育長、教育長としての指示と大きく食い違っているんじゃないかと思うんですが、ご見解を求めます。

○横山教育長 ご指摘の職員会議録の整備と申しますのは、学校運営を適切に進めていく上で非常に重要でございます。都民への説明責任を果たすためにも、必要な情報と考えております。
 一部にご指摘のような学校があることにつきましては、昨年末に実態調査を行いまして把握しているところでございますが、こうしたことは、開かれた学校づくりを進める中で、都民の信頼を損なうものでございまして、重大なことと受けとめております。
 このため、学校長に対して、管理運営規程に沿った職員会議の運営と、その会議録を作成するよう指導してきたところでございますが、今後とも引き続き指導を強めまして、適正な学校運営に努めてまいります。

○谷口委員 本当に地域に愛される高校といいますか、何せ東京都の教育庁のもとで、いい都立高校をつくろうという努力が続けられているわけでありますけれども、一部の学校とはいえ、開かれた学校ではなくて、従前以上に閉ざそうと、閉ざして見せないようにしようと。ある人は、これは情報公開対策だというふうなことをうそぶいているという話もございます。
 私の感じるところは、いかにも挑発的行為というふうな思いもするわけでございまして、教育庁では、先ほどのご説明もありましたけれども、校長の権限を強化したと。校長の権限を強化して、校長のもとで、地方分権的にしっかりした学校運営というふうなことでございますけれども、何といっても校長と教頭ということでは、多勢に無勢ということでありまして、今の状況では力を発揮し切れていないんじゃないかなと、こういうふうに私は思うわけでございます。
 現実は、一部の教職員に牛耳られて学校運営が硬直化しているということも、ある学校については仄聞いたしておりますし、学内の人事委員会というふうなものが、かつて廃止されたはずでございますけど、今も現存している、こういうこともいわれております。
 都立高校の現場には、まだまだ東京都の方針に否定的な空気が強い、そういう学校があるんじゃないか、こういう思いがいたしますが、いかがですか。

○横山教育長 私ども、高校改革につきましては、各学校長を、私が就任して以来もう何回か集めまして、学校の適正化に向けた趣旨の徹底を図ってまいりました。
 今、先生がご指摘のような、現実に、職員会議録につきまして、ああいう実態があるということでございます。私ども、今後、都民に信頼される高等学校づくりに向けて、心を引き締めて努力してまいります。

○谷口委員 いやしくも教育を職業とする方々でございますから、やはり真に教育を愛し、子どもたちの成長を喜ぶといおうか、それを目指して教育者本来の使命を果たしていただきたい、このように思うわけでございまして、都の教育庁と一体となって、生徒に希望を与える都立高校づくりを行ってもらうことを希望したいわけでございます。
 そのために、もし不適格な教師がいるとすれば、排除する決意も必要であろうかと思います。知事のご所見を最後に伺いたいと思います。

○石原知事 学校は、日本の将来を託す人材を育成する大事な場所でありまして、あくまでも校長先生の責任でこれをきちっと管理してもらわなければ、子どもも父兄も浮かばれないわけであります。一部の学校でありましょうけど、しかし、かなりの比率でそういう異常な状況を来している学校があります。
 例えば、国立で起こったような出来事を眺めましても、市民がこれに対して関心が非常に薄いというか、時間が長くそういう状態で経過し過ぎたために、ずっとあそこに住んでいる人たちは、もう今日の学校というのはこんなものだろうというあきらめがありますが、途中で国立に転入してきたような家庭の父兄は、一、二の自分の子どもが改めて通い出した学校を眺めてみて、こんなことがあるのかと、みんな驚愕しております。
 ですが、この間、私も市民のある方々に申し上げたんですが、やっぱりもう少し他との比較で、自分の子どもを預けている学校に関心を持っていただきたいと。そうしないと、つまり、校長や教頭が幾ら孤軍奮闘しても、なかなか成果が上がらないということで、一部の先生たちが持っている非常に独善性といいましょうか、そういう硬直した価値観の迷妄というものも、相対的に良識のある市民の目にさらされて初めて反省というものに導かれると思いますので、今後も、そういう幅の広い協力で、学校をまともなものにしていく努力を一生懸命したいと思っております。

○谷口委員 さきに策定されました緑の東京計画について伺います。
 計画によりますと、五十年後の東京について「東京の緑は樹林や川の流れで豊かにつながり、まち全体も緑のベールで優しく包み込まれている」と、詩情豊かにうたっているわけでございます。
 そして、具体的計画として、今後十五年間に千二百ヘクタールの屋上緑化を行うとございます。目的は、一つには、何といってもヒートアイランド現象の緩和、二つ目には、生活現場に緑を取り戻す、こういう趣旨だろうと思います。
 そうであるとすれば、屋上緑化だけではなくて、壁面緑化というものも考えるべきだと思うんです。強い西日で熱せられた建物、この残熱のために朝方まで眠れないという話をよく聞きます。これをもし壁面緑化を施せば、その断熱効果によりまして、ビルの熱の蓄積を防止して、冷房などのエネルギーを節約し、二酸化炭素の発生量の抑制もできる。加えて、目に映る緑をふやすこともできるといったいろいろの効果が考えられるわけであります。
 壁面緑化について、都の見解を伺います。

○中野環境局長 壁面緑化には、ご指摘のように、景観性や断熱などの多くの効果があると認識しております。
 このため、都は、昨年四月から開始しました屋上等緑化の取り組みの中で、壁面につきましても、緑化指導を行っているところでございます。

○谷口委員 壁面緑化といいますと、以前から民間にもそういう実例がございました。技術的にも、これから多様な手法を考えることができると思います。壁面緑化を推進いたしまして、東京の町じゅうに緑が目立つ状態がつくられますと、国内はもちろん、国際的にも、緑を大切にして環境負荷の小さい大都市として東京をアピールすることができるんじゃないかと。
 夢みたいな話かもしれませんけれども、そういう意味で、東京都は、屋上緑化とは別立てで壁面緑化というものに取り組んではどうかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○中野環境局長 壁面は、窓の配置との関係で形状がさまざまでありますため、壁面に限定した緑化面積の基準を設けることは難しい面がありますが、壁面を緑化するにふさわしい建物につきましては、個々具体的に指導してまいりたいと思っております。
 また、断熱や景観などの効果を積極的にPRするとともに、緑化功労表彰などを活用しまして、壁面緑化を推進していきたいと考えております。

○谷口委員 東京のような、この巨大な都市に欠落しているものといいますと、生活の現場が全く自然から隔絶されているということだろうと思うんです。都会に住む人の心の中に、自然と関係を持たなくなったということが悪影響を及ぼしているんじゃないかなというふうなことを心配いたしまして、そこで、一つの方法として、都会に失われた自然というものを生活の現場に少しでも取り戻す、こんなような意味を込めまして、たとえ一平方でも二平方でもいい、小さなところだって家庭菜園というのができるわけでございまして、そういったことを取り入れることを考えてはどうかなというふうに思うんです。
 私の小さい頃、私は百姓、農家の生まれでございまして、畑の小さいところをもらって自分で菜園をつくったこともございますが、そういったことに照らしてみても、親と子どもが共同で菜園づくりをやると。水をやったり肥料をやったりして、自然がどんどん元気よく育っていく姿を見ると、この経験が、必ずや命だとか物を大切にするという心に通じていくんじゃないかなと、こう思うんです。
 知事の昨日のお話の中にも、教育の原点というものは家庭だと。家庭が大切だと、学校よりも家庭なんだというふうなお話がございました。私も家庭が原点だろうと思います。特に人間教育の原点は家庭だというふうに思っております。親子関係の崩壊が伝えられる中、知事がいわれる心の東京革命の一環としても考えることができるんじゃないか。
 また、皆さんが家庭菜園を楽しむ数がふえてまいりますと、もしかしたら都心にもチョウチョウが飛んでくるかもしれないなと、こういうふうなことを考えながら、菜園を愛する、いわゆる愛菜、愛菜の勧めというものを提案をしたいなと、こう思いまして、知事のご意見を伺いたいと思います。

○石原知事 私も、戦争中、食糧が非常に乏しかったころ、小さな庭に母親と一緒に植物を植えて、トウモロコシとかそんなものをつくった覚えがございますが、なかなかこのごろ、そういう庭でも確保しにくい時代でございますけれども、テラスとかそういうところに、例えばクレソンであるとか、そういう非常にスパイシーな、料理にちょっとある味を添えるような、そういうものを家庭でつくられるということは非常に好ましいと思いますね。また、家庭料理というものが、ひとしお味の幅が出て、情緒のあるものになると思います。
 愛菜の「さい」が菜園の菜というのは、なかなかおもしろいアイデアで、これは言葉として版権登録されておいた方がいいんじゃないでしょうか。

○谷口委員 大変ありがとうございます。
 最近、マンションなんかも、ベランダのところが非常に広くつくられるようになりまして、だんだんこれからそういうことができるんじゃないかと。
 もう一つの提案ですが、小中学校の総合学習の中にもこれを導入していただけるとおもしろいなと。校庭だとか屋上を使ってやっていただけるとありがたいなというふうに思っております。
 最後になりますが、知事並びに関係局長のところに一枚のチラシをお渡ししておきました。何点かお伺いしたいと思います。
 こういうチラシでございます。日本共産党のチラシでございます。
 まず、高齢者施策推進室長、シルバーパスが全面有料化というふうに表現されておりますが、この表現は間違いではないかなと私は思うんですが、いかがでしょう。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 昨年のシルバーパスの見直しにおきましては、低所得の方について年千円の負担をお願いすることといたしましたが、これは事務費相当額でございます。

○谷口委員 事務費相当額ということでございまして、運賃有料化には当たらないと、こういうことでございます。
 次に、水道局長に伺います。
 平成六年以来、水道料金は値上がりをいたしておりません。これは、すべて水道局の企業努力によってストップしていると、このように理解いたしております。
 財政健全化計画、ここに書いてございますけど、この財政健全化計画に連動して水道料金の値上げを提案したことはございますか。

○赤川水道局長 ご指摘のとおり、最大限の企業努力を行った結果、水道料金の改定を見送ったもので、料金改定の提案は行っておりません。

○谷口委員 提案がないのにストップをかけたというのが共産党のいい分でございます。
 さらに、この上の方に、都政を動かし、都民の暮らしを守り、願いを実現したとして、いろいろなことが書いてございます。
 財務局長にお伺いします。
 私学助成、中小企業融資、乳幼児医療費助成の拡充、これが共産党の成果だというんですが、この予算案に共産党は賛成したんですか、反対したんですか。

○木内財務局長 この間、一般会計当初予算について賛成ではございませんでした。

○谷口委員 反対をしていながら、自分の党の成果だと。私は、これは大うそつきだと思うんですよ。
 あと二つある。あと二つ。ここでは、ディーゼル車規制(「国会でどうだったんだよ」と呼び、その他発言する者あり)黙んなさいよ。それから大銀行課税、これは、東京都民だけではなくて、全国民が、石原知事の大英断によって、大変な反対の中を何とか実現しようと思って努力している。共産党の成果なんていうことは、片腹痛いですよ、これ。
 こんなでたらめなチラシをまかれて、東京都議会で指摘をしなかったら、都議会全体の見識にかかわる、こう私はいわざるを得ないわけでございます。このチラシは全部うそ。都民をだます誇大宣伝だと私は思うんです。
 このチラシのように、うそをしゃあしゃあといって、まことしやかに都民をいいくるめようとする、こういう日本共産党の体質について、知事はどんなご感想をお持ちか、所見を伺います。

○石原知事 デマゴーグは政治につきものでありますけれども、何といっても共産主義社会の特色でございますが、例えば、ちょっと先般問題になりました女性財団についても、自民党からの発言で私調べましたが、これ、一九九五年、ウィメンズプラザ開館年度の東京予算編成に関する要望書、共産党の提出したものですけれども、その三番目の、女性の地位向上と権利を守る、その二項に、ウィメンズプラザの運営は、民間委託でなく都の責任において運営することとありますな。先般、逆のことを共産党の質問でありましたけれども、これも非常に面妖な話であります。
 話題になりました銀行に対する外形標準課税、これは私の発案ではなしに、とにかく税源の分与というのを一向に国がしないから、とにかく東京都で何か国の鼻を明かす方法を考えようということで、主税局が知恵を絞って出した主税局の成果であります。
 それから、中小企業対策の拡充の一つであります、去年七百億、ことし三百五十億の新しい融資体制も、これは外国のまねをして、参考にして、東京都が独自に考えた案でありますし、ディーゼル車の規制も、これはやっぱり私自身が都民として規制せざるを得ないということで、都を挙げて取り組んでいる問題でありますが、やっぱり他人のやった仕事を横取りする、他人の獲物を横からさらう。アフリカにはよくありますね、ハイエナという非常に下劣なけものが。私は、非常にそれによく似ているなという感じがいたしてなりませんが、まあ、知る人はこれを知るでしょうし、しかし、やっぱりこういう機会を通じて、こういう政党の虚構、非常にあしき特質というものを都民が多く知るということは、民主主義の健全な発展のために私は好ましいことと思います。

○谷口委員 ありがとうございました。(拍手)

○前島副委員長 谷口卓三委員の発言は終わりました。

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