東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○前島副委員長 林知二委員の発言を許します。

○林委員 木内節がとうとうと流れた後でございますので、大変やりにくいんですけれども、ひとつよろしくお願いをいたします。
 地元のことで恐縮ですけれども、まず光が丘パークタウンの情報通信インフラの整備について伺いたいと思います。
 光が丘パークタウンは、たしか昭和四十六年、グラントハイツの跡地だったんですけれども、返還され、そして昭和五十五年から工事が始まりました。住建三者といって、当時は、住宅公団、それから供給公社、住宅局が住建三者として開発をしていったわけですけれども、二十一世紀のまちづくり、あるいは二十一世紀の未来都市という大変高らかなラッパを吹いて開発をしてまいりました。
 確かに、電信柱が全くない。共同溝を敷設して、電気にしろ、水道にしろ、ガスにしろ、地下に埋め込んでいるわけですね。それから、当時、もう二十年ぐらい前ですけれども、光ケーブルも敷設して、電波障害を解消する。あるいは、CISといって、エレベーターの監視システムなども整備しました。そうした意味では、それなりにやってきたと思うんですが、二十一世紀に入った今、逆にほかの地域から比べると、情報通信の分野では、まさに立ちおくれているというふうにいわざるを得ないような現象が起こっているんです。
 光ケーブルも、ファイバー容量が少ないために、今はやりの都市型CATVなども持ってくることができませんし、あるいはインターネットにしても、最近始まっておりますBS、CSのデジタル放送にしても、受信するのが大変困難になっている。光が丘の住民、あるいは自治会、管理組合が三十四もありますけれども、そういう声を聞くわけでございます。
 そういう意味で、こうした声を住宅局としては耳にしているかどうか。そしてまた、それを承知しているということであるならば、今までどういう対応をしてきたか。そしてまた、今もそういう状況であるわけですから、今後どういう計画をもって進めていくか、お伺いをいたします。

○戸井住宅局長 光が丘パークタウンには、ただいま先生からお話がありましたように、二十一年前の団地建設の時点から、光ファイバーケーブルなどの先端技術を取り入れた有線情報システムを構築いたしまして、その後も、BS放送やMXテレビの導入に努めてきたところでございます。
 しかしながら、システム構築以来、既に相当の年数が経過していることもございます。都市型のCATV導入などの要望もありますことから、今後、この団地の共同開発事業者であります都市基盤整備公団や住宅供給公社とともに、有線情報システムのあり方について、今後検討してまいります。

○林委員 今おっしゃったBS放送というのは、前のアナログだと思うんですよね。今のデジタルは大変受信しにくいということでありますし、また、ここの新聞記事、ちょっと切り抜いたんですけれども、三月六日の夕刊だったんですが、読売新聞ですけれども、扇国土交通相が、来年度から五年間にわたって都市基盤整備公団の住宅に光ファイバーケーブルを敷設するというふうに、四十三万戸というふうになっております。
 国としてもこういう動きがあるわけですから、ぜひこういう施策を東京都も先取りする形で、あそこは供給公社もありますし、都営住宅もありますけれども、やはり公団の住宅が一番多いんです。それをうまく取り込んで、できるだけ早く情報通信のインフラ整備を手がけてほしい。
 都市型CATVの業者にいわせますと、窓口が全然わからないというんですよ。今お話しした三者が開発していますし、管理組合も三十四、自治会もあるわけですから、そのエリアに行っても、管理組合は当然権利持ってませんけど、どこへ行っていいかわからないというような話も聞きます。ぜひ住宅局が中心になって取りまとめをしていただいて、早い機会にこういう状況を脱却するように努力をお願いしたいと思います。
 次に、練馬区が今総合病院を建設しようという動きがありまして、盛んにうちの区長はやっているわけでありますけれども、私は決して病院に反対するということではありませんが、果たして末端の地方自治体が手がける仕事かどうかというのは、すごい疑問に思っておりますし、また、将来の練馬区に与える財政負担がどうなのかということを大変危惧しておりますので、少なくとも、東京都にかかわる手続の分野だとか、あるいは東京都も、いろいろ都立病院だとか多摩地域の公立病院手がけておりますので、そうした立場を、意見として伺いたいという意味も含めて、質問をさせていただきたいというふうに思います。
 病院を建設するときに、事前相談という形で衛生局の方で受け付けていると思うんですが、たしか平成十一年の四月三十日、練馬区として事前相談の文書を衛生局が収受しただろうと思うんです。それの後、本格的な開設許可の申請はいつごろまでにやるのか、そのタイムリミットがあるのかどうか、それをまず伺います。

○今村衛生局長 事前相談は行政指導の一環としてやっておりますが、その結果通知後の正式な開設許可申請につきましては、病床の有効利用の観点からすれば、可能な限り早く行われることが望ましいと考えております。

○林委員 当時、私、伺っていたのは、最初は、できたら三カ月ぐらいでと。四月ですから、そうすると七月かそこらなんですけれども、その後また、十二月末日ぐらいまでにはというような話も伺っておりましたし、あとは練馬区という行政と行政の間柄だとかいうような話を聞いておりまして、ある意味では、いまだに正式な申請は出てないだろうと思うんですね。
 その辺の、ちゃんとした申請がまた出て、そのとおりに行くんでしたらいいですけれども、ある意味では、途中でストップしたとき、その期間が長くなればなるほど、その病床は宙に浮いている形なわけですよ。その辺をどのように考えているかということと、練馬区でも、今ちょうど第一回の定例会をやっておりまして、今回は各会派から、この病院に関する質問が出ています。
 それと、あと、昨年の七月に練馬区病院構想策定懇談会というのが最終報告を出しておりまして、そういう中で、区長の答弁だとか、この最終報告の中に、事前相談のときに提出した中身と、ちょっと核心的なところで違う部分があるんですよ。
 それをちょっと申し上げますけれども、例えば病院の名前ですね、設置主体。まだ正式に出されてないから、そちらはわからないかもしれませんけれども、それから、病床数も二百二十だったのが四百だとか、それから、住所地も、事前相談には高野台という地名を書いてありますけれども、今、区の方では、一応そこの場所はあくまでも有力な候補地だというような表現をしているんです。その辺で、そういうある意味では核心的なところの相違が出たときには、衛生局としてはどのような扱いになるんでしょうか。

○今村衛生局長 ただいまお尋ねの、まず、この二次医療圏につきましては、ただいま不足病床数がございますので、また、新たな開設等に関する他の事前相談につきましては、二次保健医療圏で病床数が不足している場合には対応することとしておりますので、今のところは問題がないということでございます。
 それから、病院建設構想等につきまして、現在検討が進められていると承っておるわけですが、練馬区における現時点での議論の詳細は、私ども承知しておりません。
 なお、区での検討の結果、事前相談の内容に変更が生ずる場合は、その内容によって、新たに事前相談が必要となることもございます。先生ご指摘の、例えば設置主体の変更、もしあれば、場合によっては新たに事前相談が必要になることもございます。それから、設置場所が変わったような場合でございますが、真にやむを得ない理由により変更する場合以外では、新たに事前相談が必要になろうかと思います。

○林委員 やはり二十三区で、例えば公立病院ということになると、初めてのケースだと思うんですね。練馬は、かつて医師会立病院というのをつくりまして、はっきりいって失敗をしているんですよ。今はそれが日大光が丘病院というふうに変わりまして、日本大学が経営をしているような形でありますけれども、やはり財政的な部分が明らかじゃないというのがいえると思うんです。
 多摩市の方には、国からの地方公営企業に対する繰出金ですか、一般会計から繰り出すと、国からの交付税で補てんというか、措置をしてくれるというようなものがありますけれども、例えば、練馬区が公立病院として設置した場合に、この制度の対象になるかどうか。
 それと、練馬区から、昨年の九月、十月、そして、ことしの一月といっていますけれども、新しい補助制度を創設してほしいということを、所管の局長に対して要請活動をしているということでありますけれども、その可能性なり、見通しなりを教えていただきたいんです。

○今村衛生局長 現在、練馬区におきましては、病院建設に向けて運営形態等の検討を進めていると聞いておりまして、現時点では、補助等を考えるに当たって、その対象となる病院の具体的内容が明らかになっておりませんので、今後の練馬区における検討の状況を、ただいま見守っておるところでございます。
 それから、地方交付税についてでございますが、先ほどは服部委員からもご質問がございましたけれども、特別区の場合、都の特例として、都と特別区全体を一団体としてみなして算定することとなっております。

○林委員 新しい補助制度の方は、可能性というか、例えば、できた場合、都独自でつくるというような検討はまだしていないんでしょうね。答弁がなかったということはね。--いや、いいです、いいです。
 それで、二十三区と都とは財政調整制度があるので、恐らく練馬区にどんと来るわけにはいかないと。ある意味じゃ、二十三区に国からの地方交付税として入ってきたとしても、分けられてしまうということになるんだろうと思うんです、今はね。
 それで、練馬区では、この病院を、当然公的な病院という構えもあるものですから、救急医療だとか高度医療、練馬区のこの報告書の中では二・五次医療というふうに称しておりますけれども、そういう医療も、そしてまた小児救急なども、それからまた災害時の拠点としての機能、そうした地域医療の中核的な役割を担えるような病院にしたいというふうにしているんですよ。
 ただ、私、冒頭申しましたように、昨日もうちの政調会長の小林さんが、二十三区の合併、統合も、今後やはり時代の流れで進んでいくだろうと。また、知事の方の答弁といいますか、答えの中に、東京都としてもその素案を出して、たたき台を示したいというような答えがありました。僕も、当然そういう方向になっていくだろうと思うんですよ。ですから、今、練馬区が、この公的な総合病院、公立になるんだか誘致をするのかははっきりわかりませんけれども、かかわって、本当に将来的に大丈夫なのかどうかなというのが、すごく心配なわけです。
 それは、先ほど申し上げましたように、都立病院を民営にしたいというような声も聞こえておりますから、そういうのだとか、今お話しした地方分権が進む中での自治体の統合、合併、そうした動きも踏まえながら、今村局長として、率直に、そして専門家としてのご意見を伺いたいと思うんです。

○今村衛生局長 救急医療や災害医療体制などの整備は、地域の住民の医療を確保する上で大変重要であると認識しております。このため、都は、これまでも多摩地域を中心といたしまして、島も含みますが、公立病院等に対してさまざまな財政支援を行って、地域医療の確保に努めてまいりました。人口六十五万人を超えますような練馬区のような自治体が、自前で公的な病院を確保したいという意欲は、敬意に値すると思うんです。それは区民にとっても、都立病院の負荷を減らすという意味にとっても、大変ありがたいことであると私は思っております。
 しかしながら、自治体を取り巻く財政状況や医療環境が大変厳しいことなどから、これまで以上に病院運営の自立性や効率性が求められておりますので、そういったハードルがクリアされれば、都としても必要な支援を検討せざるを得ないと思っております。

○林委員 ありがとうございます。恐らく今後も、正式な開設許可申請をするべく手続を進めていくだろうと思いますので、その折々に触れて適切なアドバイスをお願いしたいというふうに思います。ありがとうございます。
 次に、築地市場の再整備についてお伺いをいたします。
 この定例会の施政方針で、知事は、築地の市場は狭く、危なく、古い、それを再三再四おっしゃっていますよね。私が経済・港湾委員会にかかわったのは二年なんですけれども、ずっと経過をたどっていきますと、昭和六十一年、首脳部会議で、現在地で整備をしよう、再整備しようというふうに決めた理由も、今おっしゃった、狭く、古く、危ないということで再整備が必要だということになったんだと聞いております。
 それで、この首脳部会議というのは大変な重みがありまして、恐らく、これは推測ですけれども、市場の職員の人たちは、これはもう絶対外せないんだということでずっと来たんじゃないかなという思いがいたします。移転ということになるんでしたら、それまでの間、協力した人たちだとか、当初は、全団体が現在地でということで一致していたわけですから、それが今は分裂というか、分かれるような形になった、そういうものに対する責任、あるいは地元区であります中央区、江東区に対する話し合い、あるいは中央区などはいろいろな質問書を出しておりますので、それに対する処理をきちっとすべきだ。
 そして、今までの、ずっと現在地でというふうに市場長がかわるたびに声明というか発表していたことは間違いだったということを、まず自分の失策を認めることから始めなければいけないんじゃないかなというふうに思うんです。
 今まで委員会でも質問しておりますので、ダブらないようにちょっと組み立ててみましたけれども、中央区に対して、先ほど申し上げました平成十一年十一月十日、この前の日に二十八回目の推進協で、移転を検討すべきだという結論を出したんですね。その推進協も、わずか十カ月の間に十四回持たれているんですよ。
 十一年の二月までの--ですから、やはり十二、三年の間には、同じ十四回しか行われていないんですね、その推進協が。そういうものも含めて、恐らく中央区は、これじゃ審議会の方に諮問して、どんどん行っちゃうんじゃないかなということを危惧して、この質問書を提出したんだと思いますし、すぐ回答をしてほしいということを再三いっていたと思うんですが、それに対する対応はどうなっているのか。
 そしてまた、委員会で、地元区の了解が絶対条件だということをいっているわけなんです、市場としてはですね。その絶対条件というのはどこへ行っちゃったのか。答弁をお願いします。

○大矢中央卸売市場長 移転候補地の豊洲地区の地権者であります東京ガスとは、このほど移転を前提として具体的な協議を開始したところでございます。協議が調い次第、関係区に対して十分に説明をしてまいります。

○林委員 市場長、委員会で、移転するためには地元区の了解が絶対だ、絶対条件だというふうに、大矢さんじゃないですけれども、答えているんですよね。それはどうなのか。移転を決める前に、まず話し合うのが筋じゃないんですかね。いかがですか。

○大矢中央卸売市場長 先生のいわれる絶対条件というような説明をしたというふうには、私は承知はしておりません。しかし、地元区あるいは関係者との協力を得るということをかねがね申し上げたということはございます。

○林委員 今回の知事の答弁の中にも、了解じゃなくて、配慮という言葉になっているんですね。微妙に変わっているから、僕もすごく気になっているんですけれども、少なくとも委員会では、地元区の了解を得るというような発言をなさっているはずだと思います。
 時間のこともありますので、それでは、東京ガスに対して豊洲ふ頭をターゲットにしたのはどうしてなのかなと思うんですよ。清原先生の質問の答弁で、先ほど知事が、東京ガスの立場になってみれば、自分の土地なのに何で来るのという感じだと思うんですね。おっしゃっていただいたんで、僕はすごく意を強くしたんですけれども、普通じゃ許される話じゃないですよ、こんなことは。僕も商売やっていますけど、自分が改築なり改装をするときに、仮店舗をつくるのに、そこが場所がいいからちょっと貸してと。空き地なら、まだ一応打診に行きますよ。それで本人が嫌だといったら、それは出せないですよ、普通は。
 東京ガスも、恐らく平成七年の秋ごろから移転の話が出ているというふうに聞いています。夏ごろから工事があんまり進まなくなったということで、そういう意味では、その裏では移転話がぼつぼつ起こってきたんだろうと思うんですけれども、正式に交渉を始めたのは、交渉というか、打診を始めたのは平成十一年の十一月以降だというふうには思いますけれども、東京ガスは、その前からの話を耳にはしているはずですよね。その気持ち、それでまた社内では、こういうリーフレット、これは去年の三月ですけれども、リーフレットをつくって、開発を一生懸命やっていきますよというのを社内のプロジェクトチームもやっているわけですよ。そういうところに市場を移しますよというのは、どうしてこんなことできるのかなと思うんですね。人の懐に手を突っ込んで財布持っていっちゃうようなもんですよ。その点はいかがですか。
 ちょっと待ってください。それで、東京ガスが、その話が来たとき、去年の六月二日付で福永副知事あてに質問書みたいなものを出していますよ。これは、丁寧に読ませてもらって、言葉を選びながら、ただ、本当に驚いていますし、嫌ですよというのがよくわかるんですね、東京ガスの気持ちが。
 それに対する答えが、東京都が--これは委員会で骨子しかくれませんでしたけれども、もう東京都の答えは、自分の都合のいいことだけですよ、本当。人の土地なのに、自分の都合のいいことばかり。やっぱりこういう文書の中にでも、あなたの土地だけど何とか協力してください、ごめんなさいよという気持ちがあってしかるべきだと思う。恐らく東京ガスの方では、行政の横暴としか受けとめてないんじゃないかなというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○大矢中央卸売市場長 平成十一年の十一月に、東京ガスに対し、築地市場の豊洲移転についての協力を要請し、その後、一年四カ月にわたり誠意を持って説明をしてきたところでございます。その結果、このたび、地権者である東京ガスと豊洲地区を移転の候補地として具体的な問題について協議することについて合意に達したところでございます。

○林委員 市場長ね、そんなのはもう何回も聞いていますよ、本会議場で。一年四カ月もかかったということは、それだけ嫌だったということじゃないですか。僕はそう思います。
 それで、今お話ししたのは、そういう人の土地を、東京都だからといって、ここを売ってちょうだいよ--売ってちょうだいよまではいいかもしれませんけれども、向こうが計画があって、その計画も、大矢さんが土地区画整理事業の責任者か何かでまとめたというような話を仄聞していますけれども、どうなんですかね。一年四カ月もかかったということは、僕は相当、社内的に、東京ガスといったら民主的な会社ですから、たまたま知事が社長をご存じだ、それからまた開発会社の社長もご存じだということはラッキーだったんだろうと思うんですけれども、向こうサイドにしてみれば、それはもう大変迷惑だったなというふうには思いますね。いかがですか、それは。

○大矢中央卸売市場長 先ほど申し上げましたように、誠意を持って説明をして、一年四カ月という期間を経過しまして、このたび具体的な問題について協議をするということで合意をしたということでございます。

○林委員 委員会の質問のときも全然かみ合わないんですよね。まあ、それはそれなりに、当事者ですから、いろいろな苦労もおありになるんだろうと思いますし、僕、先ほどいった、首脳部会議で決めたというのは、皆さんには大変重いものなんだろうと思うんです。ですから、本当はそこを内部的に覆してかかるのが当然なんだろうと思いますし、あとは、ちょっと見ますと、人事異動が激し過ぎたような気がしますね。これだけのプロジェクトを進めていくんでしたら、何人かきちっとした専従の人をつけて、やはり人間関係ですから、信頼関係がなければ進みませんよ、こういうプロジェクトは。それがなかったということだと思うんで--僕が一生懸命反省しているみたいになっちゃっていますけど、そういうのを担当者が反省しなきゃおかしいんですよ。と僕は思いますよ。違うかな。何か反応がないから、全然--と思います。
 それで、先ほどいった平成十一年十一月九日に二十八回目の推進協が行われましたよね。そのときには、こういう結論になるというのは大体情報として流れていまして、江東区の区議会の所管委員会では、その五日前の日、十一月四日に委員会が開かれているんですよ。それで、議会としては、市場が来るのは嫌だよと。まあ嫌だよといっているわけじゃないけど、迷惑施設だというような報道があるんですけれども、江東区に対する対応はどのようにしてきたかということを……。

○大矢中央卸売市場長 移転候補地の豊洲地区の地権者である東京ガスとは、このほど移転を前提とした具体的な、交わしたところでございますが、この協議が調い次第、江東区に対しましても誠意を持って説明をし、市場の移転についてご理解をいただけるよう努めてまいります。

○林委員 ぬかにくぎみたいな感じで、何か張り合いがなくなっているんですけれども(「頑張れ」と呼ぶ者あり)いや、頑張ります。とにかく、業界の二団体がいまだに反対をしているというふうに聞いています。それで、当初は六団体が一致した形で、移転に賛成しなければ、あくまでも現在地整備ですよということが、歴代の市場長、ずっといってきているわけですよね。で、平成十年一月のときにも、責任者が現在地でといって、だけど、二月の時点で、中央区長が現在地で整備をどんどん進めてくださいという要望をしているんですよ。一ヵ月の間ですから、恐らく移転話が水面下ではあったんじゃないかなと僕は推測しています。
 その年の十年四月に、業界全体六団体が移転の可能性なり移転を検討調査をしてほしいという要望書を宮城市場長に出しているんですね。六月には宮城市場長の方で、これなんですけれども、これは恐らく原文そのままなんですが、その六団体に対して、現時点で移転の可能性を見きわめることは困難な状況にありますと。調査するためには、全体の一致した意思と、場外市場関係者並びに関係区、中央区、江東区の協力が前提となりますと。それで、これらのことを確認できる文書を東京都知事あてに平成十年十二月までに提出してくださいというようなことを、業界の六団体にやっているわけですよね。
 でも、このときは、もう業界は割れているんですよね。それで、割れたという証拠をとるようなつもりで、十二月に、二団体は現在地、四団体は移転。だけど、この文書から、二団体が現在地だとか移転だとかという、そういう文書をとるような中身になっていないんですけど、何かそういうのをとって、業界が割れている。それで、翌年から、もうしゃかりきになって、推進協議会が十カ月の間に十四回も開かれる。その前半は、現在地での可能性だとか、いろんな、いいとか悪いとかというのをやって、後半はもう移転しかないんだろうと。
 この進め方が、僕、もっとスマートにやれば、そんなに反対しないんじゃないかなと思うんですよ。ちょっとこの辺の経緯は、僕の考え方が合っているか合っていないか。--石原知事、一番最後でいいですよ。できるだけ僕も自分の感性で話させていただいて、最後にお返事をいただきたいなと思っていますので。どうぞ。

○大矢中央卸売市場長 現在地再整備を主張する方々の中には、いわゆる築地ブランドや交通の利便性を理由として、長年なれ親しんだ築地を離れたくないという意見があることは十分に承知をしております。それから、今までいろいろな経過があったことも、先生おっしゃるような背景もあります。
 しかし、築地市場には、流通の変化に適切に対応できる首都圏の基幹市場としての役割が求められております。そういう中で、移転に反対する団体に対しましても、これまで移転の必要性について誠心誠意説明をしてまいりましたが、今後ともより一層理解を得るべく努力をしてまいりたい、かように考えております。

○林委員 あと、市場の会計から今二千四百億、平成八年度に四百億、それから平成十一年度に二千億、繰り出していますよね。それで、平成八年の四百億は五年据え置きの一括償還、それから、この二千億の方は五年据え置いて、五年間で返す、まあ年払いみたいな形で五年で返すということでありますけれども、これは約束どおり履行されるのかどうか。そしてまた、戻ってきたやつが市場整備に使われるのかどうか、確認をさせていただきたいんですけれども。

○大矢中央卸売市場長 市場が一般会計に貸し付けております二千四百億円の資金は、約束どおり返済されることになっております。この資金は、築地市場を初め、中央卸売市場の計画的な整備に用いるものでございまして、これは協定書によって確約をしてございます。

○林委員 一月二十五日に東京ガスが、豊洲の方には土壌汚染があるという発表をしました。この質問をするというやりとりの中で、環境局の方も来ていただいて話を伺ったら、市場と環境局の間との連携がほとんどなかったように聞いています。で、環境局の技術者ですからなんていう話をしていましたけれども、当然その泥を取っちゃうし、水もちゃんと処理するし、問題はないという説明は受けましたし、そのとおりになれば問題ないんでしょうけれども、でも普通の消費者の立場からすれば、土壌汚染があるところに口に入る市場を持っていくという、その感覚が理解できないというのが一般的な話だろうというふうに思うんです。
 それで、東京ガスが発表する前に、市場としてはそういう危惧が当然あってしかるべきだろうと思うんですけれども、それなりの調査を環境局に依頼するなり、そうしたことはあったのかどうか。今、僕がお話しした連携がなかったように聞いていますけれども、連携があったかどうか。--もういいや、ここは、もう時間がないから。
 それで、ぜひ知事、僕、表現が下手ですから、政治家でもないですから、あんまりね……。ただ、学生のころ、知事の本もかなり読みましたよ。きょうも出てくる前にちょっと見たら、「孤独なる戴冠」だとか「星と舵」だとか、何かいろいろあります。それで少なくとも少しでも感性を養っていただいた。で、今までの話を聞いて、ぜひ前の経過を逐一たどってほしい。それで、謝るべきところは謝らなきゃ。それは、当たり前の話なんですよ。ぜひその点でコメントをお願いします。

○石原知事 林委員ご指摘のように、こういう大きなプロジェクトに関して、都側と、その地権者も含めて、あるいは既存の今築地におられる団体との話し合いが、人間関係として円滑にいったかどうかということは、いろいろ問題あったと思います。だから、前任者、前々任者の問題だけでは済まないかもしれませんが、大矢さんが市場長に就任してから、かなりそれが円滑にいくようになりました。それはひとつご理解とご評価をいただきたいと。
 ただ、私、就任早々この問題の説明を受けたときに、ある都の幹部が、都市計画というのは他人の土地に線を引くのが都市計画だというから、それはちょっともう通らないんじゃないか、そういうこと、みだりにいわない方がいいよと、私、注意しました。やはり、相手の東京ガスもそうそうたる会社でありまして、それでしかもあそこにホテルとその他のプロジェクトを、私の知己でもある後輩がスタッフを集めてやっているときに、突然というか、一方的に豊洲に移るぞという話をされても、これはやはり東京ガスは東京ガスのこけんがあると思います。立場もあると思いますんで、そういう、つまりお上という形で一方的に物事を遂行していく、そんなものが可能な時代はとっくに終わったということを、こういう問題をきっかけにして、都のやはり官僚諸兄も認識すべきだと私は思っておりますし、また、以後そういうことをみだりに口にしない方がいいということも強く申しました。
 いずれにしろ、しかし、現況を眺めますと、都だけじゃなしに、いわゆる東京首都圏のお客さんたちの、ユーザーのニーズにこたえ切れないところまで築地は来ておりまして、いろいろ縦横十文字に検討しましたけれども、これはやはりもっと広いところに移らざるを得ないだろうと。また、部分的に改修しながら、ローリング方式というんですか、ああいう形でやっても時間がかかるし、金がかかるし、非常に効率が悪いということで、やはりどこかしかるべきところにという結論になったわけで、目と鼻の先の豊洲が候補になりまして、こちら側としても改めて三顧の礼を払って、それで、東京ガスを説得した段階でございますので、やっと相手もテーブルに着いて話し合いをしようというところまで来ましたので、これはやはり、当事者たちの、新任の当事者たちの努力の成果だと思っております。
 ひとつ、そういうことで、経過はいろいろあったと思うし、ご批判もあると思いますけど、これはもう、こういうプロジェクトを展開する以外に都民のニーズにこたえるすべはないと思いますから、ひとつまた都議会の方もご了承いただいて、ご協力願いたいということを改めてお願いいたします。

○林委員 ありがとうございました。(拍手)

○前島副委員長 林知二委員の発言は終わりました。

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