東京都議会予算特別委員会速記録第三号

   午後三時十九分開議

○田村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 清原錬太郎委員の発言を許します。

○清原委員 初めに、築地市場の移転問題を質問いたします。
 業界団体や地元区ばかりでなく、この問題は、都民に大きな関心を呼んでおります。しかし、築地市場の問題は、地権者、地元区、業界など配慮をしなければならない対象も多く、その意見や背景もまちまちであります。この築地市場の移転について、知事は、二月二十一日の所信表明で、豊洲地区を新しい市場の候補地とし、今後関係者と本格的な協議を進めていくと発言されました。
 そこで、お伺いいたします。東京ガスとの交渉の具体的な内容は何でしょうか。また、いつごろまでに協議が調う見込みか、お答えください。

○大矢中央卸売市場長 東京ガスとの協議内容についてでございますが、築地市場の豊洲地区への移転を前提として、市場を織り込んだまちづくりプランの再構築に向け、土地利用などにつきまして検討を行っているところでございます。また、協議につきましては、できる限り早期に調えたいと考えております。

○清原委員 移転に反対している一部の業界などは、主に、現在地の高い利便性こそ都民の台所にふさわしいとか、または、築地市場が培ってきた食文化を継承、発展させるべきであるということを理由として、移転に反対するといわれております。
 市場は、このような移転に反対する団体に対しても、都の考え方を説明して、理解をいただく必要があると思います。やはりじっくりと話し合いをすることがよろしいと思いますが、いかがでしょうか。

○大矢中央卸売市場長 築地市場の移転につきましては、業界や地域に反対意見があることは承知をしております。しかし、築地市場は、地域経済の核としてだけではなく、生鮮食料品を広く首都圏全域に供給する基幹市場で、その役割を担っております。築地市場は、将来にわたっても基幹市場としての役割を果たしていく必要がありますが、現在地整備では、敷地が狭隘で、将来の流通環境の変化に対応できず、基幹市場としての役割を果たすことができないということから、移転が必要であると判断をした次第でございます。
 移転に反対する団体に対して、これまでも移転の必要性についてるる説明をしてまいりましたが、今後とも、理解と協力を得られるよう、精力的に話し合いをしてまいります。

○清原委員 築地市場の敷地は、今開発が進んでいる汐留よりも広く、二十三ヘクタールという広大なものであります。しかし、跡地の利用方法が決まっていないことが周辺住民の不安となり、それが移転反対という形であらわれる一因とも考えられます。
 したがって、私は、都は、住民の不安を解消させるためにも、早急に跡地利用の方針を示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○大矢中央卸売市場長 築地市場の跡地の利用についてでありますが、豊洲地域への市場移転とあわせて、今後、東京全体の都市づくりや地域活性化の視点から、関係機関や地元区とも協議してまいります。

○清原委員 移転が決まったとしても、十年以上、現在地で営業を続けなければならないわけですが、この間、築地市場を基幹市場としてどのように維持していくのか、お考えを伺います。

○大矢中央卸売市場長 移転が決定したとしても、新市場開設までには相当の期間を要することから、この間も、築地市場は引き続き首都圏の基幹市場として機能を維持していくことが必要でございます。
 このため、限られた施設やスペースを有効に活用し、場内物流の効率化や環境衛生対策、防火対策など、市場機能維持のために必要な最小限の整備は行ってまいります。

○清原委員 築地市場の豊洲移転に際して、関係者等が心配しておられるのは、交通アクセスの問題です。新市場が開設するには、環状二号線及び晴海通りの整備が重要と考えます。これら二路線の整備について、予算措置を含めて、しっかりとした見通しを聞かせていただきたい。
 なお、環状二号線の新橋、虎ノ門地区は、長期間放置されていたところでございます。ここに居住する方々は、物心両面で痛みを持っておられます。この方々に対しては、現在の生活が維持できるよう配慮が必要であると思いますが、あわせてお伺いいたします。

○古川建設局長 市場移転にとっても、環状二号線及び晴海通りの整備は重要であると認識しております。現在、環状二号線は、豊洲地区において、支障物件の撤去工事及び道路の盛り土工事を実施中であり、東雲二号橋は十三年度から着工する予定です。晴海通りの晴豊一号橋は、現在、下部工事を実施しております。
 今後とも、短期間に集中投資が可能となる資金調達方法、例えば、国費の無利子貸付制度の創設を国に強く働きかけるなど、多大な事業費の確保を図ることにより、これらの幹線道路の早期整備に努めてまいります。
 また、新橋、虎ノ門地区の方々とは、生活再建なども含め、きめ細かく対応しながら、事業を推進してまいります。

○清原委員 築地市場は、首都圏の基幹市場として、また、都民の台所として極めて重要な役割を担っております。その役割を果たすためには、築地市場は現在地では再整備が困難であり、豊洲への移転が望ましいと考えます。
 そこで、改めて、築地市場の移転に向けた知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 おっしゃるとおり、現況の築地市場は、東京に限らず、首都圏の台所を賄うための機能を発揮するには、いかにももう狭く、古く、かつ危険な節もございます。この市場を二十一世紀の中核を担う市場へと再生するためには、やはり移転による抜本的な整備が必要であると思っております。
 かねてから、豊洲という候補地がございましたが、たまたまあそこの地権者であります東京ガスの社長と、この再開発を手がけている子会社の社長が、ともに私の大学の後輩でありまして、割と率直な話を聞かしてもらいましたが、自分たちはほかの計画を持っているのに、いきなり東京があそこに移す計画をつくるというのは失礼な話で、こちらの要するに意思を無視したということで、特に、再開発を手がけている子会社の社長は私に食ってかかってきましたから、まあ浜渦副知事などを窓口にしていろいろ話をしまして、やっとテーブルに着くというところまで参りましたので、後は専門家が出向いていろんな話をすることになっておりますけれども、いずれにしろ、今後、築地市場の豊洲移転に全力を尽くしてまいりたいと思っております。

○清原委員 築地市場の移転が、東京のまちづくりと都民の食生活の充実のためにつながるものとなるよう期待して、終わります。
 次に、汐留地区の再開発についてお伺いいたします。
 汐留地区の土地区画整理事業の進展に伴い、本地区の開発がいよいよ本格化しております。地元では、西地区の呼びかけで、東地区と一体となったまちづくり推進のためにまちづくり協議会が設立され、安全で安心して住める、緑あふれた潤いのあるまちの創造をコンセプトとして、まちづくりに努力中と聞き及んでおります。
 さらに、この開発の注目すべき点の一つは、地域住民が主体となったまちの維持管理であります。これは、ニューヨークで実施されているBIDの手法を参考にしたもので、行政による管理に地元が一体となって協力するという、新しいまちの管理を目指すものであります。このような地域住民、企業参加のまちづくり、まちの管理こそ理想であり、強力なバックアップが都に求められております。
 そこで、お伺いします。各街区では建築工事が進んでいますが、まず最初に、汐留地区の土地区画整理事業の進ちょく状況と、今後の見通しについてお答えいただきたいと思います。

○古川建設局長 汐留土地区画整理事業の平成十二年度末の進ちょく状況は、公共施設整備や建物移転補償などで約四〇%です。
 今後は、平成十四年秋から平成十五年春にかけての各街区のまち開きに合わせ、道路、地下歩行者道、歩行者デッキなどの基盤整備を着実に進めてまいります。

○清原委員 地元では、緑と潤いのあるまちの創造を目指し、道路についても、緑あふれる歩道の整備を要望していますが、これについての都の考え方をお伺いいたします。

○古川建設局長 当地区では、浜離宮の景観に配慮した緑のネットワーク整備や、公園と広場の一体的整備による、緑と潤いのある環境整備など、民間と協働した魅力あるまちづくりを目指しております。
 この趣旨を踏まえ、各街区の民地空間も活用しながら、歩行空間を緩やかな曲線状にするなどの工夫を凝らし、緑豊かな歩道の整備を地元と協議しながら進めてまいります。

○清原委員 将来のまちの管理について、地元が民間施設と公共施設を含め、地区全体を一体的に管理していくという考え方が示されておりますけれども、都としてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。

○古川建設局長 安全で快適に暮らせるまちとして管理していくには、行政と地域住民との連携協力が不可欠であります。
 お話しの、地元が民間施設と公共施設を含め、地区全体を一体的に管理していくという考え方は、新しい東京のまちの管理を目指す意欲あふれたものであり、管理責任や役割分担を明確にして、可能な限り地元の意向にこたえ、協働のまちづくりに取り組んでまいります。

○清原委員 汐留地区は、都と民間とが一体となったまちづくりの中で、行政と都民が協力し、公共施設の維持管理を行っていく方向と理解できますが、今後、都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○古川建設局長 汐留地区では、地上道路のほかに、幅員四十メートル、延長約六百二十メートルの地下歩行者道、街区の駐車場を結ぶ地下車路などの整備を進めております。これら地下の施設については、まちの活性化につながる地下空間の効果的な活用を図るため、地元管理を基本に協議を行ってきております。
 また、地上道路では、清掃、植栽の手入れなど、日常のきめ細かな管理について協力を求めてまいります。
 今後、管理区分、管理体制、費用負担等について、地元と積極的に協議を重ねてまいります。

○清原委員 汐留地区の道路の維持管理手法はこれまでより進んだものであり、行政と地元が一体となった新しいまちのあり方を示していると考えます。汐留が世界に誇れるすばらしいまちになるように、今後とも地元との十分な調整をお願いして、この項を終わります。
 次に、羽田空港の国際化推進についてお伺いします。
 これまでも我が党は、羽田空港の国際化が首都圏、ひいては日本の活性化に不可欠であると主張し、その実現に取り組んでまいりました。また、東京都においても、知事を先頭にしてその実現に取り組んでこられております。
 これまでの取り組みにより、ようやく本年二月から、限定的ではありますが、国際旅客チャーター便が就航いたしました。しかし、羽田空港の国際化がこれで完結したわけではありません。昨年十二月に都として初めて取りまとめた航空政策基本方針の中で、羽田空港の国際化は、都民を初め首都圏に住む方々の空港利便性を向上させるだけでなく、首都圏に大きな経済波及効果をもたらすとともに、雇用の誘発が期待できるとされております。
 そこで、まずお伺いしますけれども、この航空政策基本方針では、羽田空港を国際化した場合、三兆円の経済波及効果と十七万人にも及ぶ雇用の誘発が期待できるとしております。この経済波及効果を算出した前提条件はどのようなものか、お聞かせいただきたいと思います。

○山下都市計画局長 航空政策基本方針で示しました羽田空港の国際化による経済波及効果や誘発雇用者数でございますが、早朝、夜間の国内線で利用していない発着枠を活用いたしまして、一日当たり旅客便九十往復と貨物便二十五往復が就航した場合を想定して算出したものでございます。

○清原委員 このように限定的な国際化の場合の経済波及効果でも三兆円期待できるということは、さらに知事が国に提案している羽田空港の再拡張が実現し、昼間の国際定期便が就航することができれば、首都圏に及ぼす経済波及効果や、また雇用の誘発効果ははかり知れないものがあります。
 そのため、一刻も早く羽田空港の再拡張を実現し、処理能力を大幅に拡大することにより、国際定期便の就航を図るべきであります。今後、再拡張の実現に向けてどのように取り組んでいかれるのか、知事にお伺いいたします。

○石原知事 おっしゃるとおり、羽田空港の国際化は、非常に大きな経済効果や雇用の誘発をいたします。また、これは東京のみならず、おっしゃるように日本全体の活性化のために必要な手だてだと思っております。
 そのためにも、とりあえず、できるだけ近い将来、第三国際空港が東京の近郊に必要だと思いますが、それまでのつなぎとして、今ありますC滑走路の斜め前に、平行した三千五百メートルから四千メートル級の滑走路をできるだけ速やかにつくりたい。これも下手をしますと、コンテナ船の航路をふさいだりしますし、なお、多摩川あるいは川崎地域から出てきた、コンビナートから出てきたたくさんのバージが、東京の内部に運河を使ったりして航行しておりますので、これを混乱させないためにも、ある高さのある橋で滑走路をつなぐ桟橋方式が好ましいということで、東京でこれを立案いたしました。
 それから、その以前から、東京における空港問題は非常に大事だということで、都市計画局に空港担当の理事を新規に据えまして、そういうことで、今般、東京の試案というものを国に提案いたしました。
 私の近しい友人でも後輩でもあります亀井政調会長に直談判いたしまして、その場所で運輸省に電話をかけさせまして、その場で、とにかくこれしかないということで、十二億の調査費をつけましたが、運輸省はいろいろメンツがあるようで、違う案を出しておりますけれども、これはまず航路の問題で不可能だと思います。
 いずれにしろ、先日申しましたけれども、日本の画期的な発明であります、強度も在来の鉄板の倍あるという、しかも軽量な超鉄鋼というものを利用すれば、これは本当にその気になれば三年でラガーディア方式の桟橋の滑走路ができ、その手前を傾斜度約〇・五度の橋でつなぎまして、その橋の上を大きな旅客機もタクシーイングで往復できるという、そういう構造になっておりますが、今のところ、これしか私はこの国を、東京を持ち上げるための国際線を確保する空港はあり得ないと思いますので、せっかく調査費もつけさせましたものですから、これをできるだけ早期に、国家のプロジェクトとして完成するように働きかけていきたいと思っております。

○清原委員 羽田空港の国際化は、二十一世紀を通じて、我が国がアジア経済圏の主役であり、さらに世界の三極の一つとしての地位を保っていく上で必要不可欠なものであります。知事が先頭に立って羽田空港の再拡張に取り組むことにより、一日も早く羽田空港に国際定期便が就航することを期待いたしまして、次の質問に移ります。
 次は、大深度地下利用についてお伺いします。
 私は、かねてより、大深度地下を利用して、トラック等の通過交通量をさばくことができれば、都内の交通量が減り、現在の一般道路を含め、特に高速道路の渋滞は大幅に解消されるのではないかと考え、昭和六十三年の第三回定例会以来、大深度空間を利用した道路の整備について、何回か質問してまいりました。
 聞くところによりますと、大深度地下の公共的使用に関する特別措置法が昨年五月に公布され、この四月から施行されると伺っております。今後、この法律を活用し、大深度地下空間を利用した都市基盤施設の整備を積極的に推進すべきと考えます。
 そこで、この法律は、大深度地下利用を積極的に図っていく上でどのような意義があるのか、まずお伺いします。

○山下都市計画局長 この法律では、大深度が通常利用されない空間であることから、事前に補償を行うことなく、この空間の使用権を設定することができることとしたものでございます。
 このため、一般的には公共の利益となる事業を円滑に行えること、あるいは鉄道や道路などの合理的なルートの設定が可能となり、事業期間の短縮やコストの縮減等に寄与することなどのメリットがあるとされております。

○清原委員 次に、この法律はどのような事業に適用できるのか、お伺いいたします。

○山下都市計画局長 上下水道、電気などのライフライン、あるいは地下の鉄道や道路など、公共性の高い事業が対象となっております。

○清原委員 そこで、この法律を適用して、とりわけ都内に用事のない通過交通だけの車や、都市内交通を担う高速道路の建設に大深度を利用して、まず第一に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

○石原知事 今問題になっております東京の外環道路にしましても、凍結が仮に解除されたとしましても、既にでき上がっている、あの三鷹のようなかなり閑雅な住宅地を高架で渡すということはちょっと考えられません。したがって、地下ということだと思いますけれども、実はこれ、私が運輸大臣をしているときに、友人でもあります西武の堤社長から依頼がありまして、所沢から複々線という形で、地下に新宿までノンストップで線路を敷きたい、既存の西武の電車の軌道に沿ってジクザクで走るんではコストがかかるから、まっすぐにとにかく地下を走らせてくれという依頼がありました。それは大変結構じゃないかということで、運輸省で立案して大深度利用の法律を出しました。
 あのときは、道路ということを考えておりませんでしたから、排気の問題なんかもしんしゃくしませんでして、あの時点では、建設省はむしろ自動車の道路ということはとても対象外であろうということで、もう最初から関与してきませんでしたが、なぜか通産省がくちばしを入れまして、地下に非常に大きな倉庫をつくりたい、それの通気とか排気の問題でいろいろ技術的に困難があるということで、余計なくちばしを入れてこれが棚上げになって、やっと去年実現したわけであります。
 この際、電車もさることながら、先ほども実は都市計画局長、建設局長と相談したんですけれども、技術はあると思いますし、自動車の排気にどうやって対処するかということが一番の問題だと思います。コストもかかると思いますが、しかし過剰にかかる時間というものをしんしゃくすれば、私は日本の技術をもってすれば、かつてドーバー海峡をつなげたトンネルも日本がつくったわけでありまして、必ず可能だと思いますし、東京の最大の弱点であります渋滞というものを、環境問題からもとにかく解消していくためにも、私は大深度を利用した幹線道路の、自動車道路の建設というのは、これからも、東京にとってこれしか逃げ道がない、活路はないと思っております。

○清原委員 私は、今こそ東京を、二十一世紀の日本の首都にふさわしい都市として再生させていかなければならないと考えております。首都東京の再生を図るためには、とりわけ道路交通の円滑化が不可欠であり、その有効な手段として大深度空間の活用が求められているわけであります。大深度地下の利用が法制化された今こそ、大深度地下の積極的な活用を図るべきと思います。
 まず、通過交通による交通渋滞を解消する画期的な交通対策として、大深度の地下高速道路の建設に取り組んでいただくことを強くお願いいたしまして、この項を終わります。
 次に、介護保険についてお伺いいたします。
 介護保険制度が施行されて、はや一年が過ぎようとしております。この間、大きな混乱もなく、おおむね順調に運営され、都民の理解も深まりつつあります。制度開始二年目を迎え、今後、介護保険制度のなお一層の充実を図るべきだと考えます。そのための取り組みについて、まずお伺いいたします。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 ただいまお話がございましたとおり、介護保険制度が発足して約一年が経過をしたわけでございますが、幸い、区市町村や現場の事業者の皆さんのご尽力をいただきまして、ここまで大きな混乱もなく、おおむね順調に運営されております。
 ただ、介護支援専門員への支援であるとか、幾つかの課題が生じておりまして、都としては、幅広い分野からの参画をいただいて、東京の介護保険を育む会を新年度早々に設置をし、都民にとってより使いやすく、わかりやすい制度となるよう積極的に取り組んでまいります。

○清原委員 介護保険制度が利用者本位に運営され、また都民の理解を得るために、利用者から寄せられる苦情に誠心誠意対応することは、極めて重要であると考えます。介護保険サービスについて一層内容を充実させるために、今後もこの取り組みを継続していただきたい、こう思います。
 次に移ります。都営交通事業における高齢者対策、特にバリアフリー対策の推進について幾つか質問いたします。
 いよいよ二十一世紀となり、既に東京都も推計のとおり、二〇一五年には東京都の六十五歳以上の人口は二百八十三万人と、総人口の四人に一人は高齢者となることはご承知のとおりであります。平成十二年の五月には、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法が制定されたところであります。
 この法律の趣旨は、すべての公共交通が、だれでも利用しやすい交通機関となることが必要とされているところでございます。この法律の趣旨を体現することこそ、石原知事のいわれる、都民が安心して生活できる東京を創造し、千客万来の世界都市東京を実現することにほかならないものと考えます。
 そこで、まず、東京都交通局の交通バリアフリー法への対応についての基本的考え方についてお伺いいたします。

○寺内交通局長 私ども都営地下鉄の駅におきましては、エレベーター、エスカレーター等の整備を進めてきたところであり、特に、大江戸線におきましては、地上からホーム階まで、エレベーター、上りエスカレーターそれぞれによるワンルートを確保しております。
 また、乗合バスにおきましては、ノンステップバスの導入などを積極的に進めております。
 今後とも、法の趣旨を踏まえ、都営交通におるバリアフリー化を一層推進してまいります。

○清原委員 次にお伺いしますけれども、港区の三田線三田駅は、延伸開業によって乗りかえ客が増加していると思います。また、障害者福祉会館や病院も近いことから、高齢者や身体障害者の方たちの利用も多いと考えられます。
 そこで、財政的、物理的な限界はあると思いますが、何とか三田線三田駅を高齢者等にも利用しやすい施設にすべきと考えますが、交通局の見解をお伺いいたします。

○寺内交通局長 三田線三田駅は、昨年九月の目黒延伸開業により大幅にお客様が増加しており、またお話のように、三田駅付近には東京都障害者福祉会館等があることから、バリアフリー対策の必要性を認識しているところであります。
 こうした状況を踏まえ、当駅におきましては、用地が確保できたこと、構造的にも可能であること等から、エレベーター設置の準備を進めております。

○清原委員 ノンステップバスの整備は評価するところでありますが、都営大江戸線の全線開通により鉄道網が整備されたとはいえ、地下鉄、JR等の鉄道機関は高齢者にとって負担が大きく、病院に行くなど地域内の移動には、平面交通であるバスが便利であります。
 そこで、今回の地下鉄開業に伴うバス路線の再編整備により、バス路線がなくなって不便になった地域も非常にあります。このような地域にバス路線を走らせてほしいとの住民からの要望が多くあります。そこで、地域に密着したコミュニティバスに交通局として取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

○寺内交通局長 ご提案の地域に密着したコミュニティバスにつきましては、都営交通ネットワークを確立し、バス路線を整備するという観点から、既設路線との整合性、事業採算性などを考慮しつつ、区との役割分担、条件整備等を含めまして、関係区と十分協議してまいります。

○清原委員 ぜひ区側とも十分協議を重ねてほしいところでありますが、実際問題として、地下鉄、JR等の鉄道機関は、高齢者にとって特に階段の負担が大きく、病院へ行くなど地域内の移動にも支障を来しているところであります。その点、平面交通であるバスは、まさに足がわりとして貴重な交通手段であります。
 高齢社会の到来や交通バリアフリー法の制定などの動向を踏まえ、都営交通として、バス路線のあり方についても、高齢者対策としての視点から検討すべきと考えますが、交通局の考え方をお伺いいたします。

○寺内交通局長 先ほど来ご答弁申し上げているとおり、都営交通として、これまでもバリアフリー対策に種々取り組んできたところでございます。
 今後とも、ノンステップバスの導入拡大や、地下鉄におきます垂直移動手段の充実など、より一層推進するとともに、法の趣旨を踏まえつつ、高齢者対策の視点からも、バス路線のあり方について検討してまいります。

○清原委員 次に、パートタイマーについてお伺いします。
 都内に八十万人近くもいる女性のパートタイマーは、正社員に比べて身分が不安定であるにもかかわらず、一生懸命頑張って働いており、いわば東京の産業を支えているといっても過言ではありません。しかしながら、現在は、収入が百三万円を超えると課税対象となり、被扶養者の対象から外れるなどの制約があるため、それ以上働きたくても働けない人たちも多いと聞いております。
 そこで、限度額の引き上げ等について国に働きかけていらっしゃると思いますが、ぜひこれからも引き続いて要望を強くしていただくよう、これは要望としてお願いいたします。
 次に、認証保育制度の導入についてでございますが、少子社会における子育て支援策の一環として、働く女性の子育て環境の整備は重要な課題です。都内に八十万近くいる女性パート就労者を初め、親の病気などの緊急時に子どもを預ける一時保育や延長保育に対するニーズは、今後ますます高まることが予想されますが、現在の認可保育所だけでは対応できない状況にあります。こうした中で、独自の認証保育所制度を都が創設したことは、時宜を得た新事業といえるでしょう。
 認証保育所制度の創設を初め、東京の特性に応じた子育て環境の整備に向けた保育施策の充実について、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 結婚しながら働いていらっしゃる女性は、相対的にも絶対的にも、日本の中で東京が一番数が多いと思います。そういう状況に合わせた子育てというものを東京が促進していく責任があると思います。そのために、今回、独特の認証保育制度というものを創設しまして、都の独自性、先進性を発揮した取り組みを行っていきたいと思っております。
 幸い、JRだけではありませんが、JRの松田会長は、非常に親しくしておりますけれども、なかなか創意に満ちた、新しい事業にも積極的な人でありまして、彼も心からこれに賛同してくれておりますので、JRとの連携、その他の交通機関との連携で、東京で新しい保育のパターンというものをつくっていきたいと思っております。

○清原委員 次に、お台場海浜公園の海水浴場化についてお伺いいたします。
 東京都は、去る二月十六日、東京ベイエリア21を策定し、公表しました。私は、昨年九月十四日に中間のまとめが発表されて以後、独自に地元の意見などを集約しながら、都心に唯一のオアシスとして、お台場に海水浴場をつくることを提案してまいりました。
 そこで、私の提案は、お台場海浜公園全体を海水浴場とするのではなく、既存の砂浜の一部を仕切って利用することにしてはいかがでしょうか。水質については、石積みの堤防による境界壁を設置し、内部の水をろ過装置により浄化したり、あるいは簡易な境界壁をシートパイル等によってつくって、その間にフィルター等を利用して、海水浴に使ったらよろしいと思います。そのほか、この両者を折衷してやることもよろしいんではないかな、こう思うわけでございます。これについてお伺いいたします。

○齋藤港湾局長 臨海副都心のお台場海浜公園に海水浴場をつくってはどうかというご提案をいただきました。
 海水浴場に適した場所を考えますと、海岸線が砂浜であるとか、波のない穏やかな水域を擁しているとか、あるいは多くの都民が親しめる景観があるとかいうことが条件になると思いますので、お台場海浜公園は、臨海副都心の中ではそれに適していると思います。
 しかし、一方で、一般的に、海水浴場は、お話にもありましたように、水質の問題、大腸菌群の数でありますとか、油膜の有無などの問題もございます。それから、確かに今、お台場海浜公園には、いろいろな船が利用しているという問題もありますから、それとの利用調整も図らなければいけないというふうに思います。
 今、いろいろ清原委員から具体的な方策についてのご提案もいただきました。ただいま申し上げましたように、海水浴場に適した水質の実現ということが前提になりますが、そのほかにも、事業主体のあり方あるいは事業採算性などさまざまな課題がございます。今後、その可能性について検討してまいります。

○清原委員 終わりますが、お台場海浜公園での海水浴場の整備については、ゆとりと豊かさを求める都民の願いにこたえるために、一日も早く実現していただきたいことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)

○田村委員長 清原錬太郎委員の発言は終わりました。

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