○松村副委員長 白井常信委員の発言を許します。
〔松村副委員長退席、前島副委員長着席〕
○白井(常)委員 私は、福祉問題、環境問題、そして医療問題、多摩問題について何点かお伺いをしていきたいと思います。
福祉の問題--知事、あんまりネガティブな質問はしませんから、機嫌悪くしないでくださいよ。私の方もこういうのをあんまりいいたくないのだけども。
ご案内のとおり、まず第一点は、介護保険の問題を、我が党が三党合意、あるいは低所得対策等を国会の方でも進めております関係で、サービスの内容等について、細かい問題でございますが、質問をしていきたいと思っております。
ご案内のとおり、我が国、また東京もそうでありますが、超高齢化社会といいますか、二〇三〇年には約二六%が六十五歳以上になってしまう。また、生産年齢については約六〇%を占めているという、非常に超高齢化社会を迎えている。そういう中で、ご案内のとおり、そういったことに対応する高齢者の方も当然増加しております。
また一方、ご案内のとおり、これは東京都の責任でも何の責任でもないのですけれども、国の責任であり、いろいろ他の要素もあるわけでありますけれども、財政的に都も国も非常に厳しい状況にある。そういう財政的な制約があるという中で、知事もおっしゃっておりますけれども、行政的な組織というものが今摩耗している。そういう中で、福祉の新しいビジョンの創設が望まれているという今日の中に、介護保険というものがつくられたわけであります。
そのまた介護保険自体が、ご案内のとおり、私、せっかく質問するのですからと思って、いろいろな施設を回ってきてみたのですよ。それで何カ所かでいろんなことで話をした中で、私自身が考えたことは、細かい質問は局長にいたしますけれども、何点かこの介護保険の創設時代からの--なかなか時期的な問題もあって、もともと制度というのは全部完全無欠にできるわけはありません。したがって、今後精査する問題あるいは改正する問題が出てくると思うんですね。それは五年後の改正というふうにいっておりますけれども。
そういう中で、大ざっぱに申し上げますと、一つは、やはり介護保険を創設した時点よりこれは厳しい。何が厳しいかというと、やっぱり財政的に厳しくなっている、経済状況が厳しくなっているということが、創設時と違った時代対応の中で生まれてきているのが一つですね。
もう一点は、どこまでいっても福祉ゾーンと医療ゾーンというものの溝が現実にはなかなか埋まらないんですね。福祉にも医療にも関係しておりますから、私自身もよくわかるのですけれども、具体的になかなかこの壁が埋まっていかないという点が一つある。
もう一点は、やはり大まかな話ですけれども、これをつくるときに、いろいろな問題も起こしたあの岡光さんという方がヨーロッパ等をミッションで回っておりまして、この介護保険の一つのモデルをつくったわけでしょうけれども、あれはそもそもがヨーロッパバージョンといいますかね、アメリカというのはどちらかというと自分の力で自分で生きていくという考え方ですから、知事もそういう考え方だと思いますけれども、私もそれに近いのですが、どちらかというと、そういうアメリカバージョンではない、ヨーロッパバージョン。
ヨーロッパバージョンというのは何が欠けるかというと、三点目は、ボランティアというものの種類が違うんですね。福祉に対するボランティアというものの対応というのが、ヨーロッパでは歴史的に違ってきている。日本の場合は、昔は、私がいうのもおかしいけれども、お寺があって、その周りに檀家があったとか、あるいは長屋があって、長屋の前でお互いに福祉をしていた、助け合いをしていたという、そういう形で生きてきた。ところが、戦後、そういうものは全部崩壊してしまったという大きな問題がある。
そういう中で、ヨーロッパバージョンでいくと、やっぱり教会とかそういうものが中心になってのボランティアで、やっていけば自分も精神的に救われるという部分があって、今日までやってきた。そういう点がある。
もう一点、第四点目は、介護保険のときの状況と違ってきている部分というのは、介護保険によって、先ほども前川局長が近藤さんに答弁をしておられましたけれども、やはりこれは社会福祉法人自体のいわゆる選別が行われるんですね、どうしても。二代目、三代目でぼうっとしているような社会福祉法人はつぶれていく。逆に、本当にまじめに熱心にやっているところは--正直な話いうと、昔の措置制度がいいなんていっていません、これはっきりいうと。今の中でもって生きていくのだという決意を非常に込めていっていらっしゃる方もいる。昔の昔へ引き戻せなんて某政党がいっていらっしゃるけど、これは全然そんなこといっていません。今のままで生きていくのだというような、非常に前向きな答え、考え方を持っていらっしゃる。
今申し上げたそういう四点の介護保険にかかわる大きな溝があるのだなということを、この問題を通して私自身感じました。
そういう中で、まず第一点目は、これは石原知事が介護保険というもの、それから今私が若干申し上げましたけれども、日本型の福祉というもの、それから同時にやはり、今おっしゃったように、日本の国、あるいは国家なり東京都なりが、福祉はもちろん大事でありますけれども、はっきり申し上げて、バランスのとれた発展をしていかなければ福祉もあり得ない。そういうバランスのとれた福祉といいますか、国家、都市がなければ、福祉の財源だって稼げないわけですから、はっきり申し上げて。そういったバランスを持った国家、都市というものを考えた上で、そして今日の、るる申し上げましたけれども、介護保険というものを知事がどうとらえられ、どういう考え方をお持ちなのか、長々と申し上げましたけれども、まず伺いたいと思います。
○石原知事 今最後におっしゃったバランスというのは、いろいろな解釈があると思いますが、福祉に関して申しますと、従来いわれている高福祉・高負担、低福祉・低負担というものが、正当なバランス感覚だと思います。しかし、それだけで律し切れる問題ではありませんから、いろいろな措置を講じなくてはいけないわけでありまして、まさにおっしゃったように、社会の変化、その中には経済の動向の変化もありましたし、年齢の構造というものも変わってきましたし、そういう中で、やっぱり歴史の変化に応じた措置というものを、福祉という大事な行政でもとっていかなくてはいけないと思います。
そういう点で、おっしゃったように、従来ばらばらだというか、なかなか間隙が埋められなかった福祉と医療の二つのゾーンというものを束ねるといいましょうか、複合化する措置として、今回の介護保険というのは講じられたと思っています。そういう意味では、歴史的な意義は大変にあると思います。ただ、やっぱり人間のつくった制度でありますから、いろんなひずみもございますけれども、いずれにしろ、行政によって一方的に物を施すということではなくて、契約によって個々人が自分の要求というものもかなえていくという方式を導入したわけで、福祉の構造改革にとって歴史的な役割を果たす措置だと思っております。
○白井(常)委員 次に、前川局長とのお話、質問をしたいと思っておりますが、具体的に、先ほど申し上げた第一点の経済状況の現在置かれている厳しさの中で、今私いろいろな方と話をし、現場を踏んでみまして、一つこんなことがありました。
一つは、逆に、年金生活者の中で、五万、六万、八万もらっていらっしゃる中で、その方自体はやっているんで、いまだ頑張っておられるのだけれども、保護者の方が結局経済破綻を起こしている。したがって、逆に、六万、八万の生活費、年金を、逆にいうと当てにしちゃっている。そういう方が百人のうち二人か三人いるんですね、現実問題として。そういうのは、後ほど申し上げますけれども、社会福祉法人が、かといって、お金はもらわないけれども、やっているのに、あなた出なさいというわけにいかないので、一生懸命頑張っておりますというふうな声も聞こえてきております。
そういったことを考えてみると、先ほど申し上げましたけれども、介護保険に関係しまして、低所得者対策について具体的に伺っていきたいと思っております。
まず、今お話し申し上げたような感じの話は、局長は聞いておられますか。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今ご指摘がございましたが、当然不況の影響もありますし、そうでなくても、現実に生活に困窮していらっしゃる方がいるということは、もう十分承知しております。その方々が、例えば、本来は生活保護の対象でありながら、生活保護は受けないでやっぱり頑張ろうとか、あるいはいろんな事情があって受けられないとか、そういう方もいらっしゃるということも承知をいたしております。
私どもは、こういった問題が決してなおざりにされていいとは思っておりませんし、都としても、あるいは国としても対応すべきだろうと、そういう問題意識は十分持っているつもりでございます。
ただ、その問題と、これはきのうもお話し申し上げましたが、介護保険制度の保険料とか利用者負担をどうするかという問題とは、これは根本的に違うであろうというのが、私どもの認識でございます。
○白井(常)委員 局長ね、おっしゃるとおりで、保険制度の問題云々ではないのです。これは社会状況の話を申し上げておりました。制度については、これから話を申し上げたいと思っております。
介護保険制度の中でも、我が党の方で本会議でも質問をさせていただきました。また、私どもの党の方では、この二十一世紀健康日本の構築と活力と安心の生活大国を目指してというような重点政策を掲げておりまして、その中におきまして、いわゆる介護保険料や利用者の負担への対応という問題を取り上げております。特に、社会福祉法人による減免措置などがより多くの自治体で実施されるように、周知徹底を図っていきたい、こういうことも申し上げているわけであります。
そこでまず、国の特別対策の中で、この社会福祉法人等による利用負担の減免措置において対象サービスとされているのはどのようなサービスか、伺いたいと思います。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 お尋ねの減免措置の対象サービスは四つございまして、特別養護老人ホーム、ホームヘルプサービス、デイサービス、ショートステイ、この四種類の介護サービスでございます。
○白井(常)委員 今お話のあったホームヘルプサービスなども四種類に限定されているということでありますけれども、これ以外にもいわゆる訪問看護などのサービスがあるわけですね。こういった問題について、ホームヘルプサービスも訪問看護も、利用者から見れば同じじゃないか、しかも重要な問題ではないのかという声が聞かれるわけですけれども、この四種類のサービスに限定した理由は、どういうところから来ておりますか。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 これは恐らく歴史的な経緯が大きいのだろうと思います。介護に関連して提供されてきたサービスは、今申し上げました特別養護老人ホームとかホームヘルプサービスがかなりのウエートを占めたと。しかもこのサービスが、これまで主として社会福祉法人によって提供されてきたということであろうと思います。こういう理由で、この四種類のサービスに、この減免措置の対象は今のところ限定されているというふうに理解をしております。
○白井(常)委員 そういうふうな理由で限定をされていると思いますけれども、いわゆる介護サービスを必要としている高齢者の方にとっては、ホームヘルプサービスも訪問看護サービスも、減免してほしいという事情は全く変わらないわけでありますね。したがって、より多くの介護サービスを対象とする必要がある、こう思うわけです。この介護サービスを含めた枠というのは、拡大しても、これは根幹には響かないものではないかと思うのですが、それはどうですか。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 実際にこういうサービスを提供する場合には、先ほど知事のお話にもありましたが、ケアマネジャーがいろんなサービスを組み合わせるわけでございます。そうしますと、この四種類に限りませんで、いろんな福祉サービス、医療サービスが総合的、一体的に提供されることになります。そうしますと、当然利用者の立場からいたしますと、この減免措置の対象サービスは可能な限り拡大されることは望ましいことであろうと考えております。
○白井(常)委員 局長、そのサービスの拡大ということをぜひ図っていただきたいと思います。
同時に、このサービスとか、特に特定のこれをやりますと、法人自体の負担が、先ほども質問、また答弁がございましたけれども、多くなるわけですね。この措置において、法人にとっての負担の仕組みといいますか、これは何回も伺っておりますけれども、なかなかややこしい話なので、もう一度伺っておきたいと思います。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 介護サービスにおける利用者負担は、ご存じのとおり、全体のかかったコストの一〇%でございます。この一〇%を、社会福祉法人が生計困難者に対し減免をする。そうしますと、その減免した額を仮に一〇〇といたしますと、そのうちの一%までは、減免した全額が社会福祉法人側の負担となる。一%を超えた場合は、その部分について社会福祉法人と公費とで折半して負担する、こういうルールとなっております。
○白井(常)委員 そうすると、一%の部分まではすべて法人の負担となるわけですね。それ以上の部分については、公費の負担と法人の負担で半々ということでありますけれども、法人が減免した額によって割合が変わるということですね、そうなると。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 ご指摘のとおり、今、法人の減免の割合は、二分の一から全額まで可能になっておりますけれども、確かにご指摘のとおり、年度が終了してみないと、それぞれ負担額は確定しないという仕組みとなっております。このことが、本措置が活用されない理由の一つであろうというふうに考えております。
○白井(常)委員 さらに、特別養護老人ホームの場合は、先ほど申し上げました三党の合意といいますか、自民、公明、保守の三党ですね、この合意によって、いわゆる法人負担に関して特例が設けられたわけですね。これはあんまりPRされていませんけれども、この内容は、どんな内容ですか。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今お話のございました昨年秋の与党三党の合意によりまして設けられたと聞いておりますが、これは法人が、今申しましたように、生計困難者に対し、利用者負担を減免した場合、先ほど、その負担額が一%を超えた場合は、その超えた部分を法人と公費で折半すると申し上げましたけれども、特別養護老人ホームにつきましては、さらに法人による減免額が五%を超える場合は、その超える部分の全額を公費によって負担するという特例が講じられております。
○白井(常)委員 ただ、いずれにしても、法人側の負担は極めて重いものであります。私は、法人側の負担の軽減をさらに図っていくべきであると考えます。先ほども前川室長から、制度の根幹は堅持しつつ、法人側の負担を軽減できるように、区市町村が制度の中で工夫を凝らすことは必要なことと認識していると、非常に前向きの答弁がありました。ぜひとも今の話をさらに拡大をして、何でもかんでもというわけでなくて、やはり選別をして、必要な方には必要なもの、必要でない方には必要でないものは除いていくという、こういうはっきりとした部分ということを考えていく上においても、この拡大を図っていくべきではないかと思います。
私どもが、現実、今まで提案をさせていただいておりますけれども、今お話しのとおり、介護保険というのは、これは完璧なものであるというふうに思っておりませんし、一遍にできるわけもないと思っております。ただ、長年のいろんな議論の中で今スタートしたわけであります。同時に、今お話しのとおり、五年後の見直しということがありますけれども、今はその大きな点で申し上げましたけれども、種々のやはり問題点はどんな制度でもあるのは当たり前でございます。そういったことを考えて、私、今、サービスの種類、あるいは社会福祉法人の負担の軽減等々のことを申し上げたわけですけれども、これらの問題に対する知事の所見を伺いたいと思います。
○石原知事 いずれにしろ、介護保険制度というのは、国が福祉という国家的な行政の事業のかじ取りを大きく変えたわけでありまして、そういう新しい制度の中で、いろいろな矛盾もあるでしょう、それが一番先鋭にあらわれてくるのはやっぱり東京だと思いますから、それをはっきり見きわめて、東京なりの措置もいたさなくちゃいけないと思いますけれども、やはり制度そのもののさまざまな瑕瑾を東京から鋭く指摘することで、このかじ取りが結果として正しかったという評価を受けるような、そういう共同作業を、都議会の意見もしんしゃくしながら、国に向かっても持ちかけたいと思っております。
○白井(常)委員 今、知事から非常に力強い話をいただきました。これはすべての点で、今、全国の自治体はもちろんそうですけれども、東京から日本を変えようという知事の、あらゆる部分の、福祉に対する決意ではないかと思います。
また同時に、もう一点は、先ほど申し上げた中の介護保険にかかわる、また福祉全体にかかわる、ボランティアという問題ですね。これは日本になかなか定着しないと、先ほど--まじめにやった方々に対しては失礼な話でございます。まじめな方はまじめにボランティアを一生懸命やっておられますので、つけ加えておきますが、そういう中で、一つ、このボランティアという問題が、どうしても福祉の問題とは切り離せない。
阪神大震災とか、ああいった大きな突発的な事故の場合に、ボランティアが非常に活躍されることももちろん事実でありますけれども、福祉というのは、長年時間をかけてやらなければならないというものでありますので、そういう点では、このボランティアの精神といいますか、考え方というのを、ヨーロッパ型というのはなかなか難しいでしょうけれども、日本のボランティアというものの方向性をつくっていくためにも欠かせないのは、やはり教育だと思うんですね。
そういう面で、今日までも頑張っておられるわけですけれども、教育長は、福祉におけるボランティア教育というのを、これはぜひ推進をしていただきたい、こう考えるわけですけれども、東京都における福祉のボランティア教育というのはどうなっておるのか、ちょっとお話を伺いたいと思います。
○横山教育長 現在、学校におきましては、特別活動あるいは総合的な学習の時間の中で、高齢者施設や福祉作業所の訪問体験、あるいは児童生徒の心身の発達段階に応じて、さまざまな体験学習を行っております。
学校におきますボランティア活動は、児童生徒が、高齢者や障害者との触れ合い、あるいは介護体験等を通しまして社会奉仕や思いやりの心を学ぶ上で、極めて意義があるものと考えております。
都教育委員会としましても、今後とも、各学校が、関係機関と連携を図りながら、介護体験等のボランティア活動を推進するよう指導助言してまいります。
○白井(常)委員 前川局長、いいですか。もう一点、この介護の保険じゃありませんけれども、福祉の問題でちょっと申し上げておきましたけれども、私ちょっと気になった話なので申し上げるんですが、いわゆるシルバーパスの問題ですね。
ちょっとお話をしておきましたけれども、シルバーパスが、制度が残されて、千円、五千円という制度でやって、今残っておりますし、また、せんだっても質問がありましたが、細かい話はいたしませんけれども、シルバーパスのいわゆる利用状況といいますか、今までの利用状況、そして今日までの、千円、五千円となった場合の利用状況というのをちょっとお聞かせください。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 シルバーパス事業の実績ということでご理解してよろしいかと思いますが、十一年度と比較をして、十二年度につきまして発行実績を申し上げますと、九月の一斉更新から十二月の末までの発行状況でございますが、七十一万三千八百七十七人と、十一年度と比較すると約十万人ほど減っております。十二年度は、今申し上げた内訳が、千円の方が約五十四万人、それから五千円の方が十二万八千人、それを超えて、二万五百十円を負担する方が約四万三千人という形になっております。
○白井(常)委員 局長、現状を申し上げますと、この内容というのは、シルバーパスがどうのこうのじゃなくて、制度が残り、私どもこれを推進したわけですから結構なんですが、今までシルバーパスというのは、大事にお使いになった方は使っていらっしゃる。
だけど、現実問題として、シルバーパスをもらっても、布団の中に入っていたり、神棚に入ったり仏壇に入ったりと、こういう方もかなりいた。それは、現実問題として、この千円、五千円といいますか、今話のあったこういう制度になって、逆に、使う方が、要するにそういう意欲を持って使っていらっしゃるという部分では、いろいろな問題点もあるし、いろいろないい部分もあるでしょうけれども、これは現実の対応になってきたなと私は思っているわけです。
そういう中で、どこかの委員会でお話が出ていましたけれども、このシルバーパスの利用というものを、磁気か何かでこれから感知していくというか、調査を、利用実態をやっていくという話をしておられたように思うんですけれども、ちょっと内容をお聞かせください。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 これは、現行のシルバーパスをお使いになる方の場合に、パスを提示する方式というのが、やっぱり使っているということが一目瞭然になると。そういう意味で、どうしても使用が遠慮がちの意識になる方がおられると聞いているわけであります。
そういう意味で、磁気カードにすることによりまして、一般の方と同様に利用できる、そういうご期待であろうかと思っております。それについて、私どもとしても検討はいたしたいというふうに考えております。
○白井(常)委員 これは今、何度もいわれているように、東京都のシルバーパスに現時点でかかっている総額は幾らですか、予算は。アバウトでいいですよ。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 データを探すのがあれですが、とりあえず十三年度の予算を申し上げますと、百三十一億でございます。
○白井(常)委員 これはもう一言で終わりますけれども、十三年度そういう予算を使っておられるわけですけれども、今までのこのシルバーパスなりをつくってきた背景なり、あるいは過去の経緯を見ると、いろいろなものがあると思います。一概にどうのこうのということはないでしょうけれども、いうつもりもないんですが、これは、利用実態によって、東京都もよく話し合いをして、この支出というものを、今後、将来の方向としては考えていくべきではないかと考えておりますが、いかがでしょう。
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 ご質問の趣旨は、ご利用になっていらっしゃる方々の実態をよく把握してということでございましょうか。それは……
〔白井(常)委員「実態に対しての代価を支払うということですね」と呼ぶ〕
○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 調べるということでございますね。それは、いろいろな形で把握するよう努力いたしまして、より実態に即した、先ほどの磁気カードの問題等ございますけれども、それも含めて、実態に即したものにしていきたいと考えております。
○白井(常)委員 そういうことでございまして、深く申し上げませんけれども、その辺よく、今後、東京都の財政的な問題、また利用者の実態等を踏まえた上で、透明性のある、明るい、そういうシルバーパスを堅持していくためにも、実態をしっかりと把握してやっていくべきじゃないかと思います。
福祉の問題は以上です。
次に、これはだれが悪い、かれが悪いという話じゃなくて、環境の問題につきまして、若干話をさせていただきたいと思います。
環境問題、知事は、ディーゼルエンジンということで、マクロ的な立場から、非常に衝撃的な提案をされて、喝采を浴びておられます。そういった大きな話と、これは逆にミクロ的な問題で、個々の問題で恐縮でございますけれども、まず一つは、最近起こった個々の問題における対応ということを申し上げたいと思います。
一つは、これはかつて、二年ぐらい前ですか、福永副知事にも陳情させていただいたことがあると思うのでございますけれども、いわゆる産廃の不法投棄という問題で、かつて陳情申し上げたことがございました。この産廃の不法投棄というのは、東京都においては、今どういうような状況を掌握しておられるのか、伺いたいと思います。
○中野環境局長 都内における産業廃棄物でございますが、都内から排出される産業廃棄物のその処理の多く、大体八割近くが今他県に依存しておりまして、残念ながら、その一部には、他県で不法投棄などの不適正処理をされているというような状況にございます。
このため、私どもとしましては、産業廃棄物の適正処理のために、小さな芽のうちに刈り取る、そういう視点から、産業廃棄物処理業者の適切な指導、あるいは厳重な取り締まりとあわせて、各自治体と連携した広域的な取り組みを進める必要があるだろうということでございまして、先般、東京都を中心とした首都圏二十一、一都十県十市の広域的な自治体で構成いたします産業廃棄物不適正処理連絡協議会というものを立ち上げまして、不法投棄などの不適正処理の未然防止に努めているところでございます。
○白井(常)委員 時間がないので、要点だけ申し上げておきます。
まずその一点は、せんだっても新聞に、医療廃棄物の不法投棄というのが出ておりました。同時に、今申し上げた、福永副知事に陳情申し上げたのは、いわゆる八王子の西寺方というところにある不法投棄ですね。これは、ちょうど十五年ぐらい前、下手すると二十年ぐらい前から不法投棄していたんですね、現実は。それで今日まで来て、せんだって、去年ですか、警視庁の捜査を受けたと。それはいいんですけれども、その後もずっとそのまま積んでいるわけですね、八王子の西寺方のあれが。これは、どういうふうな経過で、どういう内容で、どういうものがずっとここに積まれているのか、どのぐらいの量なのか、ちょっと伺いたいと思います。
○中野環境局長 ただいまお話しの摘発された事業者は、無許可で産業廃棄物の処理を受託しまして、そのまま放置するなど、不適正処理を行っておりました。今お話しのように、警視庁は、平成十年四月に無許可営業で業者を逮捕いたしました。
都といたしましても、同年八月、この事業者に対しまして廃棄物の撤去を命じ、燃え殻約百五十トンが撤去されましたが、同社は十一月に倒産をしてしまいました。また、処理を委託した事業者に対しましても指導を行い、平成十一年二月に燃え殻約三百十トンを撤去させましたが、ご指摘のように、まだ大部分が放置されたままの状態にあるということでございます。
違法投棄されました産業廃棄物の種類ですが、ただいま申し上げました燃え殻ですとか、廃プラスチック、あるいはガラスくず、コンクリートの破片などでございます。
○白井(常)委員 これは、局長がどうのこうの、環境局が悪いとかなんとかという話じゃないんですけれども、制度の問題だから申し上げておりますのでね。
そういったことなんですが、現実問題として、約六万トンのものがそのまま放置されておりますよね。これは、正直な話、捨てるやつが一番悪いんです。もうどうしようもないんですけれども、現実問題そうなっていると。これは、もちろん発生者責任であることも事実であります。ただ、現実問題として、これがずっと置きっ放しでいるものですから、燃え殻というのは、住民にとっては、これはダイオキシンがあるんじゃないかとか、うわさがうわさを呼んで、川の中に変な魚が泳いでいるとか、正直な話申し上げると、そういうのが飛び交うわけです。それで、これはずうっとそのまま置いているわけですけれども、そういう実情はご存じですか。
○中野環境局長 お話のように、不法投棄をした事業者には、私ども引き続き措置命令の履行を求めるとともに、処理を委託した事業者に対しても、撤去の指導を進めております。
お話のように、周辺の住民の方も心配されているという状況もございまして、周辺環境への影響につきましては、現在、都と八王子市とで連携して、大気や水質などの調査を実施しているところでございまして、この調査結果を踏まえまして、必要な措置を検討していきたいというふうに考えております。
○白井(常)委員 それで、東京都も八王子市も調査をされるということなので、非常にいいことなんですが、なぜきょうここで質問するかといいますと、ご案内のとおり、平成十年以降に、そういったものについては--例の瀬戸内海の豊島の問題がございましたね、それで処理されるんですけれども、単年度予算で来ているものが、今年度の、事実上三月で切れちゃうんですね、そうすると。平成十年以前の、そういう不法投棄物処理の割合、国の予算が切られちゃうということがあるんですよね、これは。
したがって、もちろんこれは感情的にいえば、現実問題として、発生者がとんでもないやろうなんですけれども、ただ、住民側にとっては、これはどうすればいいんだという話になるわけですね。それが、今おっしゃったように、調査をすれば、ダイオキシンがどうだということは内容がわかってくると思うんですけれども、その調査のいわゆる時間的なスパンといいますか、タイムスケジュールと、今、国の、いわゆる平成十年以前のは今年度で切れてしまうという部分があるんですよね。
だから、私はここで質問を申し上げて、これは局長でなくて、知事に国の方に働きかけていただきたいなと思うのはそういうことなんですね。これは、十年以降のはいいんです。十年以前の、例の豊島の問題が起こって、単年度で予算が組まれておりまして、これは通達がありましたよね。通達があって、今年度で終わりになってしまうと。そうなると、どうしようもなくなってくるという点が一つ。これは知事に伺いたい点。
もう一つは、局長、これはもう大変な予算がかかりますから、場合によっては、コンクリートで固めるとか、何か多少、お金がかからない方法で、安全な方法があれば、また知恵を出していただきたいなと、これは局長へのお願いであります。
○中野環境局長 ただいま環境調査をしておりまして、その環境調査を待って、必要な措置を講じていきたいというふうに考えておりますが、その場合に、今お話しのように、国の補助制度がございます。平成九年六月、廃棄物処理法の改正によりまして、不法投棄の原状回復を支援する基金制度が創設されましたが、この制度は、原状回復に要する費用の四分の三以内を支援するものでありまして、平成十年六月以降に発生したものに限って対象になるということでございます。
また一方、これとは別に、今申し上げました基金制度が適用されない、平成十年六月以前に発生しました不法投棄に関しましては、費用の三分の一以内を助成する国庫補助制度がありましたが、お話のように、この制度は平成十二年、今年度限りで終了するというふうな仕組みになってございます。
○石原知事 不法投棄などの産業廃棄物の不適正な処理は、あくまでも未然に防ぐことが肝要でありますけれども、しかし、なかなかそうはいきません。ですから、生活環境にも非常に悪い影響を与えておりますが、結局、最後は都道府県がしりぬぐいをせざるを得ないというのが現況でありまして、今ご指摘の、国の会計年度制度、単年度制度は、非常に弊害がありまして、こういう問題に限らず、飛行場の建設とか、集中的にやれば済むことを、だらだらやるから結局被害が広がるといううらみがございます。
今回の、与党三党から依頼がありまして、東京が中軸になってつくりました首都圏の再生計画の中の、これは公明党の方から強くサジェスチョンもありましたが、七都県市が共同して、この首都圏のそういった問題を処理するエコタウンのようなものを、新しい技術もあわせて何とか造成していこうじゃないかということも、こういう問題の役には立つと思いますが、産廃というのは、非常に特殊な物質といいますか、ボリュームが多くて、かえって処置にてこずる、つまり、スペースの問題がかかわってくると思いますけれども、こういった問題も、やっぱり七都県市が協力しながら、国にある形で強く要請するということで何とか打開していきたいと思っております。
○白井(常)委員 ちょっと時間がございませんので、いろいろ問題を提起しておりましたけれども、はしょらせていただきます。関係の方にはまことにおわびを申し上げておきます。
最後に、多摩の振興の問題で一点だけ伺っておきます。
かつて知事に、いわゆるTAMA活性化協議会の問題、あるいは、いわゆるインキュベータールームの問題ということを質問させていただきました。その結果、いわゆるSUMIDAであるとか、今回八王子でありますとかという、いわゆるインキュベータールームといいますか、大きな評価をしております。
今後、一つは知事に伺っておきたいのは、インキュベータールームから出ていって、要するに、くちばしで殻を破って出ていく、こういうのが若干出てきている。これは岐阜の大垣なんかの場合は、あそこの知事は、知事もご存じのとおり、非常に積極的にやっていらっしゃる。そのインキュベータールームから上がってきた企業に対して、もう一歩、いわゆる手を差し伸べるといいますか、手を差し伸べるというと甘いかもしれませんけれども、もう一歩上げてやる、こういうようなことを考えるべきではないかと、こう知事に質問をして、終わりにいたします。
○石原知事 おっしゃるとおりでありまして、一種の発明に熱中している連中は、発明に成功しても、その後それを会社としていかに組み上げていくかということは案外無知でありますから、そういう専門家を備えて、株式会社をどうやって登記するか、登録するか、幾ら金がかかるかとか、そういったものも相談に乗るセクションを講じております。
しかし、大事なことは、卵が、中のひなが実際にくちばしで殻をつついてかえってくれることが必要でありまして、千三とはいいませんけれども、あそこに居を構えている若い人たちがどの確率で成功するかということは、なかなかにわかにはいえませんが、いずれにしろ、もしそれが成功したならば、殻を破ってきたならば、その後の育て方も、やっぱり都は都なりの責任を持って、そういう体制をしこうと思っております。
○前島副委員長 白井常信委員の発言は終わりました。(拍手)
この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
午後二時五十九分休憩
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