東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○田村委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第二十九号議案までを一括して議題といたします。
 昨日に引き続き総括質疑を行います。
 近藤やよい委員の発言を許します。

○近藤委員 まず初めに、女性財団についてお尋ねいたします。
 選挙云々というようなことを知事おっしゃいましたけれども、私は、選挙に関係なくこの問題を取り上げさせていただきたいと思っております。
 東京都は、全国に先駆け、男女平等参画基本条例を制定し、男女平等参画社会の実現に向けて新たなスタートを切りました。国の男女共同参画社会基本法に対して、平等という言葉にこだわったのは、当時の部長の答弁で、男女平等ということが今なお十分には達成されていないということから、あえて条例の名称に平等という名前を盛り込んだということを聞いております。本条例は、各会派の立場を超えて、石原知事の提案のもとに、全会派一致の採択をしたものであります。
 そこで、改めて知事がお考えになる男女平等とは何なのかについて、お伺いいたします。
 最近では、家庭のことが書かれたご本も出ておりまして、いろんなプライベートな家庭の知事のお姿も、私たち都民、興味を持って拝読させていただいているところでございます。知事としての公の立場、そして、石原慎太郎、父親、または、家庭に帰られましたら、奥様を持っただんな様として、そんなところにも踏み込んでご答弁いただけたら、大変にありがたいというふうに思っております。

○石原知事 紋切り型になるかもしれませんが、私は、男女は決して等質のものではないと思っております。しかし、平等であるべきだと思いますし、平等であることは当然だと思います。しょせんこの世は男と女でありますから、それぞれ個人個人が、社会のあらゆる分野で能力を十分に発揮できることは、社会のダイナミズムというものを維持するためにも不可欠なことだと思います。
 先般の男女平等参画基本条例も、こうした基本的な認識と理念のもとに、全会派一致で制定されたものと心得ております。
 ただ、最近は、随分強い女の人も出てきましたし、か弱い男も出てきまして、いささか風俗的には、私にとっては解せない現象もいろいろありますけれども、いずれにしろ、基本的には、異質である男女が平等であるべきだと思っております。

○近藤委員 今知事も触れられまして、この問題を取り上げるに当たったときに、我が党の男性議員からも、女性財団だけがあるのは逆差別じゃないかと、男性財団があってこそ、初めて平等といえるんではないかというようなお話も出ておりました。ただ、まだまだ現実の問題として、就職問題等、女性が社会に出て仕事をし、または働きながら子どもを産み育てるといったことには、女性固有の問題もつきまとっていくわけです。
 そういった女性問題ということで、女性財団、女性財団の寄附行為というものを見ると、すべての事業にわたって女性問題に関する云々ということがございます。まだこの女性財団が設置された当時は、女性の地位というもの、女性の問題というものが、女性固有の問題であったのかなというふうにも考えますけれども、今申し上げましたように、女性が社会に出て働いていくということについては、もちろん、男性の理解も必要ですし、社会そのものの理解も不可欠のものだというふうに思います。
 そうしますと、昨今の女性が抱えている問題というのは、女性固有の問題ではなくて、男性にとっても課題であり、社会そのものにとっても課題であるということで、ただ単に女性だけの問題、女性だけの問題を解決すればすべてがいいんだというような紋切り型のと申しますか、単純な問題ではなく、当時、局長も答弁されておりましたように、条例が入ったことで、女性政策、女性の問題というものも新しいステージを迎えたんではないかというようなご見解も、生文局長は示されているところでございます。
 また、財団の運営につきましては、今回初めてメスが入ったわけではなくて、総務局が過去三回、経営評価によって、財務、事業、組織などの観点から、そのあり方を検討してきたわけです。
 例えば、一つ問題を指摘させていただきたいと思いますが、ウィメンズプラザのありますホールの運営は、都が財団を通じて委託をしている委託事業でございます。委託といいますと、民間の事業者に委託をするというイメージがあるわけですけれども、実際に委託を受けた財団の職員、また、一年を通じてホールを開館するために仕事をしている職員というのは、すべてこれ都から派遣されている職員であります。
 つまり、委託といいながらも、実際に直営とは何ら状況が変わらない、直営と全く同じような状況の中で、委託とは名ばかりの事業が行われてきたという現実を私思うんですけれども、この過去六年間、こういった状況について生活文化局としてはどのようにとらえられてきたのか、これについて、何ら改革、改善をしようとする動きがなかったんでしょうか。
 この六年間の間には、見直し、見直しといっても、たった一人の職員の削減しかしていない。このことで総務局は三回改善を持ってきたんだけれども、財団、そして局と改善の傾向が見られなかったということをいっております。これについて局長のご答弁をお願いします。

○高橋生活文化局長 今回の廃止の方針が出る過程の中で、財団のさまざまな問題について自主的な努力を促すような、あるいは、今職員の問題もございましたけれども、そういうことを指摘したものについてやってきたかということだろうと思いますけれども、今回の十二年の抜本的な見直しの前に、民間の活力ということでできた経緯がございますので、そういう中で自主的な歳入の努力であるとか、あるいは人材の活用というふうなことがうたわれておりまして、そういうことについて十分ではないというのが、九年、十年等指摘ございまして、これらについて、財団にもこの指摘事項について申し入れをし、一部の刊行物の収入の努力であるとか、あるいは職員等も、わずかでございますが、一名削減するというふうな努力をしてきたつもりではございます。
 しかしながら、なかなか基本的な自立的な経営という抜本的なところの部分については、なかなか困難であるというふうに思っております。

○近藤委員 財政的な問題が一つの根本的な要因だということはよくよく存じておりますけれども、今局長がおっしゃった、いわゆる民間の活力を利用するということが財団の趣旨だというお話でございましたけれども、結局、非常勤の職員、専門員ということで雇われている方は十三人、これは主に電話相談等の相談業務に従事しているわけですけれども、それ以外の財団の根幹の部分を担っているのは、すべて都庁の職員、派遣職員という中で、局長のおっしゃる民間の導入というのは、どのようなところにどうすることをお考えなんでしょうか。

○高橋生活文化局長 人事の面で申しますと、当初、相談員等で、民間の方の非常勤を採用することを通じて、この問題についての造詣なり知識がある方たちを登用するというふうなことで、非常勤の方々を登用したり、あるいは館長等を関係の民間の方を登用するというふうな形でやってまいりました。しかしながら、事務局の職員等については、ご指摘のとおり、固有のあるいは民間の人というふうには至っていないのは事実でございます。

○近藤委員 ですから、今回初めて指摘されたわけではない、同じような課題を過去に何度も何度も指摘されながら、局も、積極的にその改善を進めてこなかったという現実はあるかと思います。それでここに至って即廃止だということにつきましては、今までの改善がなされなかったということも含めて、それでいいんだろうかと、局が十分な努力を払った上での廃止の決定というふうにはとても関係者には思えない、そういう印象を与えてしまうということは現実だと思います。
 そして、さっき私が申し上げたように、女性問題が女性固有の問題ではないということの中で、例えば、女性が働いて子どもを育てる保育の問題、または教育の問題、社会に出て仕事をするときの労働の問題等もございます。ですから、今女性問題というのは、事生活文化局固有の問題ではなくて、さまざまな局に女性問題、女性関係の政策というものが分散している。これは、ただ単に女性問題だけではなく、事あるごとに、縦割り社会の弊害というのは指摘をされているわけでございます。
 ただ、話では聞いておりましたけれども、ここまでその状況というのが深刻というか、根が深いのかなということを今回初めて知りました。
 女性財団の方で、女性の就労をテーマにした講習会、いわゆるセクハラ等の防止も含めて、企業の人事労務の担当者を集めて、管理をテーマにシンポジウムを開いたことがございます。その開きましたことを受けて、ある局から、これは主管が違っているんじゃないかというような抗議の文章が財団に寄せられたわけです。長いものではありません。部分的に読ませていただきますけれども、東京女性財団の実施する事業は、各局の主管とする事業がかかわるが--間は抜かしますが、事業の重複や情報の誤り、都民が主管部局を誤認しかねない等の弊害が生じている。
 これがある局から財団に寄せられた文章でございますが、私たち、一都民の立場に立てば、この事業の主管局がどこであるというようなことは全く問題ではない、きちんと女性施策に対応した、このニーズにマッチした事業を都が展開してくれるかということがすべてでありまして、別にその主管が誤認されかねないというようなことは、私たち都民にとっては、何の課題でも問題でもありません。
 ということで、労働、教育、福祉等の各主管局が実施する事業等の競合を財団は避けるべきであるというふうに書かれております。
 ですけれども、私が再三申し上げておりますとおり、問題が複合的なものでございますので、これは労働局がやるよ、これは福祉局がやるよ、これは教育庁がやるよというようなことではなく、私は、逆に積極的に、条例が入った後でもございますので、財団が今までのような一部の事業、なかなか都民に開かれない、一部の方だけに利用されているような財団から、今申し上げました各部局に分散しているような事業をすべて一つの受け皿として受けとめて、二十一世紀にマッチした、いわゆる複合的な施策を展開していく一つの受け皿として大いに利用されていった方が、逆に各局に分散して事業を行っていくよりも効率的であるというふうに考えますが、これについて局長はどのようにお考えになりますか。

○高橋生活文化局長 かつて労働講座の関係で、今先生のご指摘のようなことがあったという話を私も漏れ聞いておりますけれども、私ども生文局、まさにネットワークの局でございまして、各局の縦割りの事業を男女平等の観点からどういうふうに推進していくかというのをまさに所管している局でございます。
 今、財団との関係で、財団とある局との関係でそういう話があったというお話ございましたけれども、まさに直営をすることを通じて、より行政機関同士の調整も十分できるのではないかと。そういう意味で、まさに条例、あるいは行動計画という、全庁を挙げた計画をつくり、さらに、現場と本庁というものが一体となって、今のような調整が可能になってくるのじゃないかというふうに考えております。

○近藤委員 直営になることによって、今のような縦割りの弊害が避けられるというご答弁でしたけれども、所管局が生文であるということは、どの局も知っているわけです。ですから、課題につきましては、申しわけありませんが、今申し上げた縦割りの弊害の問題については、直営になったからといって決して解決される問題ではないというふうに思います。直営か民営かということにつきましては、いろんな考え方がありますので、ここであえて申し上げませんけれども……。
 そこで、一度知事が代表質問に答えられまして、財団が平成十三年度にみずから存廃を含めて検討するというふうに述べられました。もちろん、存廃という言葉には、存続と廃止という二つの意味合いがあるわけですので、今私が申し上げたように、財団が、ただ単に女性問題にとらわれない、二十一世紀の女性施策を広がりを持ったものとして東京都が展開していくための、全く新しい財団として生まれ変わるんだというような前向きな方向を、これから、財政的なものも含めて出してきた場合には、これは十三年度中にですけれども、前向きに同じテーブルについて、存廃といいますか、存続を含めて検討していただける余地があるんでしょうか。

○高橋生活文化局長 東京都といたしましては、財団廃止という方針を決定しているところでございますが、財団事業のあり方については、財団みずからが最終的には決めるべき事柄であり、また、廃止についてさまざまな意見があることから、存廃というふうにしたものでございます。

○近藤委員 今のままの状況でいきますと、理事会、評議会を経ないと、財団そのものの廃止ということは通っていかないわけです。ただ、人も引き上げる、予算もつけないという中で、もし理事会、評議会が解散に賛成をしなかった場合には、いわゆる休眠財団というような形で財団が今後残っていく、名ばかりの財団が残っていくということでございます。
 もちろん、財団には基本財産もありますし、そういったお金のことも含めて、休眠財団というものになる可能性と、そういった休眠財団というものを都はどのように考えられるのか、局長に伺います。

○高橋生活文化局長 法人等が休眠法人等になることですけれども、私、今現在は、直接公益法人の所管じゃございませんけれども、一般論として、休眠法人となるようなことは好ましいことではないと思っています。しかしながら、さまざまな事情により、現実問題として、直ちに休眠法人的な状態を脱し得ない団体があることも事実でございまして、女性財団につきましても、そのような状況を一刻も早く是正するためには、結論を早期に出していただきたいと考えております。

○近藤委員 十三年度中に存廃を含めて検討してくださいというお話でございました。十三年度中に財団が受け取ることのできる金額、収益といいますか、経費、お金は、財団が持っております基本財産から生じる果実、それと、今自主事業を行っております、つまり、書籍の出版、販売ですけれども、その収益、この二つは、財団が廃止されない限り、財団が十三年度も受け取ることができるということは、わざわざお尋ねすることでもありませんけれども、もし財団が、今まで行っている事業のほかに、都が引き継いでくださるとおっしゃっておりますすべての事業のほかに、何か自主的に事業を運営したいということになった場合には、そういう事業の運営形態として、都の補助ないし助成の対象として財団を考えるべきと考えますけれども、この点について、生文局長はどのようにご答弁なさいますか。

○高橋生活文化局長 基本的に存廃を含めて検討をいただきたいということで、今の状況はそういう状況でございます。それから、事業等も直営化になり、実質的な事業についても、都の事業としてやっていくということで考えております。
 しかしながら、その財団が検討を進める間に、最低限といいますか、必要な経費については、財団みずからが基本的には考える問題でございまして、今、先生からお話がありました基金の果実であるとか、あるいは刊行物の収入等、若干ございますけれども、そういうことをもとに基本的に財団みずからが考える問題でございますが、財団が自主的に最大限の努力を行って、なおかつ財団からの要請があった場合には、あくまで検討を進める間の経費についてでございますけれども、今回提案している予算の中で、時限的、特例的に配慮することも検討にはなるかというふうに思います。

○近藤委員 最後に申し上げておきます。先ほども申し上げましたように、時代が変わってまいりまして、新しいステージ、条例を受けて、これから新しい施策を展開していくというところでございますので、くれぐれも、先ほどのように、この労働に関しての講習はうちがやるんだから口出すな、また、教育に関しては、これがやるんだから黙っていろというような--今でもそんなことがまかり通っているということ自体、信じられない状況ですけれども、正式な文書として、ある局から財団にそういうものが出たということは事実でございます、昨年の六月のことでございますけれども。
 そういったことが、これから条例が出て、追い風になって、女性施策を積極的に推進してもらいたいという状況の中で、いまだにこういった都庁の実情というものが明らかになりましたときに、私たちは、はい、そうですか、頑張ってくださいとはいえない、安心してお任せできないような気持ちがいたします。さっきおっしゃってくださったように、関連するすべての局が横断的に仕事ができるような何とか仕組みを考えていただきたい、そのように思います。
 これは、知事と目が合ってしまいましたけれども、知事、一言ご答弁いただけますでしょうか。

○石原知事 これは、要するに、財団の当事者の能力の問題だと思いますよ。つまり、九九%都から金を出させて、常駐の職員は全部都から派遣して、それで、資本金だって、二百万はどこかが出されたようですけれども、あと三億近い金は東京都が出して、おんぶ日傘だったら、男だってできますよ、こんなこと。
 これはやっぱり、女性が自主、独立ということをいっていらっしゃるんだったら、その理念を掲げて、それを実現するための新しい施策なり、新しい、つまり方法なり発想というものはご自分たちで考えられて、それが非常に効率がよく、利益も上がるんだったら、それはおやりになったらよろしいと思うけれども、また新しい仕事をするから、また東京都は手をかせというのだったら、こんな甘えた話というのは世の中通らないと思うので、ですから、私は、女性の自主、独立、平等というものを確立するためのさまざまな事業をやられることは大賛成でありますけれども、女性財団なんて名ばかりで、全部あとは都が自主的にやるというのは、これはやっぱり、こんな財団というのは世の中通らぬと思いますね。
 だから、そこをひとつ積極的にこの一年間お考え願いたい。この拠出している金というのは、全部都民の税金ですから。やっぱり有効に使うんだったら、もっとほかの目的に有効に使ったらいいと思うし、職員だって、働く仕事だってほかにあるわけですから、そういうことをひとつご理解願いたいと思います。

○近藤委員 誤解のないように申し上げておきたいと思いますけれども、自主的に人員の問題等を考え直すことができた財団も多々あるというふうに、総務局の方から伺っておりますが、事女性財団については、先ほども申し上げましたように、局の方に内々にお話をしても、もう人員を張りつけられてしまって、つけられてしまうと。あの小さい財団に部長級、課長級は要らないよというようなことも、何度となく財団から申し上げていても、見直しがされなかったというような事実もございます。
 確かに、知事がおっしゃるとおり、私、評議員を務めておりますけれども、こういった廃止の問題が出て、初めて評議会に出ていらっしゃるような評議員の方もいらっしゃったのも事実でございます。
 そういったことも含めて、財団も、いい機会と受けとめて前向きに生まれ変わる、そんな前向きな方向で受けとめさせていただいて、私も、任期中は評議員という立場でございますので、最後まで責任を持ってこの問題に当たっていきたいというふうに思っております。そして、願わくは、選挙でまた当選させていただいて、継続的にこの問題を知事と考えていかれるように頑張っていきたいというふうに思います。
 次に、介護保険について伺います。
 今回の本会議における我が党の代表質問において、佐藤幹事長の方から、介護保険制度における低所得者対策に対して、安易な軽減策は実施されるべきではないものの、真に必要な対策は講じられるべきだと質問をさせていただきました。これに対して室長からは、制度の根幹は堅持しつつ、真に必要な場合には、工夫を凝らし、制度上の仕組みなどを活用することは意義があるというご答弁があったわけです。
 この制度上の仕組みなどを活用するということを伺いましたときに、平成十一年十一月に政府が講じました特別対策のことをお話しになっているのかなというふうに、私なりに考えさせていただきました。
 特別対策の主要なものは、高齢者保険料の特別措置であったわけですけれども、これに係る所要経費は、東京都全体ではどのくらいになったのでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今、お尋ねがありました六十五歳以上である第一号被保険者の保険料の軽減分として、国から都内全区市町村へ、これは既に行われておりますが、約七百二十億円が交付されております。

○近藤委員 大分手厚い措置が講じられたというふうにいえると思います。
 介護保険制度は、広く薄く保険料を支払うことによって成り立っていく保険ですから、安易に保険料の軽減措置ということを考えるべきではないというのが私どもの会派の意見ではありますけれども、ただ、毎月毎月まじめに保険料を払いながら、実際にサービスを受ける側になりますと、支払わなければならない一割負担、これが重くのしかかりまして、満額受けたくても、自分が一割負担を納められる範囲にしかサービスを利用できないというような現実があることも、介護支援専門員の方々、現場ではよく耳にする言葉でございます。
 ですから、介護保険料ということではなくて、この利用者負担の軽減について、特別措置の中でも何点かうたわれていると思います。これについてご答弁を願います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 今お話がございましたように、介護保険料につきましては、私どもも、安易な軽減策は講じられるべきではないと考えております。
 その上で国が講じている特別対策でございますが、これは低所得者対策でございますけれども、大きく三つの内容から成っております。
 一番最初が、介護保険法が施行された時点でホームヘルプサービスを既に利用していた所得の低い方たちにつきまして、激変緩和の観点から、利用者負担を一〇%ではなく三%とする減免措置がございます。さらにこのほかに、社会福祉法人等による生計困難者に対する利用者負担の減免措置、さらに、離島等地域におけるホームヘルプサービスに係る利用者負担の減免措置も用意されております。

○近藤委員 今お答えになりました低所得者対策について、都内での実施状況はどのくらいになっておりますでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 ただいまの低所得者対策の都内での実施状況でございますが、第一のホームヘルプサービスにつきましての減免措置は三%ですが、ほぼ都内のすべての区市町村において実施されております。
 第二の社会福祉法人等による減免措置につきましては、現在、実施している区市町村はございません。
 第三の離島等地域における減免措置につきましては、檜原村において実施されております。

○近藤委員 今ご答弁がございました、現在実施している区市町村はないとお答えになりました社会福祉法人等による減免措置、これが利用されない理由は何でしょう。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 社会福祉法人等による減免措置が都内で活用されていない理由は、法人が減免を実施するわけでございますが、法人にとりまして経済的な負担が重いと。それに加えて、確認証の交付であるとか公費助成の申請など、事務的な煩雑さがあるためであると理解をしております。

○近藤委員 この仕組みについてご存じない方も多いかと思います。簡単に説明していただけますでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 社会福祉法人等による減免措置でございますが、この実施主体は、特別養護老人ホームを経営したり、ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイを提供する社会福祉法人や区市町村とされております。
 この措置ですが、こういった事業主体が低所得の方の利用者負担の一部を減免すると。例えば、一割のところを半分にするとかそういった場合に、法人等が受け取るべき利用者負担収入、この全体の一%を超える額については、一定額を公費で負担する。一%までは法人の負担でございます。
 なお、この措置の実施につきましては、法人だけではなくて、保険者である区市町村も実施に同意することが必要とされております。

○近藤委員 今、この減免措置の事業主体は、社会福祉法人と区市町村に限定されているというご答弁でした。私は、この制度が利用されないという理由は、一つここにもあるのではないかなというふうに思います。
 つまり、福祉改革推進プラン等において、都は、多様な事業者による競い合いを促すために、株式会社やNPO法人などの多種の事業主体が参入するようにというふうに図っていらっしゃるわけです。
 これを、事業主体を社会福祉法人に限定しますと、どうしてもサービスが偏ったところにしか提供されない。つまり、施設サービスにこの制度が特化してしまうのではないかなというおそれもあります。
 そうしますと、在宅でサービスを受けている方に対しての不公平感も出てくるかということを考えますと、この理由から、減免措置の事業主体を、今の社会福祉法人と区市町村だけでなく、NPOや、いわゆる民間の営利法人等にも拡大することが効果的と考えますが、室長のお考えを伺います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 これまで、この減免措置の主体が、いろんな歴史的な理由であるとか社会的な役割等から、社会福祉法人と区市町村に限定されてきたわけでございますが、ただ、考えてみますと、利用者は、当然ながら、社会福祉法人が提供する介護サービスのみを利用するものとは限らないわけでございます。したがって、事業主体を拡大することは、この減免措置の実施を促進する観点からも意義がありますし、制度の趣旨から見て、私どもは不可能ではないというふうに考えております。
 また、これによりまして、私どもが今進めております福祉改革、利用者本位の理念を実現する上でも必要となります、多様なサービス提供事業者の参入も促進することになるというふうに考えております。

○近藤委員 一方、この制度を利用する事業主体の方から考えますと、どうしても負担が重くて、この措置に乗り切れないというような課題もあると思います。
 そこで、もう少し事業主体の負担を軽減する策を講ずるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 先ほどご説明申し上げましたように、この減免措置におきましては、法人側の負担は、利用者負担のこの総額の一%を超えた部分についてはその半額が、これは原則としてですが、公費負担されるわけですが、一%までは全額が法人側の負担とされております。
 ご指摘のとおり、この減免措置における法人側の負担は重いものでありまして、私どもといたしましては、国がつくりました制度の根幹は堅持しつつ、法人側の負担を軽減できるよう、区市町村が制度の中で工夫を凝らしていく、これは有意義なことであるというふうに考えております。

○近藤委員 今申し上げましたように、実際に一割負担が重荷になって制度を十分に利用できないというような低所得の都民のために、国が講じられたこの減免措置というものを、もう少し使い勝手よく、都が独自に検討されるべきと考えますが、知事の見解を伺います。

○石原知事 介護保険制度における利用者負担につきましては、既に所得に応じた限度額の設定や特別対策による減免措置が講じられており、低所得者に対する一応の配慮はなされていると認識しております。
 区市町村は、制度の根幹を堅持しつつ、真に必要な場合には工夫を凝らし、これらを活用することは有意義であると思います。
 お尋ねの社会福祉法人等による利用者負担の減免措置の活用に向けた区市町村の努力に対しては、都としても、今後、サービスを利用していない人との公平に配慮した支援策を検討していきたいと思っております。

○近藤委員 次に、障害者施設の整備促進について伺います。
 平成十五年度以降は、福祉が措置から契約へということで、支援・支給制度というものに移行していくわけです。利用者が選択できるサービスの種類と量をできる限り確保するということが課題であることはいうまでもありませんけれども、その中でも喫緊の課題として、知的障害を持つ方の入所施設への待機者が年々増加して、平成十年度以降には一千人を超えているという、こういう現実がございます。
 都は、かつては都外にこの施設の建設を進めてきたわけですけれども、住みなれた地域で生活し続けたいという基本的な親御さんまたはご本人の希望を尊重する観点から、現在は都内施設の建設へとその方向を動かしている、移行しているというふうに聞いております。
 ところが、これは大変結構なことですし、都民全員の思いでありますけれども、なかなか広い土地を確保することが困難であるということ、または、実際建設するということになりますと、区民の皆さん方の同意が得づらいというような中で、なかなか困難な面に直面して、思ったほどにこの建設が進んでいない状況であるということを聞いております。
 このような状況を打破するために、区市町村が、昨今ではいろいろな施設の合築ということを進めておりまして、これも一つの考え方かなというふうに思います。
 例えば、知的障害者入所施設と特別養護老人ホームを合築すれば、障害者が医療を必要とするときには、すぐ特別養護老人ホームに常駐しております医師の治療を受けることもできますし、用地取得面積もはるかに少なくて済むという効果も考えられると思いますが、これについてどのようにお考えでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 知的障害者入所施設の整備につきましては、私どもは、福祉改革推進プランに基づく心身障害者施設緊急整備三カ年計画によりまして、十三カ所を整備し、六百人近い入所定員を確保する予定でございます。
 ただ、こういう整備を進める上でも、今お話がありましたように、特別養護老人ホームに併設をしていくと。これは、ご指摘のとおり、用地や施設を一部共有化でき、医療的ケアも有効活用できる利点があると思います。また、職員の相互交流による介護技術の向上など、サービス面での効果も期待できるわけでございます。
 こうしたことから、両者の併設は、知的障害者入所施設の設置促進と利用者処遇の向上のために望ましいと考えております。

○近藤委員 今、併設は望ましいというご答弁をいただいたわけですけれども、実際にこの合築、特養と知的障害者入所施設を併設しようとする場合に、具体的に何か現在課題があるとするならば、どのようなことが課題なのか、また、それをどのように克服しようとお考えでしょうか。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 特別養護老人ホームとの併設を進めるに当たりましては、知的障害者入所施設の用地取得費の貸付率、それからまた建設費単価が特別養護老人ホームよりも低いという、こういう課題に対応する必要がございます。
 そこで、先ほど申し上げました緊急整備三カ年計画におきましては、知的障害者入所施設の用地取得費の貸し付けを充実するとともに、建設費単価を特別養護老人ホームと同一にするなどの特例措置を設けて、積極的な整備の促進を図ってまいる考えでございます。
 また、国庫補助対象となる基準につきましても、併設の際には規模要件を緩和するよう、引き続き国に提案要求してまいります。

○近藤委員 次に、電子申告について伺います。
 国税では、平成十五年度から、一部税目について、電子申告、つまり、インターネットによって税を申告するという制度を導入することにしております。そして、もう既に本年度、一部の税務署でモデル実施がされているというようなことがございます。
 この国の動きに連動して、都税について、この電子申告という課題をどのように今受けとめていらっしゃるのか。もし、これを国と連動しながら都も導入するということになりますと、まず、どのような税目から導入されることになるのでしょうか。

○大塚主税局長 地方税に電子申告を導入することにつきましては、納税者利便性の向上の観点から、これを積極的に都としても推進すべきものと認識をしております。今お話がありましたように、国税ではお話のあったようなスケジュールで入りますけれども、地方税におきましても、総務省では平成十三年度から検討を開始します。
 十五年度以降、準備が整った自治体から順次導入することにしておりますけれども、課題といたしましては、現行の地方税法の仕組みがございまして、その仕組みの中で電子申告とぶつかっている部分がございます。一つは、書面による申告、税の世界では書面による申告を義務づけておりますので、その点で、電子申告を導入することにつきましては、電子データによる申告を可能とする法令の改正が必要であります。それからもう一つ、本人確認の方法が必要でありますので、認証制度、さらにシステムの自治体共通の処理を可能とするためのソフトの開発等が必要であります。

○近藤委員 国は、十四年度には法令を改正して、十五年度以降、準備が整った自治体から順次導入するということを表明しているわけです。ですから、なるべく都が使いやすいシステムとして導入されるように、積極的にこの総務省の検討体制の中に都も入り込みまして、中心的メンバーとして参画していっていただきたいというふうに要望をしておきます。
 最後に、残りになりました。
 実は、私の実の妹が葛飾区の方に嫁いでおります。知事の議場での答弁をテレビで見まして、水元公園が隣のところに住んでいるということで、知事がおっしゃっておりました、水元公園に対してとても深い思いを持っていらっしゃるという知事のお話を聞いて、お姉ちゃん、どういうことなのか知事にぜひとも聞いてきてほしいということでございます。
 先ほど申し上げましたように、六月、選挙がございまして、妹にも手伝ってもらわなきゃならないというような大変弱い立場でもございますので、ぜひともきょうは朗報を妹に持って帰れるように、知事のご答弁を最後にお願いして、質問を終わります。

○石原知事 実は私は、あそこにあんな立派な公園があるのを、都民として今日までうかつに知らずにいたんですけれども、先般、テレビの番組を見まして感心しました。特にメタセコイアという日本に珍しい落葉樹の大きな森林が、並木がありまして、非常に東京には珍しい、うっそうたる茂みもあって感心したんですけれども、実は水元公園直接じゃありませんで、先般、三多摩の森林の視察に行きました。非常に外材がたくさん入ってくるために、国産の木材の値段が下がって、植林の事業がうまくいってないんですけれども、例えば下刈りとか枝落としという作業も非常にコストがかかりますし、人手も足りなく、そのときホームレスの方々にも、要するに勧誘して、もちろん有料の動員を願って作業しておりましたが、その後、実は、スウェーデンあるいはイギリスでもやっているそうですけれども、青年教育、少年教育の一環として森林青年隊というのが組織されていて、非常に有効な作業をしているそうであります。いきなりあの三多摩のような傾斜の激しいところに連れていっても、けがもしたりするおそれがありますが、そういうトレーニングの場所として、水元公園のような整備されている公園がゆえに、訓練の段階では危険もなかろうと思いますし、一度そういう舞台として自分の目で確かめていきたいなと思ったので、ああいう発言をいたしました。
 それほど大それた計画があるわけではありませんが、しかし、子弟の教育をいろいろな形で考え直さなくちゃいけない今でありますけれども、スウェーデンとかイギリスで非常にそれが有効に働いていることで、日本の森林というものを守るためにも、それの発信基地として水元公園がならないかなと思ったわけであります。

○田村委員長 近藤やよい委員の発言は終わりました。(拍手)

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