東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後七時十四分開議

○白井(威)副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 小林正則理事の発言を許します。

○小林委員 それでは、都議会民主党を代表いたしまして、総括質問をさせていただきます。
 最初に、地方自治のあり方、地方政府のあり方について質問に入ってまいりますが、最初に合併についてでございますけれども、昨年四月に地方分権一括法が成立をして、何度も繰り返しになりますけれども、国と、形式的、制度的ではありますけれども、対等、平等な関係になったわけです。しかし、実態は、税源移譲は全く行われていないために、従来とそんなに変わらない。場合によっては、仕事だけは押しつけられて、むしろ財政負担の方が大きくなってきたということがいわれるわけであります。
 そんな中で、国の方では合併をかなり推進しようということで推し進めておりまして、東京都もこの一月に合併の検討指針が出ておりますけれども、私は、そのときに--古い新聞を持ってまいりましたけれども、これ、知事はご記憶にありますか。ちょうど二年前の読売新聞、知事が当選されて間もないころだと思いますけれども、この中に、すごく大きな活字で、二十三区統廃合したいということを知事が明確に打ち出されているわけです。ですから、今回のこの検討指針を見たときに、二十三区が全然載っていなかった。非常に不満が残りました。
 都は、この特別区の合併についてどのように考えておられるのか、まず最初にお伺いいたします。

○大関総務局長 ご案内のように、特別区につきましては、今回の都区制度改革によりまして、住民に対して第一義的に責任を負う基礎的な地方公共団体ということに位置づけられたわけでございます。清掃事業などの住民に身近な事務が移譲されますとともに、新しい都区制度がスタートいたしまして、現在は、その円滑な実施に取り組み始めた段階でございます。
 お話しの特別区の合併に当たりましては、今後、それぞれの特別区がどのような規模、あるいは権限を有したらよいのかということを考慮するとともに、大都市行政の一体性、統一性の確保などにも留意していく必要があろうと考えております。
 したがいまして、こうした点を踏まえながら、特別区の合併につきましては、住民の意思を尊重しつつ、特別区みずからが自主的、主体的に考え、取り組むべき課題と認識しております。

○小林委員 何か当たり前というか--知事、何かいいたいことありますか。何かあったら。おれは違うよというのがあるんじゃないですか。どうぞ、知事。

○石原知事 原則的には、今、大関局長がお答えしたとおりでありますけれども、私も、今の二十三区のあり方というのは、この間、定員の問題で大分紛糾しましたけれども、議論を聞いていても、やっぱり都民から眺めると、ちょっと不自然な区分になっているなという感じがいたします。まあ、それをどうしたらいい、こうしたらという案を自分なりに出す前に、もうちょっと都政としての経験を踏みませんと、土地カンがわいてきませんから、もうちょっと待ってください。

○小林委員 今回の検討指針の発表がされて、私の選挙区の小平市も、先ごろ合併した西東京市と--大体三十六万人ぐらいになるんですかね。三十万ぐらいが何か一番行政コストが軽減できるとか、そういった試算の根拠があるんだそうでありますが、かなりこういう物議を醸して、いろいろ問題になってはいるんですけど、全体として、議会も市長も、自分たち数が減るわけですから、議員も減るわけですから、冷たい、これが印象です。
 しかし、じゃ、今のままでいいかということは、これは知事、絶対、ちょっと待ってくれという話ですから、将来やるということですから、そういう意味では何らかのやはり呼びかけ、アクションというものは、それは最終的には議会や、住民や市長とかということになるんでしょうけど、そうはいっても、黙って見ているということにはならないわけですよね。
 それで、私、新潟の出身で、「新潟日報」をずっととっているんですけれども、この前見たら、この記事が載っているんですよね。これ、私の田舎でも随分いろいろ議論があるようです。物すごい積極的なんですね。もうこういうふうに線引きがされて、それで、どのぐらいその効果がある--持っていきましょうか。いいんですよね、委員長。(知事に新聞を渡す)
 そこに書いてあるように、こういうエリアになったときに、どういう行政コストが減るとか、どういうことができるとか、かなりプラス--もちろん合併に向けた方向性を打ち出しているわけですから、プラスの部分がかなり書いてあるわけです。ですから、合併機運というものは自然発生的に生まれてくるのではなく、何らかの積極的な働きかけが必要だというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

○大関総務局長 地方分権が進展する中、市町村が、行財政運営の効率化を図りつつ、広域的な行政需要に対応していく上で、合併は大きな効果があるわけでございます。しかしながら、総論賛成、各論反対というのが現実であろうかと思っております。そういう点で、何よりもまず住民の意思が盛り上がってこなきゃならないわけでございます。そうした中で、市町村みずからが自主的、主体的に考え、取り組んでいくような環境づくりが必要だろう、このように思っております。
 そのため、都は今回、合併機運を高めていくため、地域的なつながりや合併の効果などを盛り込んだ、市町村合併に関する検討指針を策定したわけでございます。
 今後、本指針を活用して、市町村や都民の中で合併に関する検討が活発に行われるよう、積極的に働きかけていくとともに、合併に向けた市町村の取り組みにつきまして、ただいま新聞にございましたような啓発活動も含めて積極的な行動を起こしていきたい、このように考えております。

○小林委員 まあ、西東京市も、現在、負けた方の市長が選挙違反等々で訴えているといったようなことで、かなり合併の難しさみたいなことは、私、隣の市ですから、よく見聞きしていますし、難しいんだなという気がしております。
 ですから、いきなり、いろんな情勢は、皆さんに、何というんですか、呼びかけは、インセンティブを与えながらやっていくと同時に、例えば何回も質問にありますけれども、広域連合ですね、いろんな事業を共同していろんな市とやっていく中で、お互いの気心が知れるというんですか、あるいは住民との交流も当然その間には図られていくだろうし、まあ、その一体感というものも出てくるだろうし、そういうものが積み上がった段階で、よし一緒になろうかと。財政的な効率だって随分上がるし、清掃車だって、ぐるっと遠回りに行くのも全部、二、三台で今までぐるっと回るからとか、そういうのだってみんな、その広域連合の中で理解されていくわけですよね。
 そういう意味で、この広域連合の活用について、ぜひ、前段といいますか、合併の一つ前の手法として、積極的に活用すべきというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

○大関総務局長 合併を進めていくためには、地域の一体感の醸成を図り、合併機運を高めていく必要があることから、お話のように、市町村が広域連合を活用し、広域行政の経験を積み重ねることも、合併の実現に向かう一つの方法であろうと考えております。
 しかし、現行の広域行政制度では、迅速な意思決定ができにくいこと、あるいは責任体制があいまいになることなどから、一定の限界があるため、行財政運営の効率化を図りつつ広域的な行政課題に対応していく上では、市町村合併が最も大きな効果をもたらすものと認識しております。

○小林委員 ぜひお願いします。
 次に、今回かなり画期的といわれて、私は評価しているのが、この自治法の改正、まだ案でありますが、まとめで、合併協議会の設置、今まではいろんな障害があってなかなか合併には至らなかったんですが、今回、六分の一の署名があれば、直接請求によって合併協議会の設置ができるということになったわけです。ですから、住民の意思がそこに、やろうということであれば--議会とか市長というのはどうしても反対しちゃうんですけど、住民の側でそういう機運が出てくれば、制度としては、そこからのファクターとしてそういうことができるということになってきたわけです。
 六分の一については、何か条例改正の直接請求だと五十分の一、それから首長のリコールは三分の一、これは相当きつい直接請求ですが、六分の一はかなりハードルは高いですけれども、今回の住民投票制度の導入についてどのように考えておられるのか、お伺いします。

○大関総務局長 合併協議会設置にかかわる住民発議は、現行の中では、議会の否決により設置に至らない場合も大変多いわけでございます。必ずしも住民の意思を十分反映していない状況にございます。
 こうしたことを踏まえ、地域住民の意向をより反映するよう、直接、住民投票で協議会の設置を可能とする制度が、今回、合併特例法改正案に盛り込まれたわけでございます。
 市町村合併は、団体の存立そのものにかかわる重要な課題でございまして、合併を進めていくには、何よりもまず住民の意思を尊重していくことが重要であることから、今回の制度導入は大変意義のあるものと認識しております。

○小林委員 知事は、先ごろの本会議の一般質問で、私どもの河合議員の質問に対して、今後策定する都政改革ビジョンⅢで、現行制度にもうとらわれないで、道州制の議論も視野に入れて、広域行政や大都市行政のあり方について提言していくというふうに、私としてはかなり踏み込んだ答弁をされたというふうに思っておりますけれども、このビジョンⅢ策定過程で、当然、道州制、広域連合ということになれば、千葉や神奈川、埼玉、あるいは七都県市ということが、当然常識的には想定されるわけですね。この七都県市の連携が求められるというふうに思いますが、この点について知事の見解を伺います。

○石原知事 その前に、二十三区の統廃合の問題ですけれども、これはやはり都民の意向を待っていたって、結局、都民にとってみると、やや他人ごとでありまして、ですから、それぞれの政党、それぞれの議員さんのお立場もあるでしょうし、主張もあるでしょうが、ある時点で、やはり都なら都が、二十三区の一番合理的な統廃合の素案のようなものを示して、それがたたき台になって、今、局長が申しました今度の新しい制度も、それを対象にして行われるということが、私は望ましいのじゃないかと思います。
 東京が過去と大分変わってきて、人口の配分その他、いろいろな機能も区によって違ってきまして、こういったものを勘案して、私は、今ある二十三区というのは、必ずしも都民にとって健全な区分とは決して思いません。
 それから、ビジョンⅢにおける七都県市の意味合いでありますけれども、何度か七都県市の首長会議をやっているうちに、私が主に主唱してきたのですけれども、首都というものは決して東京だけじゃない、そういう認識を持とうということで、七都県市の首長さんたちも首都移転に反対してくれるようになりましたし、さらにいろいろな問題について、この七都県市が連携して事を運ばないと、首都圏というものは、環境の問題に限らず、治安の問題でも決して健全なものになっていかない、そういうアイデンティティーができまして、それを踏まえて、これから東京のビジョンⅢも、具体案を踏まえて組み立てていきたいと思っております。

○小林委員 ちょっとさかのぼって答弁していただきまして、ありがとうございました。
 本当は、あともう一つ新聞を紹介しようと思ったのですけれども、二月五日に東京新聞で、二十三区が六市になるといった、かなり具体的に、東京都がまだ考えていないのに、こういうようなものが先に出ちゃったわけです。だから、もたもたしていると、そういうことになっちゃうのです、どんどんやはり先行していかないと。知事は前向きな答弁でしたから、大いに気をよくしたわけであります。
 次に、今、知事がおっしゃられたように、治安の問題も含めて、東京圏というのは、共通な課題になってくるわけです。ですから、この七都県市が余りばらばらだと、一体的な行政として考えられないわけですから、当然そういうことは一体的な行政として、あえて整合性を持たせていかなければいけない。
 そこで、東京圏において共通する課題については、七都県市の首脳会議で、協議会を通して取り組みを共通のものとしていく、そしてその積み重ねが必要だというふうに思います。それが最終的には道州制ということになるのだろうと思いますが、その辺はいかがでございましょうか。

○安樂政策報道室長 交通機関や情報機器が飛躍的に発展して、現在では自治体の区域を越えて地域間のつながりが緊密化しているにもかかわらず、都道府県の枠組みは、戦後全く変わっておりません。現行の地方自治制度は、現実との乖離が著しくなっているというふうに認識しております。
 このような状況のもとでは、今後、道州制など広域的自治制度のあり方についての議論が避けて通れないというふうに思っております。
 しかし、そういった議論がいまだ結論を得ていない現在の段階において、他方ではディーゼル車対策や産業廃棄物対策など、広域的に取り組まなければ解決の図れない問題が増加してきております。
 したがいまして、当面する問題に対応するためにも、また、お話しのありました道州制などの広域的な行政システムのあり方を検証するといいますか、そういう意味からも、七都県市の共同の広域的な取り組みを進めることが大変重要であるというふうに思っております。

○小林委員 私もメンバーでありました東京都の税制調査会、大胆な提言をしていただいたと。私自身がそのメンバーですから、した、になるわけですけれども、その中で、所得税から個人住民税三兆二千億とか、あるいは消費税から地方消費税へ三兆八千億、国のたばこ税から地方たばこ税へと、合わせると七兆二千億、こういう具体的な提案をされて、法定外税、この四つも含めて提案をされた、あるいは私の立場では、したということになるのですが、せっかくこの画期的なものを出されてきたわけであります。これを具体的に実施に移して、あるいは国にそのことを変えさせていくという作業が、今後大きな知事の役割、あるいはお仕事になるのだろうと思いますが、今後、税源移譲、形式的には対等、平等になっているのだけれども、それを行使するお金が全然ないわけですから、何も仕事にならないわけです。
 その辺、知事、いかがでございましょうか。

○石原知事 地方主権の確立、分権の徹底というもののためには、行政のために不可欠な税財源の分与がなければかなわないわけでありまして、口酸くいってきたことでありますが、なかなか中長期ということで棚上げされてしまっているものですから、都は都で税調をつくりまして、国に対しての要望も含めて案を出したわけでありまして、実は私は、与党といっても自民党でありますけれども、その税調にこれを持ち込んで説明する算段をしたのですけれども、なかなか中に抵抗がありまして、ちょっとペンディングになっておりますが、近々そういう機会をつくろうと思っております。それじゃないと、せっかくご努力いただいた都税調の方々の恩にも報いることになりませんし、いずれにしろ、都の税調の答申を、自治省よりもむしろ大蔵省の方が評価しているというのは、皮肉な現象だと思います。
 つまり、税の専門家たちが、非常に歴史的に正当なものと評価しているということは、大いに自負していいと思うし、その成果に対して、私も感謝している次第でございます。
 いずれにしろ、これは実現しなければしようがありませんから、できるものから手がけていきたいと思いますけれども、皆さんも選挙がおありなんで、いろいろ神経質になっていらっしゃる節がありますようで、一段落しましたら、これをやはり実行するということで、都から一つの範を示していきたいと思っております。

○小林委員 この税制調査会の中で、ディーゼル車、ホテル、産業廃棄物、パチンコ、この四つの法定外税が提案をされたわけでありますが、銀行税のように多くの期待とか関心とかというのは、いまひとつなんですね。
 特にトラック業界、パチンコ業界の方から、もう既に反対が来ているというふうに聞いております。そうはいっても、今の深刻化する環境問題の解決、ディーゼル車は特にそういうことになると思いますが、都政の緊急の課題というふうに思います。知事、これらの法定外の新税に対する、これまでの世論も含めて、どう受けとめておられるのか、お伺いします。

○石原知事 これに対しては賛否両論、いろいろな意見が寄せられておりますし、また、インターネットというのはどれほどだっていうのはわかりませんけれども、かなりオタクの人もいますが、いずれにしろ、世論の表示の一つでありましょう。インターネットには、二万件を超す意見が寄せられているようでありますが、物によっては賛否両論というのもございます。
 ただ、新しい税を行うときに、先ほど申しましたが、大衆課税という形にならないように、印象だけではなくて、形としてもそうならないように、また、決してそういうものではないという説明も、実施に当たって必要だと思いますし、そういう十分な配慮をしながら、都民の方々に納得--それは業界は被害妄想で反対する節もありましょう。しかし、トラック業界などは、実は良識ある人たちは、もっと違った意見も示してくれておりますし、そういうものを勘案しまして、行うべきものは、あくまでも都民のために行っていきたいと思っております。

○小林委員 この四つの税、既に実施を前提にした準備を進めているというふうに、答弁をさっきもしておられましたが、さっきの大木田さんのときとダブるかもしれません、検討状況はどうなっているのか。また、この四つの税のうち、特にどの税について実施をしたいのかという、かなり具体的になりますが、伺いたいと思います。

○石原知事 四つのうち二つは行えると思いますし、いろいろサウンディングしましたら、それほど大きな反発もないし、説明をすれば、関係者にも理解をいただけると思います。
 例えば、ホテル税のようなものは、観光という目的のためにプロパーに使うということならば、業界は挙げて賛成だと。これは、今までホテル業界に関して設けられていた税に関するインセンティブが撤廃されたようでありまして、そういうものを踏まえて、業界は極めて賛意を表しております。
 その他、誤解を招く段階なので、もうちょっと煮詰めましたら、皆さんに、必ず議会にお諮りして、実現にこぎつけたいと思っております。

○小林委員 ホテル税と、もう一つ何とかということですけれども、はい、よくわかりました。(「よくわかったな」と呼ぶ者あり)ええ、わかりました、勘がいいので。
 それでは、二年ほど前になりますが、都市外交について私が伺ったことがあって、そのときに、国の外交と都市外交、自治体外交というのは全然性格も目的も違うわけだから、国の外交方針に全く拘束をされないということを申し上げたら、知事はにわかにはそのことを答弁できないと、たしかいわれたわけであります。
 再度の質問になりますが、憲法に、よく調べたら、七十二、七十三条で内閣の専管事項になっているのだそうです。ただ、前段申し上げましたように、もともと全然性格が違うのですから、国を背景にして外交をするわけじゃないわけですから、全く拘束されない。東京都が、都市外交あるいは自治体外交として、何ら国の拘束を受けずに、また、文句をいわれる筋合いもないというふうに私は思うわけでありますけれども、都市外交において、国にどのような影響を与えようと考えているのか、知事の外交方針といいますか、そんなようなものをお聞かせいただければと。

○石原知事 外交が憲法でどういう規定になっているかは、ちょっとつまびらかにしませんけれども、一応読み直してみますが、あくまでも原則的に、外交が国家の専管事項だというのは外務省のたわ言でありまして、ならば、民間なり外交官以外の人たちが外交できないということになるわけで、人の行き来そのものだって、外交でもあるわけです。まして、都市同士が交流するということは立派な外交だと思います。ただ、定例で集まって乾杯するだけで友好というだけでは、外交にならないと思います。
 ということで、それぞれ国の力の表示である、いろいろな機能を集約して持っている都市というものが協力することで、国同士のかかわりを超えたというか、違うディメンションで、いろいろなフルーツがあり得ると思います。
 例えば、YS11の後続機であるような小型のジェットなどというものは、東南アジアでは非常に需要が強いわけでありまして、各国の首都がそういった市場というものをギャランティーしてくれるなら、そういうプロジェクトが実現可能であります。
 皮肉な話、この間、ダボスの会議に行きまして、そのことをちょっと話しました。あそこで、アメリカと、それを非常に強く意識したEUの静かな対立というのを感じましたが、アメリカが非常に日本の航空産業というものを抑圧して、非常に能力のある会社が、外国の航空機メーカーのパーツメーカーに成り下がっているという話をしましたら、すぐ引き合いがありまして、そこに参加している向こうの大手の銀行家が、自分も協力して、ヨーロッパも加えて、ぜひそういう飛行機をつくろうじゃないかと。これは、何も日本とヨーロッパが協力するだけではなしに、あくまでも東アジアの大都市というものが、今いった形で参加することで市場の確保もできるわけでありまして、その他この他いろいろあると思います。
 横田に関しても、国は一向に動きませんから、私のできる段階で、都市外交と仰々しく申しませんが、都知事の立場で、ある根回しというものはできると思うし、それで国が出てくれば、国の功績として事が成就すればいいわけであります。
 そういうことで、私は都市の外交というのは十分あり得ると思っております。

○小林委員 知事が今おっしゃられたように、外交というのはいろいろなチャンネルがあっていいと思うし、また、そういう時代にもなってきていると思う。国家というのは、情報化でかなり垣根が低くなってきて、民間外交とか--NGOなんかは、環境問題では国よりもむしろ功績を上げているわけです。
 そういった意味で、今まさに自治体外交、都市外交、あるいは国際機関の外交とか、こういった多元的な外交が一番求められるというふうに思っておりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 次に、これも二年ほど前に伺った、各自治体の中に憲法と同じように--各個別の法律を束ねるものとして、憲法があるわけです。ニセコの町長が、これは割と有名で、まちづくり条例、要するに町の憲法といわれているような、個別の条例をまとめて情報公開するとか、まちづくりに二十歳以下でも参加してもらうとか、それを一つの町の方針というか、憲法のような位置づけにして進めているわけですが、東京都も、特にこういう厳しい財政運営の中で、知事は相当頑張っておられるわけですけれども、知事がやめたらまたもとへ戻っちゃったというのでもまずいし、何か一定の、次の人がちゃんと伝えていくとか、これが東京都のよって立つ一つの精神的な支柱になるような、こういった個別条例を取りまとめていくようなものが私はあっていいだろうと思うし、特に、東京都がこういうものを一つつくっていけば、全体に影響を及ぼす波及効果というのは非常に大きいだろうというふうに思いますが、その辺はいかがでございましょうか。

○石原知事 それは、大変結構なご提案だと思いますね。
 東京都の憲法ということよりも、例えば私は、東京が首都であり、首都圏の一部であるからこそ、この仕事をやる気になりましたが、先ほど申しましたように、七都県市が、自分たちも首都圏のパーツであって、我々がとにかく首都圏の機能を行っているのだというアイデンティティーを持つようになったというのは、大変結構だと思います。
 そういう認識も含めて、一種、首都圏に対する文明論的な認識というものをきちっと表明するということは、いかなる行政をこれから行う上においても、大事な観念的な基盤になると思います。
 それが多くのものを拘束するというよりも、そこからいろいろな発想が導き出されてくるような、そういう東京に関する、首都圏に関する基本認識を、文明論的にきちっと、今の時点での認識というものをまとめるということは、それが条例と呼べるか、何と呼べるかわかりませんけれども、ある意味、大切なことだと私は思います。

○小林委員 たしか二年ほど前のときは、東京構想二〇〇〇で十分だから、そんなものは要らないとかいわれたのですが、随分前進したなと、やってよかったと思っております。
 次に、清掃行政について伺ってまいりたいと思います。
 最初に、最終処分場についてでありますけれども、新海面埋め立て、中央防波堤の内側ですか外側の埋め立てが、これは東京湾を埋め立ててごみを捨てるのはこれが最後だろうということを、たしか私はそういうふうに聞いておりましたし、また、そうだろうと思います。それから三多摩の方の谷戸沢、いろいろもめておりまして、ここもたしか最後の埋め立てということになる。両方とも最後ということになれば、ここが満杯になったらどうするのかという議論が、当然出てくるわけです。
 しかし、ごみというのは絶対出ますよね。減らすことは、それは皆さん、うんと努力されて減らしているということは、数値の上でも私もよく承知しております。
 最初に、処分場の延命化、限りなくゼロに近づければいいわけですけれども、当然延命化のいろいろな手だてを講じておられると思いますが、この処分場の延命化についての所見をお伺いします。

○中野環境局長 最終処分場の延命化についてでありますが、都内においては、新たな最終処分場を確保するのは困難でありまして、今ある貴重な最終処分場の延命化が何よりも重要であります。
 このため、都内においては、ごみの発生抑制、リサイクル等の施策を推進するとともに、お話しありました清掃工場での焼却処理による全量を減容、減量化し、埋立処分をしているところであります。
 また、焼却灰につきましては、全量を資源化するために、溶融スラグ化やエコセメント化する施設の整備を進めているところでありまして、これによりまして、最終処分場は大幅に延命化できるものと考えております。

○小林委員 事前に答弁調整の段階で、半分くらいに減らしたので--半分くらいに減らすということは、二倍延命化できるということのようでありますが、そうはいっても、最終処分場はなくていいということにはならないわけです。
 そうすると、何らかのアイデアなり、ゼロにしなきゃならないわけですが、そんなことは無理ですから、そういうことを考えれば、例えば今の、大量に集めて大量に燃やして処理をする、こういうスケールメリットを追うような戦後型の処分というのは、私はもうやめなければいけないだろうと思う。
 域内処理、一市の中で、例えば私の小平で出たものは全部小平で埋めるなんということはできませんが、限りなくそこに近づけていく域内処理、今、ごみというのは自分のうちから出れば、みんな関心がないのですよ。どこで捨てようと関係ない、自分のところさえ出ればいいみたいな無責任なところがあるのです。見える関係にしなければいけないと思うのです。自分の家のすぐ近くなら、みんな関心持つじゃないですか。減らさなければいけないと、まずは最初思うし、だからやはり見える行政にする。今はごみ行政というのは、最大は見えないということですよね。
 そういう意味で、ある程度どこかでそういうスケールメリットを改めて、域内処理みたいなものを少し考える。それと同時に、ちょっとこれは思いつきですけれども、例えば処分場が一つあって、もう一つ処分場がある。そうしたら、ここを埋め立てるとき、こっちの方に穴を掘って、どんどん次に入れられるようにするとか、ここがいっぱいになったら、今度はこっちに穴を掘ってこっちへと、交代交代にするというか、これは思いつきのアイデアですけれども、例えばこういったようなことも含めて、これはでかくなればできませんよ、ある程度小規模化していけば、そういうことだって可能なんですよね。だめっていってしまえば、もう前に進まないですよ。何か考えないと、できないわけです。どうでしょうか。

○中野環境局長 ただいまお話しのように、地域から出たごみは、その地域で処理をするということが望ましいと思います。また、このことは、ごみ処理を住民みずからの問題として理解を深めることにもなると考えております。
 しかしながら、すべての処理を地域内で行うということは、東京のような都市化の進展した地域においては、現状ではなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
 このためにも、現在ある最終処分場の延命化が重要でありまして、今後とも一層、都民、事業者、行政が連携して、ごみの減量、リサイクルを進めていきたいというふうに考えております。

○小林委員 これは、私どもを含めて、みんなで知恵を出していければというふうに思っております。
 次に、資源回収の業者について、共産党の皆さんはでかいパネルでしたけれども、私のはちょっと小さ目になりましたが(パネルを示す)、これを知事ごらんになって、関係者の皆さん、見ていただければと。
 右の方にずうっとグラフが上がってきておりますが、真ん中のところ、黄色い部分がいわゆる行政回収といわれている、市町村やあるいは東京都二十三区が--まあ、ごみというのはそんなに年度によって変わるわけではない。ですから、絶対値というのは大体この辺で、ずうっと黄色いところがふえてきて、ここの部分はだれが集めたかというと、民間の回収業者が集めたのです。この黄色い部分の行政回収が、どんどん金に糸目をつけず--だってコストは関係ないのだから。民間業者が集めてくれば、売れるか売れないか必死ですよね。行政というのは税金で集めるから、ばんばん集めちゃうわけですよね。
 まあ、そこで反論はあると思いますが、だから民間の回収部分は、どんどん減っているわけです。もちろん、この黄色い部分に一部民間の回収業者が入っているところもありますよ。ありますけれども、私がなぜこんなことをいいたいのかというと、今いいましたように、民間というのは、人件費を払わなければいけないし、この値動きの中で飯を食っているわけですよ。そうすると、税金でどんどん集めて、家庭ごみのところを集めた業者が資源ごみにスライドして、委託してやっているわけです。彼らはもともと資源という、コストの考えは全然ないわけです。要するに、家庭ごみが減った分、資源ごみになるわけですからどんどんやる。そのあおりを食って、民間業者がどんどんと減って、飯が食えなくなった。
 どんどん集めるものですから、メーカーは大喜びですよ。値段をどんどん下げちゃう。下げれば、全部ごみになっちゃいますから。ごみになって困るのは市町村です。市町村はごみになっちゃ困るから、どんどんまた一生懸命集める。メーカーはまた値段を下げる。行政は、またごみになっちゃうからどんどん集める。そうしたら、メーカーはいいように値段を下げて、安い紙をどんどん入れて、ひとりだけ大もうけしている。一番大変なのは我々納税者、皆さんの税金で、全部ここを負担するわけです。こういうことが、私はいろいろ問題があるのではないかというふうに思います。
 そこで、新聞社、特にメーカーに対して、さらなる古紙の積極的な利用を働きかけると同時に、古紙の需給バランスの調整に向けた働きかけをすべきと考えますが、環境局長でございますか、答弁をお願いします。

○中野環境局長 リサイクルを進めますには、再生された製品の需要を拡大していくことが必要であります。
 新聞紙の古紙配合率は、技術的にはさらに高めていくことが可能でありまして、都といたしましては、新聞リサイクル推進協議会などの取り組みを通じて、新聞社等の大口需要者、あるいは製紙メーカーに対して古紙配合率を高めるよう、一層働きかけてまいりたいと考えております。

○小林委員 事前にいろいろ調整していますから、これ以上いいませんが、次に、容器包装リサイクル法が平成七年六月に施行されて、多くの人たちは、これでようやく町から瓶や缶がなくなる、ペットボトルもなくなると思ったら、とんでもない話で、その施行からどんどんどんどんペットボトルはふえた。それはそうでしょう。ふれ込みとしては、メーカーがとりあえず全部回収して再利用するということだ。ところが、実態は、メーカーは例えば五万トンまでしかやりませんよと。
 しかし、私、持ってきたんですけれども(資料を示す)これ、リターナブル瓶といって、回収してもう一回使う。ところが、この斜線を引いてあるのは、全部この平成七年六月以降にペットボトルに切りかわったやつなんです。どんどんペットボトルに変わっているんですね。ウイスキーがほとんどそう。酢の瓶もそうです。この辺なんかみんなそうだ。だんだん斜線を引いて、みんなペットボトル化している。今、瓶なんかどんどん需要が減っているんだそうです。
 これは何でかというと、容器包装リサイクル法が制定されて、メーカーが結局は回収するというふれ込みでやったのですが、実態は--メーカーの方では何か協議会をつくってやるということも、あるんですよ、そういうメーカー同士で回収して再利用する。
 ところが、実際は一定の量しかやらないわけだ。結局はどんどんどんどん物は出るから、市区町村はどんどん集めざるを得ないわけです。さっきの新聞紙、古紙と同じです。結局は自治体がみんな負担する。家電リサイクル法だってそうですよね、知事。みんなそうなんです。メーカーが最後は形式的に責任を負って、あとはみんな自治体が負担していく。地方自治体が負担していく。こういう構造なんです。
 調べたら、ペットボトル一本生産するのに、たった七円でできるのです。ところが、分別、収集、プレスに三十円かかるんですよ。これは変な話ですね。つくる金より処理する金の方が大きいのです。こういう今の経済のメカニズムになっている、日本は。そして、メーカーが負担しているのは幾らかというと、たった五円なんです。この分別、収集、プレスしているのは全部市区町村。だから、一本当たり三十円、市区町村が負担しているわけです。メーカーはたった五円なんですよ。これが容器包装リサイクル法の中身なんですね。
 今後のリサイクルの推進に向けて、知事の同法に対する所見、これは法律改正になりますから、知事そのものの権限ではございませんが、知事の見解を伺って、できれば国に対して強く、最終的に、広域自治体の長として、この状態を放置していくわけにいかないんだという強い意思を示していただければと思います。

○石原知事 まさにおっしゃるとおりでありまして、この容器包装リサイクル法では、実際に回収保管の役割を負う自治体が、非常に重い負担を背負っているわけであります。ペットボトルの引き取り拒否が生じますと、都民の協力意欲もそがれますが、ドイツやフランスの制度に比べても、明らかに日本の場合にはメーカーの負担が少ない。このメーカーの責任と負担を徹底するように、制度の見直しを、せっかくつくった制度でありますから、悪いところは反省してどんどん変えたらよろしいので、法律の改正を東京の立場で国に強く求めていきたいと思っております。
 それから、先ほどの東京都なり首都圏というものに対する歴史的な、基本的な認識を文言にするということですけれども、確かに東京構想二〇〇〇でいいじゃないかといいましたが、私自身、こういうとスタッフにも申しわけないんだけれども、ちょっとあれには満足していませんで、ただ、ほかに具体的な案件が多過ぎたので、そっちでばたばたしているものですから、そこまでよく目が及びませんでしたが、マスタープランでありますから、どんどん修正したらよろしいので、あそこにそういうものを書き加えるなり、別個に、すべての行政の基本的なスタンスとして、それを踏みしめて物を考えるという、そういうものをつくっていきたいと思っております。

○小林委員 本当にありがとうございます。ぜひこの基本条例を前向きに考えていただければというふうに思います。
 次に、順序でいけば文化財保護法、玉川上水になるわけですが、ちょっとそれは最後にしまして、精神保健福祉の対策について、ちょっとこの順番を変えますが、よろしくお願いします。
 最初に私はこのテーマを取り上げようと思ったのは、新聞を読んでいたときに、精神病院の入院患者に生活保護者が非常に多いという記事が載っておりました。見たら、生活保護を受けているから精神病院に入ったというのではなくて、精神障害があるから働けなくて生活保護になってしまったというのが、いろいろ最終的にはそういうまとめで書いてある。つまり、それぞれ本来ならばいろんな施設が、東京都内あるいは全国にいろいろ軽い精神病--こういう世の中ですから、精神的にいろいろ困ったり、悩んでいる方は非常に多いと思うんですね。あるいは病院に入らなきゃいけないという人も多いと思うんです。しかし、その受け皿が全然ないんです。受け皿が全然ないものだから、みんな病院に入っちゃうんですね。大体二割から三割、社会的入院といわれて、病院に入っている。この実態を見たときに、これは何とか一回調べて、質問しなきゃいけないというふうに思ったわけです。
 東京都は、昨年の暮れに精神障害者社会復帰施設あり方検討会というのをつくりまして、この中間のまとめが出されまして、この中で、今後十五年間における社会復帰施設の整備の方向性というものが示されました。ようやく示されました。それぞれの社会復帰施設をどの程度整備することとしているのか、その内容について伺います。

○今村衛生局長 昨年十一月に報告された精神障害者社会復帰施設あり方検討会の中間のまとめにおきましては、今後十五年間に整備すべき社会復帰施設の目標数を示しております。
 この報告では、生活の場である援護寮及び福祉ホームはそれぞれ三十所程度、グループホームは三百所程度、また、活動の場である通所授産施設につきましては、共同作業所の小規模授産施設化も含めまして百二十五カ所程度、さらに、生活上の支援や相談、交流の場である地域生活支援センターは七十五所程度の整備が必要であると提言しております。

○小林委員 東京都にあった資料をいただいたのですが、これ、知事、またグラフですけれども、何のグラフかおわかりでしょうか。これは、精神病院に入っておられる患者の方の平均的な入院を示したものです。日本は三百三十・七日、あと先進国は、アメリカは八・五、ドイツは四十・二、韓国は九十三日、フランスは七・三、イタリアは十四・一。これはOECDのヘルスデータというもの、これは東京都の資料ですから、うちらのサイドに立った資料ではありません。これは平均で、これが実態なんですね。
 つまり、何で病院に長くいるかというと、その受け皿がないんです。社会に出るための中間的な作業所とか授産施設、社会復帰の施設がいろいろあるじゃないですか。日本は全然ないんですね。本当に少ない。さっき十五年でやるといっておりますけれども、そういう施設がないものですから、こういうふうにみんな病院に入っちゃうんです。異常ですよ、このグラフは。本当に異常だと思いますが、知事、見解、もし何かコメントがあれば……。

○石原知事 その病院にかわる、何というのかな、途中の、要するに収容施設というものがどんなものか、私、ちょっとつまびらかにしない、イメージがわきませんので、それを実際に外国に行って見るなりして、その問題について考え直してみたいと思います。

○小林委員 いろいろあるのです。作業、軽作業をする。要するに、定期的な、日常生活をきちっとリズムのある生活をして、人間関係をもう一回自信を回復させるといったようなものでございます。
 次に、精神障害者の社会復帰施設は、いろいろ資金難にあったり、あるいはこれを建てようと思ったりすると、周りが反対するんですね。変なのが来るとかいって、随分偏見があるわけですよ。こういったところは、ある程度東京都がバックアップしてやっていかないと、なかなか難しいわけですね。特に事業者が資金不足に陥るということは一番大きいわけであります。設置者の負担に十分配慮していただきたいということを思っております。
 そこで、東京構想二〇〇〇の三カ年推進プランでは、整備計画は示されておりますが、精神障害者の社会復帰施設は、十五年後とさっきいわれましたが、十五年後といわずに、もっと早く、例えば五年後程度で目標を達成するように取り組むべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
   〔白井(威)副委員長退席、委員長着席〕

○今村衛生局長 先生のお示しいただいた数字につきましては、諸制度の違いがありまして、そういう数字になっておると思うんですが、いずれにいたしましても、社会的入院といわれます長期入院につきましては是正しなければならない。社会復帰の促進を図るためには、精神障害者の生活や活動を支援する社会復帰施設を地域に十分確保することが重要である、こう思っております。
 このために、東京構想二〇〇〇の三カ年推進プランにおいて、早期の目標達成を図るべく、グループホームや地域生活支援センター等の整備計画を策定しておりまして、その後の整備につきましても、積極的に取り組んでおります。

○小林委員 こういう施設をつくらないと、知事、やっぱりトータルな行政コストが高くなっちゃうのです。この施設にたった二百万、三百万の補助を出さないために、みんな病院に入っちゃうんです。病院に入れば、そういった人たちは、最初に申し上げたように、みんな生活保護なんです。医療費を払えないというか、払わないわけですから。そうすると、結局は国が面倒を見るわけだ。
 東京都が作業所やグループホームや何かの一千万か二千万をけちったために、みんな病院に入っちゃうわけです。東京都は確かに支出が少ないのかもしれないけど、トータルで国を含めたコストというのは非常に高くなるんです。こういうことを私はいいたいわけです。そういう視点でこれからは行政をしていかないと大変なんじゃないかということをいっているわけです。
 それで、精神障害者は、平成五年の障害者基本法によって初めて障害者の仲間入りをすることができたわけです。その分、体や知的といった障害者に対して今まで--つい最近福祉法によって認められたわけでありますが、相当おくれがあるわけですね、知的障害者や身体障害者から見れば。
 よい例が、昨年十月からスタートした都営交通の乗車券の事業です。精神障害者のみがこの交通利用のための優遇制度、優遇措置をこれまでずっと受けられなかったんですね。十四年度からは、法改正に伴い、精神障害者の福祉サービスが市町村を中心に実施されます。地域福祉の充実を今後図っていくためには、精神障害者の施策が他の障害者施策と一体となって同じレベルで行われることが不可欠というふうに思います。
 そこで、精神障害者の施策の格差是正に向けて対応すべきというふうに考えますが、見解をお伺いします。

○今村衛生局長 先生ご指摘のように、制度が確かにおくれておるということは承知しております。精神保健福祉施策は、入院医療中心の体制から地域ケアを中心とする体制へという方向にございまして、地域で暮らす精神障害者の福祉をより一層充実することが重要であると考えております。
 疾病と障害をあわせ持つ精神障害者の特性に配慮しながら、他の障害者と同レベルのサービスを受けられますよう、今後とも精神障害者施策の拡充を図り、その自立と社会参加を促進してまいります。

○小林委員 それでは、玉川上水についてお伺いします。
 玉川上水は、私も何度も質問させていただきまして、いろいろな問題があって文化財保護法の史跡指定を受けることができないということを再三にわたって答弁いただいております。しかし、都として文化財保護法に向けた努力はしていくということを、鈴木知事、あるいは青島知事からも答弁をいただいております。
 そのいわば史跡指定を受けるまで今の状況をほうっておくわけにはいきませんから--もうかなり劣化が始まっております。私の小平市のところは、四キロから五キロ、ちょうど東西にくし刺しのように、一橋大学のところの近くを流れておりますけれども、このいわば史跡指定に向けて、私、石原知事になって初めての質問でありますので、改めて史跡指定にかかわる教育長の見解をお伺いします。

○横山教育長 お話の江戸時代につくられました玉川上水は、平成七年に都教委が行いました玉川上水現況調査の報告書におきましても、我が国の土木史の中で重要な位置を占める歴史的な貴重な土木遺構でございまして、その歴史的文化遺産としての意義は高いとされております。文化財として国の史跡に指定されますことは、玉川上水の保存のために有効な措置であると考えております。

○小林委員 この文化財保護法の史跡指定に向けていろいろ障害があるというのは、知事、玉川上水というのは、国と東京都で所有権の争いをしております、ご存じだと思いますが。この所有権の問題を早く解決していかなきゃいけないと思うんですね。早くしないと、本当に手がつけられないわけですよ。だって、だれのものかわからないものを、お互いおれのものだといってやっているわけですから。早くこれを解決して--それをもたもたしていると、さっきの合併じゃないけれども、どんどん進めていかないといけないと思うんです。この所有権問題を早期に解決すべきと考えますが、この取り組みの状況について伺います。

○赤川水道局長 玉川上水の土地所有権に関しましては、ご指摘のとおり、国と見解の相違がございます。このため、水道局では、学識経験者に対し土地所有権に関する調査を委託し、平成十一年三月に、玉川上水の敷地の所有権は都に属するという鑑定を得ております。
 また、平成十一年度から十三年度にかけ、改めて地積測量を行い、登記に向けた準備を進めるとともに、国に対し、国有財産台帳の記載の変更を求める折衝を精力的に続けております。
 玉川上水は都民の貴重な歴史的遺産であるとの認識を踏まえ、今後とも国に対して強力に都の所有権を主張してまいります。

○小林委員 ちょっと玉川上水の中で質問の順番を変えますが、東京都の水道水源林百周年というのが、ちょうどことしに当たるんだそうです。東京水源林として百周年になるということでありますが、この東京水道水源林百周年は、玉川上水とかなり密接な関係にありますので、この際、こういった事業のときに、玉川上水の存在を多くの人に知ってもらうということは必要だと思うんです。節目として水源林百周年の記念事業を計画しているというふうに聞いておりましたので、この中で玉川上水の存在を強くアピールするような住民参加型のイベントを行うべきと考えますが、いかがでございましょうか。

○赤川水道局長 ことしが水道水源林を管理して百周年の節目に当たることから、水源地の皆様に感謝するとともに、水源林の重要性を多くの都民に理解していただくため、さまざまな記念事業を準備しております。
 水源林の管理は、おっしゃるように、玉川上水の水質保全などを契機として始められたものであり、記念事業の中でその存在を強くアピールすることは意義のあることと考えております。このため、これまで多くの方々によって守られてきた玉川上水の史跡と豊かな自然に直接触れ合うことのできるような、例えば玉川上水ウオーキング等の都民参加型の行事を実施するよう検討してまいります。

○小林委員 私の質問の最後になりますけれども、知事にお伺いしますが、玉川上水の史跡指定に向けていろいろ障害があるというふうに申し上げました。現実に答弁を聞いておられていて--この問題はやっぱり早急に解決しなきゃいけない問題だというふうに思っております。
 特に、国が相手でございますので、この辺は歴史的に経過を見ても、私は東京都が主張していることに全面的に賛成の立場になるわけでありますが、こういった争いをずっとずるずるしておくと、結局はうやむやになって、一番被害をこうむるのは、玉川上水がもうどんどんのり面が劣化していまして、ちょうちん谷になっちゃって、真ん中がくぼんじゃっているんですね。
 あの緑道を歩く人が大勢おるんですけど、あそこは時々くいを打って、ここはがけ崩れがあるから歩いてはいけませんとか、くいが打ってあるわけです。こういうことはやっぱりできるだけ早く決着をして、東京都がしかるべき、ちゃんとした権限と責任の名において、私は早目に解決をすべきというように思いますが、この貴重な財産である玉川上水の保全と史跡指定に向けての知事の見解並びに決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

○石原知事 私、実は玉川上水にかねがねちょっと関心がございましてね、これにも都知事として関心があるんで、このいきさつを調べました。
 明治政府のころは、つまり、これは東京都の財産として登録されてあったらしいんですけど、その台帳が何かで喪失しまして、所在がわからない土地も何も全部国家のものだという形で大蔵省が乗り出してきて、大蔵省の管財というのは、もうとにかく地権者がわからないのはみんな自分のものにしますからね。で、離さない。
 そういう悪い習慣が続いていまして、結局正式な係争をしているわけじゃないんですけど、これはもう歴史的に眺めても当然--つまり、明治政府、国家政府ができる前に江戸幕府のころつくられたもので、プリンストン大学のスーザン・ハンレーという女の社会学者が「江戸時代の遺産」という有名な本を書いています。これは日本の中央公論叢書でも出ていますけれども、彼女もその中で、江戸というのは非常に栄えた、中世で珍しい、しかも人間味のあるすばらしい町だったと。私も、中世という非常に暗い時代に生まれたとしても、庶民も高度な文明生活を享受できた江戸の市民になりたかったと書いているぐらいでして、その一つの例に、当時あの時点で上水道を整備した都市はとにかく江戸しかなかったと。私、そうだと思います。
 だから、由井正雪のような不穏なやからがあらわれまして、丸橋忠弥も含めて、江戸の政府が瞬間的にこれをつかまえて処罰、断罪、処刑したというのは、彼らが玉川上水の水源に毒を入れて、江戸の市民全部毒殺する計画まで持ったということで幕府も動転したわけでありますけれども、そういう非常に興味のある話を記憶しております。いずれにしましても、これは国家が誕生する前に江戸の遺産としてあったわけでありますから、これはもう当然そういうものを踏まえて、近々正式に政府にかけ合って、きちっとした地権の所在をはっきりさせまして、それでしかるべく文化財の保護として積極的な手当てをし、保存を完璧な形でしたいと思っております。

○小林委員 ありがとうございました。終わります。(拍手)

○田村委員長 小林正則理事の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 明日は午後一時から委員会を開きます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時十四分散会

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