東京都議会予算特別委員会速記録第二号

   午後一時三分開議

○田村委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 委員会の要求資料について申し上げます。
 先ほど委員会として要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 これより総括質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様には、円滑かつ充実した審議が行われますよう、ご協力をお願いします。
 なお、持ち時間につきましては、電光表示盤に残り時間を表示します。さらに振鈴で五分前に一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑持ち時間はお守り願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いいたします。
 なお、各局長に申し上げます。
 発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されるようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 宮崎章理事の発言を許します。

○宮崎委員 東京都議会自由民主党を代表いたしまして、総括質疑を行います。
 風邪を引いておりまして、大変聞きにくい点があろうかと思うんですが、ご容赦をいただきたいというふうに思っております。
 先週の三月十日、ちょうど土曜日でございましたが、私たちが大変待ち望んでおりました東京スタジアムが華々しく開設いたしました。こけら落としとして、フランチャイズといたしますFC東京、東京ヴェルディの対戦が、公式戦が行われたわけでございますが、かつてのサッカー少年でありました石原知事が、すばらしいドリブルを披露していただきました。知事からパスを受けた若手選手がしっかりとゴールを決めてまいりましたが、懸命に走る知事さん、若い世代へのパスという形で、将来の多摩の発展、首都東京の発展、これを予感されるような気持ちで、感慨深く私は見させていただきました。大変にこやかな姿を見させていただいて、そのときの知事のご感想をまずお聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 後日、あのときのビデオを、私、自分で目にしまして、慄然といたしました。いかにも年をとったなという感じで、その感慨ひとしきりでありましたが、まあ初日、大変満員でありましたけれども、これから先が大変だなと改めて感じます。
 ご存じのように、四百億以上の損切りをした形で、とにかく独立した形であの会社に頑張ってもらうことになるわけでして、また、都としても、また、関係の市町村も、存分に協力は惜しみませんが、しかし、間近にもっともっと近代的な埼玉県のスタジアムがあり、規模の大きな横浜のスタジアムがありまして、その谷間であれをどうやって維持していくか、なかなか大変だと思いますが、幸いアメリカンフットボールの方の協会の会長の樋口さんなどからも、積極的に活用したいという申し出をいただいておりますので、いずれにしろ、いろいろ手を尽くしてつくったものですから、何年先に取り壊しなんということになりませんように、ひとつ都議会の方々もご協力いただきまして、何とか採算のとれるスタジアムにしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○宮崎委員 大変知事さんから温かいご答弁を賜りましたが、多摩のシンボルとして経営的にも大いに頑張っていただきたい。また、知事については、谷間の中でひとつご支援、ご協力をいただきたい、このことをお願いいたしておきます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 知事は、就任以来、東京の危機を訴え続けております。テレビ番組等を通じて、都民、国民に直接話しかけるとともに、時には総理大臣と丁々発止やり合う八面六臂の活躍は、まことに頭の下がる思いであります。
 この間、都庁官僚を上手に活用し、知事みずからの発想の卓抜さにより、外形標準課税の導入、ディーゼル車対策、首都機能移転反対等の施策を短期間のうちに打ち出し、存在感のある政策を実現させております。
 その最たるものが、先週、自民党を中心とする与党三党が政府に申し入れました緊急経済対策への都の対応であります。
 知事は、自由民主党亀井政調会長に対して、緊急経済対策の中の都市再生のプロジェクトに関し、首都機能の再生を図る観点から、五カ年で十兆円の資金を集中的に投入し、羽田の再拡張、高速通信網の整備、廃棄物処理対策の基盤整備などを素早く提案いたしました。まさにスピードと危機意識を地でいくものであり、知事の面目躍如たるものがあります。
 そこで、この国への提案の目的、概要についてご説明をいただきます。

○石原知事 実は、この成り行きは、私にとっても唐突なものでありまして、過日、夜半に突然亀井君から電話がかかってきまして、いつになく潜めた声で話すので、一体どこでだれと話しているんだといいましたら、公明、保守の政調会長と三者であるところで合議しているということで、まあ結局知恵がないから、こっちに知恵をかせということかといったら、苦笑いしておりましたが、いずれにしろ、東京をとにかく再生させる、持ち上げることで日本の再生につながるという観点をようやく国会レベルでも持ち得たようでありまして、そのために緊急に財政措置もしたいから、アイデアを出してくれということで、急遽幾つかの案を出しました。
 大まかお聞き及びのように、五年間で十兆のお金を、どういう形で出資しますか、多分基金のようなものをつくるんでありましょうけれども、備えて、集中的に、この東京だけではなしに、東京を中心とした首都圏を再整備していくということであります。
 それに付随して、土地の収用法など、こういった大きなプロジェクトを推進していくための障害になっております法体系というものも再整備してほしいということを申し添えました。
 例えば、IT、ITとしきりに森内閣はいっておりますけれども、何をするのかさっぱりわかりませんが、我々提示した案では、一兆ちょっとのお金をかけて、既に例えば神奈川から東京、東京を経て埼玉に行くゴーストップの通信網なども完備しておるわけですし、ほとんど下水も整備されております。その半分近く光ファイバーも設置されておりますし、非常に醜いですけれども、電柱がつながっていて、これはある意味で非常に利用度の高いインフラでありますから、これを駆使することで、短期間にこの三千三百万という大メガロポリスを電化することで、シンガポールなんか物の数ではもうないですね、大層の電化メガロポリスができ上がる。これは、人類にとって非常に壮大な実験であるし、まさに可能なことでありますから、そうすることで日本そのものに対する期待もつながるだろうし、日本のステータスも上がるはずだということで、そういうものを東京発のメッセージとして国に伝えます。
 今の内閣、今の与党体制がいつまでもつかわかりませんけれども、とにかく早いうちにきちんとして、形として残しておいて、あとだれが継ごうが、要するに同じ認識でこの東京を中心にした首都圏の整備というものを、本気で、もちろん東京もやりますけれども、国もやってもらいたいということを再三念押しいたしております。

○宮崎委員 知事からご説明をいただきましたが、まさに時宜を得た適切な提案というふうに解釈いたしますが、昨日は、我が党も、自民党大会がございました。党本部に対しても、党の再生のために党内改革を訴えたところであります。
 都政においても、都議会第一党である責任政党として、知事と一体となって都民のために全力を尽くし、危機を克服する上で欠かすことのできない三つの基本的な考え方を申し上げます。
 第一は、都市の新生であります。東京は日本の顔、アジアの顔であり、東京が活力を取り戻すことで日本を救うことに直結いたしますし、近隣の都市とも連携を深めながら、東京をメガロポリスとして再生いたしていきたい。
 第二は、都市の独立でございます。地方分権は、税財源の移譲がないまま法律が施行され、いわば見切り発車の状況でございます。都民の払う税金が都民のために使われるよう、国と地方の関係をさらに見直し、地方と東京の独立をかち取ります。
 第三は、都市の安全であります。今、東京は、犯罪、とりわけ来日外国人の犯罪が増加しております。時間、場所を問わず、だれもが安心して過ごせるまちに戻すことが東京を活性化させる第一歩となり、防災対策も含めて、東京の安全性を高めてまいりたい。
 東京都議会自由民主党は、この三点を、東京の危機を克服するための基本理念に据え、今後、広く都民の皆さんにご理解とご支援を求めていく所存であります。我が党は、これを新東京宣言にもいたしたいと考えております。
 先ほどご説明いただいた国の緊急経済対策、とりわけ都市再生のプロジェクトとあわせて、今申し上げた新東京宣言の内容を具体化させていくことは、東京の再生に不可欠でございます。今こそ、政治による大胆なリーダーシップにより、東京圏メガロポリスの再生を図っていくことが必要であります。それが日本の再生につながると確信いたしているところであります。
 東京都という既定の枠組みにとらわれず、積極的に政策主導型の都市の再生を進めていくことが重要と考えますが、知事の所見をお聞かせください。

○石原知事 今、東京を中心とした、この世界有数の大メガロポリスの再生、新生、そして独立、それからもう一つ、安全という三点を踏まえて、枠組みにとらわれずに思い切った行政をすべきだというご忠告がありましたが、まさに同感でございます。
 でありますから、このところ何度か行いました七都県市の首長会議でも、私の方から口酸く申し出まして、ようやくといいますか、皆さん、非常に迅速に判断をしていただきました。つまり、首都というのは東京だけではないと。神奈川県、埼玉県、千葉県、そして、そこにある三つの政令指定都市が構成して機能しているんだという強い認識を共通して持つようになりました。それは非常に大事なことでありまして、そういう認識を踏まえて、他の自治体とも協力しながら、首都圏発の新しい行政のフォーマットといいましょうか、そういうものを実現していきたいと思っております。
 現に、ディーゼル車対策も、周囲の県が同調してくれるようになりましたし、それから、七都県市が声をそろえているということで、国もようやく--これはお金がかからないから、すぐできるのでしょうが、環境を汚染している一つの大きな原因であります不正軽油の撲滅のために、それを逆手にとってやっている脱税も防ぐべく、軽油に対する税金を、ガソリンと同じように庫出税にすべきであるという主張を、やっと、割と国にしては早く受け入れまして、法制化してこの六月から実施するようでありますけれども、これはやっぱり、東京だけじゃなしに、七都県市が声をそろえて、同じディーゼル車対策の行政に取り組んでいるという一つの事実が国を動かしたものだと思っております。

○宮崎委員 次に、財政改革についてお伺いをいたします。
 我が党は、都民ニーズに的確にこたえられる強固で弾力的な財政体質の確立のため、都財政における財政構造改革の推進に取り組んでいくべきことを、従前より強く主張いたしております。
 国においても、景気対策を最優先に積極型の予算を編成してきた結果、財政構造改革の進展がなかなかなされないでいる状況にあります。
 さらに、国、地方を合わせて、十三年度末の長期債務残高は約六百六十六兆円に上るなど、日本の経済への悪影響が懸念され、都だけではなく、国全体での早急な財政構造改革の推進が求められております。
 このような日本の暗たんたる状況の打開を図っていくには、まず、東京が財政再建を実現することにより、二十一世紀の日本の活力ある未来を東京から開いていくという意気込みを示していくことが不可欠なのであります。
 そこで、具体的にお伺いをいたしますが、十三年度の予算における国と都の歳入全体に占める借金の割合、すなわち、起債依存度はそれぞれどれくらいになるのか、お示しをいただきたい。

○木内財務局長 平成十三年度一般会計予算案における公債依存度は、国が三四・三%であるのに対しまして、東京都は五・八%でございます。

○宮崎委員 同じく、国と都の十三年度の起債残高はどうなっているのか、また、それぞれの税収における割合はどうなっているのかをあわせてお伺いいたします。

○木内財務局長 一般会計ベースで申し上げますと、平成十三年度末における国債の残高は約三百八十九兆円と見込まれまして、租税及び印紙収入五十兆七千億円の約七・七倍でございます。
 同じく、都債の残高は七兆七千五百八十億円と見込まれ、都税収入四兆三千九百四億円の約一・八倍でございます。

○宮崎委員 国の予算の三分の一が借金で賄われており、その残高が税収の約八倍の四百兆円近い、まさに天文学的な状況にあるといっても過言ではありません。
 知事、国の財政状況についてどのように認識されているのか、率直なお答えをいただきたいと思います。

○石原知事 今、財務局長がお話ししましたように、非常に不健全な財政状況でありまして、それに比べれば、東京都はまだ少しましかという感じがいたしますが、国にしてみましても、構造改革をするか、景気対策をするかということのジレンマで苦しんできた結果でもあると思いますが、それにしても、景気対策と称して行っている社会資本整備も、そんな金があるなら、東京に回した方がよっぽど日本全体の役に立つと思うようなことがありまして、大体、鹿児島から起工して八代まで当面つくった新幹線に、一体だれが乗るのかと。ばかでもわかるといっちゃ申しわけないが、本当に考えられないことをやっているわけでして、どうもああいう事実を重ねて見ますと、とにかく投資効果と費用の検証というのはほとんど欠落しておりまして、財政構造改革への真摯な意欲というのは、一向にうかがえないという気がいたします。
 だれに責任があるとは申しませんが、当の財務大臣であります宮澤さんの言動を見ていますと、私は、国民の一人としてもちょっと異論がありまして、この間も、面と向かってそれをいって、実は、あるところで大げんかしました。
 そっぽを向いて斜めに構えて、円が安くなったから、しようがないじゃないですか、ほうっておくしかとか、あるいは、後で取り消したようですけれども、財務大臣が、日本の財政というのは要するにもう破綻しているなどといって、日本の新聞は、どういうわけか余り書きませんでしたけれども、外国の新聞は、とにかくあげつらってそれを書く。そして、取り消した部分は一向に報道されないということで、ますます日本に関する経済的な信用というのは落剥していくわけでありまして、都知事としても、国民の一人としても、もう少しちょっと、国の財政当事者にしゃんとしてもらいたいという思いはしきりでございます。

○宮崎委員 大変、国の方の大臣等についても、知事が内閣総理大臣になって立て直した方がいいのかなと、こんな気持ちも持っているところであります。
 都財政の方は、国家財政と比較すれば、数字の上からもはっきりと違いがあります。しかし、都財政は厳しい状況にあることは変わりない、このように私は思っております。財政再建推進プランに基づき、財政再建の取り組みを進めているところでありますが、私も、決してこれで了とするものではございません。
 十二年度においては、いわば都財政の構造改革元年と位置づけ、職員給与の削減を初めとする厳しい内部努力の実施や施策の見直しなどにより、都民の皆さんにも我慢をしていただきました。もちろん、我々東京都議会も報酬カットを実施するなど、財政再建の取り組みに理解を示し、協力していたところであります。
 そうした取り組みによって、十二年度、十三年度の前半二年間に、財政再建推進プランの目標額の約七割に当たる四千四百億の財源を確保したことは、我が党としても高く評価するところであります。
 そこで、財政再建推進プランの内部努力など四つの柱ごとに、財源確保の達成状況を示されるようお願いいたします。

○木内財務局長 十三年度予算におきましては、財政再建推進プランの前半の到達点として、引き続き徹底した内部努力や施策の見直し、再構築などを行いまして、財政構造改革に積極的に取り組んだところでございます。
 その結果、十二年度及び十三年度の二カ年間の財源確保の達成率は、四つの柱ごとに申し上げますと、一番目の職員定数の削減や監理団体に対する財政支出の見直しなど内部努力が五八%、二つ目の経常経費、投資的経費を通じて行った施策の見直しが六七%、三つ目の徴税努力など歳入確保が一六〇%、そして、四つ目の外形標準課税の導入など税財政制度の改善が六一%でございまして、全体では達成率は七一%でございます。

○宮崎委員 四つの柱ごとに、いずれも六割近くは達成しており、これは、プランが四年計画で、単純に二年間で半分達成していればいいところを一割以上も上回っているということについては、頑張っているなと、こんな感じを持っております。
 その中で、歳入確保が目標を大きく上回る達成状況となっていますが、恐らく徴税努力がその要因と考えられますが、なぜ徴税努力が大きく上回ったのか、その理由を教えていただきたいと思います。

○大塚主税局長 徴税努力による財源確保額が目標を上回った理由でありますが、これまでにない取り組みを、これまでにない手法を活用して、主税局の組織を挙げて実施したことによるものと考えております。
 具体的には、ご案内の軽油引取税の強制調査、不正軽油撲滅作戦の展開を初め、調査、検税の積極的な実施による課税客体の徹底捕捉、財産調査や処分による滞納整理の強化、特に自動車税の徴収率を短期間で引き上げるための取り組みなどを実施してまいりました。
 また、その手法といたしましては、民間に倣い、全都税事務所の課税部門、徴収部門において、それぞれの課ごとに具体的な数値による組織目標及び個人目標を設定し、徹底した進行管理などを継続的、常態的に行ってまいりました。
 いずれにしても、最終的には、納税者の方々から、都の窮迫する財政状況についてご理解をいただき、積極的に納税にご協力いただいたことが最も大きな要因であると考えております。

○宮崎委員 先ほど知事からも不正軽油等のお話もございましたし、局長からもお話がございましたが、不正軽油撲滅作戦も含めて、一丸となって歳入確保を努力されたということは、敬意をあらわすとともに、さらに引き続き頑張っていただきたい、このように思っております。
 内部努力についてですが、総務局長、この十二年度、十三年度の二年間で何人の職員の定数を削減するのか、教えていただきたい。

○大関総務局長 職員定数についてでございますけれども、財政再建推進プラン期間中の平成十二年度から平成十五年度までの四年間で、五千人を削減する計画でございます。
 十二年度の削減実績ですが、二千百三十八人、それから十三年度は、今定例会に提案させていただいておりますけれども、一千二百七十九人の減となっておりまして、二年間の合計は三千四百十七人の減となっております。

○宮崎委員 大変多くの削減の数字が出てきたわけでございますが、特別区への清掃事業移管分は、この人数に含まれているのか、含まれていないのか、お伺いします。

○大関総務局長 ただいまお答えいたしました、二年間で三千四百十七人の削減の中には、特別区への清掃事業移管分は含まれておりません。

○宮崎委員 ただいま答弁があったように、三千四百人を超える職員の定数の削減を行うとともに、監理団体の徹底した見直しを行うなど、これまでの内部努力への取り組みには一定の評価ができるものであります。
 しかしながら、都民から施策の見直しを初めとする財政構造改革の理解を得ながら、その着実な取り組みを図っていく上で、引き続き内部努力を実施していくことは、何よりも重要なファクターであると考えます。
 知事、これまでの内部努力の取り組みをどのように評価し、今後どのようにしていくべきであると考えているか、お聞かせいただきたい。

○石原知事 一昨年夏に財政再建推進プランをつくって以来、今まで、職員定数の削減や全国で最も厳しい職員給与の削減など、懸命に取り組んでまいりました。
 しかし、都政を取り巻く財政状況は、いまだに非常に厳しゅうございますし、また、アメリカの経済の衰退に関連して、日本に限らず世界全体に不況の影がまた差してきておりますが、この中で、なかなか日本の経済動向が占いにくい、非常に危険性をはらんだ状況にまたなってきていると思います。
 でありますから、引き続き事務事業や監理団体の徹底した見直しを行いたいと思いますし、職員の定数の削減についても、都庁が一丸となって一層努力をしていかなくてはならないし、また、いくべきだと思っております。
 その前に、今までの努力についてどう評価するかという質問ですけれども、国や他の地方自治体に比べれば、相対的には、私は百点満点とはとてもいえませんけれども、評価できるのではないかと。相対的には評価できるのではないかと思います。
 特に主税局などは、決して税収を目的としたわけではなくて、それは副次的なものでありますけれども、とにかく環境の改善のためにも、不正軽油を撲滅しようということで、まさにこの取り締まりは命がけでありまして、相手もなかなかやっかいな手合いが多うございまして、現に一度、議員の皆さんにも、主税局の事務所を見ていただきたいんですが、これは、今までこういう例があったかどうかわかりませんけれども、新規に警視庁に依頼しまして、共同作業をする警察官が、もちろん私服でありますけれども、あそこにかなりの数、今机を置いて綿密な共同作業でこの取り締まりをしておりますが、そういうニーズがあるということが証明するように、非常にこれは危険な作業でもありますけれども、都民の健康のために、環境局ならぬ主税局が体を張った作業をしているということは、ひとつ大いに評価していただきたいと思うわけでございます。

○宮崎委員 ただいまの評価については、大変、知事から、主税局の努力--時間がありましたら、ぜひ予算委員会のメンバーも一体となって見学をさせていただきたい。知事がひとつ先頭になってご案内をいただければと、ご要望いたしておきます。
 施策の見直しについてでありますが、この二年間、都は、財政再建プランに基づき、福祉施策を初めとするすべての施策について、時代の変化への適合や、国、市町村や民間との役割分担の明確化などの視点から、果敢な取り組みを行ってきました。これらは、新たな都民ニーズに的確に対応するための施策の再構築を進めるためには避けては通れないものであります。
 ある会派が、これまでの福祉施策の継続に固執し、私ども都議会の議決を得、区市町村も含めて着実に実施している案件についても、もとに戻せなどとの主張をしていることは、全く時代の認識を欠き、無責任な論議であります。
 次に、四つ目の柱である地方税財政制度の改善については、どのような財源確保の状況となっているか、お伺いをいたします。

○木内財務局長 義務教育教職員の給与費等国庫負担金にかかわります財源調整措置につきましては、都議会の協力を得まして国に働きかけた結果、十二年度には小中学校等の教職員分が、十三年度には養護学校分の改善が図られまして、合わせて六十九億円の財源を確保することができました。
 また、新たに、銀行業等に対する外形標準課税の導入によって確保できました額は、平年度ベースで一千億円でございます。

○宮崎委員 なぜこれを財源確保に盛り込んだのか。本来は、国から地方への税源移譲という、国、地方を通じた税財政制度の抜本的改革を求めていたのではなかったのか、お伺いをいたします。

○木内財務局長 財政構造改革を進めていく上で、ご指摘がございました国から地方への税源の移譲を初めとして、景気変動に左右されない安定的な税収の確保をすることが重要であると考えます。
 今回の銀行業等に対する外形標準課税の導入は、租税負担の公平性の確保とともに、安定的な行政サービスを行うために、税収の安定化を図ることを目的としておりまして、都独自の取り組みとして、都議会の議決を得て実施したものでございまして、まさしく税財政制度の改善に当たるものと考えております。

○宮崎委員 地方分権推進の流れにあって、地方交付税や国庫補助金などの国からの移転財源の過度の依存によって、地方自治体がみずからの財源で住民ニーズに対応した主体的な施策を行っていくことは難しい仕組みとなっていて、国から地方への税源の移譲を図ることはぜひとも必要であります。財政再建プランの目標達成にも不可欠な要素であるといえます。
 知事、今後、地方税財政制度の抜本的な改革に向けてどのように取り組んでいくのか、お考えをお示しいただきたいと思います。

○石原知事 地方への税源の移譲は、当然、地方分権ということにとっての絶対必要条件でありますが、残念ながら、これが中期ということで棚上げにされているのも現状でありますけれども、いずれにしろ、都の財政再建をなし遂げるためにも、あるいは日本全体の地方の主権を確立するためにも、この税源の移譲というのはぜひとも積極的に実現しなければならないと思っております。
 今後、国から地方への真の分権、つまり、財源を伴った権限移譲につきましては、都政改革ビジョンⅢにおいて、より具体的な具体策を提言するとともに、地方主権を実現するにふさわしい税財政制度の確立に向けて、例えば都税調などの意見なども勘案しながら、日本全体の地方自治体を代表する意気込みで国に向かって要求していきたいと思っております。
 お聞き及びかどうかわかりませんが、さきに都の税調が発表しましたいろいろな改革案、都からの新しい税制制度の建言につきましては、皮肉なことに大蔵省の中では非常に評価が高いようでありまして、また、私の親友でもあります前の経済同友会の代表幹事の牛尾治朗君なども、これは非常に有益な忠言で、ぜひ本にまとめて日本全体の地方自治体の範といいますか、有力な参考資料にしたらどうだということで、さきに、ある筋とも相談しまして、一冊の本にまとめて、それが日本全体の地方自治体に力を与えることになればと思って、近々出版したいと思っております。

○宮崎委員 今後の財政運営に当たって懸念されるものとして、予算委員会の前に副知事から説明がありました地方特例交付金があります。
 平成十一年度税制改正に伴う恒久的減税などによる減収の影響に対して、我が党の働きかけもあって、地方交付税の不交付団体である都に対しても、地方特例交付金による財政措置がなされ、十三年度の歳入規模も千五百七十億円と、都にとって貴重な財源の一部となってきております。
 この地方特例交付金は、将来の税制の抜本的な見直し等が行われるまでの当面の間の措置とされており、今回の都税の増収が相当の額となったことから、もはや都に交付する必要がなくなるという議論が懸念されますが、国の減税対策に伴う地方財政への影響については、国が補てん措置を講じることは当然のことであります。
 そこで確認をしますが、まず千五百七十億円とは、都財政にどのくらいのウエートを占めているのか、わかりやすい例でその大きさを示していただきたい。また、今回の都税の増収により、地方特例交付金が減額や不交付という論議を許してはならないと思いますが、あわせて見解をお聞かせいただきたい。

○木内財務局長 十三年度予算案に計上いたしました地方特例交付金は千五百七十億円でございますが、その額は、例えば都民の健康を確保するための各種医療対策などを内容といたします衛生費の歳出総額千四百四十六億円を上回る額でございまして、非常に貴重な財源でございます。
 ご指摘のとおり、地方特例交付金は、十一年度に国が行いました恒久的減税による地方税の減収の一部を補てんするものを目的として創設されたものでございまして、地方交付税の不交付団体にも交付されるものでございます。
 その意味で、都税が増収となることとは何ら関係がなく、ルールどおり交付されるべきものと考えております。

○宮崎委員 知事、ルールどおりと局長からお話がありましたけれども、地方特例交付金が減額されることのないよう、ひとつぜひ国の動向等を注視して万全を期していただきたいというふうにお願いをさせていただきます。
 いずれにせよ、十三年度予算では、財源確保の努力にもかかわらず、依然として千四百億円を超す財源不足が生じていることも事実であります。
 その裏には、七兆円を超える都債残高、二年連続の赤字決算に加え、一兆円を超える隠れ借金など、多額な負の遺産が厳然と存在をいたしております。
 また、我が国経済が、さきの政府の月例経済報告で三カ月ぶりに景気判断が下方修正され、また、アメリカ経済の減速や国内における株価の低迷などにより、その先行きがますます不透明さを増しており、依然として都財政が厳しいという認識のもと、現状の達成度に満足せず、気を引き締めて財政構造改革に取り組んでいくことが重要であります。
 知事には、今後とも引き続き財政構造改革を推進し、必ずや財政再建を達成させるとの強い決意を伺って、財政問題に関する質問を終わります。

○石原知事 今まで申し上げましたように、全庁挙げての取り組みによりまして、国に比べれば、対照的に東京都は構造改革の努力が何とか数字の上でも成果となってあらわれていると思います。これからの経済動向がどう動くかわかりませんが、非常に悪い事態が到来したときも、できるだけ東京都としてはソフトランディングというものを心がけた配慮というものを今からしていきたいと思っております。
 いずれにしろ、財政再建はまだまだ道半ばでありまして、構造的な赤字体質を転換するまでには至っておりません。ご指摘のように、巨額の隠れ借金もありまして、それをどうやって解消していくか、まだめども立っておりません。いずれにしろ、今後の経済動向が楽観できるものでない限り、それを覚悟して、今後も決して手を休めることなく、財政構造改革に都としては取り組んでいきたいと思っております。

○宮崎委員 次に、都政改革についてお伺いをいたします。
 東京は、明治維新を経て、近代国家の首都となって百三十三年がたちました。これまでの間、関東大震災、戦災という二つの危機に見舞われましたが、先達の努力により、この大きな危機を乗り越え、今や世界有数の都市になりました。
 しかし、知事がいうように、首都東京は危機に瀕し、都政も、財政問題を初めさまざまな難問を抱えております。この新たな危機を克服し、東京を元気にして、将来世代に引き継ぐ義務を私たちは負っております。
 そのためには、明治以来の制度そのものを改める時期に来ていると思いますが、こうした観点からご質問をいたします。
 現在の地方自治制度は、都道府県と市町村の二層制になっております。この基本は明治時代にできたものです。これまで、何回か市町村の大合併が繰り返されたりしてまいりました。現在の東京都の制度も戦時中に生まれたものです。都区制度改革などが行われたものの、抜本的な改革はこれからという状況でございます。
 そこでお伺いしますが、この狭くなった日本で、明治のように鉄道なり道路が不十分であったころの二層制という地方自治制度をこれからも維持していくべきと考えますかどうか、お答えをいただきます。

○大関総務局長 地方分権が進展する中で、住民により身近な地域のサービスを担う基礎的自治体の役割が一層拡大しております。同時に、広範囲にわたる行政課題への対応や、まとまりのある地域が全体として発展していくためには、基礎的自治体への支援や大都市問題に的確に対応し得る広域的自治体の役割も重要となってきております。
 今後、住民福祉をより一層増進させ、また、地方自治を充実させていくためには、国からの権限や財源のさらなる移譲を求めていくとともに、基礎的自治体と広域的自治体とが適切に役割分担し、それぞれの責任を果たしながら、相互に補い合うことが不可欠でございます。
 こうしたことから、二層制の地方自治制度は、これからも維持する必要があると考えております。

○宮崎委員 現在の都道府県や市町村の区域、具体的にいえば、東京圏あるいは関東地方における都の区域や区市町村の区域は、現在の都民の活動や近県から大勢の人々が都内にやってくる現実を見ますと、行政を行う区域としては狭いのではないかとだれしもが思います。
 知事もおっしゃっているディーゼル車なり、産業廃棄物などの環境問題なり、道路なり空港などの社会資本整備、IT社会の建設など、広域的に処理していかなければならない問題もふえていることは事実でございます。
 こういう広域的な問題に対して、現在、七都県市首脳会議の場を活用して連絡を行っていることは承知をいたしておりますが、この取り組みについての先ほどのお答えもありましたが、成果が上がっているのかどうなのか、お答えをいただきたいと思います。

○安樂政策報道室長 七都県市の首脳会議では、お話しのありましたような広域的課題の解決のために、共同の取り組みを進めてきておりますが、その成果を最近の例で申し上げますと、首都移転について、これまで首脳会議といたしましては、強い懸念を表明するというにとどまっておりましたが、昨年十一月の会議では、首都移転に強く反対すると明確に反対姿勢を打ち出すことで合意ができております。
 また、環境問題では、先ほど知事からも言及がありましたが、首脳会議の一致した強い態度表明が、ディーゼル車排ガス規制の二年前倒しを国に決断させるのに大きな力になったというふうに考えております。
 さらには、埼玉県などが東京都と歩調を合わせまして、国を上回るディーゼル車規制の条例化を目指すなど、首都圏の大都市の連携の輪が広がりつつあります。これも広域的な対応が必要な環境問題の解決にとって、大きな成果であると考えております。

○宮崎委員 ディーゼル車対策等には大変効果的だということですが、七都県市首脳会議については、現在も共同歩調で首都機能を維持しようとしているなど、その役割は否定をするものではございませんが、今日の東京圏、日本を見ますと、七都県市のような現行自治体の連携程度ではやはり限界があるのではないかと思います。自治体間の利害が対立する問題が数多く発生する現状を見ると、単なる連絡調整機関ではなく、そこで課題を解決する新たな仕組みが必要ではないかと考えます。
 先般の本会議で、我が党の松原議員の質問に対して、知事は、道州制を視野に入れてこれからの自治体のあり方を検討するとお答えになりました。道州制は、確かに広域問題を解決する大変期待の持てる案だと思いますが、道州制にも、国の出先機関方式や都道府県を合併した新たな自治体方式など、いろいろ形態があるようですが、どのようなものを視野に入れてお考えなのか、お示しをいただきたいと思います。

○大関総務局長 いわゆる道州制についてでございますけれども、その性格や区域、組織、具体的な事務権限など、これまで多様な提案がされているわけでございます。例えば、国の機関として設置する案、あるいは都道府県を合併する案、さらには、立法、司法、行政の三権を担う連邦制のようなものなどがございます。
 都政改革ビジョンⅢにおきましては、道州制についても、自治体の一つの形態として整理してまいりますけれども、少なくとも大都市圏の課題を自治体がみずからの責任と判断により主体的に地域を経営できる権限と財源を有し、地方主権の理念を実現できる形態を視野に入れながら考えていきたい、このように思っております。

○宮崎委員 道州制なら地方分権時代にふさわしく、ぜひ地方自治体としての道州制を期待します。
 しかし、戦後何回も浮上しながら消えていった構想でございます。それだけ実現が難しいということです。第一、東京圏の他県からそういう声をまだ聞いたことがないというふうに私は思っておりますが、今後、都政改革ビジョンⅢで道州制を含めて検討していくとおっしゃっていますが、都だけが先走ることなく、他県ともよく話し合いながら、当面、行政的な広域連携を重ねた上で、その結果として道州制に移行するなどの段階的な方策を考えていったらいかがか、お尋ねをいたします。

○大関総務局長 仮に道州制へ移行する場合でありましても、全国的な道州制を一度に導入しようとしますと、むしろ時間がかかるかと思います。
 手順といたしましては、首都機能移転問題やディーゼル車の排ガス規制など、大都市共通の具体的な課題の解決に向けまして、広域連携の取り組みを着実に積み重ね、住民意識を高めていくことが、まずもって必要であると考えております。
 その上で、例えば、首都圏メガロポリスの広域的な連合体をつくり、そのリーダーを住民投票により選ぶことや、東京都と近隣の県との合併を行うなどして、実質的な道州制に近づけていくということが実現への早道だと考えております。

○宮崎委員 道州制ばかり追いかけるわけではなく、現行自治制度の抱えるさまざまな問題を打破していくことも重要であります。
 例えば、地方分権といいながら、仕事ばかりがおりてきて、肝心の財源が分権化されておりませんし、地方交付税の問題や補助金の問題もあります。さらに、自治体の運営方法や契約会計制度、財産の管理などは、全国一律の制度として、地方自治法により細かく規定されています。
 このように、道州制のような合併問題以外にも、改革すべきことはたくさんあると思われますが、そういう問題も都政改革ビジョンⅢで取り上げるべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。

○大関総務局長 地方分権一括法による制度改革におきましては、税源移譲など税財政制度の抜本的改革が中長期的課題として先送りされたわけでございます。
 また、改正されました地方自治法は、自治体の組織や会計制度、契約制度などの事務の進め方を依然として事細かに定めており、必ずしも地方主権にふさわしいものとなっていないわけでございます。
 このため、都政改革ビジョンⅢの策定に当たっては、このような制度的な課題を乗り越えた幅広い検討をしてまいります。

○宮崎委員 とにかく、国に頼っていては先にまず進まないのではないでしょうか。一番現場で苦しんでいる地方自治体から、この国の形のあり方について物をいわせてもらい、自治体が協力して変えていくんだ、こういう気概で改革に挑んでほしいと思っております。
 今日、我が国の行政改革の方向を見ますと、行政から民間へ、国から地方へ、都道府県から区市町村へ、こういう動きになっております。
 IT社会が来て、みんなが情報を共有するようになりますと、もう上下関係等がほとんどなくなって、実力のある自治体が栄える社会、ほうっておいたら都道府県の存在意義が消えうせてしまいかねない状況でございます。
 今こそ、明治以来の制度そのものの変革を行う好機であり、首都東京から発信していかなければならないと私は考えております。
 この問題の最後にお伺いしますが、今は、明治維新、終戦に次ぐ第三の改革期といわれます。ビジョンⅢは、単なる壮大な提言、構想にとどまらず、実現への具体的道筋、戦略も備えた実効性ある内容にしていただきたいと思いますが、決意をお聞かせください。

○石原知事 ビジョンⅢでは、現在、とても十分に機能しているとはいえない地方自治制度の抜本的改革も視野に入れまして、中長期的展望で、東京から新しい自治体像を発信していきたいと思っております。
 この取り組みは、二十一世紀の自治体のあるべき姿を示し、ひいては中央集権制度から脱した新しい国の姿をも明らかにするようなものでなくてはならないと思います。
 先ほど申しましたように、例えば、三千三百万の人口の背景のありますこの七都県市が電化されて、新しい機能を備えますと、そこに違った形の大きな共同体ができるわけでありまして、それは、東京がその範を示すことで、二十一世紀における道州制のあり方の一つのパターンを暗示することにもなると思います。
 そういった意味からも、関係自治体との連携強化や、広く国民全体の議論を喚起しながら、実現のための具体的な、まさにおっしゃる具体的な実現--どうもお役所の文書はちょっと観念的なものがいつも多過ぎまして、高校生の作文みたいな域を出ないので、今度は少し注文しまして、具体性のある、さらに具体的な議論を誘発するような内容のものにしていきたいと思っております。

○宮崎委員 それでは次に、福祉改革に移りたいと思いますが、時間の関係で、福祉改革は後ほど、時間がありましたらお尋ねしたいというふうに思っております。
 同じく都立病院改革についても、後ほどお尋ねできる時間がありましたら、質問をさせていただきます。
 重症心身障害児施設の建設について、お伺いいたします。
 近年、出生率が低下し、少子化が進行する中にあっても、心身に障害を持つ子どもの割合は必ずしも減少しておらず、かつ障害が重度化しているといわれております。
 重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している重症心身障害児の方々が、地域で安心して生活していくためには、総合的な機能を持つ重症心身障害児施設が必要と考えます。
 平成十二年の第四回定例会でも、我が党の山崎調会長が、区部東部地域に予定されている東部療育センターの建設を一刻も早く進めるよう強く要望したところ、知事の英断をもって十三年度予算案に基本設計経費が計上され、建設に向けて大きく前進したことは、高く評価するものであります。
 そこで、東部療育センターの開設時期など今後の建設計画はどうなっているのか、お伺いいたします。

○今村衛生局長 東部療育センターの今後の建設計画についてでございますが、平成十三年度に基本設計を行い、十四年度に実施設計、十五年度から工事に着手し、十七年度の開設を予定しております。

○宮崎委員 平成十七年度の開設に向けて、今後、設計や工事を進めていくというお話でございますが、この地域におられる重症心身障害児の方々が、可能な限り家族と一緒に住みなれた地域で生活していくためには、新たにできる療育センターの機能が重要と考えますが、東部療育センターの具体的な機能や規模についてお伺いいたします。

○今村衛生局長 東部療育センターは、重症心身障害児の入所施設としての機能に加え、在宅で療育されている方々を支援する緊急入所、通所、外来診療等の機能を備えた総合的な施設として整備する予定でございます。
 また、規模につきましては、おおむね、入所、入院が百二十床、通所事業が一日当たり三十人、外来診療が一日当たり百人程度と考えております。

○宮崎委員 在宅療育の支援として、緊急入所も考えるとのことでございますが、重い障害を持つ方々が地域の中で生活し続けるためには、必要なときにすぐ入所できる緊急入所ベッドが絶対欠かせないわけでありますが、区部には、現在この緊急入所ベッドが十七床しかなく、不足していることはだれしもわかるわけでございますが、この東部療育センターでは、どのくらいのベッドを確保する予定なのか、お伺いいたします。

○今村衛生局長 入所、入院病床として整備する百二十床の中で、十二床程度を確保する予定でございます。

○宮崎委員 現在、十七床という形で、新たに十二床という形ですが、十二床で十分カバーできるのか、改めてお伺いいたします。

○今村衛生局長 当面、十二床で十分カバーできると思います。

○宮崎委員 区部東部地域の障害児や家族の方々は、在宅支援機能の充実した総合的な施設の一刻も早い開設を望んでおります。財政状況も大変厳しい中で、東部療育センターを確実に整備していくためには、公設民営方式も含めて、施設の効率的な運営が可能な形態を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

○今村衛生局長 施設の運営形態についてでございますが、ご提案の公設民営方式は、施設の柔軟かつ効率的な運営が期待できる面もございます。このため、この方式も含めまして、運営形態について検討を行い、開設に向けて着実に計画を進めてまいります。

○宮崎委員 東部療育センターが建設されることは、まことに結構なことと考えます。しかし、これから考えていかなければならないことは、今後、こうした重症心身障害を持つ子どもたちや、その親たちの高齢化に対して、また、親亡き後の障害者にどのように対応していくかということであります。
 このことは、重症心身障害児に限らず、身体、知的、精神の障害を持つ人たちについても同様の問題がやがて顕在化してくることは確実であります。こうしたことについてどう認識されているのか、衛生、福祉両局長にお答えをいただきます。

○今村衛生局長 高齢化が進展する中、障害を持つ方やそのご家族の高齢化の問題は、ご指摘のとおり重要な課題と認識しております。
 障害を持つ方々が、それぞれにふさわしい多様な生き方を選択でき、自立した心を持って生活ができるよう、関係局との適切な連携のもと、保健医療の面から、重症心身障害児者や精神障害者の地域生活の支援など、積極的な施策の推進に努めてまいります。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 障害者の方々が高齢化するに伴いまして、さまざまな福祉サービスへのニーズが高まり、適切な対応を図ることが重要であることは、十分認識いたしております。
 このため、都といたしましては、今回策定しました福祉改革推進プランに基づき、在宅サービスと入所施設サービスの両面にわたりまして、身体障害者児や知的障害者児の方々が地域の中で多様な暮らしを送れる、そのためのインフラ整備など、積極的な施策展開を、区市町村と連携しながら図っていく方針でございます。

○宮崎委員 大変弱い人への、知事からも、ひとつぜひ今後とも温かい目線で予算を計上し、療育センターの一日も早い開設を希望いたしておきます。
 次に、環境緑化対策についてお伺いをいたします。
 二十一世紀を見通す上で忘れてはならないのが、今世紀が環境の世紀になることであります。知事は、さきの施政方針の中で、人類が目指すべき新しい社会は、地球と共存しながら合理的成長を持続する自律型文明社会であると明快に位置づけ、地球環境と調和することの必要性を訴えました。
 世界の森林は、東京都と同じ面積が五日ほどで消滅し続けています。こうした世界で繰り広げられているさまざまな事象を見ると、知事の見解は一つ一つうなずけるものばかりであり、私も同じ思いであります。
 知事が発言された理念をどのように具体化していくかが、これから問われることになります。この場では、こうした問題意識に立って質疑を行い、環境問題に対するお互いの認識を深めていきたいと思います。
 施政方針の中で、環境問題に関して、都庁全体で取り組む体制を構築することが不可欠であるとも述べています。環境問題が、環境局だけではもはや手に負えないところまで追い込まれているのかなと、危機意識のあらわれであると受けとめています。
 知事がリーダーシップを発揮して、縦糸、横糸が強固に組まれた総合的な体制を組むことを要望いたします。
 私は、環境局以外が環境問題に取り組む具体的な事例として、産業労働局の役割についてお尋ねをいたします。
 この四月から、組織改正で、現在の労働経済局は産業労働局に生まれ変わりますが、都市の第二次産業、第三次産業対策ばかりに力を入れるのではなく、環境との関連を考えれば、一次産業も決しておろそかにできないはずであります。
 第一次産業、特に林業について、スクラップ・アンド・ビルドを進めた上で、環境の視点に立った新しい政策を打ち出す時期に来ていると考えますが、局としてはどのような環境政策に取り組もうとしているのか、お伺いいたします。

○浪越労働経済局長 森林は、都民にとって最も身近で重要な環境資源でございます。
 都はこれまで、木材生産を重視した林業施策を通じて、森林の持つ、水資源の涵養や大気の浄化等の公益的機能を発揮するよう努めてきたところでございます。
 今後は、落葉広葉樹がまじった自然性の高い森林の育成や、環境に優しい木質バイオマスエネルギーの利用の検討など、環境の視点を強めた施策を新たに展開してまいります。

○宮崎委員 ぜひとも積極的にお進めいただきたいと思います。
 私は、環境対策を効果的に進めるには、税制とリンクさせることが重要ではないかと思っております。もちろん、既にオランダや北欧四国では、九〇年代の初頭に、CO2の排出量に着目した炭素税、すなわち環境税を導入しております。この取り組みには高く評価しますが、ただし、これは普通税となっており、税収の使途は特定されておりません。
 私は、環境税は、目的税として導入した方が、因果関係が明確になり、都民の理解も得やすいと考えております。
 昨年末に出された都税調答申にも環境税が盛り込まれていますが、環境対策における税の役割や重要性についてどのような認識を持たれているのか、また、目的税として導入することについて知事はどのような見解をお持ちか、お聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 これは大変本質的な大事な提案でありまして、施政方針で申しましたが、地球と共存しながら合理的な成長を文明が持続していくためには、環境に対する重視を経済の仕組みの中に内在化させていくことが不可欠であると思います。そのためにも、税制の果たすべき役割は非常に重要になってくると思います。
 例えば、かつて田中角栄内閣のときに、ガソリン税というものを設置しまして、これはもう純然たる目的税で、高速道路の建設だけに充てるということで賛否両論ございましたが、実施してみますと、非常に短期間に日本の高速道路は整備されました。まだ、され過ぎつつありますが、車の走らないところに立派なハイウエーができていて、何の役に立つかと思うんですけれども、そういうものをもっと重点的に大都会に回すべきだと思いますけれども、例えばガソリン税なども、当初の目的をもう達したと思いますから、あれをそのまま環境税に振り向けるような、そういう提案というものを、地方から出身の国会議員は多うございますから、何といってもこの大都会の都議会が、党派を超えてひとつ国に向かって要求していただけたら、非常に大きな迫力になると思います。
 先ほど申しましたが、主税局が努力しております、あの不正軽油撲滅のための脱税の摘発ですが、これはもう繰り返して申しますけれども、税収のためというよりも、税制の面で、税務の面で、東京の大気汚染の改良のために努力をしようという、局をまたいだ努力でありまして、今後、おっしゃいますように、東京ならではの環境に対する目的税の設定なども、非常に全国に波及する大事な提言になると思いますので、研究させていただきます。

○宮崎委員 大変知事の前向きなご答弁をいただき、ぜひ今後とも検討していただきたいと、このように思っております。
 環境税を目的税として導入するよう強く要望するわけでございますが、環境税を目的税とすることを前提に、その使途について、この場で、新しい提案を私なりに行ってまいりたいと思っております。
 これまで、環境対策の多くは、発生源対策に振り向けられてきました。都税調答申でも、目的税として検討している大型ディーゼル車高速道路利用税の使途として、DPFの装着補助や低公害車への買いかえ補助が提案されています。もちろん、これらの施策は重要なものであり、それを否定するものではありませんが、発生を抑制することと同時に、大気に関していえば、植林、都市緑化などを通してきれいな空気を生み出すということも重要な施策であります。
 しかし、こうした施策は、効果があらわれるまでには大変長い年月がかかるため、今のように厳しい財政状況のもとでは先送りされる危険性があり、そのような事態にならないよう、安定的な財源を確保することがぜひとも必要であります。
 そこで、環境税が創設された場合には、その税収を発生源対策に回すだけではなく、大切な緑の拡大など、環境創造事業に活用すべきである、このように思っておりますが、ご答弁を求めます。

○中野環境局長 東京を持続可能な都市として発展させていくためには、環境への負荷を可能な限り低減するとともに、ご指摘のような、緑豊かな都市づくりを進めることが必要であります。
 環境税が創設された場合におきましても、ただいまお話しの緑の拡大など、引き続き環境の視点を重視した施策の展開を図ってまいります。

○宮崎委員 我が党は、環境創造事業の充実に向け、新税の導入など、問題提起を引き続き行っていくことを表明しながら、次の質問に入ります。
 緑化政策の中で、緑をふやす手段としての公園整備があります。公園の緑は、都市生活の快適さを増すとともに、近年の大気汚染やヒートアイランドの緩和あるいは火災の延焼を防ぐ効果があります。
 これに加えて、公園には、日常のレクリエーションや災害時の復旧拠点としてのオープンスペースなど、さまざまな機能があり、大都市東京における公園の果たす役割はますます大きくなっています。
 そこで、厳しい財政状況の中で、今後の公園づくりをどのように進めていくか、お答えをいただきます。

○古川建設局長 公園整備に当たっては、水と緑の骨格軸を形成する公園や、防災の拠点となる公園に一層の重点を置き、整備を行ってまいります。
 あわせて、国費導入の拡大を図るとともに、リサイクル材の活用や工事材料の見直しなどのコスト縮減にさらに努めてまいります。
 また、高齢社会にも対応して、樹木や草花の植えつけなどに住民が参加する公園づくりや、民有地を借り上げて緑地として整備し一般開放する市民緑地制度など、新たな手法をも取り入れて事業を進めてまいります。

○宮崎委員 公園整備は、年々着実に進めてこそ、道路や河川と連携した総合的なまちづくりが推進でき、日常のレクリエーションや都市環境の改善及び防災機能の拡充、あるいは高齢者対策など、さまざまな効果が期待されるものと考えます。
 今後も、工事費など公園の整備費用については、的確に予算措置がなされ、着実な進展が図られるよう強く要望して、この質問は終わります。
 次に、築地市場の再整備についてお伺いいたします。
 昨年十二月末の東京都卸売審議会の中間報告では、現在地では、物流の効率化や衛生、環境対策の強化を実現し、将来の物流変化にも対応していくことは困難であるとされています。
 私の身近でも、魚屋さんや八百屋さんが少なくなり、スーパーマーケットを利用することが多くなっています。また、街道沿いにはファミリーレストランが店を並べ、多くの客が利用いたしております。
 このように、都民の食生活の環境は大きく変化し、それに伴い、生鮮食料品の流通環境は大きく変化していると考えます。このような変化を受けて、市場における流通は、これまでどのように変わったか、また今後どのように変化すると見ているのか、お伺いいたします。

○大矢中央卸売市場長 生産段階においては、国内の生産量の減少と輸入量の増大や出荷の大型化、計画化が見られるところでございます。
 消費段階におきましても、消費の多様化、高級化、少量化などにより、スーパーマーケットなどの多品目小売業態が急速に拡大する一方、鮮魚店や青果店など専業小売店の数が大幅に減少しております。
 また、産直や宅配の増加などによりまして、流通経路が多元化しているところでございます。
 今後このような変化が一層進むとともに、情報化社会の進展に伴い、インターネット取引が増大するなど、流通環境に大きな構造変化が起こるものと考えております。

○宮崎委員 市場における変化を聞きましたが、それらの変化が今の築地でなぜ解決できないのか、そして、移転が望ましいと判断した理由について、お答えをいただきます。

○大矢中央卸売市場長 消費の多様化、少量化などに対応するためには、パッケージセンターや加工施設など新たな施設が、また、流通の効率化を図るためには広い荷さばきスペースが必要とされますが、現在の二十三ヘクタールでは敷地が狭隘であり、これらの問題に対応できません。
 また、移転が望ましいと判断した理由は、ただいま申し上げましたことのほかに、建てかえ工事が長期に及び、営業への影響が大きいことや、多額の費用を要すること、また、敷地が狭隘であるとともに、二十年以上にわたるローリング工事となるために、現在の施設の建てかえにとどまり、将来の流通環境の変化に対応できる施設ができないということも考えられます。
 さらに加えまして、市場業界の中では、移転整備すべきとの意見が大勢を占めていることなども勘案し、移転による抜本的な整備がぜひとも必要であると判断した次第でございます。

○宮崎委員 改築には、大変なローリング工事を含めて、長期にかかるというお話がありましたが、我が党の代表質問に、知事は、築地市場は、狭く、古く、危なく、二十一世紀の中核を担う市場への再生を目指すには、移転による抜本的な整備が必要であるとお答えをいたしました。
 二十一世紀の中核を担う市場とは何か、具体的なイメージでどのようなものをお示ししていただけるのか、ご見解をお伺いいたします。

○大矢中央卸売市場長 二十一世紀の中核を担う市場とは、流通システムの効率化を図り、ローコストオペレーションを実現することができるような情報化や物流の効率化が進んでいること、生鮮食料品流通の基本的な課題である衛生、安全対策などが充実していること、さらには、市場活動から生ずる環境負荷が可能な限り軽減されていること、つけ加えまして、低温一貫流通など新たなニーズや震災等に対応できる施設であることなどが必要と考えております。
 こうしたことを踏まえ、新たな市場が、将来の流通環境の変化にも十分対応できる、二十一世紀の中核を担う市場となるように、その実現に万全を尽くしてまいります。

○宮崎委員 次に、商品やサービスの流通から消費までを見通す観点から、多様化した企業活動の実態把握についてお伺いいたします。
 都内の中小の小売業やサービス業は、都民の日常生活に必要なさまざまな商品やサービスを提供する役割を担っています。中でも、長時間営業を行うコンビニエンスストアやチェーン店に加盟する飲食店など、多様化する消費者ニーズに対応することにより成長している点が注目されます。こうした企業活動は、中小の小売業やサービス業の創業や事業転換に有効な手段の一つであるといえます。
 都は、これからの企業活動の実態を把握し、今後の中小企業振興に反映させるべきと思いますが、所見をお伺いいたします。

○浪越労働経済局長 ご指摘のように、都民の商品やサービスに対する多様なニーズに応じて、コンビニエンスストアやチェーン加盟の飲食店など、多様な業態が展開されております。このため、東京の産業の活性化と消費生活の充実を図っていくには、生産、流通から消費までの全体を見通し、その実態に応じた施策を適切に講じていくことが重要と認識しております。今後の中小企業振興や商店街振興に活用するため、コンビニエンスストアなどの多様な企業活動についての調査を行い、早急に実態の把握に努めてまいります。

○宮崎委員 先ほどご質問しようとして落としておりますので、福祉改革についてお伺いいたします。
 新世紀を迎えて初めての予算審議の都議会において、我々は、この新しい時代における東京の福祉のあるべき姿を大きな視点からとらえ、都民の前に示す義務があると考えます。世界的にもまれな超高齢化が進展する中にあって、行政がサービスの内容や水準をすべて決定し、社会福祉法人中心にサービスを提供する従前のシステムを見直し、利用者である都民が、みずから必要とするサービスを選択し、利用する福祉システムへの構造改革を進めることが求められております。
 こうした状況の中、都は、昨年末に、利用者指向の開かれた福祉を目指してとの副題をつけた東京都福祉改革推進プランを策定いたしました。福祉改革と聞くと、どうもいかめしい感じがしてしまいますが、その内容は、まさに二十一世紀にふさわしい利用者本位の新しい福祉を創造して行うものだと理解をいたしております。
 そこで、まず、議論の基礎となるこれまでの福祉をどう認識しておられるのか、そして、都が目指す福祉改革の意義をどうとらえておられるのか、知事にお伺いいたします。

○石原知事 これは人間の歴史の常でありますけれども、いかなる政策も制度も、時代の変化との間に必ずそごを来すものであります。今日の日本の社会におけるあり得べき福祉も、それを免れないと思います。
 日本の福祉制度は、敗戦によりまして非常に悲惨な状況に陥った国民生活を、いかに再建するかというところから出発をいたしました。そのために、行政が広範囲にわたって上からコントロールするという色彩が非常に強くて、利用者によるサービスの選択や、事業として福祉を行う事業者同士の競争は、事実上ないような状態でございました。
 こういったフレームワーク、制度が歴史的に一定の役割を果たしてきたとはいえ、半世紀を経て制度疲労を起こし、都民の期待に十全にこたえられなくなっているということも事実でありまして、こういう状況を、都民のニーズに柔軟かつ的確に対応できるような形に改革しまして、利用者本位の開かれた福祉を、全国に先駆けて東京から実施することが福祉改革であると考えております。
 国の行っております改革も、全国的なものでありますが、東京という非常に稠密な人口の、こういう都市にありましては、いろいろ及ばないところもありますし、矛盾も先鋭的に出てまいりますが、それはそれで、東京都が東京プロパーに対策し、それを手当てしていくことも心がけております。
 いずれにしろ、今回の見直しというものは、東京における福祉の改革というものの一環であるということをご認識願いたいと思います。

○宮崎委員 時代の変容に伴う都民ニーズの多様化、高度化、あるいは福祉サービスの普遍化要求に的確にこたえていくため、戦後五十年の間、基本的に見直されることのなかった措置制度を中心とする既存システムを利用者本位のものに改革しようとするものだということがよくわかってまいりました。
 確かに、以前は、保育所に通うお子さんは、家庭に事情があるなど、限られた子どもさんたちでありました。施設サービスやホームヘルプサービスを受ける高齢者は、現実には低所得の人が中心でございました。今では、これらは極めて普通の自治体サービスとして都民の皆様が享受しているわけで、こうした状況を見れば、福祉システムが戦後復興の中でつくられた、限られた人を対象とした仕組みのままでは限界があるということは、納得がいきます。だれもが利用できる普遍的なサービスであれば、利用者が無理のない範囲内で、ある程度の負担をするのは当然であります。
 福祉施策の見直しや介護保険の導入後、高齢者の負担が重くなって大変だと一部ではいわれていますが、本当なのでしょうか。シルバーパスや老人医療費や介護保険などでの平均的なサラリーマンのOBの負担はどの程度なのか、お聞かせいただきたい。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 都内の平均的なサラリーマンで退職した方でございますが、十一年度を見ますと、年金受給額が平均で二百四十万円前後でございます。
 お尋ねのいろいろなサービスにつきましては、したがって、住民税非課税世帯ということになります。したがいまして、例えば、こうしたOBの方の場合、シルバーパスの利用者負担は年間千円であり、老人医療費の自己負担と介護保険の利用料も、低所得者として上限額が低く設定されております。
 このように、高齢者サービスの利用者負担は、お尋ねの平均的なサラリーマン退職者の方にとっても配慮されたシステムとなっていると考えております。

○宮崎委員 今、お聞きをしますと、平均的なサラリーマンOB、二百四十万、そうしますと、退職者は住民税非課税であり、高齢者の多くの方は比較的低い負担でサービスを利用できることになっております。
 都は、平成十二年度予算の編成に当たり、シルバーパスを初めとする福祉施策の見直しを行い、差し迫った超高齢社会を安心して迎えるため、皆が助け合うことは不可欠なことであるとのご理解をいただき、都議会においても、連日連夜にわたる真剣な議論を経て、実施が決まったわけであります。
 この一連の施策見直しと福祉改革の関係あるいは位置づけはどういうものか、ご答弁を願います。

○石原知事 おっしゃるとおり、今まで都議会における十分な審議を経て、今年度からこれが実施されているわけでありまして、この一連の福祉施策の見直しは、歴史のニーズに沿って、基本的にこれを変えていこうという社会状況の変化、国の施策の充実を踏まえて、あくまでも負担の公平性などの観点から実現されたものであります。
 人間のつくる制度あるいは方式でありますから、一〇〇%十全というものにはなかなかいかないでしょう。しかし、より多くの方々に評価していただける新しい方式といいますか、制度でありまして、それでもなお、そこからこぼれるといいましょうか、それに痛痒を感じられる方のためには、国家の責任として生活保障というものが最後に用意されているわけでありますから、それを十分に踏まえられての審議が都議会において行われたと、私、信じております。
 いずれにしろ、今後、限りある資源を最大限に効果的に活用することによって、福祉改革に取り組んでいきたいと思います。その意味でも、今回の施策見直しは、あくまでも福祉改革の一環をなすものであります。

○宮崎委員 新しい福祉を築くための福祉改革の一環として見直しが行われたということで、我々の苦渋の選択は、税収不足の状況の中での財源確保のためのものではなく、新しい福祉を築くための前向きなものであったということであります。
 このことは、福祉改革推進プランの中で明らかに具体化されております。選択、競い合い、地域の三つのキーワードのもとに、新しい福祉システムに転換するためのさまざまな施策が盛り込まれており、このような多様な施策の総事業費は、平成十六年度までの五年間に五千二百億を上回るものと記されております。
 一時的にせよ、税収の回復が見込まれてはいますが、増大を続ける都債残高や一兆円を上回る隠れ借金など、依然として都財政は厳しい状況にあるわけで、こうした中で、都民が真に必要とする福祉施策へ積極的に財源を投入しようとされる知事の英断を高く評価するものであります。
 改めて、施策見直しと福祉改革推進プランに盛り込まれた積極的な事業展開との関連を、財政的視点からお答えいただきたいと思います。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 福祉改革推進プランにおきましては、五年間で五千二百億円を上回る事業を計画化し、多様な都民ニーズにこたえて、福祉施策の充実を図ることといたしております。
 これは、一連の施策見直しにより生じた財源を福祉改革実施のため戦略的、集中的に投入していく、これによって可能となったものであります。厳しい財政状況のもとではありますけれども、利用者本位の新しい福祉を東京から築いていくために、国に先駆けて、戦略プロジェクトを初めとする福祉施策を積極的に展開してまいります。

○宮崎委員 新しいシステムを築くための戦略的集中投資という方針は、福祉分野にとどまらず、バブル期の負の遺産の対応に翻弄され、低成長期への移行の中であるべき方向性を失っている地方行政にとって、共通する羅針盤ともいうべき考え方といえるのではないかと考えます。
 利用者がサービスを選択し、利用する新しい福祉システムを構築するには、まず何よりも選択に足りる十分な量の、質の高いサービスの確保が不可欠であります。そのため、サービスの絶対量を確保するためにも、条件整備とともに、がんじがらめの規制を緩和し、多様な事業者を福祉の世界に参入させることにより、事業者同士の競い合いを促し、切磋琢磨する環境をつくり上げることがぜひとも必要でありまして、こういう取り組みに財源を集中的に投入し、実行していくことが、今後の都政の役割と考えますが、所見をお伺いいたします。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 利用者が、必要とするサービスをみずから選択、利用できる、こういう福祉を目指しているわけでありますが、そのためには、ご指摘のとおり、多様な事業者を福祉の世界に参入させ、競い合いを通じて、質の高いサービスを十分に確保していくことが必要でございます。
 そのため、都といたしましては、民間事業者を活用した認証保育所制度の創設など、都独自の施策を積極的に展開することによって、事業者間のサービスの競い合いを促進してまいります。

○宮崎委員 認証保育所制度は、新しい保育サービスの選択肢を都民に提示するとともに、株式会社の参入によるサービス競争の促進という観点から、都が考える福祉改革の理念そのものを具現化する施策といえるのではないでしょうか。
 しかし、ここで留意しなければならないことがあります。確かに、福祉サービスの市場化というべき施策展開は、サービス競争を促す効果もあるかもしれませんが、同時に、利用者に被害が及ばないように手だてを講じておく必要があることも忘れてはなりません。
 特に、福祉は、物品を売買するのとは違い、生活そのものに密着しているから、利用者がこうむる被害は甚大かつ致命的であります。
 こうした事態が起こらないよう、あるいは万が一起こった場合にも、利用者被害が大きくならないようにするため、方策を区市町村とともに十分検討しておくことが不可欠と考えますが、所見をお伺いいたします。

○前川福祉局長高齢者施策推進室長兼務 福祉サービスは生活に密着しているものでございまして、利用者本位の新しい福祉を実現するためには、サービスの競い合いを促す一方で、利用者被害の予防や救済のための仕組みを用意することが不可欠でございます。
 今後、福祉改革推進プランに基づきまして、苦情対応の仕組みであるとか、サービスを客観的に評価し、利用者に情報提供をする仕組み、さらには痴呆性高齢者などの契約を支援する仕組みなど、利用者保護のための制度の構築に、区市町村とともに積極的に取り組んでまいります。

○宮崎委員 この福祉改革推進プランは、その目指すスタンスが明確であり、また内容も大変豊富で、体系立って整理されているものであり、我が党としては評価するものですが、真の問題は、盛り込まれた施策や基本的な考えをいかに実行するかということであります。
 特に、福祉施策の中心は、東京でも、もちろん国でもないわけで、都民に身近な区市町村が、戦後五十年の仕組みを根本から再構築する、この大改革の主人公なのであります。すなわち、区市町村がそれぞれ福祉改革とその必要性に関して十分に理解し、自分の課題としてとらえ、積極的に取り組むことなくして、このプランは実を生み得ないものであります。
 しかしながら、ご多分に漏れず、区市町村中でも、私の地元も含めて、多摩の市町村の財政は極めて厳しい状況にあります。福祉改革の必要性は十分に、十二分に理解はしているが、先立つものがないために新たな施策展開に取り組む余地がないとの、ため息ともいえる市町村の担当者の声を多方面から聞いております。
 福祉改革は、今やっとスタートラインについたばかりでございます。都民が夢と希望を抱くことのできる、二十一世紀にふさわしい、新しい利用者本位の福祉の構築を目指し、何としても実現に向けて取り組まなければならない政策課題であります。
 このプランを絵にかいたもちに終わらせないためには、今後、区市町村に対する財政支援を含めて積極的な取り組みが必要であり、職員による着実な積み上げとともに、知事の強力なリーダーシップの発揮が不可欠と考えますが、決意を含め、知事の福祉改革の実現に向けた所見をお伺いいたします。

○石原知事 国民、都民が、個々人の生活環境、そして、その人が住む地域社会の特性を踏まえての新時代の新しい福祉を着実に、確実に推進していくためには、その核となります区市町村が、それぞれの発想に基づいて、地域の中で積極的に取り組んでいくことが何としても必要であると思います。
 都といたしましても、包括補助制度を活用することなどによりまして、こうした区市町村の取り組みを広域的観点から積極的に支援するつもりでおります。
 今後、区市町村と手を携えながら、福祉改革推進プランに掲げた施策を確実に実行することによって、福祉改革の都における実現に向けて全力を傾けていきたいと思っております。

○宮崎委員 知事から大変温かい福祉改革に向けた所見をお伺いいたしました。先頭に立って福祉の充実のためにご努力をいただきたい、このように思っております。
 次に、災害関連についてお尋ねいたします。
 三宅島火山活動は、依然として有毒な火山ガスの噴出が続いており、いまだ終息の兆しすら見られません。避難された三宅村民の皆様に改めてお見舞い申し上げるとともに、長期にわたる不便と不安な毎日をお過ごしのことと思いますが、決してあきらめることなく、希望を持ち続け、この困難を乗り越えていかれることを切に願うものであります。
 今年も、年初めから中米のエルサルバドルやインド西部で大地震が発生し、世界各国が地震の活動期に入ったような様相を呈しております。
 一方、三宅島では、火山灰や泥流により、被害が続いております。都は、関係局によるプロジェクトチームをつくり、検討を行い、先般、当面の対策を取りまとめたと聞いております。近く、現地での職員の夜間滞在も試行されるとのことですが、島外に避難している住民にとって、自分の家や宅地がどうなっているのか、帰ってもそのまま住めるかどうか、心配の一つになっております。
 さまざまな具体的な対策について、関係局長にお伺いいたします。
 まず、復旧工事用資材や人員の輸送に不可欠な道路、港湾、空港の機能確保とともに、被害の拡大防止に向け、荒廃した山腹や沢筋における砂防、治山工事等の泥流対策についての取り組みについて、お答えをいただきます。

○古川建設局長 三宅島一周都道については、これまでも堆積土砂の除去を繰り返し実施し、最低一車線の確保を図っております。特に、泥流により決壊した島南部の立根地区では、現在、四月上旬の開通を目途に、約三十五メートルの仮橋の建設作業を進めております。
 また、泥流による家屋被害等の拡大を防止するため、緊急に対応すべき十六の沢において、ワイヤーセンサーや流木どめの設置、既設の砂防ダムに堆積した土砂の除去などを開始しました。
 加えて、島の外においても、砂防ダムに使用する鋼矢板やコンクリートブロックなどを製作しております。
 極めて厳しい作業環境ではありますが、梅雨に備え、現在、でき得る限りの作業に全力で取り組んでおり、常駐態勢が可能となり次第、復旧工事をより強力に進めてまいります。

○浪越労働経済局長 治山工事につきましては、集落や道路に直接被害を及ぼしている沢から優先して、土砂や流木をとめるダムを設置いたします。
 また、荒廃した森林が土砂などの発生源となっているため、ヘリコプターから植物の種子をまいて緑化をし、表土の浸食防止を図るなど、島民が安全に暮らせるよう、早期復旧に努めます。

○齋藤港湾局長 三宅島の港湾のうち、三池港と阿古漁港については、復旧用資機材と人員輸送の基地として、大型貨客船が接岸できる機能を確保しております。
 また、坪田漁港と湯の浜漁港につきましては、仮係留施設を設置し、神津島との連絡要員の送迎基地として活用しております。
 なお、三宅島全体の地盤沈下と泥流による港湾等の被災については、詳細な調査を進めておりまして、今後、岸壁のかさ上げやしゅんせつ等、必要な対策を行うこととしております。
 それから、三宅島空港でございますが、噴火の都度、降灰を除去してきており、現在、滑走路は、緊急時の使用が可能でございます。
 今後とも、港湾、空港の機能確保に万全を期してまいります。

○宮崎委員 大変細かく説明をいただきましたが、家屋の被害状況の把握や、宅地等に堆積した土砂対策などについてはどのように取り組んでいるのか、お答えをいただきます。

○山下都市計画局長 現在、村と共同いたしまして、土砂等の流入による家屋の被害や宅地などへの土砂の堆積状況を調査しているところでございます。
 現地では、降雨のたびに状況が変化しておりまして、また、気象条件や火山活動によって十分な調査活動ができない現状にございますが、今後とも引き続き状況の把握に努めてまいります。
 宅地内に堆積した土砂の排除につきましては、既存の国庫補助制度を活用するなど、村の土砂排除事業が円滑に進むよう支援をしてまいります。
 さらに、宅地内に流れ込む土砂を防止する施設の設置など、現地で必要と思われる対策につきまして、新たな補助制度の創設を国に対して積極的に働きかけているところでございます。

○宮崎委員 また、被災した住宅対策、さまざまな作業に当たって不可欠な水道の復旧は、村が主体となって行うことは承知をいたしておりますが、都の支援がなければとても実現できるものではありません。関係局の支援の取り組みについてお伺いいたします。

○戸井住宅局長 まず、住宅金融公庫の災害復興融資を利用する方につきましては、当初五年間は金利負担をゼロとするなどの利子補給制度を都として既に用意しているところでございます。
 また、自力再建が困難な世帯に対しましては、村が公営住宅を円滑に供給できるよう、財政的、技術的支援を行う体制を整えております。
 現在、被災状況調査などを実施しているところでございまして、帰島の条件が整い次第、直ちに生活再建に向けた住宅の整備が進められるよう、村と連携し、全力を挙げて取り組んでまいります。

○赤川水道局長 水道局が村などと合同で行いました調査によりますと、泥流により送水管が複数箇所で流失するなど、島の全域にわたり、水道施設に大きな被害が生じていることが明らかになっております。こうした状況から、今後、さまざまな復旧活動を行っていくためには、一日も早く水道施設を復旧し、必要な水を確保することが最優先と考えられます。したがいまして、村からの要請に基づき、水道施設の早期復旧に向け、さまざまな技術支援に積極的に取り組んでまいります。

○宮崎委員 水の問題については、命の母でございますから、一日も早い復旧のためにご支援をいただければと思っております。
 また、困窮している農業、漁業の関係者等については、お金を借りたが戻れないという形で、大変心配があろうかと思いますが、ぜひ、商工業者及び農林業者の方からは、利子分の返還を凍結してほしい、無利子金融を拡大してほしいと、資金面での支援について強い要望が寄せられております。
 都は、こうした事態に対してこれまでどのように対応してきたのか、お伺いいたします。
 あわせて、事態が一層深刻化している状況の中で、既往債務についての負担軽減措置など、都として思い切った対策が必要と考えますが、あわせてお答えをいただきたいと思います。

○浪越労働経済局長 まず、これまでの経過でございますが、都としては、現在、島外避難が長期化する中で、資金繰りに支障を来している中小企業者や農林漁業者の金融の円滑化を図るために、被害の甚大さを考慮し、貸付期間の全期間を利子補給することによりまして実質無利子とする災害復旧資金融資などを実施しております。
 さらに、政府系金融機関が実施する特別災害貸付についても、国、都及び村と連携して利子補給を行っております。
 また、関係金融機関等に対して、都の融資制度等における既往債務の返済猶予措置について、数次にわたり協力要請を行っており、事業者の実情に応じた条件変更が実施されているところでございます。
 次に、思い切った対策が必要ではないかというお尋ねでございますが、都としては、避難生活が長期化する中で、事態の一層の深刻化を踏まえ、既往債務の返済に困窮するなど厳しい状況に置かれている事業者の方々の負担軽減を図るため、実施に向け、早急な対策を、現在、金融機関とも協議をしているところでございます。
 なお、現在、政府系金融機関の特別災害貸付の特別措置の延長などについて、国への要望を行うとともに、都の災害復旧資金融資の延長についても検討しているところでございます。

○宮崎委員 時間の関係上、次に、多摩地域の振興についてお伺いいたします。
 今後の多摩振興のためのビジョンとして、多摩の将来像素案が発表されました。その中で、今後の多摩地域のあるべき姿として、活力と魅力あふれる多摩の創造が打ち出され、その大きな柱として、東京の活力の一翼を担う多摩と、全国に誇れる多摩の生活と魅力という二つのグランドデザインが示されております。
 現在、多摩地域は、社会経済状況の変化や地域の変貌の中、先端技術産業の集積など、発展の可能性が高まっており、二十一世紀を迎え、首都東京の再生の一翼を担う多摩地域の役割はますます重要となってきております。
 この意味から、東京の活力の一翼を担う多摩というビジョンについて、適切であり、大いに賛同するものでありますが、これについて、どのようなコンセプトのもとに打ち出されているのでしょうか、お伺いいたします。

○大関総務局長 現在、多摩地域は、先端技術産業の集積や多数の大学立地などにより、魅力的で発展の可能性に満ちた地域となっております。
 今後、こうした発展の可能性を生かしながら、多摩地域は、核都市を中心として、自立性と連携を高めつつ、交通など都市基盤の整備を図り、産業、物流機能を充実させることにより、東京の再生のために主体性を持った発展を目指していくことが重要となっております。
 こうした状況を踏まえまして、今回の多摩の将来像素案におきましては、グランドデザインの大きな柱として、自立し連携するということを基本に置きながら、東京の活力の一翼を担う多摩というビジョンを示しました。

○宮崎委員 続きまして、多摩地域中小企業振興センターの設置についてお伺いいたします。
 城東地域、城南地域及び多摩地域の三カ所に設置するよう提言なされて以来、長年の月日が経過をいたしております。既に城東、城南地域の二カ所は設置され、大きな実績を上げていると伺っています。しかし、都は、設置について、東京都産業振興ビジョンや東京構想二〇〇〇、さらには多摩の将来像素案において触れているが、いまだに設置のスケジュールが明確になっていない。ついては、これまでの取り組み状況をお伺いいたしたい。
 あわせて、多摩地域中小企業振興センターの設置は、多摩の中小企業者としての悲願でございます。東京構想二〇〇〇などにより、経営、技術相談や創業支援機能、産・学・公の連携などにより、中小企業を総合的に支援する拠点とすることといたしております。
 財政的な事情もありますが、センターを一日も早く実現するための方策や運営の方法についての工夫をする必要があると思うが、所見をお伺いいたします。

○浪越労働経済局長 まず、多摩地域中小企業振興センターのスケジュールでございますが、多摩地域中小企業振興センターについては、平成十年度に策定いたしました立川基地跡地・昭島地区の土地利用構想の中で、昭島地区東中神駅北側の商業・業務地域に配置することとされたところでございます。
 しかし、厳しい財政状況などを踏まえると、当初のスケジュールを変更せざるを得ない状況にございます。
 また、同時に、多摩地域の産業を取り巻く環境の変化により、施設の機能等の見直しを図る必要が生じてきました。このため、城東及び城南の地域中小企業振興センターの実績などを踏まえるとともに、民間有識者の意見を取り入れて、施設の機能やあるべき姿などについて検討を進めているところでございます。
 次に、建設や運営についても工夫すべきじゃないかというご質問でございますが、多摩地域における産業の活性化を図るためには、中小企業を総合的に支援する拠点となる地域中小企業振興センターの設置が重要でございまして、東京構想二〇〇〇や多摩の将来像素案などでも、設置が必要な施設として位置づけられております。
 このため、民間活力の導入、民間施設との連携や活用など、さまざまな工夫を凝らして、センターの早期実現に向けて努力してまいります。

○宮崎委員 今後、多摩地域において、環状方向と東西方向の交流の結節点として、広域連携のかなめとなり、東京圏の中で存在感ある地域を目指さなければなりません。そのためにも、東京構想二〇〇〇において示されている環状メガロポリス構造を実現していく中で、多摩地域の位置づけを明確にしていくことが不可欠であると考えますが、知事の所見をお聞きいたします。

○石原知事 労経局長が申しましたが、多摩地域は、非常に豊かな自然環境、それから、大学が八王子中心にたくさんございまして、また、新しい現代的なIT産業が集積しておりますし、まだ返還にはほど遠いですが、いずれにしろ大きな可能性のあります横田の飛行場もありまして、非常に将来の発展の可能性を秘めた地域だと思います。
 現に、また、三多摩地域では、人や物の今までなかった環状の移動、交流が顕著でありまして、こうした多摩地域の持つ特性と資源を活用しまして、個性の豊かなまちづくりを進めるとともに、環状方向の都市間連携を強化することによりまして、県をまたいで、あの地域の持つポテンシャルをさらに高めていく必要があると思います。
 そのためにも、環状方向の連携を強化する圏央道の整備などによりまして、埼玉県、神奈川県など隣接県との交流を一層深めていきたいと思っております。

○宮崎委員
委員長、通告をしておきながら時間切れとなり、申しわけございません。
 終わります。(拍手)

○田村委員長 宮崎章理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十分休憩

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