東京都議会予算特別委員会速記録第六号

○三原副委員長 沢西きよお委員の発言を許します。
   〔三原副委員長退席、委員長着席〕

○沢西委員 それでは、また、総括質疑に続きまして同じ顔で締めくくり質疑を行いたいと思います。
 まず、まちづくりについて、今回は特に道路整備について伺います。
 東京における都市基盤の整備状況を見るとき、欧米諸都市に比べましておくれているのは、道路率の低さ、一人当たりの公園面積の低さといわれています。このことは、知事のいう広域的福祉の推進という立場からも、見過ごしてはならないことだと思うのであります。
 高齢化社会にあって、公園は、お年寄りの憩いの場所、心に潤いを持たせるための貴重な空間の一つであります。また、防災上の観点からも、その拡充は重要です。特に東京都の場合につきましては、非常に緑が少ないということで、私などは、緑の中で育ったせいか、非常に心豊かな人間になったのかなあと(笑声)一人でそう思っているわけでございます。
 知事におかれましても、海とか、自然に接して、ハムの会社ではありませんけれども、わんぱくでもいい、たくましく生きろとかなんとか宣伝がございましたけれども、まさにこれからの二十一世紀を背負って立つ子どもたち、青少年が、ひ弱であってはならないというふうに思っているわけでございます。
 ところが、残念ながら、公園、道路にかかわる今年度の予算案では、非常に大幅にダウンとなっています。私は、着実に進めなければならない重要な施策の一つであると考えておるわけであります。
 道路、公園の整備拡充について、今後どのように取り組まれるのか、知事の基本的な考えをまずお伺いいたします。

○石原知事 国民、都民、市民としての生活環境の中で、道路なり公園というものの占める意味合いというのは非常に深いと思います。ただ、日本の国土というのは非常に狭小でありまして、しかも、可住面積が非常に少ない。可住面積というのは、大体傾斜が八%以下の土地をいうようでありますけれども、イギリスに比べても日本はその八分の一。イギリスの国土というのは日本よりはるかに狭いのですけれども、それでもなお向こうは八倍、ドイツが日本の十二、三倍、フランスに至っては、日本の二十倍近い可住面積を持っておりまして、そういう中で都市が平地を求めて構成され、そこの中でのこういうパブリックスペースというのは、非常に立地としてもハンディキャップをしょっているわけでありますけれども、いずれにしろ、東京における道路、公園という都市基盤の整備は、東京の活力を回復し、健康で快適な都市生活を支えるために不可欠であると認識しております。
 そのために、先般も建設大臣と会談しまして、外郭環状線の凍結解除に速やかに着手してもらいたいという申し入れをしましたし、今後とも、厳しい財政状況の中でありますが、国費の拡大を図りつつ、整備効果の高い事業を重点的に、効率的に推進していきたいと思っております。

○沢西委員 さて、幹線道路の整備についてでありますが、石原知事は、通過交通の都心部への流入を避けるため、東京外郭環状道路を初めとするいわゆる三環状道路の整備促進を掲げていますが、私も全く同感であります。
 道路は、交通機能の点ではもちろん、土地利用や防災など、まちづくりの面からも極めて重要な基盤施設であります。しかしながら、東京の道路状況は、急激な都市化の進展にその整備が対応し切れず、結果として道路の質的、量的な不足を招いており、欧米に比べ、都市全体の魅力を減退させる大きな要因となっています。
 整備の状況を道路率で見ても、東京都は、欧米や国内の他都市と比べて大変低いといわれていますが、どの程度の数値でしょうか、伺いたいと思います。

○古川建設局長 東京の道路率は、区部で一五・四%、多摩で五・五、東京都全体では七・六となっています。
 それに対し、欧米では、パリが二〇%、ニューヨークが二三、国内では、大阪市、名古屋市ともに一八%です。

○沢西委員 このような道路整備のおくれは、都内の随所で交通渋滞を引き起こしています。そして、円滑な社会活動に影響を与えるとともに、生活環境の悪化を招き、都市としての健全な発展を阻害しています。我が国の、道路幅も片側二車線ということで、もう幹線道路としては立派であるというふうに思っているのかもしれませんけれども、幹線道路の片側四車線ぐらいが、これが重要幹線なんですね。ほとんど二車線ぐらいのものかなと思っております。これは、青山副知事もどこかでおっしゃっていましたね、幅が狭いと。この点は、やはり発想の転換をしていくべきではないかと思います。
 このため、公共工事に批判が出ておりますけれども、これは、全国的に見れば、余り通らない道路について道路工事するとかというのは問題だと思いますけれども、この東京圏についてはそれは当てはまらない、こう思っております。
 と申しますのは、いろいろ額で比較しますと、土地価格などを積算の中に入れますと、膨大に土地が高いわけですから、工事、全体の中ではたくさんやっているように思っているけれども、中身はそうではないというふうに思っているわけでございます。
 それから、要するに日本の場合、都市が形成されるのは、住宅を先につくりまして、そこから道路だの公園だの後からやるものですから、大変な費用がかかるということもありますけれども、都市計画がうまくいっていなかったということはいえるのかもしれませんが、まあ自然の流れの中でやってきたのかなと。これもいたし方ない日本人の考え方でありましたので、私もそうだったと思いますが……。
 それで、首都圏は、人口とか車両台数が多くて、今後も積極的な道路整備を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○古川建設局長 道路整備のおくれが交通渋滞を引き起こし、円滑な社会経済活動を阻害していることは、ご指摘のとおりです。このため、危機突破・戦略プランに、区部の環状道路や多摩の南北道路などを重点事業として位置づけております。
 都財政が厳しい状況ではありますが、事業効果を早期に発揮するよう、効率的な道路ネットワークの形成を目指し、道路整備を着実に進めてまいります。

○沢西委員 大幅な税収増が見込めない中で、ぜひとも国費の拡大を積極的に進める必要があると思いますが、国は地方重点配分が続いておりますけれども、これからは、全国的に余り利用されないところを画一的に整備をするということは、右肩上がりの経済構造と違いますので、やはり東京圏とか、そこに重点配分をしていかなければならないと思いますので、その点、見解を伺いたいと思います。

○古川建設局長 道路整備を促進するためには、財源の確保が最も重要であり、都財政が厳しい状況の中では、国庫補助の拡大が必要です。しかしながら、これまで、東京への道路特定財源の配分は、ガソリンの売上高や人口から見て少なく、適正な配分とはなっておりません。
 このため、これまでも、国に対し、東京の基盤整備の必要性と効果の大きさを訴えるとともに、配分拡大について要請してきました。
 今後とも、都議会のご協力を得ながら、区長会、市長会、町村会などと連携し、継続的、多面的に要望活動を行い、道路財源の確保に努めてまいります。

○沢西委員 多摩地域では、南北道路の整備が重点的に進められておりますが、この整備をより効果的に機能させるためには、これらの南北道路をつなぎ、多摩地域と区部を結ぶ道路もあわせて整備することによりまして、交通渋滞の解消や、生活道路への通過交通を排除していく必要があると思います。
 その一つとして、南北道路である府中清瀬線や調布保谷線と交差する東村山三・四・一五号線の事業に早期に着手すべきと考えますが、当該路線の事業化の考え方をお伺いいたします。

○古川建設局長 東村山三・四・一五号線は、多摩地域の南北道路である府中清瀬線や調布保谷線と連絡し、北多摩地域と区部を結び、地域の利便性を高める主要な道路です。
 今後、地元市など関係機関と調整を行い、事業化に努めてまいります。

○沢西委員 この問題の最後に、ご当地問題で恐縮でございますが、府中清瀬線(東村山三・四・七号線)の整備について伺います。
 北多摩地域に位置する東久留米市、清瀬市は、都市計画道路の整備がおくれている多摩地域の中でも、その完成率が、清瀬市では二五%と特におくれております。このような状況においても、南北道路の一つでこの地域の骨格となる府中清瀬線が全線で事業着手され、また、昨年七月には、新所沢街道と所沢街道の区間〇・四キロメートルが開通するなど、着実に整備が進んでいることは喜ばしい限りであります。
 そこで、清瀬市内の府中清瀬線の整備状況について伺います。

○古川建設局長 東久留米市及び清瀬市内の府中清瀬線は、計画延長六・五キロのうち三・九キロが完成し、現在、二・六キロで事業中です。そのうち、志木街道南側の清瀬市下清戸、中清戸地区の一・二キロが本年夏に完成予定です。

○沢西委員 財政状況の厳しい中でありますけれども、府中清瀬線は多摩地域の重要な幹線道路でございますので、今後とも、早期開通を目指し全力で取り組んでいただきたいことを強く要望しておきます。
 次に、医療改革についてであります。
 石原知事が進めようとする改革の大きな柱の一つである医療改革について、私は、基本的に賛同するものであります。
 さて、現在の医療の骨格を定めているのは、医療法であります。この中で、都道府県は医療計画の策定を義務づけられていますが、実はこの医療計画が、地域の病床障害となっているのではないかと考えるのです。
 そこで、まず、医療法において医療計画の策定を義務づけた背景と考え方をお伺いいたします。

○今村衛生局長 医療法に基づく医療計画では、主として、病床の整備を図るべき区域の設定や、その区域における必要病床数等を定めることとされております。
 その考え方は、医療提供体制の体系化を図るとともに、地域に不足する医療機能の整備促進とあわせ、過剰な供給を見直すことにより、医療資源の適正配置を進めようとするものであります。

○沢西委員 都の二次保健医療圏の必要病床数に対する既存病床数の状況と、区市町村単位の既存病床の状況をお示しください。
 加えて、具体例といたしまして伺うんですが、北多摩北部の既存病床の現状はどうなっいるんでしょうか、あわせてお示し願います。

○今村衛生局長 平成十一年五月一日時点で、必要病床数と既存病床数を比較いたしますと、都内十三圏域の中で、区中央部、区西北部、南多摩、北多摩北部の四圏域で必要病床数が満たされている状況にございます。
 また、北多摩北部の圏域における既存病床数は五千七百八十八床であり、市別に比較いたしますと、最も多いのは清瀬市の二千二百十床、最も少ないのは東久留米市の百五十一床となっております。

○沢西委員 区市町村の実態を見ますと、人口との関係から、病床が極端に少ない地域があります。規制緩和の流れからすると、医療計画の病床規制は、病院開設の自由を奪うなど、納得しがたいものであります。
 規制緩和等の観点から、病床規制については現在どのような議論がなされているのか、お伺いいたします。

○今村衛生局長 平成十年十二月の国の行政改革推進本部の規制緩和委員会によれば、病床規制という機械的な形で、市場競争を通じた淘汰メカニズムが働かなければ、消費者の選択肢が狭まる結果が生じることなどから、病床規制について、より弾力的な運用が必要であるとされております。

○沢西委員 医療法の改正の動向、その中での病床規制はどのような方向で流れようとしいるのか。それと、保健医療計画の次回の改定に向けまして、区市町村の実態に合った病床整備に努めるべきと思いますが、今後の取り組みについて、国との関係も含めまして、お伺いいたしたいと思います。

○今村衛生局長 現在、国会に上程されております医療法等の一部を改正する法律案によれば、患者の病状に応じた入院医療の体制整備を図るため、従来の精神、感染症、結核の各病床に加えて、新たに療養病床、一般病床の種別を設け、医療計画においては、それぞれの種別に応じた基準病床数を算定する等の方向が示されております。
 また、医療法の改正案では、基準病床数の算定については、都道府県知事の裁量を拡大することとされております。
 こうした法改正の趣旨を実現できるよう、国に対し、東京都の地域特性を考慮した算定基準とするなど、必要に応じて要望するとともに、東京都保健医療計画の第三次改定に反映させてまいります。

○沢西委員 最後に、知事にお伺いします。
 他業種では、厳しい経済環境の中で、生き残りをかけて事業展開を図り、その競争は激化の一途をたどっているのが現況だと思います。ところが、病院だけは、ベッド数の規制によりまして、定められた医療圏の中でベッド数が充足されているとの判断があれば、ベッド数の増加はできない。地域住民や患者のニーズに沿った病院を、その志があっても、新規の開設は不可能に近いといってもよいと思います。
 病院もまた、自由経済の原則に乗った環境に置くべきではないかと考えますが、知事の所見をお伺いして、私の締めくくり総括質疑を終わります。

○石原知事 日本は自由経済社会でありますから、私もかねがね、医療の分野においても、経済原則にゆだねる領域があると考えております。
 今、国会で審議されております医療法の改正についても、病床等の規制緩和の流れの方向が示されております。
 都においても、今後、こうした動向を踏まえて、病床の適切な整備など、都民が安心できる医療提供体制の構築を目指して、予定を一年早め、平成十四年度には東京都保健医療計画の第三次改定を行うこととしております。
 それにしても、経済原則は結構なんですけれども、先般、東京都の公認会計士協会の会長の筆谷さんに委嘱しまして、膨大なアイテムがございますから、幾つか限って、その中の一つとして、都立の病院も対象にして監査を願いました。
 その結果、報告を聞きましたが、これは、議員の皆さんもぜひ資料としてお目通しいただきたいんですけど、報告の途中に、筆谷さんがあきれて吹き出すようなシーンがあるぐらい、病院の経理というのはでたらめといいますか、話にならない。こういったむだも、やはり今後、おっしゃるとおり、自由経済の競争原理にのっとって、経済原則にのっとって、淘汰していっていただきたいと念願しております。

○沢西委員 ありがとうございました。終わります。(拍手)

○清原委員長 沢西きよお委員の発言は終わりました。

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