東京都議会予算特別委員会速記録第六号

   午後六時三十三分開議

○三原副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 馬場裕子委員の発言を許します。

○馬場委員 都議会民主党を代表して、予算特別委員会締めくくり総括質疑、まず、都政運営についてから始めさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 平成十二年度東京都予算案は、大盤振る舞いの国の予算とは対照的に、歳入歳出の両面にわたる徹底した見直しを行い、財政構造改革に取り組まれていますが、歳出は構造的に増加する要因を抱えており、バブル崩壊後に大量発行した都債の償還も待ったなしでやってまいります。今回の銀行業等に対する外形標準課税の導入によって、平成十三年度に一千百億円の増収が見込まれますが、これをもってしても財源不足を解消することはできません。
 そこで、改めて知事の財政構造改革に取り組む決意を伺うとともに、知事のリーダーシップで庁内をどう引き締めていくのか、お伺いいたします。

○石原知事 国と東京都の決定的な違いは、東京は、国みたいにお札をどんどん刷って借金を重ねていくだけでは済まないわけでありまして、そういうことで、思い切った緊縮予算を組まざるを得ませんでした。
 十二年度予算では、財政再建に向けてその第一歩を踏み出せたと思っておりますが、ご指摘のように、今後も構造的にマイナス要因がかさんでいきまして、今後も巨額な財源不足が見込まれるわけでございます。まだまだ都の財政にとっては厳しい状況が続きます。
 今後とも、危機意識やコスト意識の徹底を図ることによって、つめに火をともすつもりで職員一人一人の改革の意欲を引き出して、財政再建に向けて全力を挙げて取り組んでいきたいと思っております。

○馬場委員 行政はサービス業であると考えております。先ほどはがきのお話も出ましたが、職員の方々それぞれがそれぞれの立場を踏まえて十分な力を発揮することが、知事を助け、また、都政の再建に資する有効なものであるというふうに考えます。
 十二年度予算案では、財源不足三千二百四十二億円について臨時的方策を講じていらっしゃいますが、ここで用いられた土地開発基金の廃止は二度と使えない対策であり、また、給与費の削減も十三年度までということになっております。こうしたことを考えれば、今後の各年度における財源対策の必要額を可能な限り少なくするためにも、財政構造改革をできるだけ前倒しして実施する必要があると考えますが、ご見解を伺います。

○木内財務局長 十二年度予算におきましては、減債基金の一部計上見送りなど、三千二百億円にも上る財源対策を実施せざるを得ませんでした。ご指摘のように、こうした対策にも限りがございまして、十三年度以降の対応の余地は少ないといわざるを得ません。
 こうした状況の中、都財政の再建を確実になし遂げるためには、今後の各年度における財源不足額の圧縮に努める必要がございます。そのためにも、財政構造改革への取り組みを可能な限り前倒しして実施しなければならない、さように考えております。

○馬場委員 これまで知事は、議会における答弁で、税財政制度の改善が都の財政構造改革にとって不可欠であると繰り返していらっしゃいました。私たちも、地方税財政制度の改革に向けて、全国知事会など地方六団体との連携や、地方税財政制度の抜本的な改革の必要性を広く都民に訴えていくことなどを求め、先日の財政委員会では、税源移譲のシミュレーションなどにも触れてまいりました。
 税調につきましては、本日、先ほど土持理事より質疑がありましたので、私からは割愛させていただきますが、知事みずからが先頭に立って、全国の自治体を束ね、一致団結して国から税源移譲をかち取れるような、そういった具体案が提示されることが期待されるところでございます。二十三区内でも税調設置への取り組みが進められているところがあると聞いております。国との関係も重要ですが、広域自治体として区市町村への支援もあわせて進められることを要望して、次の質問に移ります。
 二つ目に、情報化社会についてお伺いいたします。
 このたび十二年度予算要望を会派で行いました折に、知事に重点課題として申し上げたと私覚えているんですが、三月十五日にも、近藤委員さんの質疑で、インターネット導入の立ちおくれをお認めになり、都の既存システムの見直しを行っていくというご答弁がありました。さらに、インターネットの外部接続を十二年度早急に行うという知事の決意を大変うれしく拝聴いたしました。私も、これに関して何点か質問させていただきたいと思います。
 いわゆるIT革命、情報通信革命は、私たちの生活のあり方、社会のあり方、そして経済のあり方を根本から変えるような強い衝撃力を持ったものです。今では、通常の商品取引も、決済も、株の売買もインターネット上でできるようになってきておりますし、携帯電話でメールも送れるし、ホームページを見ることもできます。福祉、医療や教育の分野にもどんどんIT革命が浸透してくることになると思います。
 しかし、その一方で、いわゆるディジタルディバイド、ITを駆使できる人とそうでない人との間に、所得においても、社会生活においても大きな格差を生み出すことが危惧されております。ITによって得られる情報量が膨大であればあるほど、この格差は大きくなると思います。この格差に着目し、格差が広がらないように手だてを講じるのは行政の責任だと思いますが、いかがでしょうか。

○柿沼政策報道室長 お話のとおり、情報弱者に対する情報リテラシーの涵養は、行政のみにとどまらず、NPO、企業等民間を含めまして、積極的に取り組まなければならない課題であると認識をいたしております。このため、東京都では、東京都情報化ビジョン研究会で、ディジタルディバイド対策を含めまして、東京における総合的な情報化施策の検討を進めているところでございます。
 今後、年内に取りまとめ予定の東京構想二〇〇〇の中で、IT革命の進行を視野に入れた情報化施策につきまして、その方向性や具体的取り組みを明らかにしていきたいと考えております。

○馬場委員 そうしたディジタルディバイドを生み出さないためにも、教育におけるIT革命にどう取り組むのかが大事だと考えます。例えば、小中高校等において、児童生徒の一人一人がインターネットにアクセスでき、しかも、学校と家庭がリンクされている環境が整備され、児童生徒の一人一人の習熟度に応じた教育プログラムを提供できるようになれば、教育の世界にも革命的な変化を起こすことになります。
 教育庁は、パソコンやインターネットなどのネットワークを活用した教育については、今後一層重要になると認識していらっしゃいます。インターネット利用環境整備について積極的なアメリカでは、小中学校のインターネット接続率は約九割あり、日本の全国平均は三五・六%と聞いております。
 それでは、実際に都内の公立学校のインターネット接続率はどのようになっているのか、また、通信回線は確保されているのか、それぞれについて伺います。

○中島教育長 都内公立学校のほぼ全校にパソコンは設置されておりますが、インターネットと接続しております割合は、平成十一年三月末現在、小学校は、千三百九十六校中百四十七校、一〇・五%でございます。中学校は、六百六十二校中六十七校、一〇・一%でございます。また、平成十二年三月現在、都立高校は二百十四校全校で接続しており、生徒の進路指導用に活用しております。都立盲・聾・養護学校は、五十八校中十三校、二二・四%でございます。
 なお、電話回線数は、小学校は一校当たり平均三回線、中学校は平均五・二回線でございます。都立学校は、インターネット専用にISDN回線を有しております。

○馬場委員 小学校で一〇・五%、中学校で一〇・一%、約一割しかないですね。都立高校では進路指導に使っているということでご答弁いただきました。
 三月十二日に、アリゾナ州で世界で初めてインターネット投票が行われたという記事を見ました。投票者は六倍もふえ、大きなトラブルもなかったそうです。東京都選管の電子投票研究会からの報告では、日本でもネット投票の可能性があるとのことです。日本の投票所は公立学校が多いというふうに思いますが、また、その学校も、さらに今後地域のコミュニティの拠点としても整備が期待されています。
 それでは、都内の公立学校のインターネット導入がおくれている理由は何なのか、今後どのようにしていくおつもりなのか、お尋ねいたします。

○中島教育長 インターネット導入のおくれの理由としてはさまざまなことが考えられますが、電話回線の数が少ないことのほかに、通信料金等が高いという問題がございます。また、児童生徒の個人情報の保護や有害情報への対策の問題、指導教員の不足などが導入をおくらせている要因であると考えております。
 都教育委員会は、今後とも、関係機関に対して、学校におけるインターネット接続にかかわる通信料金の割引制度の導入を要望いたしますとともに、緊急地域雇用特別基金を活用した教員の研修を行ってまいります。
 なお、都立高校につきましては、学習指導にインターネットを活用することとし、十二年度に試行で実施する予定でございます。

○馬場委員 今のおくれている理由として、電話回線の数が少ない、また、通信費が高いことなどが挙げられました。それで、対策というふうにお尋ねしたんですが、通信料が高い。だったら、通信料金の割引を要望すればいいと。それではとても足りないのではないかというふうに思います。どこがどんなふうに東京都全体の学校の通信料をどのぐらい割り引いてくれるのかという話も、多分これから交渉するということだと思いますが、とてもそういう対策では間に合っていかないのではないかというふうに思います。
 私は、主な理由は、文部省の定めるインターネット接続のための財政措置基準が、一校当たり月額一万一千円という大変低い予算措置しかできていない、そのためではないかというふうに考えています。
 自治省は、一月末に、平成十二年度の地方財政対策の説明会議というのを開いて、教育情報化計画のために一千八百二十億円の地方交付税措置をとるという記事を読ませていただきました。ここにあるんですが……。地方交付税措置ということになると、東京都は不交付団体ということで、十分にこれを活用することはできないのではないかというふうに思います。であれば、待っていても出ないものについては、きちんと都独自で対応を考えなければならないのではないでしょうか。東京都にいるがために、不交付団体ということで、東京の子どもが情報教育を十分に受けられないということでは、私たち議会も、そして都政でも、いいわけはできないのではないかというふうに考えます。
 十三年度に、先ほどもありました収入見込みの銀行課税等一千百億入るということになっています。これを流用ということではないんですが、一日も早い――税収の見込みもできたということもありますので、ぜひ学校への、それもできれば私学も含めての東京都の学校対策、教育対策にこのインターネットを導入していただけるようにお願いいたします。
 もう一点、指導教員の不足というお答えがありました。(「先生ができないんだから」と呼ぶ者あり)そうなんです。先生の不足ということも含めて、対策ということで、緊急地域雇用特別基金というお話がありましたが、これも十三年までということで、都としてはきちんと使える教員の対策をしていかなければならないというふうに思います。
 ちょうどこの記事のあったその下のところに、政府が閣議で教育職員免許法改正案を決定し、国会に提出したという記事が載っております。この教育の中で、職員の研修体制というのを同時にとっていくということ、これも早急に整備する必要があると考えます。
 また、もう一つ、おくれている理由に、個人情報の保護や有害情報への対策というのがありました。これに対して対策のお答えはなかったんですが、それぞれこれは各区市町村が対策をとるということになると思いますが、おくれている区市町村へ、この保護条例の見直しを早急にし、また、教育の中で有害情報の対策も含めて対応していく、この点が早急に必要だというふうに考えます。
 知事も含めて、ぜひ学校への対策を考えていただきたいと思いますが、ご所見がおありでしたら、お願いできますでしょうか。

○中島教育長 新学習指導要領に基づきまして、平成十四年度から新たな教育課程が行われます。そこで、総合的な学習の時間というのが新設されました。情報というのは、かなり重要な意味を持っております。この時間を活用した情報教育というのは、これから非常に重要だろうと思います。
 今ご指摘がございましたいろいろな点、例えば接続料の問題、あるいは実際の教員の研修の問題、いろいろございますが、国も、これに合わせてさまざまな制度の活用を検討して、もう対策をとっております。交付税というお話がございましたけれども、基本的には交付税で財源措置がされます。したがいまして、区市町村レベルでは、この点で財源措置が一応できているわけでございますし、また、研修につきましても、雇用対策基金で研修を図っていくということで、さまざまな施策を活用して、情報教育の充実は教育委員会としても積極的にこれから取り組んでいく重要な課題だ、こういうふうに思っております。

○馬場委員 今お話しいただきましたように、平成十四年度には新学習指導要領が実施されますので、もう限られた時間しかありません。ぜひ早急な対策をしていただけるようにお願いをして、次の質問に移ります。
 次に、都庁における情報通信技術の活用について伺います。
 例えば、港湾局では、港湾EDIシステムによって、インターネットを活用した申請・届け出手続を実施しているほか、主税局では、納税・課税証明申請書などの各種申請様式を一部先行的に電子化し、ホームページからのダウンロードを可能にしています。
 しかし、東京都が受ける申請事務は、警視庁、消防庁を除いても二千五十六種類にも上るそうです。これらの印刷に係る経費も相当な額になるのではないでしょうか。それらの一割でもホームページからダウンロードされるようになれば、インターネットを活用して申請・届け出手続ができるようになれば、東京都にとっても経費が節減でき、都民にとっても相当利便性が向上すると思うのですが、いかがでしょうか。

○横山総務局長 都民サービスの向上を図るためには、情報技術を活用した業務改善を進めることが重要であると考えております。
 申請様式等をホームページ上で都民に提供することにつきましては、お話のように、主税局など一部の局において既に実施しておりまして、現在、全庁的な導入に向けての検討を行っているところでございます。また、インターネットによる申請手続につきましては、申請者本人の確認や到達時期の確定など多くの課題がございますが、これも導入に向けて引き続き検討してまいります。

○馬場委員 都庁では年間億単位の紙が使われていますが、例えば、会議の案内一つとっても相当の数になると思います。一人に一台のパソコンが設置され、メールで連絡するならば、それらの紙は不要になります。
 最後に、先日、一人に一台のパソコン、ぜひ設置したいというふうな質問に、しかるべく対応しますという答弁がありました。情報化事業は、その効果を最大限に生かしていくためには、業務プロセスそのものを抜本的に見直すとともに、都庁の組織体制のスリム化、フラット化を図る必要があります。こうした都庁の高度情報化を推進するためには、きめ細かで強力な推進体制が不可欠だと考えますが、いかがでしょうか。

○横山総務局長 都庁の情報化は、パソコンやインターネットの整備にとどまるものではなくて、お話のように、事務手順の見直し、あるいは組織や制度の見直しなどの行政改革にかかわる課題としてとらえる必要があると考えております。
 そこで、当面、情報化の推進につきましては、総務局が中心となって行ってまいりますが、全庁的な推進体制につきましても必要でございますので、具体的に検討してまいります。

○馬場委員 庁内外のあらゆる部門への対応が必要だというふうに考えます。さらに、各局ごとに、例えばIT対応の専門部を設置し、連携を図るべきだというふうにも考えます。そういう体制をとれれば、それぞれの部門での事業評価とか、部門別損益計算書やバランスシート等、そうした書類等の作成も可能になるし、連携をとることによって全体の都政の改革にもつながり、また、知事としての事業の推進に役立つものと考えますので、ぜひ、さらなるIT対応についての事業を進めるべくお願いをして、次の質問に移ります。
 三番目に、障害者対策についてお伺いいたします。
 だれもが、ともに安心して暮らせるまちづくりが自治体としての責務であると、私は考えております。先ほど、親亡き後の対策を含む福祉面からの質疑がありましたが、私は、障害者雇用についてお伺いいたします。
 平成十年七月に、雇用の促進等に関する法律が一部改正され、民間企業に義務づけられていました法定雇用率も、一・六%から一・八%に改定されました。しかし、昨年六月一日現在の障害者の雇用率を見ても、民間企業においては、一昨年より〇・〇二ポイント上昇したものの、改定前の法定雇用率を下回る一・三%となっています。東京都の障害者雇用率は、全国平均の一・四九%と比べても低い水準であり、職業安定行政が国に一元化された後においても、東京都としての積極的な取り組みが望まれます。
 障害者雇用について、労働経済局は具体的にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。

○大関労働経済局長 今回の職業安定行政の国一元化に伴いまして、これまで都において行ってまいりました障害者の雇用対策は、基本的には、国の東京労働局が実施することになります。しかしながら、障害者雇用の重要性にかんがみまして、国と連携して普及啓発に努めるとともに、重度障害者の雇用の場を創出することを目的に設置されます重度障害者多数雇用事業所の育成指導や、障害者雇用支援センターの運営補助を行うなど、障害者の雇用促進につきまして、東京都として可能な限りの支援をしてまいりたい、このように考えております。

○馬場委員 重度障害者モデル企業も、平成十年度までに五社目を設立する予定であったと伺っていますが、これもとんざしているようですし、全国に比べて低い障害者雇用率である民間企業への取り組みが、東京都の普及啓発だけでは不十分だと思います。ぜひとも積極的な取り組みを要望します。
 さて、民間企業はもとより、東京都など公的機関みずからが障害者を雇用していくことも重要だと考えます。そこで、東京都のすべての監理団体のうち、法定雇用率が適用される団体は幾つあり、そのうち、法定雇用率を達成していない団体は幾つあるのか、また、東京都とのかかわりが特に大きい特別監理団体で、障害者を全く雇用していない団体は幾つあるのか、伺います。

○横山総務局長 平成十一年六月現在の数字でございますが、監理団体におきます障害者の法定雇用率が適用される団体は三十団体でございまして、そのうち、法定雇用率一・八%未満の団体は十八団体となっております。また、特別監理団体のうち、障害者を雇用していない団体は三団体でございます。

○馬場委員 ちょっと残念な数字であると思います。監理団体それぞれ今は大変な時期にあると思いますが、その立場をぜひ考慮され、きちんと法定数を守っていただけるような対策をお願いいたします。
 東京都の監理団体がこのような状況では、民間企業にも強力な指導はできないと思います。障害者雇用がゼロである団体を初め、法定雇用率に達していない監理団体に対して、法令遵守の周知を徹底するなど、東京都としても積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。

○横山総務局長 いわゆるノーマライゼーションの理念を実現するためには、障害者の社会的な自立に向けた基盤づくりとして、障害者が職業を通じて社会参加を進めていくことは重要であると考えております。今後とも、監理団体に対しまして法定雇用率以上の障害者雇用を図るよう、所管局を通じて指導してまいります。

○馬場委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、東京都みずからの障害者雇用についてお伺いいたします。
 行政に課せられている法定雇用率は二・一%と、民間に比べて高く設定されておりますが、東京都におきましては、法律を上回る雇用目標を掲げて雇用促進に取り組んでいることは、評価するものであります。
 そこで、東京都の障害者雇用率は何%なのか、また、主な任命権者別で見た場合、内訳はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○横山総務局長 平成十一年六月現在の東京都の障害者雇用率は、全体で二・二八%でございます。その内訳でございますが、職員総数の多い任命権者ごとに申し上げますと、知事部局が三・一四%、交通局三・七九%、水道局三・三八%、下水道局六・一六%、教育委員会一・三%となっております。

○馬場委員 公営企業に多くて教育委員会が少ないということ、これは仕事の内容によっていたし方ないのかもしれませんが、特に教育庁の雇用率が低いということは、大変残念であるというふうに思います。
 教育現場において子どもたちが障害を持つ教員に接することで、障害に対する理解をさらに深めるということも期待できますし、そのためにも障害者の雇用を促進していくことが望まれます。教員の採用には制約も多いと思いますが、教育庁はこの間、どのような努力をなされてきたのか、お伺いいたします。

○中島教育長 都教育委員会は、これまで、教員採用選考におきまして、障害の種類及び程度に応じて受験者への配慮を行い、受験機会の確保を図ってまいりました。
 具体的には、例えば、視覚障害のある受験者に対しては、点字タイプライターまたは点字板の使用、筆記試験時間の延長などを行い、また、聴覚障害のある受験者に対しては、試験合図の配慮、手話通訳などを行ってきたところでございます。

○馬場委員 確かに、採用方法に一定の改善があったことは評価するものでございます。しかし、平成八年五月の総務庁の行政監察でも、学校法人の中には、七・五八%と法定雇用率を大幅に上回って障害者を雇用しているものや、障害者を教員として新たに採用したことにより、三・五%になった事例なども紹介されております。より前向きな取り組みが望まれます。よろしくお願いいたします。
 障害者雇用が進んでいる他の学校法人の例を参考にしながら、学校の施設設備を整備したり、採用方法を改善するなどして、障害者雇用についての具体的な改善計画を策定することを求めますが、ご見解を伺います。

○中島教育長 教員は免許を必要とする職種でございまして、必ずしも障害者の受験が多いとはいえない現状にございますが、今後とも、受験機会を確保する方法を検討するとともに、職場環境の充実改善を進め、障害者の採用に努力してまいります。

○馬場委員 ぜひよろしくお願い申し上げます。
 働き方の多様化や小規模企業の増加、規制緩和やリストラなどによる転職などなど、雇用情勢が大変厳しい今日のような状況だからこそ、公的機関としての東京都が、障害者の雇用を積極的に進めるべきと考えております。また、公的機関のみならず、民間企業においても、働きたい、就職したいと思っている都民が雇用されるよう、東京都としても、労働行政に積極的に取り組んでいくことが望まれます。
 障害者を含め、都民の雇用促進に対して、都職員の雇用主でもいらっしゃる知事の基本的な考え方をお伺いいたします。

○石原知事 先般、東京都の文化栄誉章なるものを差し上げました。その中の一人に、乙武さんというすばらしい受章者がおられまして、感動いたしました。何とも明るくて自信に満ちて、たまたま私、この間、もともとアソシエートメンバーなんですけど、外人記者クラブで都知事として講演を頼まれまして、そこで講演の前に昔の仲間と会って話しておりましたら、私の前に乙武さんがいらして、その講演を聞いて、外国人たちは非常に強い印象を受けたという話をしておりましたが……。やっぱり乙武さんの周囲も、またそれなりの特殊な環境といいましょうか、理解のある方々に囲まれてきたんだと思いますけれども、できれば、あれだけ重症の障害を持った方が、あれぐらい生き生きと自信を持って生きていただきたいなという気がつくづくいたします。
 そういう経験も踏まえまして、障害者、高齢者がそれぞれの地域において生き生きと元気に働く、活躍できる、そういう状況をつくることが、まさに福祉の原点だと痛感いたしております。
 都としては、国や区市町村との連携のもとに、都の実情に即した就業対策を推進して、都民福祉の向上に努めていきたいと思っております。

○馬場委員 このたび、職業安定行政の国一元化が行われることになりました。私は、分権の流れに逆行するものだというふうに考えております。地域の特性に合わせた雇用対策は、それぞれの自治体でかなり大きな力を必要としていると思います。今までの都のさまざまな経験、さまざまな今までのノウハウを生かして、これからも、ぜひ国と違った雇用行政をしていただくことをお願いし、また、引き続き、強く国へ各自治体の雇用行政をやっていくべきだということを、知事の方から働きかけていただけますようにお願いいたしまして、次の質問に移ります。
 次に、環境問題について伺います。
 二十一世紀に向けて環境への負荷の少ない社会経済システムの創出が急務となっています。そこでまず、清掃事業の区移管に伴い、広域行政に特化する都の廃棄物行政の柱の一つである産業廃棄物についてですが、近年の産業廃棄物処理に対する住民の不信感の高まりを背景に、処理施設の確保はますます難しくなり、同時に産業廃棄物の不法投棄は後を絶たず、深刻な社会問題となっております。産業廃棄物の不適正処理を未然に防止し、住民の信頼を回復していくためには、廃棄物を排出する事業者と処理する業者がきちんと責任を果たすことが、当然のことながら重要と考えます。
 しかしながら、現状では、必ずしもその責任が果たされているとはいえません。産業廃棄物の適正処理の確認をするために、いわゆるマニフェスト制度が法定化されていますが、マニフェストを交付しない事業者に罰則がないことや、架空のマニフェストが売買されていることがあります。
 そこで伺いますが、形骸化しているマニフェスト制度に対して、排出事業者に最終処分まで確認することを義務づけるなどの廃棄物処理法改正案が今、国会に提出されていますが、この改正によって、どのような問題が解決し、どのような効果が期待されるのか、お伺いいたします。

○安樂清掃局長 現在の法律のもとでは、処理業者が廃棄物を最終処分まで適正に処理したかどうかを確認する義務が排出事業者には課されておりません。このために、排出事業者は、適法に契約さえしていれば、極めて安い料金で処理業者に仕事を委託し、そのために処理業者が不法投棄を行った場合でも、責任を問われることはありませんでした。
 今回予定されております法改正では、排出事業者に最終処分までの確認義務を負わせることとなっております。この義務を怠った場合には、不法投棄を行った処理業者だけでなく、排出事業者にも原状回復の義務が生じます。この結果、排出事業者は、適正な料金と良質な処理業者の選定に注意を向けるようになり、不適正処理の防止に大きな効果があると考えております。

○馬場委員 これまで以上に、適正な委託業者を選択していくことが求められているということでありました。
 ところで、廃棄物の処理を委託するには、処理料金や委託の範囲等を明記した委託契約を書面で作成することが法で定められているところです。処理料金は、処理業者の内部努力もあり、その高低がそのまま不適正処理の判断には直結しないとは思いますが、著しく低廉な処理料金により不適正処理を誘発することは、未然に防いでいく必要があると考えます。
 そのためには、処理業者の許可情報とともに、処理料金の水準や適正相場などの情報が欠かせないと思いますが、そこで、これらの情報提供について、現状と、今後どのように取り組まれていくのか、お伺いいたします。

○安樂清掃局長 お話にありますとおり、排出事業者が処理業者を選択するためには、処理業者に関する情報が必要でございます。このため、国は現在、処理業者の実績や環境対策などの情報をインターネットで公開するシステムを整備中でございます。広域的に活動する産業廃棄物処理業者につきましては、全国的な情報システムが望ましいため、東京都は、処理業者に関する情報を提供するなど、国のシステム整備に現在協力しております。このシステムの完成後は、排出事業者に広く周知し、利用の促進を図っていく予定でございます。
 また、どのくらいの処理料金が適正なのかは、経営努力や業者間の競争関係などもあり、一概に決めることは困難でございますが、近く処理料金の実態がどうなっているかを調査する予定でありまして、これを排出事業者が処理業者を選ぶ際の参考に供したいというふうに考えております。

○馬場委員 一番の問題は、違法を承知で処理する、いわゆるアウトローの業者の存在であると考えます。規制の強化を盛り込んだ法改正が行われても、違法を承知で行う処理業者が後を絶たないのでは何にもなりません。そこで、違法な業者の撲滅に一層の努力が必要と考えますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、伺います。
 また、これは東京だけで努力しても、効果が薄いのではないかと思います。違法投棄される現場が多くは他の府県であることにかんがみ、他県との連携が重要であると考えますが、どのように対処されるのか、あわせて伺います。

○安樂清掃局長 今回予定されております法改正により、野焼きに対する罰則が新設され、また、不法投棄に対する量刑が三年以下の懲役から五年以下の懲役へと引き上げられるなど、違法行為に対する罰則が強化されます。違法を承知で行うアウトロー業者に対しましては、改正後の法を駆使して、速やかにかつ厳正に対応し、その撲滅に努めてまいります。
 また、ご指摘のとおり、産業廃棄物は都道府県を越えて広域的に移動しており、各都道府県もこれに対応した指導体制が必要でございます。昨年、産業廃棄物の不適正処理に広域的に対応するため、七都県市の連絡体制を整備いたしました。今後とも広域的な連携を強め、不法投棄などに苦しむ住民の願いにこたえていきたいと思います。

○馬場委員 先般ありましたフィリピンから返されたニッソーの件や、豊島や所沢に代表される公害対策など、最終的には国や自治体が後始末をしなければなりません。行政が後追いにならないために、積極的な取り組みを期待しております。
 ところで、産業廃棄物の問題のほかにも、ダイオキシン類、地球温暖化、大気汚染などなど深刻な問題を我々は抱えております。大量生産、大量消費、大量廃棄という経済社会システムのもとで、確実に環境破壊が進んでいるという事実を突きつけられているわけです。こうした中で、次の世代に良好な環境を引き継いでいくためには、あらゆる事業活動において、環境に対する負荷を低減する取り組みを徹底していく必要があります。
 昨年四月に施行された地球温暖化対策推進法により、地方公共団体に対し、その事務事業に関して、環境負荷を抑制する計画の策定が義務づけられました。大規模な事業体である都みずからが率先して実行することが、波及効果を含め、極めて有効であると考えます。まず、都が、都民、事業者に範を示すことにより、環境負荷の低減の取り組みを一層促進すべきと考えますが、ご見解を伺います。

○齋藤環境保全局長 環境配慮を優先した事業活動を広げていくために、都の率先行動が重要なことは、ご指摘のとおりであります。都は、この観点から、平成九年五月、都庁エコ・アップ計画を策定し、庁有車への指定低公害車の導入や廃棄物の減量などにみずから取り組んでまいりました。
 来年度には、温室効果ガスの排出抑制措置や、都と取引のある契約業者への環境配慮の要請などの内容を盛り込んだ新たな率先行動計画を策定し、環境負荷の低減に向けた取り組みを一層強化してまいります。

○馬場委員 環境負荷の低減には、行政がみずから積極的な姿勢を示すことが重要と思います。都は、この四月から環境局を新設することとしていますが、この組織改編は、単に清掃事業の区移管に伴うものであるというものではなく、都の環境行政に対する新たな姿勢を象徴するものであるべきと考えます。
 そこでお伺いしますが、今回の組織改編によって環境行政がどう変わり、どのような効果が期待されているのでしょうか、見解と決意を伺います。

○石原知事 今回、新たに環境局を設置することによりまして、廃棄物対策を環境施策の一環として明確に位置づけ、生産、流通、消費、廃棄の各段階において環境への配慮を徹底し、総合的な環境政策を展開していきたいと思っております。
 自動車公害対策、廃棄物及び有害化学物質対策については、執行体制の強化などによりまして、国の中で東京都が先導的な取り組みを推進していきたいと思っております。
 現在そして将来の都民の健康を守るために、東京から、少し大げさかもしれませんが、環境革命を展開して、国や産業界を動かしていきたいと思っております。

○馬場委員 二十三区では、清掃の移管に伴い、リサイクルやごみ収集サービスに積極的に取り組んでいるところであります。私の出身の品川区でも、今、ISO一四〇〇一の取得へ向けて、区一丸となって取り組んでいます。ともに成果を上げられることを期待して、次の質問に移ります。
 男女平等参画施策についてお伺いいたします。
 まず、東京都が全国に先駆けて基本条例を制定することは、全国への力強いメッセージの発信となっており、他の自治体へ与える影響も大きく、大変注目をされております。
 条例案では、都は、総合的な男女平等参画施策を策定し、実施する責務を有するとしていますが、具体的に都が進めていく施策の内容については、情報の収集分析や年次報告など、限定的にしか示されておりません。条例を実効性あるものにするには、具体的な施策が強力に推進されなくてはならないと考えます。
 そこで伺いますが、男女施策は、さまざまな分野にわたり、多くの部局に関係するものであります。そのため、関係部局間の連携、総合調整が重要と考えますが、都は、条例制定後、どのように推進体制を確立していくのでしょうか。
 また、条例の具体化ともいうべき行動計画は、いつまでに、どのような内容で策定されるのでしょうか、あわせてお伺いいたします。

○今沢生活文化局長 男女平等参画促進のための施策につきましては、雇用、福祉など幅広い分野にわたっております。そのため、都民からのさまざまな相談への対応も含めまして、関係局による連携、協力のための体制を整え、総合的に実施していく必要があると考えております。
 また、行動計画につきましては、男女平等参画審議会などの意見も伺いながら、平成十三年度を目途に策定する予定でございます。
 この計画は、都の施策はもとより、都民及び事業者の取り組みをも盛り込み、雇用の場における参画の促進や権利侵害の禁止など、条例の趣旨、目的が十分生かされる内容としてまいります。

○馬場委員 行動計画、十三年度ということで、大変ありがとうございます。特に、この都庁内での積極的な取り組みをお願いしておきます。
 最後に、モーダルシフトの件で伺いたいと思っておりました。時間がなくなりましたので、この件、提案というか、発言をさせていただきます。
 今日の国内貨物輸送を見ると、モータリゼーションの進展とともに、トラックを初めとした自動車輸送が主役の地位を占めています。しかし、これからは、船舶等、環境負荷が少ない輸送機関にもっともっとシフトしていかなければならないのではないかというふうに考えています。
 知事は、ディーゼル車対策等、積極的に環境問題に取り組まれています。東京都の全能力を発揮して、自動車輸送のみでない、新しい環境負荷の少ない施策について、将来的にもぜひ導入に向けて検討をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○浪越港湾局長 モーダルシフトに対する取り組みでございますが、今日の国内の海上輸送についていえば、船舶の大型化とか高速化、さらにはローロー船などを用いたコンテナ化などの輸送革新が進んでおります。
 輸送手段も、今までのようなトラックから、今後、環境負荷の少ない大量輸送機関、鉄道とか船舶への転換が必要になってこようかと思います。
 そういうことで、東京港においても、モーダルシフトの受け皿として積極的に機能していくためにも、輸送革新に対応しましたユニットロードターミナルや、港と首都圏各地を結ぶ道路網の整備などをより一層進めてまいりたい、そのように考えてございます。

○馬場委員 超過したのをお許しいただきたいと思います。
 ありがとうございました。質問を終わります。(拍手)

○三原副委員長 馬場裕子委員の発言は終わりました。

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