東京都議会予算特別委員会速記録第六号

○植木副委員長 土持正豊理事の発言を許します。
   〔植木副委員長退席、石井副委員長着席〕

○土持委員 名前は正確にお願いしたいと思います。
 平成十二年度の予算につきましては、今議会を通してさまざまな評価がなされました。我が党は、厳しい財政状況の中、今日の最大の課題である景気対策、あるいは国の補正予算を、都も連動しながら、まちづくり関連の公共事業あるいは中小企業に対する支援、また元気を出せ商店街事業など、総力を挙げて取り組んできたところであります。
 また、聖域なく削減をするといった福祉施策につきましても、たび重なる我が党の要請、あるいは都議会の皆様の力とあわせながら、福祉施策の新たな展開がされてまいりました。
 また、教育施策につきましても、私学助成、あるいは都立高校の新しい施策の展開等、私たち公明党は、平成十二年度予算につきまして、厳しい財政状況ではありましたけれども、都民要望に十分こたえた予算として、知事の努力を評価するものであります。
 したがって、私は、景気、福祉あるいは教育の問題に絞りまして質問をさせていただきたいと思いますが、今日の最大の課題は、何といっても景気対策ではないかと思います。改めて東京都の対応をお伺いいたします。

○木内財務局長 まず、十一年度でございますけれども、十一年度におきましては、国の経済新生対策の実施に伴う第二次補正予算にあわせまして、経済の活性化対策として一千八百億円程度、貸し渋り対策として二兆二千億円程度の事業規模となる最終補正予算を編成し、先般ご議決をいただいたところでございます。
 また、十二年度の当初予算におきましても、投資的経費を抑制する中にあって、区部環状、多摩南北方向の道路の整備や、交通渋滞の緩和を図るための公共交通網の整備、また、防災都市づくりの推進や都営住宅のスーパーリフォーム事業など、投資効果の高い事業に財源を重点的に配分し、総額で七千二百六十億円の事業費を確保したところでございます。
 また、中高年齢者向けの職業訓練の充実などの雇用対策や中小企業対策についても十分配慮したところでございます。

○土持委員 都としての景気対策への対応について今伺いましたけれども、従来は、それぞれ予算措置がされますと、それで終了という感じでありました。これは政策評価のテーマでもありますが、景気対策の一環としての側面を持つ一つ一つの事業、すなわち、防災の都市づくりとか、あるいは木造密集地域の整備促進事業とか、また、今回知事が提案をされました新築住宅建設にかかわる固定資産税、都市計画税の減税等、さまざまな事業が景気浮揚策として連動し、確実に景気対策として実行されているかどうかということを、政策効果を検証しながら進めることが重要じゃないかと思うんです。
 都の施策推進によって中小企業の発展に具体的にどう反映されたか、また、何人の人が雇用されたか、目標達成に向けて、結果重視の事業を進める工夫がどうしても必要ではないかと思います。知事の所見をお伺いしたいと思います。

○石原知事 ご指摘のように、ただ予算を組むだけでは、これは意味がないといいますか、それで終わるものではございません。予算の執行における費用対効果というもの、つまり、その成果というものをやっぱり重視しなくては、本当の行政にならないと思います。
 ご指摘のように、景気対策に関しましても、防災のまちづくりとか、それに関する公共事業、それから今回の新築住宅に対する減税措置なども含めまして、複合的に施策が連動して、総体として、中小企業の業績や雇用面などに効果をもたらすべきものだと思います。
 この一年、施策がどのような具体的な効果を生んだかについては、ちょっと数字についてはつまびらかにいたしませんが、担当の局長からも報告させておきます。

○土持委員 次に、具体的な景気対策というか、創業支援について伺いたいと思います。
 特に創業支援につきましては、今定例会本会議を初め予算特別委員会の質疑の中で随分論議されました。我が党が強く訴えてまいりました敗者復活のできる社会環境づくりの必要性について、東京都はかなり積極的に認識をしていただいたというふうに思っております。
 都は、これに認識を深くすると同時に、施策展開への決意も示してくれたわけですけれども、議論の経過を耳にした中小企業の皆さんは、大変に歓迎をし、喜んでおりました。都においても、このためのシステム構築に真剣に対応されるよう強く要望しておきたいと思います。
 あわせて、創業支援の一環としての学生による起業・創業支援策について伺いたいと思いますが、アメリカでは、毎年八十万社近く新しい企業が誕生しているわけです。現役の学生による創業もよく喧伝されているところでありますけれども、特にマサチューセッツ工科大学などでは、大変に意欲ある若手の挑戦を歓迎し、米国経済活性化の原動力になっているというふうにいわれております。
 知事にぜひ伺いたいと思いますけれども、東京都としても、独自に学生に対する起業、創業への支援策を検討すべきではないかというふうに考えておりますけれども、いかがでございましょうか。

○石原知事 アメリカと日本と、どうも大学の学生の質も大分違ってきたようでありまして、我々がそういう形で積極的に援助するに値するほど日本の大学生が充実し成熟しているかというと、ちょっと心もとないことがないでもございません。
 ただ、確かにアメリカでは、優秀な学生というのは、物おじせずに自分の創意というものを信じて新しい事業を起こしておりますし、またその周囲もそれを歓迎する、そういう風潮がございます。これは非常にうらやましいことでありますが、比べて我が国では、総じて学生たちは安定志向が強くて、大学を卒業すれば、いわゆる有名な大企業とか官公庁へ入るというのがどうも一般の流れでございますけれども、いずれにしろ若い人ほど創造力がみずみずしくある、そういうものに期待しなくては、私たちの社会の発展はないわけであります。
 先般も繰り返して申しましたが、こういう若い人たちのために簡単なオフィスをただでお貸しして、アメリカ式に、もうかってきたら、そのうちその上がりの一〇%を払ってもらうとか、そういう契約で、若い人たちに都としても大いに期待するという、そういう施策というものをとっていきたいと思いますし、これ、議会が終わりましたら、担当の局長も、バージニアで、ダレス空港の横でやっている第二のシリコンバレーの態様を視察に参りまして、またその報告をもとにして、都も具体的な施策を講じていきたいと思っております。

○土持委員 ありがとうございました。
 アメリカでは、やはり社会風土をつくるためには四半世紀かかったという状況でございますので、これからだというふうに思います。
 都においても、学生の起業に段階的な誘導策というか、門戸を開かなくちゃいけないと思いますけれども、特に大学のOBの方とか、あるいは中高年齢者で経験者の方と学生がタイアップしてパートナーシップをとるとか、あるいはコーディネートする形で協同組合の設立をするような、そういう支援措置は考えられないかなというふうに思っておりますが、いかがなものでしょうか。

○大関労働経済局長 産業の活性化を図っていくためには、創業意欲のある学生が数多く出てくることが大変望ましいわけでございます。大学におきましてそのような学生が育ってまいりますれば、実務経験者とのコーディネートを進めるとともに、お話しのような協同組合が設立されるならば、制度的にも必要な支援が行っていける可能性が出てくるわけでございます。
 ぜひ、そうした環境づくりをしていくためにも、都立大学や科学技術大学を初めとした大学とも連携協力していきたいと考えております。

○土持委員 もう一つ、これは都立大学の方に伺いたいと思いますが、東京都は、都立大学や、あるいは科学技術大学を持っているわけですけれども、優秀な機関を擁しているというふうに思っております。特に、これからIT時代に即応した知的集積を考えるときに、進取の気質に富んだ教授の方もたくさんいらっしゃるんじゃないかと思うんです。ぜひ、このチャレンジシップに満ちた学生が多いという中で、この新商品の開発を学生がした場合の学生の起業、創業を促進するような環境づくりができないかと思います。
 あくまでも大学運営の自主性を前提とするわけですけれども、先進的な教授陣の指導を得ながら、先ほど申し上げましたOB社会人あるいは実務経験のある方たちの支援をもらいながら、幅広く展開をしていったらどうかというふうに考えますけれども、都立大学事務局長にお伺いしたいと思います。

○土肥都立大学事務局長 都立大学には、産・学・公連携の推進のための組織でございますTAMA産業活性化協議会で活躍する教員などもおりますので、こうした教員を積極的に活用して、関係機関や労働経済局と連携しながら、経験豊富なOBや企業人の協力を得て、学生のアイデアや創作活動へのアドバイス、起業のための実践的指導、関係機関等へのコーディネートなど適切に行えるような仕組みをつくっていきたいと考えております。
 また、現在、都立大学では、産・学・公連携の推進を大学改革の重要な柱の一つとしております。この中で、大学の持つ教育研究資源を最大限に活用し、科学技術大学や労働経済局とも連携して、今後の支援策や、学生が起業しやすい環境づくりについて幅広く検討してまいります。

○土持委員 今後、学生の起業を促進していくためには、ビジネス実務経験者とのパートナーシップ制や協同組合、今答弁がございましたけれども、学生の起業、創業環境の創出を図ることも大変大切なことだと思うんです。具体的に検討に入るべきじゃないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

○土肥都立大学事務局長 学生が実際に起業していくには、意欲だけではなく、具体的な設立の条件整備が必要になります。創業資金の調達、事業実施の協力者、対外的な折衝、代表能力など、事業を立ち上げるには多くの課題がございます。これらを改善する方策として、社会人OBなどのビジネス実務経験者を学生のパートナーとして得られれば、スムーズに事業立ち上げを進めていくことも可能となると考えられます。また、資金やリスクの面でも、学生の起業を支援する協同組合などの受け皿や制度的な保証があれば、学生のインセンティブをより高めることができます。
 このため、TAMA産業活性化協議会など多摩地域における産・学・公連携の組織や人材の協力を得たり、労働経済局の施策などを活用しながら、都立の大学が協力して、ご指摘のような、これからの時代にふさわしい新たな創業支援策についても具体的に検討してまいります。

○土持委員 次に、臨海副都心に関してお伺いいたします。
 臨海副都心は、都民の共有財産であります。着実にそのまちづくりが現在進められているわけでありますが、このまち本来の機能への都民の期待もさることながら、臨海副都心開発による第一次生産誘発効果というのがありますが、十三兆四千三百億円ということであります。雇用創出の効果も七十五万人ということが明らかになっているわけですけれども、この面で東京の経済の下支えをしている側面も大変重要じゃないかと考えております。
 同時に、税収による都財政への貢献という観点も、同じく重要な視点であります。臨海副都心開発に伴う税収効果の詳細に絞った形で若干お尋ね申し上げますが、まず、この三カ年の間の臨海副都心開発への一般財源の支出と、臨海副都心から収入される都税の試算額を示していただきたいと思います。

○浪越港湾局長 一定の前提条件のもと、私どもの試算では、平成十年度から平成十二年度までの三年間に臨海副都心開発へ支出する都債を含む一般財源は、約三百十億円と考えてございます。
 これに対しまして、同期間における臨海副都心からの都税収入は、約六百八十億円と推計してございます。

○土持委員 一般財源による臨海副都心開発への支出より、都税として収入される額の方が上回るということを考えますと、都の財政への貢献性ということにも着目したいと思います。
 これまでに臨海副都心開発に支出した一般財源が、臨海副都心からの都税収入で回収をされるのはいつごろと見込んでおりますでしょうか。

○浪越港湾局長 これまでに臨海副都心開発に支出した一般財源は、平成十年度末で約一千五百億円でございます。この額を臨海副都心開発からの都税収入で回収することになるのは、平成十三年度と推定してございます。

○土持委員 将来、いわゆる平年度ベースで臨海副都心からどの程度の都税収入が見込まれるのか、示していただきたいと思います。

○浪越港湾局長 平成十二年度の都税収入は約二百四十億円と試算しておりまして、その後増加していき、まちがおおむね完成する平成二十七年度で約六百億円と、ピークを迎える推計になってございます。その後は、毎年五百億円程度の収入で平年度化するものと試算をしてございます。

○土持委員 平成十二年度で二百四十億円、三千九百億円の一般財源の投資額があるわけですけれども、平成二十年度ではほぼ回収ができて、二十一年度以降は純増となる。また、二十七年度前後には五百億円程度の一般財源の確保ができるということでありますね。これで間違いございませんか。

○浪越港湾局長 ただいま答弁したとおりでございます。

○土持委員 次に知事に伺いますが、今回の本会議あるいはこの委員会の中でも、都の税調についての論議がありました。大変に唐突で、この都税調が一体どのような形で、また組織になるのかとか、知事の真意がいまだよくわかっていません。
 都にも国にも審議会や評議員会とかあるわけですけれども――諮問機関などもあります。知事は、この都の税調をどういう形にして、どういう位置づけで進めようとされているのか、お考えを示していただきたいと思います。

○石原知事 今まで既に税に関する議員連盟がありまして、幾つかシミュレーションなど懸案もあったようでありますけれども、残念ながらそれが国に届いていなかったような感じがいたしますけれども、だれの責任ということじゃなしに、こういう時期にもなりましたから、私も新しい組織をつくっていただきましたならば、そこでつくられます立案というものを、鋭意国に届いて、打ち込みたいと思っております。
 いずれにしても国には政府の税調があり、与党にはそれぞれの税調があるようでありますけれども、どうもちょっと国の税調――政府の税調と党の税調というのは、ねじれ現象がありましてね、必ずしも問題で一致していかない。何かばらばらな印象が否めませんが、今回の税調では、やっぱり議会のメンバーと、それから一般の有識者が一緒に合議していただきまして、それで都自身のプロパーな税について考えるだけではなくて、国に、地方自治体のために、地方分権の時代に沿ってこういう新しい税制をつくるべきである、あるいはこういう税制の改正をすべきである。例えば、かねて申しておりますけれども、地方自治体の個性を表現する教育でありますとか、文化事業に対する寄附行為を無税化する、そういった都の権限をぜひつくっていただいて、それを私が強力に国に持ち込みたいと思っております。

○土持委員 知事は五月に立ち上げたいというご希望もありまして、残された時間は大変限られているわけですが、あわせて構成メンバーについて、議会のメンバーも含めていろいろ考えがあるかと思いますけれども、わかる範囲で結構ですから、お示しいただければありがたいんですが。

○石原知事 今限りの心づもりもございますけれども、全体に膨大な数のメンバーになる必要はないと思いますし、やはり三十人前後の、私はもっと少ない方がいいんじゃないかと思いますが、いろいろ案がございますから、いずれにしろ議会の方の割り振りと申しましょうか、人数、人選はもう議会にお任せいたしますけれども、一方では民間の、地方自治体に理解があり税制にも見識がある、決して単なる学者じゃなしに、そういう方々をそろえたいと。そして、コンパクトな議会人と民間人の立場でそういう議論をしていただきたいと思っております。

○土持委員 済みません、申しわけないんですが、あと、いつごろからかというスケジュールの問題が残っているんですが、例えば平成十三年度にはとか、あるいは財政再建プランの期間中とか、一つの目標的なスケジュール、考えがあれば示していただきたいと思うんです。

○石原知事 必要があれば詳しくまた局の方からお答えいたしますけれども、できれば五月ぐらいに立ち上げていただいて、年末に政府の税調も始まりますし、そこにやっぱりボールを投げ込む、それだけのひとつ球数を、ぜひ短い期間でございますけれども、努力してつくっていただきたいと思っております。

○土持委員 都税調について、申しわけないがもう一点だけ確認させてもらいますが、広範囲な、広義な機関にしたいという知事の意向もありましたけれども、全国の自治体を巻き込むような議論とか運動につなげるお考えがあるのかどうか、その辺を、この都税調に関しては最後の質問としてお伺いしたいと思います。

○石原知事 やっぱり何と申しましても、東京は日本の代表的な地方自治体でございまして、それぞれ都道府県、立場も違い、また財政的にも東京のような不交付団体、めったにございませんし、そういう違いもございましょうけれども、やはり何といっても地方分権、地方主権の時代でありますから、東京のこうした動きが、ある連帯の中に全国に波及していって、国全体の地方自治体の動きになれば、これにこしたことはないと思います。

○土持委員 次に、先ほどから論議になりましたけれども、福祉施策についてお伺いしたいと思います。
 都の福祉施策は、切り捨てとか、あるいは冷たいとか、見当外れの論議が大変になされてきたんじゃないかと思うのです。福祉施策の新しい展開、この部分が全然論議されないで、一方的に批判をされている。この新しい福祉の展開の部分につきまして、具体的にもう一度答弁をお願い申し上げたいと思います。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 新たな展開でございますが、例えば高齢者関係で申しますと、四つの事業を見直しまして、約三百二十三億でございますが、それに十二年度に限りまして、在宅を、痴呆性高齢者を含む介護基盤だとか、多様な社会参加、その他、地域の暮らしを支援するために三百三十三億の新たな予算をつけて再構築を図っているところでございます。

○土持委員 もうちょっと元気が欲しかったんですけれども、余り長くなると困りますので。
 その中で、論議にならなかった内容をちょっと質問させていただきたいと思いますけれども、痴呆性高齢者グループホームについてお尋ねしたいと思うんです。
 介護保険のメニューの一つとなっているわけですが、痴呆性高齢者グループホームは、家庭での生活と同じような環境が望まれるわけであります。したがって、建物とか、あるいは高齢者の暮らしてきた家に近いとか、住みなれた地域とかということが非常に重要です。
 現在、国の施設整備費補助の対象は、特別養護老人ホームとか、そういう施設との併設で行われるというふうになっておりまして、整備の期間も、通常二カ年ということで大変に限定されております。
 そこで、東京都の単独補助ということで、建物の点でも立地の点でも、グループホームのあるべき姿に大変近い形で対応ができるんじゃないかと思うんです。また、期間も比較的短い時間で整備ができるということで、ぜひ整備の数に一定のめどが立つまで、都の単独補助を継続していってはどうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 国の制度につきましては、今お話がございましたように、大変制約があるわけでございますが、都単独の補助制度は区市町村への補助でございまして、計画段階から区市町村が深く関与しているため目が行き届き、グループホームのサービスの質の確保にも効果があるというふうに考えております。
 区市町村におきましては、十二年度に都の補助制度を希望する整備が十三カ所程度見込まれており、都としてもそれにこたえるよう努めるとともに、あわせて、先ほど申し上げましたように、国に対しても、補助の対象とするよう引き続き要望していきます。

○土持委員 痴呆性高齢者については、一番大事なのはケアなんですけれども、ケアの方法がなかなか確立されていないというのが現実だと思うんです。
 区市町村がグループホームにおけるケアのあり方について取り組もうとした場合に、都単独の包括補助の対象メニューにすることが非常に効果的ではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 今お話しのグループホームは、入居者が家庭的で落ちついた雰囲気の中で生活を送るところでございまして、時には職員などと一緒に散歩や買い物にも出かけるなど、地域社会の一員として生活できることが望ましいというふうに考えております。
 そこで、区市町村が適切なケアのあり方の検討や地域との交流実施などに先駆的に取り組む場合には、ご提案の包括補助で支援できるよう、前向きに検討していきたいと思います。

○土持委員 福祉施策のもう一問として、親亡き後対策。
 障害者の親亡き後の対策というのは大変大切な課題だと思うんです。障害者の親御さんが一番悩んでいるのは、最も不安である親亡き後の対策が一番大変だということで、むしろ親が元気なうちに子どもの自立する姿を見るということが大変大切ではないかと思うんです。地域で自立した生き方ができるようにということで、施策の総合的展開を図るべきと思います。
 そこで、対策の一環として、知的障害者の生活寮について伺わせていただきます。
 都の福祉改革ビジョンは、生活寮については平成十六年までに現在の二倍ということで、実施主体は区市町村において行われるわけですが、約二十カ所あるところ、あるいは一カ所もないところなどがあるわけです。非常にまばらであると。この差を縮めることも大切でありますし、また、包括補助事業のメニューに取り入れて、区市町村に強力に支援をしてあげることも大切ではないかと思うのですけれども、所見を伺います。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 知的障害者の地域におきます居住の場といたしまして、生活寮は大変大きな役割を果たしております。このため、福祉改革ビジョンにおきまして、平成十六年度までに生活寮の定員を二倍以上に拡充するという目標を掲げております。
 しかしながら、今お話しのように、現状におきましては、生活寮が設置されていない区市町村もあり、その取り組みに違いがあることなどから、区市町村を主体とした事業の一層の取り組みを推進する必要があると考えております。
 都といたしましては、これまでも、生活寮に対して建物の改修費や運営費などの補助を行ってきておりますが、今後、事業の拡大に向け、新たに開始する包括補助制度の有効な活用なども含め、区市町村への積極的な支援策について検討してまいります。

○土持委員 知的障害者が生活寮に入るためには、親御さんも大変不安でありますし、本人も不安であるということがありますが、一つ提案としてぜひお願いしたいと思いますが、生活寮に入る人のために――家財道具を全部持って入居するというのはなかなか大変で、衣類とか布団とか最低限のものを持参していわゆる生活体験ができるような、そういう生活寮が必要ではないかと思うんです。家庭と生活寮の間を行き来しながら、だんだんになれていく。もし順応できなかった場合は、一たん家庭に戻るとかという、ある程度フリーな形でならしていくということが非常に大切だと思うんです。
 地域生活チャレンジホームというか、仮称ですけれども、そういう形でぜひ新しい展開をしていったらどうかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 知的障害者が身近な地域で自立していくためには、生活寮での生活に徐々になれていくような仕組みが重要であると考えております。先ほども申し上げました福祉改革ビジョンでは、知的障害者が、身近な地域の中で、生活体験を通して社会適応能力を高め、地域生活になじんでもらうための訓練などを行う場として、ミニ通勤寮、仮称でございますが、これの考え方を打ち出しております。
 今後、このミニ通勤寮構想の具体化や生活寮事業全体の新たな展開を進める中で生活体験をするような、今ご提案のような考え方で取り組んでいけるよう、区市町村とも十分連携し、さまざまな観点から検討してまいります。

○土持委員 では、次に教育関係、特に高校入学金に関して幾つか質問させてもらいます。
 今回提案されました都立高校の入学金は五千五百五十円ということでありますが、増収の見込みが二億六千万円ということで、保護者の負担は、新たな形で負担がされる、負担増になるわけです。教育分野では、還元策を伴った形で対応することがまず必要ではないかと思います。
 そういう観点に立ちまして、増収額の活用についてでありますが、具体的な事業はどのように考えられているか、示していただきたいと思います。

○中島教育長 入学料の新設を契機とし、都立高校のより一層の学習条件の整備を図るために、新たにインターネットを導入した学習指導を行い、これからの情報社会に対応して、高度情報通信社会に生きる人材を育成していく考えでございます。
 なお、平成十二年度には二十校程度で試行実施し、十三年度以降全校実施に向け努力してまいります。

○土持委員 今、試行実施校二十校程度ということでございますが、二億六千万という金額は、全校に入れても十分余りある費用であります。高度情報教育というのは、大変これからの時代に要請される事業でもありますので、具体的な効果を考えますと、早急に全校に取りつけるべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

○中島教育長 学習指導によりましてさまざまな効果が見込まれるわけでございます。十二年度におきましてまず二十校程度の試行をし、その実施状況の検証をした上で、十三年度以降の全校実施につなげていきたい、こう思っております。

○土持委員 よろしくお願いします。ありがとうございます。
 続いて、学校徴収金といいますか、今、都立高校の中では、平均的に年間六万三千円というふうにいわれておりますが、これも保護者の負担に大きな影響を与えている側面があります。
 負担の軽減措置の考え方から、保護者の負担を軽減できる対応はないか、示していただければありがたいと思います。

○中島教育長 保護者負担の軽減につきましては、庁内に私費問題検討委員会を設置し、一年間かけて検討、調査しまして、昨年末に報告書をまとめたところでございます。
 この報告書をもとにしまして、学校徴収金取扱要綱を新たに定めますとともに、各種の学校徴収金会計事務マニュアルを作成し、各校に提示する予定でございます。これらの活用によりまして、現在より一割から二割程度の負担軽減が可能ではないか、こう考えております。

○土持委員 六万三千円の大体一割から二割ということですから、父兄の負担は、軽減する金額につきましては六千円から一万円ぐらいになるかというふうに思います。入学金五千五百五十円の新たな負担は、誤解を恐れずに申し上げれば、徴収金の、性格は違いますけれども、一年間で一万円前後、仮に三年間としては三万円ということになります。
 ぜひ、先ほどお約束をいたしましたインターネットの件、また庁内、教育庁で検討しております学校徴収金につきまして、確実に遂行されるようにお願い申し上げる次第であります。
 続きまして、教育庁の関係で、人事考課制度についてお伺いしたいと思います。
 本年四月から、職員の人事考課制度を実施しようといたしております。その目指すところは何か、教育長に見解を伺います。

○中島教育長 現在、学校は、いじめ、不登校、あるいはいわゆる学級崩壊などさまざまな課題に直面しているわけでございます。これらの課題を解決するとともに、教育改革を推進していくためには、児童生徒の教育に直接携わる教育職員の意識改革と資質能力の向上が不可欠でございます。また、学校としての組織的な対応が求められております。
 こうした観点から、教育職員の能力開発と学校組織の活性化を目的に、自己申告と業績評価を内容とする人事考課制度を、本年四月から導入することとしたものでございます。

○土持委員 一部の反対の声にとらわれず、ぜひ断固たる決意で実施していただきたいと思いますけれども、校長、教頭が自信を持って人事考課ができるように、制度の意義や趣旨の徹底、あるいは評価者訓練につきましても、きめ細かな配慮を持って実施されるべきであると思います。
 真に効果のある人事考課制度でなければ、制度をつくっても何もなりません。どのような決意で臨むのか、決意のほどをお伺いしたいと思います。

○中島教育長 人事考課制度につきましては、本年一月、二月に、全校長、教頭を対象とした評価者訓練を実施し、三月には、制度の目的や内容をわかりやすく説明したパンフレットを全教育職員やPTA役員に配布するなど、制度の周知に努めてきております。
 四月の制度導入以降も、面接の場などあらゆる機会を通じて教育職員の理解を深めていきますとともに、評価者訓練をさらに充実させるなど、人事考課制度を真に実効あるものとするため、断固たる決意で制度の定着に取り組む覚悟でございます。

○土持委員 特に、教育問題について関連して伺いますけれども、過日、テレビや新聞報道の中に、福生市の小学校において教師が教室に隠しカメラを設置し、盗み撮りをした事件がありました。どういう事件かご説明をいただきたいと思います。

○中島教育長 お尋ねの件につきましては、現在、福生市教育委員会が事件の詳細を調査しているところでございますが、これまで口頭で報告されている事件の概要によりますと、小学校におきまして、五年生の担任の教員三人と生活指導主任が相談して、校内で起きた盗難事件の犯人捜しのために、教室にビデオカメラを隠して設置したというものでございます。
 本件につきましては、信頼を前提とする学校教育の場にあってはならない行為でありますとともに、児童の人権を侵害する行為として、厳しく受けとめております。

○土持委員 人権侵害も甚だしいと思いますね。教師の盗み撮りを発見した児童の二人に対して、親にもだれにも絶対にいうなと、こういう口どめをしたということです。二人の児童は、ノイローゼに陥るような大変な状況であったわけであります。
 教師は、盗難事件の犯人を捜すということでビデオカメラを設置したわけですけれども、学校長なりに相談して行ったのかどうか、事実関係を示してください。

○中島教育長 校長、教頭に対しまして、担任の教員及び生活指導主任から事前に相談や報告はなかったと聞いております。

○土持委員 さらに問題なのは、この盗み撮りを数人の教師が相談してやったということでありますが、福生の市議会でも大変問題になりました。この判断というのは、市の教育委員会から都の教育委員会の方の判断待ちということになっているわけですけれども、都教委としては厳正に対処すべきだというふうに思いますけれども、再発防止策を考えますと、厳しい対応が必要だと思います。どのように対処するか、お示しいただきたいと思います。

○中島教育長 都教育委員会といたしましては、福生市教育委員会の報告をまって、事実関係の詳細を確認した上で、厳正に対応したいと考えております。
 この事件は、関係する教員の視野が狭く、社会常識に欠けていることや、児童に対する思いやりが欠けていること、また、学校の中の組織が十分に機能していないことなどが原因として考えられます。
 そのため、研修の一層の充実や校長のリーダーシップの発揮等によって、教員の意識改革や職務意識の向上を図るとともに、学校組織を活性化させて、こうした事件の再発防止に努めてまいります。

○土持委員 この教師は、日ごろから、特定政党の政治活動をやっている教師であったと聞いています。日の出処分場の反対運動を行ったり、また、特定政党の選挙運動の一環と思われる少人数学級を進める署名運動を学校の保護者会等で強要し、保護者から、地方公務員法の違反や公職選挙法違反ではないかというふうにいわれているわけであります。公正中立であるべき教師として、許されるべきことではないというふうに思うわけです。
 こうした特定政党の活動をする事例は、このほかにも数多く聞いているわけですね。都教委として、教育公務員の規律を厳正に守るよう、すべての教師に徹底すべきではないかというふうに考えますけれども、いかがでしょうか。

○中島教育長 公正中立であるべき教育公務員につきましては、教育公務員特例法及び公職選挙法などにより、政治的行為や選挙運動等を行うことは禁止されております。これまでも、教員研修や服務通達などにより厳正な服務規律の確保に努めてきておりますが、今後さらに徹底を図ってまいります。

○土持委員 知事、不偏不党であるべき教育公務員、この方たちが、みずからの使命を逸脱して、特定政党の利益のために活動しているとしか思われないわけです。こうした事例が実はかなり多く見受けられるわけですね。職員の綱紀粛正の立場から、厳正に対処することは当然でありますけれども、きょう、委員の先生方皆さんのところに送られてきているのではないかと思いますけれども、私たち都議会議員のところに、このようにはがきがたくさん届いております。これは、シルバーパス条例、老人医療費の助成に関する条例など、福祉行政の後退につながる改悪は行わないこととか、また、東京都シルバーパス条例などの福祉関連条例は改悪を行わないように要請しますとかということで、数々の方からはがきが届いています。
 このはがきを出すのは、これはどういう意図があるかは別にしまして、要するに公務員、東京都の職員という立場の中から、明らかに発信先が、この都庁の中から発信されているということも非常に大切な課題だと思いますけれども、その中から――東京都が決めた政策を遂行することに反対をするこういうはがきを、同じ庁内から発信するということ、また、これはよく読んでみると、内容は、特定政党の目指す主張と全く変わりがないということなんです。
 公正中立、不偏不党の公務員という立場から、こんなことをやっていて、行政がこれからスムーズにいくかということは、大変に心配であるわけです。ぜひ、知事のこの問題に対する考え方についてお示しいただければと思います。

○石原知事 都庁の中からそういう通信が発せられるというのはゆゆしき問題でありまして、これは看過できない事態だと思います。公務員が、その職務の遂行に当たり、全体の奉仕者として、常に公正かつ中立でなければならないということは当然であります。
 今後とも、都民からこういう誤解を招き、批判も受けることのないよう、綱紀の保持に努めて、こういう規範に違反するものがあった場合には、厳正に対処したいと思います。

○土持委員 総務局長も、決意をあわせてお願いいたします。

○横山総務局長 ただいま知事が申し上げましたように、法令に違反する行為がありました場合には、厳正に対処してまいります。

○土持委員 ちょっとしつこいような質問かもしれませんが、昨日、またこういうチラシがまかれたわけです。きのうです。またまかれました。これは住宅の減免制度に関するチラシなんですけれども、この中に、経過措置も五年間が都の現方針であるということと、適用期間は五年間というふうに明言をしているというふうに記述をされております。
 何回も何回もこの議場で、住宅局はそれは間違いであるといっているにもかかわらず、なおかつ昨日、こうしたチラシがまかれているわけですけれども、改めて住宅局長、答弁を願いたいと思います。

○戸井住宅局長 これまでの予算特別委員会におきまして、私も何度かご答弁している内容でございますけれども、既減免世帯のうち、免除が継続されるのは五年間でありますが、期間満了の時点で運用状況を勘案し、見直しを行うということとしております。
 したがいまして、経過措置も五年間が都の現方針であるという記述の内容は、事実と異なります。

○土持委員 予算特別委員会は、大切な時間を割いて都民のためにいろいろ審議しなくちゃならない場面でありますが、このように間違った情報を、審議が終わった後にもかかわらず、局長の答弁の後にもなおかつ配布をしているということは、まことに遺憾だと思うんです。それで、動かぬ証拠というふうに書いてありまして、免除の原則廃止といっていますが、都合のいいところだけ、動かぬ証拠のところに切り抜きを張って、本当にあたかも政党の性格をそのままあらわしているようなチラシが、きのうまかれたわけなんです。
 改めて住宅局長、チラシに負けて、都政が決めたことが遂行されないということは余りにもおかしなことであります。先ほどの答弁は、間違いなく事実ですか。

○戸井住宅局長 都の発表資料の一部のみの表示でありますので、都の方針を正確に伝えたものではないというふうに思っております。

○土持委員 こうした論議を通して、間違った情報が都民にいかないように、この予算特別委員会をずっと――知事も初めてお聞きになっておわかりのとおり、大変にうそとデマというか、全く冷たいとか逆立ちとか、本当に聞いていて私たちも情けなくなるような思いなんですけれども、「すまいのひろば」とかあるいは広報紙の中で、間違った情報に対する正確な情報を都民にぜひ伝えていただきたいというふうに思いますけれども、知事の見解をお伺いしたいと思います。

○石原知事 都が決めました方針、指針について、非常に意識的に曲解し、それを宣伝する勢力があるとすれば、東京都の行政の信義のためにも、これを否定しなくてはならぬと思います。
 事あるごとに、そういった意識でつくられた反対の意見といいましょうか、非常に間違った報道に対して、メディアを通じて、私も都民の正確な理解を得るべく努力するつもりでございます。

○土持委員 知事の提案されたディーゼル車に関して、何点か質問させていただきます。
 東京都は、日本、アメリカ、欧州の四メーカーを、先日、三月二十二日ですか、第一庁舎に呼んで、DPFのシンポジウムを行ったわけです。都民、関係者の関心は高く、当初予定した人数よりもたくさんの人数がお集まりいただいたというふうに伺っております。それぞれメーカーが自社製品の特徴などを発表したそうですけれども、都の想定しているDPF、あるいは価格、また性能面なんかではどのような状況であったか、また、近い将来、開発の可能性についての感触が得られたのかどうか、局長にお伺いしたいと思います。

○齋藤環境保全局長 お話のシンポジウムには、内外四社のメーカーが参加いたしまして、DPFの性能や価格などについての報告がございました。
 まず、国内メーカーの、フィルターにより捕集し、燃焼する方式につきましては、粒子状物質の除去率は約八〇%、価格については、二トン貨物車の例でございますが、約六十万円でありますが、量産化により四十万円程度に下がるだろうとの発表がございました。
 また、外国メーカーのうち、低硫黄の軽油の使用を条件とする連続再生方式というのがございますが、これでは、除去率が約九〇%以上、価格は、小型車では十万円台、大型のバスでは六十万円から九十万円程度が考えられるとの発表がございました。
 このため、石油連盟が先日発表いたしました軽油の低硫黄化が実現すれば、低廉で高性能のDPFの開発、供給が促進されるものと考えております。

○土持委員 DPFなどの開発企業、あるいは自動車メーカー、運送業者などは、都の認定基準が早く明確にならないかということを待っているわけですけれども、DPFの義務づけを決めた以上、早急に性能とか、あるいは耐久性、また価格も含めて、基準を公表しなくてはならないんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○齋藤環境保全局長 粒子状物質を確実に低減するためには、性能のよいDPFの普及が重要でございます。このため、都が装着を義務づけようとするDPFの性能などを定めました認定基準の策定が必要であると考えております。
 先般、自動車工業会や石油連盟は、平成十九年ごろに予定の新長期排出ガス規制を前倒しで実現するとの方針を発表しております。このような方針の実現に当たっては、軽油の低硫黄化を前提としたDPFにより対応する必要があると考えておりまして、今後、製品開発が一層促進されるものと考えます。
 このため、東京都といたしましては、これらの動向を踏まえつつ、夏ごろを目途に、除去率や耐久性等を定めたDPF認定の基準を明らかにしていきたいと考えております。

○土持委員 石原知事を初め都の動きに対しては、非常に敏感にいろいろ各団体が動いているかと思います。特に、自動車工業会あるいは石油連盟など関係業界も重い腰をやっと浮かせたという状況ですが、業界の動きは、一面では都にとっては追い風だと思うんですけれども、知事のところに、今日まで何か相談あるいは接触があったとか、そういう状況がもしありましたら、示していただきたいと思います。

○石原知事 業界の筋からは別に接触はございませんが、私も一方的に業界に訴えたというか、おどしたというんでしょうかね、これはまさに殺人みたいなものだ、考えてくれと、都民の命を助けてくれといういい方をしまして、向こうもちょっと辟易しておりましたけど……。
 先般、自民党の政調会長でもあり、個人的に親しい亀井君と会ったときに、この問題を申しましたし、私、近々総理にもじかに申し上げようと思うんですが、これは、確かに都が動き出したことで、業界も努力を少し早める、二年ぐらい早めるというんですけど、こんなものじゃ、実は遅過ぎるんですね。
 今度できます、話があちこちになるみたいですけど、東京都の税調にしたって、例えば、軽油に対する税法を政府が思い切って変えたら、これは一遍で済むことなんです。それから、石油業界に、税法の変更も含めて、つまり、政府が強い姿勢で臨めば、脱硫というものを徹底してヨーロッパ並みにすれば、DPFという非常に技術的に高い製品をつけなくても、ヨーロッパで使っているCRTというんですか、それでもヨーロッパ並みの清浄に近い排気ガスになるということです。
 これは、今後のためにも、技術的な点でも業界が努力してくれる必要がありますけど、やっぱり国がその気になって、税制の改正も含めて、業界に――それほどコストのかからないものですから――試算しましたら、十年間で、今の値段に軽油を差しおいたとしても、それプラス、リッター一円ぐらいのことで済むわけでして、これは国がもう少し迅速に動くべき問題だと私は思います。
 本当にそういう点では鈍感というか、怠慢というか、そういうことも、税制の改正に対する要求を含めて、東京都から今後も強く政府に申し入れていきたいと思っております。

○土持委員 衛生局にちょっとお伺いしたいんですけれども、精神障害者の施策についてなんですが、精神障害者施策について、平成十二年度の予算において、かねてより我が党が主張してまいりました都営交通無料乗車券が予算化されたわけであります。評価するものであります。
 去年の六月に精神保健福祉法が改正されまして、平成十四年度からは、在宅の精神障害者に対する福祉事業が区市町村を中心に行われることになったわけです。このときに、ぜひ保健、医療、福祉の各サービスを身近な地域で提供する新たな精神保健福祉体制の構築が求められるんじゃないかと思います。
 精神障害者の自立を図る上で基本的なサービスは、やはりホームヘルプサービスであります。現在、三区市での実施にとどまっておりますけれども、東京都は、ホームヘルパーの養成研修を行うなど、より積極的に区市町村を支援することをぜひお願い申し上げたいと思いますけれども、現状についてどのようになっているか、お示しいただきたいと思います。

○今村衛生局長 都といたしましては、平成九年度から、国に先駆けまして、ホームヘルプサービスなどの福祉施策を展開してきておりますが、このホームヘルプサービスは、グループホームやショートステイサービスとともに、平成十四年度から法定の在宅福祉事業として区市町村事業に位置づけられまして、本格的に取り組まれることとなります。
 都は、今後とも、ご指摘の点を踏まえまして、ホームヘルパーの養成研修を充実するとともに、区市町村に対し適切な情報提供に努めるなど、事業の拡大に向けて積極的に支援に努めてまいります。

○土持委員 病状が不安定という特徴があるわけですけれども、精神障害者にとりましては、福祉施策と並んで医療の確保が不可欠なわけです。特に緊急の場合、都立の四病院だけではなくて、身近な民間医療機関で対応できる体制を確立すべきじゃないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○今村衛生局長 地域で暮らす精神障害者の多様な救急医療ニーズにこたえるためには、初期、二次、緊急医療の体系的整備が重要であります。
 平成十二年度には、これまでの都立病院を中心とした緊急医療体制に加え、医療保護入院が必要な精神障害者に対しまして、民間精神病院等の協力も得ながら、精神科二次救急医療体制を整備してまいります。
 今後も、ご指摘を踏まえ、民間医療機関等のさらなる協力を得ながら、身近な地域において適切な医療を提供できるよう、精神科救急医療体制の拡充に努めてまいります。

○土持委員 最後の質問になります。
 都市計画局にお伺いしたいんですが、地元の問題です。足立区の竹の塚というところがありますけれども、竹の塚の西口南地区再開発についてお伺いしたいと思います。
 竹の塚の西口南地区の市街地再開発事業は、平成六年からスタートしているわけですけれども、途中、大変に困難がありまして、やっと再開発事業の都市計画決定が行われたわけです。現在までの進捗状況について、改めてお伺いしたいと思います。

○成戸東京都技監 都市計画決定以降の経緯でございますが、地区内の大規模地権者が事業からの撤退を表明いたしましたために、その調整に時間を要してきました。しかしながら、平成十年三月に東京都住宅供給公社がその土地を取得いたしまして、その後、事業計画について他の地権者の合意が得られたことによりまして、このたび、本日でございますが、市街地再開発組合が設立されました。
 今後、組合は、平成十三年度早期に権利変換計画の認可を受け、工事に着手し、平成十五年度中の事業完了を目標に準備を進めていく予定であると聞いております。
 都といたしましては、事業が予定どおりに進むよう、区と協議しながら、組合を指導してまいります。

○土持委員 東武伊勢崎線というのがありまして、竹ノ塚駅がありますが、あかずの踏切で有名な赤山街道があります。再開発も進み、また、竹ノ塚の乗降客十万人という大変な人数を考えますと、連続立体交差事業の制度が変わりまして、ぜひ竹ノ塚駅の連続立体交差について見解を伺うと同時に、北側に、埼玉県寄りになりますが、二六一号線というのがあります。ここは今、都の計画ですと、オーバーパスの計画になっておりまして、オーバーパスになりますと連続立体交差はできない、こういう状況にあるわけですけれども、あわせて答弁を願います。

○成戸東京都技監 鉄道の連続立体交差につきましては、沿線まちづくりと一体的に進めることが重要であると認識しております。
 竹ノ塚駅付近につきましては、西口の再開発のみならず、東武駅ビルや公団住宅の更新など、駅周辺のまちづくりの動向を踏まえ、今後、国とも調整しながら、地元区とともに検討してまいります。
 また、補助二六一号線についてでございますが、東武伊勢崎線を上で越すオーバーパスする計画となっておりまして、鉄道の東側は、区画整理事業によって既に道路用地が確保されております。鉄道交差部分及びその西側の区間の事業化の時期につきましては、現在未定でございます。
 しかしながら、補助二六一号線の鉄道との交差につきましては、鉄道の連続立体交差化の可能性を見きわめるとともに、補助二六一号線沿道の土地利用との整合のとれた交差方式としていく必要があるというふうに考えております。

○土持委員 ありがとうございました。(拍手)

○石井副委員長 土持正豊理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合によりおおむね三十分間休憩いたします。
   午後五時五十八分休憩

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