東京都議会予算特別委員会速記録第六号

○清原委員長 ただいまから予算特別委員会を開会いたします。
 これより付託議案の審査を行います。
 第一号議案から第三十一号議案までを一括して議題といたします。
 この際、部局別質疑について申し上げます。
 去る三月十六日に議長を通じ常任委員長に依頼してありました部局別質疑につきましては、お手元に配布のとおり報告がありました。ご了承願います。
 これより締めくくり総括質疑を行います。
 順次発言を許します。
 藤沢志光理事の発言を許します。

○藤沢委員 我が国社会は、二十一世紀におけるさらなる発展に向けて、社会経済システムや国民の意識をも含めた抜本的な改革を実行していかなければならない時期にあります。我が国の社会経済における中心的な役割を担っている都においても、行財政システムをみずから変革し、全国自治体の先鞭をつけることが強く求められております。
 そうした中で、知事は、就任以来、財政再建を都政の最重要課題と位置づけ、昨年七月には今後の基本指針となる財政再建推進プランを策定し、財政構造改革に向けての道筋を明らかにしました。
 平成十二年度予算は、その初年度に当たる重要な予算であり、石原知事にとっても初めての予算編成であります。何かと苦労があったと推察いたしますが、何としても財政再建団体への転落だけは阻止しなければいけないという知事自身の強い決意をうかがうことのできる予算であると考えます。
 十二年度予算編成では、財政構造改革に向けて、財政再建推進プランに掲げた内部努力や施策の見直しなどの具体的な方策に全庁を挙げて取り組み、一千九百四十億円の財源確保を図ったことは一定の評価ができます。しかしながら、こうした取り組みを行っても、なお三千二百億円もの財源不足が生じ、減債基金積み立ての一部計上見送りや退職手当債の計上などの財源対策を講じることによって辛うじて編成できたのが十二年度予算であります。
 では、十三年度はどうでしょうか。景気の動向が不透明な中、都税の増収は期待できない一方、歳出面では、公債費の大幅増や退職手当の増加など構造的な増加要因が多々あり、十三年度財源不足は四千億円以上に膨らむことが予想されます。今回の外形標準課税の導入によって、当局の推計どおりに十三年度以降一千百億円の増収が図られたとしても、現状のままでは、なお三千億円程度の財源が不足することになります。
 しかも、知事のいうサンタクロースに十三年度も期待することができないとすれば、十二年度予算編成で行った財政再建への取り組みだけで終わらせてはならないのであります。ましてや、新たな税制を導入するに当たって、その増収分を当てにした野方図な財政運営など都民に受け入れられるはずもなく、さらなる内部努力や施策の見直しなど、財政構造改革に取り組まなければならず、その手綱を緩めてはならないのであります。このような認識のもと、本予算特別委員会のこれまでの議論を踏まえ、締めくくりの総括質疑を行っていきたいと思います。
 まず、内部努力についてお伺いいたします。
 知事は、十二年度予算において、事務事業の徹底した見直しにより二千人を超える職員定数の削減を行ったとしています。このことは、財政再建推進プランで示した十五年度までに五千人の定数削減を行うという目標に対し、初年度でその四割を超える達成率であり、一定の評価を惜しむものではありません。
 しかし、一方、知事は、新聞での対談、さらには本予算特別委員会において、職員は三分の一でよいと発言しております。まず、この真意を確認しておきたいと思います。

○石原知事 一年近くこの都庁で過ごしてまいりましたけれども、その経験を通しての実感と申しましょうか、具体的内容はともかく、実感といたしまして、世間のありようと比べて、さまざまな施策を凝らせば、私は、今都庁がやっている仕事は――警察とか消防とか学校、病院という職場は別にしましても、まあ三分の一ぐらいの人間でできるんじゃないかという強い気がいたします。仕事の見直しや効率化などで、まだまだ職員の削減は可能ではないかと思っております。

○藤沢委員 人即事業というふうにいわれておる地方自治体の事業の中におかれまして、知事がおっしゃられたような分野については別といたしましても、私としては、三分の一にほかの分野についても減らすということについて、ちょっと極端過ぎるんではないかなという思いはいたしますが、これまでのような定数査定の枠を超えて、機械的な事務については全面的に委託に切りかえるとか、あるいは民営化を図るとか、思い切った手法によりさらなる定数削減が可能だと考えますが、いかがでしょうか。

○石原知事 三分の一という数字はちょっと乱暴かもしれませんが、あくまでも実感でございまして、その裏打ちをすべく体験をこれからも重ねていきたいと思っておりますが、まず財政再建推進プランで五千人程度の削減を目標としておりますので、とにかくまずこの達成が第一だと思います。
 ただ、従来の手法での削減では、そろそろ限界に近づいてきている。さらなる削減を行うには、ご指摘のように大胆な委託、つまりPFIであるとか、その他民営化等の検討を行うなどして、やっぱり発想の転換を大きくしませんと、内部努力もこれ以上はおぼつかないという気がいたしております。

○藤沢委員 昭和五十四年には、二十二万人、東京都の定員を抱えておりました。事業量が拡大する中で、今日まで効率化を図ってきたところでございますが、さらに効率化を図って都民の信託にこたえるように進めていただきたいと願う次第でございます。
 ところで、定数削減による財政効果が大きいことは否定はいたしませんが、実は、これは見かけの効果でしかないのであります。実際の給料は現に働いている職員に対して支払われるのですから、定数ではなく実際の職員数、いわゆる実員が減少しなければ、実際の財政効果はないと思います。
 そこで伺いますが、十二年度で実員は何人減少する見込みなのか、また、定数削減が実員の減少に結びつくように採用抑制等をしていかなければならないと考えますが、その基本的な方針はどうなのかを伺います。

○横山総務局長 十二年度の実員の削減についてでございますが、十二年度は採用を大幅に抑制したこともございまして、実員でも定数削減程度の減になると見込んでおります。
 新規採用につきましては、組織の活力を維持していくために計画的な採用が望ましいところではございますが、財政再建に向けて十三年度以降も採用の抑制を継続していかざるを得ないと考えております。
 なお、具体的な対応につきましては、退職者や事業の動向等を十分に精査しますとともに、財政再建の進捗状況なども考慮しながら、慎重に判断していきたいと考えております。

○藤沢委員 内部努力の大きな柱である都職員の給与の削減については、全国で最も厳しい内容であること、都政史上初めて全職員を対象としていることなど、知事の財政再建に向けた並々ならぬ決意をあらわすものと考えます。
 しかし、今回の措置は、あくまでも時限的なものであり、十四年度には、給与削減の効果である七百億円も財源確保策として当てにできないことになります。財政再建推進プランでは、今後、任用・給与制度全体の見直しを進める中で、給与関係費のより適正な配分などを行っていくとしています。
 ここでちょっとお伺いしますが、業務職給料表の問題点とはどのような点なのか、教えていただきたいのです。

○横山総務局長 業務職給与につきましては、必ずしも職責と業績に応じた給与制度が整備されていなかったことなどによりまして、全体として給与水準が高い状況にございました。このため、平成八年度に昇任選考の整備や給料表の見直しを行うなど、現業系職員にかかわる任用・給与制度全般にわたる改正を行ったところでございます。
 今後とも、引き続き適正化に努めてまいります。

○藤沢委員 今後、職員給与の時限的な削減でよしとせず、長年の課題である業務職給料表の見直しなど、任用・給与制度の具体的な見直し案を都民に示し、給与関係費の適正な配分を目指して着実に取り組みを進めていくべきと考えますが、いかがでしょう。

○横山総務局長 職員の給与につきましては、当然都民の理解を得ていくためには、任用・給与制度の改革を通しまして、給与関係費のより適正な配分を行っていく必要があると認識いたしております。
 今後、中長期的な展望のもとに、職員の意欲や能力を最大限に引き出すために、能力業績主義の観点から、任用・給与制度の具体的な見直しも進めてまいります。

○藤沢委員 監理団体については、十二年度予算において支出額で六百二十億円、率で約二三%を削減していますが、現在、団体活用の原点に立ち返った総点検を実施しており、団体の統廃合や組織の縮小、経営的視点に立った事業の抜本的な見直し等を行うこととしています。このため、本年二月には東京都監理団体総点検の基本指針を策定しており、こうした積極的に取り組む姿勢は評価に値すると考えます。
 ただ、私が率直に疑問に思うことは、六十四の監理団体になぜ一万人近い常勤職員が必要なのかということであります。個々の団体ごとにはそれぞれの理由があると思いますが、全体を見渡した場合に、いかにも多いという印象がぬぐえません。都本体の方が厳しい定数削減を行っている中で、これまで監理団体の定数は放置されてきました。あるいは都の定数隠しの温床になってきた、そのような感が否めないのであります。
 今後は、監理団体の定数についても厳しく見直しを行い、派遣職員を引き上げることが必要であります。そして、そのときに大事なことは、監理団体が穴埋めとして固有職員をふやすようなことがないよう、厳しくチェックすることが必要です。
 監理団体に対しては、総点検の中で、こうしたドラスチックな見直しと、さらに厳しい自助努力を促すべきと考えますが、所見を伺います。

○横山総務局長 強固な行財政基盤の確立のためには、都庁内部だけではなくて、監理団体の改革が緊急課題であることはご指摘のとおりでございます。このため、監理団体の平成十二年度所要人員につきましては、事業の徹底した見直しと効率的な執行体制を確立する観点から厳しく精査をいたしまして、新規委託分を除きますと、対前年度比で三百二十三人の減としたところでございます。
 また、今回、監理団体総点検のための基本指針を策定しまして、団体の設立趣旨にまでさかのぼり、抜本的な改革に取り組むことといたしました。この中で、少数精鋭化を徹底した人員計画と都派遣職員の削減計画を策定することとしておりまして、本年秋には、団体の統廃合も含めた総点検結果を取りまとめ、公表してまいる所存でございます。

○藤沢委員 財政再建推進プランにおいては、監理団体の見直しによる効果五百億を目標としているところでございます。さらに一層努力をするように要望しておきます。
 次に、施策の見直しについて伺います。
 本定例会の我が党の代表質問において、施策の見直しにより財政構造改革はどの程度進んだと考えているのかという問いに対して、すべての施策及び実施体制について、単に十二年度にとどまらず、将来のあり方も踏まえながら、あらゆる角度から精査、点検を行ったと知事は答弁しています。
 しかし、十二年度予算では、施策の見直しによって確保できた財源は千百七十九億円であります。これは財政再建推進プランの目標額の約二分の一です。目標額を達成するためには、まだ千二百億円を超える見直しを行わなければなりません。私は、今回の見直しは、財政再建に向けて確実な第一歩であることは認めますが、第二歩からがこれまで以上に難しいのではないかと危惧しております。
 そこで、確認を含めて具体的に伺いますが、財政再建推進プランの別紙に掲載されている事業、すなわち、一般財源の充当額が五億円を超える事業は全部で何事業あり、これらの総事業費と一般財源の額は幾らで、全体の事業のうちで何割を占めていたんでしょうか。

○木内財務局長 財政再建推進プランに掲げました一般財源が五億円を超える事業は、全部で百三十八事業でございまして、総事業費は、十一年度予算ベースで約二兆千八百億円、そのうち一般財源は約一兆二千百億円でございます。この百三十八事業が人件費などを除く都の事業費総額に占める割合は約八割、一般財源では約九割でございます。

○藤沢委員 当然のことですが、十二年度予算では、この百三十八事業のほとんどに見直し、あるいは再構築のメスが入っているはずであります。今後、十五年度までにさらに千二百億円もの財源を果たして生み出すことができるのか、大変疑問に思っております。
 この百三十八事業を除けば、事業費、一般財源とも残りわずかであります。今後どうやって千二百億円もの財源を確保していくのか、十三年度以降の施策の見直し方針について伺います。

○木内財務局長 十二年度予算におきましては、推進プランに基づきまして、ご指摘の百三十八事業を含めまして、都の行うすべての施策についてあらゆる角度から精査を行いまして、新しい時代にふさわしい施策への再構築を図ったところでございます。
 しかしながら、一定の結果を得られました事業もございますが、まだ課題が残されている事業も多々あるわけでございます。こうした見直しは、社会経済状況の変化に伴い、不断に取り組むべきものであるというふうに考えております。したがいまして、十三年度以降も引き続き見直しを行う必要があり、今後とも、財政構造改革を進める中、推進プランの目標達成に向け、努力してまいります。

○藤沢委員 間違っても財政再建団体などに転落しないように、大いに努力をしていただきますようお願い申し上げます。
 次に、地方税財政制度の改善について伺います。
 都財政の再建のためには、内部努力や施策の見直しを進める一方で、景気動向に左右されない安定的な財源を確保する必要があります。今回の銀行業を対象とした外形標準課税の導入については、現行制度の中で都ができることを積極的に行っていく姿勢を示したものであり、我々都議会を含め、都民に歓迎されるものと考えます。しかし、今回の提案は、五年間という時限的なものであります。財政再建推進プランの具体的な方策に掲げられている税財政制度の改善は、恒久的な方策として示されているものと理解しています。
 そこで伺いますが、今回の銀行業への外形標準課税の導入は、財政再建推進プランの中ではどのように位置づけられるのでしょうか。

○木内財務局長 今回の外形標準課税の導入は、安定的な税収の確保のための措置でございまして、時限的ではありますが、一過性の取り組みに終わらせるのでなく、広く外形標準課税の導入や税源の移譲など、国と地方の税源配分の改善に向けた着実なステップとなるものであるというふうに考えております。したがいまして、今回の取り組みは、推進プランにおける税財政制度の改善の方策として位置づけられるものというふうに考えてございます。

○藤沢委員 重要なことは、今回の提案により地方税財政制度の改善に弾みがつくことを期待するものですが、それでよしとするものではないということであります。本特別委員会で我が党の大西理事が指摘したように、地域格差是正の域を大きく逸脱した地方交付税制度や、地方の事業をがんじがらめにする国庫補助制度、さらに都においては、都財政を富裕視した財源調整措置など、制度疲労を来しているこれらの制度を改革しなければならないのであります。
 地方主権を実現するためには、地方交付税制度をどうするか、それによって国と地方の財源配分をどうするか、さらに国庫補助制度をどうするかという本質的な部分について、国に戦いを挑む必要があるというふうに考えます。
 そして、その場合の根本的な解決策は、やはり国から地方への税源の移譲しかないのではないかと思います。現在のゆがんだ税配分を、仕事の量に見合った形に是正する、それがなされて初めて、地方自治体の自主自立的行財政運営が可能となるのであります。
 こうした抜本的な地方税財政制度の改革に向け、知事の決意を改めて伺います。

○石原知事 東京の再生のために財政構造改革を進めるに当たりまして、地方への税源の移譲を初めとする税財政制度の改革は、地方主権にふさわしい自主自立的な財政運営を行うために不可欠であります。
 東京は不交付団体でありまして、それがあるがゆえに、国と地方自治体とのかかわりのあつれき、相克というものを表象しておりますが、でありますから、今回の外形標準課税導入なども契機としまして、国と地方を通じた税財政制度の改革に向けての論議が、全国的に活発に行われていくことが好ましいと思っております。その動きこそが大きなうねりの引き金となって、今後とも、議会や都民の理解を得ることで、都内区市町村や全国知事会などの関係団体とも協力しつつ、国に対して粘り強く働きかけていきたいと思っております。
 先般、新聞で知りましたが、外国人記者クラブに、私に続いてゲストで呼ばれました国の主税局長が、外形標準などをやる前に住民税を上げろ、固定資産税を上げろということをいっておりました。これは本当にたわけた話でありまして、全くお上の意識といいますか、地方というものの実情を知らない。
 そういう物の考え方が国を動かしているなら、ますますこれから国と地方自治体のかかわりというのは深刻なものになっていくと思いますけれども、今回つくっていただきます都の税調などで、独自の税源を考えるだけではなくて、地方自治、地方主権の時代のためにこそ、国もこういう税財政というものを変える必要があるという、そういう指摘も行っていっていただきたいと思っております。

○藤沢委員 私も、実は、去る二月の二十二日に党の税調に呼ばれまして、東京都議会、東京都連の立場としての発言をいたしてまいりましたが、その折、大蔵省サイドの立場を代表すると思われます金融問題調査会長、大蔵省OBの某議員が、今度の東京都がやった外形標準課税については、きんちゃく切りが懐に手を入れて盗み出したようなものだと。それを受けて、それらにかかわる立場の人たちが、とにかく自分たちが今まで怠慢で、こうした制度を法的に残していた、したがって、こういうことが今後起こらないように、きちっと法制度を見直していかなくちゃいけないと、このような強い発言が次々と起こったこともございました。
 また、大蔵省の立場としては、地方交付税制度は堅持していくという立場もあるようでありますし、また、自治省サイド、地方行政部会の関係については、やはり地方交付税制度のきちっとした堅持と、そしてまた、今回の東京都の外形標準課税の導入に当たって、それを契機に一般的に外形標準課税を導入していきたい、そういう方向が打ち出されてくるというような流れがあるということを、身をもって感じてきたところでございます。
 大変困難な道であろうと思いますが、国を、東京都がしっかりと促しながら、地方分権化の促進、課税自主権の確立のために、石原知事を先頭に頑張っていただきたい。大変強い決意をお聞きしまして、心強く感じたところであります。我々も、議会人として大いに力を注いでいきたいなというふうに思っております。
 さて、知事の所信表明を伺っていると、十二年度は、さまざまな計画や基本方針の策定がメジロ押しであります。例えば東京圏メガロポリス構想であり、産業振興ビジョンであり、緑の東京計画などであります。計画を策定することは結構なことではありますが、こんなに多くの計画を出して、計画同士の整合性がとれるのかが心配になります。
 都の今後の方向性の基本となるのは、東京構想二〇〇〇であるはずでありまして、個々の計画は、それを踏まえて策定されるべきものと考えます。しかし、所信表明を伺った限りでは、それぞれの策定時期が、必ずしも東京構想二〇〇〇を踏まえたものとは思えないのであります。
 そこで、これら各局が策定するビジョンや基本方針と、そのバイブルともなるべき東京構想二〇〇〇との整合性をどのように確保していくのか、伺います。

○柿沼政策報道室長 東京構想二〇〇〇の策定と前後いたしまして、お話のとおり、幾つかの個別計画も策定されるわけでございますが、本構想は、都政全体の基本的な指針として、他の構想、計画の上位に位置づけられるものでございます。
 東京構想二〇〇〇は、それぞれの個別計画との調整をも図りつつ、東京が目指すべき中長期的な都市像、生活像を明らかにいたしまして、これを実現するための施策展開の道筋を、総合的、体系的に示すものとして策定していきたいと考えております。

○藤沢委員 それぞれの計画が有機的に関連づけられて策定されることは当然としても、さらに心配なのは、その財源的な裏打ちであります。こうした計画が次々に打ち出されてくることや、十二年度予算が何とか編成されたこと、外形標準課税という新たな財源が確保できる見込みであること等々から、予算編成前にあったような都庁内の緊張感が緩んできていると危惧するのは、私だけでありましょうか。
 さきの議論にもあったように、財政再建はまだ緒についたばかりであり、今後も巨額な財源不足が見込まれ、厳しい財政状況が続くことが予測されています。したがって、これらの構想や計画は、東京構想二〇〇〇や、その事業計画の中でしっかり検証していかなければ、絵にかいたもちに終わってしまうのではないかと考えます。
 知事がいうように、今はまず、危機を克服するための苗を植えること、そして、その苗を育てるために、苗床の整備や土壌の改良、あるいは間伐などに徹するべきであります。成果を焦らず、財政再建をまずなし遂げることが重要と考えますが、知事のお考えを伺います。

○石原知事 おっしゃるとおりでありまして、まず、着実に新しい政策の苗を植えるということが大事だと思います。その苗が、それぞれ、いずれの時点で育って花が咲くかということは、政策によって事々違うとは思いますけれども、いずれにしろ、私も非常にせっかちで短気な人間ですから、これだけぞろぞろ人がいるんですから、苗を植えるぐらいは都庁全体でできると思います。ただ、その後、それを、おっしゃったように有機的につなげながら、全体として、何年かのタイムスパンで東京が再生していくということが必要だと思います。
 いずれにしろ、こうした観点からも、今後の計画等の策定に当たりまして、ご指摘のように、その裏づけとなります財政の見通しをきちっと立てて、その上に東京の再生を図っていきたいと思っております。
 果たして、おっしゃるとおり、何となく予算が土俵を割らずに済んだので、都庁の中で危機感が薄らいでいくとしたら、これはゆゆしきことでありまして、私は、最初の予算を編成してますます危機感を強めておりますので、ひとつまた議会のご協力をいただきながら、何としても東京が土俵を割らないように、また新しい施策を都民のために講じながら実現していきたいと思っております。

○藤沢委員 次に、教育の問題について伺います。
 教育は国家百年の計と申しますが、国家にとって教育とは基本的な国策であるという意味で、一つの統治行為であるといってよいでしょう。振り返って日本の教育の歴史を見ると、それはまさに国策、すなわち統治行為としての教育が目覚ましい成功をおさめた歴史であるということができます。
 これまでの教育の成功は、我が国を支え、発展させるために必要な、高度で均質な知識や技能を持つ人材を、まさに時代の繁栄とともに大量に輩出し、我が国に急速な近代化、特に世界の中の工業大国、経済大国としての確固たる地位をもたらしました。それは、他の国に例を見ない科学的常識の広がり、基礎的な計算能力の普及などの、国民に一定限度の共通の知識あるいは認識能力を身につけさせるという形であらわれています。
 しかしながら、一方では、新世紀を間近に控え、教育の果たすべき役割や、国家として教育が持つべき責任も大きく変わってきました。一つは、急激な社会経済の地球規模化の中で、世界での競争に打ち勝つ、個性と創造性の豊かな子どもを育成することが必要とされていることです。そしてもう一つは、明治以来の中央集権型の行政システムから、個性豊かで活力に満ちた地域社会の創造を図ろうとする分権改革が推し進められつつある今日、急速な社会の変化や国民の価値観の多様化に伴って、国民の一人一人が多様な生き方を追求し、自己実現を図ることが必要になってきたことです。
 このように、教育の持つ役割や機能が複雑、多様化しております。国においては、二〇〇〇年を迎えた本年、二十一世紀の始まりに当たる百年の計を作成するため、教育改革国民会議を発足し、戦後教育について総点検するとともに、教育の基本にさかのぼって、幅広く今後の教育のあり方について検討すると聞いております。
 東京から日本を変えようと知事は宣言しています。教育の場面でも、まさに東京が、国民会議などの国の施策を先導すべく、積極的に基本理念を示すべきです。
 そこで、二十一世紀に生きる若い世代の育成のために、教育という営みにとって大切な視点は何か、知事にお伺いいたします。

○石原知事 今、教育は――従来は一種の国家の統治行為であったとおっしゃられましたが、現時点から将来を眺めまして、これからやってくる新しい時代に、教育は確かに国家の基本的な事業でありますけれども、これがかつてのような一律の目的、価値観というものをもとにした、極めて国家権力を背景にした統治行為ではあり得ないと思います。後段におっしゃったように、これからは非常に多種な人材を育てなくちゃいけませんし、それは、多種な目的、価値観というものの上に成り立つ教育の結実でありまして、私は、これから、ひらめきのある、独創性のある、そういう人材をこそ社会が必要としていく時代になってきたと思います。
 従来、西洋に早く追いつき追い越そうという、中央集権的な一種の社会主義体制に似た近代化のプロセスでは、日本の教育が目的としていたものは非常に限られておりまして、その典型が国家の官僚だと思いますけれども、そういう人材ばかり育てても、その結果、どういうていたらくになったか、今日の日本を見ればわかるわけでありまして、やはり何でもかんでも五点とりの、そういう異形な、私から見れば非常に異形な人材ではなくて、本当にひらめく、独創性のある、そういう人材というものを育てる教育こそ、まさにおっしゃったとおり、多様な価値観と多様な目的に沿って現代の教育は構築されていくべきだと思っております。

○藤沢委員 次に、子どもの育成プランについてでありますが、知事は、一般質問の答弁におきまして、松下村塾を創始して子弟を薫陶し、国の将来を担う個性と感性豊かな若者を輩出した吉田松陰を、理想の教師像として挙げました。また、施政方針では、二十一世紀の東京を切り開いていくのは、志と創造力を持った若者であるとおっしゃいました。
 私も、二十一世紀を目前にした今、教育の危機を憂える一人として、大樹のまさに倒れんとするや一縄のよく支え得るところにあらずという思いで、この問題の早急な解決のために、英知を結集して手だてを講ずる必要性を痛感しております。
 そのためには、目的のないまま、自分の快楽のみを追求し、社会の一員としての義務を果たさず、権利のみを当然のごとく主張している現代の子どもたちへの手だてが、緊急の課題であります。
 また、幼いころに身につけた物の見方、考え方というものは、よしにつけあしきにつけ、終生、自分の価値判断の基盤となって引きずっていく傾向があります。その子どもの将来を決定する上で、親こそ極めて重要な役割を持っております。親としての責任を果たし、家庭においてしっかりとしつけることができる親の育成、支援が必要です。
 さらに、学校生活において、その人間性や専門性をもって、少年期、青年期の子どもたちの人格形成に直接影響を及ぼす立場にある教員の資質、能力の向上を図ることが必要です。
 そこで、国や地域など公に貢献する心と、しつけなどの社会の基本的ルールを守る意識を培うため、早急に幼児期からの育成のシステムを構築し、ガイドラインのようなものを家庭、学校、地域社会に示すなどして、家庭教育から学校教育に至る子どもの総合的な育成プランを構築することが焦眉の急であると考えますが、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 おっしゃったような、子どもに対する新しい総合的な教育プランというものを構築すべき時代に、その根底に踏まえられるべきものは、私は、親と子の関係を超えた、大人と子どものかかわりというものを、大人の方が、社会の先達者として、子どもに対する責任というものを自覚して初めて成り立つものだと思っております。
 たびたび引用いたしましたが、賀川豊彦の、子どもにはしかられる権利があると。つまり、大人には、子どもを、他人たりといえども、しかる責任があるということでありまして、まして親と子の関係を踏まえていいました。
 この間、古賀議員から非常にいいアドバイスをいただきましたが、キルケゴールの言葉に、子どもが本当に心から感謝をする最初の体験というのは、しかられて親から平手打ちを食らうことだとありましたが、まさに直截に大人と子ども、親と子どもの関係というものをあらわしていると思います。
 そういう自分たちの社会的な後輩である子どもに対する大人としての、親も含めて責任というものを、もう一回広範に踏まえるということで初めて、おっしゃったような、一貫した新しい教育の体制というのが整ってくるのではないかと思っております。

○藤沢委員 次に、学校教育からの情報の発信についてですが、今日、医療の世界においては、予防医学の分野が急速に進歩し、病気になった人に対して適切な治療をするという方向から、いかに病気を未然に防ぐかに研究の方向を転換するとともに、さまざまな医療情報を健康な人に提供することで自己管理を促し、成果を上げていると聞いています。
 また、治療医学においても、インフォームド・コンセント、すなわち十分な説明と理解と、アカウンタビリティー、説明責任というふうに理解いたしますが、この考え方に基づき、患者や家庭に、事前、事後に十分な情報が提供され、双方が納得して治療が行われていると聞いています。
 しかしながら、学校教育においては、必要な情報が社会や家庭に十分に発信されてこなかった経緯があります。このことが、従来から懸念され、今日では社会的な問題にまでなっている子どもたちのさまざまな問題行動等、課題を今に引きずってしまった最大の原因ではないかと考えます。
 家庭や地域社会とともに子どもたちの健全な育成を目指すのであれば、問題行動等を未然に防いだり、関係者に対して十分に説明し理解を得た上で子どもの育成に当たるなど、まずは学校が胸襟を開いて、子どもたちや学校に関する情報を積極的に社会に発信していくことが必要であると考えますが、教育長の見解を伺います。

○中島教育長 小中学校では、これまでも、学校だよりや保護者会、健全育成連絡会等におきまして、児童生徒の学校生活や健全育成にかかわる情報を発信し、家庭や地域社会と情報の共有化に努めてまいりました。
 児童生徒の問題行動が多様化する現在、ご指摘のとおり、学校は、今まで以上に、児童生徒に関する情報を積極的に地域社会に発信していくことが大切でございます。都教育委員会は、都立学校で試行しております地域住民や保護者等の参加を得た学校運営連絡協議会の成果を踏まえ、区市町村教育委員会と連携しながら、開かれた学校づくりを支援してまいります。

○藤沢委員 都立高校での健全な職業観、勤労観の育成について伺います。
 近年、高卒者で就職もせず進学もしない無業者、いわゆるフリーターを選ぶ者が急増しているといわれております。また、就職しても、高卒者の五割が三年以内にやめていくのであります。こうした状況が進めば、やがて日本の経済社会は活力を失い、その発展に重大な支障を来すことは明白であります。
 しっかりとした職業観、勤労観を身につけさせるには、インターンシップの推進が有効だと考えていますが、都教育委員会は、インターンシップの実施に向けて今後どのような取り組みをしていくのか、お伺いいたします。

○中島教育長 就業体験、いわゆるインターンシップは、生徒の進路意識や職業意識を高め、学習内容を深める上で効果的でございます。
 本年度、企業や行政関係者で構成するインターンシップ推進委員会を設置し、実施上の課題や実施のあり方について検討しておりますが、既に一部の都立高校では、夏季休業中などを活用し、建設会社やデパートなどで試行的に就業体験を実施しております。
 平成十二年度より、工業科、普通科など学科のバランスを図って、インターンシップ推進校を六校指定し、生徒に望ましい職業観、勤労観を育成するための実践的研究を奨励するとともに、その成果を各学校に普及啓発などすることによりまして、インターンシップの推進に努めてまいります。

○藤沢委員 しっかりと確実に進めていただきたいというふうに思います。
 次に、教員の採用選考と研修について伺います。
 少子高齢化や情報化などが進み、生活スタイルが多様になる中で、子どもたちの意識は大きく変わってきており、教員として実際に子どもたちと接するためには、子どもたちの生活実態や意識の変化に応じて、子どもの気持ちを理解し、子どもの立場や視点に立って指導する必要があります。
 また、教員は、学校以外の社会に関心を持ち、社会一般の動きや物の考え方などを身につけるとともに、常に社会から学ぼうとする姿勢を持つことが大切であります。その上で、親や地域の住民と緊密な連携をとることにより、教員の豊かな社会性がはぐくまれ、ひいては学校も活性化していくものと思います。
 そこでまず、教員の採用選考について伺います。
 現在の一次試験は筆記試験が中心ですが、人間性、指導力、経歴等を加味する必要があるのではないでしょうか。また、民間経験のある優秀な人材を採用するため、受験資格の年齢制限を緩和する必要があるのではないでしょうか。

○中島教育長 現在、都の教員採用選考に当たりましては、一次選考で筆記試験、二次選考で面接試験を行っておりますが、二次選考において、人物を重視した選考とするため、平成九年度から面接試験で合否を決定するよう改めるとともに、面接委員に民間企業人事担当者を加えるなど改善してまいりました。
 今後とも、人間性や指導力等を一層考慮した採用選考方法の検討を進め、優秀な人材を確保すべく、鋭意努力してまいります。
 また、民間企業等に勤務経験を有する優秀な人材を教員として採用するため、受験年齢の緩和を含めた特別選考枠を設けるなど、選考方法を工夫し、平成十二年度実施を目指してまいります。

○藤沢委員 ぜひ平成十二年度に実施をしていただきたい。
 それでは続いて、初任者研修や教員のライフステージの中で、教員を積極的に民間企業や社会福祉施設などに派遣し、社会人としての常識や社会経済状況を体験的に研修する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょう。

○中島教育長 都教育委員会は、教員に社会性を身につけさせるため、初任者研修におきまして、民間企業の講師を活用して、学校における接遇に関する研修を行うとともに、夏季休業中に、短期間ではございますが、民間企業での体験や、社会福祉施設等におけるボランティア活動への参加を行っております。
 また、すべての教員を対象とした教職経験に応じた研修におきましても、民間企業や社会福祉施設等の見学を取り入れております。
 ご指摘の体験的な研修につきましては、極めて重要でございますので、平成十二年度には、教員研修体系の見直しを図り、その充実に努めてまいります。

○藤沢委員 教育は、何といっても教員の果たす役割が大きいものであります。知事が理想としている松下村塾を見ていただくとわかるとおり、大した施設ではないけれど、立派な吉田松陰という先生がいて、あれだけの子弟が輩出されたわけであります。よい人をどんどん育てていって、立派な東京都の教育行政を担っていただきたいと思います。
 次に、私立専修学校のあり方についてお伺いします。
 東京における私立専修学校の専門課程、いわゆる専門学校では、現在、三百八十校を超える学校において、全国の専門学校生の約三割に当たる十七万人余の学生が学んでおります。専門学校における昨今の在学状況を見ますと、従来からの高校卒業者や、大学、短大に籍を置きながら資格修得を目指すダブルスクールの学生に加え、大学、短大を卒業してから専門学校に進学するUターン入学の学生がふえています。
 東京の私立専門学校は、伝統と実績のある商業実務や、服飾、家政関係を初め、高度情報化社会に対応する情報処理、高齢化社会にこたえる福祉、医療の各分野に至るまで、常に社会の要請に即応する専門教育を行い、多くの有能な人材を育成してきているところであります。
 時代の変化とともに、教育に対するニーズの多様化が一層進む中において、これまでの、ともすれば画一的で知識中心型の教育ではなく、個性、創造性をはぐくむ心の通った教育、年齢に関係なく生涯を通じてチャレンジできる、学ぶ意欲にこたえる教育、地域社会とも連携した社会に開かれた教育が求められております。このような教育を実践できるのは、柔軟な制度を活用し、主体性を発揮できる私立の専門学校ではないかと考えるのであります。
 ところで、東京の私立専門学校の協会は、ことし、全国に先駆けて検討会を設置し、高度化、多様化する教育ニーズへの的確な対応を図っていくために、今後の専門学校教育のあり方を研究していくという話を伺いました。
 東京都は、このような協会の自主的、主体的な取り組みを含めて、専門学校の位置づけ、あり方についてどのように考えているのか、お伺いいたします。

○横山総務局長 お話にございましたように、東京の私立専修学校、とりわけ専門学校は、大学、短大と並ぶ高等教育機関として位置づけられておりまして、大学とは異なる実践的な職業教育あるいは専門的な技術教育等を担いまして、都民や社会からも厚い信頼と高い評価を得ているものと考えております。
 また、私立専門学校は、高齢化や高度情報化の急速な進行と相まって、現代社会が求めるスペシャリストの育成を初め、職業人が再度チャレンジする職能教育や、みずからの生きがいを求める生涯学習などに幅広く対応しておりまして、今後の教育活動にも大きな期待が寄せられているところでございます。
 こうした時期に、東京都専修各種学校協会みずからが、その現状を分析しますとともに、二十一世紀を見据えた専門学校教育のあるべき姿を研究いたしますことは、専門学校の確かな発展につながるものと期待いたしているところでございます。

○藤沢委員 ぜひ、こうした私立専門学校等の動きに対して十分に配慮をしながら、しっかりと見詰めていっていただきたいと思っております。
 次に、私立幼稚園の振興についてお伺いします。
 少子化対策を考えるとき、幼児教育の充実は欠くことのできない課題であります。東京都は心の東京革命の素案を都民に示し、広く意見を求めており、本年六月には基本方針が策定されるとのことであります。
 一方、国においても、幼児教育の指針策定に向けた動きが見られるなど、現在、幼児教育についてのさまざまな取り組みが行われようとしております。
 このような中、幼稚園は、在園児への教育活動のみならず、地域における幼児教育の情報発信基地としての役割も担っており、その存在は非常に大きなものであるといえます。特に東京では、私立幼稚園が幼稚園数全体の約八割、園児数で約九割もの割合を占めていることからも、私立幼稚園の振興は、東京都の幼児教育、ひいては少子化対策の柱の一つとなるものであります。
 私立幼稚園の振興については、現在、基幹的な補助として経常費補助が行われております。小中高校については、私立学校振興助成法の趣旨を踏まえ、既に補助率が五〇%を達成しているにもかかわらず、幼稚園については、いまだこれが達成されていないのであります。
 東京都は、私立幼稚園に対する基本認識及び幼稚園経常費補助における補助率五〇%の達成についてどのように考えているのか、お伺いいたします。

○横山総務局長 幼児教育は、生涯にわたります人間形成の基礎を養うためにも大切なものでありますことから、幼稚園は、学校教育法によりまして就学前の幼児教育機関として位置づけられておりまして、我が国の教育に欠かすことのできないものであると思っております。
 お話しのとおり、東京におきましては、園児数の約九一%が私立幼稚園に在籍しておりまして、私立幼稚園が東京の幼児教育に果たしている役割の重要性は、十分に認識いたしているところでございます。
 私立幼稚園に対する経常費補助につきましては、こうした認識に立ちまして、平成八年度に、小中高校に準じた標準的運営費方式を導入しました。その後、補助率を、当初の四五%から毎年一%ずつ改善してきたところでございますし、平成十二年度予算案におきましても、補助率を十一年度予算より一%改善し、四九%としたところでございます。
 今後とも、私立幼稚園の果たす役割の重要性にかんがみまして、厳しい財政状況を踏まえつつ、補助率五〇%の早期達成に向けて適切に対応してまいります。

○藤沢委員 十三年度には達成できるように、努力をお願い申し上げます。
 ところで、先月の二十五日、子育てお母さん大集合という、東京都と幼稚園団体とが共催で行った講演会が開催されました。当日は、石原知事の講演などに五千人もの若いお母さん方が集まり、大盛況のうちに終了したと伺っております。また、その模様が先日テレビでも放映され、多くの都民がその内容に共感したとのことであります。
 子育てについては、現に子育てを行っている親だけの問題としてとらえるのではなく、家庭や地域社会、教育機関などが一体となって支え、社会的使命として考えていくべきものであると思います。
 また、東京都が、全国に先駆けて、私立幼稚園の早朝預かり保育等を支援していくとのことでありますが、これは、これからの少子化対策を考える上で有効な方法であり、働くお母さん方から見ても非常に期待が大きいものであります。今後とも、このような子育て支援に対する私立幼稚園の積極的な取り組みと、東京都の適切な支援とを要望いたします。
 続いて、水道事業についてお伺いいたします。
 今回、水道局では、四年間の新しい経営計画としてプラン二〇〇〇を策定し、最大限の企業努力により現行の料金水準を維持したことは、一定の評価をしたいと思います。
 しかし、都民ニーズや社会環境の変化といった観点で、改めて水道事業の内容をつぶさに見渡しますと、若干の問題提起をせざるを得ないと考えます。
 第一に、高度浄水というサービス提供とその負担の問題であります。
 質問に先駆けまして、まず知事にお尋ねいたしますが、水道水のうち、飲み水として使われる水の量は、大体どの程度あるというふうにお考えでしょうか。

○石原知事 今や飽食の時代でありますから、私たちが子どものころのように、おなかがすいたら水を飲んで我慢するということもなくなったと思いますので、大体一般の家庭で使われる水というのは、炊事、洗濯、ふろ、トイレというところで、水道の水を飲むという人は、時にはあるでしょうけれども、かなり、家庭生活の中で飲み水として使われる水道の量というのは、数値を詳しく存じませんけれども、相対的には少ないと思います。

○藤沢委員 知事がおっしゃったとおり、下水道の普及によって、風呂だとかトイレだとか、そういうものに対する水の需要が大変高まりましたし、また、雑排水も大変多く使われているところであります。
 そうした中で、水道局では、都民ニーズがあるということで、一般家庭の高いニーズに沿うような形で、安全でおいしい水を供給するための施策として、高度浄水というものを導入しているわけであります。
 現在、多くの都民がボトルウオーターを利用したり、あるいは浄水器を利用している、そういう状況を考えますと、都民ニーズも大分変化をしているのではないかというふうに思います。果たして水道事業でおいしい水を供給する必要性が将来ともあり続けるのか、また、その場合は、そのコストはだれが負担するのか、こうした点に大変大きな疑念を持つものであります。
 高度浄水は、金町浄水場を皮切りに順次導入されています。そこで、建設費と維持管理費について、浄水場別にまずお伺いいたします。

○赤川水道局長 現在稼働中の高度浄水施設の建設費は、金町浄水場が二百七十二億円、三郷浄水場が三百五十八億円であり、維持管理費につきましては、それぞれ年間八億円であります。また、朝霞浄水場の高度浄水施設につきましては、平成十五年度の完成を目指し現在建設中であり、その建設費は、概算で四百五十億円であります。

○藤沢委員 今答弁のあった三つの浄水場の建設費は、だんだん高額になってきておりまして、しかも、それらを合計すると千八十億円、巨額の経費を必要とするわけです。
 ところで、今後の高度浄水施設の建設はどのように進めていくのか、その予定を伺います。

○赤川水道局長 近年、かび臭やトリハロメタンの原因となる物質を初めとする微量有機化学物質などにより、水道水源の水質問題が一層複雑化、多様化しております。こうした中で、より安全でおいしい水に対する都民の関心も高まってきております。
 このため、原水水質の状況によりましては、従来の浄水処理に、オゾン処理と生物活性炭処理を組み合わせた高度浄水処理が必要であり、今後とも、水質動向や財政状況を踏まえまして、利根川系の浄水場に順次導入していく予定であります。

○藤沢委員 利根川系の浄水場はまだ二つありますし、今後も建設費がかさんでくることが考えられます。
 そこで問題となるのは、このコストを一体だれが負担するのかという点であります。都の水道料金体系は、主に高度成長期の水需要抑制策の一環として、使えば使うほど高くなる、すなわち、大口の需要者により負担を求める逓増型が採用されています。水道局の事業概要によれば、平成十年度の給水原価は、一立方メートル二百十六円となっております。
 そこでお伺いいたしますが、一般家庭の平均負担額は幾らなのか、また、給水原価を下回る量は全体の何割なのか、この点を具体的な数値で答弁願います。

○赤川水道局長 都内の標準的な家庭の平均販売単価は、一立方メートル当たり百四十一円であります。
 また、給水原価以下で販売しております割合は、全体の使用水量に対しまして六六%となっております。

○藤沢委員 今の答弁で明らかなように、一般家庭の平均負担額は、給水原価を相当下回っており、しかも、その割合は約七割に及んでいるわけであります。
 高度浄水は、おいしい水を飲みたいという一般家庭のニーズによって導入されましたが、結果として、そのコストのほとんどは、大口使用者が負担される仕組みとなっているといっても過言ではありません。都心部に建設されている大きなホテルや、あるいは大きなオフィスビルや、そういうものの方がたくさん使っている、たくさん料金を払っているというような形になっているわけです。
 今日のボトルウオーターや浄水器の普及状況などを考え合わせますと、おいしい水を求める選択肢が広がる中で、都民ニーズも画一的ではなくなってきていると思います。
 また、現行の料金体系は、生活用水への配慮と需要抑制という点は認めるとしても、現在の社会経済状況からして、その許容範囲を超えているのではないか、このように考えざるを得ません。したがって、思い切って施策の転換を図るか、あるいは施策内容を踏まえた負担を求めていくのか、受益者負担を原則とする地方公営企業として、こういった観点で施策を選択する経営戦略が必要ではないかと考えます。
 現在の社会経済状況の中、水道局として高度浄水を推進していく以上、その負担のあり方について再考すべきときが到来したと思いますが、私が指摘した点を含めて、公営企業管理者である水道局長の見解を求めます。

○赤川水道局長 ご指摘のとおり、現行の水道料金体系は、受益者負担の原則を基本に、生活用水への配慮や水需要の抑制を図る観点から、逓増型料金体系を採用しております。
 ご指摘の負担のあり方につきましては、料金体系の根幹にかかわる重要な問題であると認識しております。今後、水使用実態や使用者間の負担の公平のあり方などにつきまして広範な意見を求めた上で、より都民に理解の得られる料金体系の構築に向けまして、長期的な視点で幅広く検討してまいります。

○藤沢委員 こういった料金体系にまつわる負担の問題が、不況が続く中で、商品コストの一層の引き下げを求められる企業にとって、重い負担となっているのではないでしょうか。特に日本は、公共料金を含め、物価が高く、住民生活や企業活動に重い負担となっていることは、内外から多くの批判を浴びております。そこに東京の高コスト構造というふうに指摘される点もあろうと思いますが、したがって、今後、東京が、暮らしよく、商工業のバランスのとれた、魅力と活力に満ちた都市として発展し、国際競争力をより一層高めていくためには、公共サービスの高コスト構造について、長期的な視野で施策の転換を図っていくべきと考えます。
 公共サービスのうち最も都民に身近な水道事業について、その負担のあり方も含めて、知事の所見を伺います。

○石原知事 確かに東京の物価は、世界の主要都市に比べて、公共料金も含めて、相対的には高いのは事実であります。
 しかし、またその一方、蛇口をひねって出てくる水をそのまま飲んで何でもないというのは、これは大変なことでありまして、パリなどは、花のパリか何か知りませんが、フランス人も絶対飲まない、飲めません。
 それからニューヨークの水は、ニューヨークは何でもないといいますけど、私は、ニューヨークへ行って、水道の水で必ず顔にアレルギーの湿疹が出て、かゆくなってかなわんので、ミネラルウオーターを飲んでいますけれども、それに比べれば、東京の水というのは、まあ多少高度浄水のための薬品のにおいがしないでもありませんけど、やはり煮沸して飲むとか、あるいは氷を上に乗っけて飲むような、これはまさに生命の活力たり得る、そのまま活力たり得る質の水でありまして、これはやっぱり私は、文化というものを踏まえて考えれば、大変なことだとも思います。
 そういうことを勘案しまして、水道料金のあり方につきましては、都民が求めるサービスの水準の提供を前提に、受益と負担の均衡を含めながら、今後また幅広く検討していきたいと思っております。

○藤沢委員 次に、水道事業における国際協力について伺います。
 石原知事は、今回の施政方針において、アジア大都市ネットワークの構築に向けた準備を行い、環境問題への対応、文化産業の育成、都市づくりに関する技術・人材交流など、実質的な事業展開のあり方を多角的に検討すると述べられました。私も、アジアの代表的な都市が連携協力していくことは、極めて意義のあることと評価しています。
 我が国の水道事業に関する国際協力については、JICAを通じた専門家の派遣とODAによる資金援助が行われており、日本の国際協力の中で、水道分野の貢献度は大きいとされております。
 これまで、水道局においては、JICAを通じた技術支援は中心的な役割を担ってきたと思いますが、具体的にはどのような国際協力を行ってきたのか、まずこの点を伺います。

○赤川水道局長 水道局では、昭和四十八年から、国際協力事業団、いわゆるJICAなどを通じまして、八カ国に対し技術支援等を行ってきております。特にタイやインドネシアにおきましては、技術協力を有機的に組み合わせたプロジェクト方式により、専門家の派遣等を実施してまいりました。
 また、JICAなどを通じて海外からの研修生や見学者の受け入れも行っており、その受け入れ人数は、過去五年間で約千四百人でございます。

○藤沢委員 ところで、海外の水道事業の現状を見ますと、大きく二つに分けることができます。イギリス、フランスなどに代表されるように、先進国では、民間の技術、経営ノウハウを取り入れた効率経営を目指して、水道事業が民営化された経緯があります。
 一方、東南アジアのジャカルタやマニラの水道事業は、経済危機を背景とした資金不足から、事業経営の効率化に迫られ、世界銀行などの融資条件として民営化されております。そこで重要なことは、いわゆるヨーロッパ資本により民営化されたということであります。なぜなら、日本が古くからODAなどにより援助してきた国々であるにもかかわりませず、先ほど答弁にありましたタイ国においても、私が調査したところによりますと、一九九七年の通貨危機を契機に、水道事業の民営化が計画されているというふうに聞いております。
 近代水道百年を迎えた都の水道事業は、世界でも有数の事業規模にまで発展しており、これまで培ってきた高度の技術力を活用して海外の都市と連携協力していくことは、国際都市としての東京の役割であるとともに、こうした国際協力によってより高めた技術力を、再び都民に還元していくことも可能ではないかというふうに思っております。
 そこで、水道事業においても、これまでのJICAなどの枠を超えた国際協力を考えていくべきではないかと思いますが、知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 私は、いつでしたか、テレビの番組で、あれはやはりJICAのメンバーなんでしょうか、政府筋からアフリカに派遣されていきまして、ある地域でもう本当に母親と慕われ、神様のごとく尊敬されている女性の話を見ました。これは、単に蛇口を持っていって、とにかくその使い方を教えるだけで、今までし尿の垂れ流しだった川の水を飲んでいることで非常に死亡率の高かった幼児の生命が非常に長らえて、そういう点で人口もふえて、感謝されておりました。
 これは単純な話でありますけれども、おっしゃるように、東京の水道の技術というのは世界最高のものでありまして、一方、欧米の国々が、特にヨーロッパの国の幾つかが東南アジアなどに営利目的で水道事業を進展しておりますが、かなり無責任なものがあるし、いろんな事件が起こっておりますけれども、私は、いたずらに営利を追求するだけではありませんが、単に政府の無償援助に東京が手をかすということだけではなしに、もしそういう需要があるならば、一つの合法的な営利事業として、東京の水道の技術が東南アジアでも活用される、また、それによって、おっしゃったように、そこで開発された技術がまた都民に還元される。単に東京だけに閉じこもらずに、やはり日本の持てるすぐれた技術の一つでもありますから、これから、少し幅の広い視野に立って、東京の水道にかかわる技術も世界のために活用するということは非常に望ましいことと思います。

○藤沢委員 東京の水道は、日本でも最先端を行きますし、経営能力あるいは技術力ともに世界でも冠たるものだというふうに思っております。こうしたものが、知事が今いったように、国際貢献ができるように、公営企業局という限界ある形だけではなくて、ある場合には民営化も含めて、都民サービスもより一層効果的に、高負担を求めずにやれるような体制をつくりながら歩んでいかれるような方策も含めて、検討を進めていただきたいと要望をいたしておきます。
 次に、福祉行政について伺います。
 今回の委員会では、各党から福祉手当や医療費助成制度の改正案について議論がされました。中には、現行制度を変えるな、今のままにしろというような意見もありましたが、少子高齢化が急速に進む中で、都民全体の将来のために、本当の意味で福祉を充実させ、安心して暮らせる東京をどうやってつくっていくのか、このことを真剣に考える立場に立つなら、口当たりのよいだけの無責任な議論はできないと思います。
 そこで、締めくくりの議論に当たって、改めて今回の福祉施策見直しの必要性について確認しておきたいと思います。
 この三十年間の社会経済状況の変化をどう受けとめ、なぜ今日福祉施策の見直しが必要なのか、具体的かつ説得力のある形で説明してください。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 まず、都独自の福祉施策が開始されました昭和四十年代と今日との状況を比べてみますと、国におきましては、障害基礎年金制度の実施、手当制度の大幅な充実などが進む一方、医療保険制度では、負担と給付についてさまざまな見直しが行われてきたところでございます。さらに、来月からは介護保険制度が導入されます。
 また、今日、行政が決定する福祉から、都民がみずから選択し、利用する福祉へと転換していく中にあって、これを実現するに足りるサービスの質と量を確保していくことが必要と考えております。少子高齢化の進展や税収の大幅な伸びを期待できない状況のもとで、現在の制度を維持したままでそれを実現するのは難しいと考えております。
 こうした状況を踏まえますと、都民の税金を財源とする都独自の福祉施策につきましても、納税する都民と給付を受ける都民の双方の立場に立って、所得基準の定め方や一部負担の水準等を、負担の公平などの観点から見直すことが必要と考えております。したがいまして、今回の取り組みを第一歩として、限りある資源を緊急かつ必要性の高い施策に重点的に配分し、活力に満ち、しかも安心して暮らせる社会を目指す福祉改革を進めていきたいと考えております。

○藤沢委員 限りある資源を緊急かつ必要性の高い施策に重点的に配分をし、東京の福祉を総合的に充実していくために、今、見直しが必要であるということがわかりました。
 都民が安心して生活できる活力ある東京をつくり上げることは、私たちに課せられた責任であり、今こそ福祉改革が必要であるというのが我が党の主張であることを改めて申し上げておきます。
 その上で、これから行うべきは、知事もいわれているように、在宅サービスを中心とする福祉サービスの大幅な拡大です。今回、私たちのところにも多くの陳情、要望が参りましたが、特に我々が取り組まなければならないと感じたことの一つが、重度の障害を持つお子さんを育てている方が安心できる東京をつくるということです。
 そこで、障害を持つ方の生活の場について伺います。
 一昨年の予算特別委員会で、我が党は、知的障害者の入所施設についてお聞きしました。その折に、住みなれた地域の中で知的障害者が生活できるよう、区市と十分連携をとって、施設の設置促進に努めてまいりたいという力強い答弁をいただいていますが、この二年間の整備状況、それにより定員がどの程度ふえ、待機者がどの程度減ったかをお答えください。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 知的障害者入所施設のここ二年間の整備状況でございますが、平成十年度と十一年度で、六カ所、三百七十二名の施設が新たに整備されまして、これに増改築分の増分を加えますと、合計で六カ所、三百九十六名になります。この結果、トータルでは、施設数は、総数七十五カ所、定員が五千六百十二名となったところでございます。
 また、お尋ねの入所待機者は、平成九年度末の九百七十二名から、十年度末には千三十六名とふえておりますが、その待機者の生活形態につきましては、成人となっても児童の施設に引き続き入所している方、あるいは病院に入院している方、在宅で生活している方などさまざまでございます。

○藤沢委員 確かに施設はふえていますけれども、待機者の状況は一向に改善されていません。今日、特別養護老人ホームについては一カ所もないという区市町村はどこにもない、ゼロだと思いますが、それに比べ、知的障害者の入所施設がない区市町村は多いのではないかと思います。身近な地域に整備される入所施設にショートステイの機能をつければ、在宅で頑張っていらっしゃる親の方々も、介護で疲れたときなどに、もっと気楽に、気軽に利用できます。在宅サービスの拠点という意味でも、施設の整備が必要です。
 聞くところによりますと、整備が進まない理由の一つとして、設置計画が明らかになると、地元住民の反対などもあるとのことです。施設設置については、これまでどのような計画となっているのか、また、整備が進まない理由は何なのか、お答えください。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 知的障害者の更生施設につきましては、今お話がありましたように、障害者が住みなれた地域で安心して生活できるよう、福祉改革ビジョンにおきまして、平成十八年度までに待機者を解消するよう整備することとしております。
 こうした目標を達成するためには、今ご指摘のありましたほかに、用地確保の問題や、区市町村間の連携などの課題があるというふうに考えております。私どもといたしましては、今後、区市町村が主体的に施設整備に取り組めるよう、積極的に支援してまいります。

○藤沢委員 知的障害者の入所施設だけではなくて、身体障害者の療護施設も待機者が多いと聞いています。私は、福祉改革の中で、この両施設の整備スピードを飛躍的に上げてほしいと思います。具体的な施策の検討を含め、入所施設整備にかける決意をお聞かせください。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 福祉改革ビジョンでは、障害者の方々が在宅での生活が困難となったとき、待たずに入所施設を利用できるよう、生活寮や重度身体障害者グループホームの整備とあわせ、入所施設の設置促進を図ることにより、待機者を解消することとしているところでございます。
 入所施設は、ショートステイなど、在宅サービスの拠点としても重要であることから、今後、都としては、都有地の活用、複数の区市町村による共同設置や他の福祉施設等との合築の推進を含め、施設整備の主体となるべき区市町村を全力で支援し、万全を期してまいります。

○藤沢委員 次に、子育てと仕事の両立支援のための保育サービスの充実についてお伺いいたします。
 現在の保育施策の最大の課題は、何といっても、年々増加する低年齢の保育所入所待機児童の早期解消だと考えます。東京の待機児の現状はどのようになっているのでしょうか、まずお聞かせください。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 平成十一年十月現在、保育所入所児童数が十四万七千百三十四人に対しまして、待機児童数は一万二千二百十三人でございまして、前年同期に比べ、百三十四人増加しております。また、待機児童数のうち、ゼロ歳から二歳の低年齢児童が一万四百九十六人と、約八六%を占めているところでございます。

○藤沢委員 都は、従来から、保育施策の充実のために、国の基準を超えた事業を実施してきていますが、ますます多様化している保育ニーズを前に、事業実施主体である区市町村の取り組みが一層促進されるように、都としてもさらなる積極的な支援が必要なのではないかと考えます。
 国が平成十一年度の補正予算で措置した少子化対策の臨時特例交付金により、都内の各区市町村でも、保育所待機児童解消に相当の額が投入されたと聞いています。実際にどの程度の経費が投入されて、どのような取り組みがなされ、その結果、具体的にどの程度の待機児解消の効果があったのか、伺います。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 少子化対策臨時特例交付金の事業といたしまして区市町村が国に申請しました内容で見ますと、平成十三年度までに、保育所の増改築、駅前保育所の設置などの保育関連経費は約百五十六億円でございます。また、区市町村の計画によりますと、こうした措置によりまして、保育所への入所待機児童が約四千八百人解消されることになっております。

○藤沢委員 相当な規模の経費が投入されて、それなりの効果が見えたわけでありますが、なお解消すべき待機児童は相当の規模となっております。その待機の理由には、単に受け皿の規模の問題ばかりではなく、保育サービスの問題もあります。保育サービスを必要とする利用者の多様なニーズにこたえ得る保育サービスの拡充が必要です。
 こうした状況を踏まえて、都は、平成十二年度予算で、増大している保育所待機児童の解消に向けてどのような措置を講じようとしているのか、お答え願いたいと思います。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 福祉改革ビジョンでも、保育所入所待機児童の早期解消を図ることとしておりますが、具体的な対策といたしましては、来年度は、ゼロ歳から二歳の低年齢児の定員を今年度と比べて千人以上ふやすとともに、延長保育についても、実施保育所を約二百カ所ふやすなどの充実を図ることとしております。さらに、低年齢児童の保育対策として、都の独自施策でございます保育室、家庭福祉員事業の一層の活用を図り、受け入れ枠を大幅に拡大することとしております。
 平成十二年度予算では、今年度を上回るこうした所要の額を計上し、保育所入所待機児童の解消に向けて取り組む区市町村を積極的に支援してまいります。

○藤沢委員 以上、障害者の入所施設の整備と保育所の待機児童の解消について、今後の取り組みについてお伺いしました。
 東京を活力のある安心して暮らせる都市にするため、見直すべきは見直して、充実すべきは飛躍的に充実する、そうした福祉改革をぜひ実現させていただきたく、重ねて要望をいたしておきます。
 高齢者福祉の推進についてお尋ねします。
 本定例会における活発な議論を通じて、高齢者はもとより、あらゆる世代の都民の皆さんの間に、真に安心と豊かさを実感できる高齢社会を築くためには、今こそ改革を断行する必要があるとの理解が深まりました。提案の条例、予算が可決されますと、新年度は、介護保険制度の実施を皮切りに、まさに新たな福祉の幕あけの年となります。しかし、新たな展開はようやく緒についたばかりです。目指すべき方向をしっかりと見据え、確かな足取りで、一歩一歩着実に進めていく必要があります。
 都では、近々、東京都高齢者保健福祉計画を策定されると承知しておりますが、計画はどのような特色を持ったものとなるのか、お伺いいたします。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 お尋ねの高齢者保健福祉計画は、都の高齢者施策の総合的な計画でございまして、介護保険のサービス量などを盛り込んだ介護保険事業支援計画を包含し、区市町村の保健福祉計画を広域的に支援するものでございます。計画期間は、平成十二年から平成十六年までの五年間としております。
 特色といたしましては、すべての高齢者を視野に入れまして、二十一世紀高齢社会ビジョンでお示しした高齢社会像や施策の方向などを具体化し、保健福祉分野以外の住宅、就労、教育、都市づくりなども含めた高齢者にかかわる施策全体を対象に、総合的に福祉の向上を図るものでございます。
 また、本格的高齢社会の到来を視野に、目指すべき社会の目標として、真に安心して満ち足りた気持ちで暮らせる社会、いつまでも個性的に生き生きと暮らせる社会、世代を超えて助け合い、支え合う協働社会を掲げることとしております。

○藤沢委員 新たな計画では、世代を超えて助け合い、支え合う協働社会を目標の一つに掲げ、自助、共助、公助のバランスのとれた福祉を推進していくとのことですが、私も全く同感であります。
 これまでの福祉サービスは、行政が決定する措置制度に代表されるように、公助中心だったと思います。しかし、二十一世紀の本格的な高齢社会を、だれもが住みなれた地域で心安らかに過ごすことができるよう、これからの福祉は、都民が年齢や性別にかかわらず、ともに支え合う福祉であるべきです。
 そこで、今後の高齢者福祉の推進に当たって、共助の推進も含めて、どのような視点で取り組まれるのか、お尋ねいたします。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 今後の高齢者福祉の推進に当たり、共助がとりわけ重要であることは、ご指摘のとおりでございます。そのため、地域の相互扶助機能を再生させ、身近な地域における安心の仕組みを確立させていくことが必要と考えております。
 都は、世代間交流や助け合い運動の展開、NPOやボランティア、サラリーマンOB等を活用した社会参加の仕組みづくりなどに取り組み、自助、共助、公助のバランスのとれた地域福祉を実現していくつもりでございます。

○藤沢委員 このたびの見直しを真に実りのあるものとするためには、時代の変化に的確に対応した新たな施策を積極的に展開し、活力に満ち、安心と安らぎの持てる二十一世紀の本格的な高齢社会を現実のものとしなければなりません。
 終わりに、これからの高齢者福祉をどのように進められるのか、知事の決意をお伺いいたします。

○石原知事 高齢化社会が到来し、一方では子どもの数が非常に減るという少子高齢化という現象が起こっているわけでありますけれども、これは人間社会として極めて不自然な、つまり年齢に沿った人口の配分が逆三角形になるという、非常に不自然な状況が到来しているわけであります。また、人間の年代間のかかわりというものが変わるというか、狂ってきておりますが、そういう中で、高齢の方々が、だれでも安らいで、安心して、満足して、地域社会で生き生きと暮らしていただくことが肝要だと思います。
 そのために、保健、医療、福祉はもとより、住宅、就労、教育など、もろもろの施策の連携と総合的な展開が必要だと思います。その実現に向けて、二十一世紀高齢社会ビジョンを策定し、施策の方向を指示し、近く策定の高齢者保健福祉計画でより具体的な案を講じていきたいと思っております。
 今後、区市町村はもとより、地域社会、民間団体や企業などとも連携し、高齢者の方々が安心して、満足して住んでいただける福祉というものを構成していきたいと思っております。

○藤沢委員 次に、羽田空港の国際化についてお尋ねします。
 二階運輸大臣が、先週二十一日の閣議後の記者会見で、羽田空港を国際化する方針を正式に表明しました。この問題については、平成十年六月に都議会は全会派一致で国際化実現を決議し、また、私自身も何度か都議会で取り上げてきました。このたびようやく運輸省が羽田空港の国際化を検討するとの方針を出したと聞いていますが、今回明らかにされた内容について、まず伺います。

○成戸東京都技監 運輸大臣が今月二十一日の閣議決定後に発表いたしました内容でございますが、航空局内に羽田空港有効活用検討委員会を設置し、深夜、早朝の低利用時間帯の有効活用方策として、国際チャーター便等の国際航空需要への対応を検討するというものでございます。
 具体的な検討事項といたしましては、騒音対策や地上施設の能力など空港活用に当たっての制約でありますとか、就航を認める国際チャーター便等の範囲や運航時間帯などが挙げられております。
 なお、運輸大臣は、できるだけ時間をかけず結論を出すようにとの指示をしたと聞いております。

○藤沢委員 今後、運輸省内の検討委員会において、国際チャーター便の範囲や対象時間帯等について検討されることになったわけですが、チャーター便であっても、できるだけ利用者の視点や経済的な効果を考慮した運航を実現しなければ、国際化の意味がありません。
 都は、運輸省が検討するに当たり、どのようなことを望んでいるのか、伺います。

○成戸東京都技監 国際チャーター便につきましては、ご指摘いただきましたように、経済波及効果や利用者の利便性を考慮した運航を実現する必要があると認識いたしております。
 都といたしましては、夜十一時から朝六時までの時間帯ばかりではなくて、国内線が使用しない朝六時から八時半までの到着便でありますとか、夜の八時半から十一時までの出発枠につきましても、国際線の就航が可能であると考えております。
 また、多くの需要にこたえるためには、チャーター便の形式や就航路線に制約を設けないことが重要でございまして、今後、運輸省の検討委員会において、このような考え方に沿った議論がなされることを期待しているところであります。

○藤沢委員 我が党は、二十一世紀における日本全体の経済の活性化のために、首都東京にある羽田空港の国際化を実現する必要があると主張してきました。沖合展開事業により二十四時間使用が可能となった羽田空港を有効活用し、本格的な国際空港を目指すべきだと考えます。
 最後に、今回の運輸省の方針転換をどう受けとめ、また、こうした状況下において、さらなる国際化の進展に取り組む今後の知事の決意についてお聞かせください。

○石原知事 私も、議員のとき、羽田を地元とする選挙区から出ておりましたし、運輸省にも議員としておりましたので、この問題にかねてより非常に関心がございまして、実は去年の夏ごろから――夏前ですかな、この問題についていろいろ運輸省と話してまいりました。運輸省も非常に神経過敏でありまして、成田のあの二期工事というものに着手するまで、とにかく一切表へ出したくないということで、内々、今日かくなることを承知しておりましたけれども、いずれにしろ、これが正式に運輸省の意思として表明されたことは非常に結構なことだと思います。
 東京のみならず、日本の社会全体の経済の活性化のためには、首都東京にあります、本来は国際線も飛んでおりました羽田の空港の改めての国際化が不可欠でありまして、このたびの国の方向転換は、本格的な羽田空港の国際化を実現する上で極めて重要な、まず最初のステップであると受けとめております。
 ただいま都技監も申しましたが、今後とも、国際シャトル便であるとか、ビジネスジェットであるとか、できるだけ羽田のキャパシティーを国際的にも膨らませまして、やがては国際定期便の就航の早期実現に向けて、積極的に取り組んでいきたいと思っております。

○藤沢委員 昭和五十三年の成田開港以来二十年以上の間、羽田の国際化はタブー視されてきたいきさつがございますが、沖合展開事業が進み、空港容量も拡大されて、二十四時間使用が可能になった。こうした中で、航空機騒音が大きく軽減されてまいっておりますし、大田区の受けとめ方も、大変好感を示しているようでございます。ぜひひとつ、大臣の経験者であり、大変な政治力を有しておる石原知事に、これから積極的にこの問題の善処、発展のために、解決のためにお力添えをいただき、積極的に取り組んでいただきますことをお願い申し上げ、次の質問に移らせていただきます。
 十二年度予算における投資的経費は、財政再建推進プランに基づく事業の選択や総事業費の圧縮などの見直しにより、十一年度予算と比べ、千八百十四億円、率にして二〇%と、大きく減額されております。財政再建団体への転落を回避するとともに、将来にわたって新たな都民ニーズに対応できる財政体質の確立を何としても実現するためには、こうしたことを行っていかなければならないことはいうまでもありません。
 しかしながら、投資的経費は一般財源充当比率が低いため、財政再建推進プランの目標である六百億円の財源確保のためには、現在の一般財源の充当比率から推計すると、事業費ベースでさらに二千億円近い削減が必要となります。道路や公園の整備状況を初めとして、国内や海外の他都市に比べていまだに社会資本の整備がおくれている東京にとって、また景気回復の兆しが見える中で、事業量がこれだけ少なくなることは大変な問題であります。
 社会資本は住民の生活の基礎となるものであり、他団体よりも下回る都の整備状況を改善することは、そこに生活する都民に対する都政の責任なのです。しかも、国際都市として東京が競争力を維持していくためにも、また、これまでに東京に蓄積された社会資本をむだにしないためにも、社会資本の一層の整備が必要と考えます。
 こうした観点から、財政再建のために一般財源の削減を図る中にあっても、国庫補助金をこれまで以上に獲得し、公共投資の事業量を確保していかなければならないと考えます。
 特に、道路特定財源が三兆五千億円ある中で、東京都はいまだに一千五百億円程度しかいただいていないわけでございまして、東京都が利用している、都民が利用している、ガソリン総量の使用量から計算しても、あるいは車両の保有量から計算をいたしましても、大体七%相当の二千五百億ぐらいまでにはふやしてこなくてはならないというような状況があるのではなかろうかと思っております。
 しかし、国の財政状況が厳しいのも周知の事実であり、それだけに頼ることも現実的ではありません。従来の手法にとらわれず、PFIなど民間の資金や技術を活用することも考える必要があります。
 世界の為替の取引においては、毎日極めて多額、すなわち約一兆九千八百億ドルの資金が動いておりますが、そのかなりの部分は、実需による取引ではなく、投機筋の資金といわれています。また、優良不動産物件については、アメリカのファンドが買い取り、高い利回りで運用しているともいわれております。これは世界的な金余りの状況を示すものにほかなりません。
 このように、余ったお金は、少しでも有利な運用ができるとなればそこに幾らでも流れ込んでくるものですから、これを利用しない手はありません。日本がこれからも国際的な地位を落とすことなく、繁栄を続けていくためには、こうした資金を利用して首都改造を行っていく視点が必要であります。そのためには、首都改造事業が魅力あるものとなるよう、都の公共事業部門においてもPFIを積極的に導入し、社会資本の整備を進めていく必要があると思いますが、所見を伺います。

○柿沼政策報道室長 PFIは、そもそも財政危機に陥った英国におきまして、行財政改革の一環として社会資本整備等に導入されました。そして、一定の成果を上げられた手法でございます。東京都におきましても活用すべき手法の一つであると、このように考えております。
 昨年十一月に策定いたしました危機突破・戦略プランでも、アトウソーシングの推進の中で、PFIの活用の推進を位置づけてございます。今後、PFIを含め、広く民間の資金やノウハウなどを活用しながら、効率的、効果的な社会資本の整備を進めていく考え方でございます。

○藤沢委員 昨年七月には国会でPFI推進法が成立し、都では、金町浄水場にPFIの手法による常用発電モデル事業が進められておりますが、その他の取り組みはいま一つおくれているように感じられます。
 PFI法では、施設建設のための公有地の無償提供や建設費の無利子貸し出しなど、その実施を促すための支援措置などができることを規定しています。高い地価がPFIの推進の障害になるという状況は、東京においてこそ最も顕著にあらわれる問題ですから、さまざまな工夫を凝らし、都におけるPFIを促進していく努力をするべきであります。
 今後さらに積極的にPFIを導入していくに当たって、その障害となるような理由があるのか、お伺いいたします。

○柿沼政策報道室長 先日、国におきまして策定された基本方針では、PFI事業の選定、事業者の募集、選定などに関する基本的な事項が記載されているものの、理念的な内容にとどまっているというふうに考えております。
 例えば、公の施設の管理や財産、補助金の扱いなど、法制上及び財政上の措置等については、配慮、検討などの表現にとどまっております。具体的な事業を進めていく上ではまだ不十分な点が多いと思います。
 PFIの導入に当たりましては、こうした法制度上の課題の解決とともに、他の事業手法との費用対効果等の比較方法の確立、官民の役割やリスク分担の明確化、あるいは事業破綻時などの事業継続性の担保のあり方など、さまざまな課題を解決しければならないと考えております。

○藤沢委員 PFIは、うまく活用すれば、単に民間の資金を活用できるというばかりでなく、公共部門に任せていては実現できない効率的な施設の整備や運営が可能となる手法です。社会資本という目に見える形での成果のみならず、社会のあり方そのものにも変革を引き起こし、東京の活力を再生させるための道具として、PFIを今後とも積極的に導入するよう検討をお願いいたします。
 次に、東京の道路整備について何点か質問いたします。
 狭い歩道、路上駐車、不統一な町並み、電柱などを見ますと、東京の道路は世界先進主要都市の景観と比較して劣悪とさえいえるのではないでしょうか。これは、おくれている道路整備に原因があると考えます。特に、道路整備のおくれは、慢性的な交通渋滞により、車の速度が十八キロメートルと人間が走るよりも遅く、渋滞による車のアイドリングなどによる排出ガスの増加など、環境的にも大きな問題を生じており、都民生活や経済活動に多大な支障を生じております。
 都は、早急に交通渋滞解消の有効な施策を展開する責任があると考えます。しかし、一方では、都財政は長い経済不況から未曾有の危機となっていることも事実であります。
 そこでまず、渋滞解消という緊急課題と未曾有の財政危機をどう調整し、十二年度予算に反映したのか、お伺いいたします。

○古川建設局長 交通渋滞の解消は、経済活動の高コスト構造の是正や環境の改善など、活力ある都市活動や都民生活の向上を図る上で大きな効果があり、厳しい財政状況下においても緊急に解決すべき課題であります。そのため、危機突破・戦略プランにおいて、区部環状、多摩南北道路、JR中央線連続立体交差など、八つの事業を渋滞解消重点事業として位置づけ、十二年度予算において優先的に配分いたしました。
 今後とも、国費の確保、拡大、コスト縮減を図り、整備効果の早期発現に向け事業を着実に進めてまいります。

○藤沢委員 これらの重点事業については、我が党も、都連を中心に財源要望活動を積極的に展開するなど、その早期完成を支援しているところであります。特に、道路整備の完成による地域に与えるインパクトは大変大きく、地元の期待はまことに大きいものがあります。本年一月の多摩モノレールの開通に際し、各駅ごとに地域の方々の自発的なイベントが開催されました。これなどは、沿線都民の大変大きな喜びを如実にあらわしているものと思います。今後とも、多摩の南北交流が活発となり、多摩地域の発展に大きく貢献するものであると期待しています。
 そこで、これらの重点事業の平成十七年度における整備目標を伺います。

○古川建設局長 平成十七年度における重点事業の整備については、区部では事業中の区間二十五キロのうち十六キロ、多摩では二十六キロのうち十キロの完成を目標としています。具体的には、環八の全線開通や環六、調布保谷線などの整備促進が図られ、都内の交通渋滞が改善されます。また、JR中央線連立事業においては、三鷹―国分寺間の下り線を高架化する予定であり、小金井街道を初めとするこの区間の踏切の渋滞、遮断時間は、三割程度の短縮が見込まれます。

○藤沢委員 これらの重点に位置づけた事業の計画どおりの進捗を強く要望するとともに、これら以外の道路事業でもその促進を着実に進める必要があると思います。
 さらに、道路整備によって道路容量の拡大を積極的に推進するとともに、公共交通への利用転換を促進することも重要となっています。加えて、都市計画道路全般についてでありますが、都市計画道路に含まれる都民からは、いつ事業に入るのか、自分の生活はどうなるのか、早く事業化をしてほしい等の声が多数我が党にも寄せられています。
 バブル経済の崩壊は都財政にも大きな影響を生じておりますが、一方では、地価が大きく下落するなど、道路整備にとっては好機であるともいえます。都民の期待にこたえるとともに、都市の安全性を確保する上からも、今後とも道路整備を着実に進めるよう要望いたします。
 次に入ります。
 東京はもとより、我が国の都市においては、公共施設等の都市基盤施設が十分に整備されることなく急速に都市化された結果、狭い住宅での生活や長時間通勤を余儀なくされています。一方、道路等公共施設が未整備なために、土地が十分に有効活用されていない地域や、反対に、建物が密集し、防災上極めて危険な場所も少なくありません。さらに、バブル経済の崩壊により虫食い的に空き地が散在して、低未利用のまま放置されている地域も数多く存在しております。このような土地の合理的な利用や公共施設の整備等が緊急の課題であり、この対応が強く求められています。
 こうしたことから、昨年の十月に、従来の住宅の供給を目的とした住宅・都市整備公団を廃止し、居住環境の向上と都市機能の増進を図るために必要な基盤整備事業に業務の重点をシフトした都市基盤整備公団が設立されました。そして、平成十年度の補正予算において、緊急経済対策として国費を三千億円投入し、公団の土地有効利用事業が開始されたと聞いております。
 そこで、何点か伺います。土地有効利用事業の内容と現在の進捗状況についてお伺いいたします。

○成戸東京都技監 土地有効利用事業は、都市基盤整備公団が工場跡地等の低未利用地を取得し、土地の整形、集約化や基盤整備を行った上でこれを売却いたしまして、民間の都市開発や建築投資を誘導して、良好な市街地の形成を促進するものでございます。
 なお、都内における平成十二年一月末現在の土地取得状況でございますが、五十一地区で約二十ヘクタール、用地費相当額で千三百三十五億円と聞いております。

○藤沢委員 まちづくりを進める上で、土地有効利用事業をどのように位置づけているんでしょうか。

○成戸東京都技監 これからの東京のまちづくりは、区市町村とともに、公団や民間事業者、NPO等と協働いたしまして、官民が一体となって推進していくことが必要でございます。
 都といたしましては、土地有効利用事業を、公団及び民間事業者による大都市のリノベーションを図るための手法の一つとして積極的に位置づけをしております。

○藤沢委員 公団が、土地有効利用事業を進めるに当たってどのような役割を果たすべきだと東京都は考えているのか、お伺いいたします。

○成戸東京都技監 土地有効利用事業は、公団が、民間事業者への橋渡しを行いつつ、時にはみずからも公的なまちづくりの主体として事業を行うものでございます。
 こうしたことから、公団が、コーディネーター役としてこれまでに培ってきたノウハウや技術力を十分に発揮し、都心居住の推進や既成市街地の再開発ばかりでなく、木造住宅密集地域の整備改善など、東京のまちづくりに一層貢献することを期待しております。

○藤沢委員 土地の有効活用や基盤整備の充実を図り、首都東京を再生するためには、国はもとより、公団との連携を一層強化すべきと考えますが、所見を伺います。

○成戸東京都技監 国際的な都市間競争が激化し、少子高齢化が進行する中で、首都東京の再生は急務でありまして、国も大都市のリノベーションを重要な政策課題と位置づけております。このようなときに、公団が、都市基盤整備へ事業の重点をシフトし、国の支援のもとに民間事業者のまちづくりへの参入を促す土地有効利用事業を実施することは、時宜を得たものと認識しているところでございます。
 今後とも、都の主体性を維持しつつ、国や公団と適切な役割分担のもと、地元自治体とも一層緊密な連携を図り、東京の再生に取り組んでまいります。

○藤沢委員 次に、まちづくりについての新たな施策の一つであります都市再構築総合支援事業についてお伺いいたします。
 荒川、隅田川流域は、木造密集市街地が連担し、一たび大地震が発生したときには、建築物の倒壊や火災等により多数の人命を失うなど甚大な被害が想定されます。さらに、道路、鉄道等のインフラの寸断などにより、都市機能が麻痺する危険性も極めて高いと思われます。
 建設省では、都市構造再編の観点から、都市基盤施設整備、面的整備等の事業を集中的、重点的に実施していくため、都市再構築総合支援事業制度を創設したところであります。この事業のねらい、意義については、さきの一般質問において我が党の宮崎議員が質問したところでありますが、昨年八月、都市居住環境整備重点地域に指定された墨田区、北区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区の六区にまたがる約四千六百ヘクタールの川の手・荒川沿川地域について、さらに具体的に何点か伺いたいと思います。
 まず、この地域が重点地域に指定されたねらいは何でしょうか。

○成戸東京都技監 川の手・荒川沿川地域には、防災都市づくり推進計画で指定されております十一の重点地区のうち、五地区が含まれております。こうした地域の整備と荒川の安全性と親水性を高めるスーパー堤防の整備などを総合的に推進することが課題となっている次第でございます。
 このため、国庫補助を活用し、都市基盤施設整備、面的整備等の事業を集中的、重点的に実施する都市居住環境整備重点地域に指定されたものでございます。

○藤沢委員 荒川区に指定された重点地域は、その大半が特定地区として指定され、都市再構築総合支援事業の適用を受けると聞いていますが、具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○成戸東京都技監 具体的な事業といたしましては、木造住宅密集地域における延焼遮断帯や避難路の整備を促進するため、南千住駅近くの区道六三号線の常磐線ガード下拡幅工事に着手いたしましたほか、補助九〇号線、補助一〇七号線の拡幅工事に係る用地買収を行っているところでございます。

○藤沢委員 都市再構築総合支援事業は、木造住宅密集地域の整備に当たり有効な事業制度と考えますが、今後、都はこの事業をどのように展開していくのか伺います。

○成戸東京都技監 この事業制度は、都市基盤施設の整備や面的整備事業等、重点的かつ総合的に実施するものでございまして、大都市のリノベーションなどを推進する上で極めて有効な制度と考えております。
 都といたしましては、関係区市とともにこの事業の積極的な活用を図りながら、今後とも、防災都市づくりや業務核都市の育成に努めてまいります。

○藤沢委員 次に、東京臨海地域に関する新たな開発整備ビジョンについてお伺いします。
 危機突破・戦略プランでは、臨海副都心とその周辺を含む地域に関する整備構想として、新たな開発整備ビジョンを策定することが明らかにされています。
 我が党はこれまでにも、東京臨海地域の持つ重要性を指摘し、臨海地域から東京の産業を活性化させることこそが多くの都民の願いであることを主張してまいりました。こうした我が党の主張にこたえて、新たなビジョンが策定されるということであり、その内容については大いに期待をしているところです。
 そこでまず第一に、新たな開発整備ビジョンを策定するに当たって、東京臨海地域をどのような特性を持つ地域として考えているのか、基本的な認識についてお伺いいたします。

○浪越港湾局長 東京臨海地域は、東京港と羽田空港を擁するとともに、首都圏全域につながる交通ネットワークのかなめに位置する、いわゆる人、物、情報の結節点でございます。また、産業構造の転換に伴い大規模な工場跡地等が存在するとともに、都心部に近接し、ウオーターフロントとして多様な水域が存在するという立地特性を有してございます。
 これらのことから、東京の潜在力を引き出し、日本を再生するための起爆剤となり得る地域であると認識してございます。

○藤沢委員 東京臨海地域の潜在力ともいうべき地域特性に関する認識は我々も同じであり、そのような地域の力があるからこそ、今現在この地域においてさまざまなプロジェクトなどの動きがあるのだと思います。
 現在、東京臨海地域において、事業が進行していたり、構想されているプロジェクトにはどのようなものがあるのか、主要なものについて挙げてください。

○浪越港湾局長 東京臨海地域では、ご指摘のように、官民のさまざまなプロジェクトが実施されたり構想されたりしてございます。東京都が主要な役割を果たすものとしては、臨海副都心や豊洲・晴海地区を初めとした地域開発や、東京港の高度化、効率化に向けた事業などがございます。
 また、国と連携しながら進めるものとしては、羽田空港の国際化などがございます。民間によるものといたしては、三菱製鋼東雲工場跡地、東品川日本たばこ産業等跡地などにおけるまちづくりやロッテワールド東京計画がございます。

○藤沢委員 今答弁があっただけでも、大変興味深い動きがたくさんあることがわかりますし、それ以外にも大小さまざまな動きがあるというようにも聞いております。こうした中で重要なのは、民間のプロジェクトが数多く含まれているということです。これからの都市行政は、民間部門の力を最大限に活用することが必要であり、東京臨海地域においても民間の自由な発想や投資などを重視し、これらのプロジェクトが動きやすい環境を整えていくことが必要不可欠なことではないかと思います。
 先日、東京商工会議所は、東京臨海地域の再編整備に関する提言を発表いたしましたが、この中でも、規制緩和や民間へのインセンティブに重点を置いた新たな枠組みの構築が急務であると指摘し、用途制限等の運用弾力化やPFI等の導入など、さまざまな具体的提案をしています。
 その内容についてはこれから検討をなされることとは思いますが、新たな開発整備ビジョンをこれまでの法体系の中に閉じ込めた行政計画とすることなく、東京臨海地域が二十一世紀に向けての日本の羅針盤となるような大胆な提案や提言をすべきだと考えますが、知事の考えをお伺いいたします。

○石原知事 人口の変動その他もこれからもあるでしょうけれども、やっぱり私たちは、決して楽観ではございませんけれども、ポジティブにこの東京の将来、日本の将来を考えるべきだと思います。
 戦後五十年たちまして、復興から発展、そしてバブルの崩壊の後、今混迷の時期にありますが、いずれにしろ、ここで反省してみますと、社会のあらゆる面での疲労が、制度の疲労が目立ちますけれども、そういう状況の中で、私たちはやはり再生発展をまた改めて試みなくちゃならないと思います。そして、その中で、東京の果たす役割というのは非常に多いと思いますし、また、その東京はこれからどういうふうに変貌し、どういう形で発展していくか、これからそのビジョンをつくろうと思っておりますが、いずれにしろ、その一つ大きなかなめになるのは、私は東京の水辺地域だと思いますし、また、第三首都空港なども云々されておりますが、これだってやはり東京湾というものが必ずフォーカスされてくると思います。
 そういう意味で、その水域の線引きは何県何県あるかもしれませんけれども、いずれにしろ、東京湾というものを大きな空間として想定したときに、仮にこれが手つかずの膨大な土地であるとするなら、これはやっぱり、それに隣接する水辺地域の意味合いというのは当然自明のことでありますけれども、いずれにしろ、水面であろうとなかろうと、私たちのこれからの新しい活力というものの支えになる新しい投資というんでしょうか、設備の充実というものは、東京の内部のリニューアルもあるでしょうけれども、この水辺地域というものは大きな大きな可能性を持っている。
 そういうことからしますと、おっしゃったように、これまでの法規の規制や行政的な枠組みなどに縛られずに、単に東京のためだけではなくて、日本の再生のためにも、東京を中心にしたメガロポリスは頑張ると。そのためにも、私は、東京湾というものを想定して、その一種の基点になります水辺の地域というものを、長期のビジョンの中で大きな拠点として評価し、また自覚し、その造成に心がけていかなくちゃならないと思っております。

○藤沢委員 東京だけではなくて、日本全国に対しても、また、知事がかねてよりおっしゃられているとおり、東南アジアに対する大きなインパクトを与えられるような地域とししても、ぜひひとつ進めていっていただきたいなと思っております。
 先ほど監理団体一般についてお伺いいたしましたが、ここでは、臨海部に進出している都の第三セクターについてお伺いいたします。
 まず、東京ファッションタウン株式会社と株式会社タイム二十四について伺います。
 都は、さきに、この二社の経営改善について、関係者の協議が調ったとの発表を行いました。この両社は、バブル経済崩壊等の社会情勢の激変により累積債務が重なり、債務超過に陥るなど、その経営状況は極めて厳しいものになっています。しかし、ファッション産業や情報関連産業の振興など、この二社は都内の産業振興に大きな役割を果たすことが期待されております。また、開発のごく初期のころから臨海副都心に進出し、苦しい経営状況の中でも、とにかく臨海部の発展の一翼を担って頑張ってきたものであります。
 私は、東京の産業の振興のためにも、またさらなる臨海副都心の発展のためにも、関係者の協力を得てこの二社の経営が軌道に乗っていくことが重要だと考えております。
 そこで改めてお伺いします。東京ファッションタウン株式会社と株式会社タイム二十四の経営状況はどのようになっているのでしょうか、また、経営改善に向けての取り組みの状況はどのようになっているのでしょうか、お答えください。

○大関労働経済局長 平成十年度の決算でございますが、東京ファッションタウン株式会社は、経常損失額四十億円、累積損失額百六十一億円、また、株式会社タイム二十四でございますが、経常損失額二十億円、累積損失額七十六億円となっております。
 二社の経営は大変厳しい状況にございます。このため、二社の主要株主であり債権者でもあります金融機関を中心に、清算及び事業継続を含めて検討した結果、今後の二社の事業を委託し、関係者が適切な措置を講ずれば、事業継続は可能と判断いたしました。

○藤沢委員 関係者の間で協議が調った経営改善策の具体的内容と今後の見通しについてはいかがでしょうか。

○大関労働経済局長 経営改善策の主な内容でございますが、まず、二社は、今後の事業を株式会社東京国際貿易センターに委託いたしまして、徹底した内部努力を行う、これがまず一点でございます。金融機関は、二社に対する貸付金の金利減免や返済猶予等によります残高維持を行う。それから、東京都は、二社が支払うべき地代の一部につきまして、一定期間延納を認める。この経営改善策の対象期間は十年間とするというものでございます。
 こうしたことによりまして、二社の経営は安定することになり、臨海副都心におけるファッション関連産業や情報関連産業の集積を維持発展させることができるものと考えております。

○藤沢委員 臨海副都心における産業振興を図っていくためには、この二社と、株式会社東京国際貿易センター並びに東京ビッグサイトを運営する東京国際見本市協会が一体的に運営されることが好ましいと考えますが、所見を伺います。

○大関労働経済局長 お話の東京ビッグサイトを運営する社団法人東京国際見本市協会を初め四者は、これまでも、臨海副都心における産業の振興を図る上から関連がございまして、それぞれが機能を発揮し、重要な役割を果たしてまいりました。
 こうした役割を一層効果的に発揮させるため、東京国際見本市協会及び関係各社が総合的、一体的に運営される仕組みを構築していくことが必要であると考えております。今回の事業統合によりまして、東京国際見本市協会と一体となって、臨海副都心における産業振興が効果的、効率的に推進されるものと考えております。

○藤沢委員 次に、株式会社東京テレポートセンター、東京臨海副都心建設株式会社並びに竹芝地域開発株式会社の臨海関係第三セクター三社について伺います。
 地域開発の先導役の役割を担ってきた株式会社東京テレポートセンターを初めとする臨海関係第三セクター三社については、平成十年四月から経営安定化策を実施し、役員を十七名から七名へ、職員を百五十七名から九十九名へ削減したほか、経費削減等の内部努力を行い、平成十年度決算では償却前黒字を達成したと聞いています。
 しかし、三社の経営基盤強化には、さらなる経営努力を払っていく必要があると考えます。
 そこで、この三社は、今年度どのような経営改善努力を行い、その結果、収支はどう改善される見込みなのか、まず伺います。

○浪越港湾局長 三社については、平成十年度より経営安定化策を実施し、経営改善に努めているところでございます。平成十一年度については、ビル事業等の増収を図るとともに、さらに職員を十四名削減するなど、経営努力の結果、三社合計で前年度対比約二十億円の大幅な収支改善が図られ、初の営業黒字を計上する見込みでございます。

○藤沢委員 三社が経営改善努力を行い、その結果、収支改善が順調に図られていることはわかりました。しかし、オフィスビル事業をめぐる外部環境は依然厳しいものがあります。
 そこで、三社は、現状に安住することなく、引き続き経営改善に取り組むべきだと思いますが、都としては今後どのように指導していくつもりなのか、伺います。

○浪越港湾局長 東京テレポートセンターにおいては、本社を移転し、その空きスペースを貸し出すことによりまして増収を図るとともに、清掃委託等の経費や職員数の一層の削減に取り組むなど、三社に対しては、今後とも徹底した経営改善に努めるよう指導してまいります。

○藤沢委員 三社については、引き続き経営努力に全力を挙げ、一層の改善が進むよう期待しています。
 ところで、臨海副都心においては、快適な都市環境の創出、省エネルギー、環境保全の観点から、地域冷暖房システムを導入し、第三セクターである東京臨海熱供給株式会社がこの事業を行っています。
 そこで、この会社が事業を開始して以降の経営状況はどうなっているのか、伺います。

○浪越港湾局長 平成七年度に熱供給事業を開始いたしましたが、営業収益は、平成八年度が三十九億円、平成九年度が四十七億円、さらに平成十年度には五十三億円と順調に成績を伸ばしております。
 当期利益についても、エネルギーの効率的使用に努めるなど内部努力を進めた結果、平成八年度には八千万円の赤字であったのが、事業開始三年目である平成九年度には三億六千万円の黒字に転じ、平成十年度には七億六千万円の利益を計上するなど、安定した経営が行われております。

○藤沢委員 今の答弁で、東京臨海熱供給株式会社が安定した経営状況にあることがわかりました。
 ところで、会社は、平成十年度に熱供給料金の値下げを行ったというふうに聞いております。光熱費のような日々の負担となる経費の削減は、臨海副都心の進出企業にとって朗報であり、今後の企業進出の弾みともなります。
 また、東京臨海熱供給株式会社は、環境に優しいエネルギーの供給という重要な使命を担っています。この使命を果たしながら、今後も企業努力を重ね、さらにその成果を利用者に還元していくべきと考えますが、このことについて都はどう考えているのか、所見を伺います。

○浪越港湾局長 東京臨海熱供給株式会社の設立の趣旨から、ご指摘のとおり、環境に優しいエネルギーを供給していくことは、臨海副都心地域に限らず、地球環境の保全にとても重要なことと認識しております。
 この重要な役割を担いながら、熱供給料金のコスト負担の軽減を図っていくことは、既存の進出企業だけではなく、今後の企業進出の促進にもつながり、臨海副都心の発展にも大きく貢献するものと考えております。
 したがいまして、会社がその成果を利用者に還元できるよう、今後とも経営の効率化について十分指導していきたいと考えております。

○藤沢委員 臨海関連第三セクターがすべて赤字経営というわけではなく、東京臨海熱供給のように、安定した経営のもと、着実に利益を上げている会社もあります。都は、そうした成果の利用者への還元が早期に図られるよう適切な指導を行うべきであります。このことを要望して、次の質問に移ります。
 インターネットや携帯電話の急速な普及に見られるように、さまざまな情報伝達装置が市場にあふれ、その存在は都民にとっても身近なものとなっています。古くから身近な情報伝達手段として活用されてきた屋外広告物も、技術革新の進展により、大型テレビジョンによる映像広告や、広告宣伝車やバスに表示された移動体広告などが普及し、広告の新技法として大きな位置を占めるようになってきております。
 こうした時代にあって、東京都では、昨年十一月に、広告物審議会から、東京における車体利用広告規制のあり方について中間答申が出され、車体利用広告規制の見直しについて提言されました。
 今回の規制見直しは、昭和四十二年以来の大幅な見直しと聞きますが、見直しのポイントは何でしょうか。

○成戸東京都技監 車体利用広告を取り巻く環境は、技術革新による新しい広告技法の開発や、第三者広告を表示した他県市の車両の流入など、大きく変化をいたしております。
 こうした時代状況の変化を背景に、広告物審議会の中間答申では、車体区分による段階的な規制の見直し、広告表示面積の上限の設定など、五つの提言がなされました。
 この提言の趣旨を踏まえた今回の見直しのポイントでございますが、まず、路線バス及び路面電車について規制を見直したこと、次に、広告表示の大型化を図る一方で、景観面や交通安全面に配慮して、表示面積に上限を設けたことでございます。

○藤沢委員 技術革新の進展や他県市の車両の流入などが見直しの背景にあるということですが、今回の見直しは、仄聞するところ、バスの壁面は大きいのだから、企業から広告をとれば、一台でかなりの収益が上がるといった知事発言が一つの契機であったともいわれております。
 中間答申に提言されたように、広告表示面積を現在の約十倍に拡大すると、交通局ではどの程度の増収が見込まれるのか、お伺いいたします。

○横溝交通局長 バス車体利用広告の規制見直しによりまして、広告表示面積の拡大が図られることになります。これによる現時点での増収見込み額は、三億円を予定しております。
 最終的には、十二年度末で約五億円の増収になると見込んでいるところでございます。

○藤沢委員 私の町の荒川では、路面電車都電荒川線が区民の重要な交通手段として区民に親しまれ、利用されております。
 先般、地元の商店街は、三ノ輪と荒川区役所の間に新駅設置を要望し、みずから負担金を拠出するなどして、交通局の協力を得て念願の新駅設置が可能となりました。それだけ、地元の交通機関としての都電に対する期待は大きいものがあります。
 今回の規制見直しにより、都電にも、より大きな車体利用広告が出せるようになったわけでありますが、こうした車体利用広告が、ある種の都市のにぎわいを演出し、地元の活性化につながればよいと考えますが、所見を伺います。

○成戸東京都技監 車体利用広告は、掲出サイズが相対的に大きいことや媒体が移動することなどから、ダイナミックな広告媒体として、そのインパクトは大きいものがございます。
 海外の都市では、バスや電車の車体を利用した広告が多く見受けられまして、車体利用広告が町のにぎわいを演出している例も多いと承知いたしております。
 ご指摘のように、都電に表示した車体利用広告が町の雰囲気を変え、新しいまちづくりの一つの要素となれば、地域の活性化に寄与するものと考えております。

○藤沢委員 通告をいたしておりました質問はまだあるわけでございますが、私に与えられた時間が極めて限られてしまったものですから、準備をされた皆さんには大変申しわけなく思うところでございます。
 さて、四月からいよいよ地方分権法が実施されます。また、東京都も、外形標準課税などの新税を、条例案を通した上で実施していくという形で、地方分権、課税自主権に向けて大きな一歩を踏み出すような形になるわけでございますが、地方交付税制度をどうするのか、あるいは国と地方の財源配分をどうするのか、さらに、国庫補助制度をどうするかという本質的な部分について、先ほど知事の大変強いご意思をお聞きいたしましたが、それだけにとどまるだけではなくて、先ほど質問の中で私の方からも申し上げましたとおり、道路特定財源のような建設省が抱えている財源について、東京都が当然に受けてしかるべきそうした補助金すらまだ十分にいただいていない、こういうような状況もあるわけでございます。
 制度疲労を来している、その制度疲労をさらに拡大をさせて、地方交付税制度はもうやっていけないんだ、新たな展開を考えなくちゃいけないんだという、国の姿勢を転換させるような努力を、もう一段、そういった部分につきましても都庁一丸となって努力をしていただき、東京都の石原知事の意向が、都の再生を図り、国を引っ張っていく、新しい時代の転換に結びつけていくというような、そのドラスチックな動きが、平成十二年度の事業活動の中で展開されていく大きな歩みをとっていくことを期待いたしまして、私の質問をこれにて終えさせていただきます。
 大変ありがとうございました。(拍手)

○清原委員長 藤沢志光理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合によりおおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十四分休憩

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