東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○三原副委員長 和田宗春委員の発言を許します。
   〔三原副委員長退席、委員長着席〕

○和田委員 私は、東京都の財務事情の実態把握と都民への公表について伺います。
 我が党は、かねてより、地方自治体に適用される官庁会計は、明治政府以来の陳腐化したものであるという位置づけをいたしてまいりました。例えば、都民が、ある政策に対してみずから負担とサービスの関係をしっかり認識したい、そういうふうに思っても、なかなか現在の会計方式では、その期待にこたえられないという実態があるわけであります。
 そこで、我が民主党は、企業会計手法を導入すべきだということを機会をとらえてしばしば主張してまいりました。本日は、そういう視点から、以下三点にわたって質問を申し上げたいと思うのであります。
 まず第一は、官庁会計においては、資産や負債といったストック情報が全く欠如している、この問題についてどう考えるかというのが一点であります。都全体のストック情報を把握するという観点から、公営企業や監理団体すべてをリンクさせて連結したバランスシートを作成する、この必要が今あるだろうという点であります。
 第二点は、官庁会計では、コスト情報がこれまた欠如している、このように考えるわけであります。いわゆる官庁会計でいう歳出ではなく、費用を支出ととらえた行政コスト計算書と名づけてもいいような、そういう手法をとったらどうだろうか。企業会計でいえば損益計算書を作成する必要があり、このことが、行政活動の経済性、効率性、そういうものを判断する重要な情報になるだろう、こう思っておりますが、いかがでありますか。
 そして最後に三点目は、いわゆる官庁会計においては、都民に対する説明責任が十分に果たせないだろうというふうに思っているわけであります。さきに申し上げた二点と同様に、バランスシート、損益計算書に当たる財務諸表、この種の公表が重要だと考えますが、以上三点について、とりあえずお答えをお願いいたします。

○木内財務局長 東京都全体のストック情報について、これを把握することの必要性はご指摘のとおりでございまして、そうしたこととともに、財務状況をより総合的に診断するために、前回の作成時においては、普通会計を対象にバランスシートをつくったわけですけれども、それに加えまして、公営企業あるいは監理団体を含めた東京都全体のバランスシートの作成について検討を進めているところでございまして、現在、それらの基準等につきまして、参与、専門委員の協力を得て検討を進めているところでございます。
 また、お話のコストの件でございますけれども、費用対効果の把握は、行財政運営に当たっての経済性、効率性を発揮するために不可欠のことであるというふうに考えております。
 これまでも、そうした点を十分配慮しながら、予算編成やその執行に当たってきたつもりでございますけれども、さらに加えて、現在、そのバランスシートをより有効に活用するために、単に費用を現金だけでとらえるのではなく、減価償却費など現金収支を伴わない経費等も反映させた、損益計算書に当たる財務諸表の作成の検討を進めているところでございます。
 それから、公表の件でございますけれども、東京都はこれまで、自治法に定められた財政状況の公表にとどまらず、随時、予算、決算の具体的内容、あるいは財政分析の結果、さらには財政の実情や財政運営の考え方を明らかにしてきたところでございます。
 今後とも、バランスシートの公表を含め、都民に対して適切な財務情報の開示に努めまして、理解と協力を得るよう努めてまいりたいというふうに思っております。

○和田委員 さきに、もう終わりましたけれども、第一回定例会において、我が党の河合幹事長が、知事にこういう答弁をいただいているのであります。それは、個々の施策に着目したバランスシートや損益計算に当たる財務諸表を検討している、こうしっかり答弁をされています。
 そこでお伺いするのでありますが、具体的にこの作成スケジュールはもう日程に上がっているのでありましょうか。

○木内財務局長 現在、先ほど申しましたように、参与、専門委員の先生方を中心に、東京都全体のバランスシートや損益計算書など、いわゆる財務諸表の作成に関する考え方、あるいは問題点について検討いただいているわけでございますけれども、近々、中間のまとめを、十二年度中には最終的な取りまとめを行う予定でございます。

○和田委員 その近々というのは、年度内というふうに受け取ってよろしいですか。十一年度中ということでよろしいですか。

○木内財務局長 中間のまとめにつきましては、三月を努力しているところでございますけれども、近々ということですから、もう三月も末でございますので、四月のいつ幾日というふうにはちょっとあれですけれども、四月中にはというふうに思っております。最終的なまとめについては、十二年度中でございます。

○和田委員 早急にお示しいただきたいと思います。
 次に、有害図書に触れたいと思います。
 これも、我が会派の河合幹事長が、本会議において、書店やコンビニなどに有害成人向け雑誌と一般雑誌が一緒になっているのはおかしい、これは区別すべきだということを提案しました。それに対して都は、今後とも、より一層実態の把握に努めるとともに、関係業界に対する指導に努めていく、このように答弁しておりますが、具体的にはどのような努力をされているのでありましょうか。

○今沢生活文化局長 区分陳列、また区分販売の徹底などにつきましては、既にコンビニエンスストア等に文書により要請を行っておりますが、さらに、ことしに入りまして二月ごろから、都内のコンビニエンスストア、約五千四百店舗ございますが、このうち四百店を対象にいたしまして実態調査を実施しております。この際、区分陳列、また区分販売を徹底するよう直接指導も行っております。
 今後、この調査結果を踏まえまして、関係業界に対し、なお一層徹底するよう指導に努めてまいります。

○和田委員 その具体的な調査結果をいただいて、手際よく動かれたなということで評価をいたしたいと思います。
 さて、そのような調査結果については、施策に生かされなければなりません。この問題は、今まで繰り返し繰り返し行われて効果のなかった事業者の自主規制を要請し、協力を求めていくだけではだめだ、より踏み込んだ、もっと強い姿勢が必要と考えますが、石原知事のお考えをお願いいたします。

○石原知事 人間というのは、もともと本質的に保守的なものでありますから、年をとればとるほど、現況の風俗というものにまゆをひそめる節がないでもございませんけれども、しかし、それにしてもちょっと、ご指摘の点は行き過ぎな感じがいたします。
 ただ、これを、要するに強い罰則などを構えて臨みますと、言論の統制とか弾圧とかいわれかねない。しかし、やはりそういうものを販売してはいけない、こちらがそういうものの自粛を要請していながら、なおそれを守らないお店屋さんその他には、何らかの罰則というのでしょうか、ペナルティーというものを考えない限り、結果としては、営利主義でありますから、野放しということになる。そこら辺は非常に難しい兼ね合いですけれども、やはりおっしゃるとおり、もっと踏み込んだ何かの形をしませんと、現況、とても変わりようがないという感じがいたします。

○和田委員 何らかの踏み込んだ具体的な施策を期待いたしたいと思います。
 次に、大蔵省の行政財産等の使用状況実態調査について伺います。
 大蔵省は、昨年の秋でありますけれども、行政財産等の使用状況のインターネットにおける公表をいたしました。その調査を受けて、二十三区内の調査対象財産の件数、面積、幾らあったか、また、そのうち売り払いが可能なものはどれだけあったか、お答えいただきたいと思います。

○木内財務局長 大蔵省の調査によれば、対象財産は、件数で一千七百六十四件、面積で二千百八十ヘクタールでございまして、このうち二百四十件、約九十ヘクタールが国において利用計画がないため、売り払いが可能な財産と分類されております。

○和田委員 九十ヘクタールといいますと、二十三区の中に、関東財務局が所管するのでしょうけれども、東京ドームで五十杯というか、五十個分の売り払ってもいいよという土地があるということがはっきりしたわけであります。
 そこで、重ねてお伺いするのでありますが、この対象の中に、北区にあります陸上自衛隊十条駐屯地の赤羽地区の五・八ヘクタールが含まれていると思うのでありますが、これを東京都がもしかする計画があるのかどうかというのが一点。
 二点目は、もしもなければ、地先の北区がこれを都市計画公園などに入手する場合には、どういう財政的な措置がとれるのか。二点についてお伺いいたします。

○成戸東京都技監 現在、この地区の中には、都市計画道路補助第八六号線が決定されておりますが、まだ未整備でございます。そのほかの利用につきましては、今後、国から跡地利用についての照会があった時点で、地元区とともに土地利用のあり方について検討を行っていくことになろうかと存じます。
 次の、もし仮にということで、公園化された場合の財源的措置につきましては、一般論としてでございますが、区が跡地等を公園として都市計画決定をして、知事の都市計画事業認可を取得いたしますと、用地費で三分の一、整備費で二分の一が国庫補助の対象となります。また、残りの事業費につきましては、都市計画交付金などの対象となります。

○和田委員 ここにちょっと図を持ってきましたが、ここは、もう既に五・八ヘクタール、十一年三月に整備された自然観察公園というのがあります。そのすぐ隣に五・八ヘクタールの自衛隊の十条駐屯地があって、そこを間を裂くような形でもって補助八六号線が通っているわけであります。
 そこで、今技監が説明されたような状況の中であるわけでありますが、区が具体的に財調なり都市計画交付金などを当てにしながらやりますと、ほぼ無償で、この五・八ヘクタールが自治体に入る可能性があるわけでありますから、平成十四年の売り払いの時期のようでありますので、当該区の相談には、よろしく乗っていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。
 次に、犯罪被害者の人権についてお尋ねいたします。
 一月二十三日に、犯罪被害者の会というのが設置をされました。弁護士の岡村勲先生を含めて大変盛り上がった会でありまして、私も参加をいたしました。そのときに岡村弁護士もおっしゃっていたのは、犯罪被害者はれんびんの対象ではない、人権として認めてほしいということをいっておられました。私はもっともだなと思うわけでございます。
 それにつけても、交通事故の被害者、これは犯罪被害の対象に入るのかどうなのか。さらに、犯罪被害者の問題を、さきに申し上げた人権問題としてとらえながら東京都は対応するのかどうか。
 特に平成十一年度三千万であった犯罪被害者対策予算が、十二年度には実に四倍、一億三千四百万円という希有な形での増額予算がつけられて、今審議をされようとしているわけでありますので、その辺の予算の増額も含めて、情熱的な答弁をぜひお願いいたしたいと思います。

○横山総務局長 犯罪被害者やその家族の方々が抱えております問題といいますのは、犯罪によって受ける身体的、精神的苦痛、あるいは経済的な損害を含めまして広範多岐にわたっておりまして、お話の懇談会等の提言にありますように、人権にかかわる重要な問題であると考えております。
 また、交通犯罪の被害者及びその家族の方々を取り巻く状況は、ほかの犯罪被害者の場合と同様でございまして、交通犯罪の被害者も犯罪被害者に含まれると認識いたしております。
 また、犯罪被害者の支援につきましては、既に警視庁を事務局として、関係各局、機関、団体を構成員とします東京都犯罪被害者支援連絡会が設置されておりまして、相互に連携、協力し、人権にかかわる問題である、こういった共通認識に立って総合的に取り組みを進めているところでございます。

○和田委員 今予算にも、社団法人の犯罪被害者支援センター設立に二千万円ほどの予算が計上されております。それほど警視庁及び総務局は力を入れているというあかしになると思うのでありますが、この種の問題は、かつては陰に隠れていた問題でありますけれども、ぜひ東京都が先頭に立ってほかの自治体を引っ張っていく、そんな意気込みで取り組んでいただきたいと思うわけであります。
 次は、建設廃材のリサイクルについてお伺いいたします。
 昭和四十年代前後に、ちょうど建設ラッシュがありました。それらの木造なりコンクリートの家屋が、ちょうど建てかえの時期が間もなく迫っています。伝えられるところによりますと、二〇一〇年には現在の四倍以上の解体廃棄物が出るだろう、こういわれておりますし、その廃棄場所も一年ないし三年でもういっぱいになるだろう、こういうふうにいわれております。
 そのようなやさきに、国は、建設廃棄物リサイクル法あるいは循環型社会基本法というようなものを矢継ぎ早に出してきて、これらを未然に防ごうという努力をされております。もとより東京都においても、昨年の九月に産業廃棄物公共関与構想検討委員会が報告をまとめられて、今回も予算に載っておりますが、城南島に千百万円で、具体的な検討のモデル施設整備構想が打ち出されようとしているわけでございます。
 そのようなやさきに、民間の企業も負けてはいません。竹中工務店あるいは戸田建設などが積極的にこのリサイクルをやろうというような事例があります。私ども都議会民主党は、竹中工務店の担当者を呼んで具体的に勉強会を持ったわけでございますが、そこでお伺いいたしますけれども、建設廃棄物のリサイクルを促進するために、建設廃棄物のリサイクル施設などのモデル施設整備に、東京都も、あるいは民間も含めて積極的に取り組んでいくべきではないのかというのが一点目です。
 二点目は、縦割りじゃなくて、総合的な取り組みが必要だろうというふうに思うわけでありますが、以上二点お伺いいたします。

○安樂清掃局長 建設廃棄物はリサイクルが難しい上に、今後、都市施設の更新期を迎えますと急激に増加すると予想されておりまして、建設廃棄物のリサイクル施設を建設することが焦眉の課題となっております。国におきましても、最終処分場や焼却施設の不足が不法投棄などを増加させているという認識から、行政が民間の処理施設の整備を支援していくことなどを内容とする廃棄物処理法の改正を現在予定しております。
 このような状況から、都の保有する適地を民間事業者に貸与してリサイクル施設を整備する、いわば官民協力の整備ということを今後検討してまいります。
 このために、施設の適正規模、事業内容、採算性などの調査を実施する必要があり、十二年度予算案に調査費を計上いたしました。この調査に当たりましては、お話がありましたとおり、民間事業者からの意見や提案も十分に参考にしていきたいと思っております。

○柿沼政策報道室長 ご質問の後段の部分でございまして、総合的な取り組みについてお答え申し上げます。
 東京都は、環境負荷の少ない都市を目指しまして、これまでも、各種のガイドラインの整備や産業廃棄物適正処理・資源化推進協定等につきまして、事業者や関係局の協力をいただいて総合的に進めてまいりました。
 今後も、さらに事業者との連携や庁内の部門間の連携を強化するとともに、都市づくりにおきましても、施設の長寿命化や、建設資材あるいは建設発生土のリサイクル等、環境に配慮した取り組みを積極的に進めていきたいと思います。

○和田委員 従来の家屋の取り壊しというのは、専門用語でミンチ解体といって、すべてのものをがちゃんとまぜて解体して、どこかに持っていっちゃうというやり方のようであります。ところが、これから目指すのは、分別解体といって、かわらはかわら、柱は柱、床は床というふうに分別しながら解体をし、再利用できるものはしようという、当然のことでありますけれども、そういう方法が当たり前になる時代がもうそこに来ているということでありますので、ミンチ解体から分別解体へと大きくかじを切っていただきたいというふうに思うわけでありますので、行政当局の努力を求めるところであります。
 次は、ゴルフ場利用税についてお伺いいたします。
 石原知事もゴルフをおやりになることは承知しておりますけれども、昨年の熊本国体から、ゴルフも国体競技におかげさまでなりました。私は、早稲田大学の体育会ゴルフ部に四年間いてしごかれまして、日の長いときは、朝から日が暮れるまでフォーラウンドもさせられて、ズックでセルフで歩かされて四年間やってきたものでありますから、ゴルフがスポーツだということは骨身にしみているわけであります。
 ところが、昨今、よくいわれますけれども、ゴルフにだけは利用税が取られております。私どもは、平成元年の消費税導入のときに、かつて桐のたんすなんかは物品税がかかっていたわけでありますが、これも消費税の中へ取り込まれた。同じようにゴルフ場利用税もなくなるだろうと思っていたわけでありますが、今まだ残っているわけであります。
 これについては主税局長になると思うのでありますが、ゴルフ場利用税についてどのような見解をお持ちか、お願いいたします。

○大塚主税局長 ゴルフ場利用税は、その収入額の十分の七、これがゴルフ場所在の市町村に交付されておりまして、当該市町村の貴重な財源となっております。ゴルフの大衆スポーツとしての一面はしっかりと認識をしているつもりでございますけれども、ゴルフ場の利用料金は、ほかのスポーツ施設の利用料金と比べまして、まだ一般に割高であります。そういうことから、これに一定の税負担を求めることは、一般的に妥当性があるというふうに考えております。

○和田委員 大塚局長、もうご承知と思うのでありますが、昨年末あたり、文部省と自治省の綱引きがありました。文部省はスポーツだ、これは税なしだというと、自治省の方は、今おっしゃったとおり、七、三の割で自治体の方に、所在市町村に入るし、都道府県に三割入るから当然欲しいという、その綱引きがあったことはご承知のとおり。しかし、時代はまさに一千七百万人もいるんですよ、ゴルファーは。お年寄りになっても女性でも、だれでもができるというスポーツは、ゴルフ以外ないだろうと思う。
 そこで、今でも取り扱いの中で、学校行事だとか高齢者だとか身障者には、利用税の軽減措置があるのは承知しています。だけど、地域のスポーツあるいはクラブというものがどんどん盛んになってきたときに、いつまでも、今おっしゃったように担税力があるからという形で、このゴルフ場利用税を残すことはいかがなものかと、国の方でも動いているわけです。
 したがって、我々は、自治体の中ででき得る限りの軽減措置、外形標準課税を編み出した大塚さんでありますから、何らかの手法を編み出すことができないかどうか。

○大塚主税局長 外形は知事でございます。
 市町村を中心とした地方財源としての重要性、これは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、重ねての委員の発言の趣旨を踏まえまして、実態を精査し、余り時間をかけないで、きちんと検討いたします。

○和田委員 知事、僕のすぐそばに都民ゴルフ場というのがありました。私は三十年代の半ばからゴルフをやっていますが、その当時、青木功さんが来て研修生で働いていましたよ。彼は一日働いて二百五十円です。ところが、ゴルフボールは二百八十円しました。それほど彼は苦労しながら世界の青木になったわけで、私もその教えを請うているわけでありますが、知事に、ゴルフのスポーツ観といいましょうか、どうお考えか、最後にお答えください。

○石原知事 私は、ゴルフは確かにスポーツだと思いますが、日本におけるゴルフというのは、ちょっと、どういうんでしょう、他の国に比べて違った形の存在になっている。とにかく高過ぎますわな。ですから、それにかなう人がやればいいので、その人はそれなりに税の負担してもいいんじゃないですか。
 だって、地方の自治体に行ったら、村とか町とか、本当にそれ一つしかないゴルフ場を持っている町がありますからね。それは東京は幾つかあっても、ほかの収入もありますけれども、そこら辺のところ、私がどこかの村の村長なり町長だったら、やはり税金が欲しい、税金払ってもらいたいというと思いますね。

○和田委員 知事、もうこれ以上ゴルフ論議はしませんが、将来は二極化すると思うんです。それは、自分のステータスシンボルとしてクラブライフを楽しむ方、それから、私どものように学生ゴルフで鍛えてきて、今小学生でもやるようになっていますね、そういうスポーツとして軽微な費用でやろうと。それで、ステータス、あるいは企業を中心にしてやるという、二極化していくのが私は必要だろうと思っておりますから、知事と私の意見は違っているわけではありませんので、ぜひ、これからもゴルフ談義はさせていただきたいと思うわけであります。
 さて、そこで、有明北の埋立事業についてお伺いいたします。
 これは昭和六十三年に計画されたものなんですね。それで、その後もう十年以上たって、北海道などでは、時のアセスなどということで、不要不急な事業については節度を持って見直そうというような風潮も一部にはわいてきています。
 今、都政を取り巻く環境というのは、財政的に見ても、職員の給与カット、全国で一番厳しいぞと知事はおっしゃっている。もちろん議員もそう、知事もそうです。みんなが身を慎みながら、縮めながら、財政再建を目指そうとしているわけであります。その中で編み出されたのが外形標準課税で、一千百億円の収入増を図ろうということであります。一方において増税をしっかりーー増税と私位置づけますけれども、やろうと知恵を出されました。
 その中で、あえてここで、今までインフラ整備も何もしていなかった六百ないし七百、あるいは場合によっては一千になるかもしれませんけれども、その埋立事業を起こそうという、その辺の自己矛盾はないのかなというふうに思うわけであります。
 そこで、私は、あそこに二度も三度も船で参りましたけれども、知事はどうお考えになるかわかりませんが、里山というのが今、中高年の方々のハイキングの一つのスタイルになっています。生活と自然のちょうど接点の水際のとこら辺を、デイパックか何かをしょって歩き回るということでありますが、私は、有明北を、里山に対抗して里海というような形で位置づけられないかなというふうに感想を持っているわけでありますが、知事のご答弁をお願い申し上げたいと思います。

○石原知事 おっしゃることは非常によくわかります。私も海が好きですし、海はそれほど怖くもございませんが、なれない人は水に対する潜在的な恐怖はございますが、それにしても、あそこに限らず、日本の護岸工事というのは下手くそで、何も人工の砂浜をつくる必要もないけれども、例えば護岸を垂直な壁にするかわりに、だんだんおりていって、あるところまでおりていけるような階段にするとか、そういうことにしたら随分違うと思うんです。垂直にばさっと、要するに落ちてしまうような、それが護岸という通念になっているようですけれども、場合によったら相当足が水に入るような、そういう機会のあるような護岸というのをーー特に東京湾というのは内海、閉鎖水域ですから、もう水が荒れ狂うということはほとんどありませんし、やはり有明など、これからの問題もあると思いますけれども、そういうことを念頭に置いて、海岸線の造形というものはしていくべきだと思っております。

○和田委員 私どもは、里山、里海という議論を今お願いしたわけでありますが、おおむねそのようなお答えかなと思うんです。
 自然保全という意味で、今議論になっている有明北地区については、事業凍結はできないのか、時のアセスなどをかけて考えられないかという視点で再検討ができないかというのが二点目の質問であります。
 三点目も重ねて申し上げますが、万々が一凍結できないでも、基幹道路、広域幹線道路だけを橋で通すというようなことで、事業の必要な部分を部分的に実行する、先行するというようなことはできないかどうかお伺いいたします。

○浪越港湾局長 この水域は、最近まで貯木場といういわば産業目的で使用していた場所でございまして、三方を直立護岸に囲まれた人工的な水域でございます。これまで、懇談会あるいは議会の特別委員会などで十分な議論がされまして、当初計画を変更いたしまして、水域を三分の一残すなど環境面にも十分配慮した事業計画となってございます。
 例えば、この見直しに合わせまして、一つといたしまして、カニの仲間を初めとする水生生物のすみかをつくり、海の生物に優しい環境を創出するという近自然型ブロックを備えた護岸、あるいは二つ目といたしましては、護岸には緩やかなスロープ状の石積み部に泥だまりを設けた干潟をつくり、ゴカイなどの底生生物、あるいはハゼなどの魚類、鳥などの生物をはぐくむ環境を創出する干潟機能を持った護岸、三つ目といたしまして、アシの生えている潮入りを設け、生物に触れ合え、憩える水辺環境をつくる潮入りの設置、さらには、四つ目といたしましては、しゅんせつした海底に水底土砂を覆土することによりまして、水生生物の育成環境を創出するというふうな計画になってございます。
 先ほど先生からお話のありました里山という概念ですが、私なりに解釈させていただきますと、人の領域あるいは自然の領域と、わかりやすく線引きするのではなくて、その中間にあって双方がうまく共存している、いってみれば、極めてあいまいな空間というふうに理解してございます。いってみれば、自然ばかりを見るのではなくて、また人ばかりを見るのではなくて、そこに新たな自然とのかかわり方、自然保護の可能性の模索だろうと思っています。つまり、自然と折り合いをつけながら何とかやっていけるのが里山、里海というふうに私は理解いたしました。
 そういうふうなことで、この水域を見てみますと、三方を護岸に囲まれ、だれもが入ってこられないようなところじゃなくて、ただいま私が申し上げたようなことの方が、より先生のおっしゃるものに近いんじゃなかろうかと考えてございます。そういうことで、着実に事業を推進していきたいというのが私の考えでございます。
 それから、二番目の質問でございますが、埋め立てを行わずに道路部分だけを整備することが、技術的には全く不可能とはいえませんが、その場合、開発者負担を賄う埋立地がなくなるために、都民の税金で整備せざるを得なくなります。
 仮に、埋め立てを行わずに、この部分を二本の橋で整備するとした場合、単純な試算でも二百億円以上の費用が余計にかかることになりまして、これを税金で賄うことになります。
 さらに、橋梁構造への変更に伴いまして、設計や工法の見直し、あるいは都市計画の変更手続などが必要になりまして、都民の足として早期整備が期待されております「ゆりかもめ」の延伸や、東京全体の交通ネットワークの形成に寄与する広域幹線道路の整備スケジュールが大幅におくれます。
 以上のようなことから、着実に整備していきたいと考えてございます。どうぞご理解をいただきたいと思います。

○和田委員 最後になりますが、知事も私も選挙があります。私も、十六年が埋め立ての完了だということでありますから、どうしてももう一回選挙をくぐらなきゃいけませんが、もう一回選挙が終わって、埋め立てが終わった後、知事のおっしゃったことが正しかったか、私の凍結が正しかったか、ここでまた決着をつけたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

○清原委員長 和田宗春委員の発言は終わりました。

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