東京都議会予算特別委員会速記録第五号

   午後六時四十八分開議

○石井副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 東野秀平委員の発言を許します。

○東野委員 石原知事は、環境問題に真剣に取り組んでおられます。私たち公明党も、生命尊厳の立場から、環境問題にこれまで真剣に取り組んできたところであります。知事の環境問題への取り組みを評価しつつ、本日はまず、PCBの管理並びに処理、処分問題について何点かお伺いいたします。
 初めに、東京都内の事業所に廃棄物として保管されているPCBの実態をお示しください。

○安樂清掃局長 PCBは、コンデンサーやトランスなどの絶縁部品として使われておりますが、平成四年度に国が実施いたしました調査によりますと、千百九十三事業所に、三千六百六十四個のPCBを含むコンデンサーやトランスが保管されております。
 なお、平成十年度にも国は調査を実施しておりますが、現在、その結果を取りまとめ中でありまして、近日中に公表される予定でございます。

○東野委員 PCBは五万九千トン今までに生産されたというふうにいわれているわけですけれども、この長期保管されているPCBは、企業の倒産などにより保管者が不明となったり、紛失するなどの問題が懸念されており、これらの残留PCBの適正な処理、処分が重要であります。国は、公明党の推進で、新年度予算に、これら処理対策として六億円を計上しております。
 都としても、国の動きと連動し、都内に長期保管されているPCB廃棄物の適正処理までも含めた対策を早急に検討すべきだと思います。そのためにも、都は、平成十一年十一月八日に庁内に設置されたPCB廃棄物連絡協議会を発展させた形での検討機関を設置すべきと考えますが、見解を伺います。

○安樂清掃局長 最近、民間のPCB処理施設が一部稼働を始めております。国は、全国約二万カ所に中小企業が保管する約十万個のPCBを、今後五年間でその五割を処理することを目指しまして、民間の処理施設整備を支援する事業を、平成十二年度に予算化いたしました。
 このような状況の中で、東京都は、中小企業がみずから処理することの困難なPCBの適正処理を進めるため、危機突破・戦略プランにおきまして、今後、PCBの無害化処理を検討していくという方針を定めまして、その経費を平成十二年度予算案に現在計上いたしました。したがいまして、ご提案の趣旨も含めまして、検討組織を早急に検討していきたいというふうに思っております。

○東野委員 次に、国を先導するという意味でも、都は、使用者責任として、放置されていた東京都内に散在するPCB廃棄物の処理問題の解決の道筋をつけるべきと考えますが、環境問題に真剣に取り組んでおられます知事の所見をお伺いいたします。

○石原知事 PCBにつきましては、これをいたずらにちょっと動かすだけでも、地域住民の反発が従来強くて、最近まで、全国にもどこにも処理場がなくて往生してまいりました。私が環境庁におりましたときも、たしかスウェーデンの船を借りて洋上で焼く焼かないということで、予算の問題で結局実現しませんでしたけれども……。
 その後も、本当に堆積されているだけでありますけれども、もしこれ、不慮の事故が起こりますと、非常に多量のPCBが散逸いたしまして大問題になりますが、幸い法律も変わりまして、それから技術も進んで、聞きますところ、化学処理が可能になりましたようで、そういうものを踏まえまして、処理施設の整備も動き出しておりますから、東京都が全国に先駆けてこの問題に取り組むべく努力していきたいと思います。

○東野委員 知事の前向きの答弁、ありがとうございます。
 次に、環境問題の二番目として、首都高速中央環状新宿線について伺います。
 東京の交通渋滞は、住民の健康被害も含めて、経済の非効率化等、さまざまな問題を引き起こしています。また、これは社会問題となっておるわけでございます。中でも、首都高速道路の都心環状線を中心とする交通渋滞は相変わらずひどく、早期解決が迫られているわけでございます。
 そこで、まず、これら社会問題の解決に資するとの目的で計画された中央環状新宿線の進捗状況について伺います。

○成戸東京都技監 中央環状新宿線の整備は首都高速道路公団が実施いたしておりまして、用地買収につきましては、現在、約八〇%が終了いたしております。
 また、東中野、西新宿などで換気所やシールドの立て坑工事を実施しておりまして、その工事の進捗率、全体で一三%となっております。

○東野委員 次に、私は、平成八年の第二回定例会で、中央環状新宿線と首都高速三号線との接続点でもあります大橋ジャンクション周辺の環境問題について質問いたしました。その当時から現在に至る間、何点かの計画変更が行われております。主要な変更点について伺います。

○成戸東京都技監 大橋ジャンクションは、平成十一年四月に都市計画変更を行っております。
 これは首都高速道路三号線との連結路につきまして、新たな施工技術の開発により公共用地を最大限活用することが可能になりましたことから、これまでの民有地の地下を通過するルートを、環状六号線と国道二四六号の地下を利用するルートに変更いたしますとともに、新たに換気所を設けることにしたものでございます。

○東野委員 当時、私は、大橋地域周辺の大気汚染問題を取り上げまして、ジャンクション整備に当たっては、地域住民の健康、生活に十分配慮した整備を行うべきことを指摘したわけでありますが、四年近くたった現在、排ガスの除去対策の技術的な検討はどこまで進んだのか、また、今後の都の取り組みについて伺います。

○成戸東京都技監 大橋地域周辺の大気汚染対策といたしまして、ジャンクションの地上部分には覆蓋を行いますとともに、排気ガスにつきましては、換気所内の除じん装置によりまして粉じんをできる限り除去した後、換気塔より上空高く排出することといたしております。
 また、二酸化窒素を除去いたします脱硝装置でございますが、建設省や首都高速道路公団などが実験を行っておりまして、これまで脱硝性能や安全性などの確認がなされましたが、実用化に当たりましては、まだスペースやコストの縮減などの課題が残されている状況であります。
 このため、平成十二年度から、これらの課題の解決に向けた新たな実験が予定されておりまして、都といたしましては、実験の推移を踏まえ、実用化の可能性が認められる場合には導入を検討するよう、首都高速道路公団に要請をしてまいります。

○東野委員 ぜひよろくお願いしたいと思います。
 以前は、排気ガス、そのまま放置という状況でございましたけれども、この点については今までさまざま議論してきて、やっとここまで来ているという感じでございますので、くれぐれもよろしくお願いしたいと思います。
 また、大橋ジャンクションは、首都高三号線との先ほど申しました接続点であることから、既設の三号線に対する騒音対策の充実も非常に重要であるというふうに考えます。
 そこで、大橋付近の首都高速三号線の騒音対策についてお伺いします。

○成戸東京都技監 国道二四六号の上を通っております首都高速道路三号線の大橋付近におきます騒音対策でございますが、低騒音舗装の実施をいたしますとか、新型遮音壁の設置、さらには、高速三号線の裏側の部分、裏面に吸音板を設置するなど、可能な限りの騒音対策に取り組んでまいります。

○東野委員 次に、ジャンクションに囲まれる地域並びに周辺地域のまちづくりについて伺います。
 まず第一に、まちづくりに当たっては、地域住民の安心と安全のために、東京都は、首都高速道路公団や目黒区、そして地域住民との連絡を密にとって計画を進めていくべきと思いますが、その取り組みについて伺います。

○成戸東京都技監 大橋ジャンクション並びにその周辺地域のまちづくりにつきましては、ことしの二月に、地域住民、目黒区、東京都並びに首都高速道路公団、都市基盤整備公団から成ります大橋一丁目地区まちづくり懇談会が発足いたしまして、ジャンクションと一体となったまちづくりについて検討をいたしております。
 都といたしましては、今後とも、この懇談会を通じまして関係者と連絡をとりながら、まちづくりの推進に努めてまいります。

○東野委員 昨日のテレビ、先ほどどなたか委員がおっしゃいましたけれども、この地域の大気汚染問題を、ちょうどテレビで取り上げていましたけれども、この地域は、都内でも大変に大気環境の厳しい地域であるわけです。まちづくりに際しては、環境の向上を目指すためにも、樹木などを大量に施すとか、緑の公園を整備するとか、具体的な対策を実施すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○成戸東京都技監 大気汚染とか騒音ですとか、今まで述べさせていただきましたような環境対策に加えまして、まちづくりとの整合を図りながら、植栽や公園の整備などにつきましても、大橋ジャンクション並びにその周辺地域の環境の向上が図られますよう、関係者とともに検討してまいります。

○東野委員 よろしくお願いいたします。
 最後に伺いますが、都市基盤整備は、現在の東京に課せられた喫緊の課題でございます。その整備遂行に当たっては、地域住民の協力が不可欠であるというふうに思います。地域住民が協力していただけるようなさまざまな環境対策の整備が不可欠であります。
 環境問題に熱心であられる知事の見解を伺いたいと思います。

○石原知事 いわゆる都市基盤の整備、道路に限らず空港や鉄道、すべてでありますが、結果として何に関しても高くつく東京のいわゆる高コスト構造というものを是正するためにも、産業の活性化のためにも、また、国際的な都市としての競争力の向上のためにも、極めて重要であると思います。
 ただ、しかし、日本のこういう基盤整備というのは、やたらに時間と金がかかりまして、残念でありますが、しかし、いずれにしろ、その整備に当たって、地域住民の理解と協力がなければできるものではございません。
 そういうものをしっかり意識しまして、今後とも、地域住民を初め都民全般の理解と協力を得ながら、東京圏の均衡ある発展と東京の再生のために、都市基盤の整備を進めていきたいと思っております。

○東野委員 次に、徘回高齢者対策について伺います。
 痴呆性高齢者を介護する家族の負担は大変なものがあると考えられます。中でも、徘回行動が見られる高齢者は、交通事故、長時間の徘回による衰弱など、常に生命の危機にさらされているといっても過言ではありません。私の母も徘回で不明となり、一日たって見つかったからよかったのでありますが、私の知人の母親は、徘回の末、水死され、とうとい命を失われました。現在、都内には、推計で七万四千人の痴呆性高齢者がいるとされておりますが、徘回行動等については具体的には掌握されておりません。
 ところで、都は二年ほど前に、「徘回高齢者SOSネットワークの構築」と題する報告書をまとめています。その中で、警察や行政並びに地域住民等の協力体制による早期発見の重要性、徘回探知機の利用や協力体制のPRの重要性等を取り上げていますが、その二年ほど前からの進捗状況をお伺いいたします。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 東京都では、お尋ねの報告書を平成九年にまとめまして、現在、区市町村に活用していただいております。
 これまでに品川区、江戸川区、板橋区をモデル地域といたしまして、地域の協力体制づくりや徘回探知機の実験、徘回高齢者を保護した後のアフターケアの仕組みづくりなど、徘回高齢者対策について実践的な取り組みを行っているところでございます。

○東野委員 徘回している方の位置を調べることができるとされている徘回探知機について、幾つかの地域でモデル事業を実施しているということでございますけれども、その探知機とは、家族が簡単に利用できるものでありましょうか。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 徘回高齢者の探知システムは、既に商品化されております。システムの具体的な仕組みは、徘回高齢者の行方がわからなくなった際に、GPS、自動車のナビゲーターのようなものですが、それを活用した送信機やPHS携帯電話によりましてその位置を確認し、高齢者の家族には、オペレーションセンターから電話やファクスで連絡されるものとなっております。
 このように、家族にとって、このシステムは簡単に利用できるものでございます。

○東野委員 私が調べた範囲では、国においても、徘回高齢者対策の重要性から、平成十二年度において、家族介護支援対策として、支援サービス事業を立ち上げたというふうに聞いております。
 今後、都としても、国の施策に呼応するような形で、徘回探知機を活用するなど、徘回高齢者対策の積極的な事業推進を図るべきと考えますが、所見を伺います。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 お話しのように、国は、平成十二年度の新規事業といたしまして、家族介護支援特別事業を創設しまして、そのメニューの一つに、徘回高齢者家族支援サービス事業が位置づけられました。
 都といたしましても、徘回高齢者の事故防止を図り、家族が安心して介護できる環境を整備することが重要であると考えておりまして、この事業を含め、区市町村が積極的に事業を展開できるよう支援してまいります。

○東野委員 我が目黒区も待っておりますので、よろしくお願いします。
 次に、介護保険についてお伺いいたします。
 介護保険の実施まで二週間と迫ってきました。我が党が行った区市町村へのアンケートにおいても多くの課題が明らかになったように、問題をはらみながらのスタートであります。
 ところで、三月二日付の新聞に、訪問調査で虚偽報告、また、介護保険で不正認定と、ショッキングな報道がされていました。内容は、東大阪市において、保険者である市から認定調査の委託を受けている居宅介護支援事業者が、自分の患者の要介護認定が重く判定されるよう虚偽の調査報告を行ったことが判明し、認定調査の委託契約が解除されたという報道であります。制度のスタートを前にして、信頼を失うゆゆしき事態であるわけでございます。
 最初に、この東大阪市での認定調査実態の不正事件の見解を伺います。
 また、仮に都内で同様のことが起こった場合、都はどのように対応されるのか、お伺いします。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 東大阪市が、不適切な認定調査を行った居宅介護支援事業者との委託契約を解除したのは、当然のことと考えております。
 都は、既に区市町村に対しまして、このようなことがないよう、要介護認定の実施状況を十分把握し、認定調査員と主治医が同一人でないか、施設によって特記事項の記載内容に偏りがないかなど、その点検を行うよう緊急に依頼しました。
 仮に東大阪市のような事態が生じた場合には、区市町村とも十分連携し、居宅介護支援事業者や介護保険施設の指定並びに開設許可の取り消しなどを含め、厳正に対処する所存でございます。

○東野委員 同様の事態があったら厳正に対処するというご答弁でございますが、それは結構なことであります。
 しかし、事が起こってからでは遅過ぎるというふうに考えます。今後、公正、公平な認定調査の確保を図るために、都の具体的な取り組みについてお伺いいたします。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 都は、これまでも、認定調査員に対しまして、調査に当たっての基本姿勢や留意事項などに関する研修を実施してまいりましたが、今回の事案を踏まえ、具体的な事例研究等を盛り込むなど、研修内容の充実により、調査員の資質の向上に努めてまいりたいと思っております。
 また、認定調査員と主治医意見書を記載する医師を兼ねることを禁じる旨の国からの通知を踏まえ、その内容を区市町村へ周知徹底いたします。
 このような取り組みを通じまして、区市町村ともども、公正、公平な訪問調査が確保されるよう努めてまいります。

○東野委員 よろしくお願いします。
 制度のスタート前の準備期間中にあっては、申請者の数が多いために、居宅介護支援事業者に委託する場合があると思います。四月以降においては、でき得る限り公的機関で認定調査をすべきであるというふうに考えます。
 また、今回の問題は、認定調査の問題だけにとどまりません。介護保険制度においては、今までの公的介護中心から、今後は民間を中心としたさまざまな事業者が参入してまいります。こうしたサービス提供事業者の中には、今回の事件のように、認定調査結果を不正に操作したり、あるいは、申請手続の代行や訪問調査を通して、みずからのサービスを利用させようと誘導することにより、高齢者を利用し、介護保険を悪用しているのであります。こうしたことが起これば、公正な介護保険は運用できず、到底都民の理解は得られません。
 このような不祥事を起こさないためにも、事業者みずからが積極的に情報を開示し、透明性を高めることが必要であります。見解を伺います。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 透明性を高めるためのお尋ねでございますが、ご指摘のような事態を未然に防ぐには、事業者に関する情報が広く開示されることが有効であると考えております。
 このため、都では、昨年十月、東京都介護サービス情報提供システムを構築したところでございます。このシステムでは、サービス利用料金や従業員の資格などの情報を都が入力するだけではなく、苦情処理体制や損害保険の加入の有無など、きめ細かい情報を事業者みずからが入力できる仕組みになっております。
 都は、指定事業者に対しまして、入力に必要なID、パスワードを配付し、積極的にみずからの情報を入力するよう働きかけており、今後とも、提供する事業者情報の内容の充実に努めてまいります。

○東野委員 最後に、知事に伺います。
 介護保険に対する都民の信頼を確立するためには、不正に対する厳正な対処は当然であります。もう一方で、サービス提供事業者に対する厳正なチェックをするオンブズマン制度の導入など、介護保険事業者への管理監督を図ることが大事であるというふうに考えますが、具体的な体制づくりをすべきと考えますが、知事のご見解をよろしくお願いします。

○石原知事 今回の東大阪市の事件はまことに遺憾でございまして、ただ、私は、多分こういう事件が起こるだろうと思っておりました。私、環境庁におりましたときに、水俣病の認定が始まりまして、そこで認定を受ける患者がお医者さんに耳打ちして、百万円、百万円といったり、医者がしかり返せば値段をつり上げたりするようなケースが多々ありました。そういう混乱も多分あるだろうと思っておりましたら、果たせるかなでございましたが、いずれにしろこの制度は、利用者が自分の責任でサービスを選択して契約することから、すべての利用者が安心してできる仕組みづくりが重要でございます。
 今おっしゃいましたように、オンブズマンなどを使った、疑わしいケースには、判定の難しいケースにはダブルチェックをするなど、やっぱり事業者に対する指導検査体制を強化して、こういう状況が、こういうケースが東京では起こらないように努力したいと思っております。

○東野委員 次に、都営住宅家賃減免問題に関連して伺います。
 一昨日、我が党の森田委員の質問に関し、共産党が昨日質問し、本日の「しんぶん赤旗」で事実をねじ曲げた報道がされておりますので、伺います。
 そもそも私たち公明党は、都営住宅家賃の減免については、あくまでも病気の人や災害に遭った人など、真に生活に困っている方々に対して行うべきであると考えております。したがって、住宅局の今回の決定は、繰り返し行った我が党の要望を取り入れており、おおむね了とするものであります。
 ところが、共産党は、住宅局の方針を故意にねじ曲げて、家賃免除制度が廃止されるとか、都営住宅家賃収入は赤字であるにもかかわらず、黒字である等とする報道をしているわけでございます。
 そこで伺います。第一に、事実と違った内容のビラをつくり、都民を不安に陥れ、まして、そのビラに、抗議先として、我が党や自民党、民主党、生活者ネット、無所属クラブなどの控室や地元選出都議会議員名も断りなく書き入れているのであります。これは大変な非常識だと取り上げたわけであります。にもかかわらず、全く反省もなく、本日の「しんぶん赤旗」でわけのわからないことを書いているのであります。
 そこで伺います。都が家賃免除制度を廃止とありますが、これは事実ですか。住宅局長にお伺いします。

○戸井住宅局長 今回の減免制度の見直しにおきましては、一定要件のもとで免除の制度を残すことといたしました。したがいまして、この記事の内容は、事実と異なります。

○東野委員 うそであることが判明しました。
 また、この制度が改定される四月以降は、今、免除を受けている世帯以外は免除を受けられなくなることとありますが、これは事実ですか。

○戸井住宅局長 新しい減免制度の実施は九月一日を予定しております。また、新制度においても、新規に免除を受けられる場合といたしましては、まず、災害により容易に回復することが困難な損害を受け、生活困窮の状況に至った場合、及び入居者が病気による入院加療のため、生活保護法による住宅扶助を停止された場合に存続することといたしました。この記事の内容は、事実と異なります。

○東野委員 これもうそですね。
 さらに、都が制度改悪で五十億円の増収額を見込んでいることについて、この五年間の経過措置が終了し、期限つきの例外規定が廃止されることを前提にしたものだ、財政上決着がついているとありますが、これは事実ですか。

○戸井住宅局長 家賃免除の五年後の取り扱いについてでございますが、その時点で決定するものと承知しておりまして、これは何回もこの席でも申し上げたとおりでございます。
 したがいまして、今回の増収見込み額が免除の廃止を前提としたものではないということでございます。記事の中で、いろいろとくぼた議員の発言がございますけれども、減免見直しの内容に関しては、表現としては事実とは異なった内容でございますので、申し上げておきます。

○東野委員 石原知事に伺います。
 本日の「しんぶん赤旗」には、知事のことを、石原知事は、真摯に受けとめて総括的に判断すると答えざるを得ませんでしたと書かれているわけでございます。あたかも知事が共産党の主張を認めたようなコメントになっているわけですね。私は、きのうの知事発言は、違った印象で聞いたわけです。知事、いかがですか。
 しかも、知事、これは八王子の長房団地で配布されている自治会のチラシでございます。共産党の主張する、家賃減免は五年後に全面廃止にとなっており、緊急説明会を呼びかける内容になっています。しかも、こういったチラシが東京じゅうの団地でまかれているわけでございます。
 不偏不党であるべき自治会までも巻き込んで、善良な住民に不安を投げかけています。このことが許されてよろしいのでしょうか。知事、お伺いします。

○石原知事 私たちの表明を非常に短絡的にとらえて、つまり、みずからの主義主張のために事実も歪曲して政治宣伝をするとは、非常に私はある意味では卑劣な行為だと思います。
 私が真摯に受けとめるというのは、つまり、いかなるご批判も、いかなるご意見も真摯に受けとめて、それを取捨選択し、あくまでも総括的に、よりよい道を選んでいくという意味で申し上げましたわけで、別に私は共産党のいうことに全面降伏したわけでは決してございません。

○東野委員 私は思うわけですね、よりよい都政をつくるために、各政党が政策を競い合う、また、政策を批判し合う、こうしたことは議会制民主主義の発展にとっても重要なことだというふうに思います。しかし、事実を故意にねじ曲げたり、白を黒というような悪意に満ちた、目的のためには手段を選ばない方法はフェアではないし、良識ある都民には受け入れられないことというふうに考えます。
 次に、現在大きな社会問題となっています学級崩壊について伺います。
 いじめや校内暴力については全国調査が行われており、よく我々の知るところでございます。学級崩壊についての全国調査は行われていないというふうに聞いております。
 そこで、まず、学級崩壊とはどういう状態をいうのか、その定義について都教委の見解をお伺いします。

○中島教育長 都教育委員会では、小学校におけるいわゆる学級崩壊といわれる現象を、子どもたちが教室内で勝手な行動をして、教師の指導に従わず、授業が成り立たないなど、集団教育の機能が成立しない状態が一定期間継続し、学級担任による通常の手法では問題解決ができない状態に立ち至っている状況ととらえております。

○東野委員 都内の小学校において学級崩壊の実態はどうなっているか、お伺いします。

○中島教育長 昨年六月に、都内公立小学校における学級経営上の課題となる状況について実態調査を行いました。その結果、授業中遊んでいたり、教室から出ていったりする、大声で泣く、暴れるなどしてしばしば授業が中断するなど、授業が成り立たない状態が一定期間継続し、教頭などが学級担任にかわって授業を行った学級が一部に見られたところでございます。

○東野委員 最近、小学生にもいわゆるキレる子どもがふえてきているといわれていますが、学校現場の人に聞くと、授業中は座って静かに話を聞くという基本ルールをほとんど学ばずに入学してくる生徒が多いということでございます。また、高学年になると、担任を拒否し、反抗することで授業を妨害するケースが多いというふうに聞いております。
 学級崩壊のふえる原因をどのようにとらえておられますか。

○中島教育長 いわゆる学級崩壊の原因につきましては、それぞれの事例によっても異なっておりますが、子どもたちの社会性の未発達の問題、子どもの変化に十分対応できない教員の指導や、家庭、地域社会の教育力の低下などが挙げられ、これらが複合して生じているものととらえております。

○東野委員 学級崩壊の原因の一つに、小学校では、担任教師が一人で学級を見るというシステムがあるというふうに思うわけでございます。このシステムは、教師と子どもとの結びつきを深めることが目的であるわけでございますが、クラスがまとまらなくなって授業が成り立たなくなると、そこから抜け出すのは並大抵ではありません。このシステムですと、担任はクラスのすべてを任されているために、崩壊の兆しが見えてきても、一人で悪戦苦闘し、教師の中においても孤立化していく危険性があるわけでございます。
 父兄が担任をかえてほしいといっても、交代しないのが学校の建前といわれています。小学校のクラス担任制度自体が限界に来ているのではないかというふうに思うんですが、この現状をとらえて、都教委の対応を伺いたいと思います。

○中島教育長 小学校における学級担任制は、児童の発達段階から全人的な児童理解に立つ指導が必要であり、その基盤になる制度として、今後も重要でございます。
 しかし、学級担任が問題を一人で抱え込むなどの課題もございますため、各学校において開かれた学級づくりに努めるとともに、学校全体で協力的な指導体制をつくるよう、区市町村教育委員会と連携して学校を指導してまいります。

○東野委員 我が党は、先日、大阪の藤井寺小学校というところを視察してまいりました。藤井寺小学校では、概要を申し上げますと、五つのクラスを八名の教師で見るという体制をとって、ローテーションを組んで、学年教師集団、または全教職員が何らかの形で全員で接するという形態をとっているわけでございます。すなわち、複数の教師による指導体制によって、教師同士が互いに意見を交換し合い、学級崩壊を未然に防ごうとするものであるわけでございます。
 また、生徒も、多くの先生から褒められたり、しかられたりすることによって、精神的な重圧から解放されているというふうにも聞きました。実際に、それまであった不登校生が一人もいなくなったり、保護者からも担任批判が聞かれなくなったとのメリットがあったとのことでございます。
 都教委としましても、ぜひこのシステムを評価し、各学校に対して、指導していくべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○中島教育長 それぞれの小学校におきまして、児童が充実した学校生活を送ることができるよう、状況に応じて指導体制を工夫することが大切であり、教師の得意分野を生かし、教科等を分担し、学習指導を進めることは、指導体制の一つの工夫であると考えます。
 今後とも、都教育委員会は、教科を分担する方法やチームティーチングなど、学校が一体となって指導体制の改善を行うよう、区市町村教育委員会と連携して学校を指導してまいります。

○東野委員 小学校に入学した子どもたちが、学校という新しい環境にスムーズになじみ、授業を落ちついてできるようにするために、就学前に、心の教育指導事例集といったものを作成して、幼稚園や保育所に配布したらどうかと考えます。
 その対応と、最後に、学級崩壊を起こさないために、都教委は、積極的に区市町村教育委員会と連携して、具体的な対応策を協議する場を設けるべきだと考えますが、あわせて伺います。

○中島教育長 ご指摘のように、小学校に入学した子どもが早く学校生活になれ、落ちついて楽しく学習ができるよう配慮することは大切なことでございます。現在、小学校入学時における指導改善の充実を図るためのリーフレットを作成しており、近く公立小学校の全教員に配布する予定でございます。
 また、公立幼稚園には、幼児の発達段階に即した指導を行うための参考事例を毎年資料としてまとめ、配布しております。
 私立幼稚園や保育所については、関係局に積極的に情報提供を行ってまいります。
 次に、協議の場でございますが、子どもたちの健全な育成のために、都教育委員会は、これまでも、区市町村教育委員会の担当者と連絡協議の場を持つなど、連携を図りながら、その推進に努めてまいりました。
 今後、これら連絡会の一層の活用を図るとともに、いわゆる学級崩壊の問題を今日的な教育課題ととらえ、幼児期からの心の教育の推進を図るための協議体制について、区市町村教育委員会や関係機関と連携をとりながら検討をしてまいります。

○東野委員 よろしくお願いします。
 最後になります。防災のまちづくりに関連してお伺いします。確認の意味でお伺いします。
 財政再建推進プランの中で、新たな区画整理事業については、既にスタートした事業がおおむね完成するまでは着手しない旨を掲げたために、石井副委員長のおられる墨田区鐘ケ淵地区の区画整理による防災まちづくりが大きくトーンダウンしまして、地元住民はどうなっているのかというふうに危惧しているわけでございます。
 そこで、昨年、四定でも質問したところでございますが、改めて当地区についての都の対応を伺うとともに、墨田区鐘ケ淵地区では、長年、地元住民と行政が協議し合って進めてきたまちづくりの雰囲気が盛り上がってきたところであるわけですが、そしてまた、一日も早く都、区、そして、地元住民が一体となったまちづくり協議会を立ち上げたいと念願しています。
 都の立場から全面的に支援すべきと考えますが、あわせて所見をお伺いいたします。

○古川建設局長 鐘ケ淵地区における防災まちづくりの推進は、重要な課題です。都としては、危機突破・戦略プランに沿って、延焼遮断帯を形成するため、補助一二〇号線の街路事業を進める中で、沿道区域を取り込めば防災性の向上が見込める当地区の特性に考慮し、沿道区域に重点化した区画整理を活用した整備手法など、引き続き検討を重ねてまいります。このため、都区連携して、地域住民との合意形成に努めてまいります。
 そして、鐘ケ淵地区の防災まちづくりを円滑に進めるための地域住民との話し合いの場として、まちづくり協議会を設置することは重要であると考えております。都としても、地元区と連携し、協議会の立ち上げに参画するとともに、地域住民によるまちづくりを尊重しながら、さまざまな事業手法をともに検討するなど、協議会の活動についても積極的に協力してまいります。

○東野委員 終わります。(拍手)

○石井副委員長 東野秀平委員の発言は終わりました。

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