東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○三原副委員長 小礒明委員の発言を許します。
   〔三原副委員長退席、委員長着席〕

○小礒委員 今、時代が大きく変化しようとする中で、東京がおもしろいというふうに、全国からまさに熱いまなざしが注がれていると思うわけであります。
 石原知事が就任以来、矢継ぎ早に、それこそ次から次に施策を打ち出し、展開しているという中、スピード感のある都政と、この首都東京から日本を再生していくのだと、この心意気に対しまして、私も深く共鳴と感銘を覚える一人であります。
 そのような気持ちの中から、以下、質問をさせていただきたいと思います。
 昨日、あるテレビのニュースでございましたが、特集がございました。大気汚染の問題を取り上げておりましたが、今、東京は、小児ぜんそく、そしてアレルギーによる影響等々の患者さんがふえているそうであります。
 このような中で、東京の大気汚染は深刻で、特に窒素酸化物や浮遊粒子状物質等、これらの主な発生源は、いわれるまでもなくディーゼル車などの自動車で、東京都のディーゼル車問題への取り組みは、まさにタイムリーであると思うわけであります。
 このような中で、私は、主な発生源は自動車だと思うわけでありますが、また一方、都内に約十一万台以上保有する建設機械から発生する排出ガスも、やはり私は原因関係の一つではないかと思うわけであります。
 このような中で、例えば全国で一年間に排出されるNOxの総量のうち、六割は建設機械によるものとされておりますし、自動車の移動排出源に限れば、台数ベースで二%に過ぎませんが、建設機械が年間NOx総排出量の一五%を占めている、このような状況もあるわけでございます。
 そのような中で、現在十二年度、私のは一番古い資料でございましたので、平成十一年度で結構でございますから、現在都内で建設機械の保有はどの程度であるのか、また、建設機械から排出される窒素酸化物や粒子状物質、いわゆるSPMなどの汚染物質の排出実態はどのような状況になっているか、教えていただきたいと思います。

○齋藤環境保全局長 建設機械の状況でございますけれども、まず、油圧ショベルあるいはブルドーザーなどの建設機械は、今もお話にございましたように、都内では、平成七年度ベースでございますけれども、約十一万台保有されております。
 お尋ねの十一年度の実績というのは、ちょっと調査をしておりませんので、お答えできかねますが、これらの建設機械から排出される汚染物質は、都内について申し上げますと、窒素酸化物排出量の約一一%、粒子状物質の約四%に当たります。
 建設機械については、現在、法に基づく排出ガス規制が行われておりませんで、排ガス低減技術の開発も十分ではないと思っております。

○小礒委員 これまで、国や、また東京都としても、建設機械の排出ガス対策に一定的に調査して取り組んできたということも聞いておりますが、実際どのように取り組んでこられたか、お願いします。

○齋藤環境保全局長 建設機械の排出ガス対策で取り組んできたものでございますが、まず建設省のことからご紹介申し上げますと、建設省では指針を定めて、平成八年度から、その直轄する工事において低公害な機械を使用することとしております。
 都におきましても、現在、建設省の措置に準じて、各局が発注する工事について同様の措置を講じているところでございます。
 また、建設機械のうち、路上を走行するものにつきましては、中央環境審議会答申に基づいて、新たに平成十六年から法に基づく排出ガス規制が実施される予定でございます。

○小礒委員 例えば建設省、いわゆる国でありますけれども、長期目標を一定的に定めておりまして、二〇一〇年までにNOxの年間総排出量を、一九九三年レベルといたしまして、三割は削減していくのだと、数値目標を設定しているわけです。
 このことから見ると、私は、東京都の石原知事が提唱されている今日のディーゼル車NO作戦、これもそうでありますけれども、これらいわゆる建設機械から発生している排出ガス対策というのは、東京都は少しおくれているのではないかなという感もするわけでありますけれども、さらに実態を調査していただきたいと思うわけであります。
 それとともに、私は、建設機械の排出ガスで、使用する燃料について少し調べさせてもらいました。その中では、粗末な油、粗油という油がありますが、これはいわゆる引取税の面からもかなり流入しておりますし、分権化の流れからも、かなり輸入をされているということであります。前年の三十八万五千キロリットルと、現在は伸びているというふうに聞いておりますが、軽油と並んで、大量に粗油が流出している現状があるわけです。
 それともう一つは、現場で灯油と混合して使用すると。公道を走ると、これはやはり税法上問題がありますから、これを現場で調合する、そしてまた粗油を購入して機械に投入する。しかし、これは明らかに窒素酸化物、軽油の場合を四〇〇ppmとするならば、このいわゆる粗油から排出される、黒煙を伴って五〇〇ppm、これは瞬時にしてとらえていますので、機械の古さ、老朽状態、使用度を含めて若干の相違はあると思いますが、私の調査で、平均値から見ても、やはり窒素酸化物がこれだけ出てきているという現状なんです。
 そういうことから見ると、建設機械そのものをこれから調査して、排出ガス対策をしていかなければいけないのはもとよりでありますけれども、この粗油の使われている状況というものをもう少し把握して、対応をするべきではないかと思うわけでありますが、そのあたり、どうでしょうか。

○齋藤環境保全局長 粗油の使用実態のことだと思いますが、まだ実際には、私どもでは十分にその状況を把握していないという状況でございます。

○小礒委員 これだけ数値も出ていて、現実、調査結果も上がってきている中で、やはり私は早急に対応すべきだ、こう思うのですが、知事、いかがでしょうか。

○石原知事 全く同感でございまして、やはり議会というのは、こうやって局所局所、地域地域で庶民が抱えている問題を拾ってくる、つまり政治家が拾ってくる、そしてそれを議会を通じて行政にぶつける。今の建議も、私、初めて聞いた問題でありまして、片一方でわかり切ったディーゼル車の取り締まりにじたばたしましても、とんでもないところに、かなりのポーションを抱えた抜け穴があるというのは、全く対策もざるにしか過ぎません。
 即刻実態の調査をしまして、これに対する規制なりで措置を講じたいと思います。

○小礒委員 それでは、多摩地域の中でありますけれども、私も調べさせていただきましたが、建設局発注の工事の中で、今私が申し上げましたような油を使っている事例等がほかにあるかどうか、このあたりいかがでしょうか。
 そしてまた、今後の対応をもしお考えであれば、教えていただきたいと思います。

○古川建設局長 建設機械の使用燃料についての請負者への聞き取り調査によりますと、灯油を主とした混合燃料や重油に近い燃料などの使用実例がありました。こうした燃料の使用は、特に法的な定めはありませんが、環境への配慮から、規格に合ったものの使用を徹底することとし、現在、区部と多摩のそれぞれ一カ所の建設事務所において、確認方法を検討するための実態調査を実施しております。
 今後、この結果を踏まえ、環境保全局など関係機関とも連携しながら、建設局発注工事について適切に対応してまいります。

○小礒委員 建設機械からの排出ガス対策を今後ともより一層進める中でも、やはりもう少し広範にわたって調査をしていただきたいと要望しますし、また使用実態につきましては、現実私どもが調査してもすぐわかるわけでありますから、専門的な立場の環境保全局を含めて、ぜひこれはご調査いただいて、一定の現状というものをご報告していただきたいと思います。
 そこで、環境上の、確かに建設業の業界全体の今置かれている経営環境というのは、極めて厳しい状況もあるようでありますけれども、ぜひひとつよろしくお願いしたいと思います。
 そこでまた、環境上問題となる、ただいま私が申し上げましたような混合油、そしてまた粗油等との使用を抑制をするように、具体的な働きかけを、関係各方面、そして業界に働きかけをしていただきたい。これこそ、今東京が取り組めば、国をリードすることができますし、国の取り組みというものは私はまだまだ甘いと思いますので、これはやはり東京から始めるべきだというふうに、ぜひお願いしたいと思います。
 次に行きます。多摩ニュータウンにつきまして質問させていただきたいと思います。
 多摩ニュータウンは、多摩地域の核となる多摩の心の一つとして、八王子や立川とともに、新宿や渋谷などの副都心と同様に、東京の業務機能を適切に分散、誘導する拠点に位置づけられてきました。そして都市化が進められてきております。
 一方、石原知事がたびたび発言をされておりますように、東京を中心とした首都圏は、我が国の発展を牽引しており、今後も引き続き重要な役割を果たすことが期待されているものであります。昨年策定されました第五次首都圏基本計画でも、首都圏が果たすべき役割として、国際競争力を維持し、我が国の活力創出に資する地域としていくことが第一にうたわれているわけであります。
 そこで、まず、この首都圏基本計画の中で、首都圏における多摩ニュータウン、とりわけ多摩ニュータウンの中心である多摩、稲城、南多摩は、どのような役割を果たしていくことが期待されているのか伺いたいと思います。

○成戸東京都技監 第五次首都圏基本計画におきまして、多摩市は、八王子、立川に加え、新たに業務核都市として位置づけられたものでございまして、広域的な連携、交流を図る拠点の一つとして、首都圏を分散型ネットワーク構造へと改編する役割を担うものでございます。
 今後、多摩市につきましては、多摩センター地区等の商業、文化、アミューズメント機能の質的な向上や、業務機能、研究開発機能のさらなる集積が期待をされております。

○小礒委員 先ほども申し述べましたように、都において、多摩ニュータウンは、多摩センター地区を中心として、多摩の心として位置づけされております。多摩地域を魅力あふれる自立都市圏としていくための広域的な拠点とされております。
 多摩ニュータウンは、人口一千百万人を擁する首都圏西部の中心的位置であります。首都圏基本計画でいわれている広域連携拠点のかなめでありますし、したがって、東京都の中においても重要な位置を占めているわけであります。
 都としては、多摩ニュータウン、とりわけその中心である多摩センターがその役割を担えるような拠点としていくために、これまでどのような取り組みを行ってこられましたか、また、今後どのような取り組みを行っていくのか、お伺いいたしたいと思います。

○成戸東京都技監 都は、平成十年四月に多摩の心育成・整備計画を策定いたしましたが、多摩ニュータウンの拠点形成に向けまして、多摩都市モノレールや多摩川架橋を初めといたします広域交通基盤整備、あるいは面的整備事業などの促進に努めてまいりました。
 また、昨年三月、新たに多摩市が業務核都市に位置づけられたことを踏まえまして、現在基礎調査などを実施いたしておりまして、関係市とともに、業務核都市基本構想の策定に向けて取り組んでいるところでございます。
 今後とも、民間の創意、活力を生かしながら、地元市などとの役割分担のもとで、魅力ある拠点として、多摩センターなど多摩の心の育成・整備に努めてまいります。

○小礒委員 そこで、総体的な取り組みは、今のようなお話だと思います。それをまた現地に落としてみると、やはりいろいろな問題もありますし、そこでもう少し具体的にお伺いさせていただきたいと思います。
 まず、四市にまたがりまして、三千ヘクタール、計画人口が約三十万、この多摩ニュータウンでありますが、東京都は総合調整者という立場、これでよろしいんでしょうか。

○久保田多摩都市整備本部長 お答えいたします。
 事業は、都を初め、公団その他地元市と一緒にやっておりますけれども、都としては、総合調整者という位置づけでございます。

○小礒委員 これだけ、三千ヘクタールの広大な面積を擁する、当然にして府県行政の立場から総合調整者であると。その中で、例えば先ほど私が申し上げました業務核都市にも指定されまして、多摩の心の一つ、多摩センターを取り上げさせていただきますと、これは南側が住宅・都市整備公団ですね、北側が十三ヘクタールを保有している東京都と、大きく分けますとそういうような区分けになると思いますが、この中で少なからざるも南側にも都有地、また施設が点在しておりますから、そのような中からお聞きしたいと思いますが、ここで例えば昨今、有効活用していきましょうと。これは多摩都市整備本部も南大沢で施行されますが、アウトレットモールですね、基盤公団も、SWという一定の、これはいわゆる十五年貸与しまして、計画を策定したんです。
 これは、かなりいろんな反応がありまして、当然にして地元市に相談する、近隣の住民にも当然相談するわけでありますが、これが少し問題がこじれてきました。これらのことについて広く見ると、にぎわいを持たせていかなきゃいけない。そしてまた、一つの拠点を形成していく中で、私は、当然にして東京都の方にも、これの一定の経過報告等がなされるべきじゃないかと思うんですが、この報告があったかどうかですね。
 もう一点は、多摩都市整備本部で取り組んでいる再構築ですね。三十年たった多摩ニュータウンをいかにしてより活性化させていくかという試みでありますけれども、これに伴って、国及び公団は、ほとんどダブるがごとく、またこの同じような委員会を立ち上げているわけですが、これは事前に東京都の方にもそれらの話があったんでしょうか。
 地元市から私は話を聞いたんですが、都市計画局でございましたか、多摩本の方でありましたか、私が問い合わせしましたら、今の二つの事例は一切聞いていないというお話があったわけですけれども、総合調整者としての東京都の立場というのは、私は、このあたりでもう一度関係者と連携、協議をすべきじゃないのかなと思うんですが、そのあたりどうでしょうか。

○成戸東京都技監 多摩ニュータウンも、もう事業が始まりましてから三十年ばかりたちまして、当初の事業に比べますと、また新たな問題が出てきているわけであります。
 そこで、事業者であります都市基盤整備公団あるいは私どもの東京都、こういったところで現在事業を行っておりますので、関係する市も加えまして、新たな問題に対応した形で問題の解決に当たっていく、こういうことが必要であろうと思います。
 今ご指摘のような点も踏まえまして、住宅・都市整備公団等とも連携を密にして、事に当たっていきたいというふうに考えております。

○小礒委員 まず協議を当然すべきであると。その協議をすべきなのは、やはり公団であるし、また総合調整者である東京都に、国もやはり一定的な情報なり流すべきだと私は思います。
 ある政府関係者が視察をした折に、せっかく来られるんだから、東京都の副知事も行かなきゃいけないと駆けつけた。ところが、座る席もない。移動する視察の、座る移動バスの席も与えられない。こういうはっきりいって屈辱的なときはーー私も話を聞かせてもらいました。総合調整者である東京都として、これは余りにもひどいことではないかと思うわけでありまして、私はこれに対しまして抗議をいたしました。
 そういう中で、今後とも、私が今申し上げた総合調整者としての機能といいましょうか、立場といいましょうか、このあたりを明確にしていただいて、まだまだ課題というものは山積しておりますし、最終的完了までまだ時間があるわけでありますから、ぜひ東京都の主体というものを明確にあらわしていただきたいと思います。
 それではご答弁をお願いいたします。

○成戸東京都技監 お答えいたします。
 先ほどご答弁申し上げましたように、日々やっぱり多摩ニュータウンも新しい問題が起きてまいります。そういった問題に対応していくのが私ども行政の役割でございますので、ただいまご提示のありましたような問題も含めまして、これから、私ども中心になって調整していきたいというふうに考えております。

○小礒委員 よろしくお願いしたいと思います。
 いずれにいたしましても、業務核都市、多摩の心にふさわしいさらなる土地利用が、これからもしっかりとコントロールされつつ、東京都が進められていくべきではないかと思うわけでありますけれども、一月に知事もおいでいただきまして、いよいよ念願でありましたモノレールの開通が迎えられたわけでありますが、いよいよ多摩センターのポテンシャルを活用した業務核都市や、多摩の心にふさわしいまちづくりを誘導できる条件も整ってきたと。
 特に、先ほど申し上げましたように、多摩センターの北側には十三ヘクタールの都有地が、今全く手つかずであるわけですね。この北側の都有地の活用、それから一定的な、整然とした町並み整備か、商業の活性化か、いわゆる研究施設を誘致するか、これらのことをもう具体的に進めていく時期ではないかと思うわけでありますが、そのあたりはどうなっているのでありますか。

○久保田多摩都市整備本部長 多摩センター駅北側地区は、南側地区とあわせて業務核都市、多摩の心にふさわしいまちづくりをすべきものと考えております。
 この地区に導入すべき機能等につきましては、地元市とともに平成十年度から検討してきておりまして、教育・研究施設や情報関連の業務施設を誘致するなど、この地区にふさわしい機能の導入を図っていきたいと考えています。

○小礒委員 いずれにいたしましても、多摩ニュータウンという大きな、これは東洋一、日本で一番大規模ないわゆる住宅をつくったわけでありますけれども、そこはもはや住宅だけではなくて、大学であるとかさまざまな教育機関、研究機関、そして会社及びさまざまなレジャー施設もここで立地されてきました。整備されてきました。さまざまな顔が、この多摩ニュータウンというこの中でも、人工的であるけれども、三十年の歴史を経過する中で根づいてきました。
 ここをふるさとにするという子どもたちも出てきているわけでありまして、その中で、実は私は、東京都、ひいては首都圏を支えるに足りる潜在的なポテンシャルを秘めたまちだと思っているわけでありますが、このような多目的なさまざまな顔を持つ多摩ニュータウンに、知事、知事が本当にいわれたかどうかわかりませんが、このまちは色気のないまちだなと、何かいわれたかどうかわかりませんけれども、ぜひ私は、いろんなさまざまな時間の経過の中で、このまちを、このいわゆる壮大な計画を進めてきている多摩ニュータウンを、ぜひご視察いただけないかと思うわけでありますが、知事どうでしょうか。

○石原知事 ご要望がありましたんで、一度じっくり出向いて、いろんなものを眺めながら、また勉強させていただきたいと思います。横のあきる野にも用事がございますんで、一日費やして参りたいと思います。

○小礒委員 ありがとうございます。多摩ニュータウンをご視察いただけるということ、本当に心からありがたく、また歓迎させていただく次第であります。
 それでは三問目に移らせていただきたいと思いますが、教科書の採択における問題であります。
 特に、現在の教科書採択における教育委員の権限の空洞化が続いていると。実際上、法的にも教育委員会が教科書を最終的に採択していかなきゃいけない、こういうプロセスが当然にしてあるわけでありますけれども、それが流れとして学校票方式であるとか、またさまざまな学校においての研究会であるとか、それらのもとで、実質、選定調査委員会ですとか、そのあたりで絞り込みが行われて、実際的に教育委員会が採択をするというのは、もはや単なる承認に終わっているんではないかと、こういう現状を指摘されるわけでありますけれども、実際はどうでしょうか。

○中島教育長 市町村の教育委員会に対しまして、昨年十月に教科書採択の事務処理の適正化について指導を行ったわけでございますが、その中で採択状況に関する実態調査を行いました。
 その際に、採択に関する根拠規定の整備あるいは教育委員会から採択委員会等に対する諮問、答申のあり方、あるいは開かれた採択の推進、例えば保護者等を加えていない等々の面で、一部の市町村教育委員会に問題がございました。そのための改善の指導を行ったところでございます。

○小礒委員 今まで、二十三区特別区教育委員会に教科書採択権限がなかったと。しかし、ことし四月からこの権限が都から区に移管されるわけですが、その中で都教委は、一昨年九月の特別区教育委員会の権限移管についての説明を皮切りに、その準備を進めてきた。これを受けて、二十三区での教科書採択の要綱制定を進めているわけでありますけれども、採択権者である区教育委員会の採択権の行使を制限、侵害する問題の、今いいましたような学校票の温存と絞り込みを是認するようなものに現実なっていっているんではないか、こういう指摘があります。
 こうした特別区が制定している要綱は、法の趣旨にも反するものであり、都教委の指導は、結果的に空振りの状態になるのではないかというような危惧もあるわけでありますけれども、このあたりの都教委の見解を求めたいと思います。

○中島教育長 今お話がございましたように、昨年九月に、四月から行われます採択権限の区移管に伴いまして、区教育委員会に対する説明会を行い、採択権限の移管に伴う事務処理の適正化について周知を図ったところでございます。
 また、さらに十二月には、特別区指導室長会において、教科書採択に当たっては、いわゆる教科書検定基準の中で示されている学習指導要領の目標等に従うこと、及び各区教育委員会の教科書採択権限を侵害しないことについて、改めて指導の徹底を図ったところでございます。
 今後、各区の教育委員会の採択要綱等の制定状況を早急に把握した上で、指導助言していく所存でございます。

○小礒委員 二十七市五町一村の多摩地域及び島しょ地区では、従来から、いわゆる教科書採択の権限をさまざまな地教委に付与されてきたわけでありますけれども、その実態はもう申すまでもありませんけれども、採択権限のないーーいわゆる教育委員会は本来採択するところですね。前段の教員または学校調査会の段階でもはや絞り込んでいってしまっていると。こうした諮問調査機関に一社または二社に絞らせないように、是正策が必要だろうということを再三再四求めていたと思うんです。でも実際上、多摩地区と島しょ地区においては、このような事実が数多く見られるということ。
 都教委の、まず、多摩地域と島しょの現状についての認識と取り組み状況についてもお願いしたいと思います。

○中島教育長 繰り返しになって恐縮でございますが、各区市町村の実態ーー各市町村教育委員会の教科書採択事務の採択状況に関する実態調査を行った際に、一つは、採択に関する根拠規定の整備が不備である点、あるいは市町村教育委員会から、その下部機関である採択委員会等に対する諮問のあり方、これが例えば文書できちっとされているかどうか、あるいは採択に関する手続が開かれた状態に置かれているか、例えば、採択方針が公開されているか、あるいは採択結果が公開されているか、それから、その採択委員会に保護者の代表が加わっているか等々の問題につきまして、一部の市町村の教育委員会に問題があるという状況を私どもは把握いたしましたので、本年二月に、これらの問題点の改善について指導したというところでございます。

○小礒委員 地方教育行政の組織及び運営に関する法律第二十三条は、教育委員会の職務権限の一つとして、教科書その他の教材の取り扱いに関することと、いわゆる明記しているわけですね、教育委員会に対してですね。
 本来、この権限が正しくまさに行使されていれば、今指摘してきた教科書問題はなくなるんではないかと思うわけです。このあたりの指導監督をしてきたというお話でありますけれども、私は今、教育委員会からいただいた資料も含め、さまざまな地教委からも資料をいただく中で、やはりこのあたりがもっとしっかりしなきゃいけないということと、指導監督というのは、言葉だけじゃなくて、実績をやはり上げていただきたいと思うんです。
 いわゆる都下、多摩地域二十七市五町一村の地教委の今までのことを踏んまえれば、これは何としても、二十三区の区委員会がこれからその採択権を付与されていくわけでありますから、それに対する適切な指導をぜひお願いしたいと思うわけであります。
 教育委員が、みずからに教科書採択権の決定権があることを、まず今申し上げましたように自覚をしていただくということと、事務局が作成した原案をそのまま認めるようなことのないように、いずれにいたしましても、しっかりとした判断をしていただくと。
 現状の教育委員会制度の甚だしい空洞化について、ぜひ知事の所見をお伺いさせていただきたいと思います。

○石原知事 教科書は、教育のために非常に有効な、何といいましょうか、材料の一つでございます。それで、これがそれぞれ皆さん違った史観をお持ちでしょうし、価値観をお持ちでしょうが、やっぱり非常に偏っているという総体的な認識を持たざるを得ません。そして、それがまた選ばれる過程で、決められていることが実際に行われていない。
 それは、教育委員に何もかも、何百冊も教科書を読ませるわけにいかないんですから、それを事前に精査する、そういう手だてもあってしかるべきであり、私自身も幾つかの文学賞の選考委員をしていますけれども、全部読むわけではございません。二段、三段階、ある専門性を持った人たちが読んで振り落とされてくるわけで、最後の幾つかを教育委員が選ぶというような、そういう方法があってしかるべきだと思いますけれども、やっぱり決められている手続がきっちり行われていないところに、今日の教科書の非常に深刻な問題があると思います。

○小礒委員 あと、通告を二問残しておりますけれども、非常に限られてまいりましたんで、後日、この二問につきましては取り上げさせていただきたいと思います。
 まだ若干時間がありますので、私は若干触れさせていただきたいわけでありますけれども、特にこの教科書問題につきまして、みずからの国の歴史というものを正しく理解する、またさせることは、やはり公に携わる者の使命ではないかと思うわけであります。
 少なからざるも一定の歴史の中において、我が国がすべて悪いがごとく、その歴史のいわゆる背景、歴史が起きた世界的な中においての事実関係、これらの前後を教えないで、日本悪者論といいますか、すべて日本が悪いのである、それとまた、正確な記述のない中で、正確な歴史的な確定がない中で、やはり従軍慰安婦の問題や、そしてまた南京事件の問題を踏んまえて、私は、やはりもう少しこれらの問題を正しく、そしてまた公平に、純粋な子どもたちが日本の歴史を正しく理解して誇りと自信を持てるようなそういう教科書、そして教育を進めるべきだと最後にお願いして、質問を終わります。(拍手)

○清原委員長 小礒明委員の発言は終わりました。

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