東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○清原委員長 丸茂勇夫委員の発言を許します。
   〔委員長退席、植木副委員長着席〕

○丸茂委員 初めに、中小企業対策について伺います。
 バブル経済崩壊後、今日まで続く九〇年代不況は、かつて都民が経験したことのないような深刻な事態を迎えています。何度にもわたる国の景気対策にもかかわらず、そして何回も桜の時期が来ればなどといわれましたけれども、景気は上向くどころか、逆に落ち込みを続けているのです。
   〔資料配布〕
   〔「何、これは」「この資料配布については理事会で聞いていないよ」と呼ぶ者あり〕

○丸茂委員 私ども日本共産党は、昨年、中小企業政策を発表し、都内一万一千カ所を超える中小企業、中小企業団体を訪問し、ひざを交えて懇談を行ってきました。(発言する者あり)行く先々でこの不況を何とかしてほしい、東京都は真剣になって支援してほしいなどの切実な声が寄せられました。(発言する者あり)私は、まず何より、景気回復のためには、個人消費を拡大すること、そして経済の主役である中小企業をその役割にふさわしく位置づけ、支援していくことの重要性を改めて実感しました。
   〔「理事会の中で説明がないじゃないか」と呼び、その他発言する者あり〕

○植木副委員長 ちょっとストップしてください。
   〔速記中止〕

○植木副委員長 速記を始めて。
 この際、議事の都合により暫時休憩いたします。
   午後二時三十五分休憩
   午後二時四十五分開議

○植木副委員長 委員会を再開いたします。

○丸茂委員 まず、資料配布をお願いいたします。

○植木副委員長 資料を配布してください。
   〔資料配布〕

○丸茂委員 私は、まず何より、景気回復のためには個人消費を拡大すること、そして経済の主役である中小企業をその役割にふさわしく位置づけ、支援していくことの重要性を改めて実感しました。無秩序な大型店の出店と時間延長と戦っている商店、規制緩和に苦しんでいる地域の酒屋さんや薬屋さん、不況のあおりを最も受けている建設業など、どれもこの場で取り上げたい問題が山積みですけれども、きょうはその中でも、私の地元である城南地域を中心とする製造業支援について伺います。
 まず、工業集積地域活性化支援事業についてです。
 我が党の提案をきっかけにつくられたこの制度は、スタートしてから早くも四年がたちました。最初に指定を受けた大田、品川、墨田、足立などでは、既に新製品の開拓など成果を上げ、何より行政と中小企業が一体となった取り組みが始められているのが特徴です。
 大田区では、新製品・新技術開発助成事業が平成十年度十三件が、十一年度に二十六件と倍にふえていることが特徴です。例えば環境型開発では、ペルチェ素子による冷却用コントロール基板を使用する事業が助成事業として認定されました。これは、これまで冷蔵庫がフロンガスで冷却していたものが、フロンがオゾン層を破壊するものとして規制が強化されるもとで、一切ガスを使わず、ペルチェ素子基板に電流を流すことによって温度の上げ下げが可能となり、既に外食産業の卵を冷蔵保存することに使われているとのことです。
 また、知事も先日訪ねられた缶のプルトップの開発で有名な谷啓製作所は、新たに、ブリキ製の缶詰が化学塗料で処理されているため環境ホルモン物質が溶け込むとして、その対策として、缶詰に炭化プラスチックフィルムのラミネート張りにすることで改善する開発など、さまざまなアイデアが発揮されています。これらは活性化事業の成果の一つです。
 このような取り組みが行われている中で、来年度には、最初に指定を受けた地域の工業集積地域活性化事業が終了しますが、今日明らかなことは、工業集積活性化事業を継続させ、発展させることが、東京の産業の活力を取り戻す上でも極めて重要だということです。地元自治体も業者も、継続を強く要望しています。
 そこで、来年度以降も継続するためには、今決めて取り組み始めることが必要ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。

○大関労働経済局長 ご承知のように、本事業は、工業集積地域の活性化を図ることを目的といたしまして平成八年度に発足いたしまして、平成十二年度まで各年度四地域、合計二十地域を指定する予定でございます。
 事業期間は五年間ということになっておりまして、平成八年度に指定した地域につきましては、平成十二年度で終了するということになってございます。
 今後、地域の工業振興施策のあり方につきましては、区市等と意見の交換を行いながら、事業の具体的な成果を検証した上で検討してまいります。

○丸茂委員 来年度で早いところは事業が終了するわけですよね。終わってから検討するなどといっているのでは間に合いません。この事業は、区市町村が計画立案するからこそ、力を発揮しているのだと思います。それなりの準備期間も必要なので、そして何より東京都が、今から来年度以降も続けることを約束されることが、どれほど業者と地元自治体を励ますことになるのか、よくお考えいただきたいと思います。
 大田区の工業振興審議会は、この事業は平成十二年度に終了が予定されている時限的事業であるが、これまでの交付企業に見られる事業効果や申請件数の増加が顕著なため、平成十三年度以降の事業継続を望むという答申を出しています。
 どう考えても、事業が終わって新しい年度に入ってからでは、区市町村は間に合いません。違うでしょうか。区市町村の立場に立てないのでしょうか。いかがでしょうか。

○大関労働経済局長 工業集積地域活性化支援事業につきましては、この間、大田区におきましても新技術開発等の支援等をやってきたわけでございます。地域の中小企業の特徴や課題につきまして具体的な成果を上げていることは、よく承知しているところでございます。
 お話のように、本事業は、最終的には平成十六年度ですべてが終了するわけでございます。その時点で、その成果の全体を総括して検討していきたい、このように考えております。

○丸茂委員 私は、成果を上げて、それが東京の工業の活性化につながっているんであれば、やっぱりもう来年度で終了するーーそれを継続発展させるというのが、私は行政として、東京の産業として大事だと思うんですよ。
 また、先ほど紹介しました大田区工業振興審議会は、この事業を高く評価しながらも、慢性的な不況の中で、助成限度額及び認定枠が満足のいくものになっていない現状にあると、施策の拡充を強く要望しております。
 この事業は大変喜ばれている事業でありまして、こうした事業にこそ予算を大幅にふやして期待にこたえるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○大関労働経済局長 お話のように、この支援事業は大変大きな評価をいただいているということはよく承知しております。
 本事業は、指定してから五年間のサンセット事業でございまして、現在の枠組みで計画どおり実施していきたい、このように考えております。

○丸茂委員 サンセット方式は、やっぱり成果があったら、それを継続すると。それが効果がなくて、どうしても見直ししなければならないというんであれば検討は必要だと思いますけれども、私はぜひきちんと成果を見ていただきたいと。
 また、事業窓口となる区市町村での対応に格差が生まれていることも、私、見逃せないことだと思っています。事業支援のノウハウや体制などの行き届いた支援の仕組みが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大関労働経済局長 こうした地域の活性化につながる事業を成功させるためには、区あるいは市が、自主的あるいは意欲的に取り組むということが基本であろうかと思います。
 このため、東京都といたしましては、区市の計画作成段階から相談に応じてきているところでございます。
 今後とも、産業技術研究所や商工指導所などを通じまして、適宜、指導及び助言を行っていきたい、このように考えております。

○丸茂委員 全国の道府県からも注目されている活性化事業をどう発展させるかは、東京の製造業を生き返らせる上でも、知事がいう東京の活力を取り戻す上でも、かぎを握る事業だと私は確信するものです。
 次に、東京の工業の発展にとって障害となっている工業等制限法の撤廃の問題です。
 この制限のために大企業は次々と東京を離れ、一方、中小企業は、工場を近代化させたくともままならないのが現状です。業者を訪問していわれることの一つがこの問題です。
 確かに、戦後の高度成長期に過度に人口が東京に集中し、工場からの公害問題も起きましたけれども、今日では、公害型産業から都市型産業に転換し、当初の目的からも大きく変わっています。生産性が第三次産業の一・五倍といわれる製造業の復活が期待されているのです。
 お隣の京浜工業地帯では、大企業を中心にした工場移転が地域経済に与える影響が問題となり、神奈川県が、企業、川崎市と一体で法律の撤廃と緊急対策としての適用除外、中小企業への特例措置を国に求め、精力的な活動を展開し、京浜地域の制限除外という大幅な緩和を実現させました。また、近畿地区では、臨海部、沿岸部の多くが適用除外を受けています。
 先ほど、ちょっと見にくくて申しわけなかったんですが、お配りしました。これが一つは工業等制限区域、本文はこういうきれいなカラーで、これは首都圏なんですね。このブルーに塗られたところが今回適用除外された。東京は、この大田区のわずか三つ。川崎市から横浜市にかけては、沿岸部にこれだけ適用除外がされております。
 あわせて、もう一つ、これの裏を見ていただきますと、近畿の工場等制限法の除外された地域が、黒くちょっと塗りつぶして濃くなっておりますけれども、これは近畿の状況ですけれども、兵庫県神戸市の長田区からずっと灘区、西宮市、尼崎市から大阪、堺市まで、沿岸部、これだけ適用除外になっております。
 また、このとき千五百平米以上の規制緩和も行われまして、東京は品川区、大田区だけだったんですけれども、近畿では大阪市、堺市、守口市、東大阪市、それから尼崎市。業種も、大阪の場合は百三十業種、尼崎は九十三業種、大田、品川は八十五業種だけだったですね。これだけ違いがあるわけですけれども、私は、東京の場合は極めて不十分な緩和にとどまっているんだと思います。
 ここが京浜地域でこんなに緩和されていることからも、東京で緩和されたこの一部ではなく、大田区、品川区に関して、ぜひ特定工業集積地域に指定されたこの地域を、地元業者からは、今からでも遅くない、製造業の生き残りを進めるために、知事が先頭に立って国に乗り込んで、東京都全域での緩和を引き出してほしいといっておりますけれども、知事、いかがでしょうか。

○石原知事 時代の流れとともに、製造業の性格といいましょうか、業種もかなり変わってきまして、昔のように、騒音も含めて公害の発生源、固定発生源であった製造業というのは大分少なくなってまいりました。そういう意味でも、私は、やはり東京の全産業の活性化のためにも、あくまでも業種によりますけれども、はた迷惑にならない、環境問題を阻害しない種類の企業ならば、生産業として東京で発展していくことは望ましいと思います。
 そういう意味で、例えば京都などはもう至るところに中小企業の製造業ありますけれどもーー都のですね、昔の古都の印象にそぐわないぐらいそういう中小の製造業がありますが、東京の場合もいろんな伝統もございますし、業種というものを想定しながら、やはりこの工業等制限制度については、引き続きこの見直しを図るように国に働きかけていきたいと思っております。

○丸茂委員 知事にもご紹介、認識の意味でちょっと示しておきたいと思うんですけれども、これは大田区の用途地域の図面です。今回解除されたのは、城南島、京浜島、昭和島という全く島だけで、それ以外にも工業専用地域だけでもこれだけあると。工業地域は多摩川沿いにもずっとあるわけですよね。これが制限法がかかって思うようにいかないということで、私は非常にまだまだ不十分ですし、工業地域は工業をやるために地域が指定されているという意味で、ぜひ積極的な働きかけをお願いしたいと思います。
 また、今回規制が緩和されたところでは、これをどう活用するかが問題となってきます。この際、工場アパートの促進や中小業者同士での工場の共同、協業化、集約化などを促進する仕組みをつくることなど、新たな事態に対応する支援事業の構築が急がれていると思いますけれども、どうでしょうか。やる気があるでしょうか。

○大関労働経済局長 お話の工業等制限法の緩和が進めば、市街地に立地しております小規模工場が、工場の規模拡大や集約化を図ることが容易になってくるということになろうかと思います。
 その際には、中小企業高度化資金制度を活用した工場アパートなどの集団化事業等の中で、区市町村とも連携しながら対応していきたいと考えております。

○丸茂委員 私、これから二十一世紀に向けて東京の産業をどう育成するか、こういう問題、大変大事になっていると思います。
 その点で、二月八日に開催された中小企業対策審議会でも委員の方から指摘されたことですけれども、今、都は産業ビジョンの策定を行っている、しかし、あらゆる産業を前提としているとはいえ、物づくりの位置づけが弱いのではないかと。産業ビジョンでは、中小企業、とりわけ物づくりをきちんと位置づけるべきではないのか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。

○大関労働経済局長 物をつくってこれを売ると、これが経済の基本であろうと考えております。我が国の経済の発展を支えてきたものも、こうした日本のすぐれた物づくりであろう、このように考えております。特に東京におきましては、世界に冠たる物づくりの技術を有する中小企業が数多く存在しているわけでございます。産業振興ビジョンの中でも、こうした物づくりを重要な柱として位置づけていきたい、このように考えております。

○丸茂委員 ぜひビジョンで反映していただきたいと思います。
 また、中小企業対策は独自の分野でありますので、中小企業対策審議会として独自に中小企業振興ビジョンを策定するなども重要であると思いますので、これは要望しておきます。
 また、産業支援策を考えるとき注意しなければならない問題は、ベンチャー支援の問題です。
 私も、ベンチャーが今日の情報化社会といわれる中で、その役割が期待されるものと考えます。しかし、国の施策が挙げてベンチャーというような事態には、率直に首をかしげざるを得ません。
 一方では中小企業基本法が改悪され、事実上中小企業支援から国が手を引いていく中で、ベンチャーのみがあたかも日本経済の救世主であるかのような接近は、立ちどまって考える必要があるのではないか、こう考えます。
 知事は本気で、こうしたベンチャー支援で東京の産業が活性化すると考えているんでしょうか。

○石原知事 ベンチャービジネスという言葉の概念規定というものが、ちょっと大きかったり小さかったり、論議の中でずれている感じがいたします。私は、先ほどあなたも例に挙げられました、大田区でわずか数人でやっているあの新しい缶の製造なんかも、あれはまさにベンチャービジネスだと思いますね。そういうものを含めて、やっぱり新しい発想で新しい技術を導入した新しい製品というものが、いずれの社会でも経済を活性化してきたわけでありまして、何かソフトというか、IT関係のソフトだけが私はベンチャービジネスとは思っておりません。
 でありますから、日本はやっぱり自由経済社会ですから、あくまでも競争原理であとは結果が出てくるわけでありまして、都としてすべき仕事は、いかなる業種にも先端的な、前衛的な仕事をしてもらいたいという形での要するに援助を、せいぜい機会の均等という形ですると。あとは競争原理が働いて、すぐれた発想の企業はすぐれた製品をつくり、伸びていく。その努力がない、能力のない企業はやっぱり淘汰されていく。これはもう仕方がないと思います。
 しかし、いずれにしろ世界の例をどこを眺めましても、自由経済社会では、やっぱり戦後のナショナルをつくったパナソニックの松下さんにしろ、ホンダをつくった本田さんにしろ、京セラの稲盛君にしろ、ソニーをつくった井深さん、盛田さんにしろ、これは全部ベンチャービジネスなわけでありますから、新しい発想で新しい製品をつくったから日本の経済が台頭してきたわけでありまして、私は、それに均等にそのチャンスを与える、その努力を支えるということが、都としての最低の責任だと思っております。

○丸茂委員 私も、否定しているわけじゃなくて、やっぱりすそ野を支える、そういう中から革新も図っていくということで、特にベンチャーといった場合、物づくりですね、この辺は大事にしてほしいという考えです。
 そこで、この問題の最後に、城南の金属加工、墨田を中心とするアパレル雑貨、新宿、文京の印刷、製本の三つの地場産業を東京の産業の顔として位置づけ、振興を図ることを提案するものですが、いかがでしょうか。

○大関労働経済局長 お話の城南地域の金属加工業や都心周辺に集積する印刷、製本業等は、東京の代表的な地場産業となっておりまして、都民及び企業の生活、文化、情報を担う重要な産業でございます。
 都といたしましては、これまでも、これらの産業に対しまして、助成や融資等による支援を積極的に行ってまいりました。
 今後、産業振興ビジョンの策定に当たりましても、これらの産業を含め、都内各地に立地する多様な産業の活性化を図るため、その支援のあり方につきまして検討してまいりたいと考えております。

○丸茂委員 次に、臨海副都心開発について伺います。
 臨海副都心開発は、オフィスビルを中心に企業都市をつくる目的で、都民の税金は一円も使わないというふれ込みで進められたものです。しかし、バブルの崩壊とともに、机上のプランはもろくも崩れ、今日の深刻な事態を迎えるに至りました。そして、今日の状況は、企業の進出、長期収支、ビル三セク、交通三セクなど、まさにあちこちで火を噴いている状況といわざるを得ません。
 そこで、まず臨海副都心の土地利用ですけれども、九七年の見直し以降、進出予定企業が撤退するなどが起きていると思いますが、その土地利用の変化について示してください。

○浪越港湾局長 まず、平成九年度以降の進出についてでございますけれども、平成九年六月に、暫定利用事業者といたしまして、青海E・S・T街区に三件、九事業者を決定いたしました。
 次に、平成十年六月に、有明南LM区画の事業予定者として、松下電器産業及びテーオーシー・森トラスト・三和銀行グループを決定いたしました。
 また、平成十一年二月には、青海GH、LM街区に国際研究交流大学村の事業予定者、同三月に有明の丘病院用地に財団法人癌研究会の決定を行いました。
 続いて、辞退者でございますが、平成九年六月に、台場H街区から株式会社資生堂の辞退があり、同街区は第二次公募の登録対象区画としてございます。
 また、平成十一年十月には、有明南A区画の株式会社東京都市開発及び青海E街区のソフトバンク株式会社の辞退がございましたが、両区画とも現在登録を受け付けているところでございます。

○丸茂委員 それでは、二次公募については見通しがあるんでしょうか。時間がないんで、よろしくお願いします。

○浪越港湾局長 現在、二次公募の追加登録中でございますが、厳しい経済状況にもかかわらず、民間事業者からの問い合わせも多く、依然として臨海副都心への関心の高さがうかがわれます。
 なお、去る十三日に、有明南LM一区画への進出予定事業者でございました松下電器産業株式会社と土地賃貸借契約を締結いたしました。
 このような状況から、第二次公募についても十分に成算があるものと考えております。

○丸茂委員 いろいろいわれましたけれども、九七年の見直し直後、若干の企業の進出と暫定利用はあったわけですけれども、その後は、今、直近のご報告がありましたけれども、脱落者が出ています。一昨日いわれた松下電器、今も説明がありましたけれども、契約も、もともと九八年六月に進出を決めていたのが、ようやく契約にこぎつけただけのものでしかありません。
 大体、進出決定から契約までの地代は払われていないんですね。そんなに大喜びする話ではないと私は思うんです。結局、そうした穴埋めを国の救済や何かで何とか繕っているのが現状だと思います。
 二次公募に至っては、いまだに問い合わせがあるという話だけで、これは昨年末と同じことをいっています。一年間何をやっていたのか。結局、いろいろ努力しているけれども、見通しがつかない、これが本音だと思います。つまり、青島前都知事の見直し以降の事態は、改善するどころから、最悪の方向に向かっているのではないでしょうか。
 そこで、企業などの利用で収入を得るために設定された土地のうち、現在実際にどれだけが利用されているのかを調べてみました。驚きましたが、実際に利用されている土地は、暫定利用を除くと五十九万二千六百平方メートルで、全体の約四〇%にしかすぎません。六割が利用されていない、こういうことです。
 しかも、もう一枚皆さんのお手元にお配りしましたけれども、この図ですね。これは、この臨海で企業などの利用で収入を得るために設定された土地のうち、現在実際にどれだけが利用されているのかをまとめたものですし、この利用されている土地のうち八〇%は、住宅やテレコムセンターなどの第三セクタービルなど都が関与しているものと、公団など公的関与でつくられたものばかりです。これに対して、民間はわずか二〇%にすぎません。
 このまま開発を進めても、都の巨額の財政支援が頼みの綱という状態が続くんです。それがないと沈没するというわけです。民間活力だ、民間のノウハウを生かしてと鳴り物入りで進められた結果がこれなんです。
 この結果、長期収支の試算では、最初のときが、権利金、地代合わせて収入見込みが六兆九千六百億円であったものが、見直しのたびに引き下げられ、九七年の二月の見直しでは、当初の計画の期限であった二〇二一年までに一兆四千百九十六億円、当初のたった二割に減ってしまっています。これで採算が成り立つはずがないではありませんか。そのために都財政を三兆八千億円もつぎ込み、今後二兆円もつぎ込まなければならないんです。
 しかも、この一兆四千百九十六億円という見込みも、先ほど述べたように、その後、土地利用が進んでいないばかりか、辞退する企業などが続出しているわけですから、相当割り込んでいるはずですが、違うでしょうか。

○浪越港湾局長 平成九年度の臨海副都心開発の長期収支試算では、平成四十八年度の収支均衡年次までの都有地運用収入等を二兆五千三百七十八億円と試算しておりますが、平成十年度までの都有地の運用収入等は三千五百十七億円でございまして、約一四%を占めてございます。
 本格的に土地処分を開始したのは平成三年度からでございまして、また、既に有償処分面積の約四割が処分されていることから、収入額及び面積の点から見ておおむね順調に推移しているものと考えております。
 日本経済の景気が低迷している中で、臨海副都心では建設が相次いでいることに見られるように、開発が進展しております。今後も、都有地運用収入等について十分確保していけるものと考えております。
 なお、ただいまこれから一兆円、二兆円という大きなお金をつぎ込むようなお話がございましたが、ただいまご審議いただいております平成十二年度の臨海副都心開発への一般会計の負担額は、約七十億円でございます。したがいまして、臨海副都心開発に対する一般会計の負担は、都財政の約〇・一%、福祉関係の予算の約一・三%でございます。

○丸茂委員 いろいろいいわけしていますけれども、先ほどの答弁も大変私は甘い計算だと思います。
 九七年の見直しでは、一次進出企業はすべて進出が終わり、二次公募についても、進出を見込んで収支を計算しているんです。これだけ土地に穴があいていて、収支が狂わないわけはないじゃないでしょうか。それとも、進出しないことを織り込んでいたとでもいうのでしょうか。しかも、これまで三千五百億円の収益を上げているなどと喜んでいたら、私は大間違いだと思います。
 まず、これまでの収入のうち、大きな比重を占めているのが権利金なんです。しかし、これは一回限りです。また、最初にいいましたように八割が公的関与の施設ですから、都民の税金、都民の負担をもとにしているだけなんです。しかも、長期的には賃料が勝負なのに、見通しが立たない。今日のビル需要を見れば、引き上げを迫れば出ていってしまいかねない、こういう状況にあり、値上げなど望むべくもないと思います。どう逆立ちしても、うまくいくはずはないと思います。
 最近、労働経済局所管のファッションタウン及びタイム二十四の経営を国際貿易センターに委託するという話が出ております。まず、ファッションタウン及びタイム二十四の経営状況を聞かせていただきたいと思います。あわせて、債務超過についてもお伺いいたします。

○大関労働経済局長 平成十年度末決算でございますが、東京ファッションタウン株式会社は、経常損失額四十億円、累積損失額百六十一億円となってございます。株式会社タイム二十四は、経常損失額二十億円、累積損失額七十六億円となってございます。

○丸茂委員 民間だったら、もうとっくに倒産している状況ですね。大体、知事がよくいう競争力がないんですから。それを東京都が至れり尽くせりの支援をして、やっと運営しているのが現状だと思います。
 そこで伺いますけれども、ファッションタウン及びタイム二十四に入居している都施設の状況と移転経費、家賃などの経費をお尋ねいたします。

○大関労働経済局長 東京ファッションタウン株式会社の方でございますが、平成八年十月から、創業支援施設といたしまして中小企業振興公社が入っております。それから、十一年四月からは技術専門校が入居してございます。この際、専門校の移転経費といたしましては約二億三千万ほどかかってございます。それから、次の株式会社タイム二十四でございますけれども、平成八年十月から、創業支援施設といたしまして中小企業振興公社が入居してございます。
 両社にかかわる経費、これは十二年度予算計上額でございますけれども、八億四千万円となってございます。

○丸茂委員 民間がなかなか入らないから、公的施設を入れて税金を投入している、こういうことが明らかだと思います。
 しかも問題なのは、二つの第三セクターの経営を国際貿易センターに委託する問題です。改善策の内容は、委託とあわせて、銀行の金利減免、地代の延納などを行い、何とか償却前黒字を達成しようというのです。しかも、委託しても、ファッションタウン及びタイム二十四の二つのビルの賃貸の部分の床がふえるわけではありませんから、この措置によって二つのビルの経営が劇的に改善されるわけではないんです。むしろ、ビル需要を見ると供給過剰状態が続くわけですから、さらなる経営悪化に見舞われるのじゃないか、こう思うんですが、ファッションタウン及びタイム二十四に赤字が出た場合、どこがその分を埋めるんでしょうか。

○大関労働経済局長 経営改善策によりまして、二社の事業を株式会社東京国際貿易センターが集約することとなりますので、当然これは利益が出れば貿易センターですし、赤字が出れば、これから先の赤字は貿易センターが負うと、こういうことになります。

○丸茂委員 今ご答弁あったとおり、もうからなければ貿易センター持ちということが明らかになりました。二つのビルの赤字を貿易センターが補てんしてやる、こういう仕組みになっています。
 そこで、最近オープンした有明パークビル、これは貿易センターのオフィスなんですが、このオフィス棟の入居率はどうなっているでしょうか。

○大関労働経済局長 有明パークビルは、ホテル棟とオフィス棟と店舗棟、この三つに分かれてございます。ホテル棟は一〇〇%の入居率でございます。それからオフィス棟、これは四・二%と大変少のうございます。それから店舗棟、これは九八・四%入居しておりまして、ビル全体でカウントしますと八三・六%の入居率となってございます。

○丸茂委員 私は、オフィスがどれだけ入居しているんだということをお尋ねしたわけなんです。四・二%なんですね。これまで第三セクターのビルが幾らひどくても、オープンのときからがらがらあきというのはありません。
 委託を受ける貿易センターには、もともと晴海の国際見本市の経営をやっていたのですから、ビルの経営のノウハウがあるわけではないんです。これは、貿易センターの方が自分で認めていました。だから、貿易センターも、オフィスの関係は別の不動産会社に委託しているはずです。
 伺いますが、国際貿易センターの所有する主な資産とはどんなものがありますか。

○大関労働経済局長 これは平成十年度の決算でございますが、資産の合計四百十億円となってございます。内訳を見てみますと、流動資産八十一億円、固定資産が三百二十九億円となってございます。

○丸茂委員 貿易センターも、毎年の最近の損益は赤字になっているんですね。その資産というのは、かつての晴海展示場の土地を売ったお金なんです。もともと東京都が現物出資していたものなんです。何ということはない、貿易センターの資産を当てにして、それを食いつぶして延命を図ろうということではありませんか。
 しかも、知事は三月十一日付の朝日新聞で、明らかに全く採算の立たないプロジェクトがあったわけですから、それをつぶしていたら随分楽になったと思うと述べていますが、そう思われるのであれば、全く採算の立たないプロジェクトの代表である臨海副都心開発こそ、立ちどまって再検討すべきではありませんか。いかがでしょうか。

○大関労働経済局長 これは誤解があるといけませんが、あくまで事業統合でございます。それぞれ三つの会社があるわけでございます。
 それで、過去の借金、これはそれぞれの会社に置いてあるわけです。これからの、何といいますか経営につきまして単年度でカウントしますと、これはぎりぎり黒字になると、こういう見通しが立ちましたので、事業統合をして、その中で、統合することによるいろんな人件費といいますか、役員を例えば十二人も削減したり、こういう形でのスケールメリットを出しながら、再建に向かおうということでございますので、例えばこれは今契約は十年になっておりますけれども、十年後になってみましても、これが大変な足手まといだというふうな話になれば、これはその段階で見直すことになろうかと思います。

○丸茂委員 そもそもこの委託という問題も、赤字同士の企業を合併したい、だけど商法上それも認められないと。いろいろ考えあぐねて、こういう委託という形になったんですが、先ほどやりとりしたとおり、それぞれの企業が赤字、そして十年後なりに、じゃその見通しが本当にあるのか、家賃収入等も今後増収を見込むというようなことも書かれておりますけれども、私は、その見通しが本当にあるのかどうか、非常に疑問に思っています。
 知事、企業は進出を嫌がって空き地ばかり、財政は大赤字で、都財政の大きなおもしとなって、孫子の代まで借金漬け、こんな事業が、どうして東京の活力と創造力を生み出す新しい重要な事業といえるのでしょうか。
 臨海副都心開発という不良債権をきちんと処理することなしに、東京の活力も都財政も立て直せないことを指摘して、質問を終わります。(拍手)

○植木副委員長 丸茂勇夫委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時二十四分休憩

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