東京都議会予算特別委員会速記録第五号

○石井副委員長 三原將嗣副委員長の発言を許します。
   〔石井副委員長退席、委員長着席〕

○三原委員 与えられた時間が大変限られておりますので、理論的というか体系的な質問ができなくてまことに申しわけございませんが、お許しをいただきたいと思います。
 また、常任委員会で議論すべきような内容も若干ございますれども、常任委員会は、ご承知のように知事がご出席でございませんので、事務レベルではなかなか結論が出しづらいというような問題もありますので、あえてこの予特に持ち込ませていただきましたから、お許しをいただきたいと思います。
 最初に、今回の第一回定例会でも大変重要な議題として議論が交わされております都営住宅の減免制度のことについてお尋ねしたいと思います。
 東京では、都営住宅が二十五万六千戸強あるわけでございます。知事はご存じかどうかわかりませんが、一番都営住宅がたくさんあるところ、おわかりでしょうか。ーーでしょうね、ご存じないかもしれません。私の選挙区の足立区でございまして、三万一千戸余あります。三万一千戸あるということは、例えば人口に直すと六万とか六万五千で、ちょっとした市並みなんですね。都営住宅市があるようなものでございますから、これは大変なんです。
 したがいまして、単に私の地元ということだけでなくて、都民の皆さんにもそういうことをよくわかっておいていただきたいと思いますし、行政の皆さんにもぜひ理解していただきたいと思います。
 ちなみに、二番目に多いのは江東区、北区と、こんなぐあいでございます。
 話題になっております減免も、やはり住宅戸数が多いですから、それに比例して大勢おられまして、足立区は、その約三万一千戸のうち五千五百五十九戸、減免対象になっておられる方がおります。したがいまして、これは私どもが大変強い関心を持って議論をしていかなきゃならない、こう思いまして、私も、昨年の秋以来、このことについて、ささやかですが、調査研究をさせていただきましたので、その集大成として、諸先輩、各議員もご質問なさいましたから若干重複をいたしますが、ご質問をしたいと思います。
 まず、減免制度を論ずる前に、東京における住宅あるいはまた都営住宅というのがどういう位置づけになっているかということも承知しておかなきゃいけないなと思っています。総理府の調査でございますと、東京に住んでおられる方の約六割は、まだ持ち家でなくて、借家とか公的住宅とか社宅とか、そういうところにお住まい、こういうことでございますので、持ち家に住みたいというのは、東京ではまだまだ高ねの花、こういう実情でございます。
 また、東京都が出しました住宅白書によりますと、いわゆる年間の所得三百万円ぐらいの方は、民間に住んでおりますと、家賃の負担が大体六万から七万円と、こうなっているんですね。ところが、東京都の都営住宅の制度で減免を適用いたしますと、この三百万円の方々が、既に減免の対象になり始めているんですよ。町のアパート、マンションに住んでいると、六、七万円払う。片や都営住宅に運よく入れると、年収三百万で減免制度の適用が始まって、二万二千円かそれより少ない金額で入って住むことができますよというんですから、もうそこで、既に、町の人と都営住宅に入っていることで、こういう差が出ている。これをまず基本的によく認識しておかなきゃいけないという問題でございます。
 それから、今さら申し上げるまでもないことでございますが、都営住宅を一戸建てるのには一千七百万から二千万ぐらいかかる、こういうふうにいわれておりますし、それを年間維持いたしますにも、維持費が十一万五千円ぐらいかかるといわれますし、そのほか事務的な経費、人件費もろもろ入れれば、都営住宅に係る費用というのは大変なものがあるわけでございまして、そういうのを、都営住宅に入らずに、そばで見ている人がどういうふうに思っているだろうかなということを実はよく考えて議論をしないといけないわけで、もちろん、都営住宅に入居しておられる方たちから見て減免制度がどうであるかという議論も大切です。
 きのう、ある特別な港区か何かの例を出しておやりになる方がありまして、命も奪うのかとかいうようなご発言がありましたけれども、それは、中におられる方はそういう考え方もあるでしょう。しかし、都営住宅に入るチャンスがなかなかめぐってこなくて、応募しても外れてというような方から見ると、こういった都営住宅の実態がもっと明らかになれば、え、それでいいのか、本当にそういうふうにやっているのかというご意見がたくさん寄せられて当たり前だと、こう私は思うんですね。
 そういった減免制度のことを、私も、昨年の秋以来から調べたり発言してまいりまして、一番都民の人がびっくりするのは、減額もしくは免除で百二十億円もあるんですよというと、それはもうびっくりします。百二十億円も減額免除していて、東京都、何で金がないなんてそんなこといってるんだよって、逆に私なんか怒られるんですね。
 あるいはまた、滞納料、家賃を払わなきゃいけないのに、事情があってちょっと払えないとか、事情がずっとあって払えないとかという方、五十四億円もあるんですよ。そういう二つのことをいっただけで、東京都は、都営住宅何やっているんだ、そんなに都民を甘やかしていいのかというおしかりが、逆に私なんかにはどんどん来ます。これは、ぜひよく、知事以下皆さん方にわかってもらいたいし、都民の皆さんもよく理解をしておいていただきたい。
 さらに、いろいろな事情はありますが、入居された方が子どもさんに継承していくというようなこともあったりしまして、都営住宅に当たるのは宝くじに当たったと同じじゃないか、こういわれているぐらい現状は大変なんです。ですから、そこをぜひ理解をしていただいて、やはり都営住宅に入っていない都民が、現在の都営住宅制度、特に減免制度をどう見ているかということをよく議論しなきゃいけない、こう私は思って、今までのご質問と重複しますが、あえて取り上げて関係者にお伺いしたい、こう思うんです。
 一番わかりづらいのは、政令月収で六万五千円以下は減額免除に順次対象にしていきますよというんですけど、政令月収六万五千円て、何か六万五千円の所得の人かなと一瞬思っちゃうんですけど、どうも違うようなんですね。
 そこで、例えば四人家族や何かの世帯だと、政令月収六万五千円というのは一体幾らぐらいの収入のことをいっているのか、あるいはまた、今、政令月収一万二千以下は免除なんですけど、それは幾らぐらいの給与をもらっている人が免除になっているかということを知っておく必要があると思うんです。
 申しわけないけど、ほとんどご存じないと思いますが、住宅局長、改めて数字を教えてください。

○戸井住宅局長 減額が適用される政令月収六万五千円は、標準の四人世帯の給与所得におきましては、月収約二十五万円となります。これは、年収に換算いたしますと約三百万円でございます。高齢二人世帯の年金所得では、月収約二十八万円となります。
 また、免除が適用されます政令月収一万二千円は、標準四人世帯では月収約十七万円、年収は約二百九万円になります。高齢二人世帯では、月収約二十一万円となります。

○三原委員 わかりました。月給二十五万円ぐらいであると、もう家賃をおまけしますよという制度に入っていくというのですから、いろいろな生活の仕方があると思いますから、二十五万円とか二十八万円が高いか安いか議論はありますが、私は、都民の一般的な感覚からいって、二十五万とか二十八万ぐらいの給与の方は既に都営住宅の家賃はおまけし始めますといって、はあ、それはいい制度だ、ぜひもっとしっかり守れっていうかしらと思いますよ。それは必ずしも世論に味方してもらえないなと、私は思います。ちょっと甘い、こういう感じがするんですけどね。
 そこで、今度改正されます改正案でいくと、いわゆる政令月収一万八千円、今の局長さんの理屈でいうと、これも教えてもらえばいいんですが、時間がありませんから、私の計算でいうと、二十二万円ぐらいになると、五〇%、五割家賃を下げようと、こういうことのようなんです。さらにそのほかに、それよりもさらに一定水準低いと、七五%にまで減額しますと、こういうんですけど、この、さらに一定水準の給与というのはどれぐらいのことをいっていますか。

○戸井住宅局長 七五%減額となる対象者の収入は、高齢二人世帯で月収約十六万円、母子二人世帯では月収約十七万円となります。

○三原委員 それじゃ、免除になる方は幾らでございましょう。

○戸井住宅局長 既免除者が、例外として一定の要件のもとで免除が継続される場合は、単身者では年収が八十万四千二百円以下、二人世帯では百六十万八千四百円以下でございます。

○三原委員 わかりました。要するに、今度五〇%減額される人は、いわゆる月収といういい方でいうと二十二万円、一定水準以下で七五%減額しますというのは十六、七万円と、こういう感じですね。で、免除される方というのは、お一人なら六万、お二人なら十二万円、こういうこと。そうすると、今までの旧来の制度から見ると、大ざっぱにいうと、半分ぐらいのところで考え方を変えていこうというんですから、これなら少し都民の皆さんにご理解いただける。
 中に入っている方は、それは、この間の銀行さんじゃないですけど、それは今までの制度が一番いいんで、変えられるのは嫌だっておっしゃるのはわかるんですけど、客観的に見てどうかという議論をここでしなくちゃいけないわけですから、これは当然住宅局がお考えのように進むべきだと、こう私は思いますが、そこで、いわゆる所得、収入、使えるお金、可処分所得とでもいいますか、それを捕捉するのに、今まではたしか課税証明みたいなものだけ出して、それで、収入お幾らですから、計算して何ぼと、こうやったようですけど、私は、可処分所得というのは、課税証明にかからないものも必ず入っているはずなので、それをどういうふうに捕捉されるのか、それから、判定なども、一遍判定したらずっとそのままいっちゃうというのはきっとないと思いますが、どういうふうにしておられるか、教えてください。

○戸井住宅局長 収入を的確に把握することは、ご指摘のとおり、極めて重要なことであると考えておりますが、今回の見直し案では、非課税年金も新たに収入として捕捉することといたしました。そして、年金額の確認は、減免申請や更新のときに申請書に添付された関係官公署の発行する年金支払通知書、これによりまして確認することといたします。
 また、年金支給の有無等につきましては、法的な制約が実はございますけれども、関係官公署に協力をいただきまして確認を行うなど、できる限り厳格に行ってまいりたいと思っております。

○三原委員 減免制度が都民に信頼されるかされないかは、お住まいになる方の所得をきちっと把握して、それに基づいて判断をするかどうかということにかかっているわけですから、きのうのご質問でもありましたけど、何か、減免制度を受けながら高級乗用車があるじゃないかというようなご指摘もありましたが、そういう問題も含めて、可処分所得をきちっと把握するというところがこの制度の信頼のもとですから、ぜひひとつよろしくお願いします。
 そこでもう一つ、この改正制度でいって、当初はいろいろ激変緩和措置みたいのがありますが、五年ぐらいたっても、まだ四十億か五十億しか増収にならないわけですね。そうすると、先ほどの百二十億から五十億ということになれば、七十億、まだ減免によるおまけ金額があるということで、東京都の住宅政策の中で七十億も減免のままでいいのだろうかというのは、私はこれはもっと議論していかなきゃいけないとは思いますが、ただ一つ、ここでぜひ、局長さん含めて理事者の皆さんに考えてもらいたいのは、要するに、低所得で生活が大変なので減免してください、してあげましょうということの行き着くところは、むしろ福祉政策にすっぽりはまってくるわけですから、それならば、生活保護という制度もあるわけですので、これは住宅局が全部、福祉的なことを住宅政策の中でしょい込むんじゃなくて、福祉局なんかと連携し、地方自治体と、市区町村や何かと連携して、生活保護や何かをお受けいただくことによって生活水準を上げていただき、住宅の家賃も正常に納めていただくというふうにむしろ進むべきではないかと思う。
 今は、福祉政策を都営住宅が全面的にしょい込んでしまっているという感じがしてならないんですが、そういう方向に修正する気はございませんか。どうでしょう、局長。

○戸井住宅局長 今回の減免制度の見直しに当たりましては、生活困窮の度合いに応じて、住宅政策上可能な限りの配慮を行いましたが、そこにはやはり受益に対する適切な負担など、社会的な公平を実現する観点等から、おのずから一定の限界があるというふうにつくづく思います。
 もとより住宅政策は福祉政策そのものではございませんが、これから本格的な高齢社会を迎えて、これまでにも増して福祉政策との密接な連携を図っていくことは重要なことであると考えております。

○三原委員 今、局長から、福祉政策とも連携してというお話がありましたが、家賃にかかわるところは、しっかりそっちと連携してもらいたいと思いますが、もう一つ、ちょっと知事に伺います。
 これは、なかなか事務当局にいっても決断がつかないので、知事にお願いしたいんですけど、東京都には空き家がございます。それはもちろん募集して埋めていってますが、そういう空き家の使い方の一つとして、知的障害者のグループホーム事業というのをやってもいいことになりまして、今、テストケースで足立区と立川市でやらせていただいておりますが、大変関係者から好評を得ているところでございます。
 それはまあ、住宅局のご配慮もあって、家賃をぐっと安くさせていただいているということもあるんですが、これはまさに、福祉を住宅局がしょうのなら、こっちの面でしょってあげるべきだと思っていまして、ことしから本格的実施をするということで、いろいろ希望の区市町村はあるんでしょうが、十カ所五十世帯分といいますか、五十戸ぐらい知事の決断で提供されたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。

○石原知事 先ほどのお話のように、住宅行政というものも、福祉性というものを当然含んでいるわけでありますけれども、それが過剰になり過ぎるといろいろな問題が出てくる。ただ、現況、そういう障害者の方々に場所を提供するということは、現に住宅の充足率というのは一〇〇%を超しているわけでして、あちこちに空き家もございますから、私は、やはりそれをそういう形に活用することこそ、住宅政策における福祉というものを充実する非常に格好な方便だと思います。

○三原委員 全く知事のお考えと私も一致しておりますので、早速事務当局に、空き家を提供するようご指示をいただきたいと思います。
 あわせてもう一つ、我が党の川井議員が一般質問でもお尋ねしたのでございますが、火災に遭われた方に、とりあえず短期間入居していただいたらどうだろうかという提案をさせていただきましたが、住宅局長は、法律上の建前もありますから、収入基準がある以下でなきゃいけませんとか、焼けた土地の所有権があったら入れないですよとか、こうおっしゃっているんです。局長は、職務上そういわないといけないのは当たり前でございますが、知事には、ぜひこの際決断していただいて、火災の罹災者に対して、収入は何ぼあるんですか、土地の権利証はどうなってますかって、そんなことを聞くよりも、とりあえず短期間でいいんですから、罹災者をすっと都営住宅に入れて救済してあげるということが、まさに都民の福祉のためにいいと思いますが、知事のご決断はいかがでしょうか。

○石原知事 都内における火事の件数、つまびらかではありませんが、焼け出された方が、その資力の条件いろいろあろうとも、当面の罹災者にそういう便宜を提供するということは、そのスペースさえあれば、これまた一種の福祉として行うべきだと思います。ただ、そのまま居住権が発生して居座られると困りますけれども、ある条件つきでそういう対策をすることは、まことにそのスペースを有効に使うために適切な目的だと思います。

○三原委員 どうもありがとうございました。大きな課題が二つ知事のご発言で解決して、都民も喜ぶと思います。
 それでは、ちょっと話題を変えまして、去る二月に、TDM、(交通需要マネジメント)東京行動プランというのが発表されまして、これは、東京の将来の公共交通機関をどう整備していくかという、知事になられてからの都民に対する大きなメッセージだと、こう私は理解しております。その中で、新交通システムの日暮里・舎人線についても触れておられまして、これは事業を進捗すべきだと書いてあるわけでございますが、実は、この十二年度の予算編成が始まりました秋ごろから、知事のご意向か、財務局のご意向かわかりませんが、この日暮里・舎人線の事業見直しをやる、こういうことになりました。
 そこで、鋭意見直しが行われたようでございますが、ちょっと担当局長さんに伺いますけれども、需要の見通しと、それから事業費の見直し、あわせて車両基地、これがかなり見直されたと思うんで、これが大きなポイントだと、こう思うんです。したがって、車両基地の中の車庫の部分とか検修工場の部分とかありますので、恐縮ですが、一緒に答えていただければと思います。

○成戸東京都技監 二点続けてお答えさせていただきますが、需要につきましては、社会経済動向の変化を踏まえまして、最新の交通量データを活用して見直しをいたしました。その結果、軌道法の特許申請時の見込みでございました一日約十万人という需要を三割程度下回る一日約七万人と想定しております。
 また、事業費のうち、インフラ事業費を概算で申し上げますと、既計画の九百億円から百十億円を縮減いたしまして、七百九十億円と見込んでおります。インフラ外事業費につきましては、需要の減少に伴いまして、車両の編成数あるいは車両基地規模の縮小が可能になるわけであります。こうしたことから、既計画では七百七十億円を見込んでおりましたが、二百四十億円を縮減いたしまして、五百三十億円と見込んでおります。
 それから、今回のこの見直しに当たりましては、こうした需要が減ったわけであります。そういった需要に見合いました車両編成数に削減をしたわけであります。
 また、検修サイクルに関する規制緩和もございまして、検修機能を外注することが可能になりました。
 これらのことを前提に、現在、舎人公園とその北側の民地に計画をいたしております車両基地の規模、構造、施設内容等を見直しているところであります。面積はおおよそ四ヘクタールから五ヘクタール程度になろうかと思います。構造は地下一層構造といたしまして、極力民有地部分が少なくなる方向で検討中でございます。

○三原委員 わかりました。
 特に、検修工場は、民地を買収してという当初計画でございました。都市計画決定がありますから、ここで余り議論してもいけないんでしょうが、民地を極力買収しない方向で対処する、こういうことでよろしくお願いいたします。
 そこで、もう一つお尋ねしますが、実は、この日暮里・舎人線の事業が始まるころまでは、東京都は、この事業は都が独自でやりますから、足立区とか荒川区とかに特別、金銭的支援はいいんですよと、こうーー文書に残っていませんけれども、当時の区の関係者がちゃんとそういう証言をしているんです。
 ところが、今回見直しをされましたところが、にわかに五百三十億円のインフラ外事業費のうち、三〇%を公的資金で、そのうち二〇%分が東京都、一〇%分が三区でひとつ負担してくれと、こういうことが突然出てきたわけでございます。
 これは、私がその場にいたわけでもありませんし、公的文書もありませんから、いったいわないを議論してもしようがないんですが、例えば多摩モノレールなんかも、私が調査した範囲では、公的支援は、今現在までの時点でいうと一・三%なんですね、パーセンテージでいえば。今度は一〇%三区で負担してくれと、こういうお話なんで、ちょっと金銭的なあれも唐突というか、金額も大ざっぱというか、どうも話が地元とかみ合わないなという気がしてならないんですね。
 したがいまして、いろんな経緯もあるとは思いますが、いきなり金出せという感じじゃなくて、いろいろ東京都と各区との財政事情の兼ね合いもありますから、もう少し何かやんわりと、必要最小限でこれぐらいというような話がないとーーもう出せないんなら工事やれないよみたいな雰囲気になったんじゃ、これはだめだ、こう思いますが、ぜひひとつ他の例もありますから、十二分に円満な解決をするような方向で交渉を進めてもらいたいと思います。いかがでしょうか。

○成戸東京都技監 今回、先ほど申し上げましたような需要量の見直しを行いまして、事業費を削減して、事業収支を新たに試算したわけでありますが、そうした形で経営を安定化させるためには、インフラ外事業費の三割の額の公的な支援が必要であるということが明らかになったわけであります。
 都といたしましては、財政状況が極めて厳しい中で、そのうちの二割を支援することといたしまして、残る一割につきまして、地域交通の充実に大きく寄与することになりますことから、新たに地元関係区に負担をお願いすることにしたものでございますので、ご理解を願いたいと思います。
 また、地元区の具体的負担の方法などにつきましては、今後とも十分に協議をして合意を得てまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○三原委員 今から本格的交渉ということでございますから、ここでやりとりしても時間がたってしまいますから、とにかくスタートのときから、でき上がった後の事業の主体がどこなのかというようなことも十二分によく考えていただいて、区と交渉してもらいたいと思いますが、そこにくぎを刺しておきますから、また改めて何かの機会でちゃんとやりたいと思います。
 もう一つ、荒川区側の方の工事がまだ目に見えておりませんものですから、ちょっと心配している方もありますので、荒川区側の工事と、もう一つ懸案となるであろうと予測されますのは、JR日暮里に乗り入れていくわけですが、乗り入れる側が全部費用を持って工事をやれというのが、どうもJRの今までの各所でのいい分のようなんですね。だけど、JRは幾らか得する部分もあるんじゃないかと思いますね。すべての場所で同じようなやり方というのも変だという気がしますので、原因者負担、乗り入れ側負担という考え方についても、ぜひ都側が新しい発想を持ってJRと交渉してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○古川建設局長 本路線の荒川区側における駅舎の設置や河川の横断などに必要な用地は、これまでに三分の一を取得しています。また、工事については、十一年度に隅田川の橋梁工事に着手しており、十二年度には、明治通りとの交差点付近などにおいて十二基の支柱工事を行う予定です。
 次に、JR日暮里駅への接続については、このたびの需要予測の見直し結果を踏まえ、連絡方法や費用負担についてJR東日本と協議中であり、引き続き粘り強く折衝してまいります。

○三原委員 よくわかりました。ぜひひとつ引き続いてお願いします。
 最後に、知事にちょっとお願いがあるんですけれども、実は、冒頭申し上げたように、この事業を見直すということが、財務局の強いご決意だか、知事さんの側近の方だかわかりませんが、そのことをまたマスコミが実にややおもしろおかしく書いたものですから、足立区や荒川区の方へ行くと、この日暮里・舎人線は何か中止らしいよとか、凍結しちゃうんだとか、いや日暮里まで行かないで途中で終わっちゃうんだとか、もう流言飛語がすごいんです。
 そこで、知事、お願いなんですけれども、一定でも終わりましたら、ぜひ現地を見ていただいて、なるほどこの地域にこの新交通システムは重要だということをいっていただくことで、足立、荒川、北区の区民は安心もいたしますし、またいろいろ工事に伴う障害があっても協力をいたしますから、ぜひひとつ知事さんの視察をお願いしたいと思いますが、どうでしょう。

○石原知事 日暮里・舎人線は、区部北東部の交通不便を解消するとともに、都が考えておりますTDMのプランにも非常に貢献するものでありまして、そういうことで非常に重大なプロジェクトと思っておりますから、既に特別秘書を現地に視察をさせて報告も受けております。でありますが、私自身も近々ぜひ現地に赴いて、実情を拝見したいと思います。
 それから、ついでにJRですけれども、JRの松田社長は私の親友ですが、なかなかしたたかな経営者でありまして、あちこちで相当強引に実績を上げていますが、乗り入れについてのJRの負担部分なども、そういう間柄ですから、ひとつ私もいろいろ仲介をしたいと思っております。

○三原委員 ぜひひとつよろしくお願いいたします。視察もお待ちしております。
 それでは話題を変えまして、清掃事業に絡んで申し上げます。時間がなくなりましたので、ちょっと質問を要約いたしますから、質問通告と少し変わりますが、ご協力をお願いします。
 清掃事業は、四月一日をもって区移管ということになるわけで、今日まで、都側でいえば清掃局の皆さんに大変ご苦労いただきまして、そのことには敬意を表したい、こう思います。
 そこで、区に移管された後、当然スムーズにいくはずなんですが、今一番心配されておりますことの一つに、今まで雇い上げ車両を出しておられた会社の皆さん方が、今度区が担当になってしまうと、今までの雇い上げ車両はほとんど無視されてしまうんではないだろうかというような不安を持っておられます。もちろん覚書をちゃんと交わしてやっていることなんでございますけれども、その覚書の中でも、将来ちょっと見直すようなことも触れてあるんですね。
 したがって、余計ご心配だと思うんですが、この雇い上げ会社というのは、知事さんもご承知だと思いますけれども、まさに明治以来、東京の都民の皆さんとのつき合いをずっとやってきて、大げさにいうと歴史と伝統のある業界なわけですね。時にはちょっとお耳にさわるようなことをいいますが、役所側から大至急これだけの人間を用意しろとか、こういう車を大至急段取ってみろとかというようなことがあっても、これ、お上のいうことだというんで、一生懸命業界も協力してえらい苦労したというような時代もあるやに大先輩から聞いています。
 そういう流れの中で、今日ある雇い上げ車両の会社でございますから、区に移管したらもう東京都は知らないよというんでは、長い間おつき合いした東京都としても、やや無責任といわれてしまうんではないかな、こう思うわけでございます。
 そこで、その覚書の中で、雇い上げ会社と、それから特別区と清掃協議会と東京都と、四者が話し合いを何かのときはしますよと書いてあるんですけれども、どういう場合に見直すのか。
 また、都というのは、清掃局なくなっちゃうんですから、どこの部門が責任を持ってくださるのか、そういうことについてお伺いしたいと思います。

○安樂清掃局長 覚書の内容を見直す場合とはどういうときかということなんですが、移管後に清掃事業をめぐる環境に変化が生じ、清掃事業の実施方法などが変わることにより、雇い上げ会社の選定や契約方法などを変更することが必要となったようなときを指しております。
 また、移管後の所管は、四月に新たに設置されます環境局移管事業調整室になる予定でございます。

○三原委員 それでは、その環境局の移管事業調整室、これが全責任を持って、もう移管したんだから都は関係ないんだよというような姿勢にならないように、ここはくぎを刺しておきますから、よろしくお願いします。
 そこで、ちょっとこの移管に絡んでお尋ねしたいんですが、清掃工場は、あるいはまたその工場の敷地は特別区の方に無償譲渡されました。ところが、清掃工場に隣接して還元施設というものがあるわけですね。スポーツセンターみたいなものだったり、住民集会所であったり、いろいろございますが、この施設は、都が当初お金出したり、あるいは各区が出したりしておりますが、その底地が東京都のものの場合、その底地はお貸ししますと、こうなってしまったんですね。
 区長さん方は、清掃工場の建物と底地を区にくださるなら、ひっついているその還元施設の底地だってこっちに一緒にくださいよというんだけれども、いやそれはだめだっておっしゃるんです。どうもそこは私も納得いかないんですが、いかがでしょうか。

○安樂清掃局長 お話にありました清掃工場の還元施設というのは、清掃工場建設の際に、地元区が工場周辺に設置した老人福祉センターであるとかプールなどの施設をいっております。還元施設の用地を区が用意できないようなときは、都がその底地を貸し付けるというようなこともありまして、したがいまして、還元施設の用地は、都有地の場合と区有地の場合と両方がございます。この都有地の場合については、清掃事業用財産ではないということから、今回の移管に当たりましては、区へ無償譲渡しないということで都区間の合意が成ったわけでございます。

○三原委員 いやそれは、区長さん方も、議論しても結論が出ないから、納得したんじゃなくて、もうあきらめかかっているんだろうと思うんですけれども、実はあきらめていないんですよ。どうも納得いかないといっていますよ、区長は。
 清掃事業用財産じゃないということになると、これ、普通財産なんでしょうかね。でも、よくわかりませんが、財務局長にちょっと聞いてみましょうかね。現実に、上に区の施設なんかが乗っていて、工場だってそう簡単に将来なくならないんですから、その還元施設の底地を、東京都がおれが地主だ地主だと持っていたって、何のメリットがあるんでしょうかね。
 十年たったら上のものがなくなるから東京都が有効に使えるよというなら、これはわかりますよ。だって、恐らく工場がある限り、三十年、五十年たっても底地が都にあるというだけで、上は何にも使えない。中には都市計画決定がかかったりしているのもあるんですから、それは区に上げる方が善政といわれるんではないかなと思うんです。
 私は、この話は終わっていない、こう思っているんですが、財務局長の答弁でいいかどうかわかりませんが、どうでしょうか。

○木内財務局長 お話の趣旨はよく理解できるわけでございますけれども、都有財産を区市町村に無償で譲渡することは、財産管理の一般原則に照らしますとなかなか難しいと考えます。
 今回の清掃工場の敷地の無償譲渡は、清掃事務の移管に伴う例外的な措置であり、移管対象外のものを無償で譲渡することは難しゅうございます。
 なお、区から強い要望が別途ある場合には、その利用用途や使用実態等を考慮して、可能な限り配慮します。

○三原委員 これ、議論しても尽きないという気がしますから、ここでちょっととりあえず打ちどめますが、今局長からお話ありましたように、区側の要望があれば、この話は三月三十一日で終わったという話じゃなくて、ぜひ都としても真摯に受けとめてもらって、その用地をどういうふうにーー要は有効に生かすかという問題で、底地権があるあるという問題じゃないと私は思いますから、ぜひそういう機会に検討していただきたい、こう思います。
 ちょっと残り時間が少なくなりましたので、衛生局長さんにあと一つ伺います。
 実は、私は、一昨年から、チェーンドラッグストア、固有名詞出したら失礼なんですけれども、例えばマツモトキヨシ商店とかヒグチ薬局とか、ああいうチェーン店が都内にたくさんあります。そういうチェーン店の中に、薬剤師がちゃんと規定されたとおり勤めていないのに営業だけはやっているというのはおかしいんじゃないかということを質問いたしまして、これは東京都の方も早速六百店舗ぐらいを全部調査して指導していただきました。
 その結果、大分姿勢は直ってきていると思うんですが、今の状況はどうでしょうか、局長さん、教えてください。

○今村衛生局長 指導を行いましたチェーンドラッグのうち、常時薬剤師がいる店舗は、四十七店舗から百店舗に増加いたしました。薬剤師が勤務している時間が営業時間の半分に達していない店舗はすべてなくなりました。また、薬剤師の適正配置を図ることができなかった三十二店舗は廃業いたしました。しかし、約半数の三百三十店舗については、依然として、薬剤師が勤務している時間が営業時間の四分の三に満たない状況でございます。

○三原委員 ご説明のとおりだろうと思うんですけれども、わかりやすくいうと、要するに、ああいうチェーンドラッグストアのお店にいなければいけないと決められた薬剤師さんが、実は、十時から夜の九時まで開店しているというと、そのうち八時間ぐらいはいるけれども、残りの四時間とか三時間はいませんよということなんですね。それは明らかに法律に反しているわけですよ。
 私が一番いいたいのは、資本力に物をいわせてぱっとああいうお店が出ますと、ずっと長いこと地元でやってこられた薬局、薬店なんかは廃業に追い込まれてしまう。ところが、そういうお店は、ちょっと法の目をくぐりながら、薬剤師がいないようなこともごまかしながらやって、もうからないと決まったら、ぱっといなくなっちゃうんですね。だけど、そこにあった昔からの薬局、薬店は再びもうそこに店を出せないんですよ。
 そういうことを考えると、これはチェーンドラッグストアにしっかりいっておかなきゃいけない、こういう気がしますが、最後に知事さん、こういうことがありましたから、ご意見を聞かせていただいて私の質問を終わりにしたいと思うんですが、日本チェーンドラッグストア協会という団体さんが、厚生省や衛生局に陳情に来たそうでございます。
 陳情の中身は十分承知していませんが、私、報道も手に入れておりますので、それなどを見てみますと、日本では四千人ぐらい薬剤師さんが足りませんと。したがって、四千人ぐらい足らないんだから、お店に薬剤師がぴっちり勤務してなくても、そこは大目に見てくださいよ、しようがないじゃないですかというようなことを陳情したーー圧力をかけたかどうか知りませんが、そういうことをしたという報道も出ています。報道によっては、そのために東京都は指導姿勢を少し弱めたんじゃないかというようなことも書いてあるんです。そんなことはないだろうと思いますが、四千人の薬剤師が足らないんだから勘弁してくださいなんというのはとんでもない議論で、じゃ仮に、タクシー会社の社長が車を百台用意して、五十人は二種免許の運転手が集まったけれども、五十人は二種免許の運転手が集まらないから、普通免許の人で走らせてください、間もなくそろいますからって、そんなとぼけた話が日本で通るかというと、絶対通らないわけですよ。四千人足らないんだったら、お店をつくらないというのが経営者の姿勢でなくちゃいけないですね。
 したがって、こういう団体の圧力に屈しているというようなことがたとえ一行でもマスコミに書かれたら、東京都の薬事行政はだめになってしまう。したがって、知事の強いご決意を伺って、私の質問をおしまいにしたいと思います。

○石原知事 ことしから医療の問題、ちょっと積極的に扱おうと思っていまして、それに付随して調べますと、日本の薬業界というのは奇々怪々なところがございまして、これ以上のことを申しませんが、いずれにしろ、極めて大事な専門家が薬剤師として薬局にいるわけでありまして、先般、これは看護婦さんと薬剤師と立場は違いますけれども、点滴に消毒薬を入れて人を殺してしまったような病院があって、これは本当に、留守の間にだれがその薬局を運営しているか知りませんが、とんでもないミスが行われる場合、その薬を飲んだ人の人命にもかかわることでございます。
 他が何であろうと、これはやっぱり都民の生命の安全のためにも、東京都はこういうケースは厳重に取り締まって、その資格をさらに問うというぐらいの姿勢で臨みたいと思います。

○三原委員 どうもありがとうございました。(拍手)

○清原委員長 三原副委員長の発言は終わりました。

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