東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○清原委員長 近藤やよい委員の発言を許します。

○近藤委員 まず初めに、知事に伺いたいんですけれども、傍聴席の方を気にしていらしたように思うんですが、同じジャケットを着た大きな体の方が入っていらしたからでしょうか。ご不審、本当に申しわけないんですけれども、私の後援会の青年部の方たちで、体が大きくて、お世辞にも人相がいいといえない人が多いものですから(笑声)何か入ってきたときに、不審な人が入ってきたような顔をされて、ご心配の向きの表情をされていましたので、ご心配に及ばないということを冒頭に申し上げておきたいと思います。
 私、いよいよ最後の質問者でございます。お互いに疲れているのはよくわかっておりますので、首を動かしていただいたり、肩の力を抜いていただいて、最後四十分、一生懸命お互いに頑張っていきたいと思います。よろしくお願いします。
 ご本人、ちょっと席を外していらっしゃるようですけれども、第四回定例議会におきまして、我が党の樺山議員より、粗大ごみの収集について質問がありました。主な論点は、次の二点でございました。
 まず第一の論点は、粗大ごみの収集は、申し込みから引き取りまでに時間がかかり過ぎる。申し込んでも、一カ月以上たっても取りに来ないことも多く、ひどいときには二カ月も待ったという例もあるという、こういうお話でございました。そして、第二点は、粗大ごみの処理にかかる高コストの問題でした。清掃局が公表している可燃、不燃ごみの処理原価がキロ当たり五十九円なのに対して、粗大ごみは同じキロ当たり処理原価が二百十三円と、粗大ごみの処理に普通のごみの三倍以上のコストがかかっている、この高コストの問題を二点目として樺山議員は取り上げておりました。
 この問いに対しまして、知事は、「粗大ごみの収集が一月以上待たなきゃならぬというのが数%あるという、これは論外でありまして、民間の力も組み込んで、都民の不満を解消すべく、鋭意努力を必ずいたします。」と答弁なさいました。
 また、清掃局長は、「区への移管まで時間は限られておりますが、今後、民間活用も含め、徹底的な見直しを行い、コスト削減とサービスの向上を図り、ご指摘を受けた問題の改善に努めてまいります。」と答弁をなさいました。
 そこで、この答弁後、都がどのような対応をなさったのかを順を追って伺います。
 まず、粗大ごみの収集にかかる期間の短縮についてですが、どのように取り組まれたのか、また、取り組みの結果、期間はどの程度短縮されたのか、あわせてお尋ねします。
 理事者の皆さん方の中には、粗大ごみを自分で電話で申し込んでお出しになったというような経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんけれども、(「手を挙げてくれよ」と呼ぶ者あり)手を挙げてくれとおっしゃっていますけれども、経験のある方はいらっしゃいますでしょうか。ーーありがとうございました。
 ですから、皆さん方のために、念のために申し上げますけれども、粗大ごみの収集というのは、各地域ごとに月二回、同じ曜日が指定されております。私が住んでおります足立区の梅田四丁目は、毎月第一、第三の火曜日が収集日と決められているわけです。つまり、月二回の収集ということなんですね。ですから、電話をしても、希望日にごみを取りにきてくれるわけでは決してありません。その上、日曜日にはごみの収集はありません。ですから、か弱い奥さんが大きな荷物を、ご主人様の手助けなしに、普通のウイークデーに出さなければならないというようなのが、粗大ごみの収集の状況であります。
 そして、月二回の収集ですから、単純に計算して三十二で割りまして、最大限待っても、最長でも十四日間、二週間に一遍の収集であるはずが、一カ月以上かかるケースが二%あったということも前回の質問の際に指摘されておりますので、なぜ最大限でも十四日で回収される粗大ごみが、一カ月以上かかるケースが二%以上あったのか、この原因も含めてご答弁ください。

○安樂清掃局長 粗大ごみの収集に一カ月以上かかっている例があると、大変恥ずかしいことなんですが、十二月の議会でご指摘を受けました。その理由を調べたところ、一つには、各清掃事務所の一日当たりの収集量が、努力できる最大限のところまで設定されていなかったということ、二つには、粗大ごみの発生量に応じて、各地域ごとの収集作業を機動的に調整していなかったということによるものでございます。
 ご指摘を受けまして以降、清掃事務所の総力を挙げて収集に当たりまして、一カ月以上待たされていた、去年の十二月の段階で六千件ありましたが、ほぼ昨年末までに解消いたしました。
 粗大ごみの収集は、月に二回受け付けておりますので、先ほどお話しありましたが、二週間で収集するというのが基本的な考え方だというふうに考えております。二月二十八日から始まりましたテストランの中で、一日の収集量の拡大、あるいは収集地域の調整を図り、現在はほとんどが二週間以内で収集をしております。
 今後とも、これを維持し、さらに収集の日にちが短縮するように努力してまいりたいと思います。

○近藤委員 今の点で一点だけ確認をしたいと思いますけれども、二週間以内で収集できるようになった状態、この状態をつくり出すのに、今までと違って、今まで以上に人員を確保した、増員したという事実があるのかどうか、また、車を増強したという事実があるのか、お答えください。

○安樂清掃局長 人員は同じ体制で行っております。
 ただ、各事務所、事業所が持っております小型車両を、お互いに融通し合って運用いたしました。

○近藤委員 次に、コストの削減について払われた努力について伺います。
 民間活用も含めて考えていくというご答弁でございましたので、実際に民間委託をされたのかどうかもあわせてご答弁ください。

○安樂清掃局長 粗大ごみにつきましては、これまでも、中継施設の増設による運搬効率の向上、あるいは再雇用職員の活用などによりまして、経費の削減に努めてまいりました。その一方で、粗大ごみの受け付けセンターの開設、あるいは高齢者世帯での運び出し収集の開始、こういうものを行ってサービスの向上に努めてまいりました。
 十二月にご指摘を受けまして、それ以来、さらに改善を検討してきましたが、四月一日からの清掃事業の区移管を目前に控えておりましたため、短期間で対応できるものを中心に検討いたしました。その結果、都内二十二カ所の粗大ごみの中継施設がございますが、これまで都が直営で行っていた積みかえ業務を、二月二十八日から民間に委託しまして、コストの削減を図りました。

○近藤委員 この積みかえ業務を民間に委託することにより、どの程度のコストの削減ができたんですか。

○安樂清掃局長 民間委託による経費削減効果は、まだ一カ月ほどしかたっておりません、期間が短いため正確には算定するのは難しいんですが、年間にすると、おおよそ四千二百万ぐらいになるというふうに思います。

○近藤委員 ご答弁どおり、民間委託を実施して、コストの削減をわずかなりとも図ったということは、高く評価します。
 しかしながら、何といっても粗大ごみのコストを引き上げているのは、各家庭への収集部分を相変わらず都が直営で行っているということにあるわけです。粗大ごみ一キログラム当たりの処理原価二百十三円のうち、九十七円、つまり約五〇%が、この家庭からの収集部分にかかる費用です。清掃事業の移管を四月に控えた都の立場というのも理解はできますけれども、この最もコスト高の原因となっている収集部分も民間に委託すべきではありませんか、局長のご見解を伺います。

○安樂清掃局長 粗大ごみは、今回、先ほどお話し申しました積みかえ業務の民間委託によりまして、収集を除きますと、この積みかえから運搬、処理、処分、これは全部民間委託になりました。
 今後、家電リサイクル法が平成十三年四月から施行されますが、この粗大ごみの二割以上を家電四品目が占めております。これが行政回収から除外されて、民間にゆだねる方向で現在検討を進めております。
 したがいまして、現行の粗大ごみ収集体制は、いずれにいたしましても、近いうちに大幅な見直しが避けられないというふうに思っております。その際には、民間活用を含めた全面的な検討が必要であるというふうに思っております。

○近藤委員 粗大ごみ処理原価キロ二百十三円のうち、都民がそのたびごとに実際お財布から出して支払う金額、シールを張るという形ですけれども、それは二百十三円のうち二十三円ということで、比較的低価格に抑えられているために、粗大ごみの処理原価の高コスト構造に対する都民の意識というものがどうしても薄くなりがちだというふうに思います。
 ですけれども、結局、二百十三円から今の二十三円を引いた残りの百九十円も、税金という形で私たち都民が納めているわけです。ですから、収集を含め全体を民間に委託すれば、現在のキロ二百十三円の約半分程度のコストで処理できると、樺山議員の質問の中にもありました。
 樺山議員の質問以来、重ねて申し上げますけれども、清掃局のとられた対応は評価するにしても、一議員の一回の質問で、従来の体制を変えることなく、つまり今までどおりの経費でごみ収集期間を短縮し、さらにコストも些少なりとも削減をしたというわけです。見直そうと思えば、お金をかけずに見直せることを、粗大ごみの収集の有料化の平成三年以来、九年間もほっておいた。やればできることをやってこなかった。この間、高いお金を払って待たされる、希望日に回収してもらえないというような低レベルの行政サービスを甘受せざるを得なかった私たち都民に対する都の責任というものは、大きいものがあると思います。
 たまたま清掃の話をしているわけですけれども、他局の扱う都民サービスにも同じような例は、私、枚挙にいとまがないくらい転がっているんじゃないかというふうに考えます。ぜひとも他山の石として各局がとらえていただければ、大変ありがたいというふうに申し上げて、関連しての家電リサイクルの問題について話を進めてまいります。
 本年一月にまとめられた家電リサイクル研究会報告書の中でも触れられているように、家電リサイクル法の考えは、小売店と家電メーカーを中心として市場メカニズムを活用し、よいサービスを小さなコストで提供する効率的なリサイクルシステムを実現することにあります。本年四月に清掃事業が区に移管になった後、家電リサイクル法のもとで、都はどのような立場で、どのような役割を果たしていくことになるのでしょうか、また、よい家電リサイクルシステムとするため、現在どのような課題があると都は認識していらっしゃるんでしょうか、お尋ねします。

○安樂清掃局長 家電リサイクル法の施行に当たりましては、幾つかの問題がございます。
 一つには、小売店が消費者から廃家電を受け取るときの料金が、現在の粗大ごみの料金と比べまして、相当大きくなります。三、四倍にはなると思います。現在の粗大ごみの料金と比べまして大変大きくなりますので、粗大ごみの料金は現在のように安いままですと、小売店で回収されるべきものが行政回収に大量に流れ込んできまして、当然税金の持ち出しとなりますと同時に、民間の競争原理を働かせることによってよいサービスを低コストで提供するという、こういうことが阻害されるということになります。
 二つ目には、小売店が消費者から引き取った廃家電をメーカーに引き渡す引き取り場所の数の問題でございます。引き取り場所が少ない場合には、輸送距離が長く時間がかかり、小売店の負担が大変重くなります。特に零細な小売店の場合には、死活問題になるというふうに思います。一方、引き取り場所を多くいたしますと、その維持費用が最終的には消費者の負担にはね返ることになります。こういう問題がございます。
 そこで、東京都は、消費者や小売店の負担が過大にならず、しかも、社会全体としてのコストが最小になるように、効率的なシステムをつくり上げていくために、区移管後も引き続き、家電メーカー、小売店、区市町村と関係者間の調整役を果たしていきたいというふうに思っております。

○近藤委員 では、具体的に伺いますけれども、家電リサイクル法に定められている家電四品目については、都はどのように扱われていくおつもりでしょうか。

○安樂清掃局長 家電リサイクル法のまず仕組みなんですが、使用済みのテレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコン、この四品目を小売店が消費者から引き取りまして、家電メーカーがリサイクルし、その費用は消費者が負担するというふうになります。
 したがいまして、家電リサイクル法が施行されますと、これら四品目につきましては、そのほとんどがこれまでの行政による粗大ごみ回収から小売店による回収へと変わります。家電メーカーが行うリサイクルにつきましても、法でリサイクル率が設定されまして、それに沿ってリサイクルが義務づけられます。
 お話にありました小売店が引き取らないような場合が、実は出てくるわけでございますが、こういう場合にどうするかという問題が残ります。そこで、東京都といたしましては、行政はこれからは家電四品目を粗大ごみとしては回収しない、消費者に民間の業者を紹介することによって収集運搬業者が直接消費者から廃家電を回収する、こういうような方式を現在、検討しているところでございます。

○近藤委員 今後、より効率的なリサイクルシステムをつくっていくためには、家電四品目に限定せず、民間によるリサイクルの対象品目を拡大していくべきと考えています。
 また、清掃事業が移管されても、リサイクルは、スケールメリットを生かして、都全体で広域的に行っていくべきものと認識していますが、この取り組みに対する都の考え方を伺います。

○安樂清掃局長 家電リサイクル法では、使用済み家電製品の中で排出量の大きな部分を占めるテレビ、冷蔵庫など四品目、これをまず対象品目として指定したわけでございます。したがいまして、まず、家電四品目のリサイクルシステムを着実に軌道に乗せて、その後に順次、例えば電子レンジでありますとか、携帯電話でありますとか、ビデオ、パソコン、こういうものの品目の拡大を図るというのが順当な考えだというふうに思います。
 このような考え方で、都は、区市町村と連携いたしまして、国及び関係業界に対しまして、品目拡大を働きかけていく予定になっております。
 また、一般廃棄物の処理につきましては、現在、自区内処理という原則がありますが、ご指摘のとおり、リサイクルにつきましては、必ずしも自区内処理ということにはとらわれずに、現在、古紙、瓶、缶で行っておりますように、広域的に回収して、効率的にリサイクルしていくということが必要だというふうに思います。
 このため、東京都は、区移管後も引き続きまして区市町村や関係業界と協議しながら、この広域的な仕組みづくりということに努めてまいりたいと思います。

○近藤委員 先ほどのご答弁にもありましたように、都は、家電四品目を粗大ごみとして回収しない、つまり民間にゆだねていくとの考えを今明らかにしてくださいました。粗大ごみの中でも二〇%を占める家電四品目を行政の回収から外すことで、その他の粗大ごみについても、平成十三年の家電リサイクル法の施行の時期に合わせて、全面的に民間へ委託が進むように期待をしています。
 移管後は、各区の清掃事業の経営方針に都が直接に関与できないということはよく存じておりますけれども、都は、広域的にごみを減量していく仕組みをつくっていくという役割ばかりでなく、都民の皆さんからいただいた税金を都と区の間で調整するという役割を通じて、特別区における効率的な、すなわち安くて便利なリサイクルシステムの構築に引き続き大きな影響力を持つものと考えます。
 都民は、極端な話、清掃事業を、例えば国が行おうと、都が行おうと、区が行おうと、構わないんです。いかに安く、よいサービスが提供されるか、これがすべてであります。
 そこで、重ねて申し上げますが、粗大ごみの収集については、都が残した宿題として、コスト、サービス、リサイクル率など、すべての面から見直しを行うように特別区に引き継ぐとともに、都としてもすべて特別区に任せるのではなく、今後とも積極的な役割を果たしていくよう強く希望しますが、局長の意気込みを伺います。

○安樂清掃局長 十二月の定例会でも私、答弁いたしましたが、最少の経費で最大の効果を上げるということは、これは行政の執行の大原則でございます。行政内部での改善に限界があるなら、これを民間にゆだねるということも必要だというふうに考えております。そういう点では、お話のありましたとおり、これからも広域的な行政体として、そういう意味でのコスト削減、あるいはサービスの向上に努めていくということは当然だというふうに思っております。
 この間、清掃事業を円滑に区に移管するということで全力を挙げてきたわけですが、一方でご指摘のような問題を残してしまったということについては、私も大変残念に思っております。同時に、大変申しわけないというふうに思っております。三月いっぱいで局はなくなりますけれども、現場の職員は大変一生懸命やっておりますので、その中で、この短い期間ですが、最大限サービスの向上に努めるということでやっていきたいと思います。

○近藤委員 ご答弁ありがとうございました。
 次の質問に移ります。
 このたびの質問に当たって、ある局に資料を出してくれるようにお願いしました。そして、その資料を手直しして使いたかったものですから、インターネットで、メールで私の事務所に送ってくださるようにお願いしたわけです。ところが、担当の方は、大変申しわけなさそうに、うちの局にはインターネットにつながっているパソコンがないのでこれで勘弁してくださいということで、私に手渡してくださったのは、フロッピーディスクです。そのときに、私がこちらの議会棟におりましたので、フロッピーディスクを受け取って、すぐパソコンの中に入れて、それで事なきを得たわけでございますけれども、もし私が自分の自宅なり事務所から電話を通じてその局の方にお願いしたならば、このフロッピーディスクを私が手に入れるために、こちらから議会の方に出向くか、または局の方に私の自宅または事務所に来ていただくか、またはファクスを通じて送信していただいて、送信していただいた資料を見て、私がそれを改めてパソコンの中に打ち込むというようなむだな時間を使わなければならなかったわけです。
 外見は大変に未来的ですし、超近代的な都庁舎の表を見たときに、こういった現実があるということを、今、この時代の社会の人たちがだれが信じてくれるんだろうというふうに私は思います。世界に向けて東京の魅力を発信していく、シティーセールスだと折に触れて知事はおっしゃいます。また、産・官・学の連携だということもよくおっしゃるわけですけれども、実際に都庁は、いまだ正式に外部とインターネットを通じた接続がされている状況にはありません。これでどうやって情報を海外に、外に、産業界に発信していけるというのでしょうか。また、外部の情報を的確に、素早く受信していくことができるのでしょうか。
 私は、こういった観点から、都庁のIT化について、何点か伺いたいと思います。
 昨日の公明党森田議員の質問に答えた際にも、知事がみずから触れられておりましたけれども、平成十年に郵政省が行った通信に関する現状報告によれば、新聞でも報道をされたように、情報通信端末を活用した度合いを示す行政の情報化指標で、都は全国で最下位、四十七位となりました。
 ところで、都は、新宿への移転を契機に、都政の情報化と都庁のインテリジェントビル化を進めることを意図して、移転当時の平成三年には、東京都は全国でも情報化の先進団体として評価されていたと聞いています。しかしながら、当時、OSIをベースにした都庁プロトコルという独自のプロトコルを莫大な経費をかけて開発しながら、その後は、インターネットの普及などがもたらした今日のいわゆるIT革命に対応できず、「都政新報」に掲載された都立科学技術大学の島田教授の論文にあるように、「都にIT革命を 立ち遅れた情報通信化」にも指摘されているように、都の情報通信化は、民間はもとより、中央政府と比べてさえ立ちおくれているという状況に今陥っているわけです。
 このことを都はどのように認識しているのか。ここに至った原因、理由は何でしょうか。また、他団体と比較して都が立ちおくれているのはどのような点か、この三点について伺います。

○横山総務局長 都庁の情報化の問題でございますが、これは、他団体と比較してみますと、単発的な、例えば基幹業務のシステム化、例えば医療機関情報であるとか、あるいは消費者相談情報であるとか、こういったものについてはそれほどおくれているとはいえないわけですが、ただ、ご指摘のように、情報系システムに関しては確かに非常におくれております。そのために情報共有やインターネットの活用などが十分に行われていない、その構築が課題となっているわけでございます。
 その理由でございますが、実は、その情報化の中で、インターネットなどの活用というのが平成五年から平成九年といいますか、このころに急速に進展してきている。そういう中で、都庁におきましては、今先生ご指摘のように、莫大な経費をかけて、多大な、でかいパソコン導入等を行ったわけですが、そういったものの経費削減の面から、大規模システムのダウンサイジング化、これに主力を置いてきたと。こういったことから、結果としてインターネット等の最新技術の導入がおくれてしまったと、こういうことでございます。

○近藤委員 簡単にまとめさせていただくと、先が見えなかったと、やるべきことをやってこなかったということに集約されるのではないかというふうに思いますが、今局長もおっしゃったように、十二年度予算案のOA経費四百二十三億円のうち三百七十億円、つまり全体の八七%が、今局長がおっしゃったところの汎用機による大型システムの運用経費、つまり、これが固定化してしまっているという事実があるわけです。
 都も、平成四年から、それまでに着手した、開発したシステムについての見直しを進めて、平成九年には、今局長もおっしゃった大規模システムのダウンサイジングに着手したということではあります。それなりに既存の大型システムに対して問題意識を持ってきたということはわかりますけれども、当初見直しに着手してから、既に八年を経過しているわけです。参考人の意見聴取の中でもお話に出ました、ドッグイヤーとかマウスイヤーといわれるような時代に、余りに見直しに時間がかかっているのではないかというふうに思います。
 見直したときには、もう既に最初に見直した機械が陳腐化しているというような状況も考えられるわけです。また、今後、大型汎用機ではなくて、イントラネットなどを利用してのシステムの再構築など、抜本的な改革も局によっては考えられるのではないかというふうに思います。
 また、最近では、民間でも、情報化の診断は、内部でなく外部に求めるケースが多いとも聞いています。この際、都も、外部の専門家の手もかりて早急に徹底的な現在の既存システムの見直しを行うことが、ひいては将来の経費の削減にも結びつくと考えられますが、この点についてのご見解を伺います。

○石原知事 全くおっしゃるとおりでございます。私の親しい友人で先輩でもあります唐津一さんが、このビルが建つとき、自分はコンピューターを含めて、OA機器の配備に相談に乗って、指揮したと。その後、都は全くその改良、進歩に手を尽くさずに来て、おっしゃったとおり、全国の都道府県で最下位という憂き目になりまして、先般、総理府にハッカーが侵入したときも、都庁は大丈夫かといったら、うちの機器は古過ぎてとても入れませんということでありました。(笑声)
 せっかく労経局なんかも、外部の知恵も入れまして、新しい債券市場の構築をし、新しい形の中小企業向けの債券をつくって、それに役立つデータベースも大いに内外に発信して、新しい産業も興そうと思っているんですけれども、発信する当事者に発信能力がないんでは、これはしようがないわけでありますから、本当にできるだけ早く、多少予算はかかっても、一人前にとにかくこぎつけたいと思っております。
 昔、数年前でありますが、非常に印象的なテレビのコマーシャルがありました。どこか京都の古いおたなの、お店の先で、昔美人だったろう五十ぐらいのおかみさんと、訪ねてきた非常にしゃきっとした老人のおかみさんが話しておりまして、そのおかみさんが若い方の人に、インターネットもおますのやでえといっていると、わからずに、はあと。次のカットで、そのおばあちゃんの方がしゃっしゃっと灯のついた京都の町を帰って、ひとり言に、あのままではあかんなあと。それで、カットが変わって、今度は、古いそろばんをひざに抱えた、そこのお店の元美人のちょっと太りぎみのおかみさんが首をかしげながら、このままではあかんかなあと。随分前のコマーシャルでありましたが、都庁へ入ってみますと、本当にこのままではあかんなあという感じがいたします。(笑声)

○近藤委員 知事が一気に物事を本質的なところに引っ張っていってくださいましたので、途中何問か伏線を用意していたわけでございますけれども、それは割愛させていただいて、一気に核心に切り込んでいきたいというふうに思います。
 今、庁内的なネットワーク、TAIMSというものがあります。これは庁内のLANシステムですから、決して外部に接続されているわけではないんですけれども、現在、既存のシステムを使って外部に接続していく、なるべく経費をかけない方法としてこのTAIMSを外部接続できないかということに関しまして、何点か伺います。
 現在、庁内的なネットワークであるTAIMSをインターネット接続することは、技術的に可能なんでしょうか。

○横山総務局長 TAIMSのインターネット接続につきましては、課題として、セキュリティー対策の強化、あるいは職員異動時の管理等が挙げられますが、技術的には可能でございます。

○近藤委員 技術的に可能だというご答弁でした。もし接続するとしたら、それにかかる経費は幾らぐらいですか。

○横山総務局長 仮に、現行TAIMSの本庁にございますパソコン三千台で通常のインターネットサービスを利用するとした場合、機器の調達、開発費、通信費等で、初年度におおむね五億円程度の経費が必要となると試算しています。

○近藤委員 知事が大英断をもって接続を決定した場合、実際に使用できるまでの期間はどのくらいかかるのでしょうか。

○横山総務局長 最低でも六カ月は要します。

○近藤委員 実際に準備を始めてから接続できるまで六カ月ということでございます。
 知事は、昨日の森田議員の質問に対して、インターネットの外部接続に的確に対応していくと、ITという問題に対して的確に対応していくというご答弁をされました。そして、先ほどは、インターネットについて接続を少しでも早くというご答弁をいただいたわけですが、インターネット接続については、残念ながら十二年度予算の計上が見送られています。これは、石原知事の、インターネットによる外部接続を現在まだ都として進める時期ではないとのご判断があったのでしょうか。
 外部接続することによって広がる行政サービスの可能性や、海外、産業界を初めとする外部への情報発信によって得られる効果により、接続にかかるーー今、五億円というお話がございましたけれども、この経費を何倍にも膨らませて回収できるだけの可能性がこのインターネットの外部接続には秘められているというふうに私は思いますし、そのように使っていかなければいけないというふうにも思います。
 インターネットを外部接続するといいますと、メールを送って、お互いに上司の悪口をいい合ったり、今晩あいているというようなメールを送るんじゃないかというような発想しか、申しわけないですけれども、インターネット接続を決定できる権限を持っていらっしゃるいわゆる東京都庁の上層幹部の方、そういう発想しかお持ちでないんじゃないかなというようなうがった見方も、何かしてしまうわけでございます。
 五億ということでございましたけれども、これは、今あるTAIMS三千台をすべて接続した場合五億ということでございますので、最初の第一歩として、三千台全部とはいかないまでも、東京都が公に向けて、都庁として正式にインターネットを外部接続するんだというような方針を、ことしは予算計上が見送られたということではございますが、知事のポケットマネーで何とか十二年度の計上が可能にならないかどうか、知事のご所見を伺いたいと思います。

○石原知事 私のポケットマネーではちょっと足りない節がございますが、補正を組むなり、その辺のことは当然即刻やるべきだと。これは、後はひとつ財務局長、よろしくお願いいたします。

○近藤委員 やはりいいお話が出たときは畳みかける必要があると思いますので、予定はしておりませんでしたけれども、今の知事の発言に対しまして、財務局長のご見解を伺います。

○木内財務局長 しかるべく対応します。

○近藤委員 一年生の議員ですので、役所の方がおっしゃるしかるべきという言葉の裏の意味までは、深いところまではかりかねますけれども(「大丈夫だ」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。信義に基づいて、今の発言を重たく(「知事の発言に二言はない」と呼ぶ者あり)ありがとうございました。的確に受けとめさせていただきます。
 インターネットの接続は、単に外部に接続するということではなくて、関係省庁、中央省庁でも閣議決定されております行政情報化推進基本計画の中で、行政の情報化というのはイコール行政改革であるという定義がされているように、厳しい財政状況ではありますけれども、もし今の機会を逃せば、外部接続にさらに一年間要してしまうということでございますので、かかる経費と導入の効果を検証したときに、やはり一年間さらに待たなければならないということには抵抗を感じますので、知事の英断に対して心からの拍手を送りまして、次の質問に移らせていただきます。
 中央省庁が今春から許可などすべての手続をインターネット上で済ませる、いわゆる電子政府への移行を本格的に実施するという話も聞いております。既に閣議決定されている、この国の政策に対する対応を将来当然都も迫られることになると思いますが、この電子政府という大変に広い概念、広範囲な行政サービスや社会基盤整備を必要とするこの概念に対して、都は、これに対応する情報化政策をお持ちなんでしょうか。

○柿沼政策報道室長 東京都の情報化の話は、ただいま議論の中で出ましたように、大変全体としておくれている中で、私どものところで、東京都情報化ビジョン研究会というもの、専門家の先生方にお知恵をおかりするという場をつくりまして、るる、今研究会を続けております。ことしの四月にはその報告をいただくことになっておりまして、それに沿って、都庁の情報化に一気に進めるよう頑張りたい、このように思います。

○近藤委員 電子政府という概念に対応するためには、都が、どこまで情報化の範囲を考えているのか、また、その目標、効果などを積極的に検証し、またその目標を設定して、IT化の推進に対する具体的な方向性を早急に示すべきだと考えています。
 今後、こうした課題に取り組み、政策化していくことを、都庁のどの部署が担っていくのでしょうか。また、全庁的なIT革命とは、単にインターネット接続すれば事足りるというものではなくて、各担当部局を情報サイドから総合調整して、ITを通じて、人、政策、予算、つまり政策そのものを素早く決定できる、時代にマッチした体制の強化が絶対に不可欠であるというふうに考えています。
 民間企業は、生き残りをかけて、CIOのようなシステムを活用していますけれども、都は、強いリーダーシップと決断が要求されるであろう今後のIT革命について、どのような体制で臨まれるおつもりですか。

○石原知事 非常によいご質問とサジェスチョンだと思います。ずうたいはでかくても、この都庁の機能のていたらくは戦艦大和みたいなものでございまして、とても現代の機能についていかない。東京はしかるべきIT関係の会社もつくろうかと、そういう計画も進めておりますし、そこでまたどんな商品をメッセージとして売るかという、そんな具体的な検討も、あるしかるべき組織でしておりますけれども、肝心の発信の能力がハードとしてなければ、これは全く意味をなさないわけでありまして、こういう時代に、都庁ともあろうものがよくこのままで来たなという感じがつくづくいたします。
 これはもう本当に焦眉の問題だと心得て、とにかく東京を中心とした三千三百万のメガロポリスの需要というのはあるわけですから、それに対応する能力を備えるということは、金をそろえればできることでありますから、即刻、私はこれは努力して実現したいと思っております。

○横山総務局長 現在、都では、地域情報化施策については政策報道室が、庁内のOAや情報系LANの整備につきましては総務局が担当しておりますが、今後、お話のように統一的に推進する必要がございますので、都庁のIT化につきましては、総務局が中心になって進めてまいります。
 なお、全庁的な推進体制につきましては、行政運営の高度化と都民サービスの向上を図るために、先ほどもご指摘がございましたが、現在、行政改革の一環として検討しております。

○近藤委員 今局長の方から、庁内のIT化については総務局がリーダーシップをとっていくというお話がございましたけれども、庁内のIT化がまず第一段階ではありますが、IT化されたこの都庁と、外部、つまり東京、日本、そして海外の、それぞれの地域の情報をどのようにネットワーク化していくか、つまり、地域情報をいかに構築していくかということについても、総務局がリーダーシップをとっていただけるのでしょうか。それとも、また別に、例えば青山副知事を頭にしたような特別な体制で臨んでいただけるのか。いかがでしょうか。

○石原知事 これも大事な質問でございまして、これからの行政改革、機構改革というものも、こういった問題も踏まえて考えていかなくてはならないと思っております。総務局長は自負を持ってああいうお答えをしましたが、しかし、これから、東京都の組織そのものも改編を強いられておりますし、しかるべき専門の部門をつくって、内外の需要に対応してできるような、そういう組織をつくっていきたいと思っております。
 ですから、今この段階で、どの局が将来これを担当するか、にわかにいい切れませんけれども、やっぱり全体のイメージができたところで、適材適所ということで、どこの部が、どこの部門が最終的な責任を負うか、その他この他、これから、焦眉の問題でありますけれども、検討していきたいと思います。

○近藤委員 ありがとうございました。(拍手)

○清原委員長 近藤やよい委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 なお、明日は、午前十一時から理事会を控室一で、また、午後一時から委員会を第十五委員会室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時五十一分散会

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