東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○清原委員長 竹下友康委員の発言を許します。
   〔委員長退席、三原副委員長着席〕

○竹下委員 質問に当たりまして、一言。
 私は、今回の外形標準課税でありますが、税のあり方について知事が一石を投じたということで、高く評価をいたします。しかしながら、銀行も、当然ながらリスクを負うようになってきます。そこで、独自で調べたんですが、九一年から九五年あたりまで、数字は申しませんが、銀行から自民党さんに莫大な献金がなされている。こういうことから、銀行にも協力しなければいけないということで、献金も少し控えねばならないと私は思っております。また、ひいては、それが都政に協力できるということで、自民党さん、本当に考えていただきたいと私は思います。
 今、ちょうど地震がありましたが、都民の地震に対する危機意識が本当に薄れつつあります。昨年来、トルコ、それから台湾と、世界各地で相次いで大地震が発生しております。我が国では、阪神・淡路大震災から五年以上が経過いたしました。東京を含む南関東地域では、直下型地震はいつ起こっても不思議ではない状況であります。仮に直下地震が東京区部を襲った場合は、阪神・淡路大震災を上回る、死者七千百人、焼失家屋三十七万棟もの被害が発生すると予想されております。
 このような状況を踏まえると、東京の防災都市づくりは一刻の猶予もないと私は考えますし、全力を挙げて推進しなければならない事業であるともいっても過言ではございません。
 それにもかかわらず、例えば地震に最も脆弱といわれる木造住宅密集市街地地域などは、権利関係がふくそうし、合意に時間がかかることもあってか、防災都市づくりの進み方が遅いというのが私の率直な実感でございます。
 この東京の過密都市で、防災づくりを進めていくのは大変難しいと私は思いますし、ここで防災づくりに対する都市計画論を展開することも差し控えさせていただきますが、そこでまず、平成九年に都が策定した、防災都市づくり推進計画の重点地区における現在の進捗状況についてお伺いいたします。

○成戸東京都技監 平成九年の推進計画策定以降これまで、都市防災不燃化促進事業、防災生活圏促進事業でありますとか木造住宅密集地域整備促進事業、こういった三事業につきまして、新たに十七カ所で事業着手いたしました。その結果、現在では十一の重点地区内すべてで、これら三つの事業を実施いたしております。
 さらに、推進計画に基づき新設されました緊急木造住宅密集地域防災対策事業、この事業を八つの重点地区内で行っている状況であります。
 これらの修復型といわれます事業のほかに、街路整備も十七区間で実施するなど、基盤整備事業も推進しておりまして、これらの事業を地区ごとに重層的に組み合わせることによりまして、各地区の安全性の着実な向上を目指しております。

○竹下委員 現在、東京都の財政が厳しいことは大変理解しておりますが、防災都市づくりにとって、余りにも後退した予算となっているように感じられてしようがありません。
 財政再建なくして都政なしといわれるように、財政再建は、現在の都政では優先されるべき課題であることは論をまたないわけでございますが、例えば豊島区の東池袋地区では、市街地再開発事業によるまちづくり計画素案を住民に提示し、これをもとに話し合いが精力的に行われてきておりましたが、都の財政再建推進プランの発表以降、まちづくりの進展が図られていないように見受けられます。
 このような状況は、他の重点地区、例えば大森中地区、十条地区でも少なからずあるやに聞いております。このままでは、防災都市づくりは放棄または後退してしまうのではないか、そういうように受け取られてもしようがありません。
 まちづくりを進めるには、地元の地域住民の合意形成が不可欠であり、事業実施までには数年から二けたの年数がかかる場合もあり、粘り強く取り組んでいくことが必要であると考えます。防災都市づくりは急迫した課題であり、財政再建を図りながらも、着実に進めることが必要であります。
 そこで、お伺いいたします。財政再建推進プランに示されているように、厳しい状況下でありますが、防災都市づくりの進め方についてお伺いいたします。

○石原知事 私、阪神大地震の直後、三日後に、運輸省の依頼で港湾を見に行ったついでに、非常に被害の多かった長田区、東灘区も視察してまいりました。また、先般の台湾の地震にも、都市計画のことで依頼があったので行ってまいりましたが、端的にいって、強い建物は倒れないけれども、弱い建物はみんな倒れている。弱い建物の中には、木造ということもありますけれども、手抜きの工事もございましたが、いずれにしろ、仮に国費のすべてを投じても、この東京を直下型の大地震にすべて耐え得る都市に変えることは不可能でありまして、まして都の財政がこの状況の中で、皆さんに十全に安心していただくような、そういう都市というものにつくり直すことは全く不可能であります。
 ですから、福祉と同じように、自助、共助、公助という形で、東京でできることをいたしますが、その自助の一端として、今回の新しい住宅に対するインセンティブ、税的な免除というものを講じましたし、新しい家をつくられるなら、どうかひとつ耐震構造のもの、鉄筋のものにしていただきたいし、既に耐震性のある建物についてはインセンティブもついておりますし、また、高齢社会に合ったお年寄りのためのバリアフリーの住宅にも、既に税的なインセンティブはついております。
 ということは、あわせて、今度の減税を宣伝するわけじゃありませんが、こういう機会をとらえて虚弱な住宅は思い切って建て直していただくということも、自助による災害対策になると思いますし、また、それに対する東京都としての援助も、今度の減税ということはいえると思います。
 いずれにしろ、このごろ、時間がたったので、都民の皆さんが余り地震に対する危機感がない。現に、東京の一部であります伊豆七島では年じゅう噴火がありますし、三宅島なども、近いうちに大地震があるんじゃないか、そういうことを島民自身がいっておりますが、我々の国土というものは、世界最大の火山脈の上にあるということを、都民だけではなしに、国民が知った上で地震に対する対処というものを、決して行政の面だけではなしに、市民自身も自分の生活の中で意識することが、まず最初の大事な防災対策だと思います。

○竹下委員 次に、自衛隊との合同訓練についてお伺いいたします。
 一九九三年、北海道の南西沖地震、それから一九九五年、兵庫県の南部地震を初めとし、地震のみならず過去の水害、土砂災害、トンネル事故において、自衛隊の活躍は目をみはるものがあります。災害発生時には、自衛隊等の支援がなくてはならない存在であると私は常に考えております。兵庫県南部地震では、自衛隊員延べ二百二十万人強、ヘリコプター約一万三千機を派遣したと聞いております。
 そこで、お伺いいたします。本年九月三日の総合防災訓練に三自衛隊が大規模に参加する意義でございますが、改めてお伺いいたします。

○横山総務局長 先ほど知事が触れられましたが、阪神・淡路大震災におきましては、今お話がございましたように、警察、消防などに加えまして、自衛隊による大規模な災害救助活動が実施されたところでございます。
 都が行います九月三日の訓練に自衛隊が大規模に参加しますことは、こうした災害時の対応を図る上で、より実践的な訓練となりますし、こうした訓練を実施することによりまして、災害時に一人でも多くの人命を助ける初動体制の充実に大きく寄与するものと考えております。

○竹下委員 災害時に自衛隊が果たす役割は何かと、私がいうまでもありませんが、また、今回の訓練では具体的にどのようなことをやろうとしておりますでしょうか、お伺いいたします。

○横山総務局長 自衛隊は、大災害時におきまして、例えば被害状況の把握でありますとか、あるいは救出救護、応急医療等の初動対応から、給食、入浴等の生活支援などに至る総合的な対応能力を有しております。
 今回の訓練では、警察、消防などとの連携を図りつつ、自衛隊の持つこうした能力を最大限発揮していただきまして、状況に応じた活動を具体的に展開するものでございます。

○竹下委員 次に、防災ボランティアについてお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災は、我が国の防災活動に新たな展開をもたらし、その一つにボランティア活動があり、地震発生後、マスコミで盛んに使用されたボランティア元年という言葉に象徴されるように、災害時のボランティア活動は、我が国の防災の分野では歴史的な出来事であったのではないでしょうか。
 大規模災害が発生したとき、最優先で対処しなければならないのは、都民の生命を救うことであります。災害発生後七十二時間以内に救助することがポイントではないでしょうか。家族、近隣住民、市民防災組織のほか、消防庁や自衛隊といった、常日ごろ訓練に余念なく、いつでも組織的に出動できる、その機動力に寄せる期待は大きいものがあります。
 また、都では、東京消防庁災害時支援ボランティア、語学ボランティアや応急危険度判定員など、都民の経験、資格を生かした専門ボランティアの制度を設けております。この中でも、地震発生後できるだけ早く、短時間で建物の被害状況を調査し、使用の可否を判断する応急危険度判定のボランティアは、余震など二次災害から都民の生命を守る上からも、極めて重要な課題と思います。
 そこで、お伺いいたします。応急危険度判定員の現状、登録数ですが、どのくらいいらっしゃいますでしょうか。また、国、区市町村との関係はいかがなものでしょうか、お伺いいたします。

○成戸東京都技監 都におきます応急危険度判定員は、現在、登録者数で約一万一千人となっております。
 それから、応急危険度判定におきます国、都、区市町村との関係でございますけれども、応急危険度判定の実施主体は区市町村になりますので、まず、被災いたしました区市町村が判定実施本部を設置いたしまして、被害状況の把握を行い、判定員に参集要請を行います。
 一方、東京都は、判定支援本部を設置いたしまして、都内全域の被害状況の把握に努めますとともに、区市町村からの支援要請に基づき、判定員派遣等の調整を行います。
 また、国は、判定支援調整本部を設置いたしまして、被災した都道府県からの支援要請に基づき、判定員応援の協力要請を行うことになっております。

○竹下委員 平常時にはいろいろな訓練をなさっていると思いますけれども、どのような訓練を行っていますか。

○成戸東京都技監 震災時に応急危険度判定制度が有効に機能いたしますように、平成十一年度は、広報誌によりまして判定員への情報提供を行いましたほか、国、都及び区市町村間で、連絡調整や支援要請等の情報伝達訓練を行いました。
 平成十二年度には、国、都、区市町村に加えまして、新たに判定員の参加も求めまして、訓練を実施することにいたしております。

○竹下委員 応急危険度判定の能力を高めるためにも、被災した建築物を判定するような実践的な訓練の場が必要であると考えますが、いかがなものでしょうか。

○成戸東京都技監 応急危険度判定の能力を高めていくためには、ご指摘をいただきましたような実践的な訓練を行うことが重要であると考えております。このため、現在、判定技術の向上を図りますために、全国協議会において、阪神・淡路大震災の被害実例を素材とした判定ビデオを作成いたしております。
 都は、平成十二年度より、区市町村の協力を得ながら、こうした判定ビデオを活用した訓練を行うことによりまして、判定員の実践的能力の向上に努めていきたいと思っております。

○竹下委員 次に、消防団の活性化についてお伺いいたします。
 阪神・淡路大震災から五年が経過しましたが、その間、東京消防庁では震災対策に関してどのような施策を展開してきたのか、お伺いいたします。

○池田消防総監 当庁では、極めて厳しい財政状況のもとではございますけれども、積極的に震災対策を推進してまいりました。
 まず、救急救助活動を強化するため、消防救助機動部隊を創設するとともに、被害状況を早期に把握するため、地震計と連動した地震被害予測システムなどを整備してきたところであります。
 さらには、巨大水利、遠距離大量送水装備、ポンプつき十トン級水槽車、消防隊及び消防団用可搬ポンプの増強整備などを行ってまいりました。
 また、地域防災力の向上のため、災害時支援ボランティアの育成を図るなど、総合的に震災対策の充実強化を推進してきたところでございます。

○竹下委員 次に、平成七年一月に発生した阪神・淡路大震災においては、地域の消防団員が住民の先頭に立って、数多くの人々を救助するなどの災害活動に当たりました。消防団の重要性が再認識され、地域の防災リーダーとして、今後ますます大きな期待を担っていくと考えられます。
 しかしながら、各区市町村の消防団員の方々を見ると、消防活動を行うには、全体的に、大変失礼なんですが、高年齢化が進んでいるように見受けられます。もちろん、このような高年齢の方が消防団員として防災のために活躍されていることに対しては、大変敬意を払う必要があると私も考えております。しかし、もう少し若い人にもっと協力していただきたいという気持ちがあります。
 そこで、特別区内の消防団員の平均年齢はどのくらいなんでしょうか、また、多摩地区の消防団と比べた場合はどうなんでしょうか、お伺いいたします。

○池田消防総監 特別区の消防団員の平均年齢でございますけれども、平成十一年四月一日現在、四十八・九歳でございます。また、多摩地区の消防団員でございますが、平成十年版消防年報によりますと、三十三・二歳でございます。

○竹下委員 では、消防団員の充足率についてはどうでしょうか。特別区と多摩地区に分けてお伺いいたします。

○池田消防総監 消防団員の充足率でございますけれども、平成十一年四月一日現在、特別区につきましては八九・九%でございます。また、多摩地区につきましては、平成十年版消防年報によりますと、九六・〇%でございます。

○竹下委員 特別区と多摩地区では、消防団員の平均年齢においても、充足率についても大きな差があるのではないかと思います。若干の差でしょうけれども、これらの理由は何でしょうか、お伺いいたします。

○池田消防総監 特別区と多摩地区との違いでございますけれども、多摩地区では、歴史的に地域活動の一環といたしまして、青年団や消防団などの活動が活発に行われておりまして、一定の年齢に達しますと、消防団に入団し、かつ退団時には後輩が入団するというシステムが定着しております。したがいまして、充足率が高く、かつ平均年齢も低いものとなっております。
 一方、特別区は、他府県からの転出入者の割合が多く、地域のつながりが比較的希薄なところもあり、多摩地区と比べまして、充足率が低くなっているものと考えられます。

○竹下委員 このような状況の中で、特別区消防団が地域防災の担い手としての期待に十分こたえていくためには、若返りも必要でしょうけれども、消防団をより活性化させる必要があると思いますが、今後の方策についてお伺いいたします。

○池田消防総監 特別区の消防団員は、高年齢化が進む一方で、充足率は下がりつつあります。このことから、青年層の入団を促進するなど、消防団を活性化する必要があると認識しております。
 当庁では、昨年五月、庁内に消防団装備等検討委員会を設置いたしまして、鋭意検討しているところでございます。
 今後、その検討結果を踏まえまして、特別区の消防団の活性化を推進し、地域防災力の一層の向上を図ってまいる所存でございます。

○竹下委員 ちょっとまだ時間がありますので、もう一点。
 都電荒川線に関する質問でございますが、都電荒川線の東池袋四丁目―雑司ヶ谷間でございます。それから、荒川区役所に隣接する区域、王子の手前にある区域、もう時間がありませんからあえて申しませんが、軌道敷の両側に住宅が密集しております。また、狭隘の道路の状況にあります。また、側道がないことから、火災発生時や急病の際に、消防車や救急車が大変入りづらい場所となっております。
 荒川線は、地域に密着した生活路線であります。このような際に、緊急時に軌道敷を通って消防車や救急車が通れるように、軌道敷を、例えば舗装するとか砂利を敷くとか、緊急時に活用できるようなことができないでしょうか、お伺いいたします。

○横溝交通局長 荒川線には軌道法が適用されておりまして、専用軌道内の自動車の交通は認められておりません。しかし、仮に舗装した場合でも、他の自動車の乗り入れが行われ、また、歩行者の通行等によりまして、安全確保上の問題が出てまいります。また、未舗装のままでは、緊急車両の通行に多少の障害が生じてくるわけでございますが、非常時の通行はやむを得ないものというふうに考えております。

○竹下委員 今答弁いただいたんですが、よくわかるんですが、私はやはり、そういう舗装をしますと、現に今の状況でも、線路敷に、子どもさんとかいろいろな方が出て、非常に危険な状態でございますでしょうけれども、特に私はこれまで、詳しくは調べておりませんが、東池袋四丁目―雑司ヶ谷間とか、こういうところは火災の発生率も非常に高いと聞いております。今後の課題でしょうけれども、いかに大変危険で、架線が生きて、架線が六百ボルトの直流電流が流れているとか、いろいろ危険なところはよくわかりますけれども、何らかの方策が必要ではないかと思います。
 それと、東池袋四、五丁目だけとりますと、将来、環五の一とかいう、拡幅の問題もあります。そういうことも聞いておりますけれども、緊急性が一番必要なところだと思いますので、何らかの方策がないかなと思って、もう一度、済みません、お尋ねいたします。

○横溝交通局長 ただいまお話にございました地域につきましては、当該地域のまちづくりの中で、そのものができるかどうかも含めまして検討させていただきたいと存じます。

○竹下委員 終わります。

○三原副委員長 竹下友康委員の発言は終わりました。

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