東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○石井副委員長 遠藤衛委員の発言を許します。
   〔石井副委員長退席、清原委員長着席〕

○遠藤委員 私は、初めに、石原知事の提唱されました心の東京革命についてお伺いいたします。
 都民にとって最も関心の高い問題、あるいは都政に積極的に取り組んでもらいたい喫緊の課題に、教育の問題が挙げられると思います。私は、この問題について、石原知事並びに中島教育長及び関係局長に質問をさせていただきます。
 すべての原点は教育にあると私は考えております。石原知事も、施政方針の中で、時代をリードする創造力を備えた若者を育成することができるよう、教育改革を積極的に推進するとされております。そして知事は、現在の教育の危機を取り上げ、子どもたちの心の問題が深刻だとして、心の東京革命を提唱し、具体的な取り組みを推進していくとされているわけであります。私たちは、この取り組みに大いに期待するものであり、期待するだけでなくて、私たちも積極的にこの問題にも協力をしていきたいというふうに思っております。
 教育は、まず第一に家庭の問題であるというふうに思います。家庭での教育力の低下がいわれておりますが、この点につきましては、我が党の吉野議員が本会議の一般質問で触れたところであります。先日も、文部省の国際比較調査の結果、アメリカなど五カ国の中で、日本の子どものしつけが最低であるという新聞報道がなされたところであります。さまざまな要因があり、どれが直接の原因であるとはいい切れないことも承知はしておりますけれども、今日、どうして母親や父親が子どもの育児やしつけがきちんとできないのか、その原因はどこにあると考えておられるのか、まず教育長にお伺いいたします。

○中島教育長 ご指摘のとおり、子育てにかかわる問題につきましては、さまざまな要因があるといわれております。例えば、核家族化によりまして、子育ての知恵が親から子に伝承される機会が極めて減少していること、また、都市化によって地域で家庭が孤立化する一方、情報化の進展による育児情報のはんらんなどにより、親みずからが子どもの教育への自信と力量を失っていること、さらに、子どもが規範意識を身につけるために重要な役割を担うべき父親の家庭における存在感が希薄であることなどが、父母が育児やしつけをきちんとできない原因であると考えております。

○遠藤委員 次に、学校の問題点であります。
 私は、三月の十二日、日曜日でありますけれども、調布市内の児童生徒のボランティア活動の体験発表を聞く機会がございました。時間の制約がございますので、内容は割愛をさせていただきますけれども、一つだけ紹介をさせていただきます。
 小学校五、六年生の子どもたちが、次のような、非常に考えさせられるような指摘をされました。目の不自由な方と、足の不自由な方の問題であります。例えば、歩道の段差については、目の不自由な方は多少段差があった方がいい、足の不自由な方は段差のない方がいいことがわかった。この問題をどのように解決すればいいのか、大きな問題であると答えられていました。私は、このように、子どもたちが新鮮でフレキシブルな考えで活動しており、そうした子どもたちが大勢いるということを前提にいたしまして、次の問題に入りたいと思います。
 学校の問題としては、いじめや不登校といった問題が表面化して久しいわけであります。最近では、私語がうるさいとか、あるいは授業中席を立ってしまう、ごく少数の児童生徒によって授業が成り立たないという問題行動、いわゆる学級崩壊といわれる現象が社会問題として提起をされております。
 それでは、この学級崩壊というのはどうして起こってしまうのか、その原因は何か、教育長にお伺いします。

○中島教育長 いわゆる学級崩壊の原因は複合的でございまして、事例によっても異なっておりますが、少子化や情報化の進展、家庭や地域の教育力の低下などがもたらした、子どもの集団生活や人間関係の未熟さの問題が挙げられます。また、こうした子どもたちの変化に十分対応できず、柔軟性を欠いている教師の指導や、魅力を失っている授業、さらに、学校、家庭、地域社会の連携不足などが主な原因として考えられます。

○遠藤委員 次に、少子化の影響を受けて、教員の定数が削減され、新規採用を抑制した結果、若い教員が少なくなり、高年齢の職員の割合がますます高くなっているわけであります。これでは、今日的な問題にきちんと対応できないのではないかというふうに思うわけであります。特に、教師の最も大切である、子どもに対する愛情とか、子どもが好きだということ、あわせて、子どもと一緒に遊んだり掃除をしたり、いわゆる師弟同行といいますか、これが行われていないのも、このあたりに原因、要因があるのではないかと考えますけれども、教育長の見解を伺います。

○中島教育長 学校教育の直接の担い手である教員の活動は、児童生徒の人格形成に大きな影響を及ぼすものでございます。児童生徒は、授業時間のみならず、学校生活のさまざまな場面で人間としての生き方を学んでいくものでございまして、多様な資質能力を持つ教員が協力をして児童生徒の指導に当たることが大切であり、ご指摘の師弟同行による教育は、いつの時代にあっても大切なことであると思います。師弟同行を積極的に行うためには、教員の年齢も一つの要素となり得ますが、特に個々の教員の教職への使命感や情熱が関係するものと考えております。

○遠藤委員 次に、小学校の就学期間というのは、子どもの人格形成に当たって大変重要な時期であると考えております。現に学校教育法では、小学校教育の目標の第一に、「学校内外の社会生活の経験に基き、人間相互の関係について、正しい理解と協同、自主及び自律の精神を養うこと。」と掲げられております。小学校の教育がいかに大切であるかがわかるわけであります。
 中でも、特に低学年の集団生活あるいは集団行動を行うには、職員の体力が不可欠なものであると私は思っています。職員の年齢と体力の相関については一概には申せませんが、一般的には年齢の若い職員の方が体力的にすぐれていると思います。若い先生が多ければそれでいいというふうには思いませんけれども、たとえ年齢が高くても、児童と一緒に行動できるような若さが必要であるというふうに考えているわけであります。
 まして平成十二年度からは、総合的な学習の時間として、学校、学年または個人がそれぞれのテーマを持って研究をする、そのようなことができるようになるわけであります。そうなれば、先生の努力が一層大切になるわけであります。そこで、教師の必須の条件とは何か、お伺いいたします。

○中島教育長 必須の条件ということでございますが、最低の条件ということで私どもは考えていることでございますが、教師は、まず豊かな人間性を持ち、子どもが大好きであることが大切であると考えております。また、教師としての使命感を持ち、社会人としての常識があること、そして、実践的な指導力を有し、熱意を持って教育に取り組めることなどが必要であると考えております。

○遠藤委員 平成十一年の公立学校統計調査によりますと、公立小学校では女性教師が男性教師の約二倍近くおりますが、これはどのような理由で女性教師が多いのか、その辺をお伺いします。

○中島教育長 小学校の教員につきましては、昭和四十年代前半から女性教員が男性教員を上回っておりまして、多くの女性にとって教員は魅力ある職業であるということではないかと思われます。
 このことは、現在におきましても、例えば都の教員採用試験における受験者がここ数年、およそ七〇%が女性でございまして、合格者がほぼ同じ比率になっているということからもうかがえると思います。

○遠藤委員 答弁をいただきましたけれども、私は、バランスというような問題から考えましても、この状況でいいとはなかなか思えない。今、答弁にありましたように、男性の受験が三〇%、合格者も三〇%しかいない。何で男性がこんなに受験者が少ないのかというふうに率直に思うわけであります。悪く勘ぐれば、女性の方が合格しやすい内容になっているんじゃないかぐらい思ってしまうわけであります。この辺を分析する必要があるのではないか。男女雇用機会均等法等の問題があってなかなか難しいやに聞いたことがありますけれども、ぜひこの辺を検討していただきたい。
 特に申し添えておきたいことは、中学の部活におきましても、顧問の先生等のやり手がいなくて部活が成り立たない、こういうこともあるわけであります。これは私は大変大きな問題であるというふうに思っています。このことは、現場の先生の声でもあります。部活の重要性というものを考えれば、何とかしなければならないというふうに思うはずだと思いますので、十分ひとつご検討をお願いいたします。
 次に、地域の問題であります。
 地域の問題で、人間関係の希薄化、子どもの減少、テレビゲームの普及や過度の塾通いなどなどは、子どもが集団での遊びや地域の人々との触れ合いを通じて社会性を身につける機会を失わせていると思います。今こそ、知事がいう他人の子どもをしかることを実践するなど、家庭や学校、地域において、大人たちが責任ある行動をとり、かつ、それぞれが連携して行動しなければならないのであります。家庭や地域、学校の三者それぞれが責任を果たしたとしても、お互いに連携をするという考えがない限り、谷間が生じてしまうものであります。谷間は、他人の人権あるいはプライバシーにかかわるとか、余計な口を挟むなとか、そのあげくの果てに関係がないなどというような、要するに他者を受けつけないケースがあるわけであります。
 特に、今日の現象として、親の見る子ども、それと先生の見る子どもとのずれがあるのではないかというふうに私は思っています。こうしたことが課題解決をおくらせ、マスコミ等に取り上げられるような大きな社会問題あるいは事件となってしまうケースが、こういうところから生じるのではないか。やはり三者が、信頼関係に基づく連携の下に、それぞれの領域をお互いに認めながら、学校が中心になって、先生はどんどん外に出て意見や要望を積極的に聞く、あるいは問いかけをする。そうしなければ現在の課題を解決できないと考えるのは、まず私だけではないはずであります。
 そこで、三十年来いい続けられている三者の連携でありますが、これはまさしくスローガンのようになっておりますが、ぜひこれをスローガンに終わらせることなく、今こそ具体的な方策を考えるべきだろうというふうに思いますが、教育長の見解をお伺いします。

○中島教育長 当教育委員会では、心の東京革命の一環として、本年度からトライ&チャレンジふれあい月間を設定いたしまして、都内公立のすべての小中学校で、子ども、教師、保護者、地域の人々がともに行う地域清掃やリサイクル活動、あるいは社会福祉施設交流活動などに取り組んだところでございます。
 今後は、学校が、家庭や地域社会とともに子どもたちを育てていく視点に立った教育活動を推進しますよう、区市町村教育委員会と連携してその内容の充実を図り、積極的に取り組んでまいります。

○遠藤委員 実は全米PTAのホームページの中で、前会長のルイス・ジーン・ホワイト氏が次のように述べております。子どもの学業成就において、教師と親はパートナーであり、子どもの教育のために協力することは、父母を初め祖父母や親族などの保護者、あるいは企業家などを含めたすべての人々の責任であるとのことであります。
 このように、アメリカにおいては、大人全員が子どもの教育に責任を持ち、協力することが当たり前だとされております。だからといって、アメリカで子どもを取り巻く環境が必ずしもいいとは思いませんが、家庭、学校、地域で大人たちが責任を持とうというこのような姿勢に対して、教育長の所見をお伺いします。

○中島教育長 親を初めとした大人たちが、子どもの主要な生活圏である地域社会におきまして、子どもたちを社会の子としてとらえ、自覚と責任を持って互いに協力し、子どもの育成に取り組むことは、今日極めて大切なことである、このように考えております。

○遠藤委員 私なりにさまざまな問題点を提起したつもりでございますけれども、こうした状況の中で、昨年十一月に知事は心の東京革命を提起され、さらに、本年六月には、その具体的な取り組みを心の東京革命取組方針・行動案としてまとめる旨を、本定例会の冒頭で所信表明されました。
 心の東京革命については、次の時代を担う子どもたちに対して、親を含めた大人たちが、責任を持って正義や倫理観、思いやりの心を育て、人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取り組みであります。これらの原点となるのは、学業至上主義の下に進められてきた進学重視の教育への反省であり、今までないがしろにされてきた社会の基本的ルールの再認識であるといわれております。
 私は、教育の危機、子どもの危機、ひいては日本の危機を救おうとする石原知事の情熱と決断に大きな拍手を送るとともに、一日も早くその成果があらわれることを願ってやみません。私は、心の教育とは感動体験を子どもに持たせることだと思います。私も、微力ながらこの取り組みに積極的に協力してまいりたいと、決意を新たにしたところであります。
 最後に、心の東京革命を成し遂げるため、知事の熱い思いをお伺いすると同時に、すぐには成果としてあらわれるものではございませんが、東京都の行政以外にどのような方策で実現をされていくのか、知事の考えをお聞きして、最初の質問を終わらせていただきます。

○石原知事 心の東京革命は、ちょっと題名が大げさな感じがしないでもございませんが、いずれにしろ、子どもたちにこの社会に住む者の一員としての基本的な心得を伝えていこうとするものでございまして、まずその当たり前なことが、それさえできていないということが現代の一つの社会的な危機ともいえると思います。まず私たち大人が社会の先輩としてその責任を自覚して、家庭、学校、地域で、子どもたちに社会人としての基本的なことをしつけ、教えていくということが大切だと思います。
 そのためにも、先般発表しました素案をもとに、都民の意見や提案も取り入れて、取組方針・行動案を策定して、あわせて区市町村の民間団体、例えばボーイスカウトであるとかガールスカウトであるとか、宗教団体であるとか、あるいは少年の野球チームもありますし、そういったみずから望んで子どもたちの育成に携わっている方々の組織も通じて、こういったものを普遍していきたいと思っております。
 ともかく、当たり前のことを当たり前のこととしてやるということの方がむしろ難しいような気がいたしまして、ある意味で私たちがこのまま子どもたちを放置しておけない、子どもたちの将来をみずからの責任で救うんだという自覚のもとに、これはもう本当にひとり勝手なものでは進みませんから、衆知を集めてと申しましょうか、皆さんのご意見を聞き、また、微に入り細にわたった一つの心得のようなものも申し合わせて、東京から子どもたちの心をまともに変えていく、そういう一つの運動といいましょうか、ムーブメントを積極的に展開したいと思っております。

○遠藤委員 次に、地方分権一括法の施行と税財源問題についてお伺いいたします。
 今定例会において、石原知事は、法人事業税への外形標準課税の導入という、まことに重要な意味を持つ提案を行っております。知事の唱える地方主権の確立のためには、地方自治体が自立し、みずからの責任とみずからの財源で自主的な施策を展開できる仕組みの構築が必要であり、そのためには、現行の地方税財政制度の抜本的な改革が不可欠であります。
 しかしながら、税源移譲を含めた税財政制度の改革の動きは余りにも遅く、地方財政を見渡すと、地方は国からの移転財源に頼らざるを得なくなっています。このことが地方の国に対する依存心を助長するとともに、各自治体における行政改革への取り組みのおくれ、深刻な財政危機の原因ともなっていると思います。
 今回の知事の提案は、地方主権の基幹となる課税自主権を行使することにより、こうした膠着状態にある地方財政の現状を打破し、真の地方自治の確立をするとともに、国の政策形成を地方からリードしていこうというものであり、国及び地方団体への大きな提起でもあります。
 折しも四月からは地方分権一括法が施行になり、長年の課題である地方分権の推進はいよいよ実行段階に入るわけでございます。そこで、この地方分権一括法の施行による地方分権の進展と、それを実質的に支える地方税財源の充実の進捗状況についてお伺いいたします。
 地方分権一括法の施行により、国と地方との関係のうち、最も大きく変わるのは機関委任事務の廃止と、それに伴う自治事務と法定受託事務の整備であります。そこでお聞きいたしますが、これまでの機関委任事務に対して、これまで国はどのような財政措置をとられていたのか、お伺いいたします。

○木内財務局長 地方自治法の規定によりまして、国は、機関委任事務に要する経費の財源について必要な措置を講ずることが義務づけられております。具体的な財源措置といたしましては、国庫支出金、地方交付税、手数料徴収権の付与がございます。

○遠藤委員 それでは、機関委任事務にかかわる都の予算はどのくらいあるんですか。

○木内財務局長 機関委任事務に係る経費とそれ以外の経費を正確に分けることは難しゅうございますけれども、明らかに区分できるもののみを集計しますと、中身としては、国の指定統計だとか外国人登録事務などがその中に含まれますけれども、十年度決算ベースで千四百七十八億円でございます。

○遠藤委員 それでは、その財源のすべては国によって何らかの財政措置がなされていたんですか。

○木内財務局長 今申しました千四百七十八億円の財源の内訳を見ますと、国庫支出金などによって措置された財源は四百五十五億円でございまして、残りは、ルールの上では交付税によって財源措置されているものも一部ございますけれども、東京都は交付税の不交付団体でございますので、その差し引きの一千二十三億円の全額は、東京都の自主財源である一般財源を充てていることになります。

○遠藤委員 つまり、都は地方交付税の不交付団体であるがために、機関委任事務とはいっても、結局は都の自主財源を一千億余りつぎ込まなければならなかったということであります。機関委任事務は本来国が行わなきゃならない事務であり、地方自治法により、国はそのために要する経費の財源については必要な措置を講じなければならないと規定されているにもかかわらず、実態としては都の自主財源の持ち出しとなっているのは、地方自治法の観点から見ても、今、非常に問題があるわけであります。
 それでは、今回、地方分権一括法の施行により、機関委任事務制度が廃止され、新たに自治事務と法定受託事務に移行することになりますが、こうした国と地方の間に見られる財源措置の点から見て、ゆがんだ実態は改善されるのですか。

○木内財務局長 国の地方分権推進計画では、委員ご指摘のとおり、事務の区分を変更することになっておりますけれども、その新しい事務の区分と、国、地方を通じた経費負担のあり方とは、直接連動するものではないとしております。つまり、制度の変更によりまして財源措置の状況が直ちに改善されるものではないというふうに考えております。

○遠藤委員 今回の分権改革において、機関委任事務制度を廃止し、国と地方の関係を対等・協力の新しい関係に改めるなどとうたっているわけでございますが、肝心かなめのその裏づけとなる財源の問題については、改正前と変わらないということになるわけであります。これではまさに仏つくって魂入れずであります。
 これからの分権型社会を確立していくために、何よりもまず地方税源の充実確保が大切であることは、今定例会の冒頭に知事が施政方針で述べたとおりであります。
 それでは、この地方税財源の充実について、地方分権一括法においてはどのように扱われるようになりますか。

○木内財務局長 地方分権一括法の附則において、地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討するとされておりまして、事実上、中長期的な課題として先送りされております。
 東京都におきましては、地方分権に伴う税財政制度の抜本的改革を国に対する最重点要望事項として掲げ、その実現に向けて強く働きかけてまいりましたが、地方分権一括法におけるこうした措置は、非常に残念であるというふうに考えております。

○遠藤委員 税源移譲の問題は、長年にわたる地方自治体の一致団結した悲願であったにもかかわらず、国の検討をただじっと待っていたら、いつになったら実現するかわからない状態であるといえます。石原知事は、こんな状態をいつまでじっと待っていられるかというふうに思います。これでは、地方分権とは名ばかりであるというふうに思います
 地方税源の充実なくして、それぞれの自治体が地域の実情に応じて自主的に施策を展開していくということは、到底望むことができないわけであります。また、ほとんどの自治体が地方交付税に依存している地方財政の状況においては、地方が国に対して自由に物を申していくことは大変困難であるといわざるを得ません。過日、参考人として出席されました東大教授の神野先生も、国から地方への税源移譲が財政の安定につながるというようなことをいわれておりました。
 そういう意味で、今回の銀行業等に対する法人事業税の外形標準課税の導入は、現行の地方税制度に対する問題提起であり、まさに国に重い腰を上げさせる一つの試金石でもあります。
 しかしながら、こうした地方自治体が独自の判断と責任において導入できる今回の外形標準課税に比べて、国から地方への税源移譲については、国という相手がある話であり、最終的には国の理解と協力が不可欠であります。そのため、税源移譲を実現するためには、大きな困難が伴うことは十分承知をしておりますが、地方主権を確立するためには避けて通ることができません。石原知事なら何とかするだろう、何とかしてくれるだろうとの都民の期待も、大変大きい今日であります。
 私も、都議会議員として二年八カ月が過ぎたところでございますけれども、この間、多くの職員とも接してきました。これらの職員は、仕事に生きがいと情熱を持って、すばらしい仕事をしております。知事も職員に対する大きな期待を持っておられます。このような職員の英知を結集すれば、新しい税源を確保することも決して不可能なことではないと思います。
 そこで、知事にお聞きいたします。消費税や所得税等の地方への移譲を含めた地方税財政制度の抜本的改革について、都から国に対して、その改革に向けた強いメッセージを発信し、困難な課題ではありますが、早急にその実現への道筋を明らかにしていくべきと考えますが、石原知事の決意のほどをお伺いいたします。

○石原知事 まさにご指摘のとおり、仏つくって魂入れずでは、地方の分権も主権もあったものではございませんで、いかなる行政にも財政が裏打ちをされなくては、行政が行政になりません。
 そういう意味で、消費税や所得税などの税源の移譲など含めまして、地方税制度の抜本的な改革というものを、粘り強くとよくいいますけれども、そんなことをしたら時間がかかるだけでして、なかなからちがあきませんから、先般もお願いしましたように、都庁と議会、また、都民の有識者と三者が一体となった税調のようなものをつくりまして、これは決して東京のためだけじゃなしに、他県にも及ぶことだと思いますから、そういう東京発の素案というものをつくって、これを思い切った形で国にぶつけていきたいと思っております。議会からも挙げてのご協力を賜るようお願いする次第でございます。

○遠藤委員 ありがとうございました。
 きょうは、教育問題と一括法について触れさせていただきました。時間に制約がありましたので、ちょっと急ぎましたので、教育の方について多少意見を述べたいところがございましたけれども、それをカットしてしまいましたが、多少時間が余りましたので、ちょっと意見を述べさせていただきます。
 若手の先生が今、非常に少なくなっている。このことは、必ずしもいいことではない。今の子どもの考えになかなかついていけない先生が多い。むしろ今の子どもの考え方が理解できない、あるいはわからない、そういった先生が多いように聞いております。その辺の子どもの気持ちがわかるというのは、やはり若さ、現代っ子であろうというふうに思います。これは、決してお年を召した方がすべてだめだということじゃございませんけれども、一般的にはそういうふうに思うし、私もそう思っています。
 ですから、今のルールでいきますと、先ほどありましたように、男性だけを募集するというようなことは、均等法の問題から非常に難しいというようなことを聞きましたけれども、何か手だてを考えてほしい。先ほどの、悪く見れば、とらえれば、試験が女性の方が合格しやすいんじゃないかということをいいましたけれども、そういったことも、内容の検討とか、あるいは勧奨制度、聞くところによりますと、非常に条件もいいようでございますので、そういう勧奨制度というものを積極的に活用して、若い先生の増員をぜひ図って、学校にも活力、活性化を図っていただきたい、こういうことを知事並びに教育長にお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

○清原委員長 遠藤委員の発言は終わりました。

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