東京都議会予算特別委員会速記録第四号

○清原委員長 星野篤功委員の発言を許します。
   〔委員長退席、三原副委員長着席〕

○星野委員 流暢な松本節の後、多摩の田舎の都議会議員が、幾つかお願いやらお伺いをしたいと思います。
 私はまず、このたび都が提案しました二十三区の区域における新築住宅に係る固定資産税、都市計画税の減免措置に関連して、市町村への影響とその対応についてお伺いいたします。
 住宅産業はすそ野が広く、経済波及効果が大きいため、新築住宅に係る固定資産税、都市計画税の減免という税制面から支援することで景気刺激策になるとともに、優良な住宅ストックの形成にも資するものであるという考えには、私も賛成でございます。同時に、このことは、二十三区に限らず、多摩、島しょ地区を含めた市町村全域で共通の施策が必要ではないかと考えられます。
 そこでお伺いいたします。
 基本的なことではありますが、固定資産税、都市計画税について、東京都の中で、二十三区と市町村における課税権はどうなっているのか伺います。あわせて、二十三区と市町村の両税の税収額についてもお答えをお願いします。

○横山総務局長 固定資産税と都市計画税は、両税とも市町村税でございます。ただ、二十三区の区域内では、東京都が都税として課税をいたしております。また、都内市町村におきましては、各市町村がそれぞれ課税をいたしております。
 この固定資産税と都市計画税の東京都内の税収総額についてですが、平成十年度決算ベースで申し上げますと、二十三区分で一兆三千百九十六億円、市町村分で三千百七十七億円でございまして、合計では一兆六千三百七十三億円でございます。

○星野委員 今の回答にありますように、固定資産税、都市計画税は、都内全域で一兆六千三百七十三億円の税収になっております。市町村税として非常に貴重な財源であります。また、固定資産税、都市計画税は、都内市町村では各市町村が市町村税として課税しているわけですから、その減免措置を行うかどうかは、一義的には確かに各市町村が自主的に判断すべき問題であります。
 さかのぼって考えてみますと、これまでも昭和六十三年の異常な地価高騰の中で、都は臨時、緊急の措置として、二十三区の区域における小規模住宅の土地に係る都市計画税の軽減措置を導入してきました。この措置は、来年度も、現在の景気状況等の中での都民の税負担感に配慮し、引き続き延長し、実施することが提案されています。
 そこで伺いますが、都が、二十三区の区域にこの小規模住宅の土地に係る都市計画税の軽減措置を導入した際、市町村にも何らかの措置をとったと承知しておりますが、そのときの内容と、現在、それがどのようになっているかお伺いします。

○横山総務局長 東京都が二十三区の都市計画税の軽減措置を昭和六十三年に実施した際、都内二十六市二町が、それまでの税率を引き下げまして、制限税率〇・三%に対しまして、〇・二四%から〇・二八%の軽減税率を実施しております。
 この軽減税率の現在の実施状況でございますが、都市計画税を課税をしております二十七市二町の全団体におきまして、〇・二%から〇・二八%の軽減税率を継続実施いたしております。

○星野委員 当時は異常な地価高騰による住民や議会等からの減税要求を受け、重税感の緩和、住民感情等にこたえるために、市町村もみずからの財源を捻出し、税率を引き下げたわけです。しかし、現在の市町村の財政の状況は、昭和六十三年当時と比べれば全く異なっていると思います。東京都として、現在の都内の市町村の財政状況をどのように認識しているのか伺います。

○横山総務局長 平成十年度におきます都内市町村の普通会計決算で見ますと、歳入歳出とも戦後二度目のマイナスの伸びとなっております。また、財政の健全性を示します経常収支比率では、七〇%から八〇%程度が適正水準とされている中で、市町村全体では、前年度の九〇・八%から九二・二%に悪化しておりまして、このうち九〇%以上の団体が半数を占めるなど、都内の市町村財政は非常に厳しい状況が続いているものと認識いたしております。

○星野委員 今の答弁にもありましたように、市町村の財政は非常に厳しいわけであります。仮に、各市町村が独自に判断して減税措置を実施するとしても、その税収減を埋められるような財政状況にありません。しかしながら、今回のような減免措置が二十三区だけに限って都税として行われたとしても、市町村の住民にしてみれば、同じ都民感情として、二十三区の区域で実施されている施策は、市町村でも実施されることを期待しているのではないかと思います。
 そこで伺いますが、今回の固定資産税、都市計画税の減免措置について、市町村から要望等があったと聞いておりますが、その内容についてお示しください。

○横山総務局長 今回の二十三区を対象とします新築住宅に係る固定資産税、都市計画税の減免措置に対しまして、三月二日に、市長会並びに町村会から連名で都知事あてに要望書が出されております。その主な内容は、今回の東京都が実施する減免措置によって、多摩、島しょの住民も同様の減免措置が受けられるものと期待されることになる、仮に、市町村が同様の減免措置を実施した場合には、現在の市町村財政の状況ではその税収減を埋められず苦慮していることから、区市町村を包括する東京都として十分な配慮を行ってほしい、こういうものでございます。

○星野委員 今の市町村からの要望を聞いてみますと、市町村は、住民の期待と、それにこたえるための財源の問題で、今回の東京都の措置に対して苦慮していることがまさにうかがわれます。このような状況の中で、仮に、全市町村が二十三区と同じ方法で新築住宅にかかわる固定資産税、都市計画税の減免措置を実施した場合には、その減収額はどのぐらいとされますか。

○横山総務局長 これは各市町村の課税権にかかわる問題でございますので、あくまでも仮定の話として答えさせていただきますが、都内全市町村が、今回の東京都が実施をする措置と同様の減免措置を講じた場合の減収額につきましては、かなり不確定要素がございますが、仮に平成十年に新築された住宅の件数をもとに試算をしてみますと、都内市町村全体では、五年間で約二百十六億円程度、年平均にしますと四十三億円程度と試算されます。

○星野委員 今の答弁によりますと、全市町村において減免を実施するとなると、五年間で二百億円以上、住民負担は軽減されるということになるわけですね。しかし一方で、財政状況が極めて厳しい中で、貴重な自主財源である固定資産税、都市計画税の減収は、市町村にとって大打撃となり、まちづくりの面等で立ちおくれている市町村の道路整備だとか下水道整備事業等に影響を与えかねないと懸念されるところであります。
 また、二十三区と隣接する市の住民にしてみれば、区部と道一つ隔てただけで、なぜ同じ都民でありながら、自分たちの方はこの恩恵に浴さないのかという不満を持つことも、これは至極当然だと思います。従来、都が二十三区内で実施する施策については、できるだけ市町村においても実現できるよう、財政援助等の措置が講じられてきております。
 したがいまして、現在の厳しい市町村の財政状況を考慮して、今回、仮に市町村が二十三区に準じた固定資産税、都市計画税の減免措置をとることとした場合、府県としての立場から、都は何らかの財政支援を行うなど特段の配慮をすべきだと考えますが、これは知事にお伺いしたいと思います。

○石原知事 おっしゃることは、都民感情として非常によくわかります。それは、道一本隔てて、どうしてこっち側に住んでいるだけで割を食うのかということでしょうが、まあ委員はよくご存じのことと思いますけれども、都の市町村と二十三区というのは、自治体としての性格が本質的に違いまして、二十三区の方は、やがて本質的に自治体になり切るのでしょうか、独立した、その過渡期にあるわけでありますが、いってみると、昔の大東京市として東京都がそれを抱えているという形になったわけで、ということで、今度の減免措置も、市町村というのはそれぞれの性格を持っていますし、またそのほとんどが交付団体でありますので、そういうハンディキャップもあり、こういう形に一応いたしましたが、この状況の中でこの問題をどう扱うかというのは、原則的には、やっぱり課税権というものを持っているそれぞれの市町村が判断すべきものと思います。
 しかし、私としては非常に板挟みのような気持ちでありまして、今後の都内の市町村の動向というものをもう少し見定めて、こちらの今後の姿勢を決めたいと思っております。ひとつ、今のところはその程度の答えでご理解願いたいと思います。

○星野委員 実は、けさ私の地元の市長とお会いしました。市長は、二十三区並みにやりたいという気持ちはあるようです。ということは、立場上そういう突き上げを受けるということは当然予測ができますから、しかし、前もってある程度、東京都から何らかの支援なり援助なりを受けない限りはいい出せないというのが、まあこの現状だろうと思います。
 先日私、知事がテレビで、たしか対談か何かでのときに、最初に、銀行に対する外形標準課税で、いや減税もやるんだというんで、この話を都民は聞いている、見ているわけですね。ですから、当然これは、いわゆる銀行にはお金をいただきます、それで、片方でこれを減税しますというのをパックで見ているわけですね。ですから、そういう意味では、多摩の市町村にも金融機関の支店はたくさんあるわけですから、そうすると、多摩の方から、まあ考えようですけれども、お金は持っていく、しかしその恩恵は来ない、そういう心理状態に置かれていることは事実です。
 ですから、ぜひともこの問題については、ただいまの知事のお話ですと、簡単にはできない話のようですけれども、よく検討していただいて、これらの多摩のーー多摩も都民ですから、どうか多摩の都民にその恩恵が回ってこられるようにご措置願いたいと思います。この件については、これで終わらせていただきます。
 次に、都営住宅の家賃に係る減免制度について伺います。
 現在、減免制度の適用者は四万七千世帯余り、そのうち家賃を免除されているのは四万世帯にも及ぶと聞いています。制度適用世帯の何と八五%が家賃を払っていないのであります。すなわち、ただで都民共有の財産である都営住宅を使っていることになります。その免除額は百六億円にも及ぶとのことであります。これは、現行の減免制度に本質的な問題があったのではないかと思います。二月二十八日に発表された都政モニターアンケート結果では、七割の都民が、免除は受益者負担の観点からおかしいといっています。
 住宅局では、学識経験者の意見も聞いたとのことでありますが、その結果はどうだったのでしょうか。まずここからお伺いします。

○戸井住宅局長 昨年末、住宅問題に造詣の深い大学教授、弁護士、行政経験者など九名の方から、減免制度に関して幅広く意見を聴取いたしました。その中で、所得が一定金額以下であればすべての者が免除となる現行の仕組みについては、ほとんどの方が見直しすべきものとしております。

○星野委員 学識経験者も、免除はおかしいといっています。都では減免制度の見直し案を取りまとめたわけでありますが、現在の免除者についてはどのような取り扱いをするのか伺います。

○戸井住宅局長 現在の免除者は、新たな減免制度が適用されますと、まず五〇%の減額率になる場合、次に高齢者や障害者等で、収入が一定水準以下のため七五%の減額率になる場合、そして一定要件のもとで免除が継続される場合の、三つのいずれかに区分されることになります。

○星野委員 そうだとしますと、現在の免除者が具体的にどのくらいの負担になるんですか。まず、この世帯の本来家賃は平均で幾らぐらいですか。また、新たに減額された家賃負担額は、平均していくとどのぐらいになりますか。

○戸井住宅局長 現在の免除者が入居している住宅の本来の家賃の平均額は、月額で約二万二千円でございます。したがいまして、五〇%減額者の新たな負担額は、平均して、月額ですけれども約一万一千円となりまして、七五%減額者は月額約五千五百円となります。

○星野委員 次に、現在の免除者に対して、一定要件のもとに免除を継続するということですが、その考え方を伺います。

○戸井住宅局長 今回の見直しでは、既減免者の中で特に生活が困窮する一部の世帯につきましては、負担が急激に変化することにより大きな影響を伴うことが危惧されるために、一定要件のもとに配慮を行ったものでございます。

○星野委員 今回の見直しは、民間の賃貸住宅に住んでいる都民の実態を考えれば、まだまだ不十分な点がありますが、応益性の導入、負担能力の的確な把握の面では、現行の制度と比較して大きな前進であると思います。
 ところで、現在都営住宅家賃の免除を受けているにもかかわらず、都営住宅の駐車場料金を支払っている居住者がいるやに聞いております。そのような居住者はどのくらいいるのでしょうか。また、そのような居住者が負担している駐車場料金は、平均でどのぐらいですか。

○戸井住宅局長 平成十一年十二月におきます駐車場使用料金を支払っている家賃免除者は、七百九十五名でございます。その平均月額は約一万円でございます。

○星野委員 家賃免除を受けていて、平均して一万円の駐車場料金を負担している世帯が相当あると。先ほどの答弁では、新負担額の平均が、五〇%減額で一万一千円、七五%減額で五千五百円の新負担額となるとの説明でありましたけれども、依然として家賃負担以上の駐車場料金を負担している世帯がいることに、何か矛盾を感じます。
 家賃免除を受けながら駐車場料金を負担している事例があるということは、これは収入の把握に問題があるんではないでしょうか。このような居住者には、今後どのような対応を図っていくつもりでしょうか。

○戸井住宅局長 昨年末に免除者の駐車場利用状況の実態調査を行いました。駐車場の利用者には、障害者など車の利用が必要不可欠な世帯も多いのでございますが、収入の実態と車の所有について問題があると考えられるものにつきましては、現在、本人に事情を聞くなど対応しておりまして、今後とも、収入実態の適正な把握に努めてまいります。

○星野委員 都営住宅の管理については、これ以外にもさまざまな問題があります。きょうはそれをやっておれませんけれども、これは都民共有の貴重な財産であるわけですから、都営住宅の管理に当たっては、ほかの納税者に非常に不満があるわけですね。なぜ、というのが納税者の中にあります。
 どうかこれからも、この納税者を怒らせないように、さらに適切な、また適正な対応を行うように住宅局に強く求めて、この問題については終わります。
 続いて下水道局にお伺いします。
 私は、常々、多摩川を初めとする多摩地域の河川は、都民にとってかけがえのない貴重な水辺空間であると考えています。特に多摩川は、かつて泡にまみれ非常に汚れていましたが、昭和四十年代以降、下水道の普及によって大幅に水質が改善されたことは事実です。しかし、まだ十分とはいえません。今後、日野橋あたりにおいても、アユなどが泳ぎ、昔のように子どもたちが水遊びができるような快適な水環境を取り戻すことが必要であると考えます。そのためには、現在の下水道の処理を改善する必要があると思います。
 一つは、雨水と汚水を一緒に流す仕組みになっている合流式下水道の改善です。合流式下水道は、一定量以上の雨が降ったとき、雨水と一緒になって一部の汚水が河川に流れ出してしまう。その対策が必要です。
 二つ目は、従来の下水処理に加え、窒素や燐を取り除く高度処理の導入が必要と考えます。下水道局が平成十一年十一月に実施した下水道モニターアンケートの結果によりますと、九五%の方が、合流式の改善や高度処理を進め、きれいな川になることを望んでいるとのことです。改めて都民の川への思いを強く感じます。
 そこで、下水道局長にお伺いします。合流式下水道の改善が必要なことについてはよく耳にすることですが、その内容は、都民にはよくわからないものだと思います。わかりにくいんですね。そこで、多摩地域における合流式下水道の改善の基本的考え方と、具体的に何をしようとしているのか、伺います。

○鈴木下水道局長 合流式下水道改善の基本的な考え方といたしましては、雨天時に合流式下水道から河川などの公共用水域に放流される負荷量を削減して、いわゆる分流式下水道と同程度、あるいはそれ以下に抑えることであります。
 多摩地域における具体的な対策といたしましては、雨の降り始めの下水、これは道路面を洗ってきますので、特に汚れているわけですけれども、この一部を貯留して、雨がやんだ後に処理してから多摩川に放流いたします。この貯留施設につきましては、北多摩一号及び北多摩二号処理場で既に一部稼働しております。また、管渠のはけ口から川に出ていくごみ等につきましては、自動かき寄せ装置つきスクリーンなどを設置して除去することといたしております。

○星野委員 次に、高度処理について伺います。
 多摩地域では、既に下水道普及率が、おかげさまで九〇%に達しましたが、今後の水質改善対策として、残された地域の普及促進だけでは、これ以上の改善は難しいと思います。環境保全局の資料によりますと、多摩川の田園調布堰では、下水処理水が河川水量の約半分を占めるようになったといっています。
 そこで、子どもたちが水遊びができ、また、東京湾での赤潮対策のためにも、下水処理水の水質をさらに改善する必要があります。このため、より高度な下水処理、いわゆる高度処理の導入が必要と考えますが、現状と今後について伺います。

○鈴木下水道局長 現在、流域下水道では、窒素及び燐を同時に除去する高度処理施設の整備を進めております。平成十二年度には北多摩二号処理場、平成十三年度には八王子処理場で稼働する予定です。
 今後とも高度処理についての技術開発を進めるとともに、施設の新設、増設、更新に合わせ、段階的に整備を進めてまいります。

○星野委員 次に、効率的な下水道事業運営について伺います。
 多摩地域では、個々の市や町は、家庭や事業所などからの下水を直接受ける枝線管渠を設置、管理しております。都は、市や町の枝線管渠を受け、幹線や処理場など根幹的な施設を設置、管理していくわけです。流域下水道事業に必要な費用は、国庫補助金のほかに、都と各市や町で負担していると聞いております。このため、流域下水道の事業運営は、都財政にはもちろんのこと、関係市や町の財政にも大きな影響を与えることになります。昨今、都も市や町も非常に厳しい財政状況の中では、ともに効率的な事業運営が求められていると考えます。
 そこで、幾つか伺います。
 これから多摩地域の下水道は、本格的な維持管理の時代を迎えることになります。私が調べたところでは、効率的な事業運営には、幾つかの自治体が類似する業務を広域化、共同化することにより効果が発揮されることが、建設省や自治省の研究で明らかにされております。
 先日の新聞によりますと、下水道局は、小平市など多摩北部都市広域行政圏協議会の六市と、水質検査業務を共同実施するとの記事が載っていました。この事業の内容と、その効果について伺います。

○鈴木下水道局長 水質検査業務につきまして、今まで関係市町がそれぞれで実施しておりました。今回、この業務を小平市など関係六市と都が共同して行うことにしたものでございます。
 その効果といたしましては、排水規制のより一層の適正化が図られるとともに、検査に要する各市の費用につきましても約一五%の節減が図られるもので、関係市からも大変喜ばれております。

○星野委員 ただいまのお話で、水質検査業務の共同実施によって業務の効率化が図られているというふうに伺いました。今後も、他の市や町から水質検査業務の共同実施について要望があった場合には、積極的な検討をお願いします。
 次に、水質検査業務以外の効率的な業務運営の手法について伺います。
 現在、流域下水道は、各処理区ごとに、下水の処理と、その家庭で発生する汚泥の処理まで、一貫した処理施設を備えています。これらの処理場では、施設の故障時や定期点検時の休止などに備えて、施設の能力や数に一定の余裕を持たせていると聞いております。
 そこで、処理区を超えておのおのの処理場が連携し、能力の低下に対して相互にバックアップできる体制を構築すれば、全体として施設の稼働率を上げることができると考えられますが、また、今後このほかにも効率的な下水道運営を進めるための検討を行うべきだと考えておりますが、どうでしょうか。

○鈴木下水道局長 効率的な事業運営を図るためには、バックアップ体制の構築が重要であると考えておりまして、現在、下水汚泥の処理について、ご指摘のような施策を進めております。また、このほかにも、各処理場間を光ファイバーケーブルで連絡して、運転管理の効率化に努めていく考えです。
 今後とも、多摩地域における効率的な下水道事業のあり方につきまして、関係市町村ととともに検討してまいります。

○星野委員 大分時間も迫ってきましたけれども、今度は高齢者施策推進室についてお尋ねします。
 高齢者については、これまで、ややもすると、支えられる存在として画一的に見られがちでした。しかし、人生経験が豊富な高齢者は、一人一人が多様な個性を持っており、健康状態などから見ても、一くくりの集団としてとらえることは適当ではありません。このため、これからの高齢者福祉は、限られた人に対するものではなく、多様な高齢者のニーズにこたえられるよう、個々の高齢者の生活実態、生活行動にも配慮した、きめ細かで総合的な施策で取り組むことが重要であると考えますが、都の基本的な考え方をお伺いします。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 これまでの福祉でございますが、低所得者の方を中心に、限られた人を対象にしてきましたが、本格的な高齢社会を迎えまして、今後は、介護が必要な方はもとより、高齢者のみで暮らす方も、さらには元気な方も広く視野に入れ、広く施策を展開する必要があると考えております。
 このため、高齢者の生活実態などに応じて、介護が必要な方に対しては、介護保険が円滑に実施できるよう、また、介護基盤の整備、利用者保護の仕組みづくりなどに努めてまいります。また、介護保険の対象とならない方や元気な方に対しましても、自立生活の支援、住まいの確保、多様な社会参加の場の創出、移動手段の確保など、総合的な施策を展開してまいります。

○星野委員 ここで、今までの福祉政策について、どう担当者として評価をしているか、また、各市町村及び民間との役割分担も含めて、どのような役割を担っていこうとしているか、考えているか、お伺いしたいと思います。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 都の福祉施策は、昭和四十年代にその骨格を固めまして、全国に先駆けた福祉施策を実施し、国や他の地方自治体に大きな影響を与えてきたところでございます。しかし、少子高齢化の急速な進行、低成長経済への移行、介護保険制度の実施などから、これまでの施策の継続は困難となり、新しい施策への転換が求められているところでございます。
 今後、都は、医療や所得保障などは基本的に国の役割とし、また、区市町村が地域の実情に応じて、質、量ともに充実したサービスを提供できるよう、広域的な立場から支援してまいります。
 また、NPOや民間団体などの参入が見込まれることから、福祉人材の育成や法人の指導監督などに積極的に取り組んで、都として総合的に福祉施策の充実に努めてまいります。

○星野委員 次に、元気な高齢者施策についてお尋ねします。
 現在でも、高齢者全体の約八割が元気な高齢者です。本格的な高齢社会を真に活力あるものとするためには、元気な高齢者づくりを一層進めることが重要です。そのためには、高齢者一人一人の個性やライフスタイルに応じた総合的な施策を実施していく必要があります。今後の元気な高齢者施策をどのように展開していくのか、伺います。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 本格的高齢社会を活力あるものとするために、元気な高齢者の方がいつまでも健康で生き生きと活躍していただくことが重要と考えております。そのため、健康の維持増進、サラリーマンOBなどの社会参加の仕組みづくりや、多様な就業機会の拡大、コミュニティバスなどの導入によりまして移動手段の確保などに取り組みまして、元気で経験豊かな高齢者の能力を生かす都市型高齢社会のモデルを、この東京につくっていきたいというふうに考えております。

○星野委員 特に私どもの会派として、このたびのシルバーパス制度の見直しに合わせて、高齢者の雇用促進策を進めるよう提案しておりますが、具体的にどう取り組むお考えでしょうか。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 現行のシルバーパス制度でございますが、運賃補償方式をとっているために、ご案内のように、なかなかバス事業者の経営面での努力を生かす仕組みになっておりません。
 したがいまして、今回、今ご提案の条例の中では、都がバス事業者を支援し、バス事業者がいろいろ経営面で努力できる方式に変更させていただいております。そういう中で、高齢者の方には千円の負担をお願いしているところでございますが、その利用で負担していただいた額につきましては、例えばパスの交付に際しまして高齢者を活用したいということで、できれば二百カ所程度の発売場所を設けまして、そこで高齢者の方が高齢者のためにシルバーパスを発行する、こういう経費に充てて、高齢者同士が交流するような、新しいモデル的なものができればというふうに考えております。

○星野委員 これで最後になりますけれども、今回、特別養護老人ホームが行政の措置制度から利用者との契約へと、大幅に制度が変わってきたわけです。そして、都が我が会派の要望を受け入れてくださいまして、大変厳しい財政状況の中で、平成十二年度予算に特別養護老人ホーム等経営支援事業として百億円を計上していただくことができました。この事業を効果あるものにしていくという観点から、一つだけ質問していきたいと思います。
 特別養護老人ホーム等経営支援事業は、サービスの向上と自立経営を支援するという積極性を持った事業であります。利用者や家族、施設の経営者、職員、そして多くの都民からも期待されております。
 そこで、お尋ねします。都は、本事業を実施することにより、特別養護老人ホームをどのように転換させ、都民の期待にこたえようとしているのか、ご説明をいただきます。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 十二年度予算の百億円の使途でございますが、現在、特別養護老人ホームは、措置制度から介護保険制度に移行することに伴いまして、サービスの向上と経営の自立が求められているところでございます。その百億円の経営支援事業は、役員や職員の意識改革、事業の自己評価と自主的改善、ボランティアの受け入れ等による地域交流の拡大などとともに、サービス内容や空きベッド情報等を都民に積極的に提供することなど、特別養護老人ホームみずからの取り組みを支援することにより、サービスの向上を図っていくことを求めております。

○星野委員 ありがとうございました。(拍手)

○三原副委員長 星野篤功委員の発言は終わりました。

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