東京都議会予算特別委員会速記録第三号

○三原副委員長 沢西きよお委員の発言を許します。
   〔三原副委員長退席、清原委員長着席〕

○沢西委員 私は、都議会無所属クラブを代表しまして、総括質疑を行います。
 長時間にわたる質疑で、知事を初め皆さんお疲れと思いますけれども、私が本日の最終質問者でございます。最後まで簡潔、明瞭な答弁をくださるようお願いしておきます。
 知事は、就任初めての当初予算でありますけれども、もう何回かやっているのかなと思うほどの錯覚を私起こしておりまして、そのぐらい、一年以内のプレゼンスというのが大きいのかなと思っておるわけであります。
 昔、「嵐を呼ぶ男」という日活の映画がございましたけれども、私もそれを若いころ見て、かっこいいなと思ったことがあるんですけれども、これは弟の裕次郎さんが主演で出ておったわけでありますが、現在はまさに石原知事が嵐を呼ぶ男かなというふうに思っております。それは、強いリーダーシップを求めている時代ではないのかなと思っているわけでございます。しかしながら、リーダーシップはいいんですけれども、ワンマン体制にならないように、これは取り巻きの人も大いに意見をいうべきだと、こう思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 平成十二年度予算案の編成にかかわる問題から質問いたします。
 十二年度予算案の編成に当たりまして、各局の予算要求に先立ち、副知事名の依命通達による経費区分ごとの削減方針が示されましたけれども、都がこのような予算見積もりにおけるシーリング方式をとるようになったのはいつごろからか、まずお伺いいたします。

○木内財務局長 東京都では、昭和五十一年度の予算編成から、予算編成の効率化、経費の節減を図るため、いわゆるシーリングを設定し、各局の予算要求の段階から、あらかじめ経費節減を図る方法を導入しております。
 しかし、今日では、シーリングは、単なる経費節減のみを目的としたものではなく、施策や事業そのものの見直しを進める上での一つの手法であろうというふうに私どもは考えております。

○沢西委員 平成十二年度予算見積もりに当たって示されたシーリングを確認させてください。

○木内財務局長 十二年度のシーリングは、管理事務費等については、十一年度予算額に対して、総額で一五%の減、経常経費は一〇%減、投資的経費は一五%減の範囲内で所要額を見積もることといたしました。

○沢西委員 今示された率は、財政再建推進プランによる平成十五年度までの削減目標を踏まえてのものと思いますけれども、そう認識してよろしいですね。

○木内財務局長 ご指摘のとおりでございます。

○沢西委員 マイナス一〇%、一五%という削減はそう簡単なものではないというふうに思いますが、一〇%を超えるシーリングをかけるようになったのはいつからですか。

○木内財務局長 シーリングの率については、平成五年度予算で原則一〇%減の基準が示され、以降、毎年度一〇%を超えるシーリングをかけております。

○沢西委員 平成四年までは都の予算規模はいわゆる右肩上がりが続いていたわけでありますけれども、バブル経済の崩壊をきっかけに急激な税収の落ち込みが始まり、平成五年度以降は、一〇%を超えるマイナスシーリングをかけなければ厳しい財政状況に対応できなかった、そういうことだと思うのですが、それでも、平成五年度以降の予算規模の縮小の中で、シーリング方式が一定の役割を果たしたことを否定するつもりはありません。また、一番事情のわかっている所管局の責任で予算の削減を行わせることは、確かに実態に合った削減ができるというメリットがあることも承知しております。
 しかし、全庁一律に広く薄く削ることによりまして、一応のつじつまの合った予算編成になったものと思いますが、施策の根本までさかのぼった見直しがおくれることにもなったと考えられるのですが、いかがでしょうか。

○木内財務局長 シーリング方式には既に長い実績がございまして、その経緯の中ではあるいはご指摘のような面もあったかもしれませんが、シーリングの目的も、先ほどご答弁しましたように、それ以降大きく変化しておりまして、施策の見直しのおくれを、シーリング方式に起因するというお話ですけれども、私どもは必ずしもそうではないんじゃないかというふうに思っております。

○沢西委員 巨額の財源不足の解消を図るための一方の手段として、知事は徹底した経費の削減を挙げていますが、シーリング方式の考えについて、知事はどう思っているか、伺いたいと思います。

○石原知事 私は、国の予算編成をずっと見てきまして、シーリング方式というのは決していいものじゃないという認識を持っています。ただ、何しろことしは嫁に来たてでございますから、わからぬことばかりでして、ともかく土俵を割らないためにはとりあえずそのシーリング方式をとらざるを得ませんでしたが、確かにドラスチックに施策を見直すためには、こんなものはない方がいいと思う。
 いろんな弊害がございまして、厚生省なんかは、結核がまたこのごろちょっと復活してきましたけれども、全く結核のおそれがなかったころも結核の予算を持っていましてね、シーリング方式で削るものですから。それは要するに温存しておいて、何に使ったかといったら、空気をよくするために並木道をつくるのに使わせたり、わけのわからぬことをしていました。
 そういう点で、やっぱりシーリング方式というのはいろいろな問題があると思います。それは十分承知した上で、できれば、とにかく各党のご協力をいただきながら、ドラスチックな施策の見直しをしたいものだと思っております。

○沢西委員 知事は、全予算案を、都財政の構造改革を推進する中で、財政再建の達成に向けて確実な第一歩を踏み出す予算と位置づけ、編成したと施政方針で述べられましたけれども、私も、そうでなければならないと考えております。
 ところで、今、国会で論議されている国の平成十二年度予算案では、一般会計では対前年度三・八%増の約八十五兆円と、過去最大の積極予算といわれていますが、国債収入は幾らで、公債依存度及び国債の年度末残高見込みはどうなっていますか。

○木内財務局長 国の十二年度の一般会計予算案におきます国債費収入は三十二兆六千百億円でございまして、公債依存度は三八・四%でございます。また、十二年度末における国債の残高は約三百六十四兆円程度と見込まれております。

○沢西委員 それでは、都における都債収入、起債依存度及び年度末都債の残高、もちろん十二年度末ですが、どうでしょうか。

○木内財務局長 東京都の場合には、都債の計上額は三千九百八十六億円でございまして、依存度は六・七%でございます。また、十二年度末の一般会計の都債の現在高は七兆六千二百億円程度になる見込みでございます。

○沢西委員 危機的状況の都財政より、国は何十倍もひどい状況でありますが、国がこのような状況に陥った原因はどこにあるとお考えでしょうか。

○木内財務局長 国は、長い間にわたりましていわゆる赤字国債、特例公債依存体質でございましたし、バブル崩壊後も、厳しい経済情勢に対して、国債を財源として各種の財政措置を講じてきたため、財政状況は一段と悪化をいたしました。
 国としては、こうした状況に対応するため、平成九年六月に財政構造改革を推進する旨の閣議決定を行って財政健全化に取り組んできたわけですけれども、景気低迷が長引く中、十年の十二月にはその財政構造改革の推進を一時凍結いたしまして、積極的な財政運営に方針転換を図っております。十二年度の予算においても、経済を民需中心の本格的な景気回復軌道につなげていくため、経済運営に万全を期すとの観点に立って予算編成が行われたと承知いたしております。
 国債残高の累増の大きな要因は、こうした点にあるだろうというふうに考えております。

○沢西委員 いわずもがなと思いますけれども、東京だけでなく、押しなべて地方自治体の起債もふえ続けております。最大の要因を挙げてください。

○木内財務局長 東京都を含めまして、自治体の起債がふえ続けた要因といたしましては、バブル経済の崩壊以降、税収が減少する中、住民サービスの水準を維持するために、財源不足を起債によって補ってきたことが一点。二点目としては、国の景気対策に呼応する形で公共事業を実施するため、その財源として起債を増発をしたこと、こういったことが考えられるだろうと思います。

○沢西委員 地方が国の景気対策を過大に背負わされてきた結果ともいえると思うんですが、バブル崩壊以降は、都は、どのくらい国に合わせた景気対策を行ってきたのか、伺います。

○木内財務局長 国に合わせました景気対策の経費を正確に算出することはなかなか難しゅうございますけれども、平成四年度から十一年度までの間に、補正予算で対応いたしたものは約一兆円でございます。

○沢西委員 国と地方の財政運営にかかわる制度上の違いや問題については、私が細々いうまでもなく、十分ご承知のことと思いますので申し上げませんが、国の方針にただ手をこまねいていたのでは、さらに借金がふえていくことは明らかです。
 国の方針に迎合することなく、また国の圧力に屈することなく、都が自主的な判断に基づき財政運営を行っていくことが、都財政の健全性を確保し、ひいては将来の都民生活を守るためにも重要なことと考えますが、知事の所見を伺います。

○石原知事 まさにおっしゃるとおりでありますが、いろいろ、見えるところ、見えないところに国のしがらみが絡みついておりまして、都なら都が、地方主権という形で行政を行うその背景になる、裏打ちとなる財政というものを確保するための新しい財源、これは、税源も含めて、確保しようと思っても、いろんな制約がございます。
 外形標準もその目的でつくったものでありますが、これは地方税法の枠の中でやりました。ただ、先ほど来申してきましたが、多分大きな収入源になるだろうカジノにしても、その他の問題にしても、国の法律というものをクリアしませんと、なかなか実現がおぼつかない。それを申し込みましても、このごろ選挙も近いせいか浮き足立って、会話が会話にならないうらみがございますが、いずれにしろ、国にも強く働きかけて、法律の整備も促しながら、東京はいろいろな力を持っておりますから、これを実現していこうと思っております。

○沢西委員 我が会派は、十二年度予算編成に当たりまして、昨年同様、出るを制するだけでなく、企図する意味で、入りをはかる施策の展開を強く主張してきました。その立場からも、また、地方主権の確立、課税自主権の拡大を図る上からも、このたびの外形標準課税の導入には基本的に賛意を表するものであります。
 しかし、さきの代表質問で我が会派の幹事長が指摘した問題、さらに区市の税収への影響等、危惧される課題のあることも事実であります。それだけに、前進のかけ声だけでなく、説明責任というものをしっかりと果たすべきではないかと、先ほどから質問が出ているわけですけれども、知事、いかがでしょうか。

○石原知事 当然説明責任はございます。それを踏まえて、東京もそれなりに誠意を尽くしてきたつもりですが、こちらから説明に行こうと思っても謝絶されたり、そういった食い違いがございました。
 そういういきさつもございましたけれども、こうやって、議会がわざわざ参考人も呼んでいただき、また、この委員会、そしてまた財政の委員会等で審議を尽くすことで、この議場における議論というものが伝わっていくことで、私は世間にも説明がつくと思いますし、銀行の当事者はよくわかっていると思うんですけれども、大事なことは、銀行の当事者じゃなしに、都民なり国民がこれを幅広く本質的に理解をしていただくことだと思いますので、こうやって多くの機会に、議会を通じてこの問題が説明できるのは大変ありがたいと思っております。

○沢西委員 銀行業特有の事情と説明されておりますが、他業種にも似たようなものがあると思うんですけれども、その点をどうとらえているのでしょうか。主税局長、お願いします。

○大塚主税局長 主要十九行で申し上げますと、十九行の業務粗利益は、バブル期の平成二年三月期、約五兆六千億であります。平成十一年三月期、七兆五千億円を超えております。このように、バブル期を上回る利益を上げながら事業税をほとんど負担していないというのは、業種としては他業種にはなく、銀行業だけであります。

○沢西委員 これは財政委員会でまた論議されると思いますのでやめますが、知事は、今回の外形標準課税導入を一部の限られたメンバーで決めたといわれました。改革を進めようとするとき、時としては今回のような方法をとらざるを得ないこともあります。だからといって、今後、再三こうした方式はとるべきではないというふうに思っておりまして、一言申し上げます。
 ところで、知事は、入りをはかる中で、法律上の改正が必要となるわけでありますけれども、臨海のカジノ構想についてであります。
 私、オーストリアのザルツブルクというところに行ったんですけれども、これはモーツァルトの生誕の地でありますけれども、非常に芸術文化都市であります。ところが、ザルツブルクの市街地の真ん中にカジノがあるんですね。そこにカジノがあることによってザルツブルクの青少年が著しく悪くなったとは聞いておりませんので、そこで、どう進めようとしているのか、お伺いいたします。

○石原知事 午後に質問を受けました中にも、パチンコ屋と同じ形でやればいいじゃないかという案もございました。ただ、あれは、要するにそこで獲得した何かコインなるものを外の機関へ持っていって現金にかえる、商品にかえるというのは非常にこそくというんでしょうか、私は、やっぱり堂々と外国がやっている並みのカジノを経営したらいいと思いますし、調べてみますと、三百万以上の人口を抱えている都市でカジノがないというのは日本だけのようであります。
 私、今まであんまりカジノに行ったこともありませんが、何度か行きましても、なかなかいい雰囲気ですし、(笑声)もうかったことはございませんけれども、パチンコ屋は文化とはいえないと思いますが、しかし、やっぱりカジノは、いろいろなショーもあったり、非常に楽しい一種のテーマパークの様相を呈していて、世代を超えていろんな立場の人に楽しんでもらえる。しかも、非常に求心力のある一つの企業たり得ると思います。
 どういう形で運営するかは、委託するか、それとも、できれば東京都が全部オーナーシップを持って経営する、それが望ましいと思いますけれども、いずれにしろ、その前に、国が動いて法律を変えてくれませんと……。
 これは、聞きますと、あちこちの県でもいろいろ需要があって、おれもやるというようなところがあって、静岡県なんか変に熱心だそうで、考えてみましたら、あそこは熱海がもう衰亡著しくて、何かあそこをてこ入れするための一つの案として考えているといううわさもございますが、いずれにしろ、決して低劣な娯楽ではないと思います。何とかして実現したいと思います。

○沢西委員 それでは、行政改革について二点だけ伺います。
 知事は、就任以来、都の組織のあり方について、中長期的視点から都の行うべき施策を明らかにした上で抜本的に検討すると述べられています。それはそれとして了解いたしますが、抜本的対応とは別に、毎年組織の見直しをされていると思います。これはどのような考えで対応されているのでしょうか、お伺いいたします。

○横山総務局長 組織といいますものは、行政目的を最も効果的に、効率的に執行できるように編成すべきものと考えております。こうした観点から、都はこれまでも、社会経済状況の変化に的確に対応しまして、施策や執行体制の見直しに取り組んできたところでございます。
 本年四月には、環境局を設置するなど、都区制度改革の実施や地方分権一括法の成立などに対応した組織の見直しを行ったところでございますが、今後とも、事務事業の再構築など、都政をめぐる諸課題に対応した、簡素で効率的な執行体制の確保に努めてまいります。

○沢西委員 一人一人の職員の皆さんは、それぞれ担当している仕事に熱心に取り組んでおられると思います。その日常業務を見直すことこそ、私は行革の基本ではないかと考えています。
 知事は、しなやかな行政体質の構築を掲げていますが、現行の仕事の見直しが不十分なままでは、絵にかいたもちになりかねません。今後、簡素で効率的な組織に整備していくためにも、現行の仕事の進め方、また、その業務そのものが本当に必要かどうかを見直すことを直ちに始めるべきと考えますが、行政改革を担当している総務局長の見解を伺います。

○横山総務局長 行政改革を進めるに当たりましては、何よりも職員一人一人がみずからの仕事を原点に立ち返って見詰め直していくことが重要でございます。このため、今年度から行政評価制度の試行を開始しまして、職員みずからによる事務事業の点検を進めているところでございます。
 今後とも、時代の変化や民間との役割分担を踏まえまして、事務事業を再構築しますとともに、情報技術の活用など、事務処理のあり方を徹底的に見直してまいります。

○沢西委員 先ほど、財政再建に向けて、入りをはかる施策の重要性について申し上げましたが、中小企業や商店街の活性化は、入りをはかる上で欠かすことのできない要件であると認識をしております。
 これは共通のものであるというふうに思っておりますが、労働経済局長、いかがでしょうか。

○大関労働経済局長 ご案内のように、現在の厳しい都財政は、長引く景気低迷による税収減が大きな要因と考えております。東京の企業の大宗を占めます中小企業、この中小企業や商店街の活性化は、東京全体を活性化させ、ひいては都税収入の増加につながり、財政再建に最も効果的である、このように考えております。

○沢西委員 我が国の産業構造が、経済のグローバル化、消費者のライフスタイルの多様化、情報化の進展や規制緩和等により急速に変化しています。特に情報技術の急速な進展によりまして、世界じゅうの企業が一つの市場で競争する時代に突入したといわれています。どのように受けとめられているんでしょうか。

○大関労働経済局長 お話のように、インターネットによる受発注や電子商取引、いわゆるEコマースなど、情報化の進展が世界市場の一元化を大きく進めております。世界市場で競争に勝つためには、IT革命への対応を初め、的確な情報をいち早くつかみ、取引のノウハウを蓄積するなど、経営革新を進めることが重要であると考えております。
 しかし、東京の中小企業におきましては、こうした変化に的確に対応できていないのが現状である、このように認識しております。

○沢西委員 こうした変化の波は、まず東京を直撃します。しかし、東京の産業のほとんどは中小企業であります。中でも、六九%と大きな割合を占める小規模企業は、残念ながら、その経営基盤は脆弱であります。資金技術、情報等の経営資源も不足しております。急速に進む構造変化に的確に対応できない企業がふえているといわれていますが、どのように分析されているか。
 また、地域経済や雇用確保の面からも、こうした小規模企業の振興は重要であります。どのような振興策、支援策を進めようとしているのか、所見を伺います。

○大関労働経済局長 情報化の進展や経済のグローバル化などによりまして、産業構造の急激な変化が進んでおり、経営基盤の脆弱な小規模企業では、その影響は特に大きいと認識しております。
 こうした状況下にありまして、変化に的確に対応できない企業がある一方で、すぐれた技術や発想を生かし、小規模ゆえの機動性を武器に仕事を獲得し、業績を伸ばしている企業も見られるわけでございます。
 このことから、産業構造の変化への対応につきましては、的確に対応できる企業と対応が困難な企業とに二極化が急速に進んでいると、このように受けとめております。
 次に、小規模企業は、東京の地域経済の重要な担い手であるとともに、雇用面で果たす役割も大きいものがあると認識しております。東京都は、これまでも、構造変化への対応が困難な企業に対しまして、経営基盤の強化や新分野進出を促進するなどの支援を行ってきております。
 今後は、これらの施策を踏まえつつも、産業構造の変化への円滑な対応を促進するため、経営の革新や技術開発等に意欲的に取り組む企業に対し、資金、技術、経営面などから積極的に支援してまいります。

○沢西委員 長引く景気の低迷や、規制緩和に伴う大型店の出店増加などによりまして、それぞれの町の商店街や商店が大変厳しい状況にあるわけであります。
 現在、都が行っている商店街振興策については、ことしの一月に実施した東京都商店街サミットや元気を出せ商店街事業等、基本的には評価をしていますが、一過性の事業であってはならないと考えております。今後、どのように継続、活用していくのかを伺いたいと思います。

○大関労働経済局長 お話の、元気を出せ商店街事業や東京都商店街サミットの成果につきましては、商店街活性化の成功事例集に取りまとめ、普及啓発活動に活用するとともに、平成十二年度に策定を予定しております二十一世紀商店街づくり振興プランの中でも十分に反映させていきたい、このように考えております。

○沢西委員 さて、東京都には、いわゆる商店街がいかほどあるのか。では、そのうちに、空き店舗のある商店街はどのくらい、何%で結構でございます。こうした現状をどうとらえているのかをお答えをお願いいたします。

○大関労働経済局長 区市町村を通じて行った調査でございますけれども、平成十一年三月末におきまして、都内には二千九百七の商店街がございます。
 そのうち、空き店舗でございますけれども、平成十年度の調査でございます、これは六六・八%になってございます。
 こうした現状をどう見るかということでございますけれども、これは、平成七年度の調査のときには、空き店舗は五六・八%だったわけでございます。これが三年間で一〇%ほど増加していることから見まして、商店街の現状は大変厳しいものであると、このように認識しております。

○沢西委員 商店街における空き店舗の発生は、必要業種の欠落による顧客吸引力の低下をもたらすことになると思われますが、いかがでしょうか。
 それから、空き店舗がふえれば、その分だけ商店街全体の競争力、そして、町としてのにぎわいの喪失につながるばかりか、地域住民の利便性の観点からも大変な問題であると思います。都として、どのような対策を推進しようとしているのか、基本的な考え方もあわせてお聞かせください。

○大関労働経済局長 お話のとおり、商店街における空き店舗の発生は、商店街全体の衰退を招き、顧客吸引力の低下や売り上げの減少などの悪影響をもたらすものであると認識しております。
 また、空き店舗の解消を図ることは、商店街振興の上で重要な課題であり、従来から、生鮮四品と、それから物品販売業を対象として、空き店舗対策を実施してきたところでございます。
 さらに、平成十一年度からは、新たに、商店街がみずから提案する業種の店舗や共同配送施設、休憩所等にまで助成対象を拡大いたしましたチャレンジマート事業を実施しております。
 今後とも、商店街の意欲的な取り組みや区市町村の事業と連携し、商店街の空き店舗対策の的確な推進に努めてまいります。

○沢西委員 空き店舗対策につきましては、各地域における商店街の事務局体制や、人材不足等によりまして、各区市の取り組みに温度差があると聞いておりますが、都としては、その施策の整備拡充に積極的に取り組むことはもとより、その施策を知っている人と知らない人の格差が出ることのないよう、積極的なPRをすべきであります。所見を伺います。

○大関労働経済局長 東京都といたしましては、今後とも多くの商店街がチャレンジマート事業など各種の施策を利用できるよう、地区別担当職員が商店街等へ直接赴き、各区市町村と連携いたしまして、積極的にPRを行うとともに、商店街活性化講演会等を通じた施策の普及啓発を図ってまいります。
 また、現在構築しております空き店舗情報データベースの充実を図りまして、開業希望者等に的確な情報を提供するなど、商店街の空き店舗対策に積極的に取り組んでまいります。

○沢西委員 福祉改革について質問いたします。
 ハンディを持つ障害者の方々の雇用は、大変厳しいものがあると思います。さきの本会議の代表質問で、我が会派の幹事長が、知事の提案された福祉改革についての質問の中で、特に障害者の就労支援事業に早急に取り組むべきとの提案を行い、前向きの答弁を受けましたが、平成十二年度から開始するといわれた区市町村障害者就労援助モデル事業の具体的な内容をお聞かせください。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 お尋ねのモデル事業でございますけれども、この就労援助モデル事業は、障害者の方が一般企業に就労し、働き続けることはなかなか困難でございますので、障害者の一般就労の機会を拡大するために、コーディネーターを配置しまして、事業所への直接訪問などによる職場開拓を行うこと、それから、就職後も職場を訪問して、作業手順の指導や対人関係の調整などを行うこと、また、日常生活の全般にわたる生活支援を行うものでございます。
 十二年度、来年度のモデル事業を経まして、平成十六年度までに二十カ所を目標に整備し、障害者の一般就労の着実な促進が図られるよう、実施主体である区市町村を支援してまいります。

○沢西委員 一般企業への就労が困難な方々もいるわけで、そうした方々のための作業所などの働く場の確保はどのようになっているのか、そうした作業所で働く障害者の方々の賃金はどのくらいなのか、平均で結構でございます。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 一般就労が困難な障害者の方のための通所授産施設につきましては、身体障害者の施設が三十八カ所、知的障害者の施設が六十カ所、さらに、これらの授産施設と同様の活動を行っているいわゆる小規模作業所が二百六十二カ所ございます。それで、全体で約八千人の方が利用しております。
 都といたしましては、養護学校の卒業生など、希望するすべての人が利用できるよう、区市町村と連携して、これら通所施設の拡充を図ることとしております。
 また、賃金でございますが、通所授産施設等の利用者の賃金は、施設により異なりますが、最近の調査によりますと、おおむね月額一万五千円から二万六千円程度でございます。

○沢西委員 親御さんを初め、援助してくれる肉親のいる間はともかく、本当の意味での自立は難しいですよね。
 下請型の仕事のほかに、自主製品をつくっている方々もいらっしゃいますが、販売ルートが確立されていないなどの理由で、売り上げが伸びず、収入が非常に低いのが実情だと聞いております。都としても、そのような自主製品の売り上げを伸ばし、障害者の方々の収入の引き上げを図るための支援策を早急に検討すべきと考えますが、所見を伺います。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 障害者施設でつくられた製品につきましては、現在、各施設等で既に独自の販売努力が行われているところでございますが、その販路拡大を図ることは、障害者の経済的自立を支援していく上で重要な課題であると認識しております。
 また、今日の経済情勢の中で、仕事の受注も大変厳しい状況にございます。
 都といたしましては、今後、地域の授産施設や小規模作業所等のネットワークによる共同受注や営業開拓活動の活性化により、地域特性を生かした取り組み等ができるような多様な仕組みがつくられ、より一層自主製品の販路拡大が図られるよう、区市町村を積極的に支援してまいります。

○沢西委員 授産所や作業所にも行けない重度の障害者もおります。障害が重度であればあるほど、親御さんにとっては、その将来が案じられるのであります。こう申し上げると、何かセンチメンタルにとらえられそうですが、当事者にとっては日々の生活実感であり、不安であります。そのことをしっかりと受けとめ、知事がこれから取り組まれようとしている福祉改革の重要な課題として、障害者の親亡き後対策の確立に取り組まれるよう、強く要望しておきます。
 あと、時間がございませんので、道路整備は後回しにいたしまして、友好都市交流についてであります。
 二十一世紀の東京のあり方を考えるとき、私も、知事のいうグローバルプレーヤーとしての東京を目指すべきだと考えています。そのためにも、友好都市交流事業は有効な手段の一つであると考えますが、いかがでしょうか。

○今沢生活文化局長 お話しにございましたように、東京が国際社会の中で強い影響力を発揮し続けるためにも、姉妹・友好都市を含む諸都市と交流を図ることは重要である、このように考えております。
 また、今後の諸都市との交流に当たりましては、友好親善から実質的な交流、協力へと転換してまいりたい、このように思っております。

○沢西委員 東京は、これまでも、世界の主要都市と交流を深めてきております。議会としても積極的に取り組んできたところでございます。特に昨年は、友好都市交流二十周年を迎えた北京市に、渋谷議長を団長とする訪問団を派遣、私も団員の一人として同行し、大いに友好を深めてまいりました。
 しかし、東京都としての友好都市交流推進の最高責任者は、やはり知事であります。その見地からすれば、我が会派の代表質問における、北京市との交流問題に対する知事の答弁は、いい過ぎではないのかなと思っておりまして、改めて、北京市との交流に対する所見をお伺いいたします。

○石原知事 東京が、世界各国、各地域と交流を行い、いろんな行事を通じて友好を深めていくのは、大変結構なことだと思います。北京市とも、これまで二十年間にわたり、青少年交流やスポーツ・文化交流、技術交流などを実施してまいりました。これらの経緯を踏まえ、姉妹・友好都市の一つとして、必要な交流事業を続けていきたいと思います。
 ただ、これは、政治家としての私個人の北京政府に対する所見とはかかわりない問題でございます。(笑声)

○沢西委員 自分の考えを自分の言葉で率直に述べる知事の姿勢には、非常に好感を持っているわけでありますが、問題によっては、その発言には、東京都の最高責任者としての配慮も必要であることを指摘して、私の質問を終わります。

○清原委員長 沢西きよお委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 明日は午後一時から委員会を開きます。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後八時五十七分散会

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