東京都議会予算特別委員会速記録第三号

   午後七時八分開議

○三原副委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 田中良理事の発言を許します。

○田中委員 午後からずっと引き続き質疑が続いておりまして、皆さんお疲れのことだと思いますけれども、第四会派ということで、時間も大変制約のある中でいろいろなことをお伺いしなきゃならないので、少しいい方がきつくなったりするかもしれませんけれども、最初にお断り申し上げますが、個人的に何にも悪い感じを持っているわけじゃありませんので、どうぞお許しをいただきたいというふうに思っております。
 さて、さきの本会議で、我が都議会民主党の河合幹事長の代表質問で、この国のあり方についてお伺いいたしました。私は、これからの東京のあり方ということについてお尋ねしていきたいと思っております。
 施政方針において、平成十二年度都政運営の基本方針の第二に、東京の再生に向けた長期戦略ビジョンづくりとして、三つの構想、ビジョンを知事は挙げられました。東京構想二〇〇〇、東京の新しい都市づくりビジョン、そして、東京圏メガロポリス構想ということでございました。五十年を見据え、十五年後を目標にした福祉ビジョン、あるいは教育改革、文化政策、環境対策など、私たちとしてはソフトの面を重視して考えていきたいと思っておるんですが、その点についてまず知事のご所見をお尋ねしたいと思います。

○石原知事 これからの東京の都市づくりを進めるに当たりまして、それぞれの地域の個性や独自性を生かしたまちづくりを、東京都の造成を促進していきたいと思っております。
 大都会の魅力というものはいろいろなものがあるということでありまして、東京にもいろいろな地域があります。それぞれ特徴があります。ちょうど国際関係の中で、ナショナルでないものがインターナショナルたり得ないと同じように、地域の持っている一つの個性というものが東京の魅力を構成しているわけでありまして、そういったものを重視しながら際立たせていくという、そういう都市構想というものを進めていきたいと思っています。

○田中委員 それでは、この三つの構想とビジョンの関係とそれぞれの位置づけについてお聞かせいただきたいと思います。

○柿沼政策報道室長 三つの構想、ビジョンのかかわりでございますが、年内の策定を目指しております東京構想二〇〇〇は、基本的には、他の構想、計画の上位に位置づけられるものでございまして、広域的な視点を踏まえまして、東京が目指すべき中長期的な都市像、生活像を明らかにしたいと考えております。
 新しい都市づくりビジョンは、ハード面の都市づくりの方針といたしまして、東京構想二〇〇〇を踏まえ、これからの東京の都市づくりが目指すべき方向や、それを進めるための戦略などを示すものでございます。
 一方、東京圏メガロポリス構想は、東京圏が、七都県市の連携、分担によりまして、二十一世紀においても引き続き首都機能を担っていくべきことを明らかにするために策定するものでございまして、これらの構想、計画の策定に当たりましては、相互の役割分担を十分に明確にして、整合性を図ったものにしていきたい、このように考えております。

○田中委員 東京圏メガロポリス構想は、東京構想とは別に策定されるというふうに今お伺いいたしましたけれども、これを策定する際に、関係県市、周りの千葉だとか、埼玉だとか、神奈川といったような関係自治体との連携の強化ということで、いわゆる七都県市が一体となって構想をつくっていくということがより望まれるんじゃないかなと思うんですが、この点についていかがでしょうか。

○成戸東京都技監 昨年十一月の七都県市首脳会議におきまして、石原知事の提案により、七都県市が今後とも引き続き首都機能を担っていくことを確認し、そのための東京圏のあり方について共同して調査検討していくことを合意いたしました。これを受けて、現在、七都県市首脳会議の組織を活用して検討を進めているところであります。
 都といたしましては、今後策定する東京圏メガロポリス構想との整合性に配慮しつつ、七都県市による東京圏のあり方についての調査検討に積極的に取り組んでまいります。

○田中委員 それでは、次に、東京構想についてお尋ねいたしますけれども、五十年後を視野に入れて、当面十五年後を目標時期としてこれを策定するということですけれども、その際、当然、都内の各地域にさまざまな地域の特性というものがあろうかというふうに思います。そういった部分に配慮を欠かせないというふうに思います。
 過去、鈴木都政では、第一次長期計画で、東京を十三のブロックに分けて、それぞれの地域特性に対応した将来の方向というものを展望しておりました。第二次長期計画では、このブロックに八つのゾーンをかけて、そして、続く第三次長期計画では、この八つのゾーンというものがメーンになっておりました。
 青島都政になってから、生活都市東京構想というものがございましたけれども、今度は七つのエリアというものを設定して、同時に、千葉の自立都市圏、茨城の南部の自立都市圏、埼玉の自立都市圏、そして神奈川の自立都市圏ということで、そういった地域の連携の強化というものを打ち出してきたということがございます。
 知事は、この東京構想二〇〇〇の策定に際して、都内各地域の地域特性ということについてどういうお考えをお持ちであるか、お聞かせいただきたいと思います。

○石原知事 東京全体を幾つのディビジョン、区域に分けて考えるかというのは、人によってそれぞれ違うでしょうが、やっぱり、二十三区の中のさらにダウンタウンの部分として、丸の内かいわいから新宿、池袋というのがあるわけですけれども、それに比べて、もう一つ、海に面したウオーターフロントという大きなスペースがあります。また、いわゆる山手、下町とのコントラストで、非常に古いたたずまいの町の部分もございますし、二十三区から外れた、三多摩の非常にへんぴといいましょうか、自然に恵まれた地域にかかる土地のゾーンもありますし、それぞれの地域は、先ほど申しました特性があるわけでありますが、それがまた東京の魅力にもなっているし、活力の原因でもあると思います。
 今年度のある時期を目指して、せいぜい十五年ぐらいのスパンで、しかし、完成されれば、五十年は通用するような、そういうまちづくりというものの設計図を試案としてつくっていきたいと思いますけれども、途中でいろいろまた皆さんのお知恵をかりたいと思いますが、まあ、これを幾つに限るかということは、その構想ができる前にいってもしようがないことで、それが収れんされていく過程で、どういう区分けをするか、どういうゾーンとして実施するかという問題が出てくると思います。

○田中委員 後ほどまた、この地域特性に関連してお尋ねいたします。
 話は少し変わりますけれども、地方分権の一括法の成立によって、市町村の合併の特例に関する法律、いわゆる合併特例法が改正されまして、合併自治体には特例債というものが認められるなどの、合併の促進策というものが用意されてきたわけであります。こういったこともありまして、平成十一年には五地域に合併協議会が設置された。そして、十二年四月には、さらに二つの地域に設置される予定になっているというふうに聞いております。また、現在手続が進行中のものも五地域あるということで、この中には、東京都の保谷、田無両市も含まれているということなんですが、私は、基礎的自治体が行政事務事業の効率化を図っていって、そして、自治能力の向上というものを図っていくためには、もちろん各自治体の主体性が尊重されなきゃならないのは当然でございますけれども、それぞれの地域の特性に応じた市町村の合併というものが望まれる、必要ではないかなというふうに思っております。
 この点について基本的なお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○横山総務局長 地方分権の推進でありますとか、あるいは少子高齢化の進展など、市町村を取り巻く状況が大きく変化しているわけですが、そうした中で、市町村合併が行財政基盤の強化を図りますとともに、新たな住民ニーズや広域的な行政需要に的確に対応するための有効な手段の一つであると認識いたしております。
 市町村合併に当たりましては、何よりもまず、合併機運の高まりのもとで、地域の特性を踏まえながら、基礎的自治体である市町村みずからが主体的に取り組むことが重要であると考えております。

○田中委員 先ほど地域特性のお話を伺いましたけれども、市町村の合併ということになりますと、おのずとその地域の特性というものが、やはり重要な要素になってくるだろうというふうに思います。そうすると、将来の市町村合併の姿と、これから策定をしていく東京構想という中で、当然、過去の計画のように幾つかのブロックに分けて、それぞれの地域特性というものをとらえていくんだろうと思います。
 そこで、やはり今までの計画を一歩進めて、今後の市町村の合併を想定するというか、促進するようなエリアの設定とか、あるいはそういった施策の方向というものも具体的に考えていくべきではないかなと思うんですが、この点についていかがでしょうか。

○柿沼政策報道室長 東京構想二〇〇〇におきましては、市町村合併を想定したブロックの設定は考えておりません。しかしながら、東京の多様な地域特性を踏まえた地域の将来展望を示していきたいと考えておりますので、そのことが市町村の自主的な検討に当たっての素材の一つにはなり得る、このように考えております。

○田中委員 今まで市町村のお話をしてきたわけでありますけれども、特別区ということについても考えていかなきゃならないのではないかなと思っております。
 都区制度改革が四月から実施をされるという状況でございますので、とりあえずは、この都区制度改革がきちんと定着をしていくことがまず大事だろうというふうに思いますけれども、五十年後を視野に入れて、十五年後を当面の目標とするということで策定をする構想ということになりますと、やはり特別区も、将来的には合併というものも一つの選択肢として検討するべきではないかなと思うんです。都区制度改革で、いわゆる特別区も市町村と同様な基礎的自治体ということに位置づけられましたけれども、いまだに法律的には、やはり市町村とは異なっておりまして、大人になり切れない、何というか、予備校生ぐらいの感じなのかどうかわかりませんけれども、若干そういう差があることは事実だと思うんですね。
 この特別区の合併ということについて、将来的にどういうようなお考えをお持ちであるか、お聞かせいただければと思います。

○石原知事 現況で見ますと、二十三の特別区というのは、かなりいろいろな意味での格差が互いにありまして、それを一律に束ねて、こういう時代に、基礎的な地方公共団体と位置づけるということにも、いろいろ無理があるような気がしないでもございません。
 同時に、時代も動いておりますし、都市の構造そのものも動いておりますし、これからの東京の再開発に沿って、人口がさらに今度は中心部にリターンしてくる、そういう現象もあるでしょう。そういうものを全部勘案しまして、それでもなお、私はやっぱり二十三区というものの統廃合というのは、これから当然行われるべきではないかという気がいたします。

○田中委員 基礎的自治体が自治権を確立するということは、押しも押されぬ自治能力を持って、自治体間競争を通じてそれぞれの自治を活性させるということでもございます。
 今まで合併についてのやりとりをさせていただきましたけれども、今後、東京構想を策定する際に、今の既存の自治体の枠組みという視点だけではなくて、そういった合併などの新しい姿もイメージしながら、この構想策定を進めていくべきと思いますけれども、お考えをお聞かせいただけますか。

○柿沼政策報道室長 新たな地方分権時代をつくり上げていくためには、基礎的自治体が行財政基盤の強化を進めまして、みずからの責任で主体的に施策を展開していく、こういうことが非常に重要になると認識をいたしております。
 それに対応いたしまして、東京都としても、区市町村との新たな役割分担のもとに、広域自治体としての視点に立って施策の重点を移していくことが必要ではないかと、このように思います。
 東京構想二〇〇〇の策定に当たりましては、こうした観点を十分に踏まえまして取り組んでいきたいと思います。

○田中委員 地方の時代とよくいわれますけれども、今のこの国の地方自治制度、確かに法律的には、市町村、都道府県、対等の関係にあるんだといわれても、例えば、住民の最も身近なサービスを提供し、また求められる基礎的自治体の体力が、片や、例えば十万以下の人口しかない、片や基礎的自治体にまだなってない特別区のような、例えば世田谷みたいな大きな、八十万人の人口があるところということで、いわゆる基礎的自治体というものの規模が余りにも落差があって、そういう意味では、本来の求めていく分権ということからいえば、基礎体力を平準化させて、その上で個性を初めて具体的に追求することが、現実問題として可能になってくるんじゃないかなと。
 基礎体力をつくった上で、野球の好きな人、サッカーの好きな人、格闘技の好きな人という、それぞれの個性を積み重ねていくということが大事なのではないかなと、こんなふうに思っておりますので、ぜひひとつそういう視点も含めて、これから構想の策定に生かしていただきたいなと思っております。
 さて、先ほど、七都県市の連携の強化ということについては触れましたけれども、この先五十年後という長いスパンでとらえていったときに、道州制ということがよくいわれますけれども、こういったことも検討していく必要があるのではないかなというふうに思っております。特に東京の場合は、仕事と実際に住んでいるところが、かなり広範な、いわゆる首都圏というところにあるわけで、埼玉都民、神奈川都民、千葉都民ということでいわれるように、そういう地域であるということからも、特にそういった将来の研究というものが必要じゃないかと思います。
 東京州というふうにいうと、今度は神奈川とか千葉が怒るかもしれないけれども、名前はどうであれ、やっぱり道州制というものの具体的な検討、研究を始めるべきではないかなと思いますけれども、この点についてお考えをお聞かせください。

○石原知事 道州制がいわれて久しくなりますが、先般、首都機能移転の反対のときに、七都県市のサミット会議で私が申し出て、同意も得ました。それは、やっぱり首都というものは、東京だけじゃなしに七都県市が負担して、それぞれ機能しているんだという認識を共通に持ち合えたことはよかったと思いますけれども、おっしゃるように、何と名づけるんでしょうか、東京州というと反発する人が多いですから、首都州とでもいうんでしょうか、もしこれが実現しますと、イタリアやイギリス並みの人口とGDPを持つ行政地域になるわけでありまして、また、私は、国がやっとこのごろいい出しました地方主権というものの実現のために、そういう強力な自治体というものが誕生するということで、それが加速されるんじゃないかという気がいたします。
 いずれにしろ、時代が速く動いているわけでありまして、廃藩置県から始まって延々と続いてきた今日の行政区分というのは、もう時代に合わないということは自明のことだと思います。

○田中委員 ぜひひとつ、そういう点についてもこれから研究をしていっていただきたいと思っております。
 さて、次に、今議会の最も関心の高い外形標準課税の銀行への導入について、質問を進めさせていただきたいと思います。
 この問題は、二月七日に知事が記者発表をして以来、さまざまな議論が繰り返されてまいりました。いわゆる都民世論の反応というのは、七割とか八割支持をするというようなことです。ところが、マスコミなんかは、これはまた真っ二つに分かれている。あるいはまた、専門の学者とか経済の専門家の方でも、さまざまな幅広い意見がありまして、そういった専門的な立場の方々の意見、政府とかそういうところも含めて、かなりそういう部分の意見の食い違いと、一般のいわゆる世論との落差が、今回非常に際立った点かなというふうに思っております。
 具体的にお聞きしてまいりますけれども、まず、当事者である銀行協会、きのう参考人がいろいろお話をされておりましたけれども、東京都の説明が非常に足りない、東京都のやり方が強引であるというようなことが、盛んに銀行当事者から発信されているわけでありますけれども、この点、どうなんでしょうか。

○大塚主税局長 全国銀行協会が、七つの疑問点というふうな文書を配布されております。それに対して私ども、いろいろと反論をさせていただいているわけでございますけれども、少なくとも公表後は、短い期間ではありますけれども、先ほどご答弁申し上げましたとおり、誠心誠意、真摯な説明を継続している、これからもまた、全銀協及び納税者である各銀行に対しても、そうしたスタンスできちんとご説明を申し上げていきたいというふうに考えております。

○田中委員 七つの疑問点ということで、いろいろいわれたら、それに対して反論というか、東京都の主張もきちんといわなきゃならないとは思います。しかし、今度、それに対してまた反論と。確かに、きちっとした議論は大いに結構なんですけれども、やっぱり税金というものは、取られる側にご理解をいただくという姿勢が、やはり役所の方には求められる要素ではないかなというふうに思いますので、その点の説明については、これから十分に意を尽くしてやっていただきたいなと思っております。
 引き続き、具体的に聞いてまいりますけれども、発表までの間、いろいろと限られた人数で案を練ってやってきたというふうにいわれておりますし、マスコミでもそういう報道もされている。しかし、どうもいろいろ聞いてみると、実は大分早い時期から、東京都の、多分これは内部の情報だろうと思われますけれども、銀行協会に対して、銀行への課税というものを東京都は考えているという内容の文書が届いているということで、そういう事実があるらしいんですけれども、それはご存じですか。

○大塚主税局長 私どもでは、内部の文書だというふうには考えておりませんけれども、そうしたものが銀行協会の方に、あるいは銀行協会だけではなくて、国の一部といいますか、あるいはマスコミの一部といいますか、そうしたところに届けられたということは知っております。ただ、中身が、私どもで考えている中身とは全く違っておりましたので、そういう意味では、気にはしていなかったということであります。

○田中委員 幾つかその内容の文書があるらしいんですが、それによると、銀行協会に新しい課税を東京都が考えているよということで、何度も何度も、四回ぐらい行ったというんですね。それに対して、どういうふうに情報が流通したかは知りませんけれども、自治省から東京都に問い合わせがあったというようなことも書かれているんですけれども、事前にそういうような事実はあったんですか。

○大塚主税局長 先ほどもご答弁申し上げましたけれども、私どもで考えているような内容の中身ではなかったということであります。ですから、そういうふうな形で、問い合わせがあった場合にも対応しております。

○石原知事 大塚局長からはなかなかいいにくいこともあると思いますが、外形標準は、もともと国の税調が論議の対象にはしておりました。しかし、これは全く私たちと違った形のものでありまして、いわゆる一般的な、すべての企業にかけるという、それに大蔵、通産にも非常に強い抵抗がありましたし、特に自民党の党の税調の方では、この問題というのは避けて通られていた。
 ただ、私があるところで、地方分権一括法というのは本当に内容がなくて、これじゃ全くどうにもならぬ、大事な財源、税源の分与というものが棚上げされて、中長期だということでほったらかしにされるなら、やっぱり我々独自のことを考えにゃいかぬなということを、一言だけいいました。雑誌だと思いますけれども、余り人口に膾炙した雑誌じゃないんですが、銀行はかねてからこの問題について非常にぴりぴりびりびりしておりまして、それは何らかのギルティーコンシャスがあるんでしょう。
 ということで、探りを入れるために、ある新聞社に、国が税調で考えている形の外形標準を銀行に課するんじゃないかというような形の文案をつくって、サウンディングをしてまいりましたが、私たちはそれは全く無視して、独自の作業を進めたわけでありまして、そういういきさつは確かにございました。ただ、やっぱり非常に銀行は神経質であった。今でも神経質だと思います。

○田中委員 それでは、具体的な条例案の中身の問題について伺ってまいりたいと思います。
 論点の一つが、何で銀行だけなのかということが挙げられているわけであります。私たちも、自治体が、法律で許されたあらゆる選択肢の中で、課税自主権というものを考えていくことは大いに結構なことだというふうに思っているんですが、今回の場合、そういう観点からいって、銀行に外形標準課税を導入するということは、それは理屈としてよくわかります。理解できるんですが、そこで、何で銀行だけなのかということについて、いま一つ説明がどうも足りないのではないかなという感じがするわけなんです。この点についてちょっとお話しいただきたいと思うんです。

○大塚主税局長 銀行業を対象とした理由でございますけれども、銀行業は、バブル期よりも業務粗利益、すなわち本業での利益を上げながら、不良債権処理を行った結果、事業税をほとんど負担しておりません。同じように、銀行業ほどではないんですけれども、いってみれば税収水準の動く、例えば不動産業とか建設業とか、いろいろな業種があるわけでございますけれども、いずれの業種も、本業での利益が、銀行業と違って減少しております。したがって、本業での利益がバブル期よりもふえていながら、事業税をほとんど負担していないという業種は銀行業だけだということでございます。

○田中委員 それでは、過去十五年間の税収ということからいろいろ導いているわけですけれども、銀行業同様の大きな税収の落差のある業界はないということをおっしゃられたんでございますけれども、私たちはそれを判断するデータがないんですよね。ですから、銀行にかけるというのはよくわかる、しかし、業種別の税収動向とか企業別の税収動向とか、そういうデータを我々は持ち合わせていない。したがいまして、ないんだといわれたら、それを信じるしかないですね、もし前へ進もうとするならば。そこに、そちらとこちらの感覚の違いというのがあるのかもわからないんですけれども、それでしたら、もし今後、仮に銀行と同様な状態の業種というものが出てきた場合は、これらに対して外形標準課税の導入を検討していくのかいかないのか、お聞かせください。

○大塚主税局長 ご質問ではないんですけれども、過去十五年間の業種別の事業税収入の推移を、主な業種について、その前段としてお答えをしたいと思います。
 まず、不動産業でございますけれども、これは過去十五年間の業種別の事業税収入の推移のうち、ピーク時と現在の業種総体としての数字でございますけれども、不動産業につきましては、ピーク時一千四百億円、現在が五百億円であります。それから建設業、ピーク時一千五百億円、現在、同じく五百億円程度であります。で、バブル時と比較して利益の著しく減少しております、ご案内の証券業でありますけれども、証券業は総体としては利益は出てないわけでございますけれども、それでもピーク時一千三百億円に対して、現在二百億円程度であります。
 これに対し、金融業総体で申し上げますと、ピーク時二千五百億円、現在二百億円程度、このうち、いわゆる寡占状態にある大手三十行で、先ほどピーク時二千五百億円と申し上げましたけれども、大手三十行でピーク時二千二百億円、現在百億円程度であります。したがって、銀行業ほど税収変動の大きい業種は、ほかにはございません。
 それから、ご質問の、今後似たような業種が出てきた場合というお話でございます。法人事業税は、一定の利益が出てくる場合には、それは損益通算もありますし、いろいろありますけれども、一定の利益があれば必ず事業税収入は出てくるということを想定して、地方税法で、応益課税という形で税質を設定しているものでございまして、銀行業に対して、バブル期を超える業務粗利益が出ていながら、あるいは現実の収益が出ていながら、その数字の全部を消してしまうような業種がこれから出てくるとは考えられません。

○田中委員 それでは、別の聞き方をいたしますけれども、地方税法の第七十二条の十九にある特例のケースですね。その中で、事業の状況によってということの事業の状況、つまり特例が適用され得るケースについて、東京都の考える基準というものが具体的にどういうものなのかということ、これについてどうでしょう。

○大塚主税局長 地方税法七十二条の十九の事業の状況の基準でございますけれども、業種として所得課税では適正な負担を求めることが困難な状況にあり、かつ、これが相当期間続くことーー一過性ではないということですね、これが都が考えている事業の状況の基準であります。

○田中委員 ということは、業種として所得課税で適正な負担を求めることが困難な状況、かつ、これが相当期間続くという業種がほかに出てきた場合は、この適用を検討できるということでいいんでしょうか。

○大塚主税局長 先ほどご答弁申し上げているんですけれども、今の銀行業が、例えば今業務粗利益で七兆円を超えるようなオーダーがあるわけです。業務純益でいえば二兆円に近いような数字があるわけですけれども、そうした所得課税のいわば根っこになっている利潤、利益が上がりながら、その利益の全部を消し去るような、そういう業種というのは、よほどある種の判断でーーはっきり申し上げれば、今の銀行業、金融政策の中で、そうした判断の中でそういうことを許したといいますか、そういうふうな特別な条件がない限りは、通常はあり得ない、今後もあり得ない、よほど意識してそうした条件をつくらない限りはあり得ないというふうに考えております。

○田中委員 昭和五十二年に全国知事会が、製造業に対して、この特例規定による外形標準課税を導入しようとしたということを聞いておりますけれども、そのときの特例の規定の適用根拠というのは一体どういうものであったのか、いかがでしょうか。

○大塚主税局長 昭和五十二年当時の全国知事会案というのは、いわば大枠といいますか、大骨の案なんですけれども、それは、税収の規模、それから、当時、他業種に比べて景気変動による影響が高かったこと等を勘案し、資本金五億円以上というふうに刻みました。資本金五億円以上の製造業を対象としたというふうに聞いております。

○田中委員 ということは、製造業ですから、銀行業とは違うんですね。しかしながら、製造業にも適用しようとしたという過去は存在しているわけですよね。
 私は何をいいたいかというと、もともと法人事業税というものの理念は応益なんだというふうにうたわれていながら、実務的には応能で行われてきているということ、このことに、そもそも現行法に大きな矛盾があるわけですよね。だから、東京都としては、国に対して外形標準課税の一般的導入を求めているわけですよね。東京都が国に外形標準課税の導入について求めているという立場ですよね。
 としたならば、この特例の解釈というものについて、できる限り幅広く柔軟に解釈をした方が、課税自主権の強化という意味では筋が通るんじゃないか。といっても、あちこちかけるというわけにはいかないと思いますけれども、課税自主権ということでいえば、この特例規定の解釈は東京都なりの解釈が必要だと思いますけれども、できるだけそれを幅広く柔軟にとらえていくということが、課税自主権の幅を広げることになるんじゃないかなと。その方が東京都にとってメリットがあるんじゃないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょう。

○石原知事 それはちょっと違うんじゃないですか。きのうも参考人の一人が、これは何だかんだいうけど増税だと。私はやっぱり一種の増税だと思います。しかし、増税というのはだれも好むものではありませんね。能力の乏しい人に新しい税をかぶせるというのは、よほど慎重にならなくちゃいけない。あなたがおっしゃるように、もっと普遍性のある課税対象を設けるならば、これはやっぱり非常に疲弊している中小企業とか、もっとマイナーな企業に非常に大きな影響を与えますから、私としてはそれを避けたわけです。二千億の配当をし、三兆円の純益を上げている会社が、一文も税金を払わずに済んでいるというのは、これはやっぱりおかしいでしょう。
 きのうもだれかいってましたけれども、やっぱり富める者は税を払うことで財政というものに協力してもらうというのは、私はそれは筋だと思います。だから、後で局長も説明するでしょう、限られたあるサイズの銀行を対象にしたわけであります。

○大塚主税局長 一つだけご留意いただきたいのは、田中理事がお引きになっている全国知事会案というのは、日の目を見なかったのであります。ですから、そういう意味では、内部的な検討といいますか、それに対して、現在ご審議をお願いしている都案というのは、条例案として、それこそ知事会案以上に、私どもは本当に精緻に検討して、それで、根拠条文七十二条の十九を、先ほどからご説明しているような限定的な読み方をしたということであります。
 その限定的な読み方をした一番根っこの考え方は、ご指摘のとおり、法人事業税というのは本来的に応益課税ですから、所得課税は基本的には応能であります。ですから、応能原則を使って応益課税だという、そういう法人事業税の税質を規定したということは、一定のアローアンスまでは、要するに税収の変動というのは初めから覚悟だ、それがアローアンスを超えているかどうか、アローアンスを超えていて初めて七十二条の十九は働くというのが東京都の考え方であります。

○田中委員 ですから、銀行に外形を今回導入するということについては理解できるというふうにいっているんですよ。銀行だけというふうに狭めるんでなくて、今おっしゃったように、余りにもピーク時とボトム期で落差が激しくて、しかも、それがおっしゃるように比較的長期間続くというような構造の業種があれば、当然この適用の範囲内に入ってきてもいいんではないかと。そういう導入をするかしないかは、またそのときに議論をすればいいけれども、過程として、そこの道をわざわざ自分で閉ざしてしまうことはないのではないかなという意味で聞いているんですけれども、いかがですか。

○大塚主税局長 恐らく理事と私と、いい方は違いますけれども、同じことをやりとりしているという気がしています。もちろん理論として、法の要求しているーー法がある程度許しているといってもいいと思うんですけれども、応能課税である所得課税を使って、しかも応益課税だと、そういうふうに擬制をしているわけです。擬制をしている限りは、一定のアローアンスまでは変動があっても許すというのが法律の趣旨だ、法人事業税という税質の趣旨だというふうに思っているわけです。
 ですから、委員おっしゃるとおり、理論的に、仮にそういうような事業の状況に至る業種が将来出てくるとすれば、それは当然七十二条の十九によって外形課税ができるというふうに思っておりますが、現実問題としては、本当に意識的に利益の全部を消し去ることを許すような、そういうふうな意識的な条件設定がない限りは、法人事業税というのは、一定の利益が出てくれば、それは損金算入も経費算入もいろいろあるわけですけれども、必ず一定の税収は出てくるというのが通常であります。

○田中委員 それでは、次に参ります。
 税率についてなんですけれども、全国知事会が製造業にこれを導入しようとしたときというのは、一・三%と聞いております。また、電気、ガス、生保、損保というのも一・三%、東京都は超過課税で一・三六五%ということでございますが、銀行は今回三%。その三%という数字の根拠は、過去十五年の応能の負担の能力というものの平均値だということなんですね。
 そこで、十五年の過去の実績というのは、今おっしゃったように応能なんですね。しかし、事業税の理念というのは応益で、本来は外形標準課税でやることが、理念と具体的な手法が比較的すっきりするわけですよね。今、すっきりしてないわけですね。結局、理屈でいうと、応益の課税の税率の算出を応能の部分を根拠にして引いてきた。これは、都の提案の立場、内容はわかるんですよ。過去これだけだからというのはわかるんですが、こういう選択を東京都はされたということで、それはわかるんですが、例えば、これほどいろいろ議論がある中で、一つの考え方として、その税率を決めていくときに、先行して四業種が応益課税として外形標準課税でやってきた長い歴史があって税率がある。
 そうすると、例えば、その四業種と比べて銀行という業界が、どれほど応益を受けているかいないかというのを一つの基準にして導き出すという考え方もあるんじゃないかなと。その方が広く薄くという考え方にはなると思います。もちろん三%という税率よりは低いわけだから、税収は上がらないけれども、こういう考え方についてはどういうふうに思いますか。

○大塚主税局長 まず、制度でございますけれども、ご存じのとおり、均衡の条文が七十二条の二十二にあります。法律で要求をしている均衡の根拠は、所得課税との均衡が制度上の要求であります。これが制度であります。
 それから、もう一つ、確かにおっしゃるとおり、収入金課税が行われている四業種は、税率は一・三%であります。今回ご審議をお願いしている銀行業に適用する税率は三%であります。片や一・三%、片や三%でありますけれども、この違いは、要するに四業種の一・三%を掛けるもとの数字は、収入金そのものだということです。課税標準は収入金額掛ける一・三%、これが四業種です。
 これに対して、私どもでお願いをしておりますいわゆる業務粗利益というのは、いってみれば調達の原コストといいますか、収入金そのものではなくて、そこから調達の原コストを差し引いた業務の粗利益であります。一般企業でいいますと、売上高そのものではなくて、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益です。したがって、現在、四業種に適用されている収入金額は、いわば売上高に近い概念でありまして、課税ベースとしては、収入金の方が業務粗利益よりも大きくなります。したがって、そこでの税率の差というのは、根っこが違いますので、仮に収入金課税の税率よりも私どもでお願いをしております三%の税率が高くなるとしても、何らか問題はないというふうに考えております。

○田中委員 時間が十五分しかないということなんで、重複している部分は飛ばしまして、東京都としては、外形標準課税の一般的な導入を、時期とかいろいろな状況というものは十分考えなければならないと思いますが、国に求めているということですよね。国の方の政治の問題だということなんですけれども、長期的な地方財政の安定という視点に立てば、きのうも参考人の方がおっしゃっていましたように、税源の移譲と外形標準課税の一般的な導入ということを求めていくべきではないかということだと思うんですね。
 これについて、例えば首都機能移転の反対ということでは広範な都民運動というものをやってきたわけでありますけれども、今後、税源移譲と外形標準課税の一般的導入ということについてどういうふうに取り組んでいくのか。
 例えば首都機能移転のような都民運動というのが適切かどうかはわかりませんけれども、あるいは全国知事会をこれからどう活用していくかということも含まれますけれども、この点についての知事のご所見をお尋ねしたいと思います。

○石原知事 首都移転の反対は、これはあくまで東京の問題であります。東京に限らず、首都圏を構成している七都県市の問題でありますけれども、この地方分権の時代に、地方にきちっと税財源を分与するということは全国的な問題でありまして、国民それぞれがまた県民であり市民であるわけでありますから、これは東京がイニシアチブをとることは結構でありますけれども、やっぱり全国的な運動として展開されるべき問題だと私は思います。
 また、そのための口火は、幾らでも喜んで東京が切りますが、それぞれ地方の知事さん、考えもあるでしょうけれども、今のところ、政府ははっきり、地方分権一括法はつくったけれども、税財源の分与の問題は中長期といっている限り、これは百年河清を待つにやや近い話じゃないでしょうか。

○田中委員 それでは、時間の関係で、大分外形標準課税でとってしまいましたので、次は情報化の問題についてお尋ねしたいと思います。
 ウサギの戦力は大きな耳か速い足かというふうにいうことがありますけれども、どっちかといえば、それは大きな耳だということなんですね。速い足を生かすのも、大きな耳で敵の動きを察知できなければ生かすことはできない、こういうことで、情報というものは、時にはまさに国家の命運を分ける、そういう重要な問題だというふうに思います。
 我が国を振り返っても、戦前、戦中、例えば外務省の公電が解読されていたとか、パールハーバーは、情報管理がしっかりして奇襲が成功したということのようですけれども、例えばミッドウェー海戦というようなことでは、事前にミッドウェーに行くんだと、それも、アメリカの方から探りで、例えばXという地域では水が足りないと、わざわざそういう電報を打って、日本にそれを傍受させて、日本の暗号電報で、そのXは水が足りないらしいぞということを打たせて、やっぱりXはミッドウェーなんだなといって、待ち伏せして戦った、そして日本は負けたというようなことがあったりとか、山本五十六が待ち伏せされたのも、これも暗号を解読されていたと。例えばフィリピンで、こんなことがあったのかと、私も何かで昔、読んだんですけれども、山下奉文が戦争が終わって向こうにとらえられたときに、実は、出てきた通訳が、ついこの間まで自分の通訳をしていた人だったというようなことがあったとか、やはり情報というものについて、この国は意外に関心が低くて、また、重んじられてこなかった。
 先日、二月十四日の産経新聞の夕刊に、ハッカー対策日米の差、こういう記事が載っておりまして、一九九五年秋の橋本通産大臣とアメリカのカンター通商代表との自動車通商交渉の際に、CIA、それから、国家安全保障局、アメリカの国家公認のハッカーによってホテルの電話が盗聴されて、通信傍受によって日本の交渉のやり方が全部筒抜けであったと。こういう似たような事件があったときに、例えばフランスとかドイツは、すぐにアメリカの工作員の国外退去とかいうことを要求しているけれども、日本は何もいえない、いわない、そういった内容の記事が載っていたわけですね。
 知事はお読みになったかどうかわかりませんけれども、こういうようなお話を聞くと、どういうお考えを持つか、ちょっとお聞かせいただけますか。

○石原知事 その記事は私も読みましたし、また、最近、「ニューズウイーク」という雑誌に、アメリカ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドが協力して、アングロサクソン以外の外国の経済通信、経済情報というものを、全部電話から何から盗聴しているという記事が出ておりました。フランスはこれに強く抗議をしたようでありますけれども、抗議するだけじゃなしに、やっぱり対抗の措置をとらなきゃだめだと思います。私は、日本という国は、まさに情報に関しては、その管理も含めて、無能、不能に近い国家だと思います。こんなていたらくでありますから、けんかしているつもりでもけんかにならない。随分国益が失われております。
 私、議員時代に、日本は独自の情報衛星を打ち上げたらいい、幾らもしないものですから、やったらどうだと。そうすると、すぐアメリカが非常にそれを牽制する。しかし、あえて決議をしますと、今度は、アメリカはアメリカ製の衛星を買えという。じゃ、買いましょうというと、たんびにいちゃもんをつけて、三回ほど挫折いたしましたが、そういうことの繰り返しで、やっぱり日米関係というのは大事な関係ではありますけれども、アメリカに対する妙な信仰というのはそろそろ捨てて、せめて情報だけでも自分で管理する、また、自分で操作をする、それぐらいの姿勢というものを持たないと、もはや先進国とはいいがたい状況じゃないかという気がいたします。

○田中委員 先ほど、どなたかもご質問をされておりましたけれども、現実には、都庁もうかうかしていられない状況になってきているわけですよね。ついこの間も、国の省庁もそうでしたけれども、警視庁までも、これはソフトの制作という部分でしょうけれども、こういう意味では非常に問題があったということが明らかになっているわけです。
 今後、具体的な対策というものを求めたいと思いますけれども、これについてどのようにお考えか、お願いします。

○横山総務局長 お話しのように、今回の事態は、公的なホームページが不正に改ざんされるという深刻な問題として受けとめております。私どもとしましては、二月にはインターネット・セキュリティ検討会を立ち上げまして、今後の安全確保策について検討を行っておりますが、当面の対策として、毎日の点検作業の徹底などを図っております。
 また、年度末までに、技術的側面からの検討をまとめていきたいと考えております。

○田中委員 それでは、次のテーマに移ります。
 社会的な入院の解消と介護基盤の整備という問題について、最後に伺いたいと思いますが、四月から介護保険制度がスタートいたします。介護保険制度の導入の動機の一つに、社会的入院の解消というものがあった。それによって、いわゆる医療費というものを少し軽減できるというねらいもあったわけであります。
 この社会的入院とは何かというと、総理府の用語解説では、入院治療の必要性がなくなったにもかかわらず、寝たきり等の要介護高齢者が、家庭に介護者がいないなどの理由で退院できないこと、こう定義されているわけです。厚生省では、六カ月以上の長期入院患者に要する費用を一兆二百億円、そのうち五千億円を社会的入院と、こう説明をしているそうですけれども、この社会的入院には、特養の待機者のうち病院での待機者も含まれているということですが、それは一体どの程度なのか教えてください。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 長期入院患者に要する費用につきましては、今、先生お話しのとおり、国は約五千億と見込んでいるところでございます。
 また、都内の特養の待機者は、平成十一年に入りまして減少傾向にございますが、十月末時点で一万二千百四十八人でございます。そのうち入院中の方は五千百人となっており、これは全体の約四二%でございます。

○田中委員 特養の待機者のうち、病院での待機者のご答弁をいただいたわけですけれども、時間がないのでざっと行きますけれども、要するに、特養の建設計画というものは、待機者をゼロにするということが目標になって、毎年毎年どれだけつくるかという計画をつくってきたわけですよね。要は、私が申し上げたいのは、じゃ、今の計画が達成されたときに本当に待機者がゼロになるんですかということを聞きたいわけですね。
 私は以前に、社会的入院の実態についてどうして東京都は独自できちっと調査をしないんだということを申し上げたんです。それは実際に、今に至ってその調査はやっていないんですよね。では、その特養の建設計画が達成されたときに、実際にゼロになるのですか、どうなんですか。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 特養の待機者の概念でございますが、現在は、措置制度によりまして、特養の待機者の概念をつくっております。区市町村の入所判定委員会におきまして入所が適当であると判定された者で、入所措置の決定ができない、こういうことでご自宅で待機している方を待機者というふうに定義しておりますが、これからは、介護保険制度になりまして、今度は契約という形になります。したがいまして、これまでの待機者の概念は変わることになります。
 しかしながら、特養に希望される方、そういう方がいらっしゃるわけでございますが、これからは、区市町村が定める介護保険の事業計画に基づきまして、どういう計画かは区市町村で定めることになりますが、都といたしましては、そういうものを支援することによりまして、特養に入りたい方につきましては解消するように努めてまいります。

○田中委員 時間がなくて、以前共産党さんに上げた時間を返してもらいたいなと今思っているわけなんですけれども、最後に、私は、この社会的入院がどれぐらいあるのかということをきちんと東京都で調査をするべきだと思うんです。してもらいたいと思うわけなんですね。それをしないと、本当に今立てた計画で待機者がゼロになるかどうかというと、恐らく局長も確信がないと思うんですよ。私は、多分ゼロにならないと思うんですよ。だから、きちっとこれを調査をしてもらいたいと思うんですが、どうですか。

○神藤高齢者施策推進室長福祉局長兼務 これから介護保険制度実施後、特養を含めた施設サービスの利用希望者につきましては、都としては、区市町村とも協議して、調査の実施を検討していきたいと考えております。

○田中委員 しっかり調査していっていただきたいというふうに思っております。
 平成十年度の高齢者の実態調査に基づく特養施設の必要率は一・六四ということですが、東京都の目標は、十二年度も十六年度も一・五四でしかないと。足りないわけなんですね。ですから、ぜひこれは推進していただきたい。
 時間になりましたので、以上で終わります。
 どうもありがとうございました。(拍手)

○三原副委員長 田中良理事の発言は終わりました。

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