委員長 | 山下 太郎君 |
副委員長 | 早坂 義弘君 |
副委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 酒井 大史君 |
理事 | 高倉 良生君 |
理事 | 吉原 修君 |
理事 | 小沢 昌也君 |
鈴木 章浩君 | |
西崎 光子君 | |
神野 吉弘君 | |
服部ゆくお君 | |
佐藤 広典君 | |
山口 拓君 | |
林田 武君 | |
東村 邦浩君 | |
大沢 昇君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 前田 信弘君 |
次長 | 真田 正義君 | |
産業企画担当部長 | 澤 章君 | |
金融監理部長 | 斎藤 真人君 | |
金融支援担当部長 | 十河 慎一君 |
本日の会議に付した事件
株式会社新銀行東京が巨額の累積赤字を計上するに至った原因について調査するとともに、東京都における同行の経営監視状況及び同行に対する東京都の今後の取組について調査・検討する。
報告事項(質疑)
・新銀行東京の三月期決算について
・新銀行東京に対する東京都の今後の取組について
・新銀行東京の動向について
○山下委員長 ただいまから株式会社新銀行東京に関する特別委員会を開会いたします。
初めに、会期中の委員会日程について申し上げます。
お手元配布の日程のとおり理事会において申し合わせましたので、ご了承願います。
これより株式会社新銀行東京が巨額の累積赤字を計上するに至った原因について調査するとともに、東京都における同行の経営監視状況及び同行に対する東京都の今後の取り組みについて調査検討を行います。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
三枝総務部長は、公務のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項、新銀行東京の三月期決算について外二件に対する質疑を行います。
本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○斎藤金融監理部長 去る六月八日の当委員会でご要求いただきました資料につきましてご説明申し上げます。
恐れ入りますが、お手元の株式会社新銀行東京に関する特別委員会要求資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。
まず、目次でございます。資料は全部で八項目ございます。
恐れ入りますが、一ページをお開きください。一ページから二ページまでは、新銀行東京の開業以降の月別の融資件数・残高・返済額・不良債権額をお示ししてございます。平成十七年四月から平成二十三年三月までの実績をお示ししてございます。
二ページの末尾の表にお示しいたしましたとおり、平成二十二年度末までの中小企業向け融資の実行件数の累計は一万一千五百五十二件となっております。
次に、三ページは、新銀行東京の開業以降の融資・保証実績で事業規模別の件数・金額(残高ベース)をお示ししてございます。平成二十二年度末時点の融資と保証の合計の件数は五千六百五十二件、残高は七百五十六億円となってございます。
次に、四ページから五ページまでは、新銀行東京の開業以降の融資・保証実績で事業規模別の件数・金額(実行ベース)をお示ししてございます。
五ページの合計欄にお示ししましたとおり、平成二十二年度末時点での融資実績は、件数が五百六十一件、金額が六百二十三億円となってございます。
次に、六ページは、新銀行東京の開業以降の債務超過企業・赤字企業への融資・保証実績をお示ししてございます。一番右側の欄は、平成二十二年度第三・四半期時点の実績でございまして、合計の件数は三千五百四十一件、残高は二百四十二億円となってございます。
続きまして、七ページは、新銀行東京の融資実行先における無担保・無保証融資の実績の推移をお示ししてございます。平成十七年度から二十二年度までの各年度における実行件数と実行金額でございます。一番下の欄は平成二十二年度の実績でございまして、件数は三百十七件、金額は四百億円となってございます。
次に、八ページは、旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟の経過をお示ししてございます。
次に、九ページをお開きください。株主連絡会の開催状況をお示ししてございます。
続きまして、一〇ページから一三ページは、新銀行東京の株主総会における東京都の発言内容と、取締役会への申し入れの内容でございます。
一〇ページから一二ページに株主総会、一三ページに取締役会についての内容をお示ししてございます。
以上でご要求いただきました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○山下委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
ご発言を願います。
○神野委員 それでは、質問させていただきたいと思います。
平成二十年、新銀行東京に四百億の追加の出資が行われるに当たりまして付帯決議が付されました。その中で、この追加出資が今回限りであることに加えて、この四百億を再び毀損させることがないよう、また新銀行みずから提出をした再建計画が円滑かつ効果的に実行されるよう、都に対して監視義務が課せられ、それを受けて都は、新銀行に対する経営監視、支援を強化するための専管組織として金融監理室を設置いたしました。
つまり、都は、この四百億の保全と、そして新銀行の経営監視に責任を有している、私はそのような認識を持っております。
この間、平成二十年度、二十一年度、二十二年度決算が公表されまして、再建期間も残すところあと一年、今期がまさに最終年となっております。
それでは、まず伺いたいんですが、この間、資料もいただいておりますけれども、都は、新銀行の経営をどのように監視をされて、そして意見を述べられてきたのかをお伺いいたします。
○斎藤金融監理部長 都は、都議会の付帯決議に基づきまして、新銀行東京の再建計画が円滑かつ効果的に実行されるよう体制を整備するため、平成二十年四月に金融監理室を設置いたしました。
この金融監理室、現在は金融監理部でございますが、こちらでは株主連絡会の開催回数をふやすなど、新銀行東京との連絡を密にするとともに、損益や不良債権の管理状況など、経営状況や再建計画の進捗状況について報告を受けてございます。
また、株主総会におきましては、収益の改善や経費の削減、デフォルトの抑制に努めながら、着実に経営再建を図ることなど、株主の立場から発言を行ってまいりました。
○神野委員 いただいた資料によりますと、株主連絡会、平成二十二年度は二十三回開かれていらっしゃるということで、平成二十年の予算特別委員会で当時の局長も、監視が徹底するように努めるというご答弁をされていらっしゃいますので、これまで監視に努めていらっしゃったという印象は持っているんですが、これからの質疑でどれだけ厳しく、危機意識を持たれて監視をしてきたのか、そしてまた、この間、都政新報を初めとして現在の寺井社長さんがさまざまインタビューに答えていらっしゃいますので、そういった発言も引用しながらさまざまなことをお伺いしていきたいと思います。
このたび発表されました平成二十二年度決算と、今までのこの新銀行の再建計画を見比べてみますと、幾つか異なる点というものがございます。再建計画では、四年間で二百億まで減らすとして、平成二十二年度の決算でも五百七十三億まで絞る予定であったいわゆる預金額、これが今回の平成二十二年度決算では千八百二十五億。預金を減らす理由について、当時の佐藤産業労働局長は、今までのキャンペーンによる定期預金の獲得が調達金利を上昇させ、これが経営圧迫の原因と考えていて、決して今後はこのような集め方はしないんだ、預金を減らしていくんだということを述べていらっしゃいます。
キャンペーン金利というものが非常に高い金利で定期預金を集めたので、それが調達金利を上昇させたという問題認識だったと思うんですが、一方、新銀行の寺井社長はインタビューに答えて、できる限り預金を解約されないでつなぎとめる策を考えているといって、キャンペーンによる預金集めを繰り返すことを主張されて、現実として預金額はおおむね維持をされております。
もちろん、かつてのような異常な高金利で定期預金を集めたわけではありません。通常の都市銀行レベルというご説明をいただいておりまして、そういった率で預金を集めていらっしゃるんですが、もともとの再建計画は、預金を減らしても成り立つという前提でつくられていたと思うんです。
寺井社長就任以来、これまでの再建計画の中身が見直されて、寺井社長の経営方針が優先をされて、その結果として平成二十二年度決算ができている。確かに、経常利益の黒字の可能性が出てきてはいるものの、これまでの再建計画が、我々議会でもこの四百億の追加出資の根拠となっていたはずであります。
預金額を減らしても成り立つとしていた平成二十年度予算特別委員会での再建計画、自信を持って説明をされていたんですが、その再建計画のどこに問題があったのかお答えください。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京の再建計画は、経営資源の選択と集中を徹底し、黒字化の実現を目指したものでございまして、それに沿って再建は着実に進められております。項目一つ一つについて見れば、計画と相違しているものもございますが、経済状況などの変化に対し、金融機関として柔軟に対応していくことは当然と考えます。
平成二十二年度決算では、実質業務純益の均衡を一年前倒しで達成するなど成果を上げており、再建計画に問題はないと、このように考えております。
○神野委員 問題はないというご答弁でありました。
ただ、私は、一つ問題意識を持っておりますのは、再建計画にございますいわゆる収益、例えば幾つかメニューが上がっておりましたが、成長企業支援型融資ですとか、ファンドですとか、公共工事の債権信託だとか、そして新保証、こういった幾つかのメニューから上がってくると考えられていた収益が思うようにいかなかったんじゃないかと思うんですね。
だから、寺井さんのインタビューでもあるんですが、預金を集めて、そして社債なり国債なりで運用益を上げていかなければ、再建計画にある黒字がつくれなかった、これが総括じゃなかったかと思うんです。結果としての黒字だけでなく、その黒字の内容について果たして監視をしているんでしょうか。非常に疑問を持たざるを得ません。
次の質問に移ります。寺井社長は都政新報のインタビューで、四千億円の資産のうち、貸し出しは一千億円、残る三千億円は国債や社債の運用、一対三というのは異常な割合だとみずからおっしゃっています。
それから、日銀からの一千二百億円の借り入れも適用して利ざやを稼いでいるのでありますけれども、これも低金利政策がなくなればなくなってしまう利益だ、予想以上にこれまで貸出先の倒産が少なくて、積んでくることができた貸倒引当金の戻り益も、あと何年かでなくなると答えていらっしゃるんですね。
これを聞きますと、現在、新銀行が計上している黒字は基礎が極めて脆弱、そういった印象がよくわかるわけなんであります。いつ何があってもおかしくありません。新銀行は依然そんな状況だと考えるんでありますけれども、都の現状認識をお伺いしたいと思います。
○斎藤金融監理部長 寺井社長のインタビューをよくごらんいただいていることにつきましてはありがたくは思いますが、寺井社長ご自身も再建計画、あるいはそのもとであります都議会の付帯決議を踏まえて経営をしていくということは、事ある機会におっしゃっていること、それもご理解いただいているのではないかというふうに思います。
ただいまのご質問でございますが、新銀行東京は、平成二十二年度決算におきまして、当期利益で二年連続の黒字を達成し、実質業務純益も均衡となりました。しかし、いまだ再建の途上にあり、なお課題があると考えております。
国債等の運用や日銀借り入れ、これらにつきましては、新銀行東京がみずからの再建の過程で、現在これが必要であるとのみずからの経営判断によって行っているものでございます。
神野委員が引用されました社長のインタビューでのご発言がありましたけれども、これは黒字という到達点を踏まえて、客観的に見た今後の銀行自身の課題に言及したものというふうに私どもは理解をしております。
今年度は再建計画の最終年度でございまして、新銀行東京におきましてはこうした課題をも見据えながら、より収益力を高め、強固な黒字体質を築くべく、現在取り組んでいるところでございます。
○神野委員 今、客観的に見た今後の課題といういい方をされたんですが、今後の課題じゃなくて、現在の上がっている黒字の問題点をいっているんだと思うんですね。
それで、今のご答弁の中で、収益力を高めるといっても、これまで三年間やってだめだったものが、この一年で飛躍的に伸びるとは私は思わないんです。収益力を高めるという、今のお話の中で、さまざまな課題というものが今後出てくるということを我々はしっかりと認識をしなければいけないし、都の方もその点にしっかりと注目をされて、監視をしていっていただかなければいけないというふうに私は考えております。
先ほど、収益のさまざまなメニューについて言及をしたんですが、一つ私申し上げたいのが、これまで知事が盛んにアピールをされておりましたいわゆるリスケであります。リスケに伴う貸倒引当金の戻し入れ益についても、同じように寺井さんは発言をされていらっしゃる。
新銀行の貸出勘定を旧勘定、新勘定と区分をしている。旧勘定は旧経営陣が行っていたいわゆるずさん融資の残りであって、新勘定は審査基準を厳しくした最近の貸し出し。今出ている貸倒引当金の戻り益は、主にこの旧勘定に属する債権に係るもの。返済条件を変更し、経営体質を改善させ、倒産を防いだことで、要するに全体のデフォルトが減って、貸倒引当金の積み上げを少なくすることができた。それで戻し入れ益が出ているというんですね。
つまり、倒産、そして貸し倒れが減ったことによって、本来積まなければいけない貸し倒れの引当率というものを下げることができたから、この戻し入れ益が出ているということなんです。
新銀行のこれまでの努力というもの、これは私認めます。しかし、いわゆるリスケというのは、しょせんリスクの先延ばしではないでしょうか。そして、ただ新銀行が直接管理をする債権についてなら、顧客とのリレーションシップを強化して、倒産防止のためにさまざまな手だてを講じるという、寺井社長がおっしゃる経営努力をすることができるんでありますけれども、問題はこれまでの新保証なんです。
つまり、信金への保証債権ですよね。信金が客先に融資をして、それを新銀行が保証する。いただいた当行の貸出条件変更に対する取り組みを見ると、新保証と呼ばれる債権に対するリスケジュールが非常に多いんです。平成二十一年度決算では八百三十六件、六十二億、平成二十二年度決算で千八十一件、五十八億となっております。
実際には、信金が管理をしているこういった新保証に係る条件変更債権に対して、新銀行はどのような管理を行って、寺井さんがおっしゃるように将来のデフォルトを食いとめようと考えているのか、それをお伺いしたいと思います。
○斎藤金融監理部長 お話の保証債権のリスケジュール等の条件変更に当たりましては、通常の融資と同様、新銀行東京が独自に審査を行っておりまして、信用金庫と連携し、経営面でのアドバイスを行うなど将来の貸し倒れの抑制に努めていると聞いております。
○神野委員 聞いているという、非常に他人行儀なご答弁なんですけれども、寺井さんがおっしゃったように、リスケ先の経営改善というのは、直接の貸し先でも難しいんですね。
私も以前、サラリーマン時代、不動産担保融資をやったことがあるんですよ。返済が滞っている企業の社長を呼んで、さまざまな経営改善を指導するんですけれども、当然、社長はその場では神妙な顔をしているんですが、戻れば多分、舌をぺろっと出している。そんな非常に性善説にはほど遠いのが、こういったリスケ先の貸し先との交渉事だと思います。
ましてや、この新保証というのは間に信金が入っているんです。信金は、貸し先が倒産をしても、新銀行が保証するんでしょう。そうしたら、信用金庫が貸し先とのそういった経営改善の交渉なんか真剣にやるわけないじゃないですか。そんな性善説をいっておりましたら、私、こういった新保証に係るリスケ案件というのは、また将来においてやられるんじゃないかというふうに考えております。
そういった厳しい視点を持って監視をしていくというのが、かつて平成二十年の予算特別委員会での約束だったじゃないですか。今までの都の監視体制に関しては、私としても非常に疑問を感ぜざるを得ない。
なぜこのようなことをいうかといいますと、昨年の一月、都内の四つの信用金庫が信金協調保証で焦げついた肩がわり分の支払いを新銀行が拒否をしている、こういうことで提訴をしたという新聞記事がありました。
信金が勝訴したものについて、現在、新銀行が控訴中という、そういった報道なんですが、これから察するに、新銀行にとって大事なパートナー、そのようにいっていた信用金庫との関係がこじれているんじゃないですか。信金との良好な関係なかりせば、リスケ案件の債権管理もおぼつかなくなってしまいます。
新銀行と信金との裁判の状況、どうなっているのかお聞かせください。
○斎藤金融監理部長 新銀行と信金との裁判の状況はというお尋ねでございますが、現在、この裁判は進行中でございまして、お答えは差し控えさせていただきます。
○神野委員 裁判の内容については進行中ということでございますので、これ以上は伺えないのかと思いますけれども、とにかく一番心配しておりますのは、新銀行と信用金庫との間でのそういったやりとりがしっかりとなされているのかどうかを東京都としてもつかんでいただきたい、そういうことを要望させていただきたいと思います。
それでは、質問を続けます。
寺井社長はさらに、再建途上なのでまだ先の話と前置きをしながらも、貸し出しをふやして本質的な黒字をふやしたい、顧客のニーズにこたえるためにも拠点も社員数もふやしたい、このようにセカンドステージともとれる、そういった発言をされていらっしゃいます。
こういった拡大、これまで新銀行東京が一千億の税金を毀損させたのは、新銀行が持っていたいわゆる拡大志向、だれの指示かどうかは別にしても、この拡大志向によって一千億もの税金が毀損されてしまいました。
ですから、これから先の新銀行の経営を考えるにしても、よほど慎重にしていかなければいけないと思うんです。東京都の銀行であるからには、利益志向に走り過ぎてもいけないし、無担保・無保証で中小企業支援に偏っても経営が成り立ちません。その宿命を負った新銀行が、今後、継続的に利益を上げ続けていくというのは確かに大変に難しいことだと私は考えます。
平成の初め、私たちはバブルという大きな経験をしました。そこから幾つかの教訓を学んだんですが、その中でも特筆すべき教訓、それは、銀行というのは無節操な営業をしてはいけない、私はそのように考えております。
金を貸したら、当然返してもらうわけです。これは当たり前です。返せそうにない人にもどうぞ借りてください、そういって営業したら銀行の経営は成り立たないんです。そんなバブルの教訓を顧みず、その成り立たないことをしたのが、私は新銀行の旧経営陣だと思っておりますし、そして、それを黙認してきた都の責任というものは大変大きかったんじゃないかというふうに考えております。
寺井社長の発言からは、今後のセカンドステージでのいわゆる拡大志向がどうも見え隠れするような気がするんですが、その手綱を締めるのが東京都の責任だと思うわけです。都の見解を伺いたいと思います。
○斎藤金融監理部長 バブルのときのお話などはそのとおりかもしれませんけれども、ただいまのご質問では、寺井社長の発言をとらえまして、かつての旧経営陣と同一というふうにみなされているかのように思われるわけでございます。
しかしながら、寺井社長以下現経営陣がこれまで新銀行東京の再建に取り組んできましたその姿勢と現在までの実績、こういったものを考えれば、同一視するというのはいかがなものかという気がいたします。
新銀行東京の今後の事業展開につきましては、まずは経営陣がその姿を検討していくものでございますが、都は株主でございますので、株主としてそのリスクについても十分に踏まえた上で監視と支援に努めてまいります。
○神野委員 私も、別に寺井さん、旧経営陣と同一だといっているわけではありません。これまでのご努力に関しては、その手腕についても評価をさせていただいているんですが、いっているのはこれからのことであります。
要するに、東京都が、やはりこの新銀行が拡大志向をしたり、暴走することをしっかりと監視をすることができる、そういった思いをしっかりと確認をしたいという意味での質問であります。
それでは、次の質問に移ります。
私は、これまでの再建計画で示されてまいりました、預金を絞って、そして貸付金も優良先に絞って、身軽で健全な姿が理想だと思っております。なぜならば、将来、もしこの銀行、優良な引き受け手があらわれたときの事業譲渡も行いやすいし、そしてまた、事業の清算も行いやすいと思うからであります。
先般、旅行業のエイチ・アイ・エスから譲渡の打診があったとの新聞の報道がございました。その真偽はわかりませんが、銀行業の免許が欲しいという企業さんあたりから、今後必ず譲渡の話というものは出てくると思うんです。譲渡するにしても、当然ですが、その過程においては、債権の仕分けをしなければいけないし、そのためにも今後、事業を不必要に拡大しないで、利益の捻出に邁進をしないで、健全な姿というものを保ってもらいたい。
行政が行う銀行の経営というものは、私は、その役割は終わったと思うんです。平成二十年の予算特別委員会での都の説明では、新銀行がこれまで蓄積をした営業ノウハウを駆使してつくり上げた再建計画といっていたのですから、現状では期待をしていた収益がなかなか上がらずご苦労されて、国債、社債の運用による利ざや稼ぎというものを余儀なくされていたとしても、時間をかけても、もとの再建計画に戻すべきではないかというふうに考えますが、ご見解を伺います。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、今後とも再建計画に掲げられております総合的な審査能力の向上とデフォルト対策でございますとか、営業力の強化、低コスト体質の確立などに引き続き取り組んでまいります。
そして、これらを通じて黒字を確保し、企業価値を高めていく努力を継続してまいります。その意味で、再建計画の考えから一貫をしております。
現時点では、再建計画の最終年度に入っており、都としては引き続き適切な監視と支援に努めてまいります。
○神野委員 この再建計画というものが平成二十年に提出をされて、そしてきょうまでこれを一つのよりどころとして、私たちも新銀行東京の再建について見守ってまいったわけでありますけれども、この間、いろんなお話が出ております。
東京都としては、新銀行東京のセカンドステージは再建計画が終わってからというお話を再三されているんですが、一方で、石原知事は記者会見で、中国との金融機関との連携を模索したとの発言もされていらっしゃいます。
知事は一体どの立場で、だれを通じて、どのように交渉されたのか、このことに関して東京都は関知をされているのか、これについて伺いたいと思います。
○斎藤金融監理部長 お話の件は、平成二十二年十一月十九日の定例記者会見の件と思いますが、このときの知事の発言を引用いたしますと、本当はこの十月、十二月に某国に行ってさしで話そうと思ったんだけれども、相手は中国だけれど、尖閣のばかなことをやったので、これは向こうの期待に沿ったことだったんです、本当をいうとと。
それから、日本、東京の優秀な、しかもその先端の技術を抱えて持っていながら、商品にでき切れずにいる、そういった企業というものを外国との提携の中で育てるということは、相手にとってもありがたいと思う、このように知事は述べております。
これを改めて見たときに、これは直接的に新銀行東京と中国の金融機関と交渉を行ったとするものというふうに私どもは理解はしておりません。
○神野委員 これまで見てきたように、この新銀行のセカンドステージについては、今のお話もありますけれども、知事も発言をされるし、そして寺井社長も先ほど申し上げたように、当然ですが、将来像も持っていらっしゃるんだと思います。
こういったものを見ると、これまで、再建期間が終了後としてきた東京都でありますけれども、都としても、この新銀行のセカンドステージでのあるべき姿というものをしっかりと前倒しをして検討するべきではないかと考えるんでありますが、見解を伺いたいと思います。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、現在、経営再建中でございまして、平成二十三年度はこの再建計画の最終年度に当たるわけでございます。これまでに達成した当期利益の黒字化、また実質業務純益の均衡を踏まえ、引き続き努力していくことが何よりも重要でございます。
新銀行東京の今後の事業展開につきましては、この再建計画期間中の成果と実績を踏まえ、日々銀行の業務を管理し、組織を率いている現経営陣がまずは検討していくこととなります。
都は、経営陣の判断を踏まえて、株主としての意見を表明していく考えでございます。
○神野委員 現経営陣がまずは検討というお話でございましたが、それでは伺いたいんですが、この新銀行東京がセカンドステージに向けて、銀行自身から四百億円の資本を毀損しかねない、そういった判断をされるような計画を策定してきた場合、都はどのように対応されるのかお伺いしたいと思います。
○斎藤金融監理部長 先ほども申しましたように、新銀行東京は再建計画に沿って着実に再建を進め、平成二十二年度決算では実質業務純益が収支均衡するまでに至ったわけでございます。今後とも、この実績をもとに黒字の確保と四百億円の保全が重要であることに変わりはございません。
再建計画後のあり方は今後検討されるものですが、新銀行東京はこのことの重さを十分に承知していると私ども考えております。都としては、これまで同様に株主として必要な意見を表明してまいります。
○神野委員 今のご答弁で、新銀行東京自身もこの四百億円の保全に関しては、その重さを十分に承知していると考えているというご答弁でありましたので、しっかりとこの点は確認をした上で、今後、この新銀行東京の経営についての監視を行っていただきたいと思います。
とにかくこの東京都という行政が出資をしまして、銀行が経営されていく難しさというものは、私は大変大きいものがあると思います。行政でありますから、支援ですとか、そして助けるという、こういったいわゆるきれいごとをいっていたんでは、当然銀行経営というものはうまくいきません。要するに、情ではなく利に徹する、そういった覚悟はあるかということなんだと思うんです。
貸金業というのは、やはり返すべきものが返せなければ、しっかりと担保を保全して、相手先の資産も処分をしなければいけないし、回収というものをしっかりと冷徹に行っていく、そういった覚悟がなければ、銀行経営というものは成り立たない。
そう考えますと、やはり東京都の新銀行東京は、経営から早期に手を引くべきだと私は考えます。その引き方は、事業譲渡でもさまざまな問題がこれから出てくるかとは思いますが、行政の立場と、そして利益を求めなければいけない株式会社であるこの銀行、こういった相反した命題を抱えているこの新銀行東京に関しては、今後とも本当にさまざまな局面が出てくると思います。この特別委員会において、今後とも議論というものを重ねていくことを主張させていただいて、私からの質問を終了いたします。
○早坂委員 本日は、先日説明のあった新銀行東京の動向や平成二十二年度決算などについての質疑ということであります。いずれも特別委員会において議論すべき内容であるか疑問ではありますが、一点だけ確認をしたいと思います。
先日、新銀行東京の平成二十二年度決算が発表され、開業以来初めて実質業務純益が黒字化したとのことでありました。
平成二十年度に着手し、今回、実質業務純益が黒字化するにまで再建が進んだ最大の要因はどういったところにあるかお伺いいたします。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、再建に着手以来、システム経費を初めとする営業経費の不断の見直しや預金コストの適正化など、大幅なコスト削減を行うとともに、過去の反省に立って与信審査や期中管理を徹底いたしまして、デフォルトや延滞、また新たな不良債権の発生の抑制に努め、まずは赤字という出血をとめる、このことに最大の努力を払ってまいりました。
その一方で、コストとリスクを最適に管理し、適正な収益を上げるということにも努めてきたところでございます。融資残高を伸ばすとともに、有価証券などの運用業務を展開し、資金調達では機を見て低利外部調達をも活用していくなど、業務粗利益の向上に努めてまいりました。
顧客への対応をきめ細やかに行い、経営面でのアドバイスによって融資先の倒産を回避させるなどにより毀損率を改善させ、その結果が貸倒引当金の戻り益となっております。
こういった努力を重ねてきました結果、平成二十二年度決算では実質業務純益の黒字化までに至ったわけでございます。
新銀行東京が過去の経営陣の時代に負った傷は極めて深いものがございます。そのため、これまでのかじ取りは容易ではなかったと私どもも思っております。しかし、現経営陣は銀行経営の全般にわたりその手腕を大いに発揮し、置かれた環境の中で最大限に努力をしております。
今年度も当期利益五億円の黒字を目標としておりますが、その達成に向けて全力で取り組んでいただきたいと考えております。
都といたしましては、引き続き新銀行東京の監視と支援に努めてまいります。
○早坂委員 新銀行東京が再建に着手して以来、今日までの道のりを見れば、二十一年度決算では当期利益が黒字となり、二十二年度決算ではこれまで課題としてきた銀行の本来的な収支に基づく損益が黒字化いたしました。
ただいまの答弁にあったとおり、四百億円の追加出資以降、新銀行東京は不良債権の発生抑制やコストとリスクの最適な管理、顧客とのリレーションシップの強化などに懸命に取り組んでおり、それが決算という結果に的確にあらわれてきていると理解します。このことは、再建に向けて大きな意義を持つものであります。
銀行の経営は、その時々の経済金融環境の中で、経営者の判断をもとに行われるべきものであります。新銀行東京は現在再建中であり、具体的な経営のかじ取りについては、金融のプロである経営者の判断に任せるべきであります。
これまでも都議会の議論でも見られましたが、全体の状況抜きに細かい経営指標の一つ一つを殊さら取り上げてあれこれいうことは、銀行経営の本質を見誤ることになりかねません。
新銀行東京の経営については、その取り組みをトータルで見てチェックをし、評価していくことが議会としての使命であります。我が党は、今後ともそうした考えで新銀行東京を見ていく考えであり、東京都並びに新銀行東京の経営陣には、再建に向けて一層の努力をお願いしたいと思います。
最後に、株式会社新銀行東京に関する特別委員会について申し上げます。
民主党が共産党とともに賛成して設置した本委員会は、これまでの質疑実績はわずか一度にすぎません。
一方で、本会議や常任委員会では、その間も新銀行東京に関する質疑は幾度となく行われてきました。民主党もこうした場で質疑を行っており、当委員会が全くの形骸にすぎないことは明らかであります。
こうした状況を踏まえれば、これまで我が党が主張してきたとおり、新銀行東京に関する質疑は常任委員会で行えば十分であります。したがって、本特別委員会を設置しておく必要は皆無であり、調査は終了すべきであります。
○高倉委員 それでは、質問をさせていただきます。
先日八日に開かれました本委員会で、新銀行東京の三月期決算につきまして理事者から説明がありました。こうした決算につきましては、これまでどおり経済・港湾委員会で質疑が行われるべきであるというふうに思います。私も本委員会が設置をされた後、一年ほど経済・港湾委員会に所属をしておりまして、決算報告があるたびに質疑を続けさせていただいたところでございます。
今回の決算につきましては重要な情報が含まれておりますので、幾つか確認をする意味で質問をさせていただきたいと思います。
今回の新銀行東京の二十三年三月期決算では、課題であった実質業務純益が収支均衡となりました。まず、この実質業務純益が収支均衡となった理由について説明をお願いしたいと思います。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、コストとリスクを最適に管理しながら、地道に中小企業支援に取り組み、融資残高が着実に増加した結果、資金運用収入が改善を見たところでございます。
その一方、旧経営陣時代の高金利の預金が満期を迎えつつあり、預金支払い利息が減少したため、資金調達費用が同じく改善をいたしました。
また、与信審査や与信管理体制の強化を図るとともに、システムの見直しなどにより営業経費を削減してまいりました。
こうした要因により、実質業務純益が開業以来初めて収支均衡となったものでございます。
○高倉委員 今、収支均衡になった要因について、幾つかの要因を説明していただきました。その中で、旧経営陣時代の高金利の預金の金利負担が減少した、そして資金調達費用が改善した、こういった説明がありました。
それでは、利ざやの状況についてどういうふうになっているのか確認をしておきたいと思います。
また、今後の見通しについてもあわせてご答弁をお願いしたいと思います。
○斎藤金融監理部長 利ざやの状況というお尋ねでございますが、平成二十三年三月期決算の総資金利ざやはマイナス〇・五一%となっております。これは、前年同期比で〇・五八%の改善という数値でございます。
しかしながら、依然マイナスであることから、この改善は引き続き必要であるというふうに考えております。
今年度につきましては、同じく旧経営陣時代の一・七%の定期預金が満期を迎えるなど、金利負担が減少する一方、貸出金や有価証券利回りを確保することによりまして、総資金利ざやは改善するものと、そのような見通しを持ってございます。
○高倉委員 今、説明をいただきまして、総資金利ざやの改善がされていると。ただ、依然マイナスであって、この改善が必要というお話がありました。ぜひしっかりまた取り組んでいただきたいと思っております。
次に、預貸率についてお聞きをしたいと思います。
預貸率は、預金残高に占める貸出残高の割合ということでありますが、新銀行東京の銀行としての体力を見る上では、預貸率が一つの指標になってくると思います。都市銀行や地銀、また第二地銀、信託銀行といったところの預貸率がそれぞれ明らかになっていると思いますけれども、新銀行東京の預貸率の推移について答弁を求めたいと思います。
○斎藤金融監理部長 ご指摘の新銀行東京の預貸率でございますが、平成二十年度決算では四四・五%でありましたものが、平成二十一年度には五一・一%と六ポイントないし七ポイント上昇をしてきております。
平成二十二年度の預貸率につきましては、現時点では銀行から公表はされておりませんけれども、中間決算時点での預貸率が五六・八%でございました。銀行によれば、これを最終決算期においては上回る見込みであるというふうに聞いております。
○高倉委員 今、中間決算時点の預貸率を上回る見込みであると、このような説明がありました。今の説明から、新銀行東京の預貸率が着実に伸びているということは理解をいたしましたけれども、他の銀行に比べて、さらに努力が必要であるというふうに思いますので、着実な取り組みをお願いしたいと思います。
次に、中小企業向けの融資残高が増加したとのことでありますけれども、中小企業支援の状況について答弁を求めたいと思います。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、現在、再建途上という制約がある中にありまして、中小企業向け与信残高は、平成二十三年三月末現在で七百七十八億円となり、これは前年同期比で五十二億円の増加となっております。
また、中小企業向け融資の実行件数の方でございますが、実行件数は二十一年度の四百五十七件から、二十二年度は五百六十一件となりまして、二二%強増加を見ております。
なお、旧経営陣時代に行っておりました保証につきましては新規取り扱いを行っていないため、前年度同期比で半減し、残高は八十五億円となっておりますが、一方で貸出金につきましては、前年度同期比で百四十三億円増加し、六百七十億円という水準となっております。
○高倉委員 ところで、三月十一日に東日本大震災が発生をいたしまして、あすで三カ月が経過をしようとしています。この大災害は、被災地のみならず日本全体の経済にも大きな影響を及ぼしているわけであります。
きのうの新聞記事などを見ますと、都内でもこの震災の影響による倒産件数が四月、五月と拡大をしている、こういった報道もあるわけであります。
私のもとにも、被災地の企業との取引といったところで大きな打撃を受けている事業者の方々から、切実な相談も寄せられているところであります。
また、私は先日、都議会公明党の調査団の一員として福島に行ってまいりまして、現地の商工団体の代表とも意見交換をいたしてまいりましたけれども、直接の被害のほかに、いわゆる風評被害でもって事業に本当に大きな影響がある、こんなお話も伺ってきたところでありまして、今後さらに東京の経済への影響というのが心配をされると思います。
新銀行東京が着実に再建を進めているとはいえ、今後の再建への取り組みへの影響ということも心配がされるんではないかと思います。
このたびの大震災に関して、新銀行東京の経営への影響についての状況や認識について答弁を求めたいと思います。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京からは、東日本大震災の発生が銀行の経営自体に大きな影響を及ぼすことはないとの見通しを持っていると、このように聞いております。
なお、新銀行東京は、震災から約二カ月後の五月二十日に発表いたしました今決算におきまして、来期ですけれども、二十四年三月期の業績予想を公表しておりますが、この中では、経常利益、また当期純利益ともに黒字を見込んでいるところでございます。
○高倉委員 新銀行東京の再建計画三年目の今回の決算は、新銀行東京の経営努力によって実質業務純益において収支均衡となるということを果たしたわけであります。この点では、再建計画を一年前倒しして達成をしたことになりまして、この間の経営陣の努力については評価をいたしたいと思います。
また、今日まで追加出資を毀損することなく、新銀行東京の再建計画の推進に取り組んでこられた局長を初め理事者の皆さんの尽力につきましても、評価を申し上げたいと思います。
今後とも、ぜひ中小企業への支援を行いながら黒字を継続するように、さらなる努力をお願いしたいと思います。
新銀行東京については、再建計画が順調に進んできたことで、今度は次のステージへと入ってくると思います。そこで、再建計画後の姿について、新銀行東京はどう考えているのか、答弁を求めたいと思います。
○斎藤金融監理部長 来年度以降の姿につきましては、新銀行東京が今年度の実績を踏まえ、今後検討していくものでございますが、まずは確固たる黒字体質を築くことを基本とし、あわせて地域社会への貢献という創業理念にのっとり、地域の中小企業などに対する社会貢献に注力するための議論を現在行っているところであると、このように聞いております。
○高倉委員 私ども都議会公明党は、新銀行東京が再建を果たし、企業価値を高めていくことが今後のために重要であるということを繰り返し主張してまいりました。企業価値を高めるためには、新銀行東京が銀行としての収益性を高めること、そして企業としての資産価値を高めることが大事であると思います。
新銀行東京には、今後とも着実に経営努力を重ねていただきまして、実質業務純益や当期利益の黒字化を定着させていただきたい、このように思います。
都民の負担を最小限に抑えるためには、新銀行東京が再建を果たし、企業価値を高めた上で、事業譲渡あるいは業務提携を行い、追加出資の回収もしくは保全を行っていくということが必要であると思います。知事もおっしゃっておりますけれども、そろそろ第二ステージへ進むべきときではないかと、このように思います。
最後に、本委員会のことについてでありますけれども、平成二十一年の第三回定例会において都議会公明党は、この特別委員会の設置目的は新銀行東京が巨額の累積赤字を計上するに至った原因について調査するとともに、東京都における同行の経営監視状況及び同行に対する東京都の今後の取り組みについて調査検討する、こうした設置目的があるわけでありますけれども、私ども都議会公明党としては、この特別委員会を設置しなくとも、経済・港湾委員会や本会議での質疑で十分可能であるという立場から、特別委員会の設置には反対をいたしました。
事実、特別委員会が設置をされた後も、特別委員会ならではの審議は行われていないと思います。都議会公明党はこれまで同様、本会議や予算特別委員会、経済・港湾委員会において、新銀行東京の再建計画の推進や再建後のあり方について議論をしてまいりたいと思っております。
これまでの本委員会の審議状況を勘案するならば、本委員会は必要ではないということを重ねて申し上げまして、質疑を終わりたいと存じます。
○吉田委員 質問いたします。
私たちは、新銀行東京の設立と一千億円もの都民の税金投入に反対をするとともに、四百億円の追加投入にも反対いたしました。しかし、追加投入が実施をされて三年が経過をいたしました。経営が改善された旨のご報告、質疑がありましたけれども、基本的には、巨額の借入金の運用や、債券収入に依存するなどという構造は基本的に変わっていないと思います。
限られた時間なので、まず、新銀行継続の最大の旗印として強調された零細中小企業支援という点で、この三年間でどうであったのか、まずこの点を伺いたいと思います。
四百億円追加投入、新銀行東京の継続の必要性として当時盛んに強調されたのが、一万三千社への支援継続が必要だ、さらにその中の四三%、五千六百三十五社は債務超過企業で、他の金融機関から融資を受けられない可能性が高いということが強調されました。
私の質疑に対しても、知事は、とにかく一万三千社の人たちが見殺しにされ、その従業員や、あるいはとにかくその関係者も全部被害を受けるわけです、私はやっぱりそれを救うために追資をお願いするということが強調されました。
三年が経過しましたが、この一万三千社、あるいは債務超過企業の五千六百三十五社へのこの間の対応はどのようなものだったのか、まずご説明をお願いいたします。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京の経営が著しく悪化したときの選択肢として考えられましたのは三つあるわけでございますが、追加出資による経営再建と事業清算、そして預金保険法に基づく破綻処理というものでございました。
追加出資以外の方法は、既存融資、保証先一万三千社を初め、その取引先従業員、家族などの関係者に重大な影響を及ぼしかねないものだったわけでございます。
支援が継続されたのかというお尋ねでございますが、個々の取引の内容につきましては重要な経営情報に当たるため、新銀行東京では明らかにしておりません。
また、銀行取引は、企業の動向、経済動向等により日々変化するものでございます。
それから、赤字債務超過先企業について申し上げますと、新銀行東京は平成二十二年十二月末時点で約三千五百社の赤字債務超過先企業に対して支援をしております。こうした中小企業にとりましては必要な金融機関となっております。
○吉田委員 私は、個々の企業についてこうした場で公表せよということをいったものでは決してありません。総体として当時の一万三千社、あるいは五千六百三十五社の多くは継続されたのかと、そのことを問うたものであります。
しかし、重要な経営情報という言葉が使われましたけれども、そういうことを理由にして答弁をされませんでした。議会に対しては、追加出資を要請するときは一万三千社ということを盛んに強調しながら、三年たってその結果を聞くと答弁がされないということでは私は納得できません。
しかも、決算発表を見ると、少なくとも融資、保証、いわゆる与信すべての件数でも、最近のことし三月期では、全体でも約五千八百件ですね。中小企業の融資だけを見ても約三千件だと思います。
しかも、その詳細は、残念ながら手持ちの資料では確認できませんが、例えば、三年間の新規融資の件数がどれだけだったかということはわかります。約千四百件ですね。そうすると、それ以前の融資先の件数はおのずと計算することができます。融資だけを見れば二千件弱だというふうに私は計算しますけれども、そうしたことを見ても、一万三千社の多くは継続されたということは到底思えないということを指摘しておきたいと思います。
次に伺いたいことは、過去の継続ではなく、四百億円投入後の新規融資についてです。
先ほどから中小企業に対する融資が拡大をされている旨の話がありました。私は、特に中小企業といっても、年間の売上高が二億円や五億円を超えるという企業ではなく、一億円未満の--未満といっても非常に幅がありますけれども、融資を受けるのが非常に困難な零細企業を含む、そうしたいわば中小零細企業への支援という点で、この三年間でどうであったのかということを議会としても見る必要があると思います。
そこで、年度別の実績は示していただいておりますけれども、この四百億円投入後の、すなわち二〇〇八年度、平成二十年度から三年間の累積で売上高が一億円未満の企業に対しての総件数と融資額、その全体に占める比率はどの程度になっているのか、お答えをお願いいたします。
○斎藤金融監理部長 平成二十年度以降におきます中小企業融資というくくりでお答えをいたしたいと思いますが、これは平成二十三年三月期末時点での実行件数が、この間の累計で一千四百二件でございまして、実行金額の累計は一千百四十八億円でございます。
そのうち、売り上げ一億円未満の企業につきましては、実行件数の累計は二百二十件、全体の約一六%、実行金額の累計は四十八億円、全体の約四%となっております。
○吉田委員 今ご答弁がありましたけれども、知事は一時期、今もそうかもしれませんが、盛んに中小企業一般ではなく、とりわけ零細企業支援ということを強調いたしました。一億円未満の売り上げの企業の融資件数は、比率で見れば一六%、金額で見るとわずか四%という極めて低い実績だという事実を私は直視する必要があると思います。
しかも、最新の決算で見れば、資料の表にもありますけれども、例えば昨年度一年間で、一億円未満の企業への新規融資件数は、わずか五十八件です。これで本当に困難な零細企業への支援として、新銀行が役立っているというふうに判断することができるでしょうか。極めて疑問です。
その関連で事実確認をしたいと思うんですけれども、都内の中小企業全体の中で、売上高が一億円未満の企業というのは、どのぐらいの比率で存在しているんでしょうか。
○斎藤金融監理部長 都内中小企業全体におけます売上高一億円以下の企業の比率について、これはいろいろと調べましたが、こういった統計は存在をしておりません。
しかしながら、平成二十年度から二十二年度にかけまして公表されました、これは私ども産業労働局の統計ですが、東京の中小企業の現状というのがございます。これは、流通産業編、製造業編、サービス産業編というふうに分かれて、二十年度から二十二年度までそれぞれ刊行されております調査冊子でございますが、これによれば、売上高一億円未満の中小企業の割合は、七割ないし七割強という水準でございます。
○吉田委員 売上高一億円未満の企業の比率が七割から七割強と、八割近いということですよね。にもかかわらず実態で見れば、件数で一六%、金額で見ればわずか四%と、新規融資という面でも、真に困難な事態に直面している零細企業に役立っているという点は、私はやっぱりいえないということを、この事実からも指摘せざるを得ないというふうに思います。
次に、報告事項の中で、旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟の問題についてありました。この点で、本委員会の役割として原因責任を明確にするということがありますから、この観点から一、二お伺いをいたしますが、まず新銀行東京による二人の旧経営陣に対する訴訟での争点の中心点はどのような点であったのか、ご説明をお願いいたします。
○斎藤金融監理部長 訴訟における争点の中心点という難しいお尋ねでございますが、訴訟の趣旨といたしましては、新銀行東京の発表資料によりますと、被告らは会社の経営、財務体質を健全に保ちながら、経営を行うべき善管注意義務ないし忠実義務を負っていた。しかし、被告らが信用リスク管理を怠った結果、当行は巨額のデフォルトの発生により約百四十億円を超える損害をこうむった。したがって、当行は被告らに対し連帯して会社法上の任務懈怠に基づく損害賠償として、約百四十億円の損害の一部である五億円などの支払いを求める、このようにしております。
それに加えまして、先ほどの吉田委員のご質問ですけれども、これまでもお答えしておりますが、売上高をもってその事業者の規模ないし資金需要というものをはかることは難しく、また適切ではないのではないかということを、我々、こういったお話のときには常々申し上げてまいりましたので、改めて繰り返し申し上げさせていただきたいと思います。
○吉田委員 争点という点でいうと、要は巨額のデフォルトが発生しつつあったのに、いわば旧経営陣の二人がこれを見過ごしたということが銀行側の主な主張だというふうに認識いたしますが、新銀行側は、既にこれは報道されていることですけれども、与信審査システムが平成十八年、すなわち二〇〇六年三月以降破綻していたという事実をもって、これを見逃したということを追及しているようであります。
もちろん、裁判の成り行きを私たちは見守る必要がありますけれども、もしそういう認識をしているとすれば、わずか開業から一年後の平成十八年三月に、既に与信審査システムは破綻していたんだという認識を現新銀行の執行部はしているという極めて注目すべき問題だというふうに思います。
私たちは、これまでも議会でもいってまいりましたけれども、仁司氏を初めとする旧経営陣の責任が何もないとは到底考えておりません。ある意味、重大な責任もあると。ただ問題は、それをすべて押しつけて、都としての責任がないという態度は到底認められないというふうに思います。
改めて都として、旧経営陣だけではなく、いわば路線をつくり、目標を立て、その手だてまで定めたマスタープラン自身に問題があったという認識はないのか、またその理由についてもあわせて答弁をお願いいたします。
○斎藤金融監理部長 マスタープランは、金融の専門家のほか、旧経営陣も含めて多数が参画して策定されたものでございまして、当時としては妥当なものであったというふうに認識をしております。
しかしながら、新銀行東京の開業後、経営環境が変化する中で、マスタープランに掲げた内容が現実と乖離してきたところもあったと考えますが、これに対応するのはあくまで経営陣であり、状況の変化に対して経営のかじ取りの変更がおくれたことが新銀行東京の経営悪化の最大の原因である、このように考えております。
○吉田委員 当時としては、マスタープランは妥当なものであったということが冒頭強調されましたけれども、わずか一年でシステムそのものが破綻していたというふうに認識をしているんですよ。
私たちは、マスタープランを決め、その路線で進むことをブリーフィング等の形で押しつけてきた都の責任というものが、そうした発言からも裏返しで浮き彫りになってきているということを改めて指摘せざるを得ません。当時の経営者の責任とともに、それ以前の問題として、設計責任、そのことは当然問われなければならないと思います。
知事は、私が質問したときも、車、モデルカーを設計したけれども、運転をしたのは旧経営陣で、専ら運転に責任があるんだという旨の答弁を繰り返しました。しかし、欠陥システムだったことを現銀行側が主張するならば、それは都知事の責任が強く問われるべきことだということが、私は浮き彫りになってきているというふうに主張せざるを得ません。
最後に、本委員会のあり方について先ほどから議論がありましたので、一言述べておきたいと思います。
本委員会は、目的として、株式会社新銀行東京が巨額の累積赤字を計上するに至った原因について調査するとともに、東京都における同行の経営監視状況及び同行に対する東京都の今後の取り組みについて調査検討するという目的のもとに設立をされました。都民もこうしたことに強い期待を持って議会を注視してきたと思います。
この間、本会を含めてわずか二回で、機能していないではないかということをもって、存続する必要性について否定するご発言がありましたけれども、それは、この本委員会がもっと、例えば当時の当事者に来てもらって参考人として発言してもらうとか、そういう活動を大いにすることが、本来ならば必要であったにもかかわらずされていなかったところに問題があるわけで、この間の経過をもって打ち切るということは、私はますます都民の期待を裏切るものであり、さらにきょうも極めて限られた中での質疑にとどまりましたけれども、継続的に大いに都民の期待にこたえる質疑を進めていくべきだということを述べて、私の質問を終わります。
○西崎委員 新銀行東京は、平成二十三年三月決算を迎えまして、実質業務純益が二億七千五百万円のプラスになりました。これは、経費削減と経営陣の努力でこのようになったと考えます。
しかし、損益計算書の経常損益は依然としてマイナスです。経常損益七億一千四百万円、これが当期純利益十億八千六百万円の黒字になったのは、貸倒引当金戻り入れ益二十億九千八百万円を計上したことに助けられたからではないかと思います。
寺井社長のコメントを出すのは先ほど歓迎だといわれたので、寺井社長自身が二〇〇九年の経済誌のインタビューで、引当金の戻り益を原資とするやり方は二年で尽きると発言していました。ことしがその二年目になりますが、今後はどのように利益を出していかれるのか伺います。
○十河金融支援担当部長 貸倒引当金の戻り益にいつまでも頼った経営はできないということにつきましては、寺井社長がたびたびおっしゃっていることでありまして、新銀行東京自身としても承知しているところでございます。
新銀行東京は、現在、資金運用収入の改善や資金調達費用、営業経費の削減などに取り組んでおりまして、先月二十日に発表いたしました二十二年度決算とあわせて公表いたしました二十三年度の業績予想では、引当金の戻り益を含まない経常利益で二億円、当期純利益で五億円としているところでございます。
○西崎委員 平成二十三年度の業績予想によれば、引当金の戻り益を含まない経常利益二億円、当期純利益五億円を出されるということですけれども、それでは、今どのように利益を出されるのかというふうに伺いましたので、その点についてもう少しお答えいただきたいと思います。
○十河金融支援担当部長 先ほどもお答えいたしましたけれども、新銀行東京では、資金運用収入を改善し、資金調達の費用、預金金利のかつてのような金利をかけず、適正な金利で資金調達のコストを賄う、あるいは営業経費をさらに削減できるところがないかどうか、こういうところを検討していくということで収益を確保しようと。あるいは貸し出しをもちろんふやすということで収益を確保しようということで取り組んでいるところでございます。
○西崎委員 平成二十三年度三月期の貸借対照表を見ますと、総資産は減少傾向にあり、スリム化を図っていると見ることができます。この総資産三千五百八十一億円のうち、半分以上を有価証券に投資しています。二千億円、率にして全体の五六%、これに対して貸出金は一千三百五十五億で、全体の三五%にしかすぎません。
収益に関しましても、経常収益六十七億一千七百万円のうち、有価証券利息配当金が二十六億三千四百万円、国債等債券売却益が四億九百万円と、合わせて四五%の収益が有価証券関係から上がっています。
一方、貸出金利息は二十四億二千五百万円、三六%で有価証券関係の収益よりも少ない状況です。
中小企業に対する融資を行うことで、中小企業支援を行うという新銀行東京の本来の目的は果たされているのでしょうか。これは短期的な状況なのか、今後もこのような状況が続くのか伺います。
○十河金融支援担当部長 銀行は、預金者から預かった預金を初めといたしまして、保有する資金の貸し出しなど、各種の資産で運用しております。その中で、運用資産の一つに有価証券を選択するということは、金融機関として一般的なことでありまして、どのような形でその資金を運用するかということは、その時々の経済金融情勢に応じてなされる高度な経営判断であるというふうに考えております。
新銀行東京は再建期間中でありまして、速やかな黒字経営の確保が求められている状況であることをご理解いただきたいと、このように思います。
なお、新銀行東京の中小企業向け与信残高は、前年に比べまして五十二億円ふえているところでございます。
○西崎委員 資金調達面を見ますと、預金受け入れ以外の資金調達として借入金一千百二億円が大きなウエートを占めています。この資金調達は主に日銀からと聞いていますけれども、この内訳明細はどのようになっているのかお聞かせください。
○十河金融支援担当部長 借入金につきましては、大半が日銀からの借り入れでございます。日銀借り入れは、日銀の政策効果が金融市場や企業金融に十分に浸透することを目的といたしまして行われております。現下の厳しい金融環境の中で、多くの銀行が資金調達の一つとして利用しているものであります。
なお、内訳明細とのことでありますけれども、金融機関の個別な取引内容については、新銀行東京に限らず、金融機関では明らかにしていないところでございます。
○西崎委員 新銀行東京は、多額の資金を借り入れ、それを有価証券に投資しています。現在は、有価証券関係の収益を上げることで黒字を確保しているともいえます。有価証券に投資することを悪いといっているのではなく、その銀行の全体のバランスがあるのではないかと思います。
今のところ、有価証券とその他有価証券全体では含み益となっていますけれども、相場の変動次第では、含み損を抱える可能性もあります。また、有価証券の中には時価評価されていないものもあります。このうち組合出資として三十六億七千二百万円が計上されています。新銀行の純資産の七%以上を占めており、大変大きな金額だと思いますが、これはどのような性格のもので、出資先の組合はどのようなところになっているのかお聞かせください。
○十河金融支援担当部長 新銀行東京は、中小企業支援という目的のもと、リスク管理を十分に行った上で、銀行の経営判断としてファンド投資を行ってきたところでございます。
なお、出資先につきましては、個別案件でございますため、新銀行東京は明らかにしておりません。
○西崎委員 この組合出資は、貸借対照表上、原価で計上されていますけれども、その投資価格が毀損しているのではないかと一般市民から考えれば心配されると思うんですけれども、価格の下落により強制的に評価損を計上しなければならない出資金はないのかどうかお答えいただけますでしょうか。
○十河金融支援担当部長 繰り返しになってしまいますけれども、投資先の個別の状況というものにつきましては、重要な経営情報であり、新銀行東京は明らかにしておらないところでございます。
○西崎委員 それでは、新銀行東京はどのようにリスク管理を行っているのかお聞かせください。
○十河金融支援担当部長 新銀行東京のリスク管理につきましては、先日の委員会で説明した資料にも記載されてございますけれども、信用リスク管理を経営の最重要管理事項と位置づけまして、信用リスクを定量的かつ継続的に把握し、適切に管理していくための基本方針というものを定めまして、これを遵守するための管理体制、あるいは相互牽制機能、こういうものを整備いたしまして、有価証券の発行体の信用リスクに関しましては、信用情報や時価の把握を定期的に行うことで管理しているところでございます。
また、価格変動リスクにつきましても、日時でモニタリングしている、こういうところでございます。
このように、新銀行東京は有価証券等の運用リスクを適切に管理しているところでございます。
○西崎委員 金融庁でも地域の経済活性化のため、地域の金融に遵守し、地域の銀行にも本来業務に加えてアイデアを出して業績を上げていくような政策を進めていると聞いております。新銀行東京として、どのような営業努力をされてきたのか伺います。
○十河金融支援担当部長 新銀行東京は、都内中小企業の円滑な資金調達を支援するために設けられた金融機関でございます。こうしたことから、新銀行東京では、取引先中小企業に対し経営面のアドバイスをするなど、きめ細かい営業活動を展開いたしますとともに、公共工事を請け負う中小企業の資金需要にこたえるため、新銀行東京独自の商品として、公共工事代金債権信託を開発するなど、地域の経済活性化への貢献を積極的に進めているところでございます。
○西崎委員 総資産を一つ物差しにしますと、地銀六十位程度の総資産は六千億円以上、新銀行東京はその半分より少し多い程度といえます。各銀行とも現在の経済環境の中で、経営に大変苦労しているのではないかと思います。
新銀行東京は、不良債権比率は依然として一〇%以上、高い状況です。また、平成二十三年三月期の総資金利ざやはマイナス〇・五一%で、資金運用による収益よりも資金調達にかかったコストの方が大きいのではないかと思います。
新銀行東京は、今後どのようなビジョンで経営を行い、中小企業支援を行っていくのか伺います。
○十河金融支援担当部長 新銀行東京は現在再建中でありまして、平成二十三年度は再建計画の最終年度に当たるものであります。これまでに達成しました当期利益の黒字化、また、実質業務純益の均衡、こういったものを踏まえまして、引き続き努力していくことが何よりも重要でございます。
新銀行東京は、中小事業者への資金供給を通じた地域経済の活性化への貢献を経営の基本理念としておりまして、これは今後とも変わらないものと考えております。
具体的な事業展開については、日々の銀行の業務を管理し、組織を率いている現経営陣がまずは経営判断をして展開していく、このようなことになるかと思います。
○西崎委員 最後に、都は、新銀行東京の最大の株主として経営にも大変責任があると考えます。都の権限は具体的に何なのか、今後の新銀行の運営にどのように関与されていくのか伺います。
○十河金融支援担当部長 新銀行東京に対しましては、都は出資者でございまして、銀行の個々具体の経営は、所有と経営の分離の原則のもとに、経営者の判断で行われるものでございます。株主である都の権限は、会社法の規定にのっとりまして、株主総会において議決権を行使できることなどでございます。
しかしながら、一般に会社法で認められている株主の帳簿閲覧権、こうしたものは銀行法において否認されておりまして、また、融資や資産査定など具体的な業務に対する監督、これは法的な権限を有する金融庁と異なりまして、行うことができないということになっております。
今後の新銀行東京の経営のあり方についてどのように関与するかということでございますが、中小企業支援という設立目的のもとに、まずは経営陣がその姿を検討していくものでございまして、都はその経営陣の判断を踏まえて、株主としての意見を表明していくことになるというふうに考えてございます。
○西崎委員 短い時間の中でいろいろ伺いましたけれども、平成二十年、四百億円追加出資まで行った新銀行東京は、多額の資金を借り入れ、それを半分以上有価証券に投資しているということがわかりました。本来の中小企業に対する融資を行うということで、中小企業を支援するという目的を十分に果たしている状況ではないと思います。
特別委員会の設置については、生活者ネットワーク・みらいも賛成いたしました。その責任を果たすためにも、また、都民への説明責任やきちんとした情報公開を行っていくためにも、先ほど吉田委員からもありましたけれども、今お答えできなかった部分もありますし、私どもも伺いたいことはたくさんありますので、参考人招致などを行い、この特別委員会で審議していくことをぜひお願いして、私の質問を終わります。
○小沢委員 本日は、新銀行東京の問題点と責任及び存在意義について質問させていただきます。
私は、平成十九年二月二十三日の特別委員会で、当初の設立目的で事業が立ち行かないのであれば、民間への売却を含めた抜本的な見直しが必要であると主張させていただきました。しかし、わずか一年後、直前まで追加出資は考えていないと答弁されていた石原知事から四百億円の追加出資が提案されたことには、驚きを隠し得ませんでした。
一方、この質問の前日、平成十九年二月二十二日の質疑の中で知事は、銀行の立て直しについては、私たち、八方手を尽くして努力している最中で、当然必要な人物とも会い、専門的な知見を得たり、情報を収集したり、依頼を行っているとした上で、今そのプロセスの段階で、この段階で相手やその内容について、あるいは相手方とのやりとりについて結果がわかるまで答えられないと述べられています。
そこで、産業労働局として、四百億円の追加出資に至るまで、知事がだれとどのような内容で協議したのか当然承知していると思います。また、四百億円の追加出資という結果が出た以上、その内容を可能な限り明らかにすべきではなかったのではないでしょうか。見解を伺います。
○十河金融支援担当部長 ご質問の件につきましては、四百億円の追加出資についてご議論をいただきました平成二十年第一回定例会において、既に次のようなお答えをしているところでありまして、ちょっと引用させていただきますが、新銀行東京では、十一の金融機関等に業務の提携等や出資依頼を順次行いました。結果としては調うまでに至っておりません。お尋ねの断られた理由につきましては、個々の金融機関の判断でございますので、つまびらかにされてはおりませんと答えているところでございます。
こうしたことにつきましては、民間金融機関にかかわることでございまして、事柄の性格上、そのプロセス等について明らかにするものではないというふうに考えております。
○小沢委員 相手がなぜ断ったかなど、こういったことを明らかにすることで失敗の原因も明らかになるのではないでしょうか。せめて局内で把握できるよう努めていただきたいと申し上げます。
この間、セカンドステージの議論などで石原知事は盛んにそれらしきことを語っているのが、所管局である産業労働局はその内容を承知しているのか否か、私どもは質問をしてきました。
最近では、昨年十二月七日の我が会派、酒井大史議員のセカンドステージに関する質問に対し、都としては、今後も知事の指揮のもと、再建が果たせるよう監視と支援に努めてまいりますと答弁していますが、やはり新銀行の問題は、あえて知事の指揮のもとと答弁に入れざるを得ないほどデリケートな問題だということであります。
そこで、まさに答弁にあった知事の指揮のもとでしか動けない、判断できない状況だったのではないかと思われますが、見解を伺います。
○十河金融支援担当部長 ご質問の趣旨は、知事の指揮のもとでしか産業労働局が動けないのではないかというように聞こえますが、新銀行の話ということで承りますが、この知事の指揮のもとという言葉につきましては、知事と、今申しましたように産業労働局との連携についてのお尋ねの際にお答えしたものでございます。民間金融機関である新銀行東京の経営について触れたものではございません。
例えばマスタープラン等は、東京都が作成したものでございますけれども、多くの金融機関や金融の専門家や旧経営陣の候補者を含めて多数が検討に参画し、そういう中で新銀行が設立され、新銀行の当時の経営陣がみずからの判断と責任で銀行の中期経営目標を策定して銀行の経営に当たったところでありまして、都は株主という立場でございますので、民間の銀行である新銀行東京の経営に関与できないことは自明の理でありまして、知事の指揮のもとに銀行が動くということはありません。
○小沢委員 ちょっと答弁がずれていますけれども、経営に関与できないというように開き直ってもらいたくはない。
例えば、きょういただいた資料にもありますけれども、平成十八年六月二十三日の株主総会で、都は、融資、保証残高が計画の五六%にとどまっている、このような発言をいたしまして、新商品の投入など拡大路線をあおる発言をしているんではないでしょうか。このことを申し上げて、次に入ります。
損失の内容について伺います。
東京都は、巨額な赤字を出したのは旧経営陣の責任だと繰り返して述べていますが、新銀行東京は開業わずか三年で一千十六億円もの累積赤字を出したわけです。しかし、新銀行東京が旧経営陣二人を訴えているのは、損害額を百四十億円と算定した上で、請求額は五億円となっています。残りの損害額についてはどこに責任があるのかを明らかにすべきであるということを、この間再三申し上げてまいりました。
平成二十年三月十三日の予算特別委員会における我が会派、西岡真一郎議員の質問に対して、東京都は、平成十六年度から平成十九年度までの累積損失の見込みは約一千億円になっており、その間の経常収益約二百六十億円に対して、費用は一千二百六十億円、費用の主なものとして、営業経費が約五百億円、資金調達費用約百億円、デフォルト関係として不良債権処理額が二百八十五億円、貸倒引当金繰り入れ、戻し入れが約二百億円、また、特別損失が百五十億円と答弁をしております。
このように、収益に対する費用は極めて過大になっています。費用が過大となってしまった原因をどのように分析されているのかをお伺いいたします。
○十河金融支援担当部長 新銀行東京の開業後の経営実績を見ると、計画と乖離が生じておりまして、このことにつきましては、新銀行東京は平成十九年に作成した新中期経営計画におきまして、当初想定していた事業規模が過大であり、これを可能とする組織、システムの構築を行った結果、経費負担が大きくなり、収益を圧迫しているということをみずから認めております。
こうした実態に柔軟に対応して経営計画を見直し、最適な組織、システムを構築していくことは、当然経営陣の責務でありますけれども、そうした対応がとられず、経費負担を軽減することができなかったものでございます。
○小沢委員 今のご答弁のようであれば、融資の焦げつきだけでなくて、組織やシステムに多大な経費をかけたことでも旧経営陣を訴えるべきであると一言申し上げておきます。
経費の中でも多いのは、営業経費の約五百億円であります。これは人件費、物件費、そして税金でありますけれども、このうち物件費はどのくらいなのか伺います。
特に、高額だと指摘されていたシステムの費用、私どもが早い段階からむだではないかと指摘したATM施設にかかわる費用、店舗にかかわる費用の内訳、それらが適切であったのかどうかの分析があればお答えをいただきたいと思います。
○十河金融支援担当部長 新銀行東京の開業から平成十九年度末までの物件費は三百四十億円でございまして、そのうちのシステム経費は約百五十億円となっております。
なお、ATM及び店舗に係る費用につきましては、新銀行東京は明らかにしておりません。
新銀行東京の開業後の経営実績は、先ほど申しましたが、計画と乖離が生じておりまして、その結果、ただいま申し上げたように経費負担が大きくなったことは、新銀行東京の旧経営陣が先ほど申しましたように新中期経営計画において認めているところでございます。
現在では、新銀行東京は、ATMの廃止や営業店舗の統廃合等に加え、現経営陣のもと、事業規模に見合ったシステムの見直しを行い、物件費を大幅に削減してきたところでございます。
○小沢委員 今のお話ですと、実績と計画が乖離した。この乖離が生じたときに、計画の縮小ではなくて、実績の増を求めたのは一体だれだったんでしょうか。また、多額の税金が毀損されてしまったわけですから、一体何に使われたか、その内訳も明らかにすべきであると一言申し上げさせていただきます。
次に、キャンペーン定期について伺います。
さらに資金調達費用として、現在も新銀行の足を引っ張っているのは、キャンペーン定期の金利負担です。平成十七年に全面開業記念特別金利キャンペーンとして打ち出した五年物の定期預金の金利は一%。さらに、ことし五月に五年物の満期が来た開業一周年特別金利キャンペーンでは、年利一・七%で預金をかき集めようとしていました。
これは当初、新銀行マスタープランで掲げていた預金口座百万口座、この高い目標があったために、このような高い金利でキャンペーンを打たざるを得なかったという話を私どもは関係者からも聞いております。
そこで、まず、この最初のキャンペーン定期の発案者と東京都の関与はどうだったのか、また、キャンペーン定期を実施するに至った経過やその是非について見解を伺います。
○十河金融支援担当部長 ご質問のキャンペーン定期は、旧経営陣の時代に、新銀行東京がみずからの経営判断で募集を決定したものでございまして、都はこれに関与はしておりません。
しかしながら、当時の貸出規模に合わない過大な預金を集め、預金と貸し出しのバランスを欠いた結果となったことは、今日から見て、旧経営陣の経営判断に問題があったといわざるを得ないものと考えております。
○小沢委員 ここでも旧経営陣の経営判断の問題ということであるんですけれども、銀行関係者から、百万口座をどうやって集めたらいいのか頭を悩ませていた、こういう話を聞いております。当初のマスタープランに瑕疵がなかったのかどうか、ここでも一考する必要があるのではないでしょうか。
引き続き、二回目の開業一周年キャンペーンの定義ですけれども、新銀行が集めた預金に対して貸し出しが伸び悩んでいる状況の中で、しかも一・七%ものキャンペーンを実施することについては、内部でも議論があったと聞いております。やはり東京都のマスタープランで預金口座数百万口座という呪縛が大きかったという話も聞いております。
そこで、東京都も当然、社外取締役を派遣したわけですから、こうした経営判断についても承知していたと思いますが、その当時の経過やその判断の是非について見解を伺います。
○十河金融支援担当部長 当時の貸出規模に見合わない過大な預金を集め、預金と貸し出しのバランスを欠いた結果となったことは事実でありまして、先ほども申し上げたように、旧経営陣の経営判断に問題があったというふうに考えてございます。
また、都出身の社外取締役はおりましたが、基本的に社内の取締役会での協議事項などについて、それを直接的に取締役が東京都にすべてを明らかにするということは守秘義務上問題があり、制約されているところでございます。
○小沢委員 都は旧経営陣の責任ばかりをここでも強調されるんですけれども、それでは何のために社外取締役を派遣したんでしょうか。東京都と連携できないような、必要な情報も提供できないような取締役であれば、必要なかったんではないでしょうか。
今申したとおりに、東京都は今日まで何でもかんでも旧経営陣が悪いような答弁をしておりますけれども、旧経営陣の訴訟については、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、損害額を百四十億円と算定した上で、その請求額は被告らの支払い能力などを考慮して五億円としています。
そこで、旧経営陣の裁判の進捗状況でございますけれども、東京都は状況を十分に把握しているのか、いつごろ結審する見込みであるのか、また、東京都はこの裁判にどの程度関与しているのかをあわせてお伺いいたします。
○十河金融支援担当部長 新銀行東京は、平成二十二年一月二十九日に訴訟を提起しておりまして、現在、口頭弁論が進行中であると聞いております。
訴訟の進行につきましては、裁判所の判断であり、現時点では訴訟の終結見込みについてはわかりません。
都としては、この裁判の動向を注視しております。
○小沢委員 訴訟の件ですから、詳細は話せないということは一定の理解をさせていただきます。
次に、内部調査報告書について伺います。
昨年三月の予算特別委員会で我が会派の西岡真一郎議員が、内部調査報告書の本編の提出について、都民に早急に示されるべきだとして、いつのタイミングで内部調査報告書の本編が提出されるのかと質問をいたしました。
これに対して前田局長は、この内部調査報告書は、訴訟に勝つために極めて重要な資料であり、訴訟は開始されたばかりなので、現時点で答えることはできないと答弁しています。
そこで、内部調査報告書の本編は、裁判が結審した段階でも速やかに公表していただきたいと考えておりますけれども、いつごろの公表予定を考えているのかお伺いをいたします。
○十河金融支援担当部長 ご質問の資料につきましては、訴訟に支障のない部分については既に概要版として公表しております。
新銀行東京といたしましては、本報告書には個人が特定される可能性がある情報が含まれているため、こうした情報については公表できないというふうに判断をいたしておりまして、都はこの判断を尊重したところでもございます。
また、訴訟が進行中でありまして、その見通しが明らかでないため、ご質問につきましては現時点ではお答えすることができないものと考えております。
○小沢委員 それでは、見通しが明るくなった段階でぜひ公表をしていただきたいとお願いいたしておきます。
次に、知事の任命責任についてですが、知事は旧経営陣が悪いと再三繰り返し、みずからの任命責任については認めようとしていません。特に平成二十年二月二十六日の我が会派の代表質問に対し、経団連の重鎮から推挽があったこの人材を、新銀行東京の取締役会で決定したのだと答弁していました。
しかし、この経団連の重鎮である方は、石原知事に対し推挽したことはないし、経営者の人事については、相談を受けたこともないと述べています。
そこで、新銀行東京の役員選任の経過について改めて確認させていただきます。また、当時の銀行設立準備担当部署に仁司氏を推薦してきたのはだれなのか、役員候補者を正式な役員として決定した新銀行東京の株主総会、また取締役会では、石原知事の意思が反映していたものと考えてよいのか、あわせてお伺いいたします。
○十河金融支援担当部長 平成十六年二月に策定いたしました新銀行マスタープランに、その時点で役員候補者として、都において選任した方々を掲載しております。
選任の経過といたしましては、当時の銀行設立準備担当部署が役員候補者を決定いたしまして、最終的に知事の了承を受けたものでございます。
これらの役員候補者の正式な役員としての収入は、平成十六年四月一日及び平成十六年六月二十八日の新銀行東京の株主総会、また取締役会で決定されているところでございます。
○小沢委員 役員候補者選任の経過として、最終的に知事の了承を受けたというご答弁でありました。ということは、任命責任は石原知事にあったと理解させていただきたいと思います。
さらにまた、旧経営陣だけでなく、その他の取締役の方々の責任についてはどのようになっているのでしょうか。東京都は彼らについても責任があったと考えているのでしょうか。
また、仁司氏、丹治氏を除くその他の取締役七名に対する報酬の自主返納については、いまだ完納されたという話を聞いておりません。このことは予算特別委員会の中で、東京都はこれまでに過半の取締役から自主返納が行われ、引き続き全員の自主返納に向けて取り組んでいると聞いていると答弁していますが、その状況に変わりはないのでしょうか。
また、東京都として彼らにも責任の一端があると思うのであれば、新銀行の取り組みを見守るだけでなく、より積極的な取り組みを求めるなどの姿勢が必要であると考えます。
さらに、自主返納しない理由についても承知していないという答弁ですが、東京都の責任に言及して、返納を拒んでいるということも想定される中、これを確認しようとしないのは不自然であるといえます。報告待ちという姿勢を改めて、より積極的な姿勢で臨むべきと考えますが、見解を伺います。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、訴訟を提起した旧経営陣以外の社外取締役に対しても、経営悪化に一定の責任があるとして、報酬の自主返納を求めております。
これは外部調査報告書に基づき、業務執行を担当しない社外取締役は、その責任について一定の限度があることから、訴訟によらずに自主的に解決する道をまず設けることがふさわしいとしたものでございます。
新銀行東京からは、全員の返納が終わったとの報告は受けておりません。新銀行東京は報酬の自主返納について、みずから主体的に決めたことであり、今後も重ねて返納を働きかけていくとしております。
都としては、こうした取り組みを引き続き見守ってまいります。
○小沢委員 他人事ではないんですから見守るだけにとどまらず、ぜひとも積極的な対応をお願いいたします。
続いて、新銀行東京の存在意義について伺います。
四百億円もの都民の税金を追加して生きながらえている新銀行東京が、果たしてその存在意義を果たしているのかというと、極めて疑問であります。
決算について若干触れますが、中には黒字になったことで安堵されている方々もいらっしゃると思いますが、この収益構造を拝見しますと、都民が出資している銀行とは到底思えません。
例えば、預証率や預貸率が他の金融機関と際立って違います。中小企業支援を目的としている銀行というよりは、日銀から資金を調達して、これを有価証券で運用していることが主という銀行となっているのです。
四百億円の追加出資の際にご提案いただいた再建計画では、中小企業支援を柱に据えながらも、再建を果たしていくという方針で、有価証券の運用を事業の主に据えるなどという説明はなかったはずであります。
そこで、このような銀行を東京都が税金を使って生きながらえさせる意義はあるのか、見解を伺います。
○斎藤金融監理部長 新銀行東京は、他の金融機関では支援が難しい赤字債務超過先を含む五千七百社の中小企業を支援しておりまして、こうした中小企業にとりましては必要な金融機関となっております。
新銀行東京は経営再建の途上ではございますが、可能な限り中小企業支援を行ってきており、融資残高も増加に転じております。
なお、銀行の業務として融資のみならず、有価証券などの運用を行うことは一般的なことでございます。
○小沢委員 有価証券の運用を行うことは一般的とのことですけれども、預証率がこれだけ高い中小企業向けの金融機関はあるのでしょうか。もしあるのであれば後日にでもお教えいただきたい、このように思います。
次に、運用の中身についてですが、新銀行東京では、有価証券を二十二年度決算で二千億円持っています。そのうち社債を九百三十六億円、既に国債の六百七十四億円を上回るなど、この間、有価証券の運用は、国債からよりリスクの高い社債に移行しており、さらに利回りのよい、いいかえればリスクの高い社債に移行していることも予想されます。
そして、社債といいますと、現在では、電力債の下落などが市場では話題となっています。この社債の運用リスクについてお伺いしようと思いましたけれども、先ほどご答弁がありましたので、このリスクは適正に管理されているということでございます。
ところで、平成二十年六月の経済・港湾委員会で、私どもの山口拓議員が、有価証券の評価損を計上した三つの外国証券について質問し、それぞれ取得時期や取得目的、サブプライムローン問題の影響などについてお答えをいただきました。
ぜひ社債についても、都として、それぞれの投資状況を把握して、リスク管理に努めていただきたいと思います。
新銀行東京の決算では、中小企業に対する与信残高が引き続き増加していると自画自賛していますけれども、貸出件数は大きく減っております。一般融資の実行件数も月四十件前後、しかも、実行額は平均で一件当たり一億円超ということから、相手先が比較的大きな企業と推定されます。
当委員会の資料として提出いただきました平成二十二年度の資料によれば、中小企業に対する融資件数は、売上高区分一億円未満の小さい企業に対しては、一〇・三%に当たるわずか五十八件、金額で二十三億円に対し、売上高五億円以上の中規模の企業に対しては、三百五十九件、四百五十七億円となっています。
このことは、手間のかかる割には融資規模が小さい小規模零細企業よりも、売上高の大きい中規模企業を中心に営業をかけていることの証左ではないでしょうか。もし仮に、新銀行東京がみずからの存在意義を否定されないために、単に貸出資産だけを目標に中小企業を中心に営業しているのであれば、それこそ東京都が出資して行う新銀行東京の存在意義は全くないといえます。
時間も迫ってまいりました。石原知事も昨年の答弁の中で、中小企業という一枠でくくられて議論されておりますけれども、小零細企業の支援を行いながら、懸命に再建に取り組んでおる、このようなご答弁もされております。ぜひ、この銀行の貸出先、零細小規模の企業に向けていただきたいと願っておるところでございます。
現在、新銀行東京が現経営陣を筆頭に努力を重ねていることは、私どもも認めさせていただきます。しかし、都民の税金として、最初の出資で一千億円、その後の追加出資で四百億円を使っているわけですから、費用対効果としても極めて不十分です。
新銀行東京が実行した融資の中には、他の民間企業でも対応できる制度融資も含まれていると思われますし、新銀行の黒字はモラトリアム法に助けられている部分が大きいようにも思われます。
私は、旧経営陣の責任を問う裁判の途中でもあり、失敗の責任も明らかでない中で、また、四百億円の追加出資時に示された再建計画の状況、さらに、再建計画が終了する以前に示されるべきセカンドステージの姿さえ明らかでない中、引き続き、当特別委員会においてしっかりとチェックしていくことが重要であると改めて申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○山下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はいずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑はいずれも終了いたしました。
以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時二分散会
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