委員長 | 山下 太郎君 |
副委員長 | 谷村 孝彦君 |
副委員長 | 林田 武君 |
副委員長 | 酒井 大史君 |
理事 | 高木 けい君 |
理事 | 高倉 良生君 |
理事 | 小沢 昌也君 |
早坂 義弘君 | |
西崎 光子君 | |
神野 吉弘君 | |
佐藤 広典君 | |
山口 拓君 | |
西岡真一郎君 | |
吉原 修君 | |
東村 邦浩君 | |
服部ゆくお君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員産業労働局 | 局長 | 前田 信弘君 |
次長 | 真田 正義君 | |
総務部長 | 三枝 健二君 | |
産業企画担当部長 | 櫻井 和博君 | |
金融監理室長 | 中村 靖君 | |
金融支援担当部長 | 櫻井 務君 |
本日の会議に付した事件
株式会社新銀行東京が巨額の累積赤字を計上するに至った原因について調査するとともに、東京都における同行の経営監視状況及び同行に対する東京都の今後の取組について調査・検討する。
報告事項(質疑)
・株式会社新銀行東京のこれまでの経過について
○山下委員長 ただいまから株式会社新銀行東京に関する特別委員会を開会いたします。
初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
議長から、去る二月十日付をもって、矢島千秋委員の辞任を許可し、新たに吉原修議員を本委員会委員に選任した旨、通知がありましたので、ご報告いたします。
この際、新任の吉原修委員を紹介いたします。
○吉原委員 どうぞよろしくお願いいたします。
○山下委員長 紹介は終わりました。
なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたします。ご了承願います。
○山下委員長 これより、株式会社新銀行東京が巨額の累積赤字を計上するに至った原因について調査するとともに、東京都における同行の経営監視状況及び同行に対する東京都の今後の取り組みについて調査検討を行います。
本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項に対する質疑を行います。
報告事項につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○三枝産業労働局総務部長 去る十二月四日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
お手元にお配りをした株式会社新銀行東京に関する特別委員会要求資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。目次でございます。
資料は全部で十七項目でございます。
一ページをお開きください。新銀行東京がBNPパリバ信託銀行から引き継いだ資産等の一覧をお示ししてございます。
次に、二ページから七ページまでは、BNPパリバ信託銀行の買収決定に関する決裁資料でございます。
次に、八ページは、新銀行東京の設立に向けた準備経過をお示ししてございます。
恐れ入りますが、九ページをお開きください。環境に配慮した経営に取り組む中小企業に対する支援などをお示ししてございます。
次に、一〇ページは、公共工事代金債権信託のこれまでの実績をお示ししてございます。
平成十七年度から平成二十一年度第二・四半期までの実行件数と実行金額でございます。
一一ページをお開きください。貸借対照表中のコールローン、コールマネーの残高をお示ししてございます。
一二ページをお開きください。新銀行マスタープランの策定経過をお示ししてございます。
続いて、一三ページは、マスタープラン、中期経営目標、新中期経営計画、再建計画の各指標と実績の推移をお示ししてございます。
一四ページをお開きください。新銀行東京の開業以降の融資・保証実績で事業規模別の件数、金額(実行ベース)をお示ししてございます。
下段にお示しをいたしましたとおり、平成二十一年度の融資実績は、第二・四半期までで件数が二百三十一件、金額が二百三億八千三百万円と相なってございます。
一五ページは、新銀行東京の融資実行先における無担保・無保証融資の実績の推移をお示ししてございます。
各年度末及び平成二十一年度の第一、第二・四半期における無担保・無保証による融資の実行件数、実行金額をそれぞれお示しをしてございます。
一六ページは、開業以降の人件費、物件費の推移でございます。
一七ページは、新銀行東京の職員数の推移でございます。
右端にお示しをいたしましたとおり、平成二十二年一月一日時点の職員数は百六十二人でございます。
一八ページをお開きください。新銀行東京の預金規模別の預金者の件数、割合、金額の推移でございます。
各年度末時点及び平成二十一年度の第二・四半期末時点における一千万円以下と一千万円超の個人預金者の件数、金額及びそれぞれの割合をお示ししてございます。
一九ページは、新銀行東京と全国銀行の不良債権比率の推移をお示ししてございます。
二〇ページは、総資産額に占める中小企業向け融資等の状況をお示ししてございます。
二一ページは、有価証券残高とその内訳の推移をお示ししてございます。
二二ページは、借用金の推移をお示ししてございます。
以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○山下委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
ご発言を願います。
○山口委員 都議会民主党はこれまで、新銀行東京については、都民の血税一千億円が投入されながらも、開業わずか三年で一千十六億円の累積赤字を出し、事実上の破綻ではないかと指摘を重ねてきたところであります。この原因追及を尽くすこともなく、さらに、再三都からも説明するべきであると私たちは求めてきたところでありますが、納得のいく説明は都からされることはありませんでした。その責任の所在について、都はみずからが選任をした二人を、百四十億円以上の損失を生み出したとし、旧経営陣のうち、わずか二人の責任ある立場の方を提訴し、それをもって責任とする、そんな動きが見えているところであります。
そもそも、訴訟以外の過大なシステムへの投資や物件費、挙げれば切りがないほどお粗末であったとは、これまでさまざまな機会で指摘をし、その全容解明について求めてきたところでもあります。大体、今回の訴訟の根拠ともなるデフォルト以外でも、過大なマスタープランに基づいた誤算や損失があったのではないでしょうか。
そこで、まずお伺いをいたしますが、平成二十年三月十六日、予算特別委員会において、ATMの撤去費用やリースの違約金については、交渉が済めば明らかにできるやの答弁をされているわけでありますが、実際には違約金などの撤去費用は総額で幾らになったのか。都は把握をされ、交渉も恐らく終わったことでしょうから、お伺いをいたしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京のATMの撤去費用につきましては、システム適正化及び店舗統廃合などに伴う費用とともに、平成十八年度の業務委託契約関連引当金、平成十九年度の事業再構築引当金として、それぞれ約三十五億円、約十五億円を計上しているところでございます。ATMの撤去費用はこの中の一部でございますが、民間と民間との間の契約であり、その交渉の結果、交渉過程や契約後の内容についても明らかにできないこととなったものでございます。
○山口委員 それでは同様にお伺いをいたしますが、平成十八年一月から急展開をした、支店、店舗の縮小に伴う撤去費用や、違約金などにかかった経費は幾らだったんでしょうか。これについてもお伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 ATMの廃止やシステムの適正化及び店舗統廃合などに伴う費用に加え、ソフトウエアなどの減損処理を実施しております。平成十八年度決算以降、二十一年九月期決算まで約百十七億円を計上しているところでございます。
なお、新銀行東京は、重要な経営情報であるため、一般の金融機関と同様、その内訳につきましては明らかにしてございません。
○山口委員 明らかにするといわれた数字すらいまだに明らかにされない、その都合都合で状況が変わってしまうわけでありますから、その責任の所在というものをしっかりと私たちも把握をしていかなければいけないところだと思っているところであります。
その責任の所在というものを考えていく上においてお伺いしたいのは、元代表執行役仁司泰正氏、また元執行役丹治幹雄氏に対する訴訟の提起についてであります。これはそもそも株式会社新銀行東京が、元代表執行役、また執行役を提訴したものでありますが、これを踏まえて、東京都に幾つか確認をし、質問したいと思います。
まず、なぜ、たかだかこの程度の訴訟にこんなにも時間がかかってしまったのか。都もこの提訴についておよそ二年前から発言をし、折に触れ発言をしてきたわけでありますが、やっとのことと都は思われていることだと思います。率直なところの見解を伺いたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京は、内部の調査委員会を設けて調査を行い、平成二十年三月に新銀行東京調査委員会調査報告書を発表いたしました。その後、経営悪化に対する法的責任の有無及びその責任追及の方法等について、外部の専門家に調査を委嘱し、平成二十一年二月に外部調査報告書を発表いたしました。新銀行東京は、これらの調査を踏まえた上で、訴訟を提起するに当たり訴訟戦略を練り上げるべく、関係書類の徹底的な検証を再度行ったところでございます。
さらに、具体的な訴訟提起に向け、訴訟代理人に企業訴訟について実績のある弁護士を選定して、万全の体制を整えたところでございます。
このように、新銀行東京は、経営悪化に係る法的責任を追及するために慎重かつ周到に準備を進めてきたものであり、こうしたことから提訴がこの時期になったものでございます。
○山口委員 さらにいいかえるならば、都にとってもこれはもう待ちに待った、説明を逃れてきた責任の所在を明確にする訴訟となるわけでありますが、この訴訟に当たって、知事はもとより、東京都としてまだ何らコメントをされていないわけであります。これを機に、ぜひこの訴訟についてのご見解、所見をしっかりと明らかにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 経営悪化の原因究明と責任追及につきましては、まずは当事者である新銀行東京が行うべきことであると考えてございます。先ほど申し上げたとおり、新銀行東京は内部の調査委員会を設けて調査を行い、新銀行東京調査委員会調査報告書を発表し、その後、外部の専門家に調査を委嘱し、外部調査報告書を発表いたしました。この経緯については、都としてこれまで一貫して説明をし、説明を受けてきたところでございまして、このたび訴訟提起に至ったものでございます。
今回の訴訟において、新銀行東京の経営悪化の原因と責任について司法の場で明らかになることが重要と考えてございまして、都としては裁判の推移を注視してまいります。
○山口委員 主たる株主である東京都としては、この訴訟を待つことなく、株主代表訴訟を起こしていても当然いいくらいのケースであると思いますが、そういった考えはなかったのか。この当然のことをしないというわけには、戦略的に何か策でもあるんでしょうか。お伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 繰り返しにはなりますが、経営悪化の原因究明と責任追及につきましては、まずは当事者である新銀行東京が行うべきことであると考えてございます。新銀行東京は、元代表執行役である仁司泰正氏、元執行役である丹治幹雄氏に対して損害賠償請求を行う方針を、昨年二月に既に決めてございます。その後、損害賠償額の算定や訴訟代理人に企業訴訟について実績のある弁護士を選定するなど、具体的な訴訟提起に向け、慎重かつ周到に準備を進めてきたところでございます。
都は、これまでこうした新銀行東京の準備状況の報告を受けてきてございまして、株主代表訴訟を提起する状況にはなかったものと考えてございます。
○山口委員 そもそもなぜ二人なのか、そして百四十億分の五億円なのか。出資者たる東京都としては、当然じくじたる金額だろうと同情し、共感をするところでもありますが、ぜひその無念をお聞かせをいただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京は、外部専門家による調査において、仁司氏、丹治氏について、民事上の損害賠償請求を提起することにより責任追及を行うことが相当であるとの報告を受け、これを踏まえて訴訟提起の準備を行ってまいりました。請求額につきましては、新銀行東京が被告の支払い能力、訴訟に係る手数料等を考慮し、約百四十億円の損害の一部である五億円としたものでございます。
新銀行東京は、専門家である弁護士と十分相談した上でこの訴訟を提起しており、都としてはこうした判断を尊重したいと考えてございます。
○山口委員 訴訟の内容を見ると、当然のことでありますが、どこにも都の責任については触れられてはいません。改めて伺いますが、東京都にはこれらについて何ら責任はないものとお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 先ほどもお答えしたとおり、新銀行東京は外部の専門家に調査を委嘱し、経営悪化に係る法的責任を追及する観点から、開業前から昨年一月の調査報告に至るまでの間について、さまざまな調査分析を十分に行いました。新銀行東京はこの調査において、仁司氏、丹治氏について、民事上の損害賠償請求を提起することにより責任追及を行うことが相当であるとの報告を受け、これを踏まえて訴訟を提起したものでございます。本訴訟は旧経営陣の責任を問うものでございまして、都の責任の有無は含まれてございません。
○山口委員 訴訟についてはわかりました。
それでは、聞き直しをいたしますが、こういった事態に発展をし、改めて都として責任について、ないと思われるか、反省すべき点はないとお考えでしょうか、見解を伺いたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の著しい経営悪化につきましては、都も主要な株主であり、監視を含め、株主責任はあると考えてございます。しかし、新銀行東京は株式会社であり、実際に経営を行う経営者、重要な方針を決定する取締役会、さらには株主では、経営に関与する度合いはそれぞれ異なってございます。銀行という公共的な性格により株主の関与が制限されていた中で、実際には経営のかじ取りを行った旧経営陣の責任は重大であり、まずはその責任が追及されるべきであると考えてございます。
○山口委員 まずはを強調されたところでありますから、その後の対応を見守りたいと思いますが、では任命責任についてはどうでしょうか。だれが、どこで、どのような判断のもと、この二名を任命をしたのか、確認をし、改めてこの責任について都の見解を伺いたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 平成十六年二月に策定いたしました新銀行マスタープランに、その時点で役員候補者として都において選任した方々を掲載してございます。選任の経過としては、当時の銀行設立準備担当部署が役員候補者を決定して、最終的に知事の了承を受けたものでございます。
なお、これらの役員候補者の正式な役員としての就任は、新銀行東京の株主総会また取締役会で決定しているところでございます。また、丹治氏につきましては、新銀行マスタープランには記載されてございません。
○山口委員 そもそも、紹介されたとはいえ、代表執行役にする前提で連れてきたのは、だれでもない、これは知事なわけであります。その責任は都としてだれにあると考えるのか、紹介された方なのか、知事なのか、それはいかがなんでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 マスタープランで仁司氏を代表執行役候補者に選んだのは、それまでの仁司氏の能力と見識に期待したからでございます。しかしながら、代表執行役の仁司氏のもとで、新銀行東京の経営がこのようになったことについては極めて遺憾であると考えてございます。
○山口委員 能力と見識に期待をし、極めて遺憾とおっしゃいますが、選んだ側には何の責任も今のところはまだ問われないと、こういった状況はやっぱり異常だと私は思います。
ほかにも旧経営陣には主要幹部の方がたくさんいらっしゃいます。中には都のOBの方や知事の親友と呼ばれる方もいらっしゃるわけでありますが、さらにいえば、この二人が従ったとされるマスタープラン、東京都が作成に大きく関与をしたこの計画の策定について、責任も問題もなかったと考えるのか、改めてお伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行マスタープランは、中小零細企業への円滑な資金供給を実施するという新銀行設立の理念を実現するため、新銀行の業務内容などをより具体的にまとめるべく、金融の専門家や代表執行役候補も含めた執行役候補者ら多数が参画して検討を重ねて、平成十六年二月に作成されたものであり、当時としては妥当なものであったと考えております。
なお、新銀行東京においても、それを踏まえて旧経営陣みずから判断し、中期経営目標を策定するなど、実際の経営に当たってございます。
○山口委員 話を少し戻しますが、そもそもこの訴訟については、デフォルトの金額を見てのみの訴訟じゃないでしょうか。都はこれで責任が明確になるとお考えでいらっしゃいますでしょうか。お伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の外部調査報告書では、経営悪化に係る法的責任を追及する観点から、開業前から昨年一月の調査報告に至るまでの間について、さまざまな調査分析を十分に行ったところでございます。その結果、危機的デフォルトの発生状況に対して抜本的対策を講じなかった旧経営陣に法的責任があるとされてございます。こうしたことから、新銀行東京は提訴したものでございます。
都としては、新銀行東京の経営悪化の原因と責任につきましては、司法の場で明らかになるものと考えてございます。
○山口委員 それでは、この経営悪化につながったとされる当時の取締役会の責任を、今後都として求めるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 外部調査報告書では、法的責任を問えるのは旧経営陣の二人であるとしてございます。仁司氏以外の取締役については、遅くとも平成十八年九月二十七日の取締役会において経営計画等の見直しを求めるなど、危機的なデフォルトの発生状況に対する抜本的な対策を講じることを決定すべきであったにもかかわらず、これを怠り、平成十九年六月に至るまで融資拡大路線を継続させ、デフォルトを拡大させたことが認められることから、明らかな善管注意義務を認めるのが相当と考える。まず自主返納を求めるべきであるとしてございます。
新銀行東京は、これらの取締役に対して自主返納を求めているところであり、都としてはこうした判断を尊重したいと思っております。
○山口委員 都がいってきた旧経営陣の責任とは、今のところこの二人だけを指すものなのか、ここで確認をしておきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 株式会社が経営悪化をした場合、災害などの特殊な場合を除き、その経営に携わった経営陣に責任があるものとされてございます。新銀行東京の外部調査報告書によれば、仁司氏、丹治氏以外の元執行役には、その分掌職務からして、危機的なデフォルト発生状況に対する抜本的対策を講じたりする等の善管注意義務までが法的に要求されていると考えることは困難であるとされてございます。
また、仁司氏以外の元取締役には、危機的なデフォルト発生状況に対する抜本的対策を講じることを決定すべき善管注意義務を負っていたが、これを怠り、デフォルトを拡大させたことが認められることから、経営判断が許容される裁量の範囲を逸脱したものであることが明らかな善管注意義務違反を認めるのが相当と考えるとされてございます。
しかし、これらの元取締役は業務執行を担当しない社外取締役だったことなどから、その責任について一定の限度があることから、まず自主返納を求めるべきであるとされてございます。
このように、新銀行東京はすべての旧経営陣の責任について既に自主的に判断して、一定の結論を出しているところでございます。
○山口委員 さて、責任の所在について、また旧経営陣であった取締役について、新銀行から経営悪化の責任があると指摘をされた旧経営陣七人に関しては、調査報告書によれば、自主返納をもって責任を求めるとしているところであります。しかし、新銀行東京の調査報告書により認定をされた旧経営陣の損害責任は約百十二億円、そのうち八十七億円がこの残り七人にもかかわるものとされているわけであります。
さて、そこで、自主返納については具体的に何も記載をされていないわけでありますが、報酬返納額は一体幾らになるのでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 報酬の返納につきましては、外部調査報告書では、民事上の損害賠償訴訟の提起の前にまず自主返納を求めるべきとしており、あくまで自主的な返納を求めるもので、公表すべき性質のものではないと考えてございます。
○山口委員 それでは、自主返納は当然全員なされたのか、都は把握しているのでしょうか、お伺いします。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京は、当時の取締役に対して自主返納を求めてございますが、全員の返納が終わったとの報告は受けてございません。新銀行東京は引き続き全員の自主返納を求めることとしており、都としてもそれを見守ってまいります。
○山口委員 一体だれが返納していないんでしょうか。拒まれているんでしょうか。都はそれを把握されていますか。
○中村産業労働局金融監理室長 繰り返しになりますが、新銀行東京は当時の取締役全員に対して自主返納を求めており、個々の請求内容については明らかにすることができないものでございます。
○山口委員 報告書の作成の時期から考えても、およそ一年で百十二億円から百四十億円に損害がふえたという算出をしておきながら、他の旧経営陣に対しての対応はとてもそうは感じられるものではありません。また、この自主返納されていない方が何人で、だれなのか、明らかにできないということでありましたが、東京都としては把握をしている上でいえないのか、把握すらしていないのか、お伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 その内容につきましては明らかにすることができないということでご答弁はしたものでございます。ただ、厳正に対応すべきものだというふうに私どもは考えてございます。
○山口委員 どうしてもここは明確に答弁が出てこないところでありますが、東京都として把握をしているのか、把握していないのか、これぐらいはお答えできるんじゃないですか。お伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 都としては全員の返納が終わっていないという報告を受けているところでございます。
○山口委員 望めないので先に進みますが、もしその返納されていない方が、裁判の推移や結果を見て判断しようなどとお考えになられているとすれば、それはとんでもない話なわけであります。そうでないと信じてはおりますが、もし返納されない事態が続けば、先ほどの外部調査報告書にもあるように、民事上の損害賠償訴訟の提起の前にまず自主返納を求めるべきとされているように、当然、都としては強い姿勢で臨むべきではないんでしょうか。返納がされていない場合は、提訴されたお二人以外の旧経営陣にも訴訟が発展する可能性があるか否か、都としてはどのようにお考えでしょうか。見解を伺いたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 繰り返しになりますが、新銀行東京は引き続き自主返納を求めることとしており、都としてはそれを見守ってまいります。
○山口委員 いずれにしても、一つ一つが明らかにならないこの委員会でのやりとりも全くもって理解ができないわけでありますが、そもそもこの機能というもの、組織体というものをつくり上げたのも東京都であれば、機能していなかったといわざるを得ないこの取締役会の体系そのものにも問題があったんではないでしょうか。
続いて、かつての質問で、銀行設立の経過についてお伺いをしてきたわけでありますが、そもそも銀行について、都として最初に検討をスタートしたのはいつだったのか。金融庁に対して、いつ、どこで、だれが、だれに、何について、この新銀行東京の設立の説明なり相談をしたのか、確認をしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 平成十五年五月に、新銀行の創設についてを公表し、都として本格的な検討を行うこととしましたが、その一年以上前から出納長室の中で研究してきた旨、平成十五年第二回定例会の財政委員会において、所管部局が答弁してございます。
新銀行東京は、その設立に当たり、当然のことながら金融庁との相談を行ってございますが、産業労働局としてはそのやりとりの記録については引き継いでおらず、具体的にはお答えできかねます。ご理解をいただきたいと思います。
○山口委員 都がいうように、相談をしたのであれば、免許申請の要らないパリバを、金融機関の幾つかあった選択肢から選択をして、金融庁に相談をしたはずであります。いつ、何を相談したのか。何と金融庁は答えたのか。お伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 平成十五年五月の新銀行の創設についてを公表して以来、都議会の多くの会派や中小企業の方々から、早期開業を強く求める声がございました。
BNPパリバ信託銀行の買収という手法を選択したのは、新銀行マスタープランによれば、新銀行の理念の実現に何ら支障がなく、新銀行の早期かつ確実な創立に最も適していると考えられるためとされてございます。当然、BNPパリバ信託銀行を買収するに当たって、金融庁にも、ビジネスモデルやシステムインフラ整備、リスク管理体制整備など、新銀行の開業に当たって必要な業務内容につきまして相談をしているところでございます。
○山口委員 いずれにしても、相談をしていたのであれば、東京都として金融庁から、パリバについて情報収集をしておくべきだったのではないでしょうか。いいかえれば、パリバを選択したことによって、銀行を一から設立する場合のような厳しい金融庁のチェックをすり抜けてしまったのではないか。そのため、本来であれば無理な計画が通ってしまったのではないでしょうか。
くどいですが、この一つ一つが責任の所在の根底を確認する質疑であることをぜひご理解をいただいた上でご認識を伺いたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 BNPパリバ信託銀行の買収という手法を選択したのは、新銀行を早期かつ確実に開業するためであり、銀行設立に際しての金融庁の審査を回避するためではございません。
このBNPパリバ信託銀行の買収につきましては、既にマスタープランなどにより広く公表されており、当然のことながら、これを踏まえて金融庁との相談を行ってございます。
なお、新銀行東京設立の際の金融庁の審査につきましての国会における答弁を抜粋して申し上げますと、東京都が既存の銀行を買収して発足したものでありますけれども、実質的には銀行の新規設立と同様のケースであるというふうに考えられましたので、金融庁といたしましては、同行の開業準備中においては銀行法に基づく銀行免許付与に準じた審査を行うといった観点で監督上の対応を講じてきたということでございます、とのことでございます。
○山口委員 金融庁のお墨つきをもらったという認識とでもいえばいいんでしょうか。さまざま伺ってきたわけでありますが、逐一、真実、事実が明らかにならない、この新銀行東京の問題であります。都民の皆さんは、この銀行のあり方や存続について大きな疑問をお持ちになられていることは、これはもはやいうまでもないわけであります。こういった特別委員会が設置をされたことによって、私たちは過去の経過にも振り返り、さかのぼって質疑ができる、質問ができることは大変ありがたいことでありますが、真摯に受けとめていただき、質疑にしっかりとこたえていただくことが大切だということを改めて申し上げて、質問を終わります。
○早坂委員 本日の委員会は、前回ご説明いただいた株式会社新銀行東京のこれまでの経緯についてに対する質疑であります。これらの内容は、すべてこれまで十分に常任委員会で審議されてきたことばかりでありますが、ここにおられる委員が共通認識を持つために、改めて基本的なことを確認したいと思います。
私は、新銀行東京のこれまでの経緯については、大きく三つの時期に分けて考えられると思います。まず、設立までに至る経緯が第一。次に、開業から、著しい経営悪化、追加出資までが第二。そして、再建途上の現在と今後が第三であります。
新銀行東京が開業後わずかにして経営悪化に至ったことはまことに遺憾であります。しかし、そのことのみをもって、新銀行東京のすべてが無意味であり、存在そのものを否定するかのようにいうのは、短絡的で無責任かつ行き過ぎた論理であると考えます。
新銀行東京のことを正しく理解するためには、その発案から現在に至るまでの時点時点について冷静に理解することが必要であります。したがって、第一回の特別委員会ということもありますので、今回はこうした観点から当時の状況について一つ一つお伺いをいたします。
では初めに、新銀行設立までの経緯についてお伺いをいたします。
新銀行東京の設立が検討されていたころ、我が国の経済状況はどのようなものであったか、当時の時代背景について伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行設立の検討が行われた当時は、バブル経済崩壊後の長引く景気低迷に加え、デフレや急激な産業構造の変化の中で、企業倒産件数は高水準で推移してございました。具体的に申し上げますと、当時の国内総生産は、十三年度、十四年度に対して前年度比マイナスとなり、十五年度は最悪期は脱したものの、前年度からわずかに〇・八%上昇した程度と、低迷状態が続いておりました。
また、平成十五年度の全国企業倒産件数は一万六千二百五十五件で、前年度の約一万九千件という最悪期は脱したものの、依然として深刻な状況でございました。
さらに、平成十五年の完全失業率は五・三%と、前年度から引き続き高水準でございました。
○早坂委員 新銀行東京の設立が検討されていた平成十五年当時も、今日同様、相当厳しい経済状況であったと理解いたしました。
では、その当時、金融機関の経営状況、中小企業向け融資の姿勢はどのようなものであったか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 平成十五年当時、多くの金融機関はバブル崩壊により生じた不良債権の処理に追われ、自己資本は大きく毀損しておりました。これに対して、政府においては、平成十四年に金融再生プログラムを公表するなど、日本の金融システムと金融行政に対する信頼回復に取り組んでいたところでございます。
このような中にあって、各金融機関は、信用リスクを回避するため、貸出先の選別を強め、信用力が相対的に低い中小企業に対し、いわゆる貸し渋り、貸しはがしが行われるなど、中小企業の資金調達は厳しい状況に置かれておりました。
○早坂委員 金融機関が貸し渋り、貸しはがしを行う中で、借り手である都内の中小企業を取り巻く経済金融環境はどのようなものであったか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 日本銀行の統計によれば、平成十五年三月の国内銀行における中小企業向け融資残高は百九十四兆円であり、平成十三年三月の二百二十九兆円からわずか二年で、三十五兆円も大幅に減少しました。
また、都内中小企業における資金繰り状況についても、資金繰りが苦しいと回答した割合が四〇%を超えており、中小企業に十分資金が行き渡っていない状況でございました。さらに、都内企業の倒産件数も、平成十四年が三千七百四十七件、十五年は三千百八十五件と、いずれも三千件を超える高い水準で推移しておりました。
このように、都内の中小企業を取り巻く経済金融環境は極めて厳しいものであったと認識してございます。
○早坂委員 中小企業を取り巻く環境は厳しく、他方で資金を供給する側の金融機関も不良債権処理に追われていた状況がわかりました。そうした経済金融環境の中、新銀行を設立しようとした石原知事の思いとはどのようなものであったか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 知事は、二期目の選挙公約として、東京発都市革命を訴え、その具体策の一つとして、「中小企業の能力を引き出す新しい銀行を創設」を掲げ、当選いたしました。
知事は、銀行を設立しようとした理由につきまして、本当に大切なのは、ろくな担保も持たぬ、しかし可能性に満ちた零細な企業の窮地をいかに救うかということだと述べております。また、都は既に幾つかの制度融資で零細企業対策は行ってはきたが、それでもなお、それらの制度の対象にもなり得ぬ零細な企業に、さらに手を伸べる必要は絶対にあると信じているとも発言してございます。
○早坂委員 石原知事は、中小零細企業を守るという使命感から、新銀行東京の設立を思い立ったのであり、その公約を掲げて戦った知事選において、三百八万票という圧倒的な都民の支持を受け、再選を果たしました。その石原知事の思いを具現化したのが、平成十五年五月に新銀行の創設についてとして公表された新銀行構想と、それに続き平成十六年二月に策定された新銀行マスタープランであります。新銀行の経営上の基本指針となった新銀行マスタープランは、だれが、どのように検討したのか、あわせてその内容について伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行マスタープランは、本会議や財政委員会でのご議論を踏まえて、銀行の業務内容をより具体的に取りまとめたもので、新銀行の業務運営の指針となるものでございます。新銀行東京の経営理念や業務内容、事業収益計画、組織、体制などをその内容としてございます。
新銀行マスタープランは、監査法人やコンサルティング会社など、多くの金融の専門家や都職員を含む、最大約百名が参加して作成されたものでございます。メンバーの中には、後に新銀行東京の代表執行役となる仁司泰正氏を初め、複数名の執行役候補者も含まれてございました。
また、作成に当たっては、預金者や中小企業者の意向もモニタリングするなど、多面的な視点から検討を重ねてきたものでございます。
○早坂委員 新銀行マスタープランは、当時の経済金融環境を踏まえ、多くの専門家が参画し策定したものである旨の答弁がありました。この新銀行マスタープランの特徴は、スコアリングモデルによるスピーディーな資金供給であります。
では、このスコアリングモデルとはどのようなもので、当時の評価はどうであったか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 一般にスコアリングモデルとは、コンピューターで中小企業の財務情報や取引状況などの情報を分析し、融資の貸し倒れリスクを統計的に算出するモデルをいいます。
金融庁は、平成十五年三月に公表したリレーションシップバンキングの機能強化に関するアクションプログラムの中で、新しい中小企業金融への取り組みの強化の一つとして、事業からのキャッシュフローを重視し、担保、保証に過度に依存しない融資の促進を図る観点から、各金融機関に対して、スコアリングモデルの活用などを要請していたところでございます。こうした状況のもとで、メガバンクを初め多くの金融機関においてスコアリングモデルを活用したビジネスローンが商品化されました。
平成十五年、十七年当時のスコアリングモデルに関する状況は以上のようなものでございました。
○早坂委員 新銀行東京が開業した平成十七年前後には、担保、保証に過度に依存しない融資を図るために、多くの金融機関でこのスコアリングモデルを導入したとのことでありますが、その後、このスコアリングモデルはどのように扱われたのか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 スコアリングモデルの活用につきましては、その前提として、業種、財務内容、規模、地域など、リスク分散ポートフォリオを確立できるだけの顧客層の確保が必要でございましたが、導入当初は標本数が少なく、データの精度が不完全でございました。そのため、スコアリングの判定機能だけでは必ずしも企業の実態を反映していないケースもあり、各行とも想定以上のデフォルトが発生する結果となりました。その結果、金融機関の融資運営は、スコアリングだけではなく、企業の実態を詳しく把握した上で与信判断をする方向に再びシフトしてまいりました。
○早坂委員 では、新銀行東京におけるスコアリングモデルの扱いはどうだったのか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京が外部弁護士に依頼した外部調査報告書によれば、スコアリングシステムが有効に機能するためには、スコアリングの結果算出される想定デフォルト率が実績デフォルト率と大きく乖離しないことが必須の前提であったにもかかわらず、遅くとも平成十八年八月末時点において、想定デフォルト率と実績デフォルト率との間に大幅な乖離が生ずる結果となっており、融資審査においてスコアリングシステムが想定どおりの機能を発揮できなかったと指摘されてございます。また、このスコアリングモデルのみに依存した融資審査等が新銀行東京の経営悪化を招いた原因となったものでございます。
○早坂委員 次に、新銀行東京の設立に関して伺います。
新銀行東京は、BNPパリバ信託銀行を買収して設立されましたが、新規設立でなく、買収という手法を選択した理由はなぜでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行の設立に当たりましては、準備会社を設立した後、新銀行として開業するか、既存の銀行を買収して開業するかの二つの選択肢がございました。一方、新銀行東京の設立を公表して以来、都議会の多くの会派から早期開業を求める声がございました。
新銀行マスタープランによれば、買収という手法を選択した理由は、新銀行の経営の理念の実現に何ら支障がなく、新銀行の早期かつ確実な開業に最も適していると考えられるためとされてございます。
○早坂委員 ここまで当時の経済状況や新銀行マスタープランについてのおさらいをしてまいりました。
確認のために伺いますが、新銀行設立に当たり、都議会ではこれまで伺った以外にどういった論点の議論がどのくらい行われてきたのかを伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 先ほどお答えした論点のほかに、地域金融機関との共存に関することや、既存の都の金融施策とのすみ分け、買収の経緯、中小企業の融資予定、リスクへの対応、ICカード事業などの内容などにつきまして、疑問や懸念が示され、議論が行われてきたところでございます。
また、そうした疑問や懸念について検討すべく、新銀行構想発表後の平成十五年第二回定例会以降、買収に係る予算案が承認された平成十六年第一回定例会までに、本会議や予算特別委員会、常任委員会などで、延べ三十一日間にわたり、約五百問にも及ぶ質疑を行ったところでございます。
○早坂委員 このように、我が東京都議会では、多くの時間を費やし、さまざまな角度から新銀行東京の設立について議論を尽くした結果、新銀行への一千億円の出資を含む予算案に、自民党、民主党、公明党、生活者ネットが賛成し、議決したものであります。
では、当時の政府や中小企業者、専門家などの新銀行設立に対する意見はどのようなものであったか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 まずは、政府につきましては、当時の経済財政・金融担当相は、平成十五年五月の段階で、あくまで一般論として申し上げれば、我々としてはこの銀行業界、金融業界を活性化させるような新規参入は、当然歓迎する立場にありますと発言してございます。中小企業団体からも、金融システム不安が進む中、貸し渋り、貸しはがしに苦しむ中小企業にとっては朗報とのコメントが発表されるなど、おおむね好意的な意見が多数を占めてございます。
一方で、全国銀行協会などからは、損失が発生した場合の影響や、民業圧迫につながるといった懸念が示されておりました。
○早坂委員 こうした経過を経て、平成十六年四月に新銀行東京が設立されたわけでありますが、東京都が新銀行東京を設立した意義について改めて伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行マスタープランによれば、東京の地域経済を再生するためには、中小企業の潜在的な力を十分に発揮できる環境を整えることが必要であり、貸し渋り、貸しはがしに苦しむ中小零細企業に円滑に資金供給がなされなければならないという使命感から新銀行を設立したとされてございます。
また、中小企業が置かれていた経営環境を見ると、既存銀行の体質改善や国の対応を待つ時間的余裕がなかった。都は、都民福祉の向上を図る責務を負っており、社会秩序を維持し、社会全体の危機を未然に防止するという観点からも、中小企業を総合的に支援する銀行を設立し、地域経済の活性化を実現していく必要があったとも述べられております。
○早坂委員 ただいまのご説明を伺うと、新銀行マスタープランに掲げられた内容は、策定当時としては妥当なものであったと考えられます。しかしながら、ご承知のとおり、開業後わずか二年という短期間で著しい経営悪化に陥りました。端的に、その原因は何だとお考えになるか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 ご指摘のとおり、新銀行マスタープランは当時としては妥当なものであったと認識してございます。しかし、不良債権を処理し、体力を回復した大手銀行などが、貸し渋り、貸しはがしといったそれまでの融資姿勢を一変させ、中小企業金融に積極的に参入してきたことにより、株式会社新銀行東京は、開業直後から非常に厳しい競争環境にさらされたところでございます。
このように経営環境が変化する中で、新銀行マスタープランに掲げた内容が現実と乖離してきたところもあったと考えますが、銀行経営はあくまでも経営陣の責任において行うべきものであり、状況の変化に対して経営のかじ取りの変更がおくれたことが、新銀行東京の経営悪化の最大の原因であると考えております。当時の経営陣は、こうした状況の変化に対して速やかに対応すべきであったと考えます。
○早坂委員 経営悪化の責任はだれにあると考え、それをどのように追及しているのか、新銀行東京自身の取り組みについて伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の経営悪化につきましては、外部調査報告書では、危機的デフォルトの発生状況に対して抜本的な対策を講じなかった旧経営陣に法的責任があるとされてございます。
新銀行東京は、この外部調査報告書を踏まえ、慎重かつ周到に訴訟準備を進め、去る一月二十九日に、元代表執行役である仁司氏と元執行役である丹治氏に対して損害賠償請求を提起したところでございます。
○早坂委員 新銀行東京は、外部調査報告書に基づき、当時の経営陣に対して損害賠償請求訴訟を提起いたしましたが、これに関する東京都の見解を伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 経営悪化の原因と責任につきましては、まずは司法の場で明らかになることが重要だと考えてございます。都としては、裁判の行方を注視してまいります。
○早坂委員 当時の経済金融環境や、中小零細企業が置かれた苦しい状況にかんがみ、新銀行の構想は、中小企業団体や金融庁など多くの方々に歓迎されておりました。また、東京都議会でも議論を深められたと考えています。
ちなみに、平成十六年第一回定例会の予算審議の最終討論において、民主党は、各会派の質疑を通じて多くの懸念が払拭された旨を述べていらっしゃいます。新銀行マスタープランは当時としては妥当なものと認識され、大多数の会派の賛成で新銀行が設立されたことは紛れもない事実であります。
しかし、こうして設立された新銀行東京でありますが、現実にはうまくいかず、開業後わずか二年で経営悪化を招いてしまったことは、先ほど申し上げたとおりであります。我が党は、現に取引を行っている中小企業を初めとした都民の方々への影響が最小限となる方法を模索し、苦渋の選択として、新銀行東京へ四百億円もの追加出資に賛成をいたしました。
経営悪化の原因と責任の究明については、当事者である新銀行東京が去る一月二十九日に、旧経営陣を相手取りみずから訴訟を提起したところであり、我が党はその裁判の動向を注視していかなければならないと考えています。
次の質問に移ります。新銀行東京がこれまでその設立趣旨である中小企業支援に果たしてきた役割を確認したいと思います。
新銀行東京は、開業以来、その設立目的である中小企業支援をどれくらい行ってきたのか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京は、平成二十一年九月末時点で、他の金融機関では支援が難しい赤字、債務超過先を多数含む、延べ約一万八千社の中小零細企業に対して支援を行ってきたところでございます。また、現在でも約九千社の中小零細企業との取引を継続しているところでございます。
○早坂委員 では、今お答えのあった、他の金融機関では支援が難しい赤字、債務超過先に対する支援の状況について伺います。あわせて、現在取引のある九千社の内訳についても伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京では、同じく平成二十一年九月末時点で、四千二百六十三社の赤字、債務超過先に対し、二百七十一億円の支援を行っております。また、平成二十一年九月末時点において取引を継続している八千六百八十四社のうち、売上高五億円未満の中小零細企業が、件数で約八三%、残高では約四八%を占めております。
○早坂委員 ところで、新銀行東京は従来から、国の政策を先取りする形で、長引く不況で資金繰りに窮している中小企業に対し、一定の返済猶予であるリスケジュールを積極的に行っていると承知をしておりますが、その実績について伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 一般にリスケジュールとは、銀行と取引先との合意の上、貸出金の返済期間を当初の契約より延長することをいいますが、新銀行東京では、与信期間の延長、返済金額の減額、約定金利の引き下げなど、融資条件の緩和を取引先の実情に応じてきめ細かく行っているところでございます。
新銀行東京は、平成二十一年九月末時点で千二百五十件、九十三億円のリスケジュールを実施中であり、残高全体に占める割合は、それぞれ件数で一四・三%、金額で一二・五%となっております。また、開業以来の累計では、千六百二十件に対し百四十億円のリスケジュールを実施しており、そのうち、平成二十年度以降の実施分は千二百四十四件、百二億円となってございます。
こうした取り組みの中で、景気低迷の影響を受け経営が悪化した販売業者に対して、新銀行が社長を激励し、リスケジュールを実行したところ、今後とも新銀行との取引を継続していきたいと感謝された例や、別の販売業者では、社長の話をじっくり聞き、今後の資金相談等を行ったところ、新銀行の真摯な対応に感動し、今後も末永い取引をお願いしたい旨のお言葉をいただいたなど、支援を受けた取引先の中小零細企業から多くの感謝の声が寄せられていると聞いてございます。
なお、新銀行東京は、取引先に対し、経営悪化の原因を伺った上で、経営改善など対応策の相談に応じ、時には店舗の廃止などのリストラを勧め、リスケジュールに応じており、再生の見込みがない企業の単なる延命のために行うものではございません。
○早坂委員 繰り返しになりますが、我が党は、新銀行東京の経営が行き詰まる状況下で、平成二十年第一回定例会において、現に取引を行っている中小零細企業の方々への影響が最小限になる方法を模索し、苦渋の選択として追加出資に賛成をいたしました。現在も新銀行東京は、他の金融機関では支援が難しい赤字、債務超過先企業を初め、多くの中小零細企業を支援してきており、再建途上ではあるものの、現在でも九千社の中小零細企業を支援しているとのことでありました。長引く不況に苦しむ中小零細企業を支えていくため、あらゆる支援ツールを総動員していかなければならない現在、新銀行東京もそうした東京都の中小企業支援の一翼を担っていることは間違いありません。
こうした中小企業支援を行っている民間の金融機関である新銀行東京に対して、東京都は早期撤退すべきだとか清算すべきといった無責任な主張があります。そこで伺いますが、今、東京都が新銀行東京から撤退したり、新銀行東京を清算した場合、どのような影響があるのか。先日の四百億円の追加出資がどのような効果をもたらしたかも含め、局長の考えを伺います。
○前田産業労働局長 まず、先ほどご質問いただきましたように、多くの方々の期待を担って発足した新銀行東京が、開業後わずかにして著しい経営悪化に陥りましたことについては、まことに遺憾であります。
そうした中で、新銀行東京は銀行でありますから、多数の取引先、預金者がございます。東京都は、経営悪化に陥った新銀行について、取引先、預金者の保護及び悪影響を回避するため、新銀行東京を再建し、中小企業支援を継続するということで、まさに先生おっしゃられました苦渋の選択ではありましたが、四百億円の追加出資を行ったところでございます。
新銀行東京は、新しい経営陣のもとで懸命に再建を進めておりまして、今年度の中間決算が、開業後初めて黒字になるというような成果がございます。つまり、四百億円の追加出資により、新銀行東京はその銀行業務を継続することができ、また、懸命な努力によって再建を、まだまだ道半ばではございますが、着実に進めることができたということはいえると思います。
新銀行東京は、現在も二千億円を超える預金を有しますとともに、先ほど金融監理室長から答弁申し上げましたように、他の金融機関では支援が難しい赤字、債務超過先を含む約九千社の中小零細企業を支援しておりまして、そこで働く従業員の方々、その家族の方々を含めますと、十万人以上の関係者が存在いたします。
経営再建に向けた新銀行東京の懸命の努力により、ようやく黒字化を果たしたとはいえ、いまだ再建途上にある現時点で、仮に東京都が新銀行東京から撤退するということになれば、新銀行東京は経営を継続できなくなります。多くの預金者や貸出先である中小零細企業、そして都民の方々に重大な影響を及ぼすことになると考えます。
特に現在の取引先九千社のうち千二百五十社は、新銀行のリスケジュール対応により返済負担が軽減され、事業継続、経営改善に取り組んでいる企業でございます。そうした企業の唯一のよりどころである新銀行東京がなくなってしまうということは、厳しい経営環境の中で歯を食いしばり、懸命に努力している中小零細企業の生命線を絶つことになりかねません。
また、再建途上ということで、当然ながら東京都が追加出資した四百億円は保全されないものと考えております。つまり、現時点で東京都が新銀行東京から撤退をするということになれば、新銀行東京は存続し得なくなる、また、四百億円は保全されない、そして取引先等に多大な影響が出ると、こういうふうに考えます。
したがいまして、東京都といたしましては、今行うべきことは新銀行東京の再建を第一に進めることだと、こう考えておりまして、銀行自身も懸命に努力しておりますが、東京都としても、その再建に向けて全力で取り組んでまいります。
○早坂委員 現在の百年に一度といわれる厳しい経済状況の中、こうした新銀行東京を含めた中小企業支援の全体の施策について東京都はどのように考えているのか、改めて伺います。
○前田産業労働局長 中小企業は、東京の経済、雇用を支えます基盤でございまして、東京都といたしましても、商工、金融、雇用など、多岐にわたって中小企業支援を行っているところでございます。
中小企業につきましては多数の企業が存在いたしまして、そのニーズや課題は、資金繰り、経営支援の解決や販路開拓に向けた取り組みなどの経営安定化支援、人材育成、技術支援など多岐にわたってございます。その時々の経済状況に応じながらも、そうしたさまざまなニーズや課題にこたえるべく、常に多様な支援ツールを準備し、実施していくことが重要だと考えております。ましてや、委員ご指摘のように、現在の厳しい経済状況の中では、さまざまな選択肢、支援ツールというものを用意していくことが特に求められていると思います。
その中で新銀行東京は、再建中でありますから、十全な活動というのはちょっと難しいところがありますが、東京の産業を支える中小企業への支援ツールの一つとして役割を担っているということは紛れもない事実でございます。都としては、新銀行東京がその設立理念を再び十分に果たせるよう、再建に全力を注いでまいります。
○早坂委員 本日は、新銀行東京の設立に至るまでの経緯と、今日も担っている中小企業支援の役割を中心にお伺いをいたしました。
経営悪化の責任については、まずは司法の場にゆだねるべきであるとともに、新銀行東京の現在の経営状況などについては、これまでどおり経済・港湾委員会で議論すべきであると考えております。
最後に、東京の中小企業支援施策全体の観点からも、新銀行東京の再建にしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
○高倉委員 新銀行東京につきましては、平成二十年の四百億円追加出資を初め、これまで繰り返し議論をされてまいりました。平成二十一年度上半期においては、新銀行東京の経営努力によりまして、初の中間期黒字を達成するなど、現在、経営改善が着実に進んでおります。こうした状況については、既に予算特別委員会や常任委員会でも多くの議論を重ねてきているところであります。
そうした中で、私ども都議会公明党は、かねてより新銀行東京の経営悪化を招いた旧経営陣に対する責任追及を求めてまいりましたけれども、この旧経営陣に対する損害賠償請求訴訟が去る一月二十九日に提起されました。そのことも踏まえまして、新銀行東京が経営悪化に至る過程について基本的なことを確認をいたしたいと思います。
新銀行東京の開業後の決算を見ますと、平成十七年度は二百九億円の赤字、平成十八年度は五百四十七億円の赤字になっておりまして、開業後わずか二年目で、累積損失はマイナス八百四十九億円となったわけであります。こうした経営悪化の原因につきまして、新銀行東京は、平成十九年七月に当時の森田代表執行役を委員長とする新銀行東京調査委員会を設置をしております。まず、この調査委員会の構成と報告の概要についてお答えをいただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京調査委員会は、平成十九年七月に、代表執行役、執行役及び顧問弁護士の計三名で構成され、平成十七年四月から平成十九年六月までの約二年間の経営状況に関して調査を行うことを目的に設置されたものであり、株式会社新銀行東京は、平成二十年三月に調査結果を新銀行東京調査委員会調査報告として発表いたしました。
調査委員会報告では、経営不振を招いた原因として、デフォルトの発生を容認したかのような非常識な業務執行、時期を逸した経営のかじ取り、取締役会への事実の隠ぺいや楽観的見通しの報告、代表執行役への権限集中を指摘しております。また、調査委員会の見解として、このような事態を招いた代表執行役の責任は重いとし、今後、取締役会や各委員会等の具体的な関与の形態、程度に基づき責任を追及していくことが必要としております。
○高倉委員 この調査委員会の報告の後、平成二十一年二月には、外部の専門家による調査、いわゆる外部調査報告書を公表をしているわけであります。このたび、この外部調査報告書を踏まえて、旧経営陣への損害賠償請求訴訟を提起をしたとのことであります。
それでは、この外部調査報告書が公表されるまでの経緯につきまして、確認の意味でお伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京は、新銀行東京調査委員会の調査結果を踏まえ、法的責任については、法律事務所等の専門家によりさらに詳細な調査を行うこととし、取締役会決議を経て、平成二十年六月に外部の法律事務所に取締役及び執行役の法的責任の有無や法的責任の追及方法等の調査分析を委嘱しました。これに基づき、弁護士十一名が調査分析及び調査報告書の作成を担当し、平成二十一年二月にその調査結果を外部調査報告書として公表したものでございます。
〔傍聴席にて発言する者あり〕
○山下委員長 傍聴人に申し上げます。ご静粛に願います。
○高倉委員 この外部調査においては、具体的にどのような調査を行い、またその概要ですね、これはどういうものであったのかについてお答えいただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 この外部調査では、経営悪化に至る法的責任を追及する観点から、開業前から調査時点に至るまで、さまざまな調査分析を十分に行ったところでございます。その結果、危機的なデフォルトの発生状況に対して抜本的な対策を講じなかった旧経営陣に法的責任があることが明らかにされてございます。
○高倉委員 この外部調査報告書の中で、今回の訴訟の被告であります仁司氏、それから丹治氏の責任について、それぞれどう言及をされているのか、お答えいただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 外部調査報告書では、まず仁司元代表執行役兼取締役につきまして、遅くとも平成十八年八月三十日の取締役会において、経営計画等の見直しを図るなど、危機的なデフォルトの発生状況に対する抜本的対策を講じるべきであったにもかかわらず、平成十八年八月三十日以降も、小口定型商品の融資実行を直ちに停止しないどころか、平成十九年六月に至るまで融資拡大路線を積極的に継続する等によりデフォルトを拡大させたことが認められるとしております。
次に、丹治元執行役につきましては、遅くとも平成十八年八月三十日の取締役会において、デフォルト率が収益に与える影響等について適切な報告を行うべきであったにもかかわらず、平成十八年八月三十日以降も適切な報告をしなかったのに加えて、小口定型商品の融資実行を直ちに停止するよう、仁司元代表執行役兼取締役に進言もせずに、平成十九年六月に至るまで融資拡大路線を積極的に継続する等によりデフォルトを拡大させたことが認められるとしてございます。
○高倉委員 今、訴訟の被告であるお二人の責任についてお答えいただきましたけれども、新銀行東京のこの経営悪化の原因について、監督官庁である金融庁の見解についてご説明いただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 金融庁は、平成二十年十二月に発出した業務改善命令において、過大な事業規模の追求、スコアリングモデルのみに依存した融資審査、管理等に起因して、大幅な損失を計上してきたとしてございます。
○高倉委員 今、質疑の中で、経営悪化についての客観的な検証についてさまざまに質問させていただきました。そこで、新銀行東京の経営悪化について、経営を監視をしてきた都の考え方と対応について質問をいたしたいと思います。
外部調査報告書では、都の経営監視に関して、新銀行の目的を達成するため、経営全般にわたり適切な監視に努めるとの付帯決議の趣旨が十分に果たされたとはいえない結果となったことは否めないというふうにしております。そこで、新銀行東京の発案者であり、大株主である都として、この経営悪化の責任をどうとらえているのか、見解をお伺いしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 株式会社新銀行東京は、中小企業支援などの政策目的実現と、株式会社としての健全性を両立することが求められており、都としてはその観点に立って、銀行法上の制約がある中、経営の大枠を監視してまいりました。しかしながら、このような経営状態に陥ったことからすれば、都としての監視が十分だったとはいえないものと考えてございます。
○高倉委員 経営の大枠を監視をしてきたことについては、今答弁があったと思います。私ども都議会公明党は、平成十九年の予算特別委員会におきまして、都のしかるべき立場の職員を新銀行東京へ派遣し、経営内容をチェックすべきと主張してきたところであります。
そこで、このことについての具体的な対応についてお答えをいただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の急速な経営悪化という状況を受け、都としても逐次経営監視を強化してきたところでございます。平成十九年六月に、十八年度決算で表面化した深刻な経営悪化に対し、役員の刷新や都職員の派遣を実施いたしました。具体的には、代表執行役を交代するとともに、役員の刷新に際し、社外取締役に元副知事を充てたほか、執行役に都の局長級職員を派遣するなど、執行体制の強化を図ったところでございます。
○高倉委員 また、私ども都議会公明党は、平成二十年の四百億円の追加出資の際にも、新銀行東京の経営監視機能の強化について求めてきたところでありますけれども、都の具体的な対応を明らかにしていただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 都は、四百億円の追加出資の際の付帯決議を踏まえ、平成二十年四月に産業労働局内に金融監理室を設置し、監視機能を強化する対応を行ってまいりました。具体的には、新銀行東京から、それまでの中小企業支援の取り組み状況に加え、損益の状況や不良債権の管理状況など、経営状況や再建計画の進捗状況に関する報告を受け、四半期ごとに公表するなどの対応を図っているところでございます。
○高倉委員 今、経営悪化に至る経過、それから客観的な原因追及、そして都自身の対応について質問をさせていただきました。
かねてより、私ども都議会公明党は、新銀行東京の経営悪化を招いた旧経営陣に対する責任追及を行うべきであるということを、一貫して訴えてきたところであります。そこで、先日提起をされました旧経営陣に対する訴訟の概要につきましてお答えをいただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 この訴訟は、会社法第四百二十三条第一項の規定に基づき、株式会社新銀行東京が、旧経営陣が経営に当たった開業後二年間の新銀行東京の経営悪化に対する法的責任を明らかにし、その責任を追及するため、旧経営陣の仁司元代表執行役兼取締役及び丹治元執行役に対して、損害賠償を請求するものでございます。
請求の趣旨としては、被告の両名について、会社の財務体質を健全に保ちながら経営を行うべき善管注意義務ないし忠実義務を負っていたが、信用リスク管理を怠り、会社に損害を与えたとして、会社法上の任務懈怠に基づく損害賠償を請求し、その請求額については、被告らの支払い能力、訴訟に係る手数料等を考慮し、損害額約百四十億円の一部である五億円としたというものでございます。
○高倉委員 昨年の十二月の経済・港湾委員会でも、訴訟代理人について質問をしたところでありますけれども、今回の訴訟代理人はどのような方々なんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 今回の訴訟の訴訟代理人は、西村あさひ法律事務所に所属し、企業訴訟に実績のある弁護士であると聞いてございます。新銀行東京によれば、訴訟代理人の所属する西村あさひ法律事務所は、弁護士約四百名を有する日本最大の法律事務所であり、数多くの訴訟案件を手がけ、培ったノウハウや高度な専門知識を駆使した最高レベルのリーガルサービスを受けることができるとしてございます。
○高倉委員 この今回の訴訟につきまして、今後の予定と、そして訴訟に対する新銀行東京の取り組みについても明らかにしていただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 民事訴訟においては、原告が裁判所に訴えを提起した後、おおむね一、二カ月程度で第一回目の口頭弁論が開かれることが多いようでございます。第一回目の口頭弁論以降、訴えに係る証拠調べ等を行っていくこととなり、必要に応じて逐次、口頭弁論が開かれるものと見込まれております。
なお、新銀行東京は、訴訟の提起に向けて周到な準備を行ってきており、実績のある訴訟代理人を擁して、万全の体制を整えていると聞いております。都としても裁判の行方を注視してまいります。
○高倉委員 このたび、旧経営陣に対する訴訟が提起をされ、新銀行東京の深刻な経営悪化の原因と責任が司法の場で明らかになることと思われます。私ども都議会公明党としても、裁判の行方を注視をしていきたいと思っております。
新銀行東京の問題に関しましては、これまでも本会議や経済・港湾委員会で多岐にわたる議論を重ねてまいりましたけれども、その中で私ども都議会公明党は、新銀行東京の経営改善を図り、その企業価値を高めることが必要であると考えておりまして、再建を果たした後は、事業譲渡や業務提携を行っていくことが都民負担を最小限に抑えることとなると、一貫して主張をしてきたところであります。こうした観点から、再建に向けた局長の決意をお伺いしたいと思います。
○前田産業労働局長 新銀行東京の経営再建に向けた取り組みは、現在の経営陣のもとで着実に進んでおりまして、今年度、二十一年度の九月期には、中間期決算で初の黒字を計上したところでございます。しかしながら、銀行として実質業務純益の黒字化、これは銀行自身が課題として上げておりますが、この実質業務純益の黒字化に向けてさらなる取り組みが必要でありますし、また銀行自身も、そうした観点から懸命に取り組むこととしております。
新銀行東京が再建を果たした後の展開につきましては、他の金融機関との業務提携などさまざまな選択肢が考えられます。また、こうしたことの前提として、金融環境などが好転することと、また委員ご指摘のように、新銀行東京が経営を再建させるということが何よりも必要でございます。
新銀行東京がその企業価値を高め、着実に再建を果たしていきますよう、都としては引き続き経営の監視と支援に全力を挙げてまいります。
○吉田委員 それでは質問させていただきます。
私は、本委員会が都民から期待されていることは、主に新銀行東京失敗の原因と責任を解明すること。また、四百億円追加出資後の現状を監視し点検すること。さらに、新銀行東京の今後の処理策について検討することだと思います。きょうは第一回目ですし、時間の制約もありますので、主に四百億円追加出資以降の現状について、この機会にただしたいと思います。
まず、再建計画の到達について、冒頭お伺いいたします。
四百億円追加投入時に、都民と都議会に対して再建計画が示されました。その中では、具体的に、ニュービジネス支援、成長企業支援型融資、平年度で百億、ファンド投資百億、また一般融資百五十億、小口融資五十億、新型保証二百億、そして工事代金債権信託百億などの具体的なメニューとその計画を示しておりますけれども、この再建計画の事業メニューごとの到達はどのような状況でしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 再建計画全体としては、全体の融資というものの実績というのは着実に推移しているというふうに考えております。ただ、個別のメニューごとの残高の状況につきましては、新銀行東京の競争上の地位を脅かすおそれがあるものとして、明らかにされておりません。
○吉田委員 この四百億追加出資の際に、これだけの新しい仕事を新銀行東京はするんですということで、メニューが示されました。その状況がこの場に示すことができない。あるいは、四百億追加出資のときに、東京都は監視に努めるということをいいながら、その到達が明らかにされないということは、極めて私は責任が重大だといわざるを得ません。
経営上の秘密だということがいわれましたけれども、例えば昨年三月末の決算では、概要ですけれども、示されています。例えばニュービジネス関係でいいますと、目標に対してマイナス百九億、また都と連携した支援事業については目標に対してマイナス二十三億ということを示しているではありませんか、新銀行東京自身が。
そして、私たちは昨年九月期、すなわち中間期の状況について調べてみましたけれども、代表的なことでいえば、新型保証はご承知のとおり全く実施されておりません。さらに、ファンド投資などは、私たちが見た限りでは六億程度、成長企業支援型融資でいえば十一億程度という、極めてもともとの再建計画自身から大幅に乖離している。しかも、そのことについて監視をし、その責任を果たす東京都が、経営上の理由をもってこの場に新銀行からの数字を示すことができないということは、改めて責任が重大ですし、そういうことならば再び同じ過ちを繰り返さざるを得ないという危険をはらんでいるということを、まず冒頭、指摘をしておきたいと思います。
次に、具体的に一千億投入を合理化するために、中小事業融資の継続ということがいわれてまいりました。しかし、間もなく二年が経過をいたしますけれども、本当にその役割を果たしているのか。また、そもそも今の新銀行東京の実態は銀行本来の役割を果たしているのかということについて、何点かこの機会にただしていきたいと思います。
その一点は、いわゆる預貸率の問題です。いうまでもなく、銀行は預金という形で市中から資金を調達をし、中小企業を初めとする企業に融資をするということが基本的な役割だと思います。それがいかに行われているかを示す指標として、預金残高総額に対する貸出金残高の総額を比率で示すということが、産業労働局のさまざまな資料でも行われていますね。
そこで、この預貸率について、新銀行東京の現状及び都市銀行、都銀、そして地方銀行、地銀について示してください。
○中村産業労働局金融監理室長 預貸率でございますけれども、都銀につきましては、平成二十年度の数字でございますけれども、七四・九%、地銀につきましては七五・五%、新銀行東京につきましては四四・五%となってございます。
ただ、都銀、地銀と比べれば低い数字ということでございますが、現在、新銀行東京は経営再建中の過程にある銀行でございます。そういう意味においては、そこの時点の数値のみをもって見るということじゃなくて、ある意味、経営再建中でございますから、トレンドで見ていくというのが重要な要素なのかなというふうに考えます。
そういうぐあいで見ますと、新銀行東京につきましては、昨今でいえば、十八年度が三八・五%、十九年度が四一・五%、二十年度は四四・五%、二十一年度は四八・二%という形で、十八年度以降という中でございますけれども、上昇を続けているというところでございます。
○吉田委員 再建途中だからということがいわれて、これまでの経済・港湾委員会の議事録などを拝見すると、繰り返しいわれております。しかし、預金高に対する貸出金ということは、貸し出すだけの能力がありながら、その預金高をどれだけ融資に使っているのか、貸し出しに使っているのかということだと思いますけれども、今ご答弁があったとおり、地銀、都銀の場合にはそれぞれ約七五%、預金を貸し出しに使っている。しかし、新銀行東京の場合には五割にも満たないという現状だということは、改めて今、直視をする必要があると思うんです。
さらに確認したいことは、このように預金の半分しか、全体で貸出金に投入されていない。最新の中間決算では、貸出金総額が千百五十二億円だというふうに報告されておりますけれども、そこでお伺いしますけれども、そのうち中小企業関係の貸出金はどれだけでしょうか。比率をお答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の中小企業への貸し出しの比率でございますけれども、二十一年九月末時点では約四五%でございます。ただし、この中には政府向けの貸し出しというものが分母に含まれてございまして、政府系向けの貸し出しというのはある意味その運用というような形で新銀行東京は行っているものでございます。
この運用といった政府向け貸し出しを除いた貸出総額に占める中小企業向けの割合は、実質の数字でございますけれども、約六割程度でございます。
○吉田委員 政府系を含めて貸出金というものが総額で決算上は示されているわけですから、それを分母に中小企業比率をきちんと見るということで質問をいたしました。
結局、今の質疑でも明らかなとおり、預金総額の貸し出しに使う比率が半分以下、その貸し出しの中で中小企業に使う比率もまた半分以下というのが現状だということが浮き彫りになりました。さらにこの点で、総資産の中で中小企業融資の比率がいかに少ないのかということについても確認をしておく必要があると思います。
本委員会で配られた資料の二〇ページに、総資産額に占める中小企業向け融資等の状況ということが示されております。これを見ても明らかなとおり、総資産の中で中小企業向けだけを見ますと、一六・七%というものにすぎません。地銀、都銀から見ても極めて異常な、これで、幾ら再建途上であったとしても、銀行本来の役割を果たしているといえるのかということを私は指摘をせざるを得ません。
なお、先ほど、緩やかだけれども伸びているんだという旨のお話がありました。そこで、これも実はきょうの委員会で配られている資料を見ても明らかなんですけれども、この再建計画後の融資件数は極めて激減をしているということも指摘しておきたいと思います。
資料の一四ページに年度ごとの新規融資の件数と金額が示されておりますね。それは、資料も配りますけれども、ここに表をつくってみました。
(パネルを示す)これは東京都の資料に基づくものですけれども、この例えば直近の〇八年度と〇九年度の中間の二年間だけで、一億円未満の新規融資件数は、合わせて百三十件です。七十八件と五十二件。百三十件ということは、大ざっぱにいいますと、一年半の間に、四日に一件という新規融資しか実行はされていないということになるわけです。
ちなみに、江戸川区が、江戸川区の方がいらっしゃったら恐縮ですけれども、特別借り換え融資及び小口借り換え融資というものを、同時期よりもっと短いですね、一昨年の十一月から始めているんですけれども、最近の到達で新規のこの件数が千七百八十七件というふうに聞いております。こういう区の、極めて一地域の制度融資の件数から見ても極端に少ない。件数は激減しているということも見ておく必要があると思います。
それで、次にただしたいことは、じゃ預金が貸し出しに使われていないで、一体どういう分野で運用されているのかということについてただしていきたいと思います。
結論的にいえば、有価証券投資への比重が極めて高まっているということを指摘せざるを得ません。この点でも、その比重をはかる尺度として、いわゆる預証率、預金残高に対する有価証券残高の比率ですね、これも一般的に銀行の状態をはかる指針として使われておりますけれども、この預金総額に占める有価証券総額の比率、預証率について、新銀行東京の昨年三月末と、そして中間期である昨年九月末の預証率、ご答弁お願いいたします。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の預証率でございますけれども、二十年度三月末は六六・九%、今年度の中間決算は一一三・三%でございます。
○吉田委員 今、ご答弁がありましたけれども、三月末六六・九%、そして、今示されている最も新しい決算である九月末が、預金に対して有価証券の比率が逆にふえて、一一三%ですよね。こういう事態は、まさに投資会社というふうな状況になっているといわざるを得ないんですけれども、いかがでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 確かに、都銀、地銀に比べれば高い数字であるということでございますけれども、銀行業務全体の中で運用貸し出しというのは、その時々の経済状況、あるいはその銀行の体力というものを総合的に勘案して行われているというところでございます。
繰り返しになりますけれども、新銀行東京は、今現在、あくまで経営再建中の銀行でございます。その中で、リスクと貸し出しの部分のバランス、そういうのを微妙にとりながらやっていかなければいけない。そうした中で中小企業の方々の支援を継続していると。今、その体力の中で懸命にやっているというのもまた事実でございます。
先ほどもいいましたように、赤字、債務超過先、それを含む約九千社もの中小零細企業の方々を支援している。それはその体力の中でやっているというのも事実でございます。そういう点もきちんと見ていただきたいというふうに思います。
○吉田委員 二千億を超える預金があるわけですよね。それを、当然銀行ならば、ましてや中小企業支援ということを標榜するならば、有価証券の運用ではなく、貸し出しに回すというのが本来の姿ではないか。それは体力の問題ではなく、現実に体力があるわけですよ。
その点でさらにお伺いしますけれども、このような預証率について、都銀及び地銀の比率というのはどの程度でしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 平成二十年度の都銀の預証率でございますけれども、三四・三%、地銀につきましては二六・七%ということでございます。
○吉田委員 もちろん、運用上のいろんなことはあり得るでしょうけれども、今の率を比べてみても極端に違うわけですよね。しかも、これから資料をお配りしますけれども、この預証率の推移というものを見ても、若干の変動はありますけれども、新銀行東京の預金総額に対する有価証券の運用比率というものは確実に上がっていると。とりわけ昨年度を見れば急増していると。それに対して、地銀、都銀などを見てみれば明らかなとおり、三〇%前後という状況です。
それで、今、預金との関係でいいましたけれども、再建のためというふうにいいますけれども、有価証券の運用総額と貸出金の残高を見ても、二倍もの開きがあるわけですよね。これをもって中小企業支援というふうなことがいえるのかということを強調しておきたいと思いますし、再建途上なんだということが強調されましたけれども、参考のために、私は足利銀行の最近の決算なるものを見てみました。まさに再建途上です。しかし、この資産の部で、有価証券は貸出金の三分の一にすぎません。三分の一。こういう状況ですし、さらに、体力をつける収入確保のためにやむを得ないんだということがいわれましたけれども、貸出金の利回りと有価証券の利回りはどちらが高いんでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 貸出金利回りでございますけれども、二十一年九月末中間決算では一・三六%、有価証券の利回りは〇・七九%でございます。
○吉田委員 貸出金の利回りの方が高いんですよね。しかも有価証券の場合には、景気変動の影響もあって極めてリスクが高いという現状にあることは、もう明白なことです。しかも、新銀行東京の有価証券の中身を見た場合に、国債以外では社債、そしてその他というものの債権が比重が高くなっていますけれども、そのその他というものは、中には外債がかなりの比重を占めているということが、この間の答弁の中でも浮き彫りになってきております。
そして、そうした、主に有価証券などを扱う信託銀行の最近の状況を見れば、日銀の報告書を見ても、景気悪化の影響で有価証券、利息配当金が有価証券利回りの低下によって減少していると。金融危機の影響で有価証券利息配当金が減少というようなことが次々と報告として浮き彫りになっているという、そうしたリスクということについても改めて指摘をしておきたいと思います。
以上、何点か紹介をいたしましたけれども、今のこの状況からいけば、健全化あるいは再建どころか、ますます経営的には厳しい状況になっているんではないかというふうに指摘せざるを得ません。それで、特に借入金の問題についてお伺いしたいと思います。
昨年三月期の中間決算では、半年間で預金残高が千二百十億円減少いたしました。その一方で、大幅にふやしたのは借入金です。同じ半年間で千百四十五億円急増いたしました。お伺いいたしますけれども、なぜ借入金をこのように急増させたのか。借入金依存という事態ではないのかというふうにいわざるを得ませんが、いかがでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 借入金につきましては、大半は日銀からの借り入れでございます。やましいお金では全くございません。
日銀のホームページによれば、金融調節の一層の円滑を図る趣旨から、適格担保債権を担保として、貸付利率を入札して行う公開市場操作として貸し付けを行っているものでございます。これはもう一般の金融機関で広く行われているものでございまして、こういうものを有効に活用しながら再建を進めていくというのは至極当然のことだと思います。
○吉田委員 一般の金融機関で行われている、至極当然だというご答弁でしたけれども、しかし、新銀行東京の場合、預金残高が約二千億円余、それに対して借入金がその半分強の一千百五十五億円と、余りにも借入金の比重が高いわけです。幾ら運用をどこでもしているといったところで、他の金融機関もこんなに借入金の比重が高いのかどうかということも、私は調べてみました。
その結果、地銀では預金残高に対する借入金の比重は、これは昨年三月末ですけれども、二%。それが昨年の九月末で一%にまで下がっています。こうしたことから見ても、借入金に依存をする、借入金でやりくりせざるを得ないという状況があると。これだったら、預金によって資金調達をして融資に展開をするという状況から見ても、極めてかけ離れた状況になっているというふうに思います。
また、この日銀の借入金の場合には、たしか借入期間は一年以内というふうに聞いておりますけれども、この一千億円余の借入金はどのように返済をするのでしょうか。
さらに、これから高利のキャンペーン金利の預金の払い戻しが迫ってきますよね。高いものでいえば金利一・七%、五年満期。低くても金利一・三%、満期三年というものの支払いが既に昨年から起きていて、ことし、さらに再来年ということで、この支払いに追われるということは明らかなんですけれども、これもまた日銀からの借入金で進めようということなんでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 まさしくそこのところが企業経営、銀行経営の根幹というんですか、どうやって資金を管理し、どうやって運用していくかという根幹のところでございます。それをどうやって運用するかというのは、まさしく企業の秘密というんですか、その経営者がどういうふうにやるかという部分ですので、我々がああせえ、こうせえというようなところの部分じゃございません。ですから、そこのところの、まさしくその難しい部分をどう管理していくかというのは、今、要するに新銀行の経営者というのは、民間銀行出身のプロでございます。そのプロがそこの中で最善の策を考えながらやっていると。そういう中にあって、中小企業の支援、本来の目的である支援を果たすべく、経営再建に努めていると。
トータルとして見れば、着実に中間決算で黒字を出しているように、その再建は進んでいるという形でございます。その次第によくなっていくという形の中でいろんな課題を解決していくと。それはまさしく経営者の手腕だというふうに考えてございます。
○吉田委員 プロがやることで経営者の手腕にかかわることだと。我々があれこれいえる話ではないかのようなご答弁がありました。私はそういう体質そのものが、改めて東京都に問われていると。じゃ、何のために監視を強めますということが、四百億円投入時に表明されたんでしょうか。
しかも、私が幾つかの指標を挙げましたけれども、ただこれは一時的な部分的な運用ではなく、まさに銀行としての経営体質そのものが一般的な銀行といえるのかという事態に差しかかっている。預金の半額を借入金で運用してやりくりをするということで、果たして健全化といえるのかというのが、私は見ておかなければならないことだと思うんです。
最後にこの点に関連して、いろんなことがいわれましたけれども、新銀行東京の資金調達利回りと、さらに運用利回り、そして総資金利ざやについてご説明をしてください。
○中村産業労働局金融監理室長 中間期の貸出金の運用利回りは一・〇六%、資金調達利回りは一・〇三%、総資金の利ざやはマイナス一・二六%というふうになってございます。ただ、先ほども何回もご答弁申し上げていますけれども、現在、経営再建中でございます。そのトレンドで見るということが大事ですので、その総資金利ざやにつきましては、二十年の九月期が一・九九%、二十一年三月期が一・八九%のマイナスということですから、やっぱりこれも、今、改善していると。改善している最中であるということでございます。
○前田産業労働局長 委員が最後にということでございましたので、私から何点か申し上げたいと思います。
新銀行東京につきまして、先ほど挙げられました数字については争う考えはありません。ただ、申し上げたいのは、新銀行東京の再生、再建というのは、再建計画にもありますように、二十三年度までの年月をかけて行うものでございます。それには当然、年度をまたがるプロセスが必要です。人間の場合でも、重病人が回復するときには、重湯を吸わせ、おかゆに進み、それから白いご飯になって、体力を回復して旧に復するということのように、新銀行も巨額の損失を生じたことがありますので、その回復についてはプロセスを踏んで進めていくということが必要だと考えています。
それから、新銀行は株式会社でありますので、まず赤字という出血をとめて、その自身の基盤の安定を図らなければなりません。赤字が累積すれば、株式会社としての存続は難しくなり、結局、新銀行東京はすべてを失うことになります。そのことが、取引先やあるいは多くの都民に対してプラスなのかマイナスなのか、これは論をまたないと思います。
そういう意味で、新銀行東京は、まずみずからの足元を固めるということが、今後の事業を展開する上でも、また取引先保護等のためにも必要だということで、ただいま数字が出ましたように、預貸率も通常の健全な銀行に比べれば低くなっておりますし、預証率も高くなっておりますが、それは、今後も永続してそうするということではなくて、みずからの再建の過程で、今、これが必要だということを判断したため行っているものでありまして、その状況については、現経営陣から東京都も報告を聴取し、それをチェックしながら進めているというものでございます。
新銀行東京は既に再建が着実に進んでいると申し上げたのは、そうしたことを踏まえて徐々に改善されてきておりまして、中小企業に対する貸し出しその他につきましても、これから伸ばしていくということの方向性のもとで取り組んでいると聞いております。それにつきましては、二十三年度までの間の各四半期決算で新銀行の実績が出ますので、それをごらんいただいた上で、なおご議論をいただければ幸いに存じます。
○吉田委員 最後に、今の局長のご答弁も含めて発言をさせていただきます。
再建のため、再建のためと、そして中小企業の支援を継続をするためというふうにいわれました。しかし、そもそも二年前、四百億円投入時に強調されたことは、当時、一万三千社を守らなければならないというふうにいわれました。しかし、昨年九月期の融資先総件数は八千六百八十四融資先です。結果的に見れば、半分近い四千六百十五件の融資はどうなったのかと。完全返済なのか、それとも処理をされたのかということが、そもそも疑問としてあります。
それだけではありません。再建計画では、一般融資、小口融資など二百億を平年度の融資目標に掲げています。今の中小企業向けといわれている約七百億の融資を、貸し出しを、最終的に二百億まで圧縮するとしたら、融資先の件数はどれだけになるでしょうか。今の実績で推計したら、私は貸し出しだけを見たときには二千件を割りかねないと。それで中小企業への支援継続というふうにいえるのかということが問われなければならないと思います。
私は、こうした融資を必要とする中小企業について見れば、特別の融資制度を組むなどの方策で救済をすることは可能だと思います。実態的に、過程だ、過程だといいますけれども、明らかに通常の銀行という状態とは極めて異質なものに今なっている。それを無理に継続するんではなく、段階的に清算をすることが赤字をこれ以上拡大させないためにも一番速やかな道であるということを強調して、私の質問を終わります。
○山下委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時六分休憩
午後三時二十一分開議
○山下委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
質疑を続行いたします。
発言を願います。
○西崎委員 知事が二期目の選挙に当たって公約に掲げました新銀行設立について、生活者ネットワークは、行政が銀行をつくることの意味と責任について、一貫して疑問を呈し、反対してまいりました。
新銀行東京への出資を提案した二〇〇四年度、都政は第二次財政再建推進プランの初年度であり、財政再建の取り組みをさらに進めるという三年連続の緊縮型予算が組まれた年でした。確かに、中小企業支援は当時も今も重要な課題です。しかし、産業労働局が実施する中小企業対策であるならば情報は一〇〇%公開されますが、銀行は株式会社であり、戦略的なものがあるからとして情報は公開されず、お答えできません、信用してくださいと、最近どっかで聞いたようなせりふが繰り返されるのを記憶しておられるでしょうか。
金融界から見たとき、新銀行が利益を上げ過ぎれば、民間金融機関を圧迫することになりますし、銀行として存続しようとすれば、おのずと中小企業への貸し出しに限界が生じるという矛盾を抱えていることは当初からわかっていたことです。その結果、三年間で出資金はその大部分を毀損し、一日一億円をどぶに捨てたようなものとあきれるばかりでした。二〇〇八年三月には四百億円の追加出資を求めざるを得なくなり、ここでもまだまだ立て直せるという甘い見通しに生活者ネットワークははっきりと反対しました。都民の血税をつぎ込んだ新銀行東京の実態を明らかにし、都の責任を問うために生活者ネットワーク・みらいは特別委員会の設置を求めてまいりましたが、その出発点に戻って検証してみたいと思います。
知事の公約という理由で、休眠状態の外国銀行を買収して、新銀行設立を急ぎ、一千億円出資することが提案された二〇〇四年の予算特別委員会や常任委員会での質疑の中では、最も知りたかった融資モデルのリスク回避のための仕組みがどのようなものであるかは明らかにされませんでした。
そこで、まずスコアリングシステムについて伺います。
スコアリングシステムについては、先ほど早坂委員が質問されましたが、何点か確認したいことがございますので、多少重なる点があるかと思いますが、ご了承いただきたいと思います。
スコアリングシステムは、調査報告書によれば、平成十五年、二〇〇三年十一月ごろ、東京都出納長室の委託を受けて、新銀行の設立、調査にかかわった財団法人東京税務協会内の特別調査研究室での監査法人の専門家などによる検討が基礎になっていると書かれています。しかし、過去のデータの蓄積のない新銀行東京にとって、どのような計数をもとにつくられ、スコアリングモデルをつくり、スコアリングシステムとして活用するのか、とても重要になってくると思いますが、どのように選定されたのか、また、どのくらいのデータ項目を分析して実際の運用を行ったのか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京のスコアリングシステムにつきましては、平成十五年から十六年当時、後に新銀行東京の執行役となる代表取締役以下七名のほか、監査機関やコンサル担当会社等々の専門家によって検討された成果を得て選定するシステムが決められ、また新銀行東京において最終的に採用されたものであります。
新銀行東京における運用としては、外部調査報告書によれば、対象顧客の直近二期分の決算内容に基づいて、想定デフォルト率、貸出上限金額、許容、貸出期間及び適用金利等をシステムによって算出し、これを融資審査に活用していたとされてございます。
○西崎委員 今回の調査報告書によりますと、スコアリングシステムが有効に機能するには、スコアリングの計算、算出される想定デフォルト率が実績デフォルト率と大きく乖離しないことが必須の条件であったとされていますけれども、平成十八年八月末時点においては、想定デフォルト率と実績でデフォルト率との間に大幅な乖離が生じています。そのことは先ほどお話がありましたけれども、それでは、たとえスコアリングモデルがいいものであっても、これが運用できるだけの、活用できるだけの環境整備は行われていたのか、この点についてはどのようにお考えなんでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の設立が検討されておりました平成十五年当時は、バブル経済崩壊後の長期不況とデフレ、さらには急激な産業構造の変化の中で、都内の企業倒産件数は毎年高水準で推移し、これまで東京の経済を一貫して支えてきた中小零細企業にとって、既存金融機関の貸し渋りなど資金繰りは極めて厳しい状況でございました。新銀行東京は、こうした状況の中で、事業意欲がありながら資金繰りに窮している中小零細企業を支援することを理念として設立されたものであり、当時の中小企業の資金需要や経済環境などの時代背景とは合致したものであったと考えております。
○西崎委員 その環境整備といった場合に経済状況しかないんでしょうか。有効に活用されるだけの環境整備というのは、もっとほかにもいろいろな条件が必要ではなかったんではないかと思います。東京商工リサーチの全国企業倒産状況によれば、これは一昨年、二〇〇八年度ですけれども、十二月度における全国ベースの企業倒産について、千三百六十二件と多少は減ってきていますが、負債額も前年に比べますと四三・三%と、件数も金額も大幅に増加してきています。
融資を行う際にスコアリングモデルを導入する金融機関は、お話のように多くなっています。しかし、最近、多くの金融機関においてスコアリングモデルのデフォルト判別力が落ちていることが指摘されています。そこで、観測期間、サンプル、指標、係数の選択、業種の考慮など見直しがされていると聞いています。一般的なスコアリングモデルでは、決算書情報がインプットされ、推計値やスコアがアウトプットされ、その時間的概念は一年間とされています。二年先、三年先、さらには五年、七年というようなデフォルト率を予測、判別することは前提としていないために、モデル構築時の前提と整合性がとれず、また業種別によってデフォルト率が違うことや、中小から零細企業まで新銀行東京が融資を拡大しましたが、零細企業の財政データは毎年ぶれが大きいという特性があるといわれています。そこで、このスコアリングモデルの見直し、検証はされたのか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の開業後、金融情勢が変化する中で、スコアリングモデルの見直しが必要となっておりましたが、外部調査報告書によれば、新銀行東京においてスコアリングシステムを有効に機能させるためには、開業後の融資先の財務データを使って速やかに修正していく必要があったところ、導入したスコアリングシステムは機動的なチューニングが事実上困難であったため、平成十八年六月ごろからスコアリングシステムの入れかえが提唱され、平成十八年十月に他のシステムへ変更されることとなったとされております。
○西崎委員 確認のためにお伺いしたいんですが、今そのスコアリングモデルが平成十八年十月にほかのシステムに切りかえられたという話ですが、現在は平成二十二年です。十八年から二十二年の間に何回見直されたんでしょうか。
○中村産業労働局金融監理室長 現在、このスコアリングのモデルを使ったものというのは行われておりませんで、先ほどご答弁申し上げましたけれども、それを使わないことで減損という形で処理をしているところでございます。具体的に何回見直したというのは、ちょっと確認できないところでございます。
○西崎委員 新銀行東京は、設立当時、中小企業向け融資が減少傾向にあったことや、中小企業に対する貸し渋り、貸しはがしなど、中小企業の経営環境が深刻な状態に陥っていたことからスタートしていますが、当初からハイリスクの中小企業への融資を行うことは予想しており、その危機管理は重要であったと思いますけれども、どのように行われてきたのか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行マスタープランでは、ポートフォリオ型融資実行のプロセスとして、スコアリングを行うのに加え、定性情報のチェックや実地面談、実態調査など、定性的な要因も踏まえた上で決定することとしておりますが、実際としてスコアリングモデルに過度に依存した融資を行い定性評価がおろそかにされました。この点について、外部調査報告書によれば、スコアリングシステムが想定どおりに機能を発揮できなかったため、スコアリングモデルに依存した融資審査の体制及びその運用等の結果、当初想定されていなかったような融資先に対しても融資等が行われることとなったものと認められる。また、定性評価等の融資審査が十分なされなかった可能性があり、ひいては新銀行東京で想定を上回るデフォルトを発生させるような融資等が行われることとなった原因の一つとなっている可能性も否定できないとされております。
○西崎委員 今の答弁は外部調査の報告書を用いてお話がありましたけれども、その一文をかりれば、スコアリングシステムが想定どおりに機能を発揮できなかったためという一文は、要するにこのスコアリングシステムを有効にできるだけの環境整備が逆に整っていなかったということもここからいえるんではないかと思います。
平成二十年に新銀行東京は、一千十六億円の損失を出し、経営も先行かないことから、四百億円の追加出資が行われました。しかし、これまで新聞でも書かれていますように、経営が悪化しているにもかかわらず、四百億円の追加出資が行われる以前には金融庁の査察は一度も入りませんでした。既存の銀行で、この三年間で金融検査を受けていない銀行はないといわれています。新たに銀行を設立した場合は、創業三年目の黒字化というハードルが課せられていて、イーバンク銀行、ソニー銀行、セブン銀行という新しい銀行はこのハードルをクリアするのに苦労したと聞いています。金融庁は新銀行東京について、経営が悪化しているにもかかわらず、査察には入らず、四百億円の追加出資をしてから査察を行い、業務改善命令を出しています。そこで、この四百億円の出資については金融庁からの示唆があったのかどうか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 四百億円の追加出資につきましては、新銀行東京からの要請に基づき、都として判断したものでございます。
○西崎委員 都が判断したということですけれども、一部では、法人事業税三千億円を差し出した石原知事と政府との間に政治的な駆け引きがあったのではないかと推測する人もいます。四百億円の追加出資のその根拠は、従来の自己資本比率確保に加え、貸倒引当金ではカバーできない将来の可能性がある損失を自己資本で手当てするということで金額が示されましたが、その後、四百億円が有効に活用されたといえるのか、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京は、四百億円の追加出資により銀行機能を継続することが可能となったものでございます。その結果、平成二十一年九月末時点で、多くの赤字、債務超過先を含む、約九千社の中小零細企業を支援しております。また、新たな経営陣のもとで再建は着実に進んでおり、平成二十一年度の中間決算において、開業以来初の黒字を計上したところでございます。
なお、新銀行東京の平成二十一年度中間決算においては、純資産は四百八十二億円となっており、追加出資をいただいた四百億円は保全されているところでございます。
○西崎委員 先ほどその四百億円の追加出資が行われてからの新銀行東京の経営状況については吉田委員が質疑をしておりましたけれども、業務も縮小され、中小企業への融資も減っている中で、本当に設立当時の目的も果たせない状況の中で、銀行としての役割を果たしているとはいえないと思いますけれども、見解を伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 繰り返しになりますけれども、新銀行東京は現在でも多くの赤字、債務超過先を含む約九千社の中小零細企業に対して支援しており、さらには延滞や倒産を防止する観点からリスケジュールを行っているところでございます。
新銀行東京は再建の途上にあって、収益基盤の安定のために、中小零細企業以外の融資も行うということはやむを得ない面もございます。そうした中にあっても新銀行東京は可能な限り中小零細企業向け融資にも取り組んでございまして、設立当時の目的や銀行としての役割を果たしていないというご指摘は当たらないと考えております。今後着実に再建を進めることにより、中小零細企業への支援を行うという役割を十分に果たしていくよう努めてまいります。
○西崎委員 これまで生活者ネットワークは、中小企業支援は制度融資で行うようにいってまいりました。都はここ数年、制度融資の金額を増額し、さらに東京都と地域の金融機関とが連携して実施する金融支援についても拡大してきています。そこで、この制度と新銀行東京との役割分担はどのようになっているのか、伺います。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 東京都と地域の金融機関とが連携をした新たな保証つき融資制度も新銀行東京もでございますが、都内中小零細企業の資金繰りの支援という目的につきましては同様でございます。
新たな保証つきの融資制度でございますが、これは、百年に一度といわれる厳しい経済状況の中、緊急保証制度でも十分な資金調達ができない中小企業が存在をしており、預託金と損失補償という財政措置を講ずることによりまして、そうした企業の資金調達の円滑化を支援するものでございます。各金融機関と一定期間取引を継続している顧客を幅広く対象としていく考えでございます。したがいまして、新銀行東京という一金融機関としてリスクテイクを行っております新銀行東京とは全く次元が異なるものというふうに考えてございます。
現在の金融情勢のもとにおきましては、中小零細企業支援のため、多様な支援ツールを複合的に実施することが重要でございまして、これらを効果的に活用することによりまして、中小零細企業に対する金融支援策の充実を図っていくということはいうまでもないことというふうに考えているところでございます。
○西崎委員 二つ目的が一緒であっても全く次元が異なるものだとおっしゃるんですけれども、どのように次元が異なるんですか。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 新銀行東京は銀行という金融機関でございます。金融機関が与信を与えるに当たっては、そのバックとなりますのは、あくまでお預かりをしている預金をベースにした金融機関ということでございます。これに対しまして、今回新たに行っております保証つき融資制度というのは、損失補償と預託金という仕掛けを東京都の方で用意をしてやっている制度でございまして、万が一のときには東京都が支える仕組みがついている、こうした制度の違いということでございます。よろしくお願いいたします。
○西崎委員 いや、制度の違いはわかりますけれども、何かそこの地域の金融機関がしっかりと貸し出しができて中小企業支援をしていけば、新銀行東京、税金を入れてまで、リスクの高い東京都が、それも情報も公開できないような銀行を経営していく意味がどこにあるのかなという意味でお聞きしたんですが、平成二十年四月に四百億円の追加出資を行い、議会としての付帯決議によりまして、都の監理体制、責任として、金融監理室を設置して、監視機能をさらに強化するということが先ほどもお話にありました。しかし、どのように行ってきて、今後どのように都としての責任とか関与は果たしていくのか、もう一度伺いたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の経営監視につきましては、都は中小企業支援などの政策目的の実現という観点に立って、銀行法上の制約がある中、これまで経営の大枠を監視してきたところでございます。平成十九年六月には、十八年度決算で表面化した深刻な経営悪化に対し、早急な計画の見直しや経営陣の交代が必要と判断し、役員の刷新や都職員の派遣を実施して経営の改善に当たらせたところでございます。平成二十年四月には、平成二十年第一回定例会における付帯決議を踏まえ、産業労働局に金融監理室を設置し、経営監視の強化を図ったところであります。具体的には、株主連絡会の回数をふやすなど、新銀行東京との連絡を密にすることや、損益や不良債権の管理状況などに関し報告を受け、これまで以上に新銀行東京の経営状況や再建計画の進捗状況を把握することにより、都として必要な申し入れを行うなど、適時適切な監視に努めております。再建が着実に果たされるよう引き続き監視と支援を行ってまいります。
○西崎委員 産業労働局長は昨年の決算委員会で、先ほどもお話がありましたけれども、現在は傷を負っているので出血をとめ体力を回復している状況だと答弁しています。しかし、これまで新銀行東京は都議会でもさまざまな議論を起こし、そして新聞にもかなり書かれている中で、本当に企業としての信頼性はあるのでしょうか。そして、将来の銀行としてのビジョンを本当にお持ちなのでしょうか。一千四百億円の税金を投入して見合うだけの価値を見出しているとは思えないのですが、どのような見解か、伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 今も役に立っていないというご質問で、今後どうするのかということについてのお尋ねだと思いますので、お答えしますと、現在、新銀行東京は今も経営再建中でございまして、先ほども申し上げましたけれども、約九千社にわたる中小零細企業を支援しておりまして、そこで働く従業員やその家族の方を含めると十万人以上の関係者が存在するということで役に立っていると。ただ、中小企業の支援という面では、まだ十全に果たせていないという面がございますので、そういう面をさらに十全に果たすべく、今再建に全力を挙げているという段階でございます。
○西崎委員 済みません、今の答弁では何か自信なさそうに見えるんですけれども、銀行としてのビジョンはお持ちですかというところを伺ったんですけれども。
○中村産業労働局金融監理室長 現在、経営再建に全力を挙げているところでございまして、要するに経営再建に全力を挙げているというところでございます。現在の再建計画というのは、あくまで平成二十三年度までの再建計画でございまして、今は確実にまずそれを、再建を果たしていくことが極めて重要であるというふうに考えます。
○西崎委員 もうこういう質問はやめますけれども、知事が新銀行設立を公約に掲げた七年前以上に中小企業をめぐる状況は厳しいものとなっています。本来であれば、今こそ新銀行がその救い主として力を発揮すべき存在でしょうが、今や新銀行東京から融資を受けることは、その企業の信用失墜につながるとまでいわれているそうです。経営が悪化してきたこれまでの繰り返しでは、銀行の再建は難しいのではないでしょうか。都はどのようにして損害を少なくこの銀行を手放していくのか、つくるよりも難しい手腕が求められていると思います。知事は、つくるといったのは自分だが、その後の経営者がまずかったと責任を転嫁していますが、その経営陣の中には、都から派遣された幹部職員も入っていました。都は知らなかったでは済まされません。時代状況の変化を見定め、設立を中止させ、あるいは方向転換をさせることができなかったか、幹部や側近の責任も大きいということを申し述べ、質問を終わります。
○神野委員 私からは、新銀行東京と監理団体との関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。
昨年の十一月でありますけれども、私たち民主党が、新銀行東京と東京都の監理団体との、その間における預金及び借り入れについて独自の調査を行いました。各監理団体に質問票を送付して、そして電話で確認をして聞き取りを行ったんでありますけれども、幾つかの新たな事実が判明をしております。
そこで確認なんですが、これまで新銀行東京と監理団体との預金取引について、平成二十年の一月末時点で監理団体による預金額は七団体で二億九千三百万円、次に平成二十年の九月末時点で監理団体二団体で二千万円という資料の提供をしていただきましたが、この数字間違いないでしょうか。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 委員からお話がございました資料についてでございますけれども、平成二十年第一回定例会の予算特別委員会での資料要求をお受けいたしまして、平成二十年三月十一日の予算特別委員会におきまして、平成二十年一月末時点での新銀行東京への東京都及び東京都監理団体の預金額をご報告をいたしました。
次いでもう一点でございますが、平成二十年第四回定例会の経済・港湾委員会での資料要求をお受けいたしまして、平成二十年十二月十一日の経済・港湾委員会におきまして、平成二十年九月末時点での監理団体の新銀行東京への預金状況をご報告しているところでございます。
○神野委員 そうしますとおかしいんですね。我々の独自の調査といただいた資料とでは食い違いがあるんです。平成二十年九月末時点で合計で我々の調査ですと四件で約三千九百万円の預金があることになっておりますが、この違いがどこから生じたものなのか、お答えください。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 ご質問にございました調査につきましてでございますが、私どもその内容を承知しておりませんためお答えはしかねるところでございます。
○神野委員 東京都と監理団体との関係を考えると、答えが出てこないというのは私はおかしいと思うんですね。これは監理団体との関係について、何か必要以上に公表したくないということなんでしょうか、お答えください。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 監理団体の預金の状況ということでのお話と思いますが、新銀行東京は銀行としての守秘義務を負っております。他の金融機関と同様に個別の取引については明らかにすることができません。そうした観点から、都としてはそうしたところについては、今お尋ねございましたけれども、調査の内容も承知をしておりませんし、お答えをしかねるというふうに申し上げているところでございます。よろしくお願いいたします。
○神野委員 どうしても出ないということでありますから次に進みたいと思いますけれども、監理団体の中で株式会社PUC、これが最大九億円もの定期預金を組んで運用しているんですね。ずっと赤字続きの新銀行東京の高い利息の定期預金、結局これまで銀行の経営を圧迫をしてきたわけであります。そして結果として四百億の追加の出資につながっていったわけなんでありますけれども、都から公金が出ておりますこの監理団体がそういった高い金利の利息というものを享受をしていたんでは、都民の目から見て、これ税金の二重取りじゃないかと、そんな厳しい意見も出てもおかしくはないかと思うんですが、その辺についてご見解を伺いたいと思います。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 今、特定の監理団体につきましての預金の状況についてのご質問もございましたが、先ほどの繰り返しになりますが、新銀行、銀行としての守秘義務がございますので、他の金融機関と同様、個別の取引についてのご答弁というのはなかなかしづらいわけでございます。
一般論でその監理団体と新銀行との関係ということで申し上げますと、銀行は銀行として株式会社の銀行としまして、その業務といたしまして預金を集めるという仕事をしております。監理団体さんの方は監理団体といたしまして、これも独立した団体といたしまして、これは預金ということであれば、その団体の財産の運用、資産の運用ということの業務をしているということでございます。そうした、それぞれ独立した法人の間で、先生のお話のケースというのは預金ということでビジネスが行われた取引ということだろうと思いますが、それをもって税金の二重取りになるんじゃないかというような主張をされる方があるんではないかというお話ではございましたけれども、そうした主張というのは当たらないのではないかというふうに考えているところでございます。
○神野委員 監理団体の資金には公金が入っているわけなんですね。ですから、東京都民の目というものが非常に厳しいわけでありまして、そのようにおっしゃるんだったらば、先ほどに戻りますが、監理団体との預金取引というものも堂々と公表していただきたいなと思います。
続きまして、同じように今度中小企業振興公社、平成十八年度に三億五千七百万借り入れを行っております。中小企業支援のためのこの新銀行東京の資金というものが、その分、中小企業振興公社に回ってしまって、そのお金で本来ならば融資を受けることができたであろう中小企業があったはずなんですが、それこそその中小企業が融資を受けることができなくて、ひょっとしたら路頭に迷ってしまったかもしれない。これでは中小企業支援にはならないわけなんでありますが、この中小企業振興公社との取引についてご見解を伺いたいと思います。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 何度も繰り返して恐縮でございます。株式会社新銀行東京は銀行として守秘義務を負っておりまして、他の金融機関と同様、今お話がございましたような個別の取引につきましてお答えできるわけではございません。
なお、平成十八年九月末時点でございますけれども、新銀行東京、預金残高は四千四百六十五億円ございました。これに対しまして、融資保証の残高というのは二千八百五十五億円でございました。こういう状況の中で、本日の質疑では預貸率とかございましたけれども、特定の貸出先に融資したことによりまして融資を受けられなかった中小企業が存在するというご主張というのはなかなか厳しいんではないかと思います。
○三枝産業労働局総務部長 財団法人東京都中小企業振興公社が公表してございます平成十八年度の決算書におきまして、株式会社新銀行東京から借り入れた、先ほどお話ございましたが、三億五千七百万余円を同行に返済したことが確認できるところでございます。
財団法人東京都中小企業振興公社は、中小企業基本法に定める中小企業には当たりませんが、寄附行為第三条で、「公社は、都内中小企業の経営基盤の強化に関する事業を総合的に実施することにより、中小企業の経営の安定と発展に貢献し、もって地域経済の振興に寄与することを目的とする。」としてございまして、したがいまして新銀行東京からの借り入れは中小企業支援などに使われているところでございます。
○神野委員 この平成十八年当時というのは、依頼があればだれにでも幾らでも貸していた時代でありますから、そういった指摘もあるわけでありましょう。
それでは監理団体に関して最後の質問でありますが、監理団体を調査するだけで、これだけのさまざまな疑問点というのが出てくるんですが、報告団体を初めとして、東京都と関係の深い団体、預金ですとか借り入れですとか、そういった依頼というものは存在をしているんでありましょうか、お答えください。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 新銀行東京は中小企業の資金繰りを支援することを設立の理念といたしまして、都議会の多くの会派のご賛成もちょうだいをいたしまして設立開業した銀行でございます。開業当時、こうした新銀行東京の政策目的を実現するため、東京都は監理団体に対しまして新銀行東京の活動に協力を求めたことはあるというふうに聞いております。
○神野委員 協力を求めたことがあるという、そのご答弁いただきました。
それでは続きまして、先ほど西崎委員からもご質問ありましたけれども、四百億の追加の出資についてお伺いをしたいと思います。
平成二十年の予算特別委員会、当時佐藤産業労働局長さんが、四百億の根拠は、新BIS基準を満たすために、自己資本維持に八十億、非期待損失に備えるために二百八十億、風評リスクのために四十億と答弁をされていらっしゃいます。そして、二百八十億については、平成二十一年三月末の見込みを基準に、融資、保証、公共工事債権信託残高が二千二百三十億であるから、銀行側で算定をした非期待損失の率を乗じて百二十五億、保有資産に生じる損失の資産が四十五億、ファンドについては残高全額を積んで百億、最後にオペレーショナルリスクとして十億、非常に事細かに具体的に説明をされているんでありますけれども、これに間違いありませんでしょうか。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 平成二十年の第一回定例会におきます予算特別委員会での質疑におきまして、追加出資四百億円の内訳につきましてご説明をしているところでございます。
○神野委員 その当時の前提と比べますと、融資、保証、債権信託残高というのが、現在で約千百五十億と半分程度に落ち込んでいます。そして保有資産も減少をしています。自己資本比率も三三・一一%、他の金融機関と比べても極めて高い水準を維持をしております。通常の金融機関ならば、大体自己資本比率は八%から一〇%程度なんでありますけれども、新銀行東京のこの数字を現在どのようにお考えでしょうか、お伺いをしたいと思います。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 新銀行東京の平成二十一年九月末における自己資本比率は三三・一一%でございまして、金融機関として健全な水準であるというふうに考えてございます。
○神野委員 極めて健全な水準というお答えなんでありますけれども、新銀行が提出をしております再建計画に基づくと、今後さらなる営業規模の縮小ということがうたわれているんですね。そうしますと、ここまでの自己資本が果たして必要なのかということなんです。当時の融資保証レベル、平成二十年三月末の時点での融資レベルに対する新BIS基準の達成が追加出資の目的であったわけでありまして、本来なら現状に応じて再計算を行って、必要以上の資本は再度の減資を行って東京都に返還すべきだと思いますが、ご見解を伺いたいと思います。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 新銀行東京に対します追加出資の目的は、新BIS基準の達成ということではなくて、株式会社新銀行東京が再建を果たしまして中小企業支援を継続するために必要となります自己資本を確保するという観点、そういう必要性から行われたものでございます。新銀行東京は、中間決算で、昨年でございますが、初めて黒字を計上いたしまして、再建は着実に進んでいるとはいいましても、いまだ道半ばでございます。まずは再建を果たすことが最優先でございまして、減資をして都に返還する状況にはございません。
○神野委員 今のご答弁で、あの四百億はこの新BIS基準の達成が目的だったのではないというお話なんですが、平成二十年の予算特別委員会では明確に新BIS基準の内容を挙げられて、それが根拠なんだといういい方をされていますから、私はすりかえじゃないかというふうに思います。
もう一度お伺いしますけれども、あのとき、平成二十年の予算特別委員会のときに本当に四百億必要だったんですか。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 四百億円の追加出資につきましてですが、新銀行東京にとって真に必要なものといたしまして、平成二十年の予算特別委員会において十分にご説明をしたというふうに考えております。
昨今の経済金融環境は、その変動幅が非常に大きく、その影響で再建計画策定当時の指標とは異なってきているものもございますのは事実でございますが、新銀行東京は再建道半ばの状況でございます。今後の再建を着実に進めるためにも、既に出資した資本金について都として見直す考えはございません。
○神野委員 先ほどから繰り返し再建途上というお話が出てきているわけでありますので、再建計画以後の見通しについて、あえてお伺いをしたいと思います。
これまでのご答弁で、再建計画の達成以後、今のところはめどが立っていないという、そういったお話があるんでありますけれども、今のように高い自己資本比率を維持をして、そしていわゆるキャッシュをしっかりと蓄えておけば、これは持参金になるわけでありますから、事業譲渡もしやすいんじゃないかなというふうに思うわけなんでありますが、再建計画以後の見通しについて、その思惑、ご答弁をお願いをしたいと思います。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 繰り返しになりますが、株式会社新銀行東京は中間決算で初めて黒字を計上いたしまして、再建は順調に進んでおります。新銀行東京の再建計画は、平成二十三年度までとなっておりまして、そうした意味では、いまだ道半ばでございます。今後とも経営改善を着実に進めまして、平成二十三年度までの再建計画を確実に実施した後、その状況を見きわめることとなります。現時点では、再建計画を果たすことが最優先の課題であると考えております。現時点では再建計画終了後の平成二十四年以降の見通しにつきまして申し上げることはできません。
○神野委員 申し上げることはできないということなんでありますが、石原都知事は、いろいろな会見でお話をされていらっしゃるわけですよね。外資系も含めて、いろいろな話があるかのようなことをおっしゃっているんですが、都知事がああいった会見をされるということは、銀行内部では十分にさまざまな意見というものがもう出ているんじゃないんでしょうか。もう既に具体的に、どこそこに事業譲渡をするなり、そういった平成二十四年度以降の見通しについての議論というものは全くないのか。それとも、あの知事の会見、考え方というのは東京都とは全く相違をしているものなのか、お伺いをしたいと思います。
○櫻井産業労働局金融支援担当部長 繰り返しになりますけれども、経営改善を着実に進めまして、平成二十三年度までの再建計画を確実に実施した後に、その状況を見きわめることとなります。現在は再建の途上でございまして、再建を果たすことが最優先でございます。
○神野委員 平成二十四年度というとあと二年でありますので、その辺、これからいろいろまた追及をしていきたいと思います。
続きまして、リスケジュールについてお伺いをしたいと思います。
平成二十二年度の中間決算において、リスケジュール対応の強化を強調しておりますけれども、返済が苦しい企業に対してのリスケジュール対応というのは、開業以来これまでどうされてきたのか、お伺いをしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 株式会社新銀行東京は、与信期間の延長、返済金額の減額など、いわゆるリスケジュールについて、これまでも申請のあった取引先の状況を把握しながら適切に対応してきております。なお、取引先の状況によっては、リスケジュールが難しい案件もございます。
○神野委員 ある税理士さんが、新銀行から融資を受けている顧問先の企業と一緒に、このリスケジュールのお願いに伺ったことがあるんだそうですね、平成十八年当時です。行員の方から、当行では一切条件変更は受け付けない、いわば門前払いをされたことがあるそうでありますが、当時は無担保・無保証融資、この条件変更については不可がうたわれていたんじゃないでしょうか。お伺いをしたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 平成十八年当時の新銀行東京は、営業店において融資を実行した後に、返済の督促などを与信・コールセンターに移しておりました。このため、債権回収の体制として、融資の実行責任と返済管理を同じセクションで行わないことによる弊害や、通常、顧客管理業務の一環で電話督促や条件変更が行えないとの非効率的な状況にございました。
一方、お尋ねの無担保・無保証融資契約の内容につきましては、新銀行東京と取引先との間で交わされた契約でございまして、当然に守秘義務を負っております。したがいまして、その内容についてお答えすることはできかねます。
○神野委員 リスケジュールについて引き続き伺いたいんですが、今回、平成二十二年度の中間決算での利益計上が、この信用コストの圧縮というものが大きな原因となっているわけであります。適切なリスケジュールによって貸倒引当金を戻すことができたということをうたっているわけなんでありますが、普通常識的に考えると、この返済条件を変更しますと、まず債権の区分を変更しなければいけないんですね。正常債権だったものを条件変更しますと、逆に引当金の増額につながるわけなんです。破綻懸念先に分類されていた債権に条件変更しますと、これは貸倒引当金の減額にはつながらない。リスケジュールを実施した債権の内訳と、なぜ貸倒引当金が戻ってくるのかということを詳細にご説明をいただきたいと思います。
○中村産業労働局金融監理室長 お尋ねのリスケジュールを実施した債権の内訳につきましては、個別の取引に当たり銀行は守秘義務があることから、当然ながら明らかにしておりません。新銀行東京は、顧客とのリレーションシップの強化によってお客様の相談にきめ細かく対応し、取引先の実態を踏まえた条件緩和などに努めているところでございます。こうした努力の結果、お客様の倒産回避につながるなど、過去に計上した貸倒引当金を見直すことが可能になり、会計処理上、戻り益として計上したものでございます。
○神野委員 詳細な内容を伺えないということなんでありまして、最後になりますけれども、リスケジュールの実施というのは、正常債権を条件変更しましたら、当然貸倒引当金の増額になるんですね。それで、今回の中間決算で、これだけの繰り戻しがあったということはどういうことかというと、要するに膨大な延滞債権、返済が苦しい債権に対して、リスケジュールを行って返済をさせたはずなんです。いいかえれば、貸しはがしを行ったと同じことを新銀行の方で行っているとしか思えないわけでありまして、今回、新銀行東京の中間決算において貸倒引当金の、この繰り戻しによって利益が出たとはいいながらも、実際のキャッシュがふえているわけではなくて、キャッシュはどんどん社会に流出をしているわけでありまして、今後とも、この特別委員会の場で、この新銀行東京の内容については引き続き追及をしていきたいという意見を申し上げさせていただいて、質問を終了いたします。
〔「答弁」と呼び、その他発言する者あり〕
○中村産業労働局金融監理室長 今、先生の、新銀行東京が貸しはがしを行ったかのような発言は承服できません。お取引先が、今なかなか厳しい状況の中で中小企業の方々は返済をしているわけですよ。そういうようなことをぜひ理解した上で発言をお願いいたします。
○佐藤委員 私からは開業前の都の関与を中心に伺います。
まず、パリバ買収の経緯などについて伺います。
都とパリバが契約の当事者ですから、都が資料等を持っており、十分にお答えいただけるものと考えております。
平成十六年三月二十五日の予算特別委員会で、大塚出納長は、「監査法人等による買収調査、いわゆるデューデリジェンスでありますけれども、それによりまして、同行のより厳格な資産査定を実施いたしまして、」と発言しています。パリバの評価をしたのは東京税務協会ということですが、東京税務協会はどこの組織に幾らでデューデリジェンスの委託契約をしていたのでしょうか。また、都はなぜ直接、資産査定をした会計事務所と契約せず、税務協会を介した契約形態をとっていたのでしょうか。また、その社名等をこれまで公表しなかった理由もあわせてお答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京の設立に当たり、都は、中小企業を総合的に支援する新しい銀行及び融資の基本モデルの調査研究、中小企業の資金調達円滑化に向けた各種支援策の検討、ITを活用した決済システムやICカードをコアにしたネットワーク系システムの調査研究などを財団法人東京税務協会へ委託いたしました。東京税務協会は、その一環としてデューデリジェンスを行ったものでございます。
なお、デューデリジェンスにつきましては、その性質上、内容について明らかにすることはできません。
○佐藤委員 また、パリバを買収される際、ほかの外資系企業と比較検討されていたのでしょうか。私も当時営業を廃止した外資系金融機関を調べてみましたら、次のような名前が出てきました。金融庁に営業廃止を届け出た日時と金融機関名を申し上げます。平成十五年七月二十五日、カナダのカナダ・コマース銀行、平成十五年十二月三十日、カナダのノバスコシア銀行、平成十六年四月三十日、フランスのクレディリヨネ銀行、平成十六年九月二十一日、中国の中国建設銀行、平成十六年十一月十三日、アメリカのバンク・ワン銀行、このように、平成十五年七月以降、営業を廃止した金融機関は多くあったわけです。つまり金融業ののれんだけ手に入れるのであれば、パリバである必要はなかったのではないでしょうか。ほかの金融機関と比較検討をしたのでしょうか。
そこで、新銀行の信託業務について伺いますが、開業以降、信託業務でどれくらいの収益があったのか、お答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 信託報酬につきましては、平成十七年度から平成二十年度までの四年間で合計約二億八千万円であります。
○佐藤委員 信託業務を理由としてパリバの買収を決めたと説明しているわけですが、信託業務では、今おっしゃったように、平成十七年度から平成二十年度までの四年間で合計二億八千万円だけしか収益がないわけです。新銀行マスタープランにも信託業務の展開についてほとんど記載がありませんが、信託業務を持つ金融機関を買う必要があったのでしょうか、疑問です。
信託業務で思ったような収益を得ることができなかったのは経営の失敗といえるでしょうし、信託銀行にこだわらなければ、もっと安い金額で先ほど申し上げたような金融機関を買収できた可能性もあります。信託免許を持つ金融機関を買収するという判断をしたために、余分に税金を使ったのではないかと疑念を抱かれかねませんが、都は信託免許にこだわった判断には間違いはなかったと考えているのでしょうか。また、信託銀行を買収したことで、余分な税金の支出をしたとはいえないのでしょうか、お答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 BNPパリバ信託銀行を買収の対象としたのは、事業規模が小さく、かつ経営の透明性も高かったこと、新銀行の設立理念を実現するために何ら支障がなかったこと等の理由によるものであります。同行を買収するに当たっては、適切なデューデリジェンスを行っており、余分な費用を払ったということは全くありません。
○佐藤委員 また、金融機関を買収した一つの理由として、短期間での開業を実現させるために買収したと理由を述べているわけですが、結果として、平成十六年四月一日に都が株式を取得してから開業まで一年一カ月かかっているわけです。近い時期に新規に免許申請した日本振興銀行の場合、平成十五年八月二十日に予備審査申請してから、平成十六年四月二十一日に開業していました。実に八カ月という短期間です。このことを考えると、新規に免許申請をしたとしても、開業の時期が変わらないといえるのではないでしょうか。果たして、既存の金融機関を買収する必要があったのでしょうか。買収にこだわったことで余分な税金の支出をしたとはいえないのでしょうか、お答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行の設立の手法としては、新規に設立し、免許を取得する方法と、既存の銀行を買収する方法について検討した結果、買収する方が新規設立の場合に比べて効率的かつ低コストであり、新銀行設立理念を実現するために何らの支障がなかったこと等により、BNPパリバ信託銀行を買収したものであります。
○佐藤委員 都は、新規の免許申請を行わない理由として、平成十五年十二月十二日の財政委員会で、津島理事が、新たに新銀行をつくる場合と買収の場合とを比較をしまして、予備免許の取得など実務的な準備にかかる手間が回避できる。次にコストについては、登録免許税、出資金委託手数料などいろいろなコストが設立する場合には出てまいります。買収の場合にはもちろん、買収そのものに伴う事務とかコストは発生しますけれど、相当効率的かつ低コストになると述べています。つまり、買収した方が事務的な手順が有利であり、低コストであるといった趣旨の説明をしているわけです。これまで数字の比較が出てきたわけではありませんので、どれくらい差があるのか疑問です。どういった調査の結果でコストの違いが出て、低コストと当時津島理事が発言されたのか、お答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 平成十五年十二月十二日の財政委員会において、「コストについては、例えば設立登記の際の登録免許税、金融機関に支払う出資金委託手数料、あるいは公証人に定款認証書を受ける際の費用、いろいろなコストが、新銀行を新規に設立する場合は出てまいります。買収の場合には、もちろん買収そのものに伴う事務とかコストは発生いたしますけれども、新規設立の場合に比較して相当効率的かつ低コストであり、メリットが大きいというふうに考えております。」とされております。
○佐藤委員 平成十五年六月十九日の財政委員会で、中路副出納長は、「高い信用力とグローバルな資金運用力を持つJPモルガングループ、BNPパリバグループ、AIG、信金中央金庫等と連携し、新たに安全、有利な資産運用の道を提供してまいります。」と説明しています。
なぜ、新銀行の法人格を取っておらず、仁司氏も内定していない段階で個別の企業名が出てくるのでしょうか。当時個別の企業名を挙げた理由を教えてください。
○中村産業労働局金融監理室長 ご指摘の企業名につきましては、平成十五年六月十九日、財政委員会の報告事項の中で、平成十五年五月末に発表された新銀行の創設についてに基づき、ご説明申し上げたことだと思います。
○佐藤委員 つまり、この説明によると出納長室は当時パリバを提携先の一つとして考えていたのではないでしょうか。それがなぜか買収対象先に変わってしまうわけです。当時、出納長室はパリバをどういった提携先と考えていたのか、伺います。
また、パリバを買収した後、何らかの業務提携をしたという話を聞きませんが、提携しなかった理由はなぜでしょうか、お答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 業務提携に関しては、個別企業との交渉経過を公表することは、相手先企業との信頼関係を損なうおそれがあるため、お答えできる性質のものではないというふうに考えております。
○佐藤委員 またJPモルガンについても、その後、提携にはつながっていないように思いますが、その経緯と結果を教えてください。
○中村産業労働局金融監理室長 繰り返しになって恐縮でございますが、個別企業との交渉経過を公表することは、相手先企業との信頼関係を損なうおそれがあるため、お答えできる性質のものではございません。
○佐藤委員 そもそも出納長室は新たに金融業の免許を申請すると考えており、パリバは買収対象先ではなかったわけです。このことは、平成十五年六月十九日、財政委員会で、中路副出納長が、金融庁に対し予備審査申請を行います。最後に第三段階として、免許申請及び免許交付を経て銀行を設立し、システム本稼働とともに営業を開始いたします。」と答弁していることでも明らかです。これが一転、金融機関を買収するという判断に変わるわけです。なぜパリバが提携先から買収先に変わったのでしょうか。買収を決定した時期と経緯、そして決断をした責任者がだれであるのか、お答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 早期の設立開業につきましては、当時多くの会派から強く求められておりました。新銀行設立の手法としては、新規に設立し、免許を取得する方法と既存の銀行を買収する方法について検討した結果、買収する方が新規設立の場合に比べて効率的かつ低コストであり、新銀行設立理念を実現するために何ら支障がなかったこと等により、BNPパリバ信託銀行を買収する方針となり、平成十五年十一月十四日にご報告いたしました。
○佐藤委員 先ほど、パリバを買収して新銀行を発足させる前に出納長室主導で提携の検討等が進められていたこと、平成十五年六月十九日財政委員会での副出納長からの説明を申し上げました。
今回、仁司氏に対して訴訟が提起されているわけですが、仁司氏が経営者に内定する前に出納長室主導で大きな経営のフレームが決められていたのではないかと思うわけです。例えば、システムや貸倒引当金、そして金利などです。まずシステムに関して出納長室の関与を伺います。
例えば、日立製作所とNTTコミュニケーションズは、新銀行のシステム開発に携わっています。平成十五年六月十九日の財政委員会では、中路副出納長が、既に出納長室に準備組織を発足させております。今後、内外の有力企業と連携を進め、創設に向けて具体的な検討を行うとともに、システム開発に着手いたします。」と説明しています。つまり、仁司氏が経営者に内定する前から出納長室主導で提携やシステム開発の作業が進んでいたわけです。
また、平成十五年十二月一日の財政委員会では、中路副出納長による新銀行基本スキームの説明として、基幹系につきましては日立製作所に依頼しと発言しており、チャネル系についてはNTTコミュニケーションズに依頼しと発言しておりました。つまり、パリバ買収や新銀行発足前であり、新銀行マスタープラン発表前に金額の大きなシステムの発表を決めているわけです。平成十八年三月十四日の予算特別委員会でも、成田産業労働局長が、平成十六年度に百十三億六千四百万円を支出していると答弁しています。システム業者の検討と選定はどういった意思決定のプロセスで決まったものでしょうか。また、決定に責任を負ったのはだれでしょうか、お答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京を設立するに当たり、都はITを活用した決済システムやICカードをコアにしたネットワーク系システムなどの調査研究を財団法人東京税務協会に委託いたしました。その調査研究に当たっては、金融の専門家や代表執行役候補も含めた執行役候補者ら多数が参画して、検討が重ねられました。その中で、基幹系については日立製作所、チャネル系についてはNTTコミュニケーションズのシステムを利用することが適切だとされました。
なお、当該基本設計につきましては、東京都の委託を受けた財団法人東京税務協会が総合評価、入札制度により業者を選定し、発注したものでございます。
○佐藤委員 両企業はいずれも新銀行東京の株式を十二万五千株、額面二万円ですから、それぞれ二十五億円、そして当時の割合にして二・一一%を引き受けた株主です。
新銀行の経営が破綻した理由の一つに過大な投資が挙げられます。その一つがシステム投資であり、初期段階で百十三億という規模ですから、新銀行の企業規模に対して過大なシステムであったと批判を受けかねない金額ではないでしょうか。
そこで伺います。
ディスクロージャー二〇〇七によると、減損損失として百九億円を特別損失に計上しています。そのうちソフトウエアの減損は八十二億円です。非常に巨額の特別損失ですが、どういったことでしょうか、これについてご説明ください。
また、平成十八年九月三十日までの中間決算によれば、ソフトウエアの一部については、所有権移転ファイナンスリースとして資産計上したものが含まれており、これに対する未払い債務残高は六十三億一千七百万円でありますと記載されていますから、恐らく複数年の契約をされていて、途中で解約をする場合は解約の費用がかかるのではないかと考えますが、解約費用が幾らになったか、お答えください。出納長室で検討されたシステムが過大であったということでもありますから、大塚出納長が検討した責任者として責任を問われるのではないかと考えております。見解を伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京のシステムは、新銀行マスタープランにその規模などが規定されておりましたが、実際に使用してみると、開業後の金融情勢の変化等から見直しを行うことになり、ソフトウエア部分での減損が生じました。平成十八年度決算記者会見において、仁司元代表執行役が、市場規模を二兆円から三兆円と判断して、このインフラ規模ができると判断したのは自分であると回答しております。
なお、お尋ねの件につきましては、重要な経営情報であるため、その全体額は明らかにできず、解約費用につきましても明らかにできないとしております。
○佐藤委員 今伺ったように、新銀行開業前に出納長室が過大なシステム投資を進め、八十二億円の特別損失と未払い債務残高から考えると多額の解約費用が必要になったのではないでしょうか。これは新銀行に損害を与えた事例とはいえないのでしょうか。経営に影響を及ぼすような過大な投資であったということがわかっているのに、出納長室のだれもその決定に対して責任をとらないということは大いに疑問です。
続きまして、融資に関しての出納長室の関与ですが、平成十五年十二月十二日の財政委員会で、関参事は「新銀行の二・六%という数値でございますけれども、それぞれの融資商品ごとの引当率を加重平均したものでございまして、このうち中小企業向け融資の主力商品でございますポートフォリオ型融資につきましては、リスクの高い部分については五から八%程度の高い比率を想定しておりまして、十分な引き当てであると考えております。」と答弁しており、引当金の割合についても出納長室がフレームを決めていたことがわかります。
また、平成十五年十二月十二日の財政委員会で、関参事が、融資金利が日本振興銀行で三から一五%、新銀行で原則二から八%でわかるように、顧客層が違うということを想定しておりますと答弁しています。日本振興銀行も中小企業向けの融資をする金融機関として設立されようとしていたわけです。出納長室の説明では、新銀行はかなりのリスクの高い企業に融資をすると説明しておりますから、日本振興銀行よりも貸出金利は高くないと金融機関としてやっていけないと考えるのが普通なのではないかと思うわけですが、なぜ日本振興銀行よりも低い金利で事業が成り立つと当時の出納長室は考えたのでしょうか、お答えください。
○中村産業労働局金融監理室長 新銀行東京は、中小企業支援という政策目的を持ちますが、株式会社による民間銀行としてあくまで運営されるものでございます。その業務運営の指針となるマスタープランは、当時の経済金融環境を踏まえて検討作成されたものであり、当時としては妥当なものであったと考えております。
委員ご指摘の銀行一行との金利の比較のみをもって、事業が成り立つ、成り立たないということを論じることは適切でないと考えております。
○佐藤委員 提携、システム、融資のフレーム等について伺ってきましたが、初代経営者である仁司氏が経営者に内定したのが平成十五年十一月二十日であり、新銀行基本計画が発表されたのが平成十五年十一月二十八日です。つまり、経営判断を行う前に、出納長室によって大まかな経営のフレームが決められていたといえるのではないでしょうか。
今回、仁司氏は裁判において経営の責任を問われているわけです。損害賠償請求の提訴の概要によると、被告らは遅くとも平成十八年八月には当時の体制での小口定型三商品の販売を中止すべきであったにもかかわらず、平成十九年六月まで小口定型三商品の販売を継続させとあります。しかし、開業してから平成十八年八月までの融資の焦げつきはだれの責任なのでしょうか。
損害賠償請求の提訴の概要によれば、小口定型三商品の販売においては、このスコアリングモデルが機能せずと記載されています。このスコアリングモデルこそ出納長室がつくった融資のフレームではないでしょうか。ポートフォリオ型融資の肝であるスコアリングモデルが機能しなかったのは、融資のフレームをつくった出納長室にも責任があるといえないのでしょうか。平成十八年八月までの融資の焦げつきが幾らで、その責任は都の出納長室にもあるのではないかと考えますが、見解を伺います。
○中村産業労働局金融監理室長 ご質問の融資の基本方針はマスタープランで決められており、出納長室で決められたものではございません。平成二十年三月に新銀行東京が発表した新銀行東京調査委員会調査報告書によれば、平成十八年九月末におけるデフォルトは累積で七十五億七千万円でございます。実際の経営につきましては、マスタープランの経営理念を踏まえながらも、開業後の金融環境の変化に対応し、旧経営陣みずからの判断に基づき中期経営目標や事業計画を策定し、行ってきたものであります。
○前田産業労働局長 今、佐藤委員のご質問を聞いておりまして、その中で、仁司さんが経営陣になる前に決められていた、それが問題じゃないかというふうな主張が一貫して聞き取れたと私は思っているんですけれども、銀行に限らず一般に株式会社を設立するときに、社長が決まるまで決めない、枠組みを決めないということは現実にあるんでしょうか。基本的には会社を発起する発起人の中でどういう会社にしようという枠組みを決めて、そこで役員を選ぶというのが通例ではないかと思います。日本航空の再生に当たっても、どういう再建にするかということを決めてから稲盛さんがお見えになったんじゃないでしょうか。そういう中で、仁司さんが経営者になる前に全部決められていたから決めた方が悪いんだというご主張については、私は非常に疑問だと思います。
それからマスタープランについても、先ほど早坂委員の質問に答えましたが、それを作成したときには、大勢の方々知恵を集めて、当時としては妥当だったんだろうと考えるのが普通だと思います。ただし、その後の情勢の変化によって、マスタープランに書かれたことは金融の情勢の変化があって現実に合わなくなってきた。だから、後から振り返れば、そのマスタープランは現実には合わなかったということはいえるかもしれませんが、つくった時点で、これは完全に違うというものをつくったんではないと思います。となれば、そのことをもって、つくったやつが悪いということで決めつけるのは私はどうかなと思います。
○佐藤委員 今局長のお言葉でありましたが、私は、今回申し上げているように、経営陣の責任だけでなく、出納長室が深くこれまでかかわってきたわけですから、出納長室の責任も検証しなければいけないのではないかと思っているわけです。
また、先ほどお話ししたように、提携についても個別の企業名が出てきてもその先はいえない、果たしてそういった新銀行といった事業に都民の税金を使っていいのかどうか。そして、これだけの大きな破綻をしたわけですから、やはりその失敗の検証というものをやっていかなければいけないと私は思っています。
今質疑でも申し上げたわけですが、提携やシステム開発などといった新銀行の経営の大枠を出納長室で主導し、フレームをつくっていたわけです。こういった実態を明らかにするためにも、議会の審議を通じて、出納長室の責任者であった大塚氏や津島氏といった参考人招致を行い、過去の実態を明らかにしていく必要があるんではないかと私は考えております。
以上で私の質疑を終わります。
○山下委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山下委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後四時四十二分散会
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