株式会社新銀行東京に関する特別委員会速記録第二号

平成二十一年十二月四日(金曜日)
 第四委員会室
 午後一時開議
 出席委員 十七名
委員長山下 太郎君
副委員長谷村 孝彦君
副委員長林田  武君
副委員長酒井 大史君
理事高木 けい君
理事高倉 良生君
理事小沢 昌也君
早坂 義弘君
矢島 千秋君
西崎 光子君
神野 吉弘君
佐藤 広典君
山口  拓君
西岡真一郎君
東村 邦浩君
服部ゆくお君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長前田 信弘君
次長真田 正義君
総務部長三枝 健二君
産業企画担当部長櫻井 和博君
金融監理室長中村  靖君
金融支援担当部長櫻井  務君

本日の会議に付した事件
 株式会社新銀行東京が巨額の累積赤字を計上するに至った原因について調査するとともに、東京都における同行の経営監視状況及び同行に対する東京都の今後の取組について調査・検討する。
報告事項(説明)
・株式会社新銀行東京のこれまでの経過について
閉会中の継続調査について

○山下委員長 ただいまから株式会社新銀行東京に関する特別委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○山下委員長 次に、本委員会の運営について申し上げます。
 過日の理事会において、お手元配布の運営要領に基づいて運営していくことを申し合わせました。ご了承願います。
 これより株式会社新銀行東京が巨額の累積赤字を計上するに至った原因について調査するとともに、東京都における同行の経営監視状況及び同行に対する東京都の今後の取り組みについて調査検討を行います。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、報告事項の説明聴取及び閉会中の継続調査の申し出の決定を行いたいと思います。
 なお、報告事項につきましては、本日は説明を聴取し、資料要求をすることにとどめ、質疑は後日の委員会で行いたいと思いますので、ご了承願います。
 初めに、産業労働局長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。

○前田産業労働局長 産業労働局長の前田信弘でございます。
 ご審議をいただくに当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。
 山下委員長を初め委員の皆様方におかれましては、日ごろから産業労働行政全般にわたりご支援をいただき、まことにありがとうございます。
 さて、株式会社新銀行東京は、高い事業意欲を持ちながら資金繰りに苦しむ中小零細企業を支援するという志のもとに、都議会を初め多くの方々の期待を受けて、平成十六年に設立されました。しかしながら、こうした期待に反し、平成十七年の開業後わずか二カ年にして著しく経営が悪化したことは、まことに遺憾であります。
 この経営悪化の傷は深く、銀行としての存続が困難な事態に立ち至ることが見込まれたため、株式会社新銀行東京から追加出資の要請がなされました。
 都といたしましては、新銀行東京の融資先である中小零細企業及びその従業員、家族への重大な影響などを考慮いたしまして、苦渋の選択として追加出資を平成二十年第一回都議会定例会にお諮りし、審議、議決を経て実施しております。
 現在、株式会社新銀行東京は、中小零細企業への継続的な支援を図りつつ、懸命に経営再建に取り組んでおり、先日公表された平成二十二年三月期中間決算では、開業以来中間期で初めての黒字を計上いたしました。引き続き、実質業務純益の黒字化を目指し、取り組んでいるところでございます。当局といたしましても、経営の監視と支援に努めてまいります。
 今後とも一層のご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、ここで当局の幹部職員を紹介申し上げます。
 次長の真田正義でございます。総務部長の三枝健二でございます。産業企画担当部長の櫻井和博でございます。金融監理室長の中村靖でございます。金融支援担当部長の櫻井務でございます。最後に、本委員会との連絡に当たります総務課長の村松明典でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○山下委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。

○山下委員長 次に、理事者から報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○中村産業労働局金融監理室長 お手元の資料、「株式会社新銀行東京について」をご説明申し上げます。
 表紙の一枚をおめくりください。目次となってございます。
 本冊子のほか、別添資料として「『調査報告書』の概要について」及び「新銀行東京の株主総会における東京都の発言内容、取締役会への申し入れ」を添付してございます。
 一ページをお開きください。株式会社新銀行東京の設立検討から経営悪化に至る主な経緯をお示ししてございます。
 新しい銀行の設立が検討された当時の日本経済は、デフレの進行に歯どめがかからず、都内の企業倒産は過去最高の水準で推移し、長期にわたる景気低迷が続いておりました。しかし、日本の銀行は、不良債権問題など、みずからの体力不安を抱えており、経済活動の血液である資金の流れが著しく滞留し、中小零細企業が必要な資金を調達できずにおりました。
 こうした中、石原都知事の二期目の選挙公約に、中小零細企業に生きた資金を提供するため、負の遺産のない全く新しい銀行の創設が掲げられ、都は平成十五年五月に、技術力や将来性等にすぐれた中小企業を総合的に支援し、安全、有利な金融商品を提供するとともに、ITの活用により利便性の向上を図ることを目的とし、「新銀行の創設について」を発表いたしました。
 十五年六月には、出納長室に銀行設立のための準備組織を設置いたしました。
 この間、都議会での審議を重ねるとともに、金融の専門家のほか旧経営陣など多数が参画し、検討を進め、十六年二月に新銀行の業務運営の指針となる「新銀行マスタープラン」を策定し、発表いたしました。
 十六年三月の都議会第一回定例会におきまして、大多数の会派の賛成で、新銀行東京に対する一千億円の出資が議決されました。その際、ごらんのような付帯決議が付されております。
 その後、十六年四月一日に株式会社新銀行東京が設立され、仁司泰正氏が代表取締役に就任しました。
 十六年八月に、銀行の開業準備を支援する専管の組織として、新銀行設立本部を設置し、所管を出納長室から移しました。
 十七年四月に、一年間の設立準備期間を経て、新銀行東京が開業いたしました。しかしながら、そのころには、不良債権処理を進め体力を回復した大手銀行等が、中小企業金融に積極的に参入し、新銀行東京は開業直後から厳しい経営環境にさらされました。
 十七年七月に新銀行設立本部が廃止されたことに伴い、都における株式会社新銀行東京の所管は産業労働局へと移っております。
 二ページをお開きください。
 十七年八月に、新銀行東京は、マスタープランの経営理念を踏襲しつつ、その後の外部環境の変化を踏まえて、中期経営目標を策定し、発表いたしました。
 十八年六月に、開業一年目の決算が発表され、当期純損失は二百九億円となりました。
 新銀行東京は、十八年度中間期から経営悪化が表面化し、十九年六月の平成十八年度決算の発表では、当期純損失は計画を大幅に上回る五百四十七億円にも及びました。想定を大幅に上回る水準で、不良債権が発生したことなどに対応して、新銀行東京は経営体制等の刷新を図るため、新中期経営計画を発表いたしました。
 都としても、深刻な経営悪化に対して、経営陣の交代等が必要であると判断し、役員の刷新や都の職員を派遣して経営の改善に当たらせることとし、代表執行役に森田徹氏が就任いたしました。
 十九年十一月に、森田氏が健康上の理由により辞任したことに伴い、津島隆一氏が代表執行役に就任いたしました。新たな経営陣は経営改善に努めましたが、過去の負担が重く、新銀行東京は自力での再生は不可能な状況に立ち至りました。
 そこで、二十年二月に、新銀行東京は、資金繰りに窮する中小零細企業への継続支援を目的とし、徹底したリストラと事業の重点化を行うこと等を内容とする再建計画を発表して、東京都に対して追加出資を要請いたしました。
 都は、金融不安を回避し、中小零細企業や都民の生活を守ることを第一に考え、今後の対策についてさまざまな角度から検討を行いました。その結果、追加出資以外の方法では、新銀行東京の既存の融資先を初め、その取引先、従業員、家族、預金者などの関係者に重大な影響を及ぼしかねないとともに、都民に膨大なコスト負担を強いることになることから、苦渋の選択ではありましたが、追加出資の要請を受け入れることといたしました。
 二十年三月に、都議会第一回定例会で、新銀行東京に対する四百億円の追加出資が議決されました。その際に、ごらんのような付帯決議が付されております。
 三ページをお開きください。
 二十年六月に十九年度決算が発表され、当期純損失は百六十七億円となりました。その結果、累積損失は一千十六億円に及びました。
 二十年八月に、新銀行東京は、この一千十六億円の減資を実施し、過去の負の遺産である累積損失を一掃し、財務体質を改善いたしました。
 二十一年二月に、新銀行東京が経営悪化の原因について、外部弁護士による調査報告書を公表しております。その中で、仁司氏など旧経営陣に善管注意義務違反があるとされております。
 四ページをお開きください。株式会社新銀行東京の決算の推移を示してございます。
 薄い色の棒グラフが、当期純損益を示しております。
 開業一年目の十七年度は、当期純損益は二百九億円の赤字でした。
 開業後二年目の十八年度には、想定を超える不良債権が発生し、貸倒引当金等の信用コストが三百十六億円に及びました。さらに、当初想定した事業規模が過大となったため、システムなど規模の適正化を行い、減損するなど、特別損失を百四十四億円計上した結果、当期純損失が五百四十七億円となり、深刻な経営悪化が明らかとなりました。
 このため、新銀行東京は、十九年度には代表者を初めとする経営陣を刷新し、不良債権が鎮静化するまでは慎重運営を行うこととし、十店舗のうち七店舗を廃止統合するなど、営業経費を削減いたしました。その結果、十九年度の当期損失は百六十七億円と、前年度と比べて大幅に減少いたしました。
 再建計画初年度の二十年度は、さらなる店舗の統合や執行体制の効率化等を行い、低コスト構造への転換を図った結果、当期純損失は計画の百二十六億円に対して百五億円と、計画を上回る実績となりました。
 濃い色の棒グラフは累積損失を示してございます。十九年度には、累積損失が一千十六億円となりましたが、二十年度に減資を行い、過去の累積損失を一掃しております。
 なお、二十一年度の業績予想では、再建計画の十九億円の赤字に対して、純利益が十三億円の黒字と、計画を約三十億円上回るものと見込んでおります。
 五ページをお開きください。株式会社新銀行東京の貸し出し、保証及び預金の推移を示してございます。
 貸出金・保証残高は、棒グラフの濃い方でございますが、十七年九月期から十九年三月期にかけて、急速に増加いたしました。具体的には、十七年九月期の五百六十八億円から、十八年三月期には、二四〇%、一千三百六十二億円増の一千九百三十億円、さらに十八年九月期には、十八年三月期から四六%、八百八十九億円増の二千八百十九億円となり、急速に貸し出し・保証を拡大いたしました。
 一方で、これに伴い不良債権も増加しております。不良債権については、後ほどご説明させていただきます。
 その後、新銀行東京は十九年度に経営陣を刷新し、不良債権が鎮静化するまでは慎重運営を行うこととした結果、十九年三月期には三千二百十億円であった貸し出し・保証残高は、十九年九月期には二千八百五十五億円、二十年三月期には二千四百五億円と、漸次減少をしております。
 一方、薄い棒は預金残高ですが、これを見ますと、やはり旧経営陣の時代に急速に積み上げている様子がわかります。具体的には、十七年度と十八年度に、三年物一・五%、五年物一・七%など、高利回りのキャンペーン定期預金を実施し、積極的に預金を集めたことにより、預金残高は、十七年九月期の一千九百三十九億円から、十八年三月期には、六五%、一千二百六十二億円増の三千二百一億円、さらに十八年九月期には、十八年三月期から七〇%、二千二百三十五億円増加し、五千四百三十六億円となりました。
 こうした結果、貸し出し・保証と比べ、預金が突出した状況となり、両者のバランスがいびつなものとなっております。また、このときの高利回りのキャンペーン定期が、現在も経営の足かせになっております。
 なお、預金残高は、二十一年九月期には、キャンペーン定期の一部が満期を迎えたため、二千百四十七億円まで減少いたしました。
 六ページをお開きください。株式会社新銀行東京の不良債権の推移を示してございます。
 棒グラフの部分が不良債権残高でございますが、これを見ていただきますと、十八年九月期から十九年九月期の間に不良債権残高が急激に伸び、その後も右肩上がりで増加しております。再建計画実施後は、二十年九月期をピークに、残高は減少しつつございます。
 なお、不良債権残高の増加は、旧経営陣時代の融資案件の影響が大きく、再建計画実施以降の融資案件では大幅に抑制されてございます。
 折れ線で示してございます不良債権比率は、開業以来、ほぼ右肩上がりに上昇しております。
 なお、二十一年九月期には二二・二%と高い比率になってございますが、これは、不良債権残高が減少しているにもかかわらず、貸出残高等が減少したことに起因しております。高い不良債権比率は新銀行東京の課題の一つと認識してございますが、現時点で保全は十分されており、将来の損失に対する備えに問題はございません。
 七ページをお開きください。新銀行東京の経営悪化についてでございます。
 まず、新銀行東京は、みずからが経営悪化の原因を調査してございます。旧経営陣が経営に当たった開業後二年間の、不良債権の増加を主たる原因とする経営悪化に対する法的責任の有無及びその責任追及の方法等について、外部専門家による調査を実施し、その結果を二十一年二月に公表いたしました。この中では、多くの関係者からヒアリングを実施するなど、新銀行東京の開業後とともに、開業以前の事実についても調査分析を行っております。
 報告書では、不良債権の増加を主因とする経営悪化を招いた要因として、(1)、想定を大幅に上回るデフォルトを発生させるような融資・保証が行われたこと、(2)、危機的なデフォルトの発生状況に対して抜本的対策が講じられなかったことの二点を挙げております。詳細につきましては、別添資料1、「『調査報告書』の概要について」もあわせてご参照いただければと存じます。
 経営悪化の一つ目の要因である、(1)の想定を大幅に上回るデフォルトを発生させるような融資・保証が行われたことについてですが、aのスコアリングモデルによる融資審査体制については、スコアリングモデルは事業者の財務状況等を定量的に自動審査を行うシステムでございますが、報告書では、スコアリングモデルは、新銀行マスタープランが作成された当時、公的機関等により融資審査における有力なツールとして認識されていた。しかし、想定デフォルト率と実績デフォルト率に大幅な乖離が生じ、スコアリングシステムが想定どおりの機能を発揮できなかったとされております。
 bの、営業専担による定性評価、この営業専担は、融資業務を専門に行う新銀行東京の行員のことですが、このことにつきましては、実行後六カ月経過後のデフォルトを不問とする成果手当制度の導入により、営業専担による定性評価等の融資審査が十分に行われなかった可能性があるとされております。
 cの、債権の管理、回収の体制については、デフォルトの発生防止等のための債権管理、回収体制の充実よりも、人件費等を節約し、効率化を図ることが重視され、実行後の融資等の期中管理がおろそかになったとされております。
 dの、融資・保証残高が積み上がらなかったことについては、新銀行マスタープラン公表後、景気の一部に回復の兆しが見られ、不良債権処理を終えて、リスク負担能力の回復したメガバンク等が中小企業への無担保融資に取り組み始めるなど、新銀行東京を取り巻く経済金融情勢及び競争条件等に大きな変化が生じていた。新銀行東京の経営目標は、こうした情勢等の変化を考慮していたが、目標どおりに融資等の残高が積み上がらなかったとされております。
 二つ目の要因である、(2)の危機的なデフォルトの発生状況に対して抜本的対策が講じられなかったことについてですが、デフォルトに関する元執行役等の議論の状況等を取り上げ、旧経営陣は、危機的なデフォルトの発生状況が収益に与える影響を踏まえた経営計画の見直しを取締役会に諮ることもなかったとされております。さらに、平成十八年八月三十日以降も、小口定型商品の融資実行を直ちに停止しないどころか、平成十九年六月に至るまで、融資拡大路線を積極的に継続する等、デフォルトを拡大させたことが認められるとされております。
 八ページをお開きください。
 2の新銀行東京が公表した調査報告書以外の都の考え方につきましてですが、(1)の旧経営陣の経営判断ですが、最終的にスコアリングシステムの導入を決定したのは新銀行東京の判断であったが、このシステムそのものの問題というよりは、融資実行に当たっての運用において、経営判断に問題があったといわざるを得ないと考えてございます。
 (2)の経済・金融環境の変化ですが、新銀行東京は、不良債権を処理し体力を回復した大手銀行等が、貸し渋り、貸しはがしといったそれまでの融資姿勢を一変させ、中小企業金融に積極的に参入してきたことによって、開業直後から厳しい経営環境にさらされていたとの認識を持っております。
 3の、都の監視についてですが、銀行法上の規定から、株主の経営監視には制約がありますが、都出身者を社外取締役として経営に参加させながら、また、都としても、決算時の報告を受け、大枠の監視を行ったものの、このような経営状態に陥ったことからすれば、都としての監視が十分だったとはいえないものと考えております。
 3の金融庁の見解でございますが、監督官庁である金融庁は、平成二十年十二月二十六日に発出した業務改善命令において、過大な事業規模の追求、スコアリングモデルのみに依存した融資審査、管理等に起因して、大幅な損失を計上してきたとしております。
 九ページをお開きください。経営悪化に対する東京都の主な対応について示してございます。
 十八年十二月に、都は、十八年度中間決算時の経営悪化を踏まえ、新銀行東京の取締役会議長に対し、経営計画の抜本的見直しを文書で要請いたしました。
 十九年六月には、十八年度決算で明らかとなった深刻な経営悪化に対し、元副知事の大塚俊郎氏を社外取締役に就任させるとともに、産業労働局の岡田理事を執行役として新銀行東京に派遣するなど、役員の刷新や都職員の派遣を実施いたしました。
 二十年四月には、二十年都議会第一回定例会の付帯決議を受け、金融監理室を設置し、監視機能をさらに強化いたしました。
 なお、東京都から株式会社新銀行東京に対する株主総会での発言、申し入れの詳細については、別添資料2、「新銀行東京の株主総会における東京都の発言内容、取締役会への申し入れ」をご参照ください。
 一〇ページをお開きください。参考として、株式会社新銀行東京の現在の状況を示してございます。
 店舗は、現在新宿の本店のみでございます。
 現在の代表取締役社長執行役員は、二十一年六月二十九日に就任した寺井宏隆氏でございます。
 従業員数は、二十一年六月三十日現在で百五十一名となってございます。
 二十一年度中間決算につきましては、お手数ですが、一枚おめくりいただき、平成二十二年三月期中間決算の概要をごらんください。
 今期の活動状況でございますが、二十一年度中間決算は十億円の黒字を達成し、開業以来中間期で初の黒字を計上いたしました。二十一年度通期においても、再建計画を約三十億円上回る十三億円の黒字化を見込んでおります。
 中小企業支援は、二十一年九月末で、与信残高が七百六十二億円、件数にして九千件弱となってございます。
 資料右側の損益状況をごらんください。表の一番下段の当期利益を見ると、右の方から二つ目の二十年度上期の当期利益がマイナス七十一億円となってございますが、これが二十一年度上期決算ではプラス十億円となり、八十億円ほど改善してございます。
 二十一年度の中間期の黒字化は、信用コストの圧縮による戻り益が大きく貢献してございます。信用コストが圧縮された要因は、顧客とのリレーションシップ強化による延滞防止やリスケジュール対応などの影響が大きいものでございます。
 リスケジュールの状況は、資料左側の下段に示してございます。二十一年九月末では、中小零細企業向け八千六百八十四先に対して、一千二百五十先に実施しております。リスケジュールは、昨年からの不況により売り上げが減少し、融資返済が困難になった企業に対して与信期間の延長などを行うもので、単なる延命策ではございません。企業に対して新銀行東京が、経営悪化の原因や今後の対応策などの相談に応じ、時にはリストラを企業に求めつつ、リスケジュールを実施しております。
 貸倒引当金は基準に基づいた予測値であり、当然実績との差が生じてまいります。今回の戻り益の発生は、予測値以上に貸出先企業からの返済が進んだことや、倒産を回避したことなどが大きな要因となっております。
 最後になりますが、株式会社新銀行東京の純資産は、九月末で四百八十二億円、純利益は十億円と、いずれも再建計画を上回るものとなってございます。
 このように、新銀行東京の経営再建は着実に進んでおりますが、平年度ベースの実質業務純益は、改善されつつあるとはいえ、赤字の状況となっております。
 現在、新たな経営陣は引き続きこの黒字化に向け、全力で取り組んでいるところでございます。
 以上で、株式会社新銀行東京に関する報告事項の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○山下委員長 説明は終わりました。
 この際、資料要求のある方は発言を願います。

○佐藤委員 新銀行設立の際、BNPパリバ信託銀行株式会社を買収したわけですが、関係する資料を幾つかお願いしたいと思います。
 まず、新銀行がBNPパリバから引き継いだ資産等の一覧をお願いします。
 また、BNPパリバ信託銀行株式会社を買収する際、その選定や交渉などにかかわったコンサルタントなど関係者の一覧と、それらの方々に支払った金額、また支払い方法や契約内容について資料をお願いします。
 また、この買収交渉について議論された都庁内の会議録や、買収決定に関する決裁資料等の資料をお願いいたします。
 以上です。

○神野委員 私からは、新銀行東京の設立時の設立に向けた東京都と金融庁の協議状況、いつ、だれが、どのような内容について協議してきたのかがわかる、その資料をお願いをいたします。
 続きまして、新銀行東京と東京都との連携についての資料です。
 初めに、東京都中小企業環境配慮取り組み支援融資の概要と実績。
 もう一つは、東京都ベンチャー技術大賞の受賞事業者への融資優遇制度の概要と実績。
 そして、環境CSR応援団融資の概要と実績、そのうち、地球温暖化対策計画書制度や食品衛生自主管理認証制度など、都の認定が資格要件となっております融資先への実績。
 そして、東京都の監理団体からの預金状況、監理団体への貸付状況、そして社債など債券の引き受け状況の資料をお願いを申し上げます。
 そして、公共工事代金債権信託についてです。
 公共工事代金債権信託のこれまでの実績についての資料。
 債権信託利用企業の資本金別の内訳についての資料。
 そして、債権信託利用企業の中で、工事完成までの間で倒産、破綻をした実例の資料。
 続きまして、貸倒引当金の計上基準のこれまでの変遷についての説明資料。
 さらには、平成二十一年九月三十日中間財務諸表の中での貸借対照表中にございます負債の部、借用金の科目の内訳。
 同じく、貸借対照表中のコールローン、コールマネーの各月の月末残高の資料。
 最後に、中間財務諸表の注記事項でございます、六番の担保に供しているといわれております貸出金の内訳について。
 以上の資料をお願いいたしたいと思います。

○吉田委員 何点か資料をお願いいたします。
 一つは、マスタープラン策定の詳細な経過のわかる資料をお願いいたします。
 次に、マスタープラン、中期経営目標、新中期目標、再建計画の各指標と実績の推移をお示しください。
 次に、都の担当者と新銀行東京の役員との協議の全経過がわかる資料をお願いいたします。
 次に、開業以降の融資先別の新規の融資、保証、工事信託の件数、金額の推移。
 次に、無担保・無保証融資の企業規模別実績の推移。
 次に、開業以降の物件費、人件費の推移と、その変化の主な要因について。
 次に、職員数の推移及び現在の職員の部門別の内訳。
 次に、個人預金の預金規模別口座数、金額の推移。
 次に、信金融資保証の件数、金額の推移及び不良債権比率の推移。
 次に、運用資産総額に占める中小企業融資の比率の推移。
 次に、有価証券残高とその内訳の推移、現在保有する有価証券の内訳。
 最後に、借入金の推移、現在の借入金の内訳と金額。
 以上について、資料を要求いたします。

○山下委員長 ほかにございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山下委員長 ただいま佐藤委員、神野委員、吉田委員から資料要求がありましたが、これを委員会の資料要求とすることにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山下委員長 異議なしと認めます。理事者におかれましては、要求された委員と調整の上、ご提出願います。

○山下委員長 次に、本委員会に付託されております調査事件についてお諮りいたします。
 本件は、本定例会中に調査を終了することができませんので、閉会中の継続調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山下委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
 午後一時三十九分散会

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